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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027677
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】フランジ補強装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 23/036 20060101AFI20250220BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20250220BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
F16L23/036
F16B7/04 301B
F16B2/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132683
(22)【出願日】2023-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000230526
【氏名又は名称】日本ヴィクトリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良晋
(72)【発明者】
【氏名】舩越 功睦
【テーマコード(参考)】
3H016
3J022
3J039
【Fターム(参考)】
3H016AA01
3H016AC01
3H016AC04
3J022DA11
3J022EA35
3J022EB13
3J022EC17
3J022EC22
3J022ED22
3J022FB12
3J022GA06
3J022GA12
3J039AA02
3J039BB01
3J039CA20
(57)【要約】
【課題】一対のフランジを円周方向に沿ってバランス良く挟持し、かつ簡単に組み立てることができるフランジ補強装置を提供する。
【解決手段】フランジ補強装置10のクランプ装置20はU字状のクランプ装置本体21と、一方のフランジ3と保持プレート11との間に設けられた固定部材22と、他方のフランジの外面に当接する当接面23とを有する。保持プレート11の係合部11aに固定部材22を貫通して一方のフランジ3の外面に当接する取り付けボルト15が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びるとともに、対向する一対のフランジを含む管路中に設けられ、前記一対のフランジを挟持して補強するフランジ補強装置において、
一方のフランジの軸方向外方に配置され、円周方向に延びるとともに複数の係合部を有する保持プレートと、
前記保持プレートに円周方向に沿って設けられた複数のクランプ装置と、を備え、
各クランプ装置はU字状のクランプ装置本体と、前記クランプ装置本体の一側に設けられ、前記一方のフランジと前記保持プレートとの間に位置する固定部材と、前記クランプ装置本体の他側に設けられ、他方のフランジの軸方向外面に当接する当接面とを有し、
前記保持プレートの係合部に前記固定部材を貫通して前記一方のフランジの軸方向外面に当接する取り付けボルトを設けたフランジ補強装置。
【請求項2】
前記保持プレートは、円周方向に沿って複数に分割された分割部分を有する、請求項1記載のフランジ補強装置。
【請求項3】
前記クランプ装置本体が前記一対のフランジに対して半径方向外方に延びて設置された場合、前記クランプ装置本体と、前記一対のフランジとの間に前記クランプ装置が前記取り付けボルトを中心として揺動できる隙間が形成される、請求項1記載のフランジ補強装置。
【請求項4】
前記クランプ装置は、20°~60°の角度だけ前記取り付けボルトを中心として揺動する、請求項3記載のフランジ補強装置。
【請求項5】
前記クランプ装置本体と前記一対のフランジとの間に前記隙間を埋めるアダプタが挿着される、請求項3または4記載のフランジ補強装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対向した一対のフランジを挟持して補強するフランジ補強装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管路内に設けられた一対のフランジを挟持して補強するフランジ補強装置として、一対のフランジを挟持する複数の挟持枠を有するものが知られている。
【0003】
しかしながら、一対のフランジを挟持するフランジ補強装置として、一対のフランジを円周方向に沿ってバランス良く挟持することができ、かつ容易に組み立てることができるフランジ補強装置は開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-103086号公報
【特許文献2】特開2022-8994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、管路中の一対のフランジを円周方向に沿ってバランス良く挟持することができ、かつ簡単に組み立てることができるフランジ補強装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、軸方向に延びるとともに、対向する一対のフランジを含む管路中に設けられ、前記一対のフランジを挟持して補強するフランジ補強装置において、一方のフランジの軸方向外方に配置され、円周方向に延びるとともに複数の係合部を有する保持プレートと、前記保持プレートに円周方向に沿って設けられた複数のクランプ装置と、を備え、各クランプ装置はU字状のクランプ装置本体と、前記クランプ装置本体の一側に設けられ、前記一方のフランジと前記保持プレートとの間に位置する固定部材と、前記クランプ装置本体の他側に設けられ、他方のフランジの軸方向外面に当接する当接面とを有し、前記保持プレートの係合部に前記固定部材を貫通して前記一方のフランジの軸方向外面に当接する取り付けボルトを設けたフランジ補強装置である。
【0007】
本開示は、前記保持プレートは、円周方向に沿って複数に分割された分割部分を有する、フランジ補強装置である。
【0008】
本開示は、前記クランプ装置本体が前記一対のフランジに対して半径方向外方に延びて設置された場合、前記クランプ装置本体と、前記一対のフランジとの間に前記クランプ装置が前記取り付けボルトを中心として揺動できる隙間が形成される、フランジ補強装置である。
【0009】
本開示は、前記クランプ装置は、20°~60°の角度だけ前記取り付けボルトを中心として揺動する、フランジ補強装置である。
【0010】
本開示は、前記クランプ装置本体と前記一対のフランジとの間に前記隙間を埋めるアダプタが挿着される、フランジ補強装置である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば一対のフランジを円周方向に沿ってバランス良く挟持することができ、かつ簡単にフランジ補強装置を組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は第1の実施の形態によるフランジ補強装置を示す斜視図。
図2図2は第1の実施の形態によるフランジ補強装置を示す平面図。
図3図3は第1の実施の形態によるフランジ補強装置を示す側面図。
図4図4は第1の実施の形態によるフランジ補強装置を示す、図3と90°異なる方向からみた側面図。
図5A図5Aはクランプ装置と一対のフランジとを示す平面図。
図5B図5Bはクランプ装置と一対のフランジとの間の隙間に配置されたアダプタを示す平面図。
図6A図6Aはクランプ装置と一対のフランジとの間の隙間を示す側面図。
図6B図6Bはクランプ装置と一対のフランジとの間の隙間に配置されたアダプタを示す側面図。
図7図7はフランジ補強装置の組み立て作用を示す側面図。
図8A図8Aは保持プレートを示す平面図。
図8B図8Bは保持プレートの他の例を示す平面図。
図8C図8Cは保持プレートの他の例を示す平面図。
図8D図8Dは保持プレートの他の例を示す平面図。
図9図9は第2の実施の形態によるフランジ補強装置を示す斜視図。
図10図10は第2の実施の形態によるフランジ補強装置を示す平面図。
図11図11は第2の実施の形態によるフランジ補強装置を示す側面図。
図12図12は第2の実施の形態によるフランジ補強装置を示す、図11と90°異なる方向からみた側面図。
図13図13はフランジ補強装置の組み立て作用を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本開示による第1の実施の形態について説明する。
【0014】
図1乃至図8は本開示による第1の実施の形態を示す図である。
【0015】
図1乃至図8に示すように、第1の実施の形態によるフランジ補強装置10は軸方向Lに延びる管路30に設けられた一対のフランジ3,4を互いに挟持して補強するものである。
【0016】
すなわち図1に示すように、軸方向Lに延びる管路30は、端部にフランジ3を有する配管1と、端部にフランジ4を有する配管2とを備え、配管1のフランジ3と配管2のフランジ4との間にフランジレスのバタフライ弁5が取り付けられている。そしてこのバタフライ弁5は駆動部5aにより駆動されて、開閉作業が行われる。
【0017】
一般にこのような管路30のフランジ3,4は、例えば10kg/cm程度の加圧水が流れてもそれに対応できる規格をもつ。
【0018】
しかしながら、上記規格を超える加圧水が管路30内を流れると、フランジ3,4間で漏水が生じることが考えられる。
【0019】
本実施の形態によるフランジ補強装置10は、一対のフランジ3,4を外方から軸方向に挟持して、このフランジ3,4を補強し、例えば20kg/cm程度の水圧に耐えられるよう、管路30の保護強化を図るものである。
【0020】
このようなフランジ補強装置10は、一方のフランジ3の軸方向L外方(図1図3および図4においてフランジ3の上方)に配置され、円周方向に延びる保持プレート11と、保持プレート11に円周方向に沿って設けられた複数、例えば6個のクランプ装置20とを備えている。
【0021】
このうち保持プレート11は円周方向に沿って複数、例えば2つに分割された分割部分11A,11Bを有している。
【0022】
そして各分割部分11A,11Bは連結ボルト12により互いに連結され、かつこの連結ボルト12を介して互いに揺動自在となっている。
【0023】
また各クランプ装置20は、一対のフランジ3,4の半径方向外方に設けられたU字状のクランプ装置本体21と、クランプ装置本体21の一側(図1図3および図4において上側)に設けられた固定部材22と、クランプ装置本体21の他側(図1図3および図4において下側)に形成された当接面23とを有する。
【0024】
このうちクランプ装置本体21の一側に設けられた固定部材22は、保持プレート11と一方のフランジ3との間に位置する。そして固定部材22には、後述する取り付けボルト15が貫通するとともに、固定部材22は取り付けボルト15が係合する内ねじ22aを有する。
【0025】
またクランプ装置本体21の他側に設けられた当接面23は、他方のフランジ4の軸方向L外面に当接して、他方のフランジ4を一方のフランジ3側へ押し付ける機能をもつ。
【0026】
このような構成からなる保持プレート11および各クランプ装置20に対して上方から取り付けボルト15を挿入する。そして取り付けボルト15をクランプ装置20の固定部材22内に、固定部材22の内ねじ22aに係合させながら貫通させる。そして取り付けボルト15の下端15aを一方のフランジ3の軸方向L外面に当接させ、同時にクランプ装置20の当接面23をフランジ4の軸方向外面に当接させる。
【0027】
このようにしてクランプ装置20によって一対のフランジ3,4を外方から挟持する。このことによって一対のフランジ3,4の保護強化を図ることができる。
【0028】
なお、本実施の形態において、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」とはフランジ補強装置10を図1図3および図4に示すように配置した場合における「上方」、「下方」、「上側」、「下側」をいう。
【0029】
またフランジ3の軸方向L外面とは、例えば一方のフランジ3の軸方向Lの外方(上方)の面をいい、フランジ4の軸方向L外側とは、例えば他方のフランジ4の軸方向Lの外方(下方)の面をいう(図1図3および図4参照)。
【0030】
次に保持プレート11について更に述べる。上述のように保持プレート11は円周方向に沿って2つに分割された分割部分11A,11Bを有し、連結ボルト12により互いに連結されている。そして保持プレート11の各分割部分11A,11Bは、図8A乃至図8Dに示すように、半円形状を有し、一対の端部には、連結ボルト12が挿入される挿入孔12aが設けられている。
【0031】
また、各分割部分11A,11Bには、半径方向外方に開口するとともに、上述した取り付けボルト15が挿入される切り欠き(取り付けボルト15との係合部)11aが設けられている(図8A参照)。
【0032】
しかしながら各分割部分11A,11Bに半径方向外方に開口する切り欠き11aを設ける代わりに、各分割部分11A,11Bに半径方向内方に開口し、取り付けボルト15が挿入される切り欠き11bを設けてもよい(図8B参照)。
【0033】
あるいは各分割部分11A,11Bに、半径方向外方に開口する切り欠き11cを設け、この切り欠き11cはL字形状を有していてもよい(図8C参照)。
【0034】
図8Cにおいて、各分割部分11A,11B内に挿入される取り付けボルト15は、切り欠き11cがL字形状をもつため、分割部分11A,11Bの切り欠き11c内に挿入された取り付けボルト15は切り欠き11cから外れ難くなっている。
【0035】
あるいは各分割部分11A,11Bに、取り付けボルト15が挿入される貫通孔11dを設けてもよい。
【0036】
上述のように各クランプ装置20は一対のフランジ3,4の半径方向外方に設けられたクランプ装置本体21を有し、一対のフランジ3,4を軸方向に挟持している。そして各クランプ装置20のクランプ装置本体21が一対のフランジ3,4に対して半径方向外方に延びて設置される場合(図5A実線および図5B参照)、クランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間に、隙間32が形成される。
【0037】
図5Aおよび図5Bに示すように、クランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間に隙間32を設けることにより、クランプ装置本体21と固定部材22とを有するクランプ装置20は、取り付けボルト15を中心として、角度αに渡る図5Aおよび図6Bの破線で示す範囲内で揺動可能となる(図5A図6B参照)。
【0038】
このように、クランプ装置20が取り付けボルト15を中心として揺動可能となっているため、フランジ補強装置10を現場で組み立てる際、たとえクランプ装置20近傍に障害物が存在していても、クランプ装置20を取り付けボルト15を中心として揺動させる(図5Aおよび図6Aの破線参照)。このことによりクランプ装置20を障害物と干渉することなく現場で容易に組み立てることができる(図5Aおよび図6Aの実線参照)。
【0039】
図5Aおよび図6Aにおいて、クランプ装置20は、20°~60°に渡る角度αだけ回転させることができるため、クランプ装置20を広い範囲にわたって現場で回転させて、広い範囲に存在する障害物を避けながら、フランジ補強装置10を現場で組み立てることができる。
【0040】
なお、フランジ補強装置10を組み立てた後、クランプ装置20が取り付けボルト15を中心として回転しないよう、クランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間の隙間32内にアダプタ33を上方または下方から挿着して、この隙間32を埋めてもよい。このようにクランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間の隙間32内にアダプタ33を挿着することにより、クランプ装置本体21の揺動を防止して、一対のフランジ3,4に対してクランプ装置20の設置方向を例えば半径方向外方に向けるよう精度よく調整することができる(図5Bおよび図6B参照)。
【0041】
本実施の形態において、クランプ装置本体21と一対のフランジ3,4双方との間の隙間32内にアダプタ33が挿着されている(図5Bおよび図6B参照)。しかしながら、クランプ装置本体21と、例えば一方のフランジ3との間の隙間32内にアダプタ33を挿入し、クランプ装置本体21と他方のフランジ4との間の隙間32内にはアダプタを挿着しなくてもよい。
【0042】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0043】
まず図1に示すように配管1の端部に設けられたフランジ3と、配管2の端部に設けられたフランジ4とがフランジレスのバタフライ弁5を介して接合ボルト7と、ナット8とにより接合されている。この場合、配管1のフランジ3と配管2のフランジ4は、接合ボルト7をフランジ3,4内に貫通させ、接合ボルト7をナット8により締め付けることにより接合されている。
【0044】
このように、配管1のフランジ3と配管2のフランジ4とがフランジレスのバタフライ弁5を介して接合されて、予め管路30が形成されている。
【0045】
次に本実施の形態によるフランジ補強装置10により一対のフランジ3,4を挟持して補強する作用について述べる。
【0046】
まず保持プレート11の分割部分11A,11Bを一方のフランジ3の軸方向L外方に配置し、分割部分11A,11Bを一対の連結ボルト12により互いに堅固に固定する。この場合、一方の連結ボルト12を取り外しておき、他方の連結ボルト12を緩めておく。このようにして分割部分11A,11Bを他方の連結ボルト12を中心として揺動自在に連結しておき、分割部分11A,11Bを一方のフランジ3の軸方向外方に配置する。その後に一方の連結ボルト12および他方の連結ボルト12を締め付けることにより、一方のフランジ3の軸方向L外方に一対の分割部分11A,11Bからなる保持プレート11を設置することができる。
【0047】
次に一対のフランジ3,4の半径方向外方にクランプ装置20を装着する。
【0048】
このとき、一方のフランジ3と保持プレート11との間にクランプ装置20の固定部材22を配置し、クランプ装置20の当接面23を他方のフランジ4の軸方向L外面に当接させる。
【0049】
この場合、クランプ装置20の固定部材22には、予め取り付けボルト15が挿着されており、一対のフランジ3,4の半径方向外方にクランプ装置20を挿着する場合、取り付けボルト15は例えば図8Aに示すように、半径方向外方に設けられた開口から保持プレート11の切り欠き11a内に挿入される。
【0050】
次に図7に示すように、取り付けボルト15を締め付け具(図示せず)により固定部材22に対して締め付ける。このようにして取り付けボルト15の下端15aを一方のフランジ3の軸方向L外面(フランジ3の上方の面)に当接させ、同時にクランプ装置20の当接面23をフランジ4の軸方向外面(フランジ4の下方の面)に当接させる。
【0051】
このようにしてクランプ装置20により一対のフランジ3,4を軸方向Lに沿って挟持して一対のフランジ3,4の保護強化を図ることができる。
【0052】
次に取り付けボルト15に取り付けられたナット16を締め付けて、クランプ装置20の固定部材22とナット16との間で保持プレート11を挟持する。このようにナット16を締め付けることにより、クランプ装置20を保持プレート11に堅固に固定することができる。このようにして一対のフランジ3,4を挟持して保護するフランジ補強装置10が得られる。
【0053】
以上のように本実施の形態によれば、クランプ装置20により一対のフランジ3,4を軸方向Lに沿って挟持することができ、このことにより一対のフランジ3,4の保護強化を図ることができる。また保持プレート11には、6個のクランプ装置20に対応して合計6個の切り欠き11a,11b,11c、または貫通孔11dが設けられている。本実施の形態において、取り付けボルト15を切り欠き11a,11b,11cあるいは貫通孔11d内に挿入する。このことにより、一対のフランジ3,4の半径方向外方に、円周方向に沿って6個のクランプ装置20を所望位置に正確に位置決めして配置することができ、一対のフランジ3,4の半径方向外方に円周方向に沿って正確に位置決めされた複数のクランプ装置20により一対のフランジ3,4を円周方向に沿ってバランス良く挟持することができる。
【0054】
またクランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間に隙間32を設けることにより、クランプ装置20を取り付けボルト15を中心として揺動させることができる。このためフランジ補強装置10を現場で組み立てる際、クランプ装置20の近傍に障害物が存在したとしても、クランプ装置20を取り付けボルト15を中心として揺動させることにより、クランプ装置20を障害物と干渉することなく容易に設置することができる(図5Aおよび図6A参照)。
【0055】
またクランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間の隙間32内に上方または下方からアダプタ33を挿着して、クランプ装置本体21の揺動を防止してもよい。この場合は、一対のフランジ3,4に対してクランプ装置20の設置方向を半径方向外方に向けるよう調整することができる(図5Bおよび図6B参照)。
【0056】
<第2の実施の形態>
次に、図面を参照して本開示による第2の実施の形態について説明する。
【0057】
図9乃至図13は本開示による第2の実施の形態を示す図である。
【0058】
図9乃至図13に示すように、第2の実施の形態によるフランジ補強装置10は軸方向Lに延びる管路30に設けられた一対のフランジ3,4を互いに挟持して補強するものである。
【0059】
すなわち図9に示すように、軸方向Lに延びる管路30は、端部にフランジ3を有する配管1と、端部にフランジ4を有する配管2とを備えている。
【0060】
一般にこのような管路30のフランジ3,4は、例えば10kg/cm程度の加圧水が流れてもそれに対応できる規格をもつ。
【0061】
しかしながら、上記規格を超える加圧水が管路30内を流れると、フランジ3,4間で漏水が生じることが考えられる。
【0062】
本実施の形態によるフランジ補強装置10は、一対のフランジ3,4を外方から軸方向に挟持して、このフランジ3,4を補強し、例えば20kg/cm程度の水圧に耐えられるよう、管路30の保護強化を図るものである。
【0063】
このようなフランジ補強装置10は、一方のフランジ3の軸方向L外方(図1図3および図4においてフランジ3の上方)に配置され、円周方向に延びる保持プレート11と、保持プレート11に円周方向に沿って設けられた複数、例えば6個のクランプ装置20とを備えている。
【0064】
このうち保持プレート11は円周方向に沿って複数、例えば2つに分割された分割部分11A,11Bを有している。
【0065】
そして各分割部分11A,11Bは連結ボルト12により互いに連結され、かつこの連結ボルト12を介して互いに揺動自在となっている。
【0066】
また各クランプ装置20は、一対のフランジ3,4の半径方向外方に設けられたU字状のクランプ装置本体21と、クランプ装置本体21の一側(図9図11および図12において上側)に設けられた固定部材22と、クランプ装置本体21の他側(図1図3および図4において下側)に形成された当接面23とを有する。
【0067】
このうちクランプ装置本体21の一側に設けられた固定部材22は、保持プレート11と一方のフランジ3との間に位置する。そして固定部材22には、後述する取り付けボルト15が貫通するとともに、固定部材22は取り付けボルト15が係合する内ねじ22aを有する。
【0068】
またクランプ装置本体21の他側に設けられた当接面23は他方のフランジ4の軸方向L外面に当接して、他方のフランジ4を一方のフランジ3側へ押し付ける機能をもつ。
【0069】
このような構成からなる保持プレート11および各クランプ装置20に対して上方から取り付けボルト15を挿入する。そして取り付けボルト15をクランプ装置20の固定部材22内に固定部材22の内ねじ22aに係合させながら貫通させる。そして取り付けボルト15の下端を一方のフランジ3の軸方向L外面に当接させ、同時にクランプ装置20の当接面23をフランジ4の軸方向外面に当接させる。
【0070】
このようにしてクランプ装置20によって一対のフランジ3,4を外方から挟持する。このことによって一対のフランジ3,4の保護強化を図ることができる。
【0071】
なお、本実施の形態において、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」とはフランジ補強装置10を図9図11および図12に示すように配置した場合における「上方」、「下方」、「上側」、「下側」をいう。
【0072】
またフランジ3の軸方向L外面とは、例えば一方のフランジ3の軸方向Lの外方(上方)の面をいい、フランジ4の軸方向L外面とは、他方のフランジ4の軸方向Lの外方(下方)の面をいう(図9図11および図12参照)。
【0073】
次に保持プレート11について更に述べる。上述のように保持プレート11は円周方向に沿って2つに分割された分割部分11A,11Bを有し、連結ボルト12により互いに連結されている。そして保持プレート11の各分割部分11A,11Bは、半円形状を有し、一対の端部には、連結ボルト12が挿入される挿入孔12aが設けられている。その他、保持プレート11の分割部分11A,11Bの構成は第1の実施の形態で示す構造と略同一である(図8A乃至図8D参照)。
【0074】
上述のように各クランプ装置20は一対のフランジ3,4の半径方向外方に設けられ、一対のフランジ3,4を互いに挟持している。そして第1の実施の形態と同様に、各クランプ装置20のクランプ装置本体21が一対のフランジ3,4に対して半径方向外方に延びて設置される場合、クランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間に、隙間32が形成される(図5Aおよび図6A参照)。
【0075】
また、第1の実施の形態と同様にフランジ補強装置10を組み立てた後、クランプ装置20が取り付けボルト15を中心として回転しないよう、クランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間の隙間32内にアダプタ33を上方または下方から挿着して、この隙間32を埋めてもよい。このようにクランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間の隙間32内にアダプタ33を挿着することにより、クランプ装置本体21の揺動を防止して、一対のフランジ3,4に対してクランプ装置20の設置方向を例えば半径方向外方に向けるよう精度よく調整することができる(図5Bおよび図6B参照)。
【0076】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0077】
まず図9に示すように配管1の端部に設けられたフランジ3と、配管2の端部に設けられたフランジ4とが接合ボルト7と、ナット8とにより接合されている。この場合、配管1のフランジ3と配管2のフランジ4は、接合ボルト7をフランジ3,4内に貫通させ、接合ボルト7をナット8により締め付けることにより接合されている。
【0078】
このように、配管1のフランジ3と配管2のフランジ4とが接合されて、予め管路30が形成されている。
【0079】
次に本実施の形態によるフランジ補強装置10により一対のフランジ3,4を挟持して補強する作用について述べる。
【0080】
まず保持プレート11の分割部分11A,11Bを一方のフランジ3の軸方向L外方に配置し、分割部分11A,11Bを一対の連結ボルト12により互いに堅固に固定する。この場合、一方の連結ボルト12を取り外しておき、他方の連結ボルト12を緩めておく。このようにして分割部分11A,11Bを他方の連結ボルト12を中心として揺動自在に連結しておき、分割部分11A,11Bを一方のフランジ3の軸方向外方に配置する。その後に一方の連結ボルト12および他方の連結ボルト12を締め付けることにより、一方のフランジ3の軸方向L外方に一対の分割部分11A,11Bからなる保持プレート11を設置することができる。
【0081】
次に一対のフランジ3,4の半径方向外方にクランプ装置20を装着する。
【0082】
このとき、一方のフランジ3と保持プレート11との間にクランプ装置20の固定部材22を配置し、クランプ装置20の当接面23を他方のフランジ4の軸方向L外面に当接させる。
【0083】
この場合、クランプ装置20の固定部材22には、予め取り付けボルト15が挿着されており、一対のフランジ3,4の半径方向外方にクランプ装置20を挿着する場合、取り付けボルト15は例えば図8Aに示すように、半径方向外方に設けられた開口から保持プレート11の切り欠き11a内に挿入される。
【0084】
次に図13に示すように、取り付けボルト15を締め付け具(図示せず)により固定部材22に対して締め付ける。このようにして取り付けボルト15の下端15aを一方のフランジ3の軸方向L外面(フランジ3の上方の面)に当接させ、同時にクランプ装置20の当接面23をフランジ4の軸方向外面(フランジ4の下方の面)に当接させる。
【0085】
このようにしてクランプ装置20により一対のフランジ3,4を軸方向Lに沿って挟持して一対のフランジ3,4の保護強化を図ることができる。
【0086】
次に取り付けボルト15に取り付けられたナット16を締め付けて、クランプ装置20の固定部材22とナット16との間で保持プレート11を挟持する。このようにナット16を締め付けることにより、クランプ装置20を保持プレート11に堅固に固定することができる。このようにして一対のフランジ3,4を挟持して保護するフランジ補強装置10が得られる。
【0087】
以上のように本実施の形態によれば、クランプ装置20により一対のフランジ3,4を軸方向Lに沿って挟持することができ、このことにより一対のフランジ3,4の保護強化を図ることができる。また保持プレート11には、6個のクランプ装置20に対応して合計6個の切り欠き11a,11b,11c、または貫通孔11dが設けられている。本実施の形態において、取り付けボルト15を切り欠き11a,11b,11cあるいは貫通孔11d内に挿入する。このことにより、一対のフランジ3,4の半径方向外方に、円周方向に沿って6個のクランプ装置20を所望位置に正確に位置決めして配置することができ、一対のフランジ3,4の半径方向外方に円周方向に沿って正確に位置決めされた複数のクランプ装置20により一対のフランジ3,4を円周方向に沿ってバランス良く挟持することができる。
【0088】
またクランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間に隙間32を設けることにより、クランプ装置20を取り付けボルト15を中心として揺動させることができる。このためフランジ補強装置10を現場で組み立てる際、クランプ装置20の近傍に障害物が存在したとしても、クランプ装置20を取り付けボルト15を中心として揺動させることにより、クランプ装置20を障害物と干渉することなく容易に設置することができる(図5Aおよび図6A参照)。
【0089】
またクランプ装置本体21と一対のフランジ3,4との間の隙間32内に上方または下方からアダプタ33を挿着して、クランプ装置本体21の揺動を防止してもよい。この場合は、一対のフランジ3,4に対してクランプ装置20の設置方向を半径方向外方に向けるよう調整することができる(図5Bおよび図6B参照)。
【符号の説明】
【0090】
1 配管
2 配管
3 一方のフランジ
4 他方のフランジ
5 フランジレスのバタフライ弁
10 フランジ補強装置
11 保持プレート
11A 分割部分
11B 分割部分
12 連結ボルト
15 取り付けボルト
15a 下端
16 ナット
20 クランプ装置
21 クランプ装置本体
22 固定部材
23 当接面
30 管路
32 隙間
33 アダプタ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13