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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027702
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】集風型風車
(51)【国際特許分類】
   F03D 1/04 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
F03D1/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132756
(22)【出願日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】521518910
【氏名又は名称】合同会社加速流グリーンパワー研究所
(71)【出願人】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 邦光
(72)【発明者】
【氏名】清徳 則雄
(72)【発明者】
【氏名】吉場 康隆
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 靖徳
(72)【発明者】
【氏名】仲田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】笠置 諒一
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB31
3H178BB90
3H178CC21
3H178DD26X
(57)【要約】
【課題】内部流速を大きくすることができる集風型風車を提供する。
【解決手段】集風型風車1が、前方風胴体3と、風車が内部の中心に設置されている中間風胴体4と、後方風胴体5とから構成された風車本体2を備え、風流入口6の前方左右に設けられた少なくとも1対の風案内羽8を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方風胴体と、風車が内部の中心に設置されている中間風胴体と、後方風胴体とから構成された風車本体を備える集風型風車であって、
風流入口の前方左右に設けられた少なくとも1対の風案内羽を備える、集風型風車。
【請求項2】
後方から前方に向かって縦列に設けられる少なくとも3対の前記風案内羽を備え、
前記風案内羽の少なくとも1対の後端が、前記前方風胴体の側方に位置する、請求項1に記載の集風型風車。
【請求項3】
風流出口の後方側面に、垂直に立設された1対の側板を備える、請求項1に記載の集風型風車。
【請求項4】
前記中間風胴体の上部に一側面で風を受ける三角柱形状の突起を備え、
前記後方風胴体の上部に長手方向に平行な長軸を有する通風孔を備える、請求項1に記載の集風型風車。
【請求項5】
風流出口の後方に、両側板および上下板を有する四角形の後流物体を備える、請求項1に記載の集風型風車。
【請求項6】
前記後流物体の前記上下板の側断面を中央が盛り上がった三角形状にした、請求項5に記載の集風型風車。
【請求項7】
前記後流物体の前記上下板の側断面を中央が盛り上がった曲線形状にした、請求項5に記載の集風型風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風流入口の前方に風案内羽を備える集風型風車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前方風胴体と、プロペラ型風車が内部の中心に設置されている中間風胴体と、後方風胴体とから一体的に構成された集風型風車や風力発電機が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-1001号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】M. Rivarolo,A. Freda,A. Traverso,Test campaign and application of a small-scale ducted wind turbine with analysis of yaw angle influence,Applied Energy,279 (2020) 115850,University of Genoa,Italy.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、非特許文献1の集風型風車では、風の流入方法に課題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、内部流速を大きくすることができる集風型風車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる課題を解決するため、前方風胴体と、風車が内部の中心に設置されている中間風胴体と、後方風胴体とから構成された風車本体を備える集風型風車であって、風流入口の前方左右に設けられた少なくとも1対の風案内羽を備える、集風型風車を提供する。
【0008】
前記集風型風車では、後方から前方に向かって縦列に設けられる少なくとも3対の前記風案内羽を備え、前記風案内羽の少なくとも1対の後端が、前記前方風胴体の側方に位置することができる。
【0009】
前記集風型風車では、風流出口の後方側面に、垂直に立設された1対の側板を備えることができる。
【0010】
前記集風型風車では、前記中間風胴体の上部に一側面で風を受ける三角柱形状の突起を備え、前記後方風胴体の上部に長手方向に平行な長軸を有する通風孔を備えることができる。
【0011】
前記集風型風車では、風流出口の後方に、両側板および上下板を有する四角形の後流物体を備えることができる。
【0012】
前記集風型風車では、前記後流物体の前記上下板の側断面を中央が盛り上がった三角形状にすることができる。
【0013】
前記集風型風車では、前記後流物体の前記上下板の側断面を中央が盛り上がった曲線形状にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の集風型風車によれば、風流入口の前方に風案内羽を設けることで、内部流速を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】好適な実施形態の集風型風車の前方斜視図である。
図2】好適な実施形態の集風型風車の上面図である。
図3】好適な別の実施形態の集風型風車の前方斜視図である。
図4】好適な別の実施形態の集風型風車の上面図である。
図5】突起および通風孔を備える集風型風車の前方斜視図である。
図6】後流物体を備える集風型風車の前方斜視図である。
図7】後流物体の変形例を示す前方斜視図である。
図8】側板を備える集風型風車のシミュレーション結果を示すベクトルコンタ図である。
図9】側板を備える集風型風車のシミュレーション結果を示すベクトルコンタ図である。
図10】側板を備える集風型風車のシミュレーション結果を示すベクトルコンタ図である。
図11】突起および通風孔を備える集風型風車のシミュレーション結果を示すベクトルコンタ図である。
図12】突起および通風孔を備える集風型風車のシミュレーション結果を示すベクトルコンタ図である。
図13】突起および通風孔を備える集風型風車のシミュレーション結果を示すベクトルコンタ図である。
図14】後流物体を備える集風型風車のシミュレーション結果を示すベクトルコンタ図である。
図15】後流物体を備える集風型風車のシミュレーション結果を示すベクトルコンタ図である。
図16】後流物体を備える集風型風車のシミュレーション結果を示すベクトルコンタ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0017】
図1図6は、本発明の集風型風車1の好適な各実施形態を示す図である。本実施形態の集風型風車1は、風車本体2を備え、風車本体2は、前方風胴体3と、風車(図示せず)が内部の中心に設置されている中間風胴体4と、後方風胴体5とから構成されている。前方風胴体3、中間風胴体4および後方風胴体5は、一体的に構成されてもよい。
【0018】
前方風胴体3、中間風胴体4および後方風胴体5は、風が流入する面が、例えば四角形などの多角形、または、例えば楕円形などの円形である。前方風胴体3は、風流入口6から中間風胴体4に向かって、風が流入する面の断面積が次第に小さくなっている。後方風胴体5は、中間風胴体4から風流出口7に向かって、風が流入する面の断面積が次第に大きくなっている。
【0019】
風車本体2内に設けられる風車は、例えばプロペラ型風車とすることができるが、風を受けて回転する機能を有するものであれば、特に限定されない。風車の回転軸に取付けられた発電機などにより、風力を電力に変換する。風車は、中間風胴体4内近辺に設けられるのが好ましいが、風車本体2内であれば、任意の位置に設けてもよい。
【0020】
前方風胴体3、中間風胴体4および後方風胴体5は、任意の方法で一体成形することができ、または、別々に作製して互いに接合してもよい。前方風胴体3、中間風胴体4および後方風胴体5は、特に限定されないが、例えば、ステンレスや、鉄、アルミニウム、合成樹脂などで作製することができる。
【0021】
集風型風車1は、風流入口6の前方左右に少なくとも1対の風案内羽8を備える。風案内羽8は、前方から風流入口6に向かって横断面が流線形状に形成され、設置された状態で左右方向の外側から内側に向かって略中央部が凸状となるように湾曲している。対となる風案内羽8の間隔は、前方が幅広で、風流入口6に向かって幅狭となり、風案内羽8の配置の上面視は、前方を下、後方を上としたときに、カタカナのハの字状になる。風案内羽8の対の後端の間隔は、前方風胴体3の風流入口6の横幅と概ね一致させるとよい。
【0022】
風案内羽8が複数対設けられる場合、風案内羽8は、後方から前方に向かって縦列に設けられる。それぞれの風案内羽8は、隣り合う風案内羽8と側方から見て重なり合うようにして設けられるとよい。風流入口6に最も近い風案内羽8の後端は、前方風胴体3の側方に位置するように設けるとよい。図3および図4では、集風型風車1は、後方から前方に向かって縦列に設けられた3対の風案内羽8を備え、風流入口6に近い1対の風案内羽8の後端が、前方風胴体3の側方に位置する。風案内羽8の数は、特に限定されない。
【0023】
風は、風案内羽8を通して、風流入口6から風車本体2内部に流入して、風車を回転させる。風案内羽8を設けることで、風車本体2内部の流速を大きくできるとともに、90°側方からの風も、風車本体2内部に流入させることができるようになる。
【0024】
集風型風車1は、風流出口7の後方側面に、垂直に立設された1対の側板9を備えてもよい。側板9も、風車本体2と同様の材料で作製することができる。側板9は、後方風胴体5の側面に若干被るように設けられてもよい。
【0025】
集風型風車1は、中間風胴体4の上部に三角柱形状の突起10を備え、後方風胴体5の上部に長手方向に平行な長軸を有する通風孔11を備えてもよい(図5)。突起10も、風車本体2と同様の材料で作製することができる。突起10は、長手方向が風向きに対して直角になるように配置され、その一側面が風を受ける。このような構成により、吸込みを発生させ、壁面の剥離を抑制し、風車本体2の内部の最大流速を大きくすることができる。突起10は、風を受けることができるものであれば、三角柱以外の形状とすることもできる。突起10の位置は、前方風胴体3または後方風胴体5の方に若干ずれて設けられてもよい。通風孔11は、例えば長円形状であり、後方風胴体5の上部の中心付近に設けられるとよい。
【0026】
集風型風車1は、側板9の代わりに、風流出口7の後方に、両側板12および上下板13、14を有する四角形の後流物体15を備えてもよい(図6図7(A)~(C))。後流物体15の開口部の面積は、風流出口7の断面積よりも若干大きくすることが好ましい。後流物体15も、風車本体2と同様の材料で作製することができる。後流物体15は、上下板13、14の側断面を中央が盛り上がった三角形状にしてもよい(図7(B))。後流物体15は、上下板13、14の側断面を中央が盛り上がった曲線形状にしてもよい(図7(C))。
【0027】
本実施形態の集風型風車1のシミュレーション結果について説明する。
【0028】
図8図10は、風案内羽8および側板9を備えた集風型風車1のベクトルコンタ図である。図8は縦断面、図9は横断面、図10は中間風胴体4の正面から見た図である。風を正面から流入させた場合、30°の角度から流入させた場合、90°の角度から流入させた場合を示す。最大流速は、正面流入の場合、8.64m/s、30°流入の場合、9.56m/sであった。平均流速は、正面流入の場合、7.68m/s、30°流入の場合、8.48m/s、90°流入の場合、3.25m/sであった。風流入口6が風向きに対して直角である場合にも、風車本体2内に風を流入させることができることが確認できた。これにより、風車本体2を風向きによって回転させなくても、風車を回すことができる。
【0029】
図11図13は、突起10および通風孔11を備えた集風型風車1のベクトルコンタ図である。図11は縦断面、図12は横断面、図13は中間風胴体4の正面から見た図である。最大流速は9.17m/s、平均流速は8.24m/sであった。
【0030】
図14図16は、図7(A)~(C)の後流物体15を備えた集風型風車1のベクトルコンタ図である。図14は縦断面、図15は横断面、図16は中間風胴体4の正面から見た図である。(A)の最大流速は8.70m/s、(B)の最大流速は9.42m/s、(C)の最大流速は8.91m/s、(A)の平均流速は7.74m/s、(B)の平均流速は8.57m/s、(C)の平均流速は7.96m/sであった。
【0031】
以上、本実施形態の集風型風車1によれば、風車本体2内部の流速を大きくできることが確認できた。
【0032】
本実施形態の集風型風車1は、種々の変形実施が可能である。例えば、風車本体2の形状は、集風型風車に適用可能なものであれば、特に限定されない。
【符号の説明】
【0033】
1 集風型風車
2 風車本体
3 前方風胴体
4 中間風胴体
5 後方風胴体
6 風流入口
7 風流出口
8 風案内羽
9 側板
10 突起
11 通風孔
12 側板
13 上板
14 下板
15 後流物体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16