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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027708
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20250220BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20250220BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20250220BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20250220BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250220BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21V3/00 320
F21V3/02
F21V23/00 140
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132765
(22)【出願日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲濱▼ 佑一郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 公史
(72)【発明者】
【氏名】松田 康平
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】見栄えを損なわない照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具は、被取付部に取り付けられる器具本体と、器具本体に取り付けられ、青色光を出射する青色用LEDモジュールと白色光を出射する白色用LEDモジュールとを有する光源ユニットと、を備え、光源ユニットは、青色用LEDモジュールと白色用LEDモジュールとを保持するフレームと、フレームに対し一方向に延びるように設けられ、青色用LEDモジュールから出射した光を導く散乱板と、散乱板側から傾斜するように設けられ、白色用LEDモジュールから出射した光を導くものであり、散乱板側の端部から青色用LEDモジュールに向かって延び青色用LEDモジュールから散乱板に向かう光を遮る遮光部を有する拡散板と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に取り付けられる器具本体と、
前記器具本体に取り付けられ、青色光を出射する青色用LEDモジュールと白色光を出射する白色用LEDモジュールとを有する光源ユニットと、を備え、
前記光源ユニットは、
前記青色用LEDモジュールと前記白色用LEDモジュールとを保持するフレームと、
前記フレームに対し一方向に延びるように設けられ、前記青色用LEDモジュールから出射した光を導く散乱板と、
前記散乱板側から傾斜するように設けられ、前記白色用LEDモジュールから出射した光を導くものであり、前記散乱板側の端部から前記青色用LEDモジュールに向かって延び前記青色用LEDモジュールから前記散乱板に向かう光を遮る遮光部を有する拡散板と、を有する
照明器具。
【請求項2】
前記遮光部と前記フレームとの間の隙間の距離は、0mm~4mmである
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記拡散板の延びる方向と前記白色用LEDモジュールの照射方向との角度は、45°以下である
請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項4】
前記青色用LEDモジュールを調光して空の色を再現し、前記白色用LEDモジュールを調光して日向の光を再現する調光ユニットを更に備え、
前記調光ユニットは、前記散乱板からの発光の輝度と、前記拡散板からの発光の輝度との比が、1:7.7以下となるよう前記白色用LEDモジュール又は前記青色用LEDモジュールを調光する
請求項1又は2記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、天井等の被取付部に取り付けられた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井等の被取付部に取り付けられた照明器具が知られている。特許文献1には、下方が開口している箱形の器具本体と、器具本体の内部に配置された板状の散乱板と、散乱板の長手方向に延びる2つの端面のそれぞれの下側から支持する下ガイドプレートと、上側から支持する上ガイドプレートと、散乱板の長手方向に延びた2つの端面に対応するように配置されるLED等から構成される光源と、散乱板から傾斜して延びる枠状の拡散板とを備える照明器具が開示されている。特許文献1の光源として、青色用LEDモジュール及び白色用LEDモジュールという2つのLEDモジュールが挙げられる。青色用LEDモジュールから照射される光は、散乱板に導かれて空の色を再現し、白色用LEDモジュールから照射される光は、拡散板に導かれて日向の色を再現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-26796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている照明器具のように、空の色と日向の色とを再現するものにおいて、散乱板と拡散板との境界に、黒い線が生じる現象が発生している。これにより、照明器具の見栄えが損なわれるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、見栄えを損なわない照明器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明器具は、被取付部に取り付けられる器具本体と、前記器具本体に取り付けられ、青色光を出射する青色用LEDモジュールと白色光を出射する白色用LEDモジュールとを有する光源ユニットと、を備え、前記光源ユニットは、前記青色用LEDモジュールと前記白色用LEDモジュールとを保持するフレームと、前記フレームに対し一方向に延びるように設けられ、前記青色用LEDモジュールから出射した光を導く散乱板と、前記散乱板側から傾斜するように設けられ、前記白色用LEDモジュールから出射した光を導くものであり、前記散乱板側の端部から前記青色用LEDモジュールに向かって延び前記青色用LEDモジュールから前記散乱板に向かう光を遮る遮光部を有する拡散板と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、拡散板が、青色用LEDモジュールから散乱板に向かう光を遮る遮光部を有している。このため、青色用LEDモジュールから散乱板に向かう光は、遮光部に当たって、散乱板に届かない。従って、散乱板と拡散板との境界に、黒い線が生じ難くなる。よって、照明器具の見栄えを損なわずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明器具を示す分解斜視図である。
図2】実施の形態1に係る照明器具を示す斜視図である。
図3】実施の形態1に係る照明器具を示す側面図である。
図4】実施の形態1に係る照明器具を示す側面図である。
図5】実施の形態1に係る照明器具を示す正面図である。
図6】実施の形態1に係る照明器具を示す分解斜視図である。
図7】実施の形態1に係る照明器具を示す分解斜視図である。
図8】実施の形態1に係る照明器具を示す側面断面図である。
図9】実施の形態1に係る照明器具の青空面積と白モヤ面積との関係を示すグラフである。
図10】青空面と日向面との輝度比および色温度の最適値を確認した実験結果を示す表である。
図11】複数の試作品における日向面の色温度の好ましさと、青空面と日向面を合わせた両方での自然さを確認した実験結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る照明器具の実施の形態について図面を参照して説明する。各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、明細書の全文において、床面から天井に向かう方向、即ちz方向のうちz2方向を「上方向」と呼び、天井側を「上側」と呼ぶ場合がある。また、同様に、天井から床面に向かう垂直な方向、即ちz1方向を「下方向」と呼び、床面側を「下側」と呼ぶ場合がある。また、x方向及びy方向は、z方向に垂直であり、水平方向と呼ぶ場合がある。また、以下の説明の中で、位置関係及び方向を説明する際に「内」「外」という表現(内側、外側、内面、外面を含む)を使う場合があるが、特に断りのない限り照明器具1の中央部分側を内とし、照明器具1の外部側を外とする。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具1を示す分解斜視図である。図1に示すように、照明器具1は、天井又は壁等の被取付部2に取り付けられ、光を照射するものである。被取付部2には、照明器具1が埋め込まれる埋め込み穴3が形成されている。被取付部2には、照明器具1を取り付けるための複数の吊り下げボルト4が設けられ、被取付部2を介して電源線(図示せず)及び信号線(図示せず)が延びている。電源線は、電源を供給するものであり、信号線は、制御信号を伝達するものである。
【0011】
図2は、実施の形態1に係る照明器具1を示す斜視図であり、図3及び図4は、実施の形態1に係る照明器具1を示す側面図である。図2図4に示すように、器具本体5に光源ユニット10が取り付けられることによって、照明器具1が構成されている。
【0012】
図5は、実施の形態1に係る照明器具1を示す正面図である。図5に示すように、照明器具1は、青空面51と、日向面52と、影面53とを疑似的に再現するものである。照明器具1は、これにより、室内空間で奥行き感のある青空と自然な光とを表現している。
【0013】
図6及び図7は、実施の形態1に係る照明器具1を示す分解斜視図である。図6及び図7に示すように、照明器具1は、器具本体5と、光源ユニット10とを備えている。光源ユニット10は、第1光源ユニット20と、第2光源ユニット30とを有している。器具本体5は、一面としての下面に開口を有する長方形の箱形に形成されている。器具本体5は、下側が開口した箱形である。器具本体5内には、第1光源ユニット20が配置され、第1光源ユニット20の下側に第2光源ユニット30が配置される。
【0014】
実施の形態1に係る照明器具1は、上記のように例えば天井埋め込み型の照明器具1である。照明器具1は、天井に形成された埋め込み穴3に、第1光源ユニット20と第2光源ユニット30の後述のフランジ部35を除く部分とを収容した器具本体5が埋め込まれている。そして、照明器具1は、第2光源ユニット30のフランジ部35の下端面が天井面に沿って露出するようにして天井に設置される。
【0015】
第1光源ユニット20は、散乱板25及び散乱板25に光を入射する青色用LEDモジュール26を支持する構造である。第2光源ユニット30は、拡散板33、拡散板33に向かって光を照射する白色用LEDモジュール31及び散乱板25のz1方向を向いた下面である散乱発光面25aを保護する保護カバー32を支持する構造である。
【0016】
照明器具1は、以下に詳述するが、散乱板25の散乱発光面25aと、拡散板33において傾斜した内面である拡散発光面33aとから光を射出するものである。実施の形態1においては、照明器具1が備える光源が設置されているモジュールは、白色用LEDモジュール31及び青色用LEDモジュール26として説明されている。しかし、光源から出射される光の色は照明器具1の用途等によって適宜変更されるものであり、光源の色は限定されない。なお、図6及び図7は、第1光源ユニット20及び第2光源ユニット30の主要部分のみを示したものであり、実際には図6及び図7に示された構造にその他の部材が取り付けられるものである。
【0017】
(器具本体5)
器具本体5は、長方形の箱形に形成され、下側が開口している。器具本体5は、主面6と、4つの側面7とを有している。主面6は、長方形の板状に形成されている。また、側面7のそれぞれは、細長い長方形の板状に形成されている。側面7のそれぞれは、主面6に対して垂直な方向に、主面6の4辺のそれぞれから下方向に向かって延びるように設けられている。
【0018】
器具本体5の4つの側面7のうち、対向する2つの側面7の内側の面には、Vばね取り付け金具(図示せず)が取り付けられている。Vばね取り付け金具は、第2光源ユニット30に設けられたVばね40(図1参照)を引掛けて保持する。
【0019】
主面6には、ボルト孔8が形成され、天井の埋め込み穴3から延びる吊り下げボルト4等に取り付けできるように構成されている。器具本体5は、ボルト孔8に吊り下げボルト4を挿入した後、吊り下げボルト4をナットで締める等して固定される。
【0020】
また、主面6には、電線孔9及び端子台(図示せず)が設けられている。端子台は、照明器具1に設けられた制御ユニット22に電気的に接続されている。
【0021】
以上に、照明器具1の天井との取り付け構造の概要について説明したが、取付構造は上記に限定されるものではなく、適宜変更できるものである。
【0022】
(第1光源ユニット20)
図6及び図7に示すように、第1光源ユニット20は、背面カバー21と、制御ユニット22と、電源ユニット23と、弾性部材24と、青色用LEDモジュール26と、フレーム27とを有している。
【0023】
(背面カバー21)
背面カバー21は、器具本体5側に設けられており、板金からなる板状の部材である。背面カバー21は、制御ユニット22、電源ユニット23、弾性部材24及び散乱板25を覆うものである。
【0024】
(制御ユニット22)
制御ユニット22は、光源を発光させるための電源及び発光を制御するための制御装置を備えたものである。
【0025】
(電源ユニット23)
電源ユニット23は、青色用LEDモジュール26及び白色用LEDモジュール31のそれぞれに、電力を供給するものである。電源ユニット23は、長尺状をなしており、フレーム27に取り付けられる。電源ユニット23は、青色用LEDモジュール26及び白色用LEDモジュール31のそれぞれに、電力を供給する。電源ユニット23は、青色用LEDモジュール26及び白色用LEDモジュール31のそれぞれに設けられた各LEDを調光する。
【0026】
電源ユニット23は、各LEDの色別に独立して設けられてもよい。具体的には、例えば、青色用LEDモジュール26の青色LED用、白色LED用、及び、緑色LED用に、各3台の電源ユニット23を割り当ててもよい。また、白色用LEDモジュール31の昼色用LED、及び、暖色用LEDに、各2台の電源ユニット23を割り当てる。その場合、電源ユニット23の個数は5台である。あるいは、青色用LEDモジュール26の白色LED用及び緑色LED用に、1台の電源ユニット23を割り当てて、白色LEDと緑色LEDとを纏めて調光するようにしてもよい。その場合、電源ユニット23の個数は4台である。電源ユニット23は、外部電源から供給される電力を、光源を発光させるための電力に変換するものである。更に、電源ユニット23には、青色用LEDモジュール26を調光して空の色を再現し、白色用LEDモジュール31を調光して日向の光を再現する調光ユニット(図示せず)が設けられている。
【0027】
(弾性部材24)
弾性部材24は、背面カバー21と散乱板25との間に介在するものであり、散乱板25上に異物が進入することを抑制する弾性を有する部材である。
【0028】
(散乱板25)
散乱板25は、板状に形成される。散乱板25は、平面視で、正方形状に形成されている。散乱板25は、青色用LEDモジュール26から出射された光を透光させて、出射面である下面、散乱発光面25aから青色光を出射する。また、散乱板25は、光を散乱させる粒子である散乱体を内部に備える。散乱板25は、アクリル樹脂で形成される。散乱板25は、散乱体として、例えばシリカを含む。
【0029】
散乱板25の上面は、全反射するために平滑である。散乱板25の上面は、鏡面仕上げであることが望ましい。照明器具1の組み立て作業中に、散乱板25の上面に傷がつくと、傷がついた箇所で全反射が起こりにくくなる。そのため、上面の傷がついた箇所に対応する下面の一部分が白っぽく光って見えてしまい、青空を演出できなくなるおそれがある。そこで、散乱板25の上面の傷つきを防止するために、散乱板25の上面を反射シートで覆うようにしてもよい。
【0030】
ここで、散乱板25の上面を反射シートで覆う際、散乱板25の上面と反射シートとの間に隙間を空けずに貼り付けると、散乱板25の上面で全反射が起こりにくくなる。散乱板25の上面で確実に光を全反射させるためには、散乱板25と反射シートとの間に空気層が必要となる。空気層を形成するために、散乱板25の上面に対向する反射シートの反射面は、マット加工されている。マット加工とは、すりガラス上に微細な凹凸を形成する加工である。反射シートの反射面がマット加工されることにより、散乱板25と反射シートとの間に空気層を設けることができる。また、反射シートに散乱板25に固定する目的で、反射シートの縁に接着部を設けてもよい。
【0031】
(青色用LEDモジュール26)
青色用LEDモジュール26は、フレーム27に保持されており、青色用LEDモジュール26から出射された光は、フレーム27から水平方向内側に向かって進む。青色用LEDモジュール26は、2つの板状の基板を有している。青色用LEDモジュール26は、散乱板25の長手方向に延びた対向する2つの端面に平行になるように配置される。また、青色用LEDモジュール26は、それらの基板に配置された複数のLEDを備える。それらの複数のLEDは、例えば、青色LED、白色LED、及び、緑色LEDを含む。青色用LEDモジュール26に設けられた青色LED、白色LED、及び、緑色LEDは、電源ユニット23により調光される。
【0032】
このように、電源ユニット23が各LEDを調光することにより、青色用LEDモジュール26が発する光を、全体として青色にし、且つ、当該青色光の色調を変化させることができる。それにより、照明器具1は、様々な青空を模した視覚効果を演出することができる。電源ユニット23は、LEDのそれぞれの色別に独立して設けてもよい。又は、白色LED及び緑色LEDをまとめて電源ユニット23で調光してもよい。その場合、電源ユニット23の個数を減らすことができる。また、時刻に合わせて、青色光の色調を変化させるようにしてもよい。具体的には、例えば、午前8:00~午後5:00までの日中の時間帯は、明るい青色にし、それ以外の時間帯は暗い青色になるように、調光するようにしてもよい。このように、青色用LEDモジュール26は、光源を有する光モジュールである。光源は、LEDに限定されず、他の発光素子又は発光装置を用いてもよい。
【0033】
青色用LEDモジュール26の2つの基板は、散乱板25の長手方向に延びた2つの端面に対して、それぞれ対向するように配置される。青色用LEDモジュール26から出射した光は、散乱板25の端面に入射され、散乱板25の上面と下面とで全反射しながら散乱板25内を進む。散乱板25内を進む光の一部は、散乱板25内の散乱体に当たると散乱する。散乱板25の出射面である下面から、第1の光である青色光が出射する。
【0034】
(フレーム27)
フレーム27は、平面視で正方形状且つ枠状をなす部材であり、青色用LEDモジュール26を保持するものである。
【0035】
(第2光源ユニット30)
図7に示すように、第2光源ユニット30は、白色用LEDモジュール31と、保護カバー32と、拡散板33と、化粧枠34とを有している。
【0036】
(白色用LEDモジュール31)
白色用LEDモジュール31は、化粧枠34に保持されており、白色用LEDモジュール31から出射された光は、化粧枠34から水平方向内側に向かって進む。白色用LEDモジュール31は、平面視で、U字型に設けられている。即ち、白色用LEDモジュール31は、長方形の3辺を形成するように構成されている。白色用LEDモジュール31は、板状の3つの基板と、3つの基板のそれぞれに設けられた白色LEDとを有している。隣接する基板同士のなす角度は90°になっている。このように、白色用LEDモジュール31は、光源を有する光モジュールである。光源は、LEDに限定されず、他の発光素子又は発光装置を用いてもよい。白色用LEDモジュール31は、3つの基板のそれぞれに設けられた白色LEDから、内側に向かって白色光を出射する。このように、白色用LEDモジュール31はU字型を構成する3方向から白色光を出射する。白色用LEDモジュール31は、フレーム27の内側に配置され、フレーム27によって保持される。
【0037】
(保護カバー32)
保護カバー32は、板状に形成された透明で透光性のカバーで、例えばアクリル等の透明樹脂材料で形成されている。保護カバー32は、平面視で矩形である。保護カバー32は、散乱板25の散乱発光面25aに対向して配置される。保護カバー32は散乱板25に垂直な方向(z方向)において散乱発光面25aから離間して配置される。保護カバー32は、散乱板25へのごみや塵等の異物の付着や、傷を防ぐためのカバーである。保護カバー32は、散乱板25の下側の散乱発光面25aから出射された光を透過する。保護カバー32は、拡散板33の上側の開口を覆うように配置され、拡散板33と共に器具本体5の下側の開口を塞ぐ。
【0038】
(拡散板33)
拡散板33は、平面視で、正方形状且つ枠状に形成されている。拡散板33は、例えば、乳白色等の白色の樹脂から構成される。拡散板33は、上側と下側とが開口した四角錐台に形成される。従って、拡散板33の4つの側面7のそれぞれは、垂直方向に対して予め設定された角度で傾斜している。拡散板33の4つの側面7のそれぞれは、台形形状の拡散板33から構成され、上辺の長さが下辺の長さよりも短くなっている。また、拡散板33の4つの側面7のそれぞれが傾斜している関係で、平面視で、上辺の位置が、下辺の位置よりも内側になるように配置されている。それにより、拡散板33の内部空間は、下方向に向かってテーパ状に大きくなっている。拡散板33は、上述したように、4枚の台形形状の拡散板33を組み合わせて形成される。しかしながら、この形成方法に限らず、拡散板33を一体成型で形成してもよい。
【0039】
拡散板33の4つの側面7のうち、3つの面は発光面であり、他の1つの面は非発光面である。3つの発光面は、コの字型の白色用LEDモジュール31に合わせて、U字形状に配置されている。
【0040】
ここで、拡散板33の4つの側面7のそれぞれにおいて、拡散板33の内部空間に面している内側の面を前面と呼び、外側の面を背面と呼ぶこととする。
【0041】
拡散板33は、白色用LEDモジュール31の内側に配置される。そのため、拡散板33の発光面のそれぞれの背面側に、白色用LEDモジュール31が配置されることになる。白色用LEDモジュール31から出射された白色光は、拡散板33の発光面の背面から入射して、発光面を透過して、発光面の前面から出射される。発光面のそれぞれが傾斜しているため、3つの発光面の前面から出射される白色光は、斜め下方向を照射する。
【0042】
このように、拡散板33は、白色光を発する3つの発光面と、光を発しない1つの非発光面とを組み合わせた構成を有している。そのため、拡散板33から発せられる光は、3方向からの光となるため、太陽光に照らされた日向の窓枠、又は、日陰の窓枠越しに、外からの光が差し込んでいるような奥行き感のある視覚効果を演出することができる。
【0043】
(遮光部33b)
拡散板33は、上端部から青色用LEDモジュール26に向かって延び青色用LEDモジュール26から散乱板25に向かう光を遮る遮光部33bを有している。
【0044】
(化粧枠34)
化粧枠34は、平面視で長方形状且つ枠状をなす部材である。化粧枠34は、器具本体5の開口内部から水平方向の外側に向かって突出するように配置されている。化粧枠34は、下方からフレーム27を支持している。化粧枠34は、例えば金属から構成されている。Vばね40(図1参照)は、化粧枠34の側面7に取り付けられている。Vばね40は、器具本体5のVばね取り付け金具の位置に合わせて、合計4個設けられている。Vばね40は、金属製の線材をV字状に曲げて形成された線ばねである。
【0045】
図8は、実施の形態1に係る照明器具1を示す側面断面図である。図8に示すように、遮光部33bとフレーム27との間の隙間60の距離は、0mm~4mmである。遮光部33bとフレーム27との間の隙間60に進入した光に対して、遮光部33bに遮られた光の部分が影になって、散乱板25と拡散板33との境界において、黒い線が生じる現象が発生するおそれがある。本実施の形態1では、遮光部33bとフレーム27との間の隙間60の距離は0mm~4mmであるため、光が隙間60に進入することを抑制することができる。従って、黒い線が生じることを抑制することができる。
【0046】
図9は、実施の形態1に係る照明器具1の青空面積と白モヤ面積との関係を示すグラフである。図8に示すように、本実施の形態1では、拡散板33の延びる方向と白色用LEDモジュール31の照射方向との角度は、45°以下である。ここで、白色用LEDモジュール31から照射される光が、青空面51に映り込み、青空面51が広くぼやける現象が発生するおそれがある。図9に示すように、拡散板33の延びる方向と白色用LEDモジュール31の照射方向との角度が大きい程、青空面51の面積が大きくなり、拡散板33の延びる方向と白色用LEDモジュール31の照射方向と角度が小さい程、青空面51の面積が小さくなる。拡散板33の延びる方向と白色用LEDモジュール31の照射方向との角度が45°以下で白モヤ面積が許容される範囲となる。本実施の形態1では、拡散板33の延びる方向と白色用LEDモジュール31の照射方向との角度が45°以下であるため、白モヤ面積が減り、意匠性が改善される。
【0047】
図10は、青空面51と日向面52との輝度比および色温度の最適値を確認した実験結果を示す表である。図10に示す輝度比は、青空面51の輝度に対する日向面52の輝度の比率であり、拡散板33からの発光の輝度を導光板17からの発光の輝度で除した値である。また、図10では、青空面51および日向面52の色度をCIE色度図のxy座標系(x,y)で示している。図10に示す「好ましさ」および「評価」における「OK」、「△」または「×」は、実際の空のように見えるか否かで判断される。例えば、日向面52の輝度が高くなると、青空面51の発光が日向面52に負けてしまうため、日向面52からの光が照明のように見えてしまう。ただし、日向面52の色温度が低くなると、日向面52が照明のように見えなくなるものの、日向面52の色温度が低くなりすぎると、夕方のような印象になってしまう。「△」は、許容値ではあるがOKとは言い難い結果を示す。
【0048】
図10の実験結果からは、青空面51と日向面52の輝度比、すなわち導光板17からの発光の輝度:拡散板33からの発光の輝度は、1:5.8~1:7が好ましく、1:7が最適値であることがわかった。また、拡散板33からの発光の最適な色度は、CIE色度図のxy座標系(x,y)において、(0.338,0.345)~(0.363,0.355)であることがわかった。
【0049】
図11は、複数の試作品における日向面52の色温度の好ましさと、青空面51と日向面52を合わせた両方での自然さを確認した実験結果を示す表である。図11に示すように、試作103と試作104とを比較すると、輝度比は同等であるが、青空面51と日向面52の輝度の絶対値の相違により、青空面51と日向面52の両方を含めた全体の自然さは相違することがわかった。すなわち、輝度比および色度は、最適値に幅を持つことがわかった。
【0050】
本実施の形態1では、調光ユニットが、散乱板25からの発光の輝度と、拡散板33からの発光の輝度との比が、1:7.7以下となるよう白色用LEDモジュール31又は青色用LEDモジュール26を調光する。このため、白モヤ面積が減り、意匠性が改善される。
【0051】
本実施の形態1によれば、拡散板33が、青色用LEDモジュール26から散乱板25に向かう光を遮る遮光部33bを有している。このため、青色用LEDモジュール26から散乱板25に向かう光は、遮光部33bに当たって、散乱板25に届かない。従って、散乱板25と拡散板33との境界に、黒い線が生じ難くなる。よって、照明器具1の見栄えを損なわずに済む。
【0052】
なお、照明器具1は、実施の形態1の構成に限定されない。実施の形態1の構成は一例であり、他の構成を含んでもよい。照明器具1は、技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に実施する設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含む。また、実施の形態1に係る照明器具1がネットワークに接続されることによって照明システムを構成することも可能である。
【0053】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0054】
[付記1]
被取付部に取り付けられる器具本体と、
前記器具本体に取り付けられ、青色光を出射する青色用LEDモジュールと白色光を出射する白色用LEDモジュールとを有する光源ユニットと、を備え、
前記光源ユニットは、
前記青色用LEDモジュールと前記白色用LEDモジュールとを保持するフレームと、
前記フレームに対し一方向に延びるように設けられ、前記青色用LEDモジュールから出射した光を導く散乱板と、
前記散乱板側から傾斜するように設けられ、前記白色用LEDモジュールから出射した光を導くものであり、前記散乱板側の端部から前記青色用LEDモジュールに向かって延び前記青色用LEDモジュールから前記散乱板に向かう光を遮る遮光部を有する拡散板と、を有する
照明器具。
[付記2]
前記遮光部と前記フレームとの間の隙間の距離は、0mm~4mmである
付記1記載の照明器具。
[付記3]
前記拡散板の延びる方向と前記白色用LEDモジュールの照射方向との角度は、45°以下である
付記1又は2記載の照明器具。
[付記4]
前記青色用LEDモジュールを調光して空の色を再現し、前記白色用LEDモジュールを調光して日向の光を再現する調光ユニットを更に備え、
前記調光ユニットは、前記散乱板からの発光の輝度と、前記拡散板からの発光の輝度との比が、1:7.7以下となるよう前記白色用LEDモジュール又は前記青色用LEDモジュールを調光する
付記1~3のいずれか1つに記載の照明器具。
【符号の説明】
【0055】
1 照明器具、2 被取付部、3 埋め込み穴、4 吊り下げボルト、5 器具本体、6 主面、7 側面、8 ボルト孔、9 電線孔、10 光源ユニット、20 第1光源ユニット、21 背面カバー、22 制御ユニット、23 電源ユニット、24 弾性部材、25 散乱板、25a 散乱発光面、26 青色用LEDモジュール、27 フレーム、30 第2光源ユニット、31 白色用LEDモジュール、32 保護カバー、33 拡散板、33a 拡散発光面、33b 遮光部、34 化粧枠、35 フランジ部、40 Vばね、51 青空面、52 日向面、53 影面、60 隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11