(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027736
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】アジャストロック装置
(51)【国際特許分類】
F16L 3/10 20060101AFI20250220BHJP
F16B 2/10 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
F16L3/10 Z
F16B2/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132813
(22)【出願日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509080587
【氏名又は名称】株式会社モリタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 高千代
(72)【発明者】
【氏名】植村 良太
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AA05
3H023AB01
3H023AB07
3H023AC08
3H023AC11
3H023AC43
3H023AD04
3H023AD08
3H023AD18
3H023AD21
3H023AD31
3H023AD53
3H023AD55
3H023AE07
3J022DA15
3J022DA16
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC17
3J022EC22
3J022FA01
3J022FB12
3J022GA04
3J022GA16
3J022GB23
3J022GB27
(57)【要約】
【課題】少ない部品点数で全体として簡単な構造とし、径の異なるノズルやホースなどの各種の部材を同心的に安定して保持できるようにする。
【解決手段】本装置Aは、ベースA1の受け部2が各種の部材の半周面側に対して各種の部材の半径方向に変位可能に構成され、ホルダーA2の押さえ部4が各種の部材の半周面側に対して各種の部材の半径方向に変形可能に形成され、これら受け部2、押さえ部4で、各種の部材を周面の径に応じて同心的に調節して保持するようにした。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が円筒形若しくは円柱形の各種の部材又は一部に円筒状部若しくは円柱状部を有する各種の部材をその円筒形若しくは円柱形の周面又は円筒状部若しくは円柱状部の周面の径に応じて調節して所要の設置面に固定するためのアジャストロック装置であって、
前記所要の設置面に取り付け可能とする取付部を有し、前記各種の部材の前記周面の片側一方の半周面側を受ける受け部を有するベースと、
前記周面の片側他方の半周面側を押さえる押さえ部を有し、前記ベースに着脱可能に結合されるホルダーとを備え、
前記ベースに前記受け部が、前記ホルダーに前記押さえ部が、それぞれ、
前記各種の部材の前記半周面側に対して前記各種の部材の半径方向に変位可能に又は変形可能に形成され、
前記各種の部材を前記周面の径に応じて同心的に調節して保持する、
ことを特徴とするアジャストロック装置。
【請求項2】
ベースの受け部、ホルダーの押さえ部の、少なくとも一方は、各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って当接して支持可能な支持面を有する複数のパーツからなる、又は前記ベースの前記受け部、前記ホルダーの前記押さえ部の、少なくとも一方は、前記各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って巻き掛けて支持可能な帯状のパーツからなる請求項1に記載のアジャストロック装置。
【請求項3】
ベースは、断面コ字形又は断面U字形をなす取付部と、前記取付部の両側間に前記両側の長さ方向に移動可能に固定される支持部とを備え、複数のパーツは前記支持部上に前記取付部の両側方向に移動可能に固定される請求項1又は2に記載のアジャストロック装置。
【請求項4】
ホルダーは、断面コ字形又は断面U字形をなす本体部を備え、帯状のパーツは前記本体部の両端間又はその近傍間に長さを調節可能に張り架けられる請求項1又は2に記載のアジャストロック装置。
【請求項5】
ベースとホルダーは、一端がヒンジ結合されて前記ベースに対して前記ホルダーが回動可能に連結され、他端が係止穴と係止爪との係合により着脱可能に連結される請求項1に記載のアジャストロック装置。
【請求項6】
係止穴は、ベースの他端に形成され、前記係止穴の当該他端側の縁部に係止凸部を有し、係止爪は、ホルダーの他端に前記ベースに向けて回動可能にかつ前記ベースに向けてばね手段により回動付勢されて設けられ、前記ベース、前記ホルダーの他端間の衝接により前記係止穴と前記係止爪が自動的にロック可能なオートロック機構と、前記ホルダーの他端を前記ベースの他端に対して押し込むことにより、前記係止穴の前記係止凸部と前記係止爪との係合を解除可能にし、かつ前記係止穴の前記係止凸部と前記係止爪との係合を解除した状態から、前記係止爪を前記係止穴から離間方向に回動させることにより、前記係止穴と前記係止爪とのロックを解除可能にすることで、前記係止穴と前記係止爪との係合を2アクションで解除するロック解除機構とを有する請求項5に記載のアジャストロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル、ホース、パイプ、丸棒形のものなどを含む、全体が円筒形若しくは円柱形の各種の部材又は一部に円筒状部若しくは円柱状部を有する各種の部材を、車体や屋内、屋外の壁面、支持面など所要の設置面に、横置き又は縦置き又は斜め置きにして保持するのに使用するアジャストロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のアジャストロック装置として、従来、流体移送分野で、消防車、タンクローリー車、バキュームカーなどの車体にホースなどの固定に使用するホース等の固定具が特許文献1により提案されている。
【0003】
特許文献1に記載されているように、従来、消防車に口径が異なるノズルやホースを搭載するために、ノズルやホースを、上下に対向した受け材と押さえ材とからなる固定具を使用して、車体に固定しており、これらの固定具をノズルやホースそれぞれの口径に対応するものとするために、固定具毎に構成部品が異なり、部品点数が多く、構造が複雑になっていた。
【0004】
そこで、この文献1のホース等の固定具では、固定台と、押さえ材と、受け材とからなる。固定台は、上面側を谷状に凹ませてほぼ凹状の枠状に折曲して形成される。押さえ材は、中央部を上方へ半径20~50mmの曲率の山形状に形成される。この押さえ部材は固定台上に、一端部間に蝶番が取り付けられて、押さえ材を上方方向に旋回可能に連結され、固定台の他端部にフックを取り付けられるとともに押さえ材の他端部にワンタッチ式の係止具が取り付けられて、他端部間が係脱可能になっている。受け材は、中央部が谷状に凹まされてその両側が押さえ材の両側とほぼ対称状の斜め状の受け面になっている。受け材は固定台の内側に押さえ材に対向して支持される。この場合、受け材の中央部に上下調節棒が下方側に突出して設けられ、この上下調節棒が固定台の谷状に凹まされた中央部に開孔した挿入孔に挿入されて下方側に突き出され、六角ナットの締付具により所要の高さに固定される。さらに、この固定具は、固定台が、その下側が両側に摺動ガイドをそれぞれ設けたコ字を横転した形状の高さ調節台に嵌入されて、摺動ガイドに沿って上下方向に摺動自在に接合され、所要の高さで調節ねじにより固定される。なお、押さえ材、受け材は、ウレタンゴムの合成ゴムの軟質材の漬浸層に漬浸されてウレタンゴムの合成ゴムの軟質材が1mmの厚さに塗着して被覆され、すべり防止、緩衝、損傷防止を図っている。
【0005】
このように押さえ材と受け材との間隔を調節可能に、受け材を上下に移動可能に固定台に取り付けたことで、大径のホースに対して受け材を下方に移動して固定し、小径のホースに対して受け材を上方に移動して固定し、消防車の口径の異なるノズルやホースであっても、受け材を上下に移動調節して挿入して固定することができる。この場合、受け材と押さえ材の間に50~85mm等の口径のホースやノズルを固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のホース等の固定具では、次のような問題がある。
(1)この固定具では、構造的に、押さえ部材と受け材の他に固定台、さらに調節台を必要とし、全体として部品点数が多く、構造が複雑である。また、受け材が固定台上で上下に移動可能に取り付けられ、さらに固定台が調節台上で上下に移動可能に取り付けられるので、従来の固定具に比べて、全体が大型化せざるを得ない。
(2)この固定具では、受け材は中央部が谷状で両側が斜め(斜め上方)に延び、これら両側が受け面になっていて、押さえ材は、中央部が山形状で両側が斜め(斜め下方)に延び、これら両側が押さえ面になっている。このため、これら受け面、押さえ面とノズルやホースなどの断面円形の周面との接触面積が小さくならざるを得ず、このような受け材と押さえ材ではノズルやホースなどを安定的に保持することが難しい。
(3)この固定具では、受け材、押さえ材に、ウレタンゴムの合成ゴムの軟質材の漬浸層に漬浸してウレタンゴムの合成ゴムの軟質材を1mmの厚さに塗着して被覆し、すべり防止、緩衝、損傷防止を図るものの、押さえ材、受け材に別途ウレタンゴムの合成ゴムの軟質材を必要とし、固定具の構造がさらに複雑になり、受け材、押さえ材にこの軟質材を1mmの厚さに塗着するための作業がまた必要で、製造上も煩雑にならざるを得ない。また、このような軟質材では、厚さが少なく、弾性、緩衝性が弱く、すべり防止、緩衝、損傷防止などの各機能性を必要十分に得ることが難しい。
(4)この固定具では、押さえ材と固定台とを、押さえ材の他端部のワンタッチ式の係止具と固定台の他端部のフックとの係脱により、開閉するので、ワンアクションの操作で、操作性が良いとみられるものの、他面で、このような係止具とフックとの係合では、これら係止具とフックとの係合位置に外部から衝撃を加えられたときに、係止具とフックとの係合が外れるおそれがあり、高度の安全性を確保することが難しい。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種のアジャストロック装置において、少ない部品点数で全体として簡単でしかもコンパクトな構造とし、全体が円筒形若しくは円柱形の各種の部材又は一部に円筒状部若しくは円柱状部を有する径の異なる各種の部材を同心的に安定的に保持できるようにすること、併せて、各種の部材の滑り防止、損傷防止を図ること、さらに、ロック及びロック解除の簡易な操作と外部からの衝撃に対して強く信頼性の高いロック性能を併せて実現すること、などを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、
全体が円筒形若しくは円柱形の各種の部材又は一部に円筒状部若しくは円柱状部を有する各種の部材をその円筒形若しくは円柱形の周面又は円筒状部若しくは円柱状部の周面の径に応じて調節して所要の設置面に固定するためのアジャストロック装置であって、
前記所要の設置面に取り付け可能とする取付部を有し、前記各種の部材の前記周面の片側一方の半周面側を受ける受け部を有するベースと、
前記周面の片側他方の半周面側を押さえる押さえ部を有し、前記ベースに着脱可能に結合されるホルダーとを備え、
前記ベースに前記受け部が、前記ホルダーに前記押さえ部が、それぞれ、
前記各種の部材の前記半周面側に対して前記各種の部材の半径方向に変位可能に又は変形可能に形成され、
前記各種の部材を前記周面の径に応じて同心的に調節して保持する、
ことを要旨とする。
【0010】
また、このアジャストロック装置は各部が次のように具体化されることが好ましい。
(1)ベースの受け部、ホルダーの押さえ部の、少なくとも一方は、各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って当接して支持可能な支持面を有する複数のパーツからなる、又は前記ベースの前記受け部、前記ホルダーの前記押さえ部の、少なくとも一方は、前記各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って巻き掛けて支持可能な帯状のパーツからなる。
(2)ベースは、断面コ字形又は断面U字形をなす取付部と、前記取付部の両側間に前記両側の長さ方向に移動可能に固定される支持部とを備え、複数のパーツは前記支持部上に前記取付部の両側方向に移動可能に固定される。
(3)ホルダーは、断面コ字形又は断面U字形をなす本体部を備え、帯状のパーツは前記本体部の両端間又はその近傍間に長さを調節可能に張り架けられる。
(4)ベースとホルダーは、一端がヒンジ結合されて前記ベースに対して前記ホルダーが回動可能に連結され、他端が係止穴と係止爪との係合により着脱可能に連結される。
特に、係止穴は、ベースの他端に形成され、前記係止穴の当該他端側の縁部に係止凸部を有し、係止爪は、ホルダーの他端に前記ベースに向けて回動可能にかつ前記ベースに向けてばね手段により回動付勢されて設けられ、前記ベース、前記ホルダーの他端間の衝接により前記係止穴と前記係止爪が自動的にロック可能なオートロック機構と、前記ホルダーの他端を前記ベースの他端に対して押し込むことにより、前記係止穴の前記係止凸部と前記係止爪との係合を解除可能にし、かつ前記係止穴の前記係止凸部と前記係止爪との係合を解除した状態から、前記係止爪を前記係止穴から離間方向に回動させることにより、前記係止穴と前記係止爪とのロックを解除可能にすることで、前記係止穴と前記係止爪との係合を2アクションで解除するロック解除機構とを有することが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアジャストロック装置によれば、上記の構成により、ベースの受け部、ホルダーの押さえ部が、それぞれ、各種の部材の半周面側に対して各種の部材の半径方向に変位可能に又は変形可能で、これら受け部、押さえ部で、各種の部材を周面の径に応じて同心的に調節して保持するようにしたので、少ない部品点数で、全体として簡単でしかもコンパクトな構造とすることができ、全体が円筒形若しくは円柱形の各種の部材又は一部に円筒状部若しくは円柱状部を有する径の異なる各種の部材を同心的に安定的に保持することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【0012】
また、本発明のアジャストロック装置によれば、上記(1)-(4)の各構成により、次のような本発明独自の格別な効果を奏する。
【0013】
上記(1)の構成により、ベース、ホルダーを少ない部品点数で簡単な構造にすることができる。また、上記(1)の構成により、ベースの受け部、ホルダーの押さえ部が各種の部材の周面に対してその周面の断面円弧状の面に沿って支持するので、径の異なる各種の部材を同心的に安定的に保持することができる。なお、複数のパーツを弾性材や緩衝材により形成し、帯状の部材を弾性材により形成することで、少ない部品点数の簡単な構造で、各種の部材の滑り防止、損傷防止に資することができる。
【0014】
上記(2)の構成により、ベースを少ない部品点数で簡単な構造にすることができる。また、上記(2)の構成により、ベースの受け部が各種の部材の周面に対してその周面の断面円弧状の面に沿って支持できるので、径の異なる各種の部材を同心的に安定的に保持することができる。
【0015】
上記(3)の構成により、ホルダーを少ない部品点数で簡単な構造にすることができる。また、上記(3)の構成により、ホルダーの押さえ部が各種の部材の周面に対してその周面の断面円弧状の面に沿って支持できるので、径の異なる各種の部材を同心的に安定的に保持することができる。
【0016】
上記(4)の構成により、ロック及びロック解除の簡易な操作と外部からの衝撃に対して強く安全性の高いロック性能を併せて実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るアジャストロック装置の全体構成を示す図(斜視図)
【
図2】同装置の特にベースの取付部の構成を示す図(斜視図)
【
図3】同装置の特にベースの支持部の構成を示す図(斜視図)
【
図4】同装置の特にベースの受け部(ブロック形のパーツ)の構成を示す図(斜視図)
【
図5】同装置の特にホルダーの本体部の構成を示す図((a)は斜視図(b)は断面図)
【
図6】同装置の特にホルダーのバックルの構成を示す図(斜視図)
【
図7】同装置の特にホルダーの押さえ部(帯状のパーツ)の構成を示す図(斜視図)
【
図8】同装置の特にホルダーの係止爪の構成を示す図(斜視図)
【
図9】同装置の特にホルダーの係止部材の構成を示す図(斜視図)
【
図11】同装置の特にホルダーの押さえ部(帯状のパーツ)の他の取付形式を示す図(断面図)
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1はアジャストロック装置の全体構成を示している。
図2乃至
図9はそれぞれ、アジャストロック装置の要部の構成を示している。
【0019】
このアジャストロック装置A(以下、本装置Aという。)は、ノズル、ホース、パイプ、丸棒形のものなどを含む、中空、中実を問わず、全体が円筒形若しくは円柱形の各種の部材又は一部に円筒状部若しくは円柱状部を有する各種の部材をその円筒形若しくは円柱形の周面又は円筒状部若しくは円柱状部の周面の径に応じて調節して、消防車その他の流体移送分野の車両の車体や屋内、屋外の壁面、支持面などを含む、所要の設置面に固定するためのものである。
図1に示すように、本装置Aは、ベースA1と、ホルダーA2とを備えて構成される。
【0020】
図1に示すように、ベースA1は、所要の設置面に取り付け可能とする取付部1を有し、各種の部材の周面の片側一方の半周面側を受ける受け部2を有する。この受け部2は、ベースA1に各種の部材の半周面側に対して各種の部材の半径方向に変位可能に又は変形可能に形成される。ホルダーA2は、各種の部材の周面の片側他方の半周面側を押さえる押さえ部4を有する。この押さえ部4は、ホルダーA2に各種の部材の半周面側に対して各種の部材の半径方向に変位可能に又は変形可能に形成される。ベースA1にこのホルダーA2が着脱可能に結合される。
このようにして本装置Aは、受け部2と押さえ部4とにより、各種の部材を周面の径に応じて同心的に調節して保持するようになっている。
【0021】
本装置Aにおいて、ベースA1の受け部2、ホルダーA2の押さえ部4の、少なくとも一方は、各種の部材の周面の半周面側にこの半周面側の断面円弧状の面に沿って当接して支持可能な支持面211を有する複数のパーツ21からなる、又はベースA1の受け部2、ホルダーA2の押さえ部4の、少なくとも一方は、各種の部材の周面の半周面側にこの半周面側の断面円弧状の面に沿って巻き掛けて支持可能な帯状のパーツ41からなる。
【0022】
図1に示すように、ベースA1は、断面コ字形又は断面U字形をなす取付部1と、取付部1の両側間に両側の長さ方向に移動可能に固定される支持部11とを備える。ベースA1の受け部2は、各種の部材の周面の半周面側にこの半周面側の断面円弧状の面に沿って当接して支持可能な支持面211を有する複数のパーツ21からなり、複数のパーツ21が支持部11上に取付部1の両側方向に移動可能に固定される。
【0023】
この場合、取付部1は、
図2に示すように、細長いステンレス鋼などの金属板を断面コ字形に折り曲げ加工され、全体が略コ字形に形成されてなる。
【0024】
このコ字形の中央部分は取付部1を所要の設置面に取り付け固定するための取付部固定部101で、この取付部固定部101にねじ挿通孔102が一つ又は複数穿たれる。このベースA1では、ねじ挿通孔102が2つ、取付部固定部101の両端側に形成される。かくして、取付部1は、取付部固定部101が所要の設置面に設置され、この取付部固定部101の各ねじ挿通孔102から所要の設置面にねじ(図示省略)が通され、ナット(図示省略)に締結されて固定され、所要の設置面に取り付けられる(取付部1の取り付け方(イ))。
【0025】
このコ字形の両側部分は支持部11を移動可能に設置固定するための支持部設置部103で、取付部固定部101側の一端近傍から他端方向(各支持部設置部103の長さ方向)に所定の間隔で複数のねじ挿通孔104が穿たれる。このベースA1では、複数のねじ挿通孔104は支持部設置部103の幅方向に2つずつ、これが各支持部設置部103の長さ方向に2組ずつ設けられる。また、これら支持部設置部103の両端(両先端)の一方に、後述するホルダーA2を連結するためのヒンジ5の一部をなすヒンジ孔50aが形成され、他方に後述するホルダーA2を着脱可能にロックするためのロック機構6の一部をなす係止穴60が形成される。この場合、取付部1の両側の一方、つまり、一方の支持部設置部103は先端が少し延長されて延長部105を有し、この延長部105の両側縁に外側方向(換言すると、他方の支持部設置部103とは反対方向)に直角に一対の軸受106が延設され、これらの軸受106にヒンジ孔50aが対称的に穿たれる。また、この場合、取付部1の両側の他方、すなわち、他方の支持部設置部103には先端に近接して、言い換えれば、先端に後述する係止部材の取付部107が設けられてこれに隣接して、係止穴60が後述する係止爪61(
図8参照)が係止穴60内で係止穴60の長さ方向に進退可能に所定の長さにして穿たれる。
【0026】
これら支持部設置部103間に固定される支持部11は、
図3に示すように、細長いステンレス鋼などの金属板により略コ字形に形成されてなる。このコ字形の中央部分がベースA1の受け部2をなす複数のパーツ21を取り付け固定するためのパーツ固定部111で、このパーツ固定部111にねじ挿通孔110がこの中央部分の長さ方向に長い長孔状に一つ又は複数穿たれる。このベースA1では、長孔状のねじ挿通孔110が2つ、パーツ固定部111の両端側に形成される。また、このコ字形の両側部分が支持部11を取付部1の両側、各支持部設置部103間に移動可能に固定するための支持部固定部112で、その長さ方向略中央に複数のねじ孔113が形成される。このベースA1では、複数のねじ孔113は各支持部固定部112の幅方向に2つずつ設けられる。かくして、支持部11は、
図1に示すように、パーツ固定部111が取付部1の両側、各支持部設置部103間に架け渡しされ、各支持部固定部112の各ねじ孔113を各支持部設置部103の長さ方向いずれか一方の各ねじ挿通孔104に合わせられて、各支持部設置部103の外側から各ねじ挿通孔104にねじS1(
図10参照)が挿通され、各支持部固定部112の各ねじ孔113に締め込まれて、各支持部設置部103間に固定される。
【0027】
この場合、ベースA1の受け部2は、2つのブロック形のパーツ21からなる。このベースA1の場合、各パーツ21は、
図4に示すように、エチレンプロピレンゴムなどの弾性、緩衝性を有する合成ゴムにより、側面断面の上部側が直角三角形に近似する略台形で下部側が長方形のブロック状の複合形状に形成されて、上部側に各種の部材の周面の断面円弧形状の面に当接可能に比較的広い面の傾斜面を有し、これが各種の部材の周面に対する支持面211になっている。なお、この支持面211は各種の部材の周面の断面円弧形状に対応する断面円弧状に形成されてもよい。各パーツ21の支持面211の略中央には、各パーツ21の底部に向けて底部に対して直角にねじ挿通孔210が穿たれる。このような各パーツ21が、
図1に示すように、支持部11上に取付部1の両側方向に移動可能に固定される。なお、各ねじ挿通孔210は各パーツ21の上部側がねじS2(
図10参照)の頭部を挿通可能に大径に、各パーツ21の下部側がねじS2(
図10参照)の軸部を挿通可能に小径になっている。かくして、各パーツ21は、
図1に示すように、ベースA1の支持部11上に配置され、各パーツ21の各ねじ挿通孔210からねじS2が貫通され、支持部11の長孔状の各ねじ挿通孔110に通されて、支持部11上でその長さ方向に移動可能に配置され、各ねじS2にナットN2(
図10参照)を締結されて、各パーツ21が支持部11上に固定される。
【0028】
図1に示すように、ホルダーA2は、断面コ字形又は断面U字形をなす本体部3を備える。ホルダーA2の押さえ部4は、各種の部材の周面の半周面側にこの半周面側の断面円弧状の面に沿って巻き掛けて支持可能な帯状のパーツ41からなり、帯状のパーツ41が本体部3の両端間又はその近傍間に長さを調節可能に張り架けられる。
【0029】
この場合、本体部3は、
図5に示すように、アルミダイカストなどの金属材により断面コ字形に形成され、全体として略U字形に形成されてなる。この略U字形の両端(両先端)の一方に、既述のベースA1に連結するためのヒンジ5の一部をなすヒンジ孔50bが形成され、他方にホルダーA2を着脱可能にロックするためのロック機構6の一部をなす係止爪取付部301が設けられる。
【0030】
この本体部3の場合、
図5に示すように、本体部3の一端でコ字形の両側にヒンジ孔50bが対称的に穿たれる。なお、この一端側の近傍でU字形の中央部分の一端から角柱状に延び、先端面の幅方向中央に断面コ字形の溝311が後述する帯状のパーツ41の他端が挿通可能に形成され、併せて、この溝311の両側にそれぞれ、ねじ孔(図示省略)が形成されて、この先端面にバックル取付部31が設けられる。このバックル取付部31に、帯状のパーツ41の長さ調節用のバックル32(
図6参照)が取り付けられる。
図6に示すように、バックル32は、四角形の平板状のステンレス鋼などの金属板からなり、本体部3の内方に向けられる一端縁に係止溝321が細長のコ字形に形成され、この一端縁と他端縁との間に係止溝321から所定の間隔だけ離間して係止孔322が係止溝321と同じ大きさで細長の四角形に形成される。併せて、この係止孔322の両側にそれぞれ、ねじ挿通孔323が穿たれる。これら係止溝321、係止孔322は後述するホルダーA2の押さえ部4の他端に設けられる複数の係止突起413のうち相互に隣り合う2つの係止突起413が係合可能に形成され、このバックル32は、バックル取付部31に配置され、両側のねじ挿通孔323にねじ(図示省略)が通され、バックル取付部31の各ねじ孔に締結されて固定される。
図5に示すように、本体部3の他端は少し延長されて延長部33を有し、この延長部33のコ字形の中央部分が先端を開放されるコ字形の切欠部330が形成され、この本体部3の他端、すなわち、延長部33の基端部でコ字形の両側部分に、軸孔340が対称的に穿たれて、これら切欠部330、軸孔340により係止爪取付部34が設けられる。
【0031】
この場合、帯状のパーツ41は、
図7に示すように、エチレンプロピレンゴムなどの弾性、緩衝性を有する合成ゴムにより、中央が細長い長方形のベルト状に形成されて各種の部材の周面に対する支持面411になっていて、一端がリング状に形成されて取付部410をなし、他端が細幅に延び、一方の面に複数の係止突起413が小さい四角形の平板状に他端の長さ方向に並列に形成されてなる係止部412が設けられる。この帯状のパーツ41は、
図1に示すように、一端の取付部410がホルダーA2の本体部3の一端の各ヒンジ孔50a間に通されるヒンジピン51を挿通されて、一端が本体部3の一端に固定される。この帯状のパーツ41の他端は、ホルダーA2の本体部3の他端側のバックル取付部31の溝311(
図5参照)に通され、他端の係止部412が相互に隣り合う各係止突起413をバックル32の係止溝321、係止孔322(
図6参照)に嵌合係止されて、両端間の長さを調節可能に本体部3の両端間に掛け渡しされる。
【0032】
図1に示すように、ベースA1とホルダーA2は、一端がヒンジ結合されて、ベースA1に対してホルダーA2が回動可能に連結される。
【0033】
この場合、このベースA1の一端に外側からホルダーA2の一端が被せられ、両者の両側のヒンジ孔50a、50b(
図2、
図5参照)間にコイルスプリング52(
図10参照)を介してヒンジピン51が挿通されて、ベースA1の一端とホルダーA2の一端が連結され、ベースA1上でホルダーA2が回動可能に、かつベースA1の他端に対してホルダーA2の他端が離間方向に回動付勢されて組み付けられる。
【0034】
図1に示すように、ベースA1とホルダーA2は、他端が係止穴60と係止爪61との係脱により着脱可能に連結される。
【0035】
この場合、係止穴60は、
図1、
図2に示すように、ベースA1の他端に形成され、係止穴60の当該他端側の縁部に係止凸部60Tを有する。係止爪61は、
図1に示すように、ホルダーA2の他端にベースA1に向けて回動可能にかつベースA1に向けてばね手段により回動付勢されて設けられ、ベースA1、ホルダーA2の他端間の衝接により係止穴60と係止爪61が自動的にロック可能な1アクション式のオートロック機構6Aと、ホルダーA2の他端をベースA1の他端に対して押し込むことにより、係止穴60の係止凸部60Tと係止爪61との係合を解除可能に、かつ係止穴60の係止凸部60Tと係止爪61との係合を解除した状態から、係止爪61を係止穴60から離間方向に回動させることにより、係止穴60と係止爪61とのロックを解除可能に、係止穴60と係止爪61との係合を2アクションで解除するロック解除機構6Bとを有する。
【0036】
係止穴60は、
図2に示すように、他方の支持部設置部103の先端に近接して設けられる。この係止穴60は、支持部設置部103先端に後述する係止部材の取付部107が設けられてこれに隣接して穿たれる。この係止穴60は後述する係止爪61が係止穴60内で係止穴60の長さ方向に進退可能に所定の長さに形成される。係止部材の取付部107には幅方向に2つねじ孔602が設けられる。
図9に示すように、係止部材603は、ステンレス鋼などの金属板により、平面視四角形の略平板状で側面視略台形に形成され、略台形の面の一端が後述する係止爪61がこの係止爪61を乗り上げ案内可能な斜めの乗り上げガイド面604、他端が後述する係止爪61がこの係止爪61を係止穴60に落とし込み案内可能な斜めの落とし込みガイド面605で、この落とし込みガイド面605の反対側の面は係止爪61のための係止面606で、この他端が係止凸部60Tになっている。また、これら一端と他端との間の中間部は固定部607で、この場合、固定部607の幅方向に2つ、ねじ挿通孔608を有する。かくして、係止部材603は、固定部607を係止部材の取付部107に配置され、固定部607の各ねじ挿通孔608から挿通された各ねじ(図示省略)を係止部材の取付部107の各ねじ孔602に締結されて固定され、この係止部材603の落とし込みガイド605、係止面606からなる係止凸部60Tが係止穴60の一端縁部から突出される。これら係止穴60、係止部材603により、ベースA1、ホルダーA2の他端間の衝接により係止穴60と係止爪61が自動的にロック可能な1アクション式のオートロック機構6A、及びホルダーA2の他端をベースA1の他端に対して押し込むことにより、係止穴60の係止凸部60Tと係止爪61との係合を解除可能に、かつ係止穴60の係止凸部60Tと係止爪61との係合を解除した状態から、係止爪61を係止穴60から離間方向(外側方向)に回動させることにより、係止穴60と係止爪61とのロックを解除可能に、係止穴60と係止爪61との係合を2アクションで解除する2アクション式のロック解除機構6Bの一部をなす。
【0037】
係止爪61は、
図8に示すように、ホルダーA2(本体部3)の他端延長部33の切欠部330(
図5参照)に嵌合可能な操作部611と、操作部611の両側から延び、操作部611とは反対側の端部に取付孔613を有する一対のアーム部612と、一対のアーム部612間に形成され、各アーム部612間を連結する連結部614と、連結部614の端部で操作部611の延長上に突出される爪部615とからなる。この場合、係止爪61は、アルミダイカストなどの金属材により一体に形成される。操作部611はホルダーA2(本体部3)の他端延長部33の切欠部330に嵌合可能に全体が直方体状に形成され、ホルダーA2の他端面に対応する先端面に指先が掛かるように係止凹部610を形成される。一対のアーム部612は操作部611の後端面の両側から細長い長方形状に延び、その端部がリング形状に形成されて、取付孔613が設けられる。連結部614は操作部611から各アーム部612の両縁部間で端部のリング形状の手前まで平板状に形成される。爪部615は、係止穴60の一端縁部から突出される係止凸部60Tに沿って係合可能に断面L字形に形成される。かくして、係止爪61は各アーム部612端部の各取付孔613をホルダーA2の他端延長部33両側の各軸孔340に合わせられ、取付ピン341(
図1参照)が各軸孔340の外側から係止爪61の各取付孔613にコイルスプリング(図示省略)を介して通されて、ホルダーA2の他端延長部33に回動可能に、かつホルダーA2の内方に向けて回動付勢されて取り付けられる。この係止爪61と、既述の係止穴60、係止部材603とにより、ベースA1、ホルダーA2の他端間の衝接により係止穴60と係止爪61が自動的にロック可能な1アクション式のオートロック機構6A、及びホルダーA2の他端をベースA1の他端に対して押し込むことにより、係止穴60の係止凸部60Tと係止爪61との係合を解除可能に、かつ係止穴60の係止凸部60Tと係止爪61との係合を解除した状態から、係止爪61を係止穴60から離間方向に回動させることにより、係止穴60と係止爪61とのロックを解除可能に、係止穴60と係止爪61との係合を2アクションで解除する2アクション式のロック解除機構60Bとなす。
【0038】
このようにして本装置Aは、帯状のパーツ41の長さの調節と、支持部11の取付部1の両側、各支持部設置部103間での各支持部設置部103の長さ方向の位置及び2つのブロック形のパーツ21の支持部11のパーツ固定部111上での各支持部固定部112方向(言い換えれば、支持部11の長さ方向)の位置の調節とにより、帯状のパーツ41と2つのブロック形のパーツ21とを各種の部材の周面の径に応じて同心的に調節して、各種の部材を保持するようになっている。
【0039】
図10に本装置Aの使用例を示している。この使用例では、本装置Aが、例えば、消防車の車体に取り付けられて、消防車の車体に、管鎗と称せられるノズルが、本装置Aを介して、略水平に支持されて搭載される場合を例示する。この場合、本装置Aは、例えば、大径のノズルの取付位置と、小径のノズルの取付位置とに、それぞれ、一つずつ取り付けられる。また、この場合、消防車の車体には、本装置Aとともに、ノズルの後端部を支持するための各種形式の支持部材が取り付けられて、これら本装置A、支持部材により、ノズルは少なくとも2点支持されて、車体に搭載される。なお、ここでは、各種形式の支持部材に既知のものが使用されるものとし、支持部材についての説明は省略する。
【0040】
図10に示すように、本装置Aは、大径のノズル、小径のノズルの取付位置毎に、取り付けられる。この場合、本装置Aは、各ノズルの取付位置において、既述の取り付け方(段落0024参照)により、ベースA1の取付部固定部101が車体にねじ(図示省略)を介して固定され、ベースA1の一端が下向きに、ベースA1の他端が上向きに、それぞれ配置されて、車体に取り付けられる。一方、ホルダーA2は、ホルダーA2の下向きの一端がベースA1の下向きの一端にヒンジ5を介して結合され、ホルダーA2の上向きの他端、ベースA1の上向きの他端に、ホルダーA2の係止爪61(
図8参照)とベースA1の係止穴60(
図2参照)との係脱によりロック可能にかつロック解除可能に連結されて、ホルダーA2は、ベースA1の正面上に対向配置可能に、かつベースA1の正面から手前側に下方に向けて回動可能で、ベースA1に対して開閉可能になっている。
【0041】
本装置Aの使用に当たり、本装置Aを大径のノズルの保持に用いる場合は、
図10中、実線で示すように、帯状のパーツ41は、他端の係止部412がホルダーA2の本体部3の他端側のバックル取付部31の溝311(
図5参照)に通されて、他端の相互に隣り合う各係止突起413のうち、最も他端(端末)側にある相互に隣り合う各係止突起413がバックル32の係止溝321、係止孔322に嵌合係止され、両端間の長さが長く調節されて、ホルダーA2の本体部3の両端間に掛け渡しされる。またこの場合、
図10中、実線で示すように、支持部11が、大径のノズルの径に応じて、各支持部固定部112の各ねじ孔113が取付部1の両側、各支持部設置部103間で、取付部固定部101に近い各ねじ挿通孔104に合わせられ、各支持部設置部103の各ねじ挿通孔104からねじS1が挿入、挿通されて、各支持部固定部112の各ねじ孔113に締結され、パーツ固定部111が取付部1の両側、各支持部設置部103間で帯状のパーツ41との間の距離を長く調節されて、各支持部設置部103間に架け渡し固定される。そして、
図10中、実線で示すように、各ブロック形のパーツ21は、各パーツ固定部111上で両端に配置され、各ブロック形のパーツ21の各ねじ挿通孔210から挿入挿通された各ねじS2がパーツ固定部111の各長孔状のねじ挿通孔110に通されてナットN2に締結され、パーツ固定部111の両端に各パーツ21間の距離を長く調節されて固定される。
【0042】
このようにしてベースA1に対してホルダーA2を開いた状態から、ベースA1の受け部2上に大径のノズルの周面を当接させて、この状態でベースA1にホルダーA2を閉じ、ベースA1の他端の係止穴60(
図2参照)とホルダーA2の他端の係止爪61(
図8参照)とを係合させて、ロックすることで、ベースA1の受け部2とホルダーA2の押さえ部4との間に大径のノズルを挟持して保持することができる。
【0043】
本装置Aの使用に当たり、本装置Aを小径のノズルの保持に用いる場合は、
図10中、二点鎖線で示すように、帯状のパーツ41は、他端がホルダーA2の本体部3の他端側のバックル取付部31の溝311(
図5参照)に通されて、他端の相互に隣り合う各係止突起413のうち、最も一端(端末とは反対の端)側にある相互に隣り合う各係止突起413がバックル32の係止溝321、係止孔322に嵌合係止され、両端間の長さが短く調節されて、ホルダーA2の本体部3の両端間に掛け渡しされる。またこの場合、支持部11が、小径のノズルの径に応じて、各支持部固定部112の各ねじ孔113が取付部1の両側、各支持部設置部103間で、取付部固定部101に遠い各ねじ挿通孔104に合わせられ、各支持部設置部103の各ねじ挿通孔104からねじS1が挿入、挿通されて、各支持部固定部112の各ねじ孔113に締結され、パーツ固定部111が取付部1の両側、各支持部設置部103間で帯状のパーツ41との間の距離を短く調節されて、各支持部設置部103間に架け渡し固定される。そして、
図10中、2点鎖線で示すように、各ブロック形のパーツ21は、各パーツ固定部111上で中央に寄せて配置され、各ブロック形のパーツ21の各ねじ挿通孔210から挿入挿通された各ねじS2がパーツ固定部111の各長孔状のねじ挿通孔110を通されてナットN2に締結され、パーツ固定部111の中央付近に各パーツ21間の距離を短く調節されて固定される。
【0044】
このようにしてベースA1に対してホルダーA2を開いた状態から、ベースA1の受け部2上に小径のノズルの周面を当接させて、この状態でベースA1にホルダーA2を閉じ、ベースA1の他端の係止穴60(
図2参照)とホルダーA2の他端の係止爪61(
図8参照)とを係合させて、ロックすることで、ベースA4の受け部2とホルダーA2の押さえ部4との間に小径のノズルを挟持して保持することができる。
【0045】
なお、本装置Aの使用に当たり、本装置Aを中径のノズルの保持に用いる場合は、押さえ部4は、帯状のパーツ41が、同様にして、両端間の長さを中間の長さに調節されて、ホルダーA2の本体部3の両端間に掛け渡しされ、支持部11が、同様にして、パーツ固定部111が取付部1の両側、各支持部設置部103間で帯状のパーツ41との間の距離を中間の距離に調節されて、各支持部設置部103間に架け渡し固定される。そして、各ブロック形のパーツ21が、同様にして、パーツ固定部111の中央と両端との中間に調節されて固定される。このようにして、同様に、ベースA1の受け部2とホルダーA2の押さえ部4との間に中径のノズルを挟持して保持することができる。
【0046】
このように本装置Aにより各ノズルが保持される間、各ノズルが大径か小径か又は中径かに関わらず、ホルダーA2がベースA1に対して閉じている状態では、各ノズルの周面がベースA1の受け部2とホルダーA2の押さえ部4とにより保持されており、ベースA1の受け部2は弾性、緩衝性を有するブロック形のパーツ21で、ホルダーA2の押さえ部4は弾性、緩衝性を有する帯状のパーツ41になっているので、受け部2、押さえ部4が各ノズルの周面に弾性的に密着し、本装置Aに外部から大きな衝撃が加えられても、各ノズルは受け部2、押さえ部4により安定的に保持されて、バタついたり脱落したりすることがない。また、受け部2、押さえ部4の弾性作用、緩衝作用により保護されて、各ノズルの損傷が防止される。
【0047】
また、ホルダーA2がベースA1に対して閉じている状態では、ホルダーA2の他端の係止爪61(
図8参照)がベースA1の他端の係止穴60(
図2参照)上にベースA1の他端の係止部材の取付部107から突出される係止部材603の係止凸部60Tに係止され、さらに、ホルダーA2とベースA1との間のヒンジ5のコイルスプリング52の付勢力により、常態としてホルダーA2の他端がベースA1の他端に対して開く方向に回動付勢されるので、ホルダーA2の他端をベースA1の他端に対して押し込むことにより、係止穴60の係止凸部60Tと係止爪61との係合を解除して、かつ係止穴60の係止凸部60Tと係止爪61との係合を解除した状態から、係止爪61を係止穴60から離間方向に回動させる2アクションを取らない限り、係止穴60と係止爪61とのロックは解除されない。しかして、ベースA1の係止穴60とホルダーA2の係止爪61との係合位置に外部から衝撃が加えられても、既述の2アクションと同様な作用が同時に生じることはなく又は極めて生じにくいので、ベースA1の係止穴60とホルダーA2の係止爪61との係合が解除されることはない。したがって、ベースA1とホルダーA2との間で各ノズルは離脱されることなく確実に保持され、各ノズルを消防車の車体に脱落することなく確実に搭載することができる。
【0048】
以上説明したように、本装置Aでは、ベースA1の受け部2がノズルなど各種の部材の半周面側に対して各種の部材の半径方向に変位可能に構成され、ホルダーA2の押さえ部4が各種の部材の半周面側に対して各種の部材の半径方向に変形可能に形成され、これら受け部2、押さえ部4で、各種の部材を周面の径に応じて同心的に調節して保持するようにしたので、少ない部品点数で、全体として簡単でしかもコンパクトな構造とすることができ、径の異なる各種の部材を同心的に安定的に保持することができる。
【0049】
また、本装置Aによれば、さらに次の各構成により、次のような顕著な利点を有する。
【0050】
本装置Aでは、ベースA1は、コ字形をなす取付部1と、取付部1の両側間に両側の長さ方向に移動可能に固定される支持部11とを備え、複数のパーツ21が支持部11上に取付部1の両側方向に移動可能に固定される。
かかる構成により、ベースA1を少ない部品点数で簡単な構造にすることができる。また、かかる構成により、ベースA1の受け部2で各種の部材の周面に対してその周面の断面円弧状の面に沿って支持できるので、径の異なる各種の部材を同心的に安定的に保持することができる。
【0051】
本装置Aでは、ホルダーA2は、U字形をなす本体部3を備え、帯状のパーツ41は本体部3の両端間又はその近傍間に長さを調節可能に張り架けられる。
かかる構成により、ホルダーA2を少ない部品点数で簡単な構造にすることができる。また、かかる構成により、ホルダーA2の押さえ部4で各種の部材の周面に対してその周面の断面円弧状の面に沿って支持できるので、径の異なる各種の部材を同心的に安定的に保持することができる。
【0052】
本装置Aでは、ベースA1とホルダーA2は、一端がヒンジ結合されてベースA1に対してホルダーA2が回動可能に連結され、他端が係止穴60と係止爪61との係合により着脱可能に連結される。特に、係止穴60は、ベースA1の他端に形成され、係止穴60の当該他端側の縁部に係止凸部60Tを有し、係止爪61は、ホルダーA2の他端にベースA1に向けて回動可能にかつコイルスプリングによりベースA1に向けて回動付勢されて設けられ、ベースA1、ホルダーA2の他端間の衝接により係止穴60と係止爪61が自動的にロック可能な1アクション式のオートロック機構6Aと、ホルダーA2の他端をベースA1の他端に対して押し込むことにより、係止穴60の係止凸部60Tと係止爪61との係合を解除可能に、かつ係止穴60の係止凸部60Tと係止爪61との係合を解除した状態から、係止爪61を係止穴60から離間方向に回動させることにより、係止穴60と係止爪61とのロックを解除可能に、係止穴60と係止爪61との係合を2アクションで解除する2アクション式のロック解除機構6Bとを有する。
かかる構成により、ロック及びロック解除の簡易な操作と外部からの衝撃に対して強く安全性の高いロック性能を併せて実現することができる。
【0053】
本装置Aでは、受け部2(複数のブロック形のパーツ21)、押さえ部4(帯状のパーツ41)は弾性材や緩衝材により形成される。
かかる構造により、少ない部品点数の簡単な構造で、各種の部材の滑り防止、損傷防止を図ることができる。
【0054】
なお、この実施の形態では、ベースA1に受け部2を、ホルダーA2に押さえ部4を、それぞれ、ノズルなどの各種の部材の半周面側に対して各種の部材の半径方向に変位可能に又は変形可能に形成するために、ベースA1の受け部2を、各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って当接して支持可能な支持面を有する2つのパーツ21で構成し、ホルダーA2の押さえ部4を、各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って巻き掛けて支持可能な帯状のパーツ41で形成したが、ベースの受け部を、ホルダーと同様に、各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って巻き掛けて支持可能な帯状のパーツで形成してもよく、ホルダーの押さえ部を、ベースと同様に、各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って当接して支持可能な支持面を有する2つのブロック形のパーツで構成してもよい。つまり、ベースの受け部、ホルダーの押さえ部の一方を、各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って当接して支持可能な支持面を有する複数のパーツ、又は各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って巻き掛けて支持可能な帯状のパーツで形成してもよく、両方を、各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って当接して支持可能な支持面を有する複数のパーツ、又は各種の部材の周面の半周面側に当該半周面側の断面円弧状の面に沿って巻き掛けて支持可能な帯状のパーツで形成してもよい。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0055】
また、この実施の形態では、押さえ部4をなす帯状のパーツ41が、一端の取付部410をリング状に形成されて、この取付部410がホルダーA2の本体部3の一端の各ヒンジ孔50a間に通されるヒンジピン51を挿通されて固定されるものとしたが、この帯状のパーツ41の一端は、ホルダーA2の本体部3の一端側に帯状のパーツ固定部が設けられて、この帯状のパーツ固定部に固定されてもよい。その一例を
図11に示す。
図11に示すように、帯状のパーツ41の一端は平板状に延長され、その端部に取付部としてねじ挿通孔410aが設けられる。この場合、帯状のパーツ41の一端の先端の両側2箇所にねじ挿通孔410aが形成される。ホルダーA2の本体部3の一端側には、各ヒンジ孔50aに近接して、ねじ孔70を有する帯状のパーツ固定部7が設けられる。この場合、帯状のパーツ固定部7は全体がホルダーA2の本体部3の一端側に、各ヒンジ孔50aの近傍まで延びる柱形状に形成されるとともに、その先端面でホルダーA2の内側に対応する一端部側がベースA1の他端方向に向けて斜めに形成され、この斜めの面に帯状のパーツ41の一端の各ねじ挿通孔410aに対応して2つねじ孔70が(柱形状の)内部に向けて形成されて設けられる。このようにして帯状のパーツ41の一端は、帯状のパーツ固定部7の先端斜めの面に配置されて、帯状のパーツ41の一端の各ねじ挿通孔410aから2つのねじ71が通され、帯状のパーツ固定部7の各ねじ孔70に締結されて、帯状のパーツ固定部7に固定される。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができ、さらに、帯状のパーツ41がホルダーA2に着脱しやすくなって、帯状のパーツ41が劣化したときの交換作業を容易にすることができる。
【0056】
さらに、この実施の形態では、ベースA1は、断面コ字形又は断面U字形をなす取付部1と、取付部1の両側間に両側の長さ方向に移動可能に固定される支持部11とを備え、複数のパーツ21が支持部11上に取付部1の両側方向に移動可能に固定されるようにして、これらの組み合わせにより、各パーツ21がノズルなどの各種の部材の半周面側に対して各種の部材の半径方向に変位可能に設けられているが、取付部の両側、各支持部設置部を取付部固定部に対して略ハの字形に外側に向けて斜めに形成してパーツ設置部とし、これら斜めのパーツ設置部に各パーツをねじ送り機構やばね手段などを介して取り付けて、各パーツを各種の部材の半周面側に対して各種の部材の半径方向に変位可能に設けてもよい。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
さらに、この実施の形態では、ベースA1とホルダーA2は、一端がヒンジ結合されてベースA1に対してホルダーA2が回動可能に連結され、他端が係止穴60と係止爪61との係合により着脱可能に連結され、特に、係止穴60と係止爪61との係合に、1アクション式のオートロック機構6Aと、2アクション式のロック解除機構6Bとを含むロック機構6を有するものとしたが、このロック機構は任意に変更可能であり、信頼性の高いものであれば、既存のロック装置に代えてもよい。
【符号の説明】
【0058】
A アジャストロック装置(本装置)
A1 ベース
1 取付部
101 取付部固定部
102 ねじ挿通孔
103 支持部設置部
104 ねじ挿通孔
S1 ねじ
105 延長部
106 軸受
107 係止部材の取付部
11 支持部
110 ねじ挿通孔
111 パーツ固定部
112 支持部固定部
113 ねじ孔
2 受け部
21 パーツ
210 ねじ挿通孔
211 支持面
S2 ねじ
N2 ナット
A2 ホルダー
3 本体部
301 係止爪取付部
31 バックル取付部
311 溝
32 バックル
321 係止溝
322 係止孔
323 ねじ挿通孔
33 延長部
330 切欠部
34 係止爪取付部
340 軸孔
341 取付ピン
4 押さえ部
41 パーツ
410 取付部
410a ねじ挿通孔
411 支持面
412 係止部
413 係止突起
5 ヒンジ
50a ヒンジ孔
50b ヒンジ孔
51 ヒンジピン
52 コイルスプリング
6 ロック機構
6A オートロック機構
6B 2アクション式のロック解除機構
60 係止穴
602 ねじ孔
603 係止部材
604 乗り上げガイド面
605 落とし込みガイド面
606 係止面
607 固定部
608 ねじ挿通孔
60T 係止凸部
61 係止爪
610 係止凹部
611 操作部
612 アーム部
613 取付孔
614 連結部
615 爪部
7 帯状のパーツ固定部
70 ねじ孔
71 ねじ