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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027765
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】端末、及び測距用端末
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/3827 20150101AFI20250220BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20250220BHJP
   E05B 19/00 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
H04B1/3827
H05K5/02 L
E05B19/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132879
(22)【出願日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】臼井 康輝
(72)【発明者】
【氏名】後藤 弘彰
【テーマコード(参考)】
4E360
5K011
【Fターム(参考)】
4E360AB33
4E360BC04
4E360BD03
4E360EA03
4E360GA29
4E360GB21
5K011AA03
5K011AA14
5K011JA01
(57)【要約】
【課題】サイズを小型化できる端末、及び測距用端末を提供する。
【解決手段】端末4は、端末4の内部において少なくとも基板11が配置された部品収容空間を密閉することにより、部品収容空間を防水する防水機能を有する弾性部材14を備える。弾性部材14は、基板11の片側の実装面20のみを覆う形状により、実装面20に設けられた素子15に加えられる衝撃を抑制する衝撃抑制機能を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信対象と無線通信する端末であって、
前記端末の内部において少なくとも基板が配置された部品収容空間を密閉することにより、前記部品収容空間を防水する防水機能を有する弾性部材を備え、
前記弾性部材は、前記基板の片側の実装面のみを覆う形状により、前記実装面に設けられた素子に加えられる衝撃を抑制する衝撃抑制機能を有する、端末。
【請求項2】
前記弾性部材は、
前記実装面を覆う本体部と、
前記本体部の周縁に形成されるとともに、前記端末のハウジングを構成する第1ハウジング及び第2ハウジングの境界を防水する防水部と、を備え、
前記本体部は、前記素子に対向配置されることによって前記素子への衝撃を抑制する衝撃抑制部を有する、請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記基板は、前記素子が実装された前記実装面としての第1実装面の反対側の第2実装面に電池が配置され、
前記素子は、前記基板の厚み方向において、前記電池に対して一部のみ重なるように配置されている、請求項1に記載の端末。
【請求項4】
前記部品収容空間内で前記実装面としての第1実装面を覆う第1インナーケースと、
前記部品収容空間内で前記基板の前記第1実装面の反対側の第2実装面を覆う第2インナーケースと、を備え、
前記弾性部材は、前記第1インナーケースの外側に配置され、
前記弾性部材は、前記第1インナーケースに形成された孔から前記素子に対向配置されることによって前記素子への衝撃を抑制する衝撃抑制部を有する、請求項1に記載の端末。
【請求項5】
前記防水機能は、前記端末のハウジングを構成する第1ハウジング及び第2ハウジングの境界を防水し、
前記部品収容空間は、前記第1ハウジングの開口部を閉じる前記第2ハウジングと前記弾性部材とによって囲まれた領域から構成されている、請求項1に記載の端末。
【請求項6】
前記端末を操作するための操作ボタンが設けられておらず、前記通信対象から電波を受信したことを契機に、又は、自らの電波送信を契機に、前記通信対象との通信を実行する、請求項1に記載の端末。
【請求項7】
前記端末を操作するための操作ボタンが設けられておらず、前記素子としての通信用素子で前記通信対象からの電波を受信した場合に、前記基板に設けられた測距用素子を介して、前記通信対象と測距の通信を実行する、請求項1に記載の端末。
【請求項8】
通信対象との間で距離を測定する無線通信を行う測距用端末であって、
前記測距用端末の内部において少なくとも基板が配置された部品収容空間を密閉することにより、前記部品収容空間を防水する防水機能を有する弾性部材を備え、
前記弾性部材は、前記基板の片側の実装面のみを覆う形状により、前記実装面に設けられた素子に加えられる衝撃を抑制する衝撃抑制機能を有する、測距用端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信対象と無線通信する端末、及び測距用端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、通信モジュールの基板を防水する弾性材を備える電子キーが周知である。弾性材は、例えば、通信モジュールの第1面を覆う本体部と、本体部の外縁に形成されたシール部と、を有する。また、弾性材は、通信モジュールに加えられる衝撃を吸収する衝撃吸収部を有する。衝撃吸収部は、通信モジュールの第2面を覆うように、弾性材の本体部から延設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-124081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、弾性材は、通信モジュールの第1面に対向配置された本体部から、通信モジュールの第2面と対向する位置に衝撃吸収部が延在した形状を有する。このため、通信モジュールの第1面を覆ってシールする部分(本体部、及びシール部)と衝撃吸収部とを一体に有する弾性材あっても、衝撃吸収部が本体部から通信モジュールの反対側に回り込むように延在する形状であるため、弾性材のサイズが大型化する懸念があった。よって、電子キーの小型化に支障を来していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する端末は、通信対象と無線通信する構成であって、前記端末の内部において少なくとも基板が配置された部品収容空間を密閉することにより、前記部品収容空間を防水する防水機能を有する弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記基板の片側の実装面のみを覆う形状により、前記実装面に設けられた素子に加えられる衝撃を抑制する衝撃抑制機能を有する。
【0006】
前記課題を解決する測距用端末は、通信対象との間で距離を測定する無線通信を行う構成であって、前記測距用端末の内部において少なくとも基板が配置された部品収容空間を密閉することにより、前記部品収容空間を防水する防水機能を有する弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記基板の片側の実装面のみを覆う形状により、前記実装面に設けられた素子に加えられる衝撃を抑制する衝撃抑制機能を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、サイズを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る測距システムの構成図である。
図2】端末の斜視図である。
図3】端末の分解斜視図である。
図4図2に示すIV-IV線断面図である。
図5】素子と電池との配置関係を示す平面図である。
図6図2に示すVI-VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態を説明する。
(測距システム1)
図1に示すように、測距システム1は、通信対象2において測距の動作を実行する通信機3を備える。測距システム1は、通信機3及び端末4の間の無線通信によって、端末4から通信対象2までの距離を測定する。測距システム1は、例えば、通信機3及び端末4の間の電波の送受信に係る時間を計測し、この時間から距離を求める。測距演算は、通信機3及び端末4のいずれで実行されてもよい。
【0010】
通信対象2は、例えば、車両、建物、時間貸し駐車場、鍵扉付き棚などが挙げられる。車両は、例えば、エンジン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車、水素自動車などが挙げられる。
【0011】
端末4は、測距機能のみを有する測距用端末5、又は、測距機能を有するキー、のいずれでもよい。なお、本例の端末4は、測距用端末5であるとする。
測距システム1は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)帯の電波が使用されている。通信機3は、例えば、UWB電波を端末4に送信するとともに、端末4にUWB電波を返信させる。そして、通信機3は、UWB電波の送受信に要した時間を計測し、この時間から距離を求める。測距の電波にUWB電波を使用した場合、高い分解能(例えば、数10cm間隔)で通信対象2及び端末4の間の距離を演算することが可能である。
【0012】
(端末4)
図2に示すように、端末4は、端末4の外部フレームを構成するハウジング7を備える。ハウジング7は、第1ハウジング8と、第1ハウジング8の開口部9を閉じる第2ハウジング10と、を有する。第1ハウジング8は、例えば、ロアハウジングである。第2ハウジング10は、例えば、アッパーハウジングである。
【0013】
図3に示すように、端末4は、基板11、第1インナーケース12、第2インナーケース13、及び弾性部材14を備える。基板11、第1インナーケース12、第2インナーケース13、及び弾性部材14は、ハウジング7の内部に収容されている。基板11には、端末4の素子15が実装されている。第1インナーケース12及び第2インナーケース13は、ハウジング7内において基板11を保護する。弾性部材14の材料は、例えば、ゴムや樹脂などが挙げられる。弾性部材14は、ハウジング7の防水機能と、基板11の素子15への衝撃抑制機能と、を有する。
【0014】
図4に示すように、第1ハウジング8及び第2ハウジング10は、例えば、爪形状同士が嵌合する構造によって互いに組付けられている。本例の場合、第2ハウジング10に形成された突起16を、第1ハウジング8に形成された凹部17に嵌合するスナップフィット構造によって、第1ハウジング8及び第2ハウジング10が組付けられている。突起16は、第2ハウジング10の開口部分に沿って環状に形成されている。
【0015】
端末4は、例えば、測距用端末5の場合、端末4を操作するための操作ボタンが設けられていない。端末4は、例えば、通信対象2から電波を受信したことを契機に、又は、自らの電波送信を契機に、通信対象2との通信を実行する。本例の端末4は、通信対象2(通信機3)から電波を受信したことを契機に、通信対象2との通信を実行する。
【0016】
(基板11)
図3に示す通り、基板11は、素子15が実装された実装面20(以降、第1実装面21と記す)と、第1実装面21の反対側の第2実装面22と、を備える。本例の第1実装面21は、基板11の裏面である。本例の第2実装面22は、基板11の表面である。第2実装面22には、端末4の電源となる電池23に電気接続されるターミナル(図示略)が設けられている。
【0017】
(第1インナーケース12及び第2インナーケース13)
図3に示す通り、第1インナーケース12は、例えば、基板11の第1実装面21を覆う下部インナーケースである。第1インナーケース12は、第1実装面21に対向配置されたケース本体25と、ケース本体25の周縁の4辺から突設された複数の側壁26と、を有する。
【0018】
第1インナーケース12は、弾性部材14の一部を基板11に露出させる孔27を有する。孔27は、例えば、孔27の軸線方向から見て四角形状に形成されている。第1インナーケース12の四隅には、第2インナーケース13に係合される複数の係合爪28が立設されている。
【0019】
第2インナーケース13は、例えば、基板11の第2実装面22を覆う上部インナーケースである。第2インナーケース13は、第2実装面22に対向配置されたケース本体29と、ケース本体29の周縁の4辺から突設された複数の側壁30と、を有する。
【0020】
第2インナーケース13は、電池23を収容する電池収容部31を有する。電池収容部31は、ケース本体29の一部を凹設することにより、第2インナーケース13に形成されている。電池収容部31の底面と側面の一部とは、基板11のターミナルを電池23に当接させるために貫通されている。電池収容部31の底面には、底面の孔周縁が電池23の裏面を支持するストッパ部32として形成されている。
【0021】
図4に示す通り、第1インナーケース12及び第2インナーケース13は、互いの周縁によって基板11を挟み込んで保持する。具体的には、基板11は、第1インナーケース12の側壁26と、第2インナーケース13の側壁30と、の間に挟まれて保持されている。よって、基板11は、第1インナーケース12及び第2インナーケース13によって周縁を挟持された状態で、第1インナーケース12及び第2インナーケース13の内部に収容されている。
【0022】
(素子15)
図5に示すように、素子15は、例えば、パッケージ内に電子部品が搭載されたICチップである。素子15は、例えば、通信対象2(具体的には、通信機3)と所定の通信を実行する通信用素子15aであることが好ましい。通信用素子15aは、例えば、アンテナを含み、更には、通信回路や制御回路などを含んでいてもよい。アンテナは、例えば、受信アンテナ、送受信アンテナのいずれでもよい。所定の通信は、例えば、通信機3の周囲に端末4が存在するか否かを確認する通信である。
【0023】
通信用素子15aは、例えば、LF(Low Frequency)帯の電波を受信可能なLFアンテナを含む。LFアンテナは、通信機3から定期又は不定期に送信される狭域のLF電波を受信する。このように、LFアンテナは、端末4が周囲に存在するか否かを確認するために通信機3が送信するLF電波を受信する。LFアンテナは、例えば、相対的に体格が大きいアンテナである。このため、落下等によって端末4に衝撃が加わった場合には、LFアンテナにかかる衝撃荷重が大きい。
【0024】
素子15は、基板11の厚み方向(図5のZ軸方向)において、電池23に対して一部のみ重なるように配置されている。すなわち、素子15及び電池23は、基板11の厚さ方向において全てが重なっているのではなく、一部のみ重なるようにしている。これは、素子15が例えばアンテナの場合、電池23の影響を受け難くなって、通信性能が確保されるからである。
【0025】
(測距用素子33)
図3等に示す通り、基板11には、素子15(通信用素子15a)とは別の測距用素子33が実装されている。測距用素子33は、例えば、アンテナ、通信回路、制御回路、及び、これらを2つ以上組み合わせた電子部品である。アンテナは、例えば、送信アンテナ、受信アンテナ、送受信アンテナのいずれでもよい。測距用素子33は、測距用端末5の場合、測距用素子であることが好ましい。測距用素子33のアンテナは、例えば、UWBアンテナを含む。測距用素子33は、通信用素子15aよりも小型である。
【0026】
本例の場合、端末4が通信機3に近づくと、通信機3から送信されるLF電波を素子15で受信する。端末4は、通信機3のLF電波を素子15で受信すると、測距用素子33による測距通信を実行する。すなわち、端末4は、LF電波の受信を契機に通信機3とUWB電波の送受信を実行し、通信機3及び端末4の間の距離を通信機3に測定させる。そして、距離が十分に近い場合には、通信対象2の使用が許可され、距離が遠い場合には、通信対象2の使用が許可されない。
【0027】
(弾性部材14)
図3に示す通り、弾性部材14は、実装面20を覆う本体部35と、第1ハウジング8及び第2ハウジング10の境界を防水する防水部36と、を備える。防水部36は、本体部35の周縁の各辺に各々形成されている。本体部35は、素子15に対向配置されることによって素子15への衝撃を抑制する衝撃抑制部37を有する。このように、弾性部材14は、1つの部品で防水機能及び衝撃抑制機能の2つの機能を有する。弾性部材14は、第1インナーケース12の外側に配置されている。
【0028】
図4に示す通り、防水部36による防水機能は、端末4の内部において少なくとも基板11が配置された部品収容空間38を密閉することにより、部品収容空間38を防水する機能である。部品収容空間38は、第1ハウジング8の開口部9を閉じる第2ハウジング10と弾性部材14とによって囲まれた領域から構成されている。本例の部品収容空間38は、基板11、第1インナーケース12、第2インナーケース13、素子15、及び電池23を収容する。
【0029】
防水部36は、例えば、本体部35を囲むように周状に形成されている。防水部36は、例えば、先端に向かって尖った形状の突起部36aを有する。防水部36は、組付け時、突起部36aが第2ハウジング10に接触して弾性変形する。本例の場合、突起部36aは、第2ハウジング10の突起16に接触する。
【0030】
図3に示す通り、衝撃抑制部37による衝撃抑制機能は、基板11において弾性部材14と対向する実装面20(本例は、第1実装面21)に配置された素子15を覆うことにより、素子15に加わる衝撃を抑制する機能である。衝撃抑制部37は、例えば、本体部35の一部を所定量隆起させることにより形成されている。衝撃抑制部37は、上面視において四角形状に形成されている。衝撃抑制部37は、第1インナーケース12に形成された孔27から素子15に対向配置されることによって素子15への衝撃を抑制する。
【0031】
ハウジング7の内面には、弾性部材14をハウジング7内に位置決めするための位置決め突起40が形成されている。位置決め突起40は、第1ハウジング8の内面に複数(本例は2つ)形成されている。本例の位置決め突起40は、例えば、略正方形状の第1ハウジング8の内部において、対角線上の角位置に配置されている。弾性部材14は、位置決め突起40が突起嵌合部41に嵌合されることにより、ハウジング7内に位置決めされる。突起嵌合部41は、組付けのとき、第1インナーケース12に設けられた嵌合凹部42に嵌合される。
【0032】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態の端末4(測距用端末5)の作用について説明する。
図6に示すように、第1ハウジング8及び第2ハウジング10の境界に水滴が付着した場合、第1ハウジング8及び第2ハウジング10の隙間から、水滴が内部に浸入する可能性がある。しかし、本例の場合、弾性部材14の防水部36によって、部品収容空間38への浸入を抑制することが可能となる。よって、基板11や素子15等の電子部品に水滴を付着し難くすることが可能となる。
【0033】
また、端末4を地面に落とすなどしたとき、ハウジング7を介して素子15に外力Fが加わることがある。外力Fは、例えば、衝撃荷重などが挙げられる。しかし、本例の場合、弾性部材14の衝撃抑制部37によって、外力Fを素子15に到達し難くすることが可能となる。よって、素子15を衝撃から保護することが可能となる。
【0034】
本例の場合、1つの弾性部材14が防水機能及び衝撃抑制機能の両方を有する。このため、防水機能及び衝撃抑制機能の機能ごとに部品を設ける場合に比べて、部品点数を減らすことが可能となる。これは、端末4に必要となる部品コストの削減にも寄与する。さらには、端末4の部品点数を減らすことが可能となれば、端末4を組み立てるときの作業時間の削減にも寄与する。
【0035】
特に、本例の場合、弾性部材14は、基板11の片側の実装面20のみを覆う形状によって、素子15に加えられる衝撃を抑制する。このため、弾性部材14は、基板11の片側の実装面20のみを覆う簡素な形状であればよいので、小型化が可能となる。よって、端末4の小型化が可能となる。
【0036】
(実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)通信対象2と無線通信する端末4は、端末4の内部において少なくとも基板11が配置された部品収容空間38を密閉することにより、部品収容空間38を防水する防水機能を有する弾性部材14を備える。弾性部材14は、基板11の片側の実装面20のみを覆う形状により、実装面20に設けられた素子15に加えられる衝撃を抑制する衝撃抑制機能を有する。
【0037】
本構成によれば、弾性部材14が防水機能と衝撃抑制機能との両方を兼ね備えているので、これら機能ごとに部品を設ける場合に比べて、部品点数を少なく抑えることが可能となる。また、弾性部材14は、基板11の片側の実装面20のみを覆う形状によって、素子15に加えられる衝撃を抑制する。このように、弾性部材14は、基板11の片側の実装面20のみを覆う簡素な形状とすればよいので、小型化が可能となる。以上のように、弾性部材14が防水機能と衝撃抑制機能とを兼ね備え、更に、弾性部材14の小型化が可能となるので、端末4のサイズを小型化できる。
【0038】
(2)弾性部材14は、実装面20を覆う本体部35と、本体部35の周縁に形成されるとともに、端末4のハウジング7を構成する第1ハウジング8及び第2ハウジング10の境界を防水する防水部36と、を備える。本体部35は、素子15に対向配置されることによって素子15への衝撃を抑制する衝撃抑制部37を有する。この構成によれば、弾性部材14の防水部36によって第1ハウジング8及び第2ハウジング10の境界全体を止水することができる。また、素子15に対向配置された衝撃抑制部37によって、素子15を衝撃から適切に保護することができる。
【0039】
(3)基板11は、素子15が実装された実装面20としての第1実装面21の反対側の第2実装面22に電池23が配置されている。素子15は、基板11の厚み方向において、電池23に対して一部のみ重なるように配置されている。この構成によれば、素子15と電池23との重なり部分が限定されるので、素子15に対する電池23の影響を小さく抑えることができる。
【0040】
(4)端末4は、部品収容空間38内で実装面20としての第1実装面21を覆う第1インナーケース12と、部品収容空間38内で基板11の第1実装面21の反対側の第2実装面22を覆う第2インナーケース13と、を備える。弾性部材14は、第1インナーケース12の外側に配置されている。弾性部材14は、第1インナーケース12に形成された孔27から素子15に対向配置されることによって素子15への衝撃を抑制する衝撃抑制部37を有する。この構成によれば、第1インナーケース12及び第2インナーケース13の内部に基板11が収容されるので、第1インナーケース12及び第2インナーケース13によって基板11を保護することができる。また、第1インナーケース12及び第2インナーケース13の内部に基板11が収容される構造であっても、第1インナーケース12に孔27を形成して素子15に衝撃抑制部37を対向させることにより、衝撃抑制部37によって基板11を保護することができる。
【0041】
(5)防水機能は、端末4のハウジング7を構成する第1ハウジング8及び第2ハウジング10の境界を防水する。部品収容空間38は、第1ハウジング8の開口部9を閉じる第2ハウジング10と弾性部材14とによって囲まれた領域から構成されている。この構成によれば、部品収容空間38の一側面が弾性部材14によって構成されるので、部品収容空間38の密閉性の向上に寄与する。
【0042】
(6)端末4は、端末4を操作するための操作ボタンが設けられておらず、通信対象2から電波を受信したことを契機に、又は、自らの電波送信を契機に、通信対象2との通信を実行する。この構成によれば、端末4に操作ボタンがないので、サイズの小型化に一層寄与する。
【0043】
(7)端末4は、素子15としての通信用素子15aで通信対象2からの電波を受信した場合に、基板11に設けられた測距用素子33を介して、通信対象2と測距の通信を実行する。この構成によれば、端末4は、必要なときのみ測距通信を実行することが可能となる。よって、端末4の電池23を省電力化できる。
【0044】
(8)位置決め突起40がハウジング7の内面に形成されているので、位置決め突起40によって弾性部材14を正しい位置に取付けることができる。ところで、ハウジング7及び弾性部材14が略正方形状の場合、弾性部材14は、例えば90度、180度、270度回した状態で誤って組付けられることが想定される。しかし、本例の場合は、位置決め突起40を第1ハウジング8の内部において対角線上の角位置に配置したので、前述のような誤組付けを防止することができる。
【0045】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・防水部36は、第1ハウジング8及び第2ハウジング10の内部を封止できれば、第1ハウジング8及び第2ハウジング10のどの部分に接触していてもよい。
・第2実装面22に素子15が配置され、第1実装面21に電池23が配置されてもよい。この場合、衝撃抑制部37は、第2実装面22に配置された素子15に対向するように設けられる。
【0047】
・弾性部材14は、例えば、環状の防水部36から腕部が伸び、その先端に衝撃抑制部37が設けられた形状であってもよい。
・端末4は、第1インナーケース12及び第2インナーケース13が省略された構成であってもよい。
【0048】
・通信用素子15aは、LF電波を通信する素子に限らず、他の周波数の電波を通信する素子としてもよい。
・測距用素子33は、UWB電波で測距を行う素子に限らず、他の電波を使用する素子でもよい。
【0049】
・端末4は、測距用端末5に限らず、他の機能を有する通信端末としてもよい。
・端末4は、例えば、操作ボタンを有する通信端末としてもよい。この通信端末としては、例えば、通信対象2を遠隔操作可能な電子キー等が挙げられる。
【0050】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0051】
2…通信対象、4…端末、5…測距用端末、7…ハウジング、8…第1ハウジング、9…開口部、10…第2ハウジング、11…基板、12…第1インナーケース、13…第2インナーケース、14…弾性部材、15…素子、15a…通信用素子、20…実装面、21…第1実装面、22…第2実装面、23…電池、27…孔、33…測距用素子、35…本体部、36…防水部、37…衝撃抑制部、38…部品収容空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6