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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027778
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】橋梁架設シミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20250220BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20250220BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
G06T19/00 C
G06Q50/08
E01D21/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132902
(22)【出願日】2023-08-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】515028827
【氏名又は名称】オフィスケイワン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100143199
【弁理士】
【氏名又は名称】磯邉 毅
(72)【発明者】
【氏名】保田 敬一
【テーマコード(参考)】
2D059
5B050
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2D059AA05
2D059CC01
2D059DD02
5B050BA08
5B050BA09
5B050BA13
5B050BA17
5B050CA07
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA18
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】干渉量や干渉箇所が直感的にわかりやすく、干渉回避の計画も立てやすい橋梁架設シミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】機材モデル10と、部材モデル11と、それらに対し干渉するか演算対象となる対象モデル12と、で構成される3次元モデルを用いるシミュレーションシステムであって、機材モデル10と部材モデル11の初期位置と終点位置が、キーフレームとして入力されるキーフレーム登録手段と、キーフレーム間の機材モデル10と部材モデル11の動きに応じた機材・部材モデルと対象モデルを備える1又は複数の補間フレームを作成し、各補間フレームにブーリアン演算ST6を実施する演算手段とを備え、演算手段により抽出された交差する空間を表示手段に表示することで干渉量や干渉箇所を3次元モデルで表示可能としている。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の部材を吊り上げたり載せたりして目的の位置に運ぶ機材モデルと、前記機材モデルによって運ばれる部材モデルと、前記機材モデルと前記部材モデルとに対し干渉するか演算対象となる対象モデルと、で構成される3次元モデルを用いるシミュレーションシステムであって、
コンピュータ上で実行され、
それらモデルを表示する表示手段と、
前記機材モデルと前記部材モデルの初期位置と終点位置が、キーフレームとして入力されるキーフレーム登録手段と、
登録された前記キーフレーム間の前記機材モデルと前記部材モデルの動きに応じた前記機材・部材モデルと対象モデルを備える1又は複数の補間フレームを作成し、各補間フレームの前記機材・部材モデルと対象モデルとに対しブーリアン演算を実施する演算手段とを備え、
前記演算手段により抽出された交差する空間を前記表示手段に表示することで干渉量や干渉箇所を3次元モデルで表示可能な橋梁架設シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記演算手段は、前記各補間フレーム毎に前記機材モデルのアウトリガー反力を算出することを特徴とする請求項1に記載の橋梁架設シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記演算手段は、前記各補間フレームにある前記機材モデルと前記部材モデルから安全率を算出することを特徴とする請求項2に記載の橋梁架設シミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁の地組み部材を架設する工事を行う前に使用される橋梁架設シミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場から施工現場に運搬され所定の位置に地組みされた状態の部材を架設する場合、地組み部材をクレーンで持ち上げて移動させて目的の位置に架設していた。このクレーンによる地組み部材の移動時に、クレーンと地組み部材が既設構造物や進入禁止エリアとぶつかる事故が発生しないように、予めシミュレーションを行って、安全を確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-016489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、クレーン・地組み部材と既設構造物の座標値を用い、干渉するか交点計算を行い、交点が有る場合は干渉すると判別している。交点が有る場合は干渉すると判別することができるが、干渉するのでクレーンを移動するとき、どこに移動すべきか交点数や交点の座標値から判断するのは困難であった。交点から干渉箇所をアニメーション表示することもできるが、ひと手間かかり煩雑であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、干渉量や干渉箇所が直感的にわかりやすく、干渉回避の計画も立てやすい橋梁架設シミュレーションシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の橋梁架設シミュレーションシステムは、橋梁の部材を吊り上げたり載せたりして目的の位置に運ぶ機材モデルと、前記機材モデルによって運ばれる部材モデルと、前記機材モデルと前記部材モデルとに対し干渉するか演算対象となる対象モデルと、で構成される3次元モデルを用いるシミュレーションシステムであって、コンピュータ上で実行され、それらモデルを表示する表示手段と、前記機材モデルと前記部材モデルの初期位置と終点位置が、キーフレームとして入力されるキーフレーム登録手段と、登録された前記キーフレーム間の前記機材モデルと前記部材モデルの動きに応じた前記機材・部材モデルと対象モデルを備える1又は複数の補間フレームを作成し、各補間フレームの前記機材・部材モデルと対象モデルとに対しブーリアン演算を実施する演算手段とを備え、前記演算手段により抽出された交差する空間を前記表示手段に表示することで干渉量や干渉箇所を3次元モデルで表示可能としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の橋梁架設シミュレーションシステムでは、干渉量や干渉箇所を3次元モデルで表示できるため、直感的にわかりやすく、干渉回避の計画も立てやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態の橋梁架設シミュレーションシステムのメイン画面を示す図である。
図3】同上シミュレーションシステムのプロジェクト指定ウィンドウを示す図である。
図4】同上シミュレーションシステムのクレーンセットウィンドウと作業ウィンドウを示す図である。
図5】クレーンセットウィンドウと作業ウィンドウの他の例を示す図である。
図6】同上シミュレーションシステムの部材設定ウィンドウを示す図である。
図7】同上シミュレーションシステムの操作パネルウィンドウを示す図である。
図8】同上シミュレーションシステムのキーフレーム操作ウィンドウを示す図である。
図9】他の実施形態に係る操作パネルウィンドウと作業ウィンドウを示す図である。
図10】他の実施形態に係る操作パネルウィンドウと作業ウィンドウを示す図である。
図11】他の実施形態に係る操作パネルウィンドウと作業ウィンドウを示す図である。
図12】同上シミュレーションシステムの干渉確認方法を示すフロー図及びイメージである。
図13】同上シミュレーションシステムの干渉確認方法を示すイメージ図である。
図14】同上シミュレーションシステムのリアルタイム監視を示すフロー図である。
図15】同上シミュレーションシステムのリアルタイム監視を示す図である。
図16】同上シミュレーションシステムのシミュレーションレポートを示す図である。
図17】機材モデルの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態の橋梁架設シミュレーションシステムを説明する。この橋梁架設シミュレーションシステムは、図1に示すコンピュータCP上で実行される。このコンピュータCPは、シミュレーションを行う演算手段であるCPU100と、シミュレーションプログラムなどを記憶するHDD101と、プログラムが展開されるRAM102と、演算結果などを表示する表示手段であるディスプレイ103とを中心に構成されている。
【0010】
図2は、橋梁架設シミュレーションシステムにおいて、コンピュータCPのディスプレイ103に表示されるメイン画面1を示す。このメイン画面1は、左側にメニュー部2と、右側に種々のモデルやシミュレーションが表示される作業ウィンドウ3が設けられている。メニュー部2は、上から、これから橋梁架設シミュレーションを行うプロジェクトを指定するプロジェクト指定欄4と、橋梁架設で使用するクレーンの選択を行うクレーンセット欄5と、運ばれる部材を選択する部材設定欄6と、クレーンがどのくらい旋回するかと部材の移動量を指定する操作パネル欄7と、クレーンの移動位置を登録するキーフレーム操作欄8と、シミュレーション成果データを出力する図面作成欄9と、で構成されている。
【0011】
作業ウィンドウ3では、シミュレーションが行われる機材モデル10と、部材モデル11と、対象モデル12とが表示されている。機材モデル10は、本実施形態では、クレーンセット欄5で選択されたクレーンであり、様々な種類のクレーンのソリッドモデルが予め作成されており、そのうちの1つが選択されて表示されている。
【0012】
部材モデル11は、現場の地上で建方前に組み立てられた架設部材がソリッドモデルで予め作成されており、作業ウィンドウ3では、部材モデル11は、現場の地上で建方前に
組み立てられた状態と、クレーンに吊るされることにより回転した状態と、橋梁に架け渡された状態の完了モデル13の状態が表示されている。
【0013】
対象モデル12は、既存構造物(電信柱、電線、信号機、建物など)や施工機材・部材の進入禁止エリア(架空線の安全上の離隔、供用中の道路上空などの空間)を表したソリッドモデルであり、このモデルも予め作成されている。
【0014】
そして、これらメニュー部2の欄4~9を順にクリックすることにより橋梁架設シミュレーションを行うこととなる。まず、メニュー部2のプロジェクト指定欄4をクリックすると、プロジェクト指定ウィンドウ41が表示される。図3はプロジェクト指定ウィンドウ41を示す。このプロジェクト指定ウィンドウ41には、橋梁架設を行う会社名、工事名を入力する欄42、43と、工事毎に行われる1又は複数のシミュレーションを作成・保存・参照するためのプロジェクトフォルダ44、地組から架設までをシミュレーションするための3Dモデルやシステムデータを作成・保存・参照用のシミュレーションフォルダ45とか表示されている。シミュレーションフォルダ45は、該当する工事のプロジェクトフォルダ44直下に作成されるようにしており、機材モデル10と、部材モデル11と、対象モデル12と、クレーン架設完了時のモデルである完了モデル13が必須のものとして保存されている。このシミュレーションフォルダ45には地組受台モデル、俯角モデルなどを保存してもよい。
【0015】
プロジェクト指定ウィンドウ41でプロジェクトの指定が完了すると、図2のメニュー部2のクレーンセット欄5をクリックする。図4は、クレーンセット欄5をクリックしたときに表示されるクレーンセットウィンドウ51と、クレーンの安全率を表示する安全率欄59が設けられた安全率ウィンドウ52を示す。
【0016】
このクレーンセットウィンドウ51は、予め形状データが入力された複数種類のクレーンのデータから、工事で使用するクレーンのデータを読み込む能力読込欄53が表示されている。この能力読込欄53で今回の工事で使用するクレーンのデータを読み込むと、クレーンのブーム長欄54、そのブーム長における危険角度欄55にそれぞれ自動的に表示される。そして、このクレーンセットウィンドウ51では、アウトリガーをどれだけ張り出すかをアウトリガー張出欄56で、クレーンの作業半径を作業半径欄57で、プルダウンリストをクリックすることにより選択することとなる。最後に吊荷重量欄58は、メニュー部2の部材設定欄6をクリックし、部材を設定すると自動で入力されることとなる。
【0017】
図5は、クレーンセットウィンドウ51の他の例を示す。この例では、安全率ウィンドウ52は、クレーンセットウィンドウ51に取り込まれ、クレーンセットウィンドウ51の吊荷重量欄58の下に安全率欄59が設けられている。また、能力読込欄53は、ファイルタブ53Aに置き換えられて、ファイルタブ53Aからクレーンのデータを読み込むこととなる。
【0018】
クレーンセットウィンドウ51でクレーンの指定が完了すると、メニュー部2の部材設定欄6をクリックする。図6は、部材設定欄6をクリックしたときに表示される部材設定ウィンドウ61と作業ウィンドウ3を示す。この図に示すように、部材設定ウィンドウ61には、上から部材モデルアタッチ欄62、完了モデルアタッチ欄63、部材モデル重心計算欄64、部材モデル重量計算欄65、部材モデル重量欄66、吊金具重量欄67、合計欄68を備えている。工部材モデルアタッチ欄62、完了モデルアタッチ欄63、部材モデル重心計算欄64、部材モデル重量計算欄65は実行ボタンをそれぞれ備えている。
【0019】
部材設定ウィンドウ61では、この工事で架設する部材を設定するものであり、まず、部材モデルアタッチ欄62で、実行ボタンを押し、作業ウィンドウ3に表示されている地
組された状態の部材モデル11をクリックする。そして、地組された部材モデル11の上側四隅をクリックすることにより部材モデル11を設定(アタッチ)する。部材モデルアタッチ欄62の設定が完了すると欄の右側に「済」の文字が表示されることとなる。以下同様に、実行ボタンがある欄では、設定が完了すると「済」の文字が表示される。
【0020】
次に、完了モデルアタッチ欄63で、実行ボタンを押し、図1に示す作業ウィンドウ3に表示されている完了モデル13をクリックして完了モデル13を設定(アタッチ)する。そして、部材モデル重心計算欄64で実行ボタンを押すと、部材モデルアタッチ欄62で設定された部材モデル11の重心がどこにあるかこのモデル11から計算され、計算後、作業ウィンドウ3に表示されている地組された部材モデル11の重心位置に3Dマークを表示する。
【0021】
続いて、部材モデル重量計算欄65の実行ボタンを押すと、部材モデルアタッチ欄62で設定された部材モデル1の重量がこのモデル11から計算され、計算後、重量が部材モデル重量欄66に表示される。この実施形態では、25tと表示されている。部材モデル重量計算欄65の実行ボタンを押さず、部材モデル重量欄66に直接重量を入力してもよい。
【0022】
最後に、吊金具重量欄67に吊金具の重量を手入力する。この実施形態では、5tと入力されている。そうすると、合計欄68に、部材モデル重量欄66と吊金具重量欄67に入力された重量が加算されて表示されるとともに、図4のクレーンセットウィンドウ51の吊荷重量欄58にもこの加算された重量が表示されることとなる。
【0023】
次に、部材設定ウィンドウ61で部材の指定が完了すると、メニュー部2の操作パネル欄7をクリックする。図7は、操作パネル欄7をクリックしたときに表示される操作パネルウィンドウ71を示す。この操作パネルウィンドウ71は後述するキーフレーム操作欄8をクリックしたときに表示されるキーフレーム操作ウィンドウとともに使用される。操作パネルウィンドウ71は、クレーンを操作するためにクレーンのパラメータを調整するもので、旋回角度を指定する旋回パラメータ72、起伏角度を指定する起伏パラメータ73、ブーム伸縮量を指定するブーム伸縮パラメータ74、クレーン本体の回転角度を指定する本体回転パラメータ75と、を備えている。
【0024】
この操作パネルウィンドウ71を開いた状態で、メニュー部2のキーフレーム操作欄8をクリックすると、図8に示すキーフレーム操作ウィンドウ81が表示される。このキーフレーム操作ウィンドウ81は、キーフレーム登録手段であり、作業ウィンドウ3に表示されているビューをキーフレームとして登録する登録ボタン82と、複数ある登録されたキーフレームにおいて、任意のキーフレーム番号のキーフレームへと移動する移動ボタン群83と、現在ウィンドウ3に表示されているキーフレームの番号を表示する表示欄84と、コメント欄85と、シミュレーションを開始する実行ボタン86とを備えている。
【0025】
ここで、部材モデル11が地組されてクレーンを配置した状態が初期位置のキーフレームとなり、部材モデル11を橋梁に架設した状態が終点位置のキーフレームとなる。操作パネルウィンドウ71の各パラメータを調整してクレーンを動かし、登録ボタン82をクリックすると、新規登録ウィンドウ87が表示される。この新規登録ウィンドウ87では、キーフレームを何番目のキーフレームとして登録するか登録箇所を指定して、パラメータ調整後のクレーンの動かされた状態を登録することとなる。
【0026】
このキーフレームの登録は、例えば、3番目に登録すると、以前3番目に登録されたキーフレームや4番目以降に登録されたキーフレームは、キーフレーム番号3、4、5・・・nがキーフレーム番号4、5、6・・・n+1とのようにキーフレーム番号が順送りさ
れることとなる。また、シミュレーションを行った結果、対象モデル12と部材モデル11や機材モデル10のブームが衝突するとして、機材モデル10の設置座標を変更する場合は、クレーンの位置をすべて上書き欄のボタンをチェックして保存ボタンを押すと、すべてのキーフレームの機材モデル10の設置座標が変更された座標に更新されることとなる。
【0027】
図9~11は本発明の他の実施形態の操作パネルウィンドウ71’と作業ウィンドウ3を示しており、図9から図11へと順に機材モデル10と部材モデル11が移動している。これら図9~11の操作パネルウィンドウ71’は、機材モデル10の起伏・旋回角度と、部材モデル11の吊荷回転角度とが調整可能なパラメータとなっている。これらパラメータを調整後、最下段にある保存ボタンを押すと、図8に示す新規登録ウィンドウ87が開き、この機材モデル10と部材モデル11の移動された状態がキーフレームとして登録されることとなる。
【0028】
次に、実行ボタン86を押すと、演算手段であるCPU100は橋梁架設シミュレーションを開始する。この橋梁架設シミュレーションは、機材モデル10・部材モデル11と対象モデル12の干渉確認シミュレーションIS、及び機材モデル10のアウトリガー反力監視シミュレーションRSの2つのシミュレーションで構成されている。そして、この実施形態では、干渉確認シミュレーション実行後、続いてアウトリガー反力監視シミュレーションが行われることとなる。
【0029】
図12は、干渉確認シミュレーションISを示すフロー図(a)と、イメージ図(b)であり、図13は、シミュレーション前(a)と、シミュレーション後(b)のイメージ図である。まず、図12(a)のフロー図に示すように、変数nに干渉確認シミュレーションISを行う回数を代入する(ST1)。このステップST1で変数nに回数を代入すると、n-1個の補間フレームが作成される。この補間フレームは、2つのキーフレーム間の機材モデル10及び部材モデル11の動きを予測して、機材モデル10及び部材モデル11の移動軌跡の中間のソリッドモデルを作成し、表示するものである。ステップST1の補間フレーム作成は、隣り合う2つの番号のキーフレーム間で作成してもよいし、機材モデル10及び部材モデル11の初期位置のキーフレームから終点位置のキーフレームまでの間で複数のキーフレームをまたがって作成してもよい。
【0030】
次に変数iに0を代入する(ST2)とともに、その変数iを1つインクリメントする(ST3)。そして、隣り合う2つのキーフレーム間又は初期位置から終点位置までのキーフレーム間の角度をθ’’として、変数θに、変数θ’=θ’’/n*iで表される変数θ’を代入する(ST4)。次に、この変数θの角度に合う補間フレームの機材モデル10及び部材モデル11と、対象モデル12とに対し、ブーリアン演算を行い、機材モデル10及び部材モデル11と、対象モデル12の交差する空間を抽出する(ST5)。
【0031】
交差する空間とは、機材モデル10及び部材モデル11と、対象モデル12の重なり合う部分をいう。そしてステップST6で抽出された交差する空間は、機材モデル10、部材モデル11、対象モデル12とは別の色で色付けられ、作業ウィンドウ3に表示される。抽出された交差する空間以外の機材モデル10、部材モデル11、対象モデル12のモデルも、抽出された交差する空間と併せて作業ウィンドウ3に表示される(図12(b)、図13(b)参照)。抽出された交差する空間が無い場合は、機材モデル10、部材モデル11、対象モデル12の各モデルをそのまま表示する。
【0032】
続いて、ステップST7に移動し、n=iか判定され、n=iでない場合は、ステップST3に戻りiを一つインクリメントする。n=iとなる場合は全ての補間フレームにつて干渉があるかブーリアン演算が行われたので干渉確認シミュレーションISを終了し、
図13に示すアウトリガー反力監視シミュレーションRSへと移動する。
【0033】
上記のように本実施形態の干渉確認シミュレーションISは、ソリッドモデルである機材モデル10、部材モデル11、対象モデル12に対してブーリアン演算を行うので、即座に干渉箇所やどれくらい干渉しているかの干渉量が作業ウィンドウ3に表示される。したがって、直感的にわかりやすく、干渉回避の計画も立てやすくなる。
【0034】
干渉回避計画で機材モデル10の移動が必要だと判断したときは、クレーンを移動し、キーフレーム操作ウィンドウ81のクレーンの位置をすべて上書き欄のボタンをチェックして保存ボタンを押すと、すべてのキーフレームの機材モデル10の設置座標が変更された座標に更新される。従って、一つ一つのキーフレームについて機材モデル10の設置座標を変更する必要がない。
【0035】
図14は、アウトリガー反力監視シミュレーションRSを示すフロー図である。アウトリガー反力監視シミュレーションRSでは、まず、ステップSS1で、変数nにアウトリガー反力監視シミュレーションRSを行う回数を代入する。このステップSS1で変数nに回数を代入すると、n-1個の補間フレームが作成される。この補間フレームは、2つのキーフレーム間の機材モデル10及び部材モデル11の動きを予測して、機材モデル10及び部材モデル11の移動軌跡の中間のソリッドモデルを作成し、表示するものである。ステップST1の補間フレーム作成は、隣り合う2つの番号のキーフレーム間で作成してもよいし、機材モデル10及び部材モデル11の初期位置のキーフレームから終点位置のキーフレームまでの間で作成してもよい。
【0036】
このステップSS1は、干渉確認シミュレーションISのステップST1と同じものであるので、干渉確認シミュレーションISを行った後、続けてアウトリガー反力監視シミュレーションRSを行う場合は、省略してもよい。アウトリガー反力監視シミュレーションRSを単独で行う場合は必須となる。
【0037】
次に変数iに0を代入する(SS2)とともに、その変数iを1つインクリメントする(SS3)。そして、初期位置のキーフレームにある機材モデル10の旋回角度をθs、終点位置のキーフレームにある機材モデル10の旋回角度をθeとして、変数θに、θ’=(θe-θs)/n*iで表されるθ’の値を代入する(SS4)。そしてステップSS5で反力算出を行う。この反力算出は日本工業規格であるJIS D 6301解説にある計算式に準拠している。
【0038】
図15の(a)は図3のクレーンセットウィンドウ51及び安全率ウィンドウ52、(b)は作業ウィンドウ3、(c)はステップSS5の次に行われるステップSS6の反力表示を示す。図14(c)の反力表示では、4つのアウトリガーにそれぞれ番号A~Dが割り当てられている。本実施形態では4回(n=4)アウトリガー反力監視シミュレーションRSが行われ、アウトリガー番号A~Dそれぞれについて、STEP1~4における反力を反力表示欄14に表示する。この反力表示欄14において反力が閾値を超える場合は、例えばSTEP4のアウトリガーDの欄に示すように、表示色を変化させる。また、反力表示欄の上にSTEP1~4それぞれにおける補間フレームの機材モデル10を表示する。そして、安全率ウィンドウ52にアウトリガーA~Dの反力を表示する。この安全率ウィンドウ52では、クレーンセットウィンドウ51の吊荷重量欄58に示す吊荷重量をブーム角度やブーム長さで変化する定格荷重で割った値も安全率として安全率欄59に表示する。この安全率欄59において安全率が閾値を超える場合は、例えば70%以上90%未満は黄色、90%以上の場合は赤色とのように、表示色を変化させる。この安全率欄59での安全率の表示は、安全率のパーセンテージが最も高いものを表示しているが、各補間フレームごとに表示してもよい。
【0039】
ステップSS6の反力表示が終了すると、ステップSS7に移動し、n=iか判定され、n=iでない場合は、ステップSS3に戻りiを一つインクリメントする。n=iとなる場合は全てのアウトリガー反力監視シミュレーションRSが完了したので、終了する。
【0040】
以上のように、干渉確認シミュレーションISとアウトリガー反力監視シミュレーションRSが終了すると、図2に示す、メニュー部2の図面作成欄9をクリックする。図16は図面作成欄9をクリックしたときに表示されるシミュレーションレポート91を示す。このシミュレーションレポート91では、干渉確認シミュレーションISとアウトリガー反力監視シミュレーションRSを行う回数に合わせて複数の欄92・・・92を備えており、シミュレーション順にキーフレーム又は補間フレームの機材モデル10及び部材モデル11を複数の欄92・・・92に1つづつ表示している。また、複数の欄92・・・92には、対応するキーフレーム又は補間フレームにおける安全率及びアウトリガー反力の値も表示している。
【0041】
本実施形態では、クレーンを機材モデル10としているが、他の機材モデル10でも橋梁架設シミュレーションを行うことができる。例えば図17に示すように、多軸台車架設では多軸台車、FC船架設ではFC船、送り出し架設では手延機や手延機を組み立てるトラッククレーン、相吊り架設では2つのクレーンをそれぞれ機材モデル10として干渉確認シミュレーションISと必要であればアウトリガー反力監視シミュレーションRSを行うことが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 メイン画面
2 メニュー部
3 作業ウィンドウ
4 プロジェクト指定欄
5 クレーンセット欄
6 部材設定欄
7 操作パネル欄
8 キーフレーム操作欄
9 図面作成欄
10 機材モデル
11 部材モデル
12 対象モデル
13 完了モデル
14 反力表示欄
41 プロジェクト指定ウィンドウ
42 会社名欄
43 工事名欄
44 プロジェクトフォルダ
45 シミュレーションフォルダ
51 クレーンセットウィンドウ
52 安全率ウィンドウ
53 能力読込欄
53A ファイルタブ
54 ブーム長欄
55 危険角度欄
56 アウトリガー張出
57 作業半径欄
58 吊荷重量欄
59 安全率欄
61 部材設定ウィンドウ
62 施工部材モデルアタッチ欄
63 完成モデルアタッチ欄
64 部材モデル重心計算欄
65 部材モデル重量計算欄
66 部材モデル重量欄
67 吊金具重量欄
68 合計欄
71 操作パネルウィンドウ
71’ 操作パネルウィンドウ
72 旋回パラメータ
73 起伏パラメータ
74 ブーム伸縮パラメータ
75 本体回転パラメータ
81 キーフレーム操作ウィンドウ
82 登録ボタン
83 移動ボタン群
84 表示欄
85 コメント欄
86 実行ボタン
87 新規登録ウィンドウ
91 シミュレーションレポート
92 欄
100 CPU
101 HDD
102 RAM
103 ディスプレイ
CP コンピュータ
IS 干渉確認シミュレーション
RS アウトリガー反力監視シミュレーション
n 変数
i 変数
θ 変数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図17