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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027817
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】シート部材の分割治具および分割方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/06 20060101AFI20250220BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20250220BHJP
   B26D 5/30 20060101ALI20250220BHJP
   B29D 30/46 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
B29D30/06
B26D3/00 601E
B26D5/30 A
B29D30/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132961
(22)【出願日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】北原 翼
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 佳男
【テーマコード(参考)】
3C024
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
3C024FF02
3C024FF04
4F215AH20
4F215VA11
4F215VL01
4F215VP17
4F501TA11
4F501TE01
4F501TL16
4F501TV13
(57)【要約】
【課題】簡素でありながら、シート部材を所望の割合に精度よく分割できる高い汎用性を有する分割治具および分割方法を提供する。
【解決手段】本体部4の長手方向一端部に取付けた保持部2と本体部4とを旋回支点部3を中心にして旋回可能に連結し、本体部4の長手方向他端部に位置合わせ部4aを設け、旋回支点部3と位置合わせ部4aとを結ぶ直線5が所望の割合で分割された位置に目印6を設け、旋回支点部3から位置合わせ部4aまでを直線で結ぶ線分5の長さLをシート部材Sの全幅Wよりも大きく設定して、保持部2により旋回支点部3をシート部材Sの幅方向の一端S1に位置決めして、旋回支点部3を中心に本体部4を旋回させて位置合わせ部4aをシート部材Sの他端S2に一致させた状態にして、それぞれの目印6をシート部材Sを所望の割合で分割する際の指標にする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材を所望の割合で分割するためのシート部材の分割治具であって、
一方向に延在する本体部と、前記本体部の長手方向一端部に取付けられた保持部と、前記保持部と前記本体部とを旋回可能に連結する旋回支点部とを有し、
前記本体部は、その長手方向他端部に位置合わせ部を有するとともに、前記旋回支点部と前記位置合わせ部とを直線で結ぶ線分が所望の割合で分割された位置に目印を有し、前記線分の長さが前記シート部材の全幅の大きさ以上に設定されているシート部材の分割治具。
【請求項2】
前記本体部の前記目印に相当する位置に、前記本体部を厚さ方向に貫通する孔または切欠きからなる印付与部が形成されている請求項1に記載のシート部材の分割治具。
【請求項3】
複数種類の異なる所望の割合毎に、前記線分がそれぞれの前記所望の割合で分割された位置に前記目印が設置されている請求項1または2に記載のシート部材の分割治具。
【請求項4】
請求項1に記載のシート部材の分割治具を用いたシート部材の分割方法であって、前記保持部により前記旋回支点部を前記シート部材の幅方向の一端に位置決めして設置して、前記旋回支点部を中心にして前記本体部を前記シート部材の表面上で旋回させて前記位置合わせ部を前記シート部材の他端に一致させた状態にして、それぞれの前記目印を、前記シート部材を前記所望の割合で分割する際の指標にするシート部材の分割方法。
【請求項5】
前記シート部材の幅方向に間隔をあけて多数のコードが埋設されて前記シート部材の長手方向に延在していて、前記指標にするそれぞれの前記目印の位置で前記シート部材の表面に印を付与し、この付与した印に相当するそれぞれの位置に切断具を設置して前記シート部材の幅方向に隣り合う前記コードの間で前記コードに沿って前記シート部材を前記所望の割合で分割する請求項4に記載に記載のシート部材の分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート部材の分割治具および分割方法に関し、さらに詳しくは、簡素でありながら、シート部材を所望の割合に精度よく分割できる高い汎用性を有する分割治具および分割方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤなどのゴム製品を製造する際には、様々なシート部材が使用されている。製造現場では、広幅のシート部材(シート原反)が所望の幅に分割して使用される(例えば、特許文献1参照)。分割幅が所望の幅に対して誤差が大きいと、分割されたシート部材を用いて製造された製品の品質に悪影響が生じるため、シート部材を所望の幅に精度よく分割する必要がある。
【0003】
特許文献1では、多数本のタイヤコードが埋設されているシート部材を所定本数のタイヤコード毎に分割する装置が提案されている。この装置は、白色チョーク線引き手段、白色マークを検知するカウント手段、所定数の白色マークに有色レーザーを照射するレーザー照射手段、所定本数のタイヤ毎にシート部材を切断するフローティングナイフを備えている。そのため、この提案では装置が複雑化するとともに、相応の設備コストが必要になる。また、この提案されている装置は、シート部材にタイヤコードが埋設されていないと十分に機能しないため、タイヤコードが埋設されていないシート部材には適用できない。それ故、簡素でありながら、様々な種類のシート部材を所望の割合に精度よく分割するには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-159075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、簡素でありながら、シート部材を所望の割合に精度よく分割できる高い汎用性を有する分割治具および分割方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明のシート部材の分割治具は、シート部材を所望の割合で分割するためのシート部材の分割治具であって、一方向に延在する本体部と、前記本体部の長手方向一端部に取付けられた保持部と、前記保持部と前記本体部とを旋回可能に連結する旋回支点部とを有し、前記本体部は、その長手方向他端部に位置合わせ部を有するとともに、前記旋回支点部と前記位置合わせ部とを直線で結ぶ線分が所望の割合で分割された位置に目印を有し、前記線分の長さが前記シート部材の全幅の大きさ以上に設定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のシート部材の分割方法は、上記のシート部材の分割治具を用いたシート部材の分割方法であって、前記保持部により前記旋回支点部を前記シート部材の幅方向の一端に位置決めして設置して、前記旋回支点部を中心にして前記本体部を前記シート部材の表面上で旋回させて前記位置合わせ部を前記シート部材の他端に一致させた状態にして、それぞれの前記目印を、前記シート部材を前記所望の割合で分割する際の指標にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の本発明によれば、前記保持部により前記旋回支点部を前記シート部材の幅方向の一端に位置決めして設置して、前記旋回支点部を中心にして前記本体部を前記シート部材の表面上で旋回させて前記位置合わせ部を前記シート部材の他端に一致させた状態にすると、それぞれの前記目印は、前記シート部材の全幅を前記所望の割合で分割された位置に配置される。したがって、それぞれの前記目印を指標にすることで、前記シート部材を前記所望の割合で精度よく分割することが可能になる。
【0009】
この分割治具は複雑な構造ではなく簡素である。そして、この分割治具は、前記シート部材に埋設されるコードの有無に拘わらず、様々な種類のシート部材を所望の割合に精度よく分割できるので高い汎用性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のシート部材の分割治具の実施形態およびシート部材を平面視で例示する説明図である。
図2図1の分割治具およびシート部材を正面視で例示する説明図である。
図3図1の分割治具をシート部材に対して設置した状態を例示する説明図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5図3の旋回支点部を中心にして本体部を旋回させて位置合わせ部をシート部材の他端に一致させた状態を例示する説明図である。
図6図5のそれぞれの目印を指標にして付与された印を有するシート部材を例示する説明図である。
図7図6のそれぞれの付与された印に相当する位置に切断具を設置してシート部材を切断する状態を例示する説明図である。
図8】分割治具の別の実施形態を平面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のシート部材の分割治具および分割方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1図2に例示するシート部材の分割治具1の実施形態は、シート部材Sの全幅を所望の割合に分割する際に使用される。図中のX矢印、Y矢印、Z矢印はそれぞれの分割されるシート部材Sの幅方向、長手方向、厚さ方向を示している。
【0013】
シート部材Sは例えば、未加硫ゴム、加硫ゴム、樹脂、紙などで形成されている。シート部材Sのサイズは、その材質などによって異なるのが、全幅Wは例えば0.5m以上2m以下、全長は全幅Wよりも大きく(例えば数m以上500m以下)、厚さは例えば0.5mm以上2.5mm以下である。未加硫ゴムから形成されているシート部材Sの場合は、全幅Wは例えば1m以上1.5m以下、厚さは例えば1mm以上2mm以下である。
【0014】
このシート部材Sには、幅方向に間隔をあけて多数のコードfが埋設されていて、それぞれのコードfは長手方向に延在している。コードfとしては、繊維コードや金属線材(鋼線コード)が用いられる。コードfの外径は例えば0.1mm以上1.0mm以下、より好ましくは0.4mm以上0.9mm以下である。繊維コードの材質としては、ポリエステル、アラミド、レーヨンなどの公知の種々の樹脂が使用される。コードfは例えば、2本~4本のフィラメントが撚られた撚り構造であり、モノフィラメントの場合もある。シート部材Sにはコードfが埋設されていない場合もある。
【0015】
この分割治具1は、一方向に延在する本体部4と、本体部4の長手方向一端部に取付けられた保持部2と、保持部2と本体部4とを旋回可能に連結する旋回支点部3とを有している。この実施形態では、分割治具1は、シート部材Sを所望の割合として全幅を4等分に分割できるように設定されている。
【0016】
本体部4としては、一方向に直線的に延在する平板状体や棒状体などが採用される。本体部4は例えば、金属(一般的な鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など)や硬質樹脂などにより形成されている。本体部4の厚さは材質によって異なるが例えば2mm以上5mm以下程度である。本体部4の長手方向他端部には位置合わせ部4aが形成されている。この実施形態では、本体部4の長手方向他端部を平面視で先細の尖った形状にしてその先端を位置合わせ部4aにしている。
【0017】
保持部2は、旋回支点部3をシート部材Sの所定位置に固定する。この保持部2は、2枚の挟持板2a、2aと、これらの間に設置された付勢部材2bとを有している。一方の挟持板2a(図2では上側の挟持板2a)は単純な平板状であるが、他方の挟持板2a(図2では下側の挟持板2a)は途中で屈曲した板状体である。挟持板2a、2aの一端部(図2では右側端部)どうしは、付勢部材2bによる付勢力によって当接している。挟持板2a、2aの他端部(図2では左側端部)どうしを近接させるように移動させると、挟持板2a、2aの一端部どうしは、付勢部材2bによる付勢力に対抗して図2の矢印で例示する方向に離反する。即ち、保持部2は一般的なクリップと同様の構造をしている。付勢部材2bにはトーションばねが使用されているが、各種のバネや弾性材を用いることができる。
【0018】
一方の挟持板2aには、軸状の旋回支点部3が固定されている。また、この一方の挟持板2aの下面には位置決めガイド2cが突設されている。位置決めガイド2cは、一方の挟持板2aの下面と他方の挟持板2aの上面との間に配置されている。
【0019】
旋回支点部3は、本体部4の長手方向一端部を厚さ方向に貫通して一方の挟持板2aに固定されていて、本体部4には旋回支点部3が貫通する貫通孔が形成されている。したがって、本体部4は、旋回支点部3の平面視の中心軸CPを中心にして旋回可能になっている。
【0020】
本体部4は目印6を有している。この目印6は、旋回支点部3の中心軸CPと位置合わせ部4aとを直線で結ぶ線分5が所望の割合で分割された位置に配置されている。図1では、この線分5を一点鎖線で記載している。目印6は目視できるものであればよく、この実施形態のように単なる点表示でもよい。この線分5の長さLは、シート部材Sの全幅Wの大きさ以上に設定されている(長さL≧全幅W)。シート部材Sの全幅Wがある程度異なっていてもこの分割治具1を適用できるようにするために、線分5の長さLは、この分割治具1を適用することが想定される最も幅広のシート部材Sの全幅Wよりも若干大きく設定される。尚、線分5は本体部4に表示されなくてもよく、それぞれの目印6を有していればよい。
【0021】
この実施形態では、シート部材Sを分割する所望の割合が4等分なので、線分5が4等分された位置に目印6が配置されている。即ち、線分5の長さLが0.25Lに等分割された位置に目印6が配置されていて3つの目印6を有している。
【0022】
この実施形態では、本体部4のそれぞれの目印6に相当する位置に、本体部4を厚さ方向に貫通する切欠きからなる印付与部7が形成されている。印付与部7は、本体部4を厚さ方向に貫通する孔でもよく、任意で設けることができる。
【0023】
次に、この分割治具1を用いたシート部材Sの分割方法の手順の一例を説明する。
【0024】
図3図4に例示するように、コンベヤベルトなどの載置体9に平置きされているシート部材1に対して、分割治具1を適切な位置に設置する。そこで、保持部2により旋回支点部3をシート部材Sの幅方向の一端S1に位置決めして設置する。この実施形態では、シート部材Sの一方端部が載置体9の幅方向一端から突出している。
【0025】
詳述すると、図2に例示するように、挟持板2a、2aの他端部(図2では左側端部)どうしを近接させるように移動させて、挟持板2a、2aの一端部どうしを付勢部材2bによる付勢力に対抗して離反させる。この離反させた挟持板2a、2aの間に、シート部材Sおよび載置体9の幅方向一端部が挿入された状態にした後で、挟持板2a、2aの一端部どうしを付勢部材2bの付勢力によって近接させる。この時に、シート部材Sの幅方向の一端S1を位置決めガイド2cに当接させる。これにより、図4に例示するように、シート部材Sおよび載置体9の一端部は保持部2によって挟まれて、旋回支点部3(中心軸CP)をシート部材Sの幅方向の一端S1に位置決めして設置する。尚、載置体9の幅方向一端からシート部材Sの幅方向の一端S1が突出していていない状態になる場合は一方の挟持板2aの下面からの位置決めガイド2cの下方への突出量をシート部材Sの厚さと同程度にするなどの仕様にして、載置体9の上で位置決めガイド2cをシート部材Sの幅方向の一端S1に当接できるようにする。
【0026】
次いで、図5に例示するように、旋回支点部3(中心軸CL)を中心にして本体部4をシート部材Sの表面上で旋回させて位置合わせ部4aをシート部材Sの他端S2に一致させる。このようにして、位置合わせ部4aを他端S2に一致させて本体部4をシート部材Sに載置した状態する。位置合わせ部4aを他端S2に一致させた状態にすると、それぞれの目印6は、シート部材Sの全幅Wを所望の割合で分割された位置に配置される。したがって、それぞれの目印6を指標にすることで、シート部材Sを所望の割合で精度よく分割することが可能になる。
【0027】
例えば、図5のそれぞれの目印6に相当する位置でシート部材Sの表面に、ペンやスタンプによって印Pを付与すると、図6に例示する状態になる。それぞれの付与された印Pは、シート部材Sの全幅を4等分した位置にあるので、それぞれの付与された印Pに切り込みを入れてシート部材Sを長手方向に切断することで、シート部材Sを精度よく4分割することが可能になる。
【0028】
この実施形態では、それぞれの目印6を起点にしてシート部材Sを幅方向に隣り合うコードfの間でコードfに沿って切断する。具体的には、図7に例示するように、それぞれの目印6(または付与された印7)に相当するシート部材Sの幅方向位置に公知のカッタなどの切断具8を配置してシート部材Sを厚さ方向に貫通させる。次いで、載置体9であるコンベヤベルトを矢印の方向に走行させることで、シート部材Sを長手方向に移動させて、固定配置したそれぞれの切断具8によってシート部材Sを所望の割合に分割、切断する。
【0029】
図6に例示するようにシート部材Sの表面に印Pを付与することなく、図5に例示した状態で、それぞれの目印6の位置でシート部材Sに切り込みを入れて、それを起点にしてシート部材Sを分割してもよい。例えば、本体部4には、それぞれの目印6に相当する位置に切断具8を予め設置しておき、図5に例示した状態でそれぞれの切断具8を用いてシート部材Sに切り込みを入れて所望の割合に分割、切断することもできる。
【0030】
この実施形態では、シート部材Sの全幅Wを幅方向に4等分する場合を例示したが、例えば5等分する場合、6等分する場合、或いは、シート部材Sの一端S1から他端S2の間を1:2:3の幅寸法の割合で分割する場合には、分割するその所望の割合で線分5が分割された位置に目印6を設ければよい。したがって、シート部材Sを幅方向に分割する所望の割合は特に限定されず、様々な所望の割合でシート部材Sを幅方向に分割する際にこの分割治具1を適用することができる。
【0031】
この分割治具1は複雑な構造ではなく簡素である。そして、この分割治具1は、コードfが埋設されているシート部材Sであっても、コードfが埋設されていないシート部材Sであっても、所望の割合に精度よく分割できる。即ち、分割治具1は、様々な種類のシート部材Sを所望の割合に精度よく分割できるので高い汎用性を有している。
【0032】
上記の実施形態では、本体部4には線分5が1種類の所望の割合で分割された位置に目印6が付されているので、その所望の割合でのみシート部材Sを分割できる。そこで、線分5が別の所望の割合で分割された位置に目印6が付されている本体部4を用意しておくとよい。そして、分割する所望の割合に合致する本体部4を選択して、その本体部4を保持部2に対して旋回支点部3によって旋回可能に連結して使用すればよい。このように本体部4のみを交換することで、様々な所望の割合で精度よくシート部材Sを分割することができる。
【0033】
図8に例示する分割治具1の別の実施形態では、線分5が異なる複数種類の所望の割合毎に、それぞれの所望の割合で分割された位置に目印6が設置されている。即ち、本体部4には先の実施形態の一群の目印6に加えて、線分5が5等分された位置に目印6が配置されていて、これらそれぞれの目印6が別の一群を構成している。即ち、線分5の長さLが0.2Lに等分割された位置に目印6が配置されていて、4つの目印6を有している。したがって、この実施形態では本体部4には、4分割と5分割毎に、線分5がそれぞれの割合で分割された位置に目印6が設置されている。
【0034】
この分割治具1を用いてシート部材Sの全幅Wを幅方向に5等分する場合は、線分5を5等分した位置に配置されている目印6を指標にすればよい。それ故、この分割治具1によれば、1つの本体部4によって、シート部材Sを複数種類(2種類、3種類など)の所望の割合で精度よく分割することができる。
【0035】
本開示は以下の発明を包含している。
発明1:
シート部材を所望の割合で分割するためのシート部材の分割治具であって、
一方向に延在する本体部と、前記本体部の長手方向一端部に取付けられた保持部と、前記保持部と前記本体部とを旋回可能に連結する旋回支点部とを有し、
前記本体部は、その長手方向他端部に位置合わせ部を有するとともに、前記旋回支点部と前記位置合わせ部とを直線で結ぶ線分が所望の割合で分割された位置に目印を有し、前記線分の長さが前記シート部材の全幅の大きさ以上に設定されているシート部材の分割治具。
発明2:
前記本体部の前記目印に相当する位置に、前記本体部を厚さ方向に貫通する孔または切欠きからなる印付与部が形成されている発明1に記載のシート部材の分割治具。
発明3:
複数種類の異なる所望の割合毎に、前記線分がそれぞれの前記所望の割合で分割された位置に前記目印が設置されている発明1または2に記載のシート部材の分割治具。
発明4:
発明1~3のいずれかに記載のシート部材の分割治具を用いたシート部材の分割方法であって、前記保持部により前記旋回支点部を前記シート部材の幅方向の一端に位置決めして設置して、前記旋回支点部を中心にして前記本体部を前記シート部材の表面上で旋回させて前記位置合わせ部を前記シート部材の他端に一致させた状態にして、それぞれの前記目印を、前記シート部材を前記所望の割合で分割する際の指標にするシート部材の分割方法。
発明5:
前記シート部材の幅方向に間隔をあけて多数のコードが埋設されて前記シート部材の長手方向に延在していて、前記指標にするそれぞれの前記目印の位置で前記シート部材の表面に印を付与し、この付与した印に相当するそれぞれの位置に切断具を設置して前記シート部材の幅方向に隣り合う前記コードの間で前記コードに沿って前記シート部材を前記所望の割合で分割する発明4に記載に記載のシート部材の分割方法。
【符号の説明】
【0036】
1 分割治具
2 保持部
2a 挟持板
2b 付勢部材
2c 位置決めガイド
3 旋回支点部
4 本体部
4a 位置合わせ部
5 線分
6 目印
7 印付与部
8 切断具
9 載置体
S シート部材
f コード
P 付与された印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8