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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027818
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20250220BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20250220BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20250220BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
G06F1/20 C
H05K9/00 L
H05K7/20 G
H05K7/20 H
G06F1/20 B
H01L23/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132964
(22)【出願日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】矢口 裕一朗
(72)【発明者】
【氏名】中島 雄二
(72)【発明者】
【氏名】太田 武志
【テーマコード(参考)】
5E321
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E321AA50
5E321CC30
5E321GG05
5E322AA01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5F136BA04
5F136CA03
5F136CA11
(57)【要約】
【課題】冷却効率を向上可能な電子機器を提供する。
【解決手段】実施形態に係る電子機器は、ファンとダクトとヒートシンクとを含む。
ダクトは、上風向板と、下風向板と、第1、2側面板と、整流板と、を含む。ダクトは、ファンに向かって開口する開口部を有する。上風向板は、第1、2上板部を含む。第1上板部は、開口部の一端部から第1方向に延びる。第2上板部は、第1上板部からヒートシンクへ向かって曲がる。整流板は、ヒートシンクと上風向板との間に設けられる。整流板は、第1方向に延びる第1整流部と、第1整流部からヒートシンクへ向かって曲がる第1整流部と、を含む。下風向板は、開口部の他端部から延び、ヒートシンクに近づくにつれ第1上板部に近づく方向に傾斜する傾斜部を含む。傾斜部とヒートシンクとの間の空間は、第3方向に開放されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、
上風向板と、下風向板と、前記上風向板と前記下風向板とを接続する第1側面板及び第2側面板と、整流板と、を含み、前記ファンに向かって開口する開口部を有するダクトと、
第1電子部品に近接して配置されるヒートシンクと、
を備え、
前記上風向板は、
前記開口部の一端部から第1方向に延びる第1上板部と、
前記第1上板部から前記ヒートシンクへ向かって曲がり、前記第1方向に垂直な第2方向において前記ヒートシンクと並び前記第2方向に沿って延びる壁部を含む、第2上板部と、
を含み、
前記整流板は、前記ヒートシンクと前記上風向板との間に設けられ、
前記第1方向に延びる第1整流部と、
前記第1整流部から前記ヒートシンクへ向かって曲がり、前記第2方向において前記ヒートシンクと並び前記第2方向に沿って延びる部分を含む、第2整流部と、
を含み、
前記下風向板は、前記開口部の前記一端部から前記第2方向において離れた他端部から延び、前記第1方向において前記ヒートシンクと前記開口部との間に位置し、前記ヒートシンクに近づくにつれ前記第1上板部に近づく方向に傾斜する傾斜部を含み、
前記傾斜部の少なくとも一部は、前記ヒートシンクと前記開口部との間に位置し、
前記傾斜部と前記ヒートシンクとの間に位置する空間は、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向に開放されており、
前記第1側面板と前記第2側面板とは、前記第3方向において対向し、
前記第1側面板と前記第2側面板との間に、前記上風向板と前記下風向板との間の空間、及び、前記ヒートシンクと前記上風向板との間の空間が位置する、電子機器。
【請求項2】
前記第1整流部の前記第2方向における位置は、前記傾斜部の前記ヒートシンク側の端部の前記第2方向における位置と、前記第1上板部の前記第2方向における位置と、の間であり、
前記傾斜部の前記ヒートシンク側の前記端部と、前記第1整流部との間に隙間が設けられた、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
平面視において、前記ダクトと前記第3方向において並ぶ第2電子部品をさらに備え、
前記第2側面板は、前記第3方向において前記第1側面板と前記第2電子部品との間に位置し、前記第2側面板を前記第3方向に貫通する側面穴を有し、
前記ヒートシンクの中心の前記第3方向における位置は、前記ファンの中心の前記第3方向における位置と、前記第2側面板との間であり、
前記第1側面板は、前記開口部から前記ヒートシンクに近づくにつれ前記第2側面板に近づく方向に傾斜した傾斜板部を有する、請求項1または2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子機器は、CPU(Central Processing Unit)などの発熱する電子部品を含む。電子機器においては、電子部品に近接してヒートシンクが設けられ、ファンによってヒートシンクへ風が送られる。これにより、電子部品を冷却(放熱)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-131103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、冷却効率を向上可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る電子機器は、ファンと、ダクトと、ヒートシンクと、を含む。前記ダクトは、上風向板と、下風向板と、前記上風向板と前記下風向板とを接続する第1側面板及び第2側面板と、整流板と、を含む。前記ダクトは、前記ファンに向かって開口する開口部を有する。前記ヒートシンクは、前記第1電子部品に近接して配置される。前記上風向板は、第1上板部と、第2上板部と、を含む。前記第1上板部は、前記開口部の一端部から第1方向に延びる。前記第2上板部は、前記第1上板部から前記ヒートシンクへ向かって曲がる。前記第2上板部は、前記第1方向に垂直な第2方向において前記ヒートシンクと並び前記第2方向に沿って延びる壁部を含む。前記整流板は、前記ヒートシンクと前記上風向板との間に設けられる。前記整流板は、第1整流部と、第2整流部と、を含む。前記第1整流部は、前記第1方向に延びる。前記第2整流部は、前記第1整流部から前記ヒートシンクへ向かって曲がる。前記第2整流部は、前記第2方向において前記ヒートシンクと並び前記第2方向に沿って延びる部分を含む。前記下風向板は、前記開口部の前記一端部から前記第2方向において離れた他端部から延びる。前記下風向板は、前記第1方向において前記ヒートシンクと前記開口部との間に位置する。前記下風向板は、前記ヒートシンクに近づくにつれ前記第1上板部に近づく方向に傾斜する傾斜部を含む。前記傾斜部の少なくとも一部は、前記ヒートシンクと前記開口部との間に位置する。前記傾斜部と前記ヒートシンクとの間に位置する空間は、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向に開放されている。前記第1側面板と前記第2側面板とは、前記第3方向において対向する。前記第1側面板と前記第2側面板との間に、前記上風向板と前記下風向板との間の空間、及び、前記ヒートシンクと前記上風向板との間の空間が位置する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的平面図である。
図2図2は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的断面図である。
図3図3は、実施形態に係る電子機器のファン及びダクトを例示する模式的斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る電子機器のファン、ダクト及びヒートシンクを例示する模式的断面図である。
図5図5は、実施形態に係る電子機器のダクトを例示する模式的斜視図である。
図6図6は、実施形態に係る電子機器のダクトを例示する模式的斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る電子機器のダクトを例示する模式的斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る電子機器のダクト内の空気の流れを例示する模式的断面図である。
図9図9は、実施形態に係る電子機器の一部を例示する模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的平面図である。
図2は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的断面図である。
図2は、図1のA1-A2線における断面を表す。
実施形態に係る電子機器100は、略直方体の筐体80を有する。図1は、筐体80の内部を表している。電子機器100は、例えば産業用コンピュータなどの、電子計算装置である。
【0009】
図1に表したように、電子機器100の筐体80内には、ファン10、ダクト30(エアダクト)、ヒートシンク40、第1電子部品51、第2電子部品52、電源ユニット53、拡張カードホルダ54が設けられている。これらは、筐体80に対して、ネジなどの固定手段によって直接的又は間接的に固定されている。また、筐体80内には、基板56、メモリ57が設けられている。
【0010】
筐体80は、前面80fと、前面80fとは反対側の後面80bと、を有する。筐体80は、前面80fと後面80bとを接続する側面80sと側面80tとを有する。
【0011】
ファン10は、筐体80の前面80f側に設けられている。ファン10は、例えば軸流ファンである。ファン10は、前面80fの吸気口において筐体80の外部から吸い込んだ空気を、ダクト30などの筐体80内に送る。
【0012】
ダクト30は、ファン10よりも後面80b側に設けられている。ダクト30は、ファン10から送られる空気を、例えばヒートシンク40へ送る。
【0013】
ヒートシンク40は、ダクト30の一部よりも後面80b側に配置されている。ヒートシンク40の前方部分40aは、上下方向においてダクト30と重なっている。ヒートシンク40の後方部分40bは、上下方向においてダクト30と重ならない。
【0014】
ヒートシンク40は、第1電子部品51に近接して配置される。第1電子部品51は、例えばCPUであり、発熱源となる。第1電子部品51は、ヒートシンク40の略中央の下方に配置されている。ヒートシンク40は、第1電子部品51の熱を放熱する。
【0015】
図1に表したように、この例では、ヒートシンク40の平面形状は、矩形状である。また、図2に表したように、この例では、ヒートシンク40は、板状のベース部41と、複数のフィン42と、を有する。ベース部41は、第1電子部品51の上に設けられており、ベース部41の上面から、複数のフィン42が上方に延びている。フィン42は、例えば、前後方向に延在する板状である。
【0016】
図1に表したように、第2電子部品52は、ダクト30やヒートシンク40よりも、側面80t側に配置されている。第2電子部品52は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)であり、発熱源となる。
【0017】
拡張カードホルダ54は、ヒートシンク40よりも後面80b側に設けられている。拡張カードホルダ54とヒートシンク40との間は、拡張カード実装エリア55である。
【0018】
電源ユニット53は、拡張カード実装エリア55よりも側面80t側であり、第2電子部品52よりも後面80b側に設けられている。基板56(例えばRAID基板)及びメモリ57は、例えばヒートシンク40よりも側面80s側であり、ダクト30よりも後面80b側に設けられている。
【0019】
図3は、実施形態に係る電子機器のファン及びダクトを例示する模式的斜視図である。
図4は、実施形態に係る電子機器のファン、ダクト及びヒートシンクを例示する模式的断面図である。図4は、図3のA3-A4線における断面に対応する。
図5図7は、実施形態に係る電子機器のダクトを例示する模式的斜視図である。
【0020】
例えば、図4図6に表したように、ダクト30は、ファン10に向かって開口する開口部31を有する。ファン10は、開口部31からダクト30内へ送風する。図4に表したように、ダクト30は、上風向板32と、下風向板33と、整流板34と、を有する。また、図5図6に表したように、ダクト30は、第1側面板35と、第2側面板36と、を有する。開口部31は、上風向板32、下風向板33、第1側面板35及び第2側面板36の前端部により形成されており、略矩形状である。
【0021】
図4に表したように、上風向板32は、第1上板部321と、第2上板部322と、を有する。第1上板部321は、開口部31の一端部31pから、第1方向D1に延びている。
【0022】
実施形態の説明においては、第1方向D1に対して垂直な方向を第2方向D2とし、第1方向D1及び第2方向D2に対して垂直な方向を第3方向D3とする。また、説明の便宜上、ファン10からダクト30又はヒートシンク40へ向かう方向を「後方」といい、後方の逆方向を「前方」という。後方は、例えばファン10の送風方向である。前方は、例えばダクト30の開口部31の開口方向である。第1方向D1は、前後方向に沿った方向(例えば前後方向に平行な方向)である。また、下風向板33またはヒートシンク40から上風向板32へ向かう方向を「上方」とし、上方の逆方向を「下方」としている。第2方向D2は、上下方向に沿った方向(例えば上下方向に平行な方向)である。
【0023】
第2上板部322は、第1上板部321の端321e(開口部31とは反対側の端)から、ヒートシンク40へ向かって曲がって延びている。第2上板部322は、その下端に位置する壁部322wを有する。壁部322wは、第2方向D2においてヒートシンク40と並び、第2方向D2に延びている。
【0024】
ダクト30の後面には、壁部322wの下方に位置する開口部39が設けられている。ヒートシンク40は、開口部39に配置されている。より具体的には、ヒートシンク40の前方部分は、開口部39から前方のダクト30内に配置され、ヒートシンク40の後方部分は、開口部39から後方のダクト30外に配置されている。開口部31からダクト30内に送られた空気の一部は、開口部39から外部へ流れることができる。
【0025】
整流板34は、ヒートシンク40と上風向板32との間に設けられている。整流板34は、第1整流部341と、第2整流部342と、を含む。例えば、第1整流部341は、ヒートシンク40と第1上板部321の一部との間、及び、ヒートシンク40と第2上板部322の一部との間において、第1方向D1に延びている。
【0026】
第2整流部342は、第1整流部341の端341e(開口部31とは反対側の端)から、ヒートシンク40へ向かって曲がって延びている。第2整流部342は、その下端に位置する壁部342wを有する。壁部342wは、第2方向D2においてヒートシンク40と並び、第2方向D2に延びている。
【0027】
壁部342wと壁部322wとの間の領域は、例えば、ヒートシンク40の第1方向D1における中央と重なっている。例えば、壁部342wと壁部322wとの間の領域は、第2方向D2において発熱源(第1電子部品)と重なる。
【0028】
ヒートシンク40は、開口部31と第1方向D1において並んでいる。この例では、ヒートシンク40は、開口部31の一端部31pよりも下方に位置し、開口部31の他端部31qよりも上方に位置している。なお、他端部31qは、第2方向D2において、一端部31pから離れた端部である。
【0029】
下風向板33は、ダクト30の開口部31の他端部31qから延びている。下風向板33は、第1方向D1において、ヒートシンク40と、開口部31(またはファン10)と、の間である。言い換えれば、下風向板33の第1方向D1における位置は、ヒートシンク40の第1方向D1における位置と、開口部31(またはファン10)の第1方向D1における位置と、の間である。
【0030】
さらに、下風向板33の後側は、傾斜部331となっている。傾斜部331は、ヒートシンク40に近づくにつれ、第1上板部321に近づく方向に傾斜している。言い換えれば、傾斜部331は、後方に向かう登り傾斜を有する板状である。
【0031】
傾斜部331の少なくとも一部は、ヒートシンク40と開口部31(またはファン10)との間に位置する。この例では、傾斜部331の前端331fは、ヒートシンク40よりも下方に位置する。傾斜部331の後端331eは、フィン42と第1方向D1において並び、フィン42の上端よりも下方に位置する。また、例えば図4に表したように、第1整流部341の第2方向D2における位置は、傾斜部331の後端331e(ヒートシンク40側の端部)の第2方向D2における位置と、第1上板部321の第2方向D2における位置との間である。
【0032】
ヒートシンク40と傾斜部331との間には、空間SP3が形成されている。空間SP3は、傾斜部331の後方であって、ヒートシンク40の前方に位置する。
【0033】
図5及び図6に表したように、上風向板32及び下風向板33は、それぞれ、第3方向D3に延びている。第1側面板35及び第2側面板36は、それぞれ、ダクト30の開口部31から後方へ延びている。第1側面板35と第2側面板36とは、第3方向D3において互いに対向する。
【0034】
第1側面板35は、上風向板32の一端部と、下風向板33の一端部と、を接続する。第2側面板36は、上風向板32の他端部と、下風向板33の他端部と、を接続する。
上風向板32と下風向板33との間の空間SP1、及び、ヒートシンク40と上風向板32との間の空間SP2は、第1側面板35と第2側面板36との間に位置する。
【0035】
図5及び図7に表したように、第1側面板35及び第2側面板36は、空間SP3の側方を覆わない。空間SP3は、第3方向D3に開放されている。言い換えれば、ダクト30の側面には、空間SP3の側方に位置し、空間SP3に通じる開口部37(図7参照)及び開口部38(図5参照)が設けられている。開口部31からダクト30内に送られた空気の一部は、開口部37及び開口部38から外部へ流れることができる。
【0036】
例えば、図5(又は図3)に表したように、第2側面板36は、1又は複数の側面穴361(側面穴361a及び側面穴361b)を有する。側面穴361は、第2側面板36を第3方向D3に貫通する。側面穴361aは、傾斜部311よりも上方に位置する。側面穴361aは、空間SP1の側方に位置する。側面穴361bは、傾斜部331よりも後方に位置する。側面穴361bは、例えばヒートシンク40又は空間SP2の側方に位置する。
【0037】
図4に表したように、傾斜部331のヒートシンク40側の端部(後端331e)と、第1整流部341の前端と、の間には、隙間G1が設けられている。すなわち、空間SP2は、第1整流部341よりも上方に位置し空間SP1から連続する部分と、第1整流部341よりも下方に位置し空間SP1から連続する部分と、に分割されている。
【0038】
図8は、実施形態に係る電子機器のダクト内の空気の流れを例示する模式的断面図である。
図8は、流速解析シミュレーションに基づき、図8中の矢印は、空気の流れる向きを表している。ファン10が動作することによって、ファン10は、開口部31からダクト30内に送風する。
【0039】
開口部31から取り込まれた空気は、空間SP1から空間SP2へ流れる。例えば、空間SP1の上部においては、上風向板32の第1上板部321に沿って後方へ空気が流れる。また、例えば、空間SP1の下部においては、下風向板33の傾斜部331の傾斜に沿って空気が上方へ持ち上げられる。
【0040】
空間SP1から空間SP2へ流れた空気のうち、空間SP2の整流板34よりも上方の部分に流入した空気は、第2上板部322及び第2整流部342に沿って下方へ向けて流れ、ヒートシンク40の上方から、ヒートシンク40の中央部40cに当たる。
空間SP1から空間SP2へ流れた空気のうち、空間SP2の整流板34よりも下方の部分に流入した空気は、第2整流部342によって下方へ向けて流れ、ヒートシンク40の上方から、ヒートシンク40の中央部40cよりも前方の部分に当たる。
【0041】
上方からヒートシンク40に当たった空気の一部は、ヒートシンク40上を後方に流れ、ダクト30の後方に設けられた開口部39から、ダクト30の後方へ流れる。
上方からヒートシンク40に当たった空気の別の一部は、ヒートシンク40上を前方に流れ、傾斜部331の後方且つ下方の空間SP3へ流れる。空間SP3に流入した空気は、例えば、空間SP3の側方の開口部37(図7参照)または開口部38(図5参照)からダクトの側方へ流れる。
【0042】
例えば、ヒートシンクの前方からヒートシンクに風を当てる参考例の構成が考えられる。この場合、風は、ヒートシンクの前端から後端まで流れる。ここで、ヒートシンク上においては、例えばフィンによる圧力損失によって流路抵抗が高いため、風の流速が低下する場合がある。
【0043】
また、ヒートシンクにおいては、発熱源からの熱を受けるベース部において温度が最も高く、フィンの根本からフィンの先端に向けて温度が低下する。ここで、ヒートシンクの前方からヒートシンクに風を当てる参考例においては、風は主にフィンの先端部と根本部に当たることとなる。最も高温となるベース部においては、端面のみにしか風が当たらないことがある。
【0044】
これに対して、実施形態においては、上述したように、上風向板32は、第1上板部321と、第2上板部322と、を有する。また、整流板34は、第1整流部341と、第2整流部342と、を有する。これにより、図8に関して説明したように、ヒートシンク40の上方からヒートシンク40に風を当てることができる。ここで、下風向板33が傾斜部331を有することにより、風を一旦、上方に送ることができる。これにより、効率よく、ヒートシンク40の上方から空気を当てることができる。また、整流板34がヒートシンク40と上風向板32との間に位置することにより、渦流が発生することを抑制することができる。上方からヒートシンク40に風を当てる場合、例えばヒートシンク40の上面中心部からベース部41へ向けて風が送られる。これにより、例えば、冷却効率を向上させることができる。そして、ヒートシンク40の上方からヒートシンク40に当たった風は、例えば、前方又は後方へ流れる。例えば、風がヒートシンク40の前端から後端まで流れる参考例に比べて、ヒートシンク40の前方及び後方の両方からヒートシンク上の風が排気されることにより、風が排気される領域が増大する。さらに、ヒートシンク40上を風が流れる距離が短くなるため、流路抵抗を低減することができる。これにより、例えば流速の低下を抑制し、冷却効率を向上させることができる。また、傾斜部331とヒートシンク40との間の空間SP3は、第3方向D3において開放されている。そのため、ヒートシンク40上を前方に流れて空間SP3に流入した空気は、空間SP3の側方からダクト外に流れることができる。これにより、ヒートシンク40上を前方に流れて排気される空気に対する流路抵抗を低減することができる。流速の低下を抑制し、冷却効率をより向上させることができる。また、隙間G1(図4)が設けられた場合には、隙間G1を通して、ヒートシンク40のより広い範囲に上方から風を当てることができる。
【0045】
例えば、産業用コンピュータなど産業用途の装置は24時間365日稼働が前提であり、組み込まれるシステムのダウンタイムを短くするため、メンテナンスは短時間であることが求められる。そのため寿命品であるCPU冷却用ファンは、交換を容易にするため本体前面に配置され、発熱体やヒートシンクに風を吹き付ける方式をとっている。CPUは高性能化に伴い発熱量も増加傾向にある。例えば、CPUは高温になると安全回路が働き、性能が低下するため、十分な冷却が望まれる。また、例えば、この他のデバイスやICなども長寿命化のためには十分冷却されることが望ましい。
ファンを本体前面に配置した場合、ヒートシンクのフィン間の流路抵抗により、冷却風が流れにくくなる。特にフィン間が狭ピッチの場合は冷却性能が低下する場合がある。従来はエアダクトでヒートシンク正面(フィンと直交する面)に風を送り込む流路を作り、流路を途中で絞り込むことで風速を上げて冷却性能を上げていた。しかし、エアダクトを介してヒートシンク正面から冷却風を送る方式では 既に述べたように、ほとんどの風がフィンの先端部とフィンの根元部に当たり、最も高温となるベース部は端面のみにしか風が当たらない。
【0046】
これに対して実施形態においては、ヒートシンク40に対してダクト30により上から冷却風を当てることで高速の冷却風を発熱体に向けて送る。また、ダクト後方だけでなく、前面側と側面下方からも排気することで流路抵抗を低減することで、冷却効率を向上する。例えば、ファンの前面取付が可能であることと、十分にCPUを冷却する構造とを両立することができる。
【0047】
図9は、実施形態に係る電子機器の一部を例示する模式的平面図である。
図9中の矢印は、空気の流れる向きを表す。
図9に表したように、第2電子部品52は、平面視において、ダクト30と第3方向D3において並ぶ。第2側面板36は、第3方向D3において第2電子部品52と第1側面板35との間である。
【0048】
第2側面板36は、第1方向D1に延びている。第1側面板35は、傾斜板部351と、板部352と、を有する。傾斜板部351は、ヒートシンク40に近づくにつれて第2側面板36に近づく方向に傾斜している。板部352は、傾斜板部351の後端から第1方向D1に延びている。
【0049】
ファン10の中心は、ヒートシンク40(又は第1電子部品51)の中心に対してオフセットしている。すなわち、ヒートシンク40(又は第1電子部品51)の第3方向D3における中心の位置P1は、ファン10の第3方向D3における中心の位置P2と、第2側面板36の第3方向D3における位置と、の間である。
【0050】
ファン10によって開口部31からダクト30内に送られた空気の一部の流れる方向は、傾斜板部351によって、第1方向D1から、第1方向D1よりも第2側面板36側へ傾斜した方向に変化する。第2側面板36側へ流れた空気の一部は、第2側面板36に設けられた側面穴361(図5参照)を通って、第2電子部品52の方向へ流れることができる。これにより、第2電子部品52を冷却することができる。
【0051】
例えば、HDD(第2電子部品52)は、熱を持つことで軸受けの油が蒸発し、寿命が短くなることがある。これに対して、実施形態によれば、CPUと並列に配置されたHDDを効率よく冷却することが可能となる。傾斜板部351は、例えばダクト30内の流路を絞り込み、ダクト内部の圧力を上げ、側面穴361からの風速を上げる。
【0052】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
ファンと、
上風向板と、下風向板と、前記上風向板と前記下風向板とを接続する第1側面板及び第2側面板と、整流板と、を含み、前記ファンに向かって開口する開口部を有するダクトと、
第1電子部品に近接して配置されるヒートシンクと、
を備え、
前記上風向板は、
前記開口部の一端部から第1方向に延びる第1上板部と、
前記第1上板部から前記ヒートシンクへ向かって曲がり、前記第1方向に垂直な第2方向において前記ヒートシンクと並び前記第2方向に沿って延びる壁部を含む、第2上板部と、
を含み、
前記整流板は、前記ヒートシンクと前記上風向板との間に設けられ、
前記第1方向に延びる第1整流部と、
前記第1整流部から前記ヒートシンクへ向かって曲がり、前記第2方向において前記ヒートシンクと並び前記第2方向に沿って延びる部分を含む、第2整流部と、
を含み、
前記下風向板は、前記開口部の前記一端部から前記第2方向において離れた他端部から延び、前記第1方向において前記ヒートシンクと前記開口部との間に位置し、前記ヒートシンクに近づくにつれ前記第1上板部に近づく方向に傾斜する傾斜部を含み、
前記傾斜部の少なくとも一部は、前記ヒートシンクと前記開口部との間に位置し、
前記傾斜部と前記ヒートシンクとの間に位置する空間は、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向に開放されており、
前記第1側面板と前記第2側面板とは、前記第3方向において対向し、
前記第1側面板と前記第2側面板との間に、前記上風向板と前記下風向板との間の空間、及び、前記ヒートシンクと前記上風向板との間の空間が位置する、電子機器。
(構成2)
前記第1整流部の前記第2方向における位置は、前記傾斜部の前記ヒートシンク側の端部の前記第2方向における位置と、前記第1上板部の前記第2方向における位置と、の間であり、
前記傾斜部の前記ヒートシンク側の前記端部と、前記第1整流部との間に隙間が設けられた、構成1に記載の電子機器。
(構成3)
平面視において、前記ダクトと前記第3方向において並ぶ第2電子部品をさらに備え、
前記第2側面板は、前記第3方向において前記第1側面板と前記第2電子部品との間に位置し、前記第2側面板を前記第3方向に貫通する側面穴を有し、
前記ヒートシンクの中心の前記第3方向における位置は、前記ファンの中心の前記第3方向における位置と、前記第2側面板との間であり、
前記第1側面板は、前記開口部から前記ヒートシンクに近づくにつれ前記第2側面板に近づく方向に傾斜した傾斜板部を有する、構成1または2に記載の電子機器。
【0053】
実施形態によれば、冷却効率を向上可能な電子機器が提供できる。
【0054】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0055】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
10:ファン
30:ダクト
31:開口部
31p:一端部
31q:他端部
32:上風向板
33:下風向板
34:整流板
35:第1側面板
36:第2側面板
37、38、39:開口部
40:ヒートシンク
40a:前方部分
40b:後方部分
40c:中央部
41:ベース部
42:フィン
51:第1電子部品
52:第2電子部品
53:電源ユニット
54:拡張カードホルダ
55:拡張カード実装エリア
56:基板
57:メモリ
80:筐体
80b:後面
80f:前面
80s、80t:側面
80t:側面
100:電子機器
311:傾斜部
321:第1上板部
321e:端
322:第2上板部
322w:壁部
331:傾斜部
331e:後端
331f:前端
341:第1整流部
341e:端
342:第2整流部
342w:壁部
351:傾斜板部
352:板部
361、361a、361b:側面穴
G1:隙間
P1、P2:位置
SP1、SP2、SP3:空間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9