(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027825
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】輸送箱
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20250220BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
B65D25/20 K
B65D5/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132974
(22)【出願日】2023-08-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ウェブサイトの掲載日 令和4年9月14日 ウェブサイトのアドレス https://www.mediceo.co.jp/ https://www.mediceo.co.jp/solution/pharmaceutical/medks-ship (2)販売日 令和4年9月1日 販売した場所 東京都中央区八重洲2丁目7番15号 SPLine株式会社 (3)販売日 令和5年3月29日 販売した場所 東京都中央区京橋二丁目5番18号 SPLine株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)開催日 令和5年5月25日 開催場所 アジア・シームレス物流フォーラム2023 東京流通センター(TRC)第二展示場E・Fホール
(71)【出願人】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516275583
【氏名又は名称】SPLine株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】高松 一志
(72)【発明者】
【氏名】冨田 和孝
(72)【発明者】
【氏名】大金 秀伍
【テーマコード(参考)】
3E060
3E062
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BA06
3E060CB06
3E060CC02
3E060CC12
3E060CC34
3E060CC43
3E060CE04
3E060CE14
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA15
3E060DA22
3E062AA01
3E062AC05
3E062BA07
3E062BB09
3E062EA05
3E062EB01
3E062EC01
3E062FA05
3E062FB02
3E062MA02
(57)【要約】
【課題】輸送条件に制限を有する収容物を収容し、必要な輸送環境を測定して記録する計測ロガーを省スペースで取り付け、外から収容物と計測ロガーを容易に視認することができる輸送箱を提供する。
【解決手段】筒体に組み立てられた4つの側面16,18,20,22と、筒体の上方の開口を閉鎖する蓋部34と、下方の開口を閉鎖する底部129とから成る外箱12を有する。外箱12の中に、複数個の収容物222を位置決めする収容物仕切りパーツ150を備える。蓋部34が連接した側面16,20に交差する他の側面から連続して、温度ロガー214を保持する温度ロガー用仕切112を備える。収容物222は、蓋部34の裏面と側面16,20の裏面に対面し、蓋部34と側面16,20には収容物222を視認する収容物用透孔52,54を備える。外箱12は、複数個の収容物222を個別に開封の跡を残して取り出し可能な開封部48を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の箱体形成片から成り、筒体に組み立てられた4つの側面と、4つの側面で形成された筒体の上方の開口を閉鎖する蓋部と、下方の開口を閉鎖する底部とが設けられた外箱を備え、前記外箱の中には、複数個の収容物を位置決めする収容物仕切りパーツが設けられ、
前記蓋部は、前記側面の開口端部に設けられ、前記蓋部が設けられた前記側面に交差する前記他の側面から連続して、任意の計測対象を測定し記録する計測ロガーを保持する計測ロガー用仕切が設けられ、
前記収容物は、前記蓋部の裏面と前記側面の裏面に対面し、前記蓋部と前記側面には、前記収容物を視認する収容物用透孔が形成され、
前記外箱は、複数個の前記収容物を個別に開封の跡を残して取り出し可能な開封部を備えたことを特徴とする輸送箱。
【請求項2】
前記収容物仕切りパーツには、組み立て状態で、前記蓋部が設けられた前記側面に交差する収容物用仕切片が設けられ、前記収容物用仕切片は、前記収容物用仕切片に沿って前記収容物を2つ並べて収容する長さを有し、
前記蓋部は、互いに対向する一対の前記側面から前記開口端部の中央に向かって閉じる一対の蓋板から成り、前記一対の蓋板は、各々蓋板用折罫線を介して前記側面に設けられ、前記蓋板の、前記蓋板用折罫線とは反対側の端部には差込片が差込片用折罫線を介して隣接して設けられている請求項1記載の輸送箱。
【請求項3】
前記各蓋板は、前記収容物仕切りパーツの前記各収容物用仕切片に沿って並ぶ2つの前記収容物の片側1列ずつを覆う大きさであり、前記差込片は、前記一対の蓋板を閉じた時に前記差込片用折罫線により前記蓋板に対して折り曲げられて一対が互いに合わされ、前記収容物用仕切片に沿って並ぶ一対の前記収容物の間に差し込まれて係止され、
前記収容物用仕切片と前記差込片のいずれか、または両方に、前記収容物用仕切片または前記差込片が差し込まれて位置決めされるスリットが設けられている請求項2記載の輸送箱。
【請求項4】
前記外箱の前記蓋板の前記開封部には、複数個の前記収容物を個別に開封の跡を残して取り出し可能にする開封用破断線が設けられ、前記開封用破断線は前記蓋板用折罫線に交差して設けられ、組み立て状態で、収容された前記収容物どうしの間付近に位置し、
前記開封用破断線の一方の端部は前記差込片との境界である前記差込片用折罫線に位置し、反対の端部は前記蓋板用折罫線を超えて前記側面に位置し、前記開封用破断線の前記側面に位置する前記一対の端部の間には、前記端部どうしを連結する開封開始破断線が設けられ、前記側面には前記開封開始破断線に隣接して開封用穴が設けられている請求項2記載の輸送箱。
【請求項5】
前記計測ロガー用仕切には、前記計測ロガーの上方を覆うロガー用上面片と、前記計測ロガーの前記外箱の中央側を覆うロガー用立上片が設けられ、組立状態では前記側面と前記ロガー用上面片、前記ロガー用立上片が互いに交差し、前記側面と前記ロガー用上面片、前記ロガー用立上片で囲んで計測ロガー収容空間が形成され、
前記外箱の、前記計測ロガー用仕切が設けられた前記側面には、前記計測ロガーの表示部及び操作部の少なくとも一方に対向して計測ロガー用透孔が設けられている請求項1記載の輸送箱。
【請求項6】
前記計測ロガー用仕切が設けられた前記側面に対向するその他の前記側面には、保持用穴部と、保持用空間が設けられている請求項1記載の輸送箱。
【請求項7】
前記外箱の内部には前記収容物を保冷する保冷剤を収容する保冷剤収容空間が形成されている請求項1乃至6のいずれか記載の輸送箱。
【請求項8】
前記計測ロガー収容空間の中には、前記計測ロガーと、前記計測ロガーを保持するロガー押さえパーツが設けられ、
前記計測ロガーは、前記計測ロガー用仕切が設けられた前記側面に交差するその他の前記側面の裏面に対面し、前記計測ロガーが対面する前記側面には、前記計測ロガーを操作するロガー操作用透孔が設けられている請求項5記載の輸送箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、輸送条件に制限を有する収容物を入れて搬送及び保管可能な輸送箱に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品には、例えばバイアル等に収容され高価で、輸送する際に厳しい温度管理が必要な製品がある。従来、このような収容物を入れて輸送する際に、温度を継続的に記録する機能を備えた輸送箱がある。例えば、特許文献1に開示されている輸送箱は、側面の上方の開口を閉鎖する上蓋片が設けられた外箱を備え、外箱の中に、複数個の収容物を区切って収容する仕切りパーツと、任意の計測対象を測定し記録する計測ロガーを保持するロガー押さえパーツが設けられている。外箱は、複数個の収容物を個別に開封の跡を残して取り出し可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術の場合、複数個の収容物を一列にして収容するため、多くの収容物を収容する場合、箱の外形が大きくなり収容効率が悪くなる。また、収容物の列方向に、計測ロガーの長手方向を沿わせて収容するため、外箱の内側に、収容物の列方向で計測ロガー以外の空間は、何も入れない無駄なスペースが生じる。
【0005】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、輸送条件に制限を有する収容物をコンパクトに複数個収容し、必要な輸送環境を測定して記録する計測ロガーを省スペースで取り付け、また外から収容物と計測ロガーを容易に視認することができる輸送箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一枚の箱体形成片から成り、筒体に組み立てられた4つの側面と、4つの側面で形成された筒体の上方の開口を閉鎖する蓋部と、下方の開口を閉鎖する底部とが設けられた外箱を備え、前記外箱の中には、複数個の収容物を位置決めする収容物仕切りパーツが設けられ、前記蓋部は、前記側面の開口端部に設けられ、前記蓋部が設けられた前記側面に交差する前記他の側面から連続して、任意の計測対象を測定し記録する計測ロガーを保持する計測ロガー用仕切が設けられ、前記収容物は、前記蓋部の裏面と前記側面の裏面に対面し、前記蓋部と前記側面には前記収容物を視認する収容物用透孔が形成され、前記外箱は、複数個の前記収容物を個別に開封の跡を残して取り出し可能な開封部を備えた輸送箱である。
【0007】
前記収容物仕切りパーツには、組み立て状態で、前記蓋部が設けられた前記側面に交差する収容物用仕切片が設けられ、前記収容物用仕切片は、前記収容物用仕切片に沿って前記収容物を2つ並べて収容する長さを有し、前記蓋部は、互いに対向する一対の前記側面から前記開口端部の中央に向かって閉じる一対の蓋板から成り、前記一対の蓋板は、各々蓋板用折罫線を介して前記側面に設けられ、前記蓋板の、前記蓋板用折罫線とは反対側の端部には差込片が差込片用折罫線を介して隣接して設けられている。
【0008】
前記各蓋板は、前記収容物仕切りパーツの前記各収容物用仕切片に沿って並ぶ2つの前記収容物の片側1列ずつを覆う大きさであり、前記差込片は、前記一対の蓋板を閉じた時に前記差込片用折罫線により前記蓋板に対して折り曲げられて一対が互いに合わされ、前記収容物用仕切片に沿って並ぶ一対の前記収容物の間に差し込まれて係止され、前記収容物用仕切片と前記差込片のいずれか、または両方に、前記収容物用仕切片または前記差込片が差し込まれて位置決めされるスリットが設けられている。
【0009】
前記外箱の前記蓋板の前記開封部には、複数個の前記収容物を個別に開封の跡を残して取り出し可能にする開封用破断線が設けられ、前記開封用破断線は前記蓋板用折罫線に交差して設けられ、組み立て状態で、収容された前記収容物どうしの間付近に位置し、前記開封用破断線の一方の端部は前記差込片との境界である前記差込片用折罫線に位置し、反対の端部は前記蓋板用折罫線を超えて前記側面に位置し、前記開封用破断線の前記側面に位置する前記一対の端部の間には、前記端部どうしを連結する開封開始破断線が設けられ、前記側面には前記開封開始破断線に隣接して開封用穴が設けられている。
【0010】
前記計測ロガー用仕切には、前記計測ロガーの上方を覆うロガー用上面片と、前記計測ロガーの前記外箱の中央側を覆うロガー用立上片が設けられ、組立状態では前記側面と前記ロガー用上面片、前記ロガー用立上片が互いに交差し、前記側面と前記ロガー用上面片、前記ロガー用立上片で囲んで計測ロガー収容空間が形成され、前記外箱の、前記計測ロガー用仕切が設けられた前記側面には、前記計測ロガーの表示部及び操作部の少なくとも一方に対向して計測ロガー用透孔が設けられている。
【0011】
前記計測ロガー用仕切が設けられた前記側面に対向するその他の前記側面には、保持用穴部と、保持用空間が設けられている。また、前記外箱の内部には、前記収容物を保冷する保冷剤を収容する保冷剤収容空間が形成されていると良い。
【0012】
前記計測ロガー収容空間の中には、前記計測ロガーと、前記計測ロガーを保持するロガー押さえパーツが設けられ、前記計測ロガーは、前記計測ロガー用仕切が設けられた前記側面に交差するその他の前記側面の裏面に対面し、前記計測ロガーが対面する前記側面には、前記計測ロガーを操作するロガー操作用透孔が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の輸送箱は、輸送条件に制限を有する収容物をコンパクトに複数個収容し、必要な輸送環境を測定して記録する計測ロガーを省スペースで取り付けることができ、外から収容物と計測ロガーを容易に視認することができる。さらに、複数個の収容物を個別に開封の跡を残して取り出し可能であり、残った収容物を引き続き収容することができ、高い改ざん防止効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の一実施形態の輸送箱の分解斜視図である。
【
図2】この実施形態の輸送箱の外箱の展開図である。
【
図3】この実施形態の輸送箱の底板部材の展開図である。
【
図4】この実施形態の輸送箱の収容物仕切りパーツの展開図である。
【
図5】この実施形態の輸送箱のロガー押さえパーツの展開図である。
【
図7】この実施形態の輸送箱の変形例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図6はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の輸送箱10は、外側を覆う外箱12と、外箱12の後述する底部129の内側に入れる底板部材140と、底板部材140の載置面142に置く収容物仕切りパーツ150と、収容物仕切りパーツ150に並んで底板部材140の載置面142に置くロガー押さえパーツ186からなる。
【0016】
先ず、外箱12について説明する。外箱12は、紙製のシートを打ち抜いて形成された箱体形成片14を組み立てて設けられている。
図2は箱体形成片14を表面から見た展開図であり、箱体形成片14は、組立状態で四角筒状の4側面を形成する、背面板16、左側面板18、正面板20、右側面板22が、互いに平行に隣接して形成されている。背面板16、左側面板18、正面板20、右側面板22は、隣接している幅方向は同じ長さであり、隣接している方向の長さは背面板16と正面板20が長くて互いにほぼ等しく、左側面板18と右側面板22はそれより短くて互いにほぼ等しい。さらに背面板16の側縁部には、外箱12の組立状態で右側面板22の裏面に糊付けされる糊付片24が設けられている。糊付片24、背面板16、左側面板18、正面板20、右側面板22は、各々折罫線26,28,30,32で区切られている。
【0017】
背面板16において、側面同士の隣接方向に対して直角な方向の一端部であり組立状態で上方の開口端部となる一端部には、蓋部34を形成する蓋板36が蓋板用折罫線38で区切られて設けられている。蓋板36の、蓋板用折罫線38とは反対側の端部36aには、差込片40が差込片用折罫線42で区切られて設けられている。差込片40は、端部36aに沿う方向は端部36aよりも少し小さく、端部36aに対して交差する方向は蓋板36よりも少し大きい矩形である。なお、差込片40は、差込片用折罫線42よりも、差込片用折罫線42とは反対側の端部40が、僅かに短い台形でも良い。差込片40は端部36aの、折罫線26よりも折罫線28に少し近い位置に設けられ、差込片用折罫線42の両側に、差込片40に隣接しない端部36aが位置し、折罫線26側の端部36aの方が折罫線28側の端部36aよりも少し長い。差込片40の、差込片用折罫線42とは反対側の端部40aには、端部40aを三等分する位置にスリット41が設けられている。スリット41は、端部40aに対して略直角な直線で形成され、端部40aと差込片用折罫線42の間の長さの、2/3程度の長さである。端部40aとスリット41が交差する角部は、各々斜めに切り欠かれて、収容物仕切りパーツ150の後述する収容物用仕切片152,168をガイドするガイド部43となる。
【0018】
蓋板36には、蓋板用折罫線38に対して略直角に交差する開封用破断線44が4本設けられ、4本の開封用破断線44は互いに等間隔に設けられ、組み立て状態で収容された収容物222どうしの間付近に位置する。開封用破断線44の一方の端部は差込片用折罫線42に位置し、反対の端部は蓋板用折罫線38を超えて背面板16の中央付近に位置し、開封用破断線44の背面板16に位置する一対の端部の間には、端部どうしを連結する開封開始破断線46が設けられている。開封開始破断線46は、中心付近が開封用破断線44の端部よりも蓋板用折罫線38から離れる方に傾斜し、台形状に形成されている。一対の開封用破断線44と、開封開始破断線46と、差込片用折罫線42に囲まれた部分は、後述する収容物222を取り出す際に開封する開封部48となる。蓋板36と背面板16には、4本の開封用破断線44と3本の開封開始破断線46により、3つの開封部48が設けられる。蓋板36には、各開封部48の中央に、収容物222を視認する矩形の収容物用透孔52が形成されている。
【0019】
背面板16には、開封開始破断線46の中心に隣接して、蓋板用折罫線38に近い側に、開封用穴50が設けられている。開封用穴50は、開封部48の幅の1/2程度の直径の半円形に形成され、開封開始破断線46に接する部分は直線であり、蓋板用折罫線38側は蓋板用折罫線38に向かって膨出する円弧である。各開封部48の下方には、つまり開封開始破断線46と後述する折罫線60との間には、収容物222を視認する矩形の収容物用透孔54が3つ形成されている。各収容物用透孔54は各開封部48に対応し、外箱12には、表側から透明な保護フィルムが貼られ、収容物用透孔52,54を塞いでいる。なお、保護フィルムは、外箱12の裏側から貼られていても良い。折罫線26に隣接する部分には、後述する計測ロガーである温度ロガー214の図示しない操作部に対向して、温度ロガー操作用透孔56が設けられている。
【0020】
背面板16の、蓋板用折罫線38とは反対側の端部には、第一底蓋片58が折罫線60で区切られて設けられている。第一底蓋片58は、折罫線60を下底とする台形状に形成され、折罫線60からそれに対して平行な上底である端部58aまでの長さは、外箱12の組立状態で底部129の中心線付近に位置する長さ、つまり左側面板18や右側面板22の約半分の幅に設けられている。端部58aには糊付片24に近い位置に、端部58aから外側に突出する小形の四角形状の第一底部差込片62が一体に設けられている。端部58aの、側面18側の部分は、略三角形の底部糊付片64が折罫線66で区切られて設けられている。折罫線66は、折罫線60に対して交差する方向に設けられている。
【0021】
左側面板18の、背面板16の蓋板用折罫線38に隣接する端部には、後述する保持用穴部88の保持用空間220を形成する保持部用仕切68が、折罫線70で区切られて設けられている。保持部用仕切68には、保持部用上面片72と、外箱12の中央側の面を覆う保持部用立上片74と、後述する底板部材140の載置面142に重ねられる保持部用下面片76が、順に保持部用折罫線78,80で区切られて設けられている。保持部用仕切68の、折罫線70に交差する一対の側縁部68aは、折罫線70と保持部用折罫線78の間では折罫線28,30の延長線上にあり、保持部用上面片72の折罫線70に対して平行な長さは左側面板18と同じである。保持部用折罫線78よりも先端の部分は、それよりも保持部用仕切68の中央寄りに位置し、保持部用立上片74と保持部用下面片76の、折罫線70に対して平行な長さは左側面板18よりも少し短い。折罫線80の両端部は側縁部68aに達しておらず、保持部用折罫線80の両端部は各々切断線82に連続している。切断線82は、L字形であり、保持部用折罫線80に連続する部分は保持部用折罫線80に対して略直角で保持部用折罫線78に向かって延出する直線であり、側縁部68aに連続する部分は保持部用折罫線80に対して略平行である。
【0022】
左側面板18には、中心よりも少し折罫線70に近い位置に、コの字形の切断線84が設けられている。切断線84は、中間部分は折罫線70に対して略平行であり、両側部分は、折罫線70に対して略直角であり、折罫線70に向かって延出している。切断線84の両端部は、折罫線70に対して略平行な折曲線86で連結されている。切断線84と折曲線86で囲まれた部分は、折曲線86を軸として左側面板18から折り曲げが可能であり、折り曲げた跡には保持用穴部88が形成される。左側面板18の、折罫線70とは反対側の端部には、三角形状の底フラップ90が折罫線92で区切られて設けられている。
【0023】
正面板20の、左側面板18の折罫線70に隣接する端部には、蓋板36と線対称形状の蓋板94が蓋板用折罫線96で区切られて設けられ、蓋板94には4本の開封用破断線44と3つの収容物用透孔52が設けられている。蓋板94の、蓋板用折罫線96とは反対側の端部94aには、差込片40と線対称形状の差込片98が差込片用折罫線100で区切られて設けられ、差込片98の、差込片用折罫線100とは反対側の端部98aには二つのスリット41が設けられ、スリット41が交差する角部にはガイド部43が形成されている。差込片98は端部94aの、折罫線32よりも折罫線30に少し近い位置に設けられ、差込片用折罫線100の両側に、差込片98に隣接しない端部94aが位置し、折罫線32側の端部94aの方が折罫線30側の端部94aよりも少し長い。
【0024】
蓋板94にも、蓋板用折罫線96に対して略直角に交差する開封用破断線44が4本設けられ、4本の開封用破断線44は互いに等間隔に設けられ、組み立て状態で収容された収容物222どうしの間付近に位置する。開封用破断線44の一方の端部は差込片用折罫線100に位置し、反対の端部は蓋板用折罫線96を超えて正面板20の中央付近に位置し、開封用破断線44の正面板20に位置する一対の端部の間には開封開始破断線46が設けられている。一対の開封用破断線44と、開封開始破断線46と、差込片用折罫線100に囲まれた部分は開封部48となる。蓋板94と正面板20には、4本の開封用破断線44と3本の開封開始破断線46により、3つの開封部48が設けられている。蓋板94には、各開封部48の中央に収容物用透孔52が形成されている。
【0025】
正面板20には、開封開始破断線46の中心に隣接して、開封用穴50が設けられている。各開封部48の下方には、矩形の収容物用透孔54が3つ形成され、各開封部48に対応している。
【0026】
正面板20の、蓋板用折罫線96とは反対側の端部には、第一底蓋片58と同形状の第二底蓋片102が折罫線104で区切られている。第二底蓋片102は、折罫線104を下底とする台形状に形成され、上底である端部102aには左側面板18に近い位置に第二底部差込片106が一体に設けられている。端部102aの、右側面板22側の部分は、底部糊付片108が折罫線110で区切られて設けられている。折罫線110は、折罫線104に対して交差する方向に設けられている。
【0027】
右側面板22の、正面板20の蓋板用折罫線96に隣接する端部には、計測ロガーを収容するための計測ロガー収容空間を形成する計測ロガー用仕切が設けられている。計測ロガーは、輸送箱10内の環境や保管状態等を測定し履歴を記録するもので、ここでは、計測ロガーは温度ロガー214であり、ロガー収容空間は温度ロガー収容空間216であり、計測ロガー用仕切は温度ロガー用仕切112である。温度ロガー用仕切112は、折罫線114で右側面板22と区切られて設けられている。
【0028】
温度ロガー用仕切112には、温度ロガー214の上方を覆う温度ロガー用上面片116と、外箱12の中央側の面を覆う温度ロガー用立上片118と、後述する底板部材140の載置面142に重ねられる温度ロガー用下面片120が、折罫線114から順に温度ロガー用折罫線122,124で区切られて設けられている。温度ロガー用仕切112の、折罫線114に交差する一対の側縁部112aは、折罫線114と温度ロガー用折罫線122の間では、折罫線32と、右側面板22の折罫線32とは反対側の側縁部22aの延長線上にあり、温度ロガー用上面片116の折罫線114に対して平行な長さは右側面板22と同じである。温度ロガー用折罫線122よりも先端の部分は、折罫線32の延長線上に位置する側縁部112aが温度ロガー用仕切112の中央寄りに移動し、温度ロガー用立上片118と温度ロガー用下面片120の、折罫線114に対して平行な長さは右側面板22よりも少し短い。温度ロガー用折罫線124は直線であり、温度ロガー用折罫線124の両端部は側縁部112aに達している。
【0029】
右側面板22の中央には、少し側縁部22aに近い位置に、温度ロガー214の表示部及び操作部に対向する温度ロガー用透孔126が設けられている。温度ロガー用透孔126は、変形した矩形である。右側面板22の、折罫線114とは反対側の端部には、三角形状の底フラップ128が折罫線130で区切られて設けられている。
【0030】
次に、この実施形態の外箱12の組立方法について説明する。なお、ここでは
図2が外箱12の箱体形成片14の表面を見たものであり、箱体形成片14の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0031】
まず、折罫線60,92,104,130で、第一底蓋片58、底フラップ90、第二底蓋片102、底フラップ128を正折りし、次に第一底蓋片58の折罫線66と、第二底蓋片102の折罫線110を逆折りし、底部糊付片64,108の裏面に、それぞれ糊132を塗布する。
【0032】
この後、糊付片24の表面に糊134を塗布し、折罫線28を正折りし、次に折罫線32を正折りする。これにより、右側面板22は糊付片24の表面に糊134で糊付けされ、第一底蓋片58の底部糊付片64の裏面は、糊132により底フラップ90の表面に糊付けされ、第二底蓋片102の底部糊付片108の裏面は、糊132により底フラップ128の表面に糊付けされる。これにより箱体形成片14は折り畳み状態となり、この状態で出荷される。
【0033】
収容物222を収容し包装する工場等では、折罫線26,28,30,32を各々90°に正折りして四角形の箱体にする。この時、第一底蓋片58の底部糊付片64は底フラップ90に、第二底蓋片102の底部糊付片108は底フラップ128に糊付けされているため、二つ折りされていた折罫線60,92,104,130は自動的に引き起こされてほぼ90°に開き、ワンタッチで底部129が形成される。そして、第一底部差込片62は第二底蓋片102の裏面に差し込まれて重なり、第二底部差込片106は第一底蓋片58の裏面に差し込まれて重なり、互に係止される。これにより底部129が確実に係止され箱体の底部129の形状を保ち、折り畳み状態に戻ることを防ぎ、
図1に示す状態となる。
【0034】
次に、外箱12の底部129に入れる底板部材140について説明する。底板部材140は、紙製のシートを打ち抜いて形成された形成片を組み立てて設けられている。
図3は底板部材140の形成片を表面から見た展開図であり、外箱12の底部129に僅かなゆとりを有して入れられる大きさの矩形の載置面142を有し、載置面142の長手方向に沿う一対の側縁部には、側面144が折罫線で区切られて各々設けられている。側面144の、長手方向に交差する一対の端部には、折重ね片146が折罫線で区切られて各々設けられている。載置面142の、長手方向に交差する一対の側縁部には、側面148が折罫線で区切られて各々設けられている。各側面144,148の幅は短く、互いに等しい。
【0035】
底板部材140の組立方法は、先ず、各折罫線を90°に正折りして、各折重ね片146が各側面148の外側に位置するように折り重ね、
図1に示すように立体的に成形し、外箱12の底部129に入れ組み立てが完了する。折重ね片146が側面148の外側に位置することにより、長辺である側面144が内側に倒れてしまうことを防ぎ、底板部材140の剛性を維持する。さらに剛性を高めるには、折重ね片146の裏面を側面148の表面に糊付けしてもよいし、折重ね片146の表面を側面148の裏面側に位置させて糊付けしてもよい。なお、底板部材140は、収容物222を冷却する保冷剤218が収容される保冷剤収容空間を兼ねている。
【0036】
次に、底板部材140の載置面142に置く収容物仕切りパーツ150について説明する。収容物仕切りパーツ150は、外箱12の中に、複数個の収容物222を位置決めするものであり、紙製のシートを打ち抜いて形成された形成片を組み立てて設けられている。
図4は収容物仕切りパーツ150の形成片を表面から見た展開図であり、組立状態で、外箱12の、蓋板36が設けられた背面板16と、蓋板94が設けられた正面板20に対して略直角に交差する収容物用仕切片152が設けられている。
【0037】
収容物用仕切片152は、一方向が長い矩形に形成され、長手方向は、収容物用仕切片152に沿って収容物222を2つ並べて収容可能な長さを有し、収容物用仕切片152の、長手方向に沿う一方の端部152aの中心には、端部152aから略直角な直線のスリット154が形成され、スリット154は、収容物用仕切片152の短い方向の、2/5程度の長さである。端部152aとスリット154が交差する角部は、各々斜めに切り欠かれて、差込片40をスリット154に差し込む際にガイドするガイド部156となる。収容物用仕切片152の、端部152aとは反対側の端部には、下面158が折罫線160で区切られて設けられている。下面158は、折罫線160に沿う方向が少し長い矩形に形成され、短い方向は、背面板16と正面板20の面同士が隣接する方向の、約1/3程度の長さである。
【0038】
収容物用仕切片152の、折罫線160に対して交差する一方の側縁部152bには、連結片162が折罫線164で区切られて設けられている。連結片162は、収容物用仕切片152の折罫線160に連続し折罫線160の延長線上に位置する端部162aと、端部162aとは反対側の端部162bで挟まれた帯状体である。端部162bは、収容物用仕切片152の端部152aよりも端部162aに近い位置にあり、連結片162の、端部162aと端部162bの間隔は、収容物用仕切片152の、端部152aと折罫線160の間隔の1/4程度である。端部162bの、折罫線164に隣接する一部分は、折罫線164から一定幅の補強部166が一体に設けられ、補強部166の、端部162bとは反対の端部は、端部152aに達しておらず、側縁部152bの1/2程度の位置にある。補強部166は、端部162bの両側に設けられ、連結片162と一対の補強部166が一体となりU字形となる。
【0039】
連結片162の、折罫線164とは反対側の側縁部には、収容物用仕切片152と同形状の収容物用仕切片168が折罫線170で区切られて設けられている。収容物用仕切片168の、収容物用仕切片152の端部152aの延長線上に位置する端部168aには、スリット154とガイド部156が設けられている。収容物用仕切片168の、端部168aとは反対側の端部には、下面158と同形状の下面172が折罫線174で区切られて設けられている。
【0040】
収容物用仕切片168の、折罫線170とは反対側の側縁部には、連結片162と同形状の連結片176が折罫線178で区切られて設けられている。連結片176は、収容物用仕切片168の折罫線174に連続し折罫線174の延長線上に位置する端部176aと、端部176aとは反対側の端部176bで挟まれた帯状体である。端部176bの両側には、補強部166が設けられている。
【0041】
連結片176の、折罫線178とは反対の側縁部には、組み立て状態で収容物用仕切片152の裏面に糊付けされる糊付片180が折罫線182で区切られて設けられている。
【0042】
次に、収容物仕切りパーツ150の組立方法について説明する。まず、糊付片180の表面に糊184を塗布し、折罫線178を正折りする。次に折罫線164を正折りし、これにより糊付片180の表面が糊184により収容物用仕切片152の裏面に糊付けされ、収容物仕切りパーツ150は折り畳み状態となる。組み立てる時は、折罫線164,170,178,182を各々90°に正折りして、収容物用仕切片152、連結片162、収容物用仕切片168、連結片176が順に隣接する四角筒にする。そして、折罫線160,174を90°に逆折りし、下面158,172を四角筒の外側に開き、自立可能となり、組み立てが完了する。
【0043】
次に、温度ロガー収容空間216の中に入れられるロガー押さえパーツ186について説明する。ロガー押さえパーツ186は、温度ロガー214を保持するものであり、紙製のシートを打ち抜いて形成された形成片を組み立てて設けられている。
図5はロガー押さえパーツ186の形成片を表面から見た展開図であり、組立状態で、筒状の4側面を形成する、側面188,190,192,194が、互いに平行に隣接して形成されている。側面194の側縁部には、ロガー押さえパーツ186の組立状態で、側面188の裏面に糊付けされる糊付片196が設けられている。側面188,190,192,194、糊付片196は、各々折罫線198,200,202,204で区切られている。ロガー押さえパーツ186の、各側面の連接方向に沿う一対の端部186a,186bの間隔は、温度ロガー214の高さよりも少し高く、温度ロガー収容空間216を形成する温度ロガー用立上片118の、温度ロガー用折罫線122に略直角に交差する方向の長さとほぼ同じでもある。
【0044】
各側面の端部186a,186bに沿う方向の長さは、側面188は、温度ロガー用立上片118の温度ロガー用折罫線122に沿う方向の長さより短く、例えば、1/2程度の矩形である。側面190は、側面188よりも短く、側面188の2/3程度である。側面192は、側面188よりも短く、例えば1/4程度である。側面194は、側面190とほぼ等しい。糊付片196は、側面188から側面192を差し引いた長さに等しい。
【0045】
側面194と糊付片196の、端部186aに連続する部分には、端部186aに沿って一定幅の帯状体である上面押さえ片193が設けられている。上面押さえ片193は、端部186aに対して略平行な切断線206で区切られ、切断線206の一方の端部は折罫線202に位置し、折罫線202は、切断線206で止まり端部186aには達していない。切断線206の他方の端部は糊付片196の側縁部196aの近傍に位置し、側縁部196aに対して略平行な折罫線208が設けられている。上面押さえ片193の、端部186aに交差する幅は、一対の端部186a,186bの間隔から温度ロガー214の高さを差し引いたものである。端部186bと切断線206の間隔は、温度ロガー214の高さにほぼ等しい。上面押さえ片193には、折罫線208から所定長さ離れた位置に、折罫線208に対して略平行な折罫線210が設けられている。折罫線208と折罫線210の間隔は、折罫線202と折罫線204の間隔とほぼ等しい。折罫線210は、端部186aと切断線206に連続している。
【0046】
次に、ロガー押さえパーツ186の組立方法について説明する。まず、糊付片196の裏面に糊212を塗布し、折罫線200を正折りする。これにより糊付片196の裏面が側面188の裏面に糊付けされ、ロガー押さえパーツ186は折り畳み状態となる。組み立てる時は、折罫線198,200,202を各々90°に正折りし、折罫線204を90°に逆折りし、側面188,190,192,194が小さい四角筒になり、側面188はこの小さい四角筒の側方に突出する。この時、上面押さえ片193は、切断線206で側面194と糊付片196から切り離され、折罫線210が90°に正折りされ、折罫線208が90°に逆折りされ、折罫線204で逆折りされた側面194と糊付片196の角部に、立体的に突出する。これで組立が完了する。
【0047】
次に、組み立てた外箱12、底板部材140、収容物仕切りパーツ150、ロガー押さえパーツ186の組み付けについて説明する。まず、外箱12の底部129に、保冷剤218を入れる。この後、底板部材140を保冷剤218に被せるようにして外箱12の底部129に入れる。この時、一対の側面144と一対の側面148の端部を底部129に当接させて、載置面142を底部129から離間させ、保冷剤収容空間である底板部材140に保冷剤218を収容した状態にする。これにより、緩衝機能と保冷機能を有する二重底となる。なお、保冷剤218の大きさは、保冷効果を高める上で底板部材140に収容可能な適切な大きさであれば良く、底板部材140内の空間の体積の1/2以上が好ましい。この構造により、輸送箱10内の底部129から蓋部34付近の空間まで広く均一に保冷効果を奏する。輸送箱10の実際の使用時には保冷容器とセットで使用し、冷却効果としては保冷容器に依存する。保冷剤218の目的は、輸送箱10を保冷容器から出して冷蔵庫に移し替えるまで室温に暴露した際に、例えば十数分程度の保冷機能を有し、輸送箱10内の収容物222の急激な温度上昇を防ぐためである。
【0048】
そして載置面142の上に、右側面板22の裏面に沿って、温度ロガー214を置く。この時、温度ロガー214の表示部及び操作部を、右側面板22の温度ロガー用透孔126と背面板16の温度ロガー操作用透孔56に対向させる。すると、ここでは温度ロガー214が右側面板22と背面板16の角部に一致し、右側面板22と正面板20の角部に隙間ができる。この隙間に、ロガー押さえパーツ186を入れる。ロガー押さえパーツ186は、側面194と糊付片196の2面で温度ロガー214に当接し、側面192が外箱12の右側面板22の裏面に当接し、側面190が外箱12の正面板20の裏面に当接する。これにより、温度ロガー214を水平方向に、がたつき無く保持する。ロガー押さえパーツ186の上面押さえ片193は、温度ロガー214の上面に位置し、温度ロガー214を垂直方向に、がたつき無く保持する。
【0049】
次に、温度ロガー用仕切112を折り曲げる。折罫線114と温度ロガー用折罫線122を90°に正折りし、温度ロガー用折罫線124を90°に逆折りする。これにより、右側面板22と温度ロガー用上面片116、温度ロガー用立上片118が互いに交差し、右側面板22と温度ロガー用上面片116、温度ロガー用立上片118で囲んで温度ロガー収容空間216が形成される。温度ロガー214の上方を温度ロガー用上面片116で覆い、外箱12の中央側を温度ロガー用立上片118で覆い、温度ロガー収容空間216に、温度ロガー214がロガー押さえパーツ186とともに収容される。温度ロガー214が、がたつかないようにロガー押さえパーツ186で保持される。温度ロガー用折罫線124を90°に逆折りすると、温度ロガー用下面片120を温度ロガー用立上片118から温度ロガー収容空間216の外側へ折り、底板部材140の載置面142に重なり、安定する。なお、温度ロガー用仕切112の温度ロガー用立上片118と温度ロガー用下面片120は、温度ロガー用上面片116よりも僅かに幅が狭く形成されているため、外箱12の中へ折り込みやすい。
【0050】
次に、保持部用仕切68を折り曲げ、折罫線70と保持部用折罫線78を90°に正折りし、保持部用折罫線80を90°に逆折りする。これにより、左側面板18と保持部用上面片72、保持部用立上片74が互いに交差し、左側面板18と保持部用上面片72、保持部用立上片74で囲んで保持用空間220が形成される。保持部用折罫線80を90°に逆折りして、保持部用下面片76を保持部用立上片74から保持用空間220の外側へ折ると、底板部材140の載置面142に重なり、安定する。保持部用下面片76の、保持部用折罫線80の両側の部分は、各々L字形の切断線82で切り離されて保持用空間220に位置し、先端縁が左側面板18の内面に当接して、保持用空間220の間隔を規制するとともに、保持部用下面片76は面積が大きいため安定性が良い。なお、保持部用仕切68の保持部用立上片74と保持部用下面片76は、保持部用上面片72よりも僅かに幅が狭く形成されているため、外箱12の中へ折り込みやすい。
【0051】
次に、温度ロガー収容空間216と保持用空間220を組み立て、外箱12の中に、収容物仕切りパーツ150をセットする。この時、収容物用仕切片152,168が、蓋板36が設けられた背面板16と、蓋板94が設けられた右側面板22に交差するようにセットする。下面158,172は、底板部材140の載置面142に、保持部用下面片76及び温度ロガー用下面片120を挟むようにして重ねられる。これにより、保持部用仕切68と温度ロガー用仕切112の、立体形状が保持される。なお、収容物仕切りパーツ150は組立状態で左右対称な形状となり、収容物用仕切片152,168のどちらが保持部用立上片74に近くても良い。
【0052】
次に、セットした収容物仕切りパーツ150に、収容物222を入れる。ここでは収容物用仕切片152又は収容物用仕切片168に沿って収容物222を2つ並べ、それが3列でき、合計6つの収容物222が収容される。そして一対の蓋板36,94を、蓋板用折罫線38,96を90°に正折りし、背面板16と正面板20から開口端部の中央に向かって閉じる。蓋板36,94は、収容物仕切りパーツ150の収容物用仕切片152,168に沿って並ぶ2つの収容物222の片側1列ずつを覆う。一対の差込片40,98は、一対の蓋板36,94を閉じた時に差込片用折罫線42,100により蓋板36,94に対して略直角に正折りされて一対が互いに合わされ、収容物用仕切片152,168に沿って並ぶ各々一対の収容物222の間に差し込まれる。さらに、収容物仕切りパーツ150の収容物用仕切片152,168が、スリット154から、一対の差込片40,98のスリット41に差し込まれて互いに係止される。スリット41に差し込まれる際は、ガイド部43を滑りながらガイドされ、確実にスリット41に達する。これで、一対の蓋板36,94が互いに面一に閉じ、蓋部34が形成され、
図6に示すように、包装が完了する。さらに、一対の蓋板36,94の差込片用折罫線42,100が対向する位置と、左側面板18が交差する角部に、一対の蓋板36,94から左側面板18に封緘シール等を貼って確実に閉鎖しても良い。同様に、一対の蓋板36,94の差込片用折罫線42,100が対向する位置と、右側面板22が交差する角部に、一対の蓋板36,94から右側面板22に封緘シール等を貼って確実に閉鎖しても良い。
【0053】
ここで、収容物222は例えば、所定の温度以下で保存及び輸送する医薬品を入れた個包装箱である。収容物用透孔52,54には収容物222が視認され、収容物222の上面と側面に印刷された商品名等の情報を外から確認する。温度ロガー操作用透孔56と温度ロガー用透孔126には温度ロガー214が露出し、温度ロガー214の表示部を視認し、また操作部を操作する。
【0054】
収容物222の輸送を開始するときは、温度ロガー操作用透孔56と温度ロガー用透孔126に露出した箇所にある温度ロガー214の図示しないスイッチを入れて温度の記録を開始する。保冷容器に入れて運搬し、届けた後は、使用するまで冷蔵庫等で保管する。輸送箱10に収容された医薬品を使用する際は、温度ロガー214の記録により、所定の温度管理がされていたことを確認する。輸送箱10を手で運ぶ際は、左側面板18の切断線84の内側を押して保持用穴部88を形成し、輸送箱10の底部129を保持するとともに、保持用穴部88に指を入れて輸送箱10を保持し運搬する。保持用穴部88の内側には保持用空間220が位置し、容易に手指を入れることができる。
【0055】
医薬品を取り出す際には、背面板16又は正面板20の開封用穴50に指をかけて開封部48を引き上げると、開封開始破断線46と開封用破断線44が切断され、開封部48の1つが開口され、収容物222を取り出すことができる。開封用破断線44は、収容物222の外形に対応し、収容物仕切りパーツ150の収容物用仕切片152,168にも対応しているため、収容物222の個別の取り出しが容易である。開封用破断線44は、蓋板用折罫線38,96を超えて背面板16または正面板20に達しているため、大きい面積で、背面板16または正面板20に達して開口する。残りの収容物222は、開封用破断線44の未開封の部分に覆われ、未開封であることが保証され、収容された状態が維持される。温度ロガー214が作動を続け温度を記録することで、残りの医薬品の温度管理を確認することができ、時間を置いた後に使用したり、返品したりする際に、温度管理が適切に行われていたかを確認し、収容した医薬品の品質を保証する。
【0056】
この実施形態の輸送箱10によれば、紙製のシートを打ち抜いて形成された形成片を組み立てて簡単に作ることができ、外箱12の内側に温度ロガー214を取り付けて、輸送時の温度を計測し記録することができ、さらに以下のような効果を有する。
【0057】
所定の温度以下で保存する医薬品である収容物222をコンパクトに6個収容し、輸送温度を測定して記録する温度ロガー214を省スペースで取り付けすことができる。特に、蓋部34が設けられた背面板16に交差する他の側面である右側面板22から連続して、温度ロガー用仕切112を設けて温度ロガー214を輸送箱10内に収容したので、温度ロガー214が収容物222の配置の妨げにならず、外箱12内のスペースを有効に利用し、外箱12をコンパクトに構成することができる。温度ロガー214の、測定した温度を表示する表示部を視認する温度ロガー用透孔126を設けることにより、輸送中にも外から温度状態を確認することができる。収容物222は、収容物用透孔52,54により外から2方向から視認することができ、誤認を防止し安全で確実な使用が可能となる。
【0058】
蓋部34を開封用破断線44で切断して対応する部分だけを開封し、使用する個数だけを簡単に取り出すことができ、残りを引き続き収容することができる。開封する時は、開封用破断線44と開封開始破断線46を切断して開封部48を開かなければならず、開封の跡が残るものであり、高い改ざん防止効果がある。開封用破断線44は、背面板16と正面板20に達し、開封部48は蓋部34と背面板16または正面板20に連続して設けられているため、開封しやすく、大きい面積で開口して収容物222を容易に取り出すことができる。開封開始破断線46には開封用穴50が設けられ、開封しやすい。
【0059】
温度ロガー用仕切112とロガー押さえパーツ186により、温度ロガー214を高い緩衝性を有して保持し収容することができ、振動による故障等の不具合を防ぐことができる。温度ロガー214を、収容物222と共に外箱12の中に隙間なく収容することができ、正確に医薬品等の収容物222の温度を測定することができる。外箱12の底部129には底板部材140が設けられているため、収容物222と温度ロガー214に対して上下方向に高い緩衝効果を有し、また、底部129からの改ざんを防止する効果を得ることができる。
【0060】
左側面板18には保持用穴部88が設けられ、右側面板22には温度ロガー用透孔126が設けられ、保持用穴部88と右側面板22に手指を入れて保持して安全に運搬することができる。保持用穴部88の内側には保持用空間220が位置し、手指を入れる空間があり、保持しやすい。
【0061】
なお、この実施形態の輸送箱10は、収容物222を2つ×3列に並べて6個収容するものであるが、これ以外の数を収容するものでも良く、例えば2つ×2列で4個や、2つ×4列で8個でも良く、収容物222の数に合わせて外箱12の大きさや、開封部48、開封用穴50、収容物用透孔52,54、スリット41の数を変更し、また底板部材140の大きさを変更すれば良い。
【0062】
また、収容物仕切りパーツ150は、同じものを使用することができる。例えば2つ×2列で4個の場合は、
図7に示すように、連結片162,176の各中間を折罫線164に対して略平行に逆折りし、収容物用仕切片152と収容物用仕切片168を重ねる。これにより、2つ×2列の4個用となる。2つ×4列で8個の場合は、収容物仕切りパーツ150を、4個用に折ったものと、6個用のものを合わせても良く、その他の形状の8個用の収容物仕切りパーツを使用しても良い。
【0063】
なお、この発明の輸送箱は、上記実施形態に限定されるものではなく、外箱の大きさや形状は、収容物に合わせて適宜変更可能である。箱体形成片、底板部材、収容物仕切りパーツ、ロガー押さえパーツの素材は、紙や合成樹脂等適宜変更可能である。計測ロガーは、温度ロガー以外でもよく、湿度や気圧、衝撃や振動の加速度、周囲の明るさである照度、空気中の成分等を測定し記録するものでも良い。また、保冷剤収容空間は、底板部材の他、保持用空間等に設けても良く、保持用空間は省略しても良い。
【0064】
さらに、開封部は、収容物を複数個同時に取り出すように開封用破断線を設けても良い。収容物は、薬液が入ったバイアルやアンプルを対象とするが、その他のシリンジ製品等にも対応可能である。また、医薬品以外に食品や医療用検体等、色々なものに使用することができる。各折罫線は、折り曲げやすくするために破断線等で設けても良い。温度ロガー用透孔と温度ロガー操作用透孔の位置や形状は、温度ロガーに合わせて自由に変更可能である。収容物を視認する透孔の位置や形状も自由に変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 輸送箱
12 外箱
14 箱体形成片
16 背面板
18 左側面板
20 正面板
22 右側面板
34 蓋部
36,94 蓋板
38,96 蓋板用折罫線
40,98 差込片
41,154 スリット
42,100 差込片用折罫線
44 開封用破断線
46 開封開始破断線
48 開封部
50 開封用穴
52,54 収容物用透孔
56 温度ロガー操作用透孔
68 保持部用仕切
72 保持部用上面片
74 保持部用立上片
88 保持用穴部
112 温度ロガー用仕切
116 温度ロガー用上面片
118 温度ロガー用立上片
126 温度ロガー用透孔
129 底部
140 底板部材
150 収容物仕切りパーツ
152,168 収容物用仕切片
186 ロガー押さえパーツ
214 温度ロガー
216 温度ロガー収容空間
218 保冷剤
220 保持用空間
222 収容物