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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027855
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20250220BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20250220BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
H05K7/20 H
H05K7/20 G
H01L23/46 C
G06F1/20 C
G06F1/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133041
(22)【出願日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】矢口 裕一朗
(72)【発明者】
【氏名】中島 雄二
(72)【発明者】
【氏名】太田 武志
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322BC02
5E322EA01
5F136BA04
5F136CA05
5F136CA17
(57)【要約】
【課題】冷却効率を向上可能な電子機器を提供する。
【解決手段】実施形態に係る電子機器は、ダクトとファンユニットとヒートシンクとを含む。ダクトは上風向板と下風向板とを含み、開口部を有する。ファンユニットは、ダクトに対して挿抜可能である。上風向板は開口部から第1方向に延びる。ヒートシンク及び下風向板は第2方向において上風向板から離れる。ダクト内には、開口部から連続し開口部と第1方向において並ぶ第1空間が形成される。ファンユニットは、ヒートシンクと第1空間との間、及び、下風向板と第1空間との間に位置し、第1空間内の空気をヒートシンクへ向けて送風可能である。下風向板は傾斜部を有する。傾斜部は、ヒートシンクと第1方向において並び、第1方向においてヒートシンクと開口部との間に位置し、ヒートシンクに近づくにつれて第1空間から離れるように傾斜する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上風向板と、下風向板と、を含み、開口部を有するダクトと、
前記ダクトに対して挿抜可能なファンユニットと、
第1電子部品と近接して配置されるヒートシンクと、
を備え、
前記上風向板は、前記開口部から第1方向に延び、
前記ヒートシンクの少なくとも一部及び前記下風向板は、前記第1方向に対して垂直な第2方向において前記上風向板から離れ、
前記ダクト内には、前記開口部から連続し、前記開口部と前記第1方向において並び、前記下風向板と前記上風向板との間、及び、前記ヒートシンクの少なくとも一部と前記上風向板との間に位置する第1空間が形成され、
前記ファンユニットが前記ダクト内に配置された第1状態において、前記ファンユニットは、前記ヒートシンクの少なくとも一部と前記第1空間との間、及び、前記下風向板と前記第1空間との間に位置し、前記第1空間内の空気を前記ヒートシンクへ向けて送風可能であり、
前記下風向板は、前記ヒートシンクと前記第1方向において並び、前記第1方向において前記ヒートシンクと前記開口部との間に位置し、前記ヒートシンクに近づくにつれて前記第1空間から離れるように傾斜する傾斜部を有する、電子機器。
【請求項2】
前記ファンユニットは、
前記開口部から前記第1空間へ向かう前記第1方向に沿って、前記ダクト外から前記開口部を介して前記ダクト内へ押し込まれ、
前記第1方向の逆方向に沿って、前記ダクト内から前記開口部を介して前記ダクト外へ引き抜かれる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ダクト内に配置された前記ファンユニットから見て前記逆方向に位置する固定位置に配置されることにより、前記ダクト内に配置された前記ファンユニットの前記逆方向への移動を規制するロック部材をさらに備えた、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ファンユニットは、風を送る羽根と、前記羽根の可動範囲である後方部及び前方部と、を有し、
前記第1状態において、前記後方部の少なくとも一部は、前記ヒートシンクの前記第1方向における中央部分と前記第2方向において並び、
前記第1状態において、前記前方部の少なくとも一部は、前記傾斜部と前記第2方向において並ぶ、請求項1~3のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項5】
平面視において、前記第1方向及び前記第2方向に対して垂直な第3方向において前記ダクトと並ぶ第2電子部品をさらに備え、
前記ダクトは、前記第3方向において互いに対向する第1側面板と第2側面板とを含み、
前記ヒートシンクの少なくとも一部及び前記第1空間は、前記第1側面板と前記第2側面板との間に位置し、
前記第2側面板は、前記第1側面板と前記第2電子部品との間に位置し、前記第2側面板を前記第3方向に貫通する側面穴を有する、請求項1~3のいずれか1つに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子機器は、CPU(Central Processing Unit)などの発熱する電子部品を含む。電子機器においては、電気部品に近接してヒートシンクが設けられ、ファンによってヒートシンクへ風が送られる。これにより、電子部品を冷却(放熱)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-141451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、冷却効率を向上可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る電子機器は、ダクトと、ファンユニットと、ヒートシンクと、を含む。
前記ダクトは、上風向板と、下風向板と、を含む。前記ダクトは、開口部を有する。前記ファンユニットは、前記ダクトに対して挿抜可能である。前記ヒートシンクは、第1電子部品と近接して配置される。前記上風向板は、前記開口部から第1方向に延びる。前記ヒートシンクの少なくとも一部及び前記下風向板は、前記第1方向に対して垂直な第2方向において前記上風向板から離れる。前記ダクト内には、前記開口部から連続し、前記開口部と前記第1方向において並び、前記下風向板と前記上風向板との間、及び、前記ヒートシンクの少なくとも一部と前記上風向板との間に位置する第1空間が形成される。前記ファンユニットが前記ダクト内に配置された第1状態において、前記ファンユニットは、前記ヒートシンクの少なくとも一部と前記第1空間との間、及び、前記下風向板と前記第1空間との間に位置し、前記第1空間内の空気を前記ヒートシンクへ向けて送風可能である。前記下風向板は、傾斜部を有する。前記傾斜部は、前記ヒートシンクと前記第1方向において並び、前記第1方向において前記ヒートシンクと前記開口部との間に位置し、前記ヒートシンクに近づくにつれて前記第1空間から離れるように傾斜する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的平面図である。
図4図4は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的断面図である。
図5図5は、実施形態に係る電子機器のダクトを例示する模式的斜視図である。
図6図6は、実施形態に係る電子機器のダクトを例示する模式的斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る電子機器のダクトを例示する模式的斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る電子機器のファンユニットを例示する模式的斜視図である。
図9図9は、実施形態に係る電子機器のファンユニットを例示する模式的斜視図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、実施形態に係る電子機器の一部を例示する模式的斜視図である。
図11図11は、実施形態に係る電子装置の一部を例示する模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的斜視図である。
図2は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的分解斜視図である。
実施形態に係る電子機器100は、略直方体の筐体80を有する。電子機器100は、例えば産業用コンピュータなどの、電子計算装置である。
【0009】
筐体80は、前面80fと、前面80fの反対側の後面80bと、を有する。筐体80は、前面80fと後面80bとを接続し、互いに離間した側面80sと、側面80tと、を有する。
【0010】
前面80fには、吸気口が設けられ、エアフィルタホルダ82が取り付けられる。エアフィルタホルダ82は、エアフィルタ81(図2)を保持する。
【0011】
図2に表したように、エアフィルタ81及びエアフィルタホルダ82よりも後面80b側には、ファンユニット10を配置することができる。ファンユニット10は、前面80fに設けられた開口部80p(吸気口)を介して、電子機器100の筐体80に挿抜可能である。すなわち、ファンユニット10は、筐体80内に挿入したり、筐体80内から引き抜いたりすることができる。
【0012】
図3は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的平面図である。
図3は、筐体80の内部を表している。電子機器100の筐体80内には、ダクト30(エアダクト)、ヒートシンク40、第1電子部品51、第2電子部品52、電源ユニット53、拡張カードホルダ54が設けられている。これらは、筐体80に対して、ネジなどの固定手段によって直接的又は間接的に固定されている。また、筐体80内には、メモリ57が設けられている。
【0013】
ダクト30は、筐体80の前面80fに設けられた吸気口の後側に接続されている。ダクト30は、前面80f側から後面80b側へ延びるように設けられている。
【0014】
ファンユニット10は、図3に表したようにダクト30内に挿入可能である。ファンユニット10は、例えば軸流ファンを含む。ファンユニット10は、ヒートシンク40の前方部分40aの上方に配置される。ファンユニット10は、前面80fの吸気口において筐体80の外部からダクト30内に吸い込んだ空気を、ヒートシンク40などの筐体80内に送る。
【0015】
ヒートシンク40は、ダクト30の一部よりも後面80b側に配置されている。ヒートシンク40の前方部分40aは、上下方向においてダクト30及びファンユニット10と重なっている。ヒートシンク40の後方部分40bは、上下方向においてダクト30及びファンユニット10と重ならない。
【0016】
ヒートシンク40は、第1電子部品51に近接して配置される。第1電子部品51は、例えばCPUであり、発熱源となる。第1電子部品51は、ヒートシンク40の略中央の下方に配置されている。ヒートシンク40は、第1電子部品51の熱を放熱する。図1に表したように、この例では、ヒートシンク40の平面形状は、矩形状である。
【0017】
第2電子部品52は、ダクト30やヒートシンク40よりも、側面80t側に配置されている。第2電子部品52は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)であり、発熱源となる。
【0018】
拡張カードホルダ54は、ヒートシンク40よりも後面80b側に設けられている。拡張カードホルダ54とヒートシンク40との間は、拡張カード実装エリア55である。
【0019】
電源ユニット53は、拡張カード実装エリア55よりも側面80t側であり、第2電子部品52よりも後面80b側に設けられている。メモリ57は、例えばヒートシンク40よりも側面80s側であり、ダクト30よりも後面80b側に設けられている。
【0020】
図4は、実施形態に係る電子機器を例示する模式的断面図である。
図4は、図3に示したA1-A2線における断面を表す。
図4は、ダクト30内にファンユニット10が配置された状態(以下、第1状態という場合がある)を表している。図4に表したように、この例では、ヒートシンク40は、板状のベース部41と、複数のフィン42と、を有する。ベース部41は、第1電子部品51の上に設けられている。ベース部41の上面から、複数のフィン42が上方に延びている。フィン42は、例えば、前後方向に延在する板状である。
【0021】
ダクト30は、筐体80の前面80fに向かって開口する開口部31を有する。開口部31からダクト30内に空気が取り込まれる。
【0022】
図4に表したように、ダクト30は、上風向板32と、下風向板33と、ファンユニットガイド部34と、を有する。さらに、ダクト30は、第1側面板35(図5等)と、第2側面板36(図5等)と、を有する。開口部31は、上風向板32、ファンユニットガイド部34、第1側面板35及び第2側面板36の前端部により形成されており、略矩形状である。
【0023】
図4に表したように、上風向板32は、第1上板部321と、第2上板部322と、を有する。第1上板部321は、開口部31の一端部31pから、第1方向D1に延びている。
【0024】
実施形態の説明においては、第1方向D1に対して垂直な方向を第2方向D2とし、第1方向D1及び第2方向D2に対して垂直な方向を第3方向D3とする。また、説明の便宜上、ダクト30の開口部31からヒートシンク40(又はファンユニット10が挿入される位置)へ向かう方向を「後方」といい、後方の逆方向を「前方」という。前方は、例えばダクト30の開口部31の開口方向である。第1方向D1は、前後方向に沿った方向(例えば前後方向に平行な方向)である。また、下風向板33またはヒートシンク40から上風向板32へ向かう方向を「上方」とし、上方の逆方向を「下方」としている。下方は、例えばファンユニット10の送風方向である。第2方向D2は、上下方向に沿った方向(例えば上下方向に平行な方向)である。
【0025】
第2上板部322は、第1上板部321の後端から曲がって下方に延びている。第2上板部322は、ファンユニット10の上方において、ダクト30の後側を塞いでいる。
【0026】
ヒートシンク40の少なくとも一部(第1方向D1における前方部分40a及び中央部分40c)は、第2方向D2において上風向板32から離れている。下風向板33は、第2方向D2において上風向板32から離れている。
【0027】
ダクト30の後面には、第2上板部322の下方に位置する開口部39が設けられている。ヒートシンク40は、開口部39に配置されている。より具体的には、ヒートシンク40の前方部分40a及び中央部分40cは、開口部39から前方のダクト30内に配置され、ヒートシンク40の後方部分40bは、開口部39から後方のダクト30外に配置されている。すなわち、ダクト30は、ヒートシンク40の後端を覆わない。開口部31からダクト30内に取り込まれた空気は、開口部39から外部へ流れることができる。
【0028】
ダクト30内には、第1空間SP1が形成されている。第1空間SP1は、開口部31から連続し、開口部31と第1方向D1において並ぶ。すなわち、第1空間SP1は、開口部31の後方に接続されている。第1空間SP1は、上風向板32と接する。第1空間SP1は、ヒートシンク40の少なくとも一部と上風向板32との間に位置する。また、第1空間SP1は、上風向板32と下風向板33との間に位置する。
【0029】
ファンユニット10がダクト30内に配置された第1状態において、ファンユニット10は、第1空間SP1とヒートシンク40の少なくとも一部との間に位置する。第1状態において、ファンユニット10は、第1空間SP1と下風向板33との間に位置する。第1状態において、ファンユニット10は、下方のヒートシンク40(及び下風向板33の傾斜部331)へ向けて送風可能である。
【0030】
傾斜部331は、ヒートシンク40の前方に位置する。言い換えれば、傾斜部331は、ヒートシンク40と第1方向D1において並び、第1方向D1においてヒートシンク40と開口部31との間に位置する。
【0031】
傾斜部331は、ヒートシンク40に近づくにつれて、第1空間SP1から離れる方向に傾斜している。言い換えれば、傾斜部331は、後方に向かう下り傾斜を有する板状である。この例では、傾斜部331の前端331fは、フィン42の上端と第1方向D1において並ぶ。傾斜部331の後端331eは、ベース部41と第1方向D1において並ぶ。すなわち、前端331fの高さ(第2方向D2における位置)は、フィン42の上端の高さと略同じであり、後端331eの高さは、ベース部41の高さと略同じである。
【0032】
図4中の破線矢印は、空気の流れる向きを表している。前面80fの吸気口から吸い込まれた空気は、上風向板32によりファンの吸気口に導かれる。すなわち、例えば、ファンユニット10が動作することにより、前面80fから開口部31を介して第1空間SP1に空気が流入する。第1空間SP1内の空気は、ファンユニット10により、ファンユニット10の下方へ送られる。
【0033】
図4中の破線矢印で表したように、ファンユニット10から送られる風の一部は、下風向板33の傾斜部331に上方から当たる。傾斜部331の傾斜により、風の進行方向が変化する。傾斜部331に当たった風は、ヒートシンク40の前端から後端へ向かい、ヒートシンク40の後端からヒートシンク40の後方へ流れる。
【0034】
図4中の破線矢印で表したように、ファンユニット10から送られる風の別の一部は、ヒートシンク40の上方からヒートシンク40に当たる。上方からヒートシンク40に当たった風は、例えば、後方へ向い、ヒートシンク40の後端からヒートシンク40の後方へ流れる。
【0035】
例えば、ヒートシンクの前方のみからヒートシンクに風を当てる参考例の構成が考えられる。この場合、風は、主に、ヒートシンクの前端から後端まで流れる。ここで、ヒートシンク上においては、例えばフィンによる圧力損失によって流路抵抗が高いため、風の流速が低下する場合がある。
【0036】
また、ヒートシンクにおいては、発熱源からの熱を受けるベース部において温度が最も高く、フィンの根本からフィンの先端に向けて温度が低下する。ここで、ヒートシンクの前方のみからヒートシンクに風を当てる参考例においては、風は主にフィンの先端部と根本部に当たることとなる。最も高温となるベース部においては、端面のみにしか風が当たらないことがある。
【0037】
これに対して、実施形態においては、ファンユニット10は、ダクト30内に配置された第1状態において、ヒートシンク40の少なくとも一部と第1空間SP1との間に位置し、第1空間SP1内の空気をヒートシンク40へ向けて送風可能である。これにより、上方からヒートシンク40へ送風することができる。上方からヒートシンク40に風を当てる場合、例えばヒートシンク40の上面中心部からベース部41へ向けて風が送られる。これにより、例えば、冷却効率を向上させることができる。そして、ヒートシンク40の上方からヒートシンク40に当たった風は、例えば後方へ流れる。これにより、風がヒートシンク40の前端から後端まで流れる場合に比べて、ヒートシンク40上を流れる距離が短くなるため、流路抵抗を低減することができる。これにより、例えば流速の低下を抑制し、冷却効率を向上させることができる。また、例えばファンユニット10をヒートシンク40に近接して配置することが可能となる。これにより、ファンユニット10からの風がヒートシンク40に当たる前に、ダクト30外へ漏れることが抑制でき、冷却効率を向上させることができる。ファンユニット10とヒートシンク40との間の距離は、例えば、ヒートシンク40の高さやファンユニット10の高さよりも短い。
【0038】
また、第1状態において、ファンユニット10は、下風向板33と第1空間SP1との間に位置する。これにより、上方から下風向板33に送風することができる。そして、下風向板33には、傾斜部331が設けられている。傾斜部331の傾斜により、ヒートシンク40上において、後方へ向かう気流を発生させることができる。ダクト30内の空気交換効率を向上させることができる。
【0039】
ファンユニット10のファンは、風を送る羽根13を有する。ファンユニット10は、羽根13の可動範囲の一部である、前方部13e及び後方部13bを有する。第1状態において後方部13bの少なくとも一部は、ヒートシンク40の中央部分40cと第2方向D2において並んでいてよい。これにより、ヒートシンク40の中央部分40cに上方から効率よく風を当てることができる。例えば、第1状態において後方部13bの少なくとも一部は、第1電子部品51と第2方向D2において並んでいてよい。これにより、ヒートシンク40の温度の高い部分に、風を当てることができる。また、第1状態において前方部13eの少なくとも一部は、傾斜部331と第2方向D2において並んでいてよい。これにより、傾斜部331に上方から空気を当て、後方へ向かう気流を効率よく発生させることができる。
【0040】
ファンとヒートシンク40とは、前後方向にオフセットしていてよい。例えば、ファンユニット10のファンの第1方向D1における中心の位置P1は、ヒートシンク40の第1方向D1における中心の位置P2と、傾斜部331(例えば後端331e)の第1方向D1における位置P3と、の間である。
【0041】
図5図7は、実施形態に係る電子機器のダクトを例示する模式的斜視図である。
図5図7に表したように、上風向板32、ファンユニットガイド部34、及び下風向板33(図7)は、第3方向D3に延びる。
【0042】
ダクト30は、第1側面板35及び第2側面板36を有する。第1側面板35と第2側面板36とは、第3方向D3において互いに対向する。第1側面板35は、例えば、上風向板32の一端と、ファンユニットガイド部34の一端と、下風向板33の一端と、を接続する。第2側面板36は、例えば、上風向板32の他端と、ファンユニットガイド部34の他端と、下風向板33の他端と、を接続する。ヒートシンク40の少なくとも一部、第1状態におけるファンユニット10、及び第1空間SP1は、第1側面板35と第2側面板36との間に位置する。
【0043】
例えば、図5に表したように、第2側面板36は、ダクト30の開口部31から第1方向D1に延在する平板状である。第2側面板36には、第1側面板35側へ突出する凸部36pが設けられている。また、第2側面板36には、第2側面板36を第3方向D3に貫通する少なくとも1つの側面穴36aが設けられる。この例では、複数の側面穴36aが、第3方向D3において、ヒートシンク40と並ぶ位置に設けられている。
【0044】
第1側面板35は、第1板部351と、第2板部352と、第3板部353と、を有する。第1板部351は、ダクト30の開口部31から第1方向D1に延在する平板状である。
【0045】
第2板部352は、第1板部351よりも後方に位置し、第1方向D1に延在する平板状である。ダクト30の幅は、第2板部352において狭くなっている。つまり、第2板部352は、第1板部351よりも第2側面板36に近い。言い換えれば、第3方向D3において、第2板部352は、第1板部351と第2側面板36との間である。
【0046】
第3板部353は、第1板部351の後端と、第2板部352の前端と、を接続する段差部である。第3板部353は、第2方向D2及び第3方向D3に沿って延在する平板状である。例えば、図5に破線で表したように、第3板部353には、ファンユニット10のコネクタ22(図9参照)を接続するためのコネクタ21が取り付けられる。コネクタ21は、ファンユニット10のファンを駆動する電源や、ファンの動作を制御する制御回路と、電気的に接続されている。
【0047】
ファンユニットガイド部34は、前板部341と、ガイド板部342と、を有する。前板部341は、ファンユニットガイド部34の前端に位置し、第2方向D2及び第3方向D3に延びる平板状である。ガイド板部342は、前板部341の上端から第1方向D1及び第3方向D3に延在する平板状である。ガイド板部342の略中央には、ガイド板部342を第2方向D2に貫通する開口部342pが設けられている。
【0048】
例えば、図7に表したように、下風向板33は、前板部341の後側に接続され、ガイド板部342の下方に位置する。
【0049】
図8及び図9は、実施形態に係る電子機器のファンユニットを例示する模式的斜視図である。
なお、図8及び図9に関する説明における各方向は、ファンユニット10がダクト30内に配置された第1状態における方向である。
【0050】
ファンユニット10は、電気信号及び電源用コネクタを備えたユニット構造となっている。ファンユニット10は、ファン11(例えば軸流ファン)と、ホルダ12と、を有する。ホルダ12は、外形が略直方体状のカバー部12aと、カバー部12aから側方に突出する接続部12bと、を含む。カバー部12aは、ファン11の上側、下側及び前側を覆う。カバー部12aの上面及び下面には、開口12eが設けられている。これにより、ファン11による風が、カバー部12aを第2方向D2に通過することができる。カバー部12aの前面には、ハンドル12hが設けられている。
【0051】
接続部12bは、カバー部12aの前方部分から、第1側面板35(図5等参照)に向けて突出している。接続部12bは、カバー部12aの前面から連続している。図9に表したように、接続部12bは、後方を向く面121を有する。面121には、ファン11と電気的に接続されたコネクタ22が設けられている。
【0052】
例えば、ファンユニット10をダクト30内に配置する場合には、ファンユニット10の後方部分を、ダクト30の開口部31からガイド板部342(図5等参照)の上を載せ、ファンユニット10を後方に押し込む。ファンユニット10は、ガイド板部342に支持される。ファン11は、ガイド板部342の開口部342pの上に位置する。開口部342pを介して、ファン11から、開口部342pの下に配置されたヒートシンク40に向けて、風を送ることができる。ダクト30の凸部35p及び凸部36p(図5等参照)は、ファンユニット10の上方に位置する。これら凸部35p、凸部36p及びガイド板部342によって、ファンユニット10の上下方向における位置が規制される。
【0053】
また、ファンユニット10をダクト30内に挿入する際、図5に表したコネクタ21と、図9に表したコネクタ22とは、互いに対向する。ファンユニット10をダクト30内に挿入するように後方に押し込むことにより、コネクタ21とコネクタ22とが接続される。これにより、ファン11は、コネクタ21及びコネクタ22を介して、ファン11を駆動する電源及びファン11を制御する制御回路の少なくともいずれかと電気的に接続される。
【0054】
ファンユニット10をダクト30内から取り外す場合には、ファンユニット10のハンドル12hなどを掴んで、ファンユニット10を前方に引っ張る。これにより、ファンユニット10は、開口部31を介してダクト30内から引き抜かれる。ファンユニット10を前方に引っ張ることで、コネクタ21とコネクタ22との接続は解除される。
【0055】
このように、ファンユニット10は、開口部31から第1空間SP1へ向かう第1方向D1に沿って、ダクト30外から開口部31を介してダクト30内へ押し込まれる。また、ファンユニット10は、第1方向D1の逆方向に沿ってダクト30内から開口部31を介してダクト外へ引き抜かれる。これにより、容易にファンユニット10を交換することができる。
【0056】
例えば、産業用コンピュータなど産業用途の装置は24時間365日稼働が前提であり、組み込まれるシステムのダウンタイムを短くするため、メンテナンスは短時間であることが求められる。そのため寿命品であるCPU冷却用ファンは、交換を容易にするため本体前面に配置され、発熱体やヒートシンクに風を吹き付ける方式をとっている。CPUは高性能化に伴い発熱量も増加傾向にある。CPUは高温になると安全回路が働き性能が低下するため十分な冷却が望まれる。
【0057】
従来はエアダクトでヒートシンク正面(フィンと直交する面)に風を送り込む流路を作り、流路を絞り込むことで風速を上げて冷却性能を上げていた。この方法ではファンからヒートシンクへ冷却風が到達するまでに、ダクトと基板間の隙間などから空気が漏れ出し、またダクト内の流路抵抗により風速が低下すると場合があった。
【0058】
これに対して、実施形態によれば、例えば、ファンを前面から容易に交換でき、かつ実装時にはファンの排気部がヒートシンクの直上に接する配置となり、ファンからヒートシンク間の空気の漏れや、流路抵抗による風速低下の影響をなくすことで冷却効率を向上できる。また、例えば、ファンの前面交換が可能であることと、CPUの十分な冷却と、を両立することができる。
【0059】
図10(a)及び図10(b)は、実施形態に係る電子機器の一部を例示する模式的斜視図である。
電子機器100は、ダクト30内に配置されたファンユニット10の脱落を抑制するロック部材24をさらに有する。図10(a)は、ロック部材24が非固定位置にある状態を表し、図10(b)は、ロック部材24が固定位置にある状態を表す。
【0060】
例えば、ロック部材24は、前後方向に延びる回転軸を中心として回動可能に、筐体80に対して取り付けられている。ロック部材24は、90°回転することにより固定位置と非固定位置との間を移動することができる。
【0061】
図10(a)に表したように、非固定位置においては、ロック部材24は、ダクト30内に配置されたファンユニット10と第1方向D1において重ならない。
【0062】
図10(b)においては、ロック部材24は、ダクト30内に配置されたファンユニット10から見て前方(第1方向D1の逆方向)に位置する固定位置に配置されている。これにより、ロック部材24は、ダクト30内に配置されたファンユニット10が前方へ移動することを規制する。ロック部材24は、突起や爪による係合などの任意の手段により、固定位置に固定されていてよい。
【0063】
図11は、実施形態に係る電子装置の一部を例示する模式的平面図である。
図11中の矢印は、空気の流れる向きを表している。図11に表した平面視では、第2電子部品52は、ダクト30と第3方向D3において並ぶ。第2側面板36は、第1側面板35と第2電子部品52との間に位置する。また、図5等に関して上述したように、第2側面板36には、側面穴36aが設けられている。
【0064】
ファンユニット10から送られる風の一部は、側面穴36aを通過して、第2側面板36から第2電子部品52へ向かって流れる。これにより、第2電子部品52を冷却することができる。
【0065】
例えば、HDD(第2電子部品52)は、熱を持つことで軸受けの油が蒸発し、寿命が短くなることがある。これに対して、実施形態によれば、CPUと並列に配置されたHDDを効率よく冷却することが可能となる。例えば、ファンにより、ダクト30内部の圧力を上げることで高い風速が得られる。
【0066】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
上風向板と、下風向板と、を含み、開口部を有するダクトと、
前記ダクトに対して挿抜可能なファンユニットと、
第1電子部品と近接して配置されるヒートシンクと、
を備え、
前記上風向板は、前記開口部から第1方向に延び、
前記ヒートシンクの少なくとも一部及び前記下風向板は、前記第1方向に対して垂直な第2方向において前記上風向板から離れ、
前記ダクト内には、前記開口部から連続し、前記開口部と前記第1方向において並び、前記下風向板と前記上風向板との間、及び、前記ヒートシンクの少なくとも一部と前記上風向板との間に位置する第1空間が形成され、
前記ファンユニットが前記ダクト内に配置された第1状態において、前記ファンユニットは、前記ヒートシンクの少なくとも一部と前記第1空間との間、及び、前記下風向板と前記第1空間との間に位置し、前記第1空間内の空気を前記ヒートシンクへ向けて送風可能であり、
前記下風向板は、前記ヒートシンクと前記第1方向において並び、前記第1方向において前記ヒートシンクと前記開口部との間に位置し、前記ヒートシンクに近づくにつれて前記第1空間から離れるように傾斜する傾斜部を有する、電子機器。
(構成2)
前記ファンユニットは、
前記開口部から前記第1空間へ向かう前記第1方向に沿って、前記ダクト外から前記開口部を介して前記ダクト内へ押し込まれ、
前記第1方向の逆方向に沿って、前記ダクト内から前記開口部を介して前記ダクト外へ引き抜かれる、構成1に記載の電子機器。
(構成3)
前記ダクト内に配置された前記ファンユニットから見て前記逆方向に位置する固定位置に配置されることにより、前記ダクト内に配置された前記ファンユニットの前記逆方向への移動を規制するロック部材をさらに備えた、構成2に記載の電子機器。
(構成4)
前記ファンユニットは、風を送る羽根と、前記羽根の可動範囲である後方部及び前方部と、を有し、
前記第1状態において、前記後方部の少なくとも一部は、前記ヒートシンクの前記第1方向における中央部分と前記第2方向において並び、
前記第1状態において、前記前方部の少なくとも一部は、前記傾斜部と前記第2方向において並ぶ、構成1~3のいずれか1つに記載の電子機器。
(構成5)
平面視において、前記第1方向及び前記第2方向に対して垂直な第3方向において前記ダクトと並ぶ第2電子部品をさらに備え、
前記ダクトは、前記第3方向において互いに対向する第1側面板と第2側面板とを含み、
前記ヒートシンクの少なくとも一部及び前記第1空間は、前記第1側面板と前記第2側面板との間に位置し、
前記第2側面板は、前記第1側面板と前記第2電子部品との間に位置し、前記第2側面板を前記第3方向に貫通する側面穴を有する、構成1~4のいずれか1つに記載の電子機器。
【0067】
実施形態によれば、冷却効率を向上可能な電子機器が提供できる。
【0068】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0069】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
10:ファンユニット
11:ファン
12:ホルダ
12a:カバー部
12b:接続部
12e:開口
12h:ハンドル
13:羽根
13b:後方部
13e:前方部
21:コネクタ
22:コネクタ
24:ロック部材
30:ダクト
31:開口部
31p:一端部
32:上風向板
33:下風向板
34:ファンユニットガイド部
35:第1側面板
35p:凸部
36:第2側面板
36a:側面穴
36p:凸部
39:開口部
40:ヒートシンク
40a:前方部分
40b:後方部分
40c:中央部分
41:ベース部
42:フィン
51:第1電子部品
52:第2電子部品
53:電源ユニット
54:拡張カードホルダ
55:拡張カード実装エリア
57:メモリ
80:筐体
80b:後面
80f:前面
80p:開口部
80s、80t:側面
81:エアフィルタ
82:エアフィルタホルダ
100:電子機器
121:面
321:第1上板部
322:第2上板部
331:傾斜部
331e:後端
331f:前端
341:前板部
342:ガイド板部
342p:開口部
351~353:第1~3板部
D1~D3:第1~3方向
P1、P2、P3:位置
SP1:第1空間


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11