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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027886
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】光走査装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20250220BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20250220BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
G02B26/10 D
G02B26/12
B41J2/47 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133109
(22)【出願日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 憲造
(72)【発明者】
【氏名】山本 弥史
(72)【発明者】
【氏名】元山 貴晴
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀礼
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
【Fターム(参考)】
2C362AA03
2C362AA11
2C362BA04
2C362BA83
2C362BA84
2C362BB03
2H045AA01
2H045BA02
2H045BA22
2H045CA63
2H045CB14
(57)【要約】
【課題】ポリゴンミラーからのビームの出射角度を小さくして、良好なビーム径を得ることができる光走査装置を提供する。
【解決手段】光走査装置は、レーザダイオード81から照射されたビームLBをポリゴンミラー86に入射させており、レーザダイオード81から照射されたビームLBが入射するシリンドリカルレンズ83と、シリンドリカルレンズ83とポリゴンミラー86との間に配置され、入射したビームの出射角度を変化させる曲面レンズ85とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から照射されたビームを回転多面鏡に入射させる光走査装置であって、
前記光源から照射されたビームが入射するシリンドリカルレンズと、
前記シリンドリカルレンズと前記回転多面鏡との間に配置され、入射したビームの出射角度を変化させる曲面レンズとを備えること
を特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記曲面レンズは、予め設定された副走査方向に対する曲率を有すること
を特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記曲面レンズは、凹レンズであること
を特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光走査装置であって、
前記曲面レンズは、前記シリンドリカルレンズに対し、該シリンドリカルレンズの焦点よりも近い位置に配置されていること
を特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記曲面レンズは、凸レンズであること
を特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項6に記載の光走査装置であって、
前記曲面レンズは、前記シリンドリカルレンズに対し、該シリンドリカルレンズの焦点よりも遠い位置に配置されていること
を特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光走査装置であって、
前記曲面レンズの曲率は、前記シリンドリカルレンズの曲率より小さいこと
を特徴とする光走査装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光走査装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源から照射されたビームを回転多面鏡に入射させる光走査装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複写機、レーザプリンタ、あるいはファクシミリ等の画像形成装置では、レーザビームを走査する光走査装置が用いられる。画像形成装置で画像形成する場合、感光体を帯電装置で帯電した後、光走査装置によって画像情報に応じた書き込みを行い、感光体に静電潜像を形成する。そして、現像装置から供給されるトナーによって、感光体上の静電潜像を顕像化する。感光体上で顕像化されたトナー像は、転写装置によって用紙に転写され、さらに、定着装置によって用紙に定着されることで、所望の画像が得られる。
【0003】
光走査装置では、複数の光源を設けた構成が利用されているが、光源からの光束の結像位置がずれてしまうことがあった。そこで、結像位置のズレを低減させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-228422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像形成装置では、主走査方向に間隔を有する複数の光源を備えた光源手段と、光源手段から出射した複数の発散光束を収束光束に変換するコリメータレンズと、複数の光束を主走査方向に反射偏向する偏向手段(ポリゴンミラー)と、コリメータレンズと偏向手段との間に配され入射光束の光束幅を制限する絞りと、偏向手段で反射偏向された複数の光束を被走査面上に結像させる結像光学系とを有する。
【0006】
上述した画像形成装置では、コリメータレンズとポリゴンミラーとの間に絞り(アパーチャ)を設けているので、被走査面への光源の光量が少なくなるという課題がある。
【0007】
また、近年では、画像形成装置の小型化が図られており、光源からポリゴンミラーまでの入射系の光路を短くすることが検討されている。しかしながら、単に光路を短くするために、レンズでの集束の度合いを強めると、ポリゴンミラーからの出射角度が大きくなり、光束の幅が大きくなるという課題がある。ここでの光束の幅が大きくなると、光の特性によって、被走査面に入射した際のビーム径が極端に小さくなり、画像形成に不具合を生じさせる虞がある。
【0008】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ポリゴンミラーからのビームの出射角度を小さくして、良好なビーム径を得ることができる光走査装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る光走査装置は、光源から照射されたビームを回転多面鏡に入射させる光走査装置であって、前記光源から照射されたビームが入射するシリンドリカルレンズと、前記シリンドリカルレンズと前記回転多面鏡との間に配置され、入射したビームの出射角度を変化させる曲面レンズとを備えることを特徴とする。
【0010】
本開示に係る光走査装置では、前記曲面レンズは、予め設定された副走査方向に対する曲率を有する構成としてもよい。
【0011】
本開示に係る光走査装置では、前記曲面レンズは、凹レンズである構成としてもよい。
【0012】
本開示に係る光走査装置では、前記曲面レンズは、前記シリンドリカルレンズに対し、該シリンドリカルレンズの焦点よりも近い位置に配置されている構成としてもよい。
【0013】
本開示に係る光走査装置では、前記曲面レンズは、凸レンズである構成としてもよい。
【0014】
本開示に係る光走査装置では、前記曲面レンズは、前記シリンドリカルレンズに対し、該シリンドリカルレンズの焦点よりも遠い位置に配置されている構成としてもよい。
【0015】
本開示に係る光走査装置では、前記曲面レンズの曲率は、前記シリンドリカルレンズの曲率より小さい構成としてもよい。
【0016】
本開示に係る画像形成装置は、本開示に係る光走査装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本開示によると、ビームの出射角度を変化させる曲面レンズを設けることで、ポリゴンミラーからのビームの出射角度を小さくして、良好なビーム径を得ることができる。また、曲面レンズによってビームの出射角度が調整されるので、シリンドリカルレンズの曲率を大きくして、光路を短くし、ユニットの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の概略側面図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る光走査装置を示す斜視図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る光走査装置を示す平面図である。
図4】光走査装置での光学部品の位置関係を示す模式斜視図である。
図5】光走査装置での光学部品の位置関係を示す模式平面図である。
図6】比較例1におけるビームの光路の一部を示す模式説明図である。
図7】比較例2におけるビームの光路の一部を示す模式説明図である。
図8】本開示の第1実施形態におけるビームの光路の一部を示す模式説明図である。
図9図8の曲面レンズ近傍でのビームの光路の一部を示す拡大説明図である。
図10】本開示の第2実施形態におけるビームの光路の一部を示す模式説明図である。
図11図10の曲面レンズ近傍でのビームの光路の一部を示す拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の概略側面図である。
【0021】
画像形成装置100は、スキャナ機能、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等を有する複合機であり、画像読取装置によって読み取られた原稿の画像を外部に送信し(スキャナ機能に相当する)、また、読み取られた原稿の画像または外部から受信した画像をカラーもしくは単色で用紙に画像形成する(複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能に相当する)。
【0022】
画像読取部41の上側には、画像読取部41に対して開閉自在に支持された原稿搬送装置50(ADF)が設けられている。原稿搬送装置50が開かれると、画像読取部41の上方の原稿載置台44が開放され、原稿を手置きで置くことができるようになっている。また、原稿搬送装置50は、載置された原稿を、画像読取部41の上に自動で搬送する。画像読取部41は、載置された原稿または原稿搬送装置50から搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。
【0023】
画像形成装置100は、光走査装置1、現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、帯電器5、中間転写ベルト7、定着部12、用紙搬送路Sm、給紙カセット10、積載トレイ15等を備えている。
【0024】
画像形成装置100では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、または単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像形成装置100には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、および帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられ、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0025】
ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去および回収する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。なお、光走査装置1の詳細な構造については、後述する図2および図3を参照して説明する。
【0026】
感光体ドラム3の上側には、転写ベルト装置8が設けられ、中間転写ベルト7を介して中間転写ローラ6が配置されている。中間転写ベルト7は、転写駆動ローラ21および転写従動ローラ22に張架され、矢符Cの方向へ周回移動し、ベルトクリーニング装置9によって残留トナーを除去および回収され、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像が順次転写して重ね合わされて、中間転写ベルト7の表面にカラーのトナー像が形成される。
【0027】
2次転写部11の転写ローラ11aは、中間転写ベルト7との間にニップ域が形成されており、用紙搬送路Smを通じて搬送されて来た用紙をニップ域に挟み込んで搬送する。用紙は、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト7の表面のトナー像が転写されて定着部12に搬送される。
【0028】
定着部12は、用紙を挟んで回転する定着ローラ31および加圧ローラ32を備えている。定着部12は、定着ローラ31および加圧ローラ32の間にトナー像が転写された用紙を挟み込んで加熱および加圧し、トナー像を用紙に定着させる。
【0029】
給紙カセット10は、画像形成に使用する用紙を蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置1の下側に設けられている。用紙は、用紙ピックアップローラ16によって給紙カセット10から引き出されて、用紙搬送路Smを通じて搬送され、2次転写部11や定着部12を経由し、排紙ローラ17を介して積載トレイ15へと搬出される。用紙搬送路Smには、用紙を一旦停止させて、用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト7と転写ローラ11aとの間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて用紙の搬送を開始する用紙レジストローラ14、用紙の搬送を促す搬送ローラ13、および排紙ローラ17が配置されている。
【0030】
また、用紙の表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、用紙を排紙ローラ17から用紙反転経路Srへと逆方向に搬送する。用紙反転経路Srでは、反転ローラ18を通じて用紙の表裏を反転させ、用紙を用紙レジストローラ14へと再度導く。その後、表面と同様にして裏面に画像形成を行い、用紙を積載トレイ15へと搬出する。
【0031】
図2は、本開示の第1実施形態に係る光走査装置を示す斜視図であって、図3は、本開示の第1実施形態に係る光走査装置を示す平面図である。
【0032】
本開示の実施の形態に係る光走査装置1は、矩形状の筐体60を備えており、筐体60の各部に光学部品が取り付けられている。なお、図2および図3では、図面の見易さを考慮し、筐体60の内部が見えるように、筐体60の上面など、一部の部材を取り外した状態を示している。以下では説明のため、筐体60の一方の側面(例えば、取付側面61)に沿った方向を幅方向Xと呼ぶことがあり、取付側面61と隣接する側面に沿った方向を長さ方向Yと呼ぶことがあり、幅方向Xおよび長さ方向Yと直交する方向を高さ方向Zと呼ぶことがある。
【0033】
筐体60の取付側面61には、複数のレーザダイオード81(光源の一例)が取り付けられている。本実施の形態において、筐体60には、4つのレーザダイオード81が取り付けられている。4つのレーザダイオード81(第1ダイオード81aないし第4ダイオード81d)は、高さ方向Zに並べて配置されている。
【0034】
筐体60には、レーザダイオード81の他に、コリメータレンズ82、シリンドリカルレンズ83、反射ミラー84、曲面レンズ85、ポリゴンミラー86(回転多面鏡)、およびfθレンズ87といった光学部品が取り付けられている。なお、筐体60には、これに限らず、ミラー、レンズ、およびセンサなどの各種部品が取り付けられていてもよい。また、レーザダイオード81から出射されるビームLBと光学部品との関係については、後述する図4および図5を参照して説明する。
【0035】
図4は、光走査装置での光学部品の位置関係を示す模式斜視図であって、図5は、光走査装置での光学部品の位置関係を示す模式平面図である。なお、図4および図5では、図面の見易さを考慮して、光走査装置1における光学部品の一部を抜き出して示している。
【0036】
上述したように、光走査装置1の筐体60には、レーザダイオード81(第1ダイオード81aないし第4ダイオード81d)、コリメータレンズ82、シリンドリカルレンズ83、反射ミラー84、曲面レンズ85、ポリゴンミラー86、およびfθレンズ87といった光学部品が取り付けられている。
【0037】
図4では、レーザダイオード81(特に、第2ダイオード81b)から出射されるビームLBの一部を一点鎖線で示している。なお、図4では省略しているが、第2ダイオード81b以外のレーザダイオード81からも同様にして、ビームLBが出射される。ビームLBに対して付された主走査方向Sおよび副走査方向Hは、ビームLBが走査される方向であって、光が広がる方向に対応している。ビームLBの光路のうち、レーザダイオード81から反射ミラー84までの間において、主走査方向Sは、幅方向Xと略平行になっており、副走査方向Hは、高さ方向Zと略平行になっている。以下では説明のため、ビームLBの光路について、レーザダイオード81からポリゴンミラー86までの部分を入射系と呼び、ポリゴンミラー86から被走査面(例えば、感光体ドラム3)までの部分を出射系と呼ぶことがある。
【0038】
コリメータレンズ82は、4つのレーザダイオード81に対応して、4つ設けられており、レーザダイオード81から出射されるビームLBの光路上に配置されている。コリメータレンズ82は、入射したビームLBを平行光にして出射する。
【0039】
シリンドリカルレンズ83は、コリメータレンズ82から出射されるビームLBの光路上に配置されている。本実施の形態では、4つのレーザダイオード81に対応して、1つのシリンドリカルレンズ83が設けられている。具体的に、シリンドリカルレンズ83は、高さ方向Zに並べて配置された4つのレーザダイオード81に応じて、高さ方向Zに長い縦長のレンズとされており、4つのレーザダイオード81から出射されるビームLBが全て入射するようになっている。シリンドリカルレンズ83は、所定の方向に対する光の広がり方(倍率)を変更しており、本実施の形態では、入射したビームLBに対し、照射範囲を主走査方向Sで広げ、副走査方向Hで狭めるように作用する。
【0040】
また、シリンドリカルレンズ83は、通過するビームLBについて、副走査方向Hで出射する向き(照射角度)を調整している。シリンドリカルレンズ83を経た4つのビームLBは、副走査方向Hにおいて、ビームLB同士が集束するように、出射する向きを変える。4つのビームLBは、ポリゴンミラー86に到達した際、副走査方向Hにおいて、ビームLB同士が最も集束しており、ポリゴンミラー86を経た後は、ビームLB同士が副走査方向Hに拡散していく。
【0041】
反射ミラー84は、シリンドリカルレンズ83から出射されるビームLBの光路上に配置されており、反射したビームLBが曲面レンズ85を通って、ポリゴンミラー86に入射するように導く。
【0042】
曲面レンズ85は、反射ミラー84からポリゴンミラー86までの間の光路上に配置されており、入射したビームLBに対し、照射範囲(出射角度)を副走査方向Hで変更するように作用する。なお、ビームLBに対するシリンドリカルレンズ83および曲面レンズ85の作用については、後述する図8を参照して説明する。
【0043】
ポリゴンミラー86は、例えば、複数の反射面を有する多面鏡であって、モータなどの駆動部によって回転する回転軸を有しており、反射面に入射したビームLBを回転しながら反射することで、ビームLBが感光体ドラム3表面を走査する。
【0044】
fθレンズ87は、ポリゴンミラー86と対向する位置に設けられており、ポリゴンミラー86から出射したビームLBが入射する。図示しないが、fθレンズ87より先の光路では、レンズやミラー等の光学部品を設けてもよく、これらを介したビームLBが感光体ドラム3表面を走査するようにしてもよい。
【0045】
次に、入射系の光路におけるビームLBの挙動について、従来の構造に基づく比較例1および比較例2と、本実施の形態とを比較するため、図6ないし図9を参照して説明する。
【0046】
図6ないし図9では、ビームLBの光路のうち、シリンドリカルレンズ83からfθレンズ87までの部分を抽出して示している。また、図6ないし図9では、4つのレーザダイオード81のうち、いずれか1つのレーザダイオード81において、副走査方向HでのビームLBの挙動を代表して示しており、他のレーザダイオード81におけるビームLBも同様の挙動となる。なお、反射ミラー84については、ビームLBの光路長および副走査方向HでのビームLBの角度に対して影響を与えないので省略している。
【0047】
図6は、比較例1におけるビームの光路の一部を示す模式説明図である。
【0048】
従来の構造に基づく比較例1において、シリンドリカルレンズ83からのビームLBの出射角度(第1出射角度θ1)は、小さく設定されており、ビームLBは緩やかに集束していく。ポリゴンミラー86は、シリンドリカルレンズ83の焦点位置に配置されており、シリンドリカルレンズ83からポリゴンミラー86までの光路長(第1光路長NL1)は、第1出射角度θ1に応じて長くなっている。
【0049】
ポリゴンミラー86では、入射した角度と同じ角度でビームLBを反射させるので、第1出射角度θ1と同じ角度で拡散していくビームLBがfθレンズ87に入射する。
【0050】
比較例1では、fθレンズ87に入射する際のビームLBの幅が小さいので、被走査面でのビーム径が小さくなるという不具合は生じないが、第1光路長NL1が長いので、装置の小型化に対しては不利になる。
【0051】
図7は、比較例2におけるビームの光路の一部を示す模式説明図である。
【0052】
比較例2では、比較例1に対して、光路長を短くするように変更されている。具体的に、比較例2において、シリンドリカルレンズ83からのビームLBの出射角度(第2出射角度θ2)は、大きく設定されており、ビームLBは急峻に集束していく。シリンドリカルレンズ83からポリゴンミラー86までの光路長(第2光路長NL2)は、第2出射角度θ2に応じて短くなっている。それに伴って、ポリゴンミラー86からの出射角度も大きくなっている。
【0053】
比較例2では、fθレンズ87に入射する際のビームLBの幅が大きいので、被走査面でのビーム径が小さくなるという不具合が生じる。
【0054】
図8は、本開示の第1実施形態におけるビームの光路の一部を示す模式説明図である。
【0055】
本実施の形態では、比較例1および比較例2と異なり、シリンドリカルレンズ83とポリゴンミラー86との間に、曲面レンズ85が配置されており、曲面レンズ85によって入射したビームLBの出射角度が変化している。そこで、曲面レンズ85近傍でのビームLBの挙動について、図9を参照して説明する。
【0056】
図9は、図8の曲面レンズ近傍でのビームの光路の一部を示す拡大説明図である。
【0057】
曲面レンズ85は、副走査方向Hに対する曲率を有する凹レンズとされている。図9において、焦点FPは、シリンドリカルレンズ83の焦点位置を示しており、曲面レンズ85は、シリンドリカルレンズ83に対し、焦点FPよりも近い位置に配置されている。ポリゴンミラー86は、曲面レンズ85の焦点位置に配置されている。
【0058】
本実施の形態において、シリンドリカルレンズ83からのビームLBの出射角度(第3出射角度θ3)は、大きく設定されているが、曲面レンズ85によって出射角度が変化し、ポリゴンミラー86には、小さな角度(第4出射角度θ4)で入射する。また、シリンドリカルレンズ83からポリゴンミラー86までの光路長(第3光路長NL3)は、第3出射角度θ3に応じて短くなっている。このように、ビームLBの出射角度を変化させる曲面レンズ85を設けることで、ポリゴンミラー86からのビームの出射角度を小さくして、良好なビーム径を得ることができる。また、曲面レンズ85によってビームLBの出射角度が調整されるので、シリンドリカルレンズ83の曲率を大きくして、光路を短くし、ユニットの小型化を図ることができる。
【0059】
複数の光源を設けた際、副走査方向Hでの曲率を有する曲面レンズ85を設けることで、ビームLBの分離度を確保することができる。つまり、曲面レンズ85によってビームLBの出射角度を調整することで、fθレンズ87に入射する際のビームLBの幅が小さくなり、fθレンズ87から出射されるビームLB同士の間隔を広げることができる。さらに、焦点よりも前に配置した凹レンズを用いることで、ビームLBの出射角度を容易に変更し、ポリゴンミラー86が焦点となるように位置を調整することができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0061】
第2実施形態では、第1実施形態に対し、曲面レンズ85の構成が異なっている。なお、第2実施形態は、図1ないし図9に示す第1実施形態と略同様の構成とされているので、説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0062】
図10は、本開示の第2実施形態におけるビームの光路の一部を示す模式説明図である。
【0063】
第2実施形態では、第1実施形態に対し、曲面レンズ85として凸レンズを用いている点が異なる。本実施の形態でも、第1実施形態と同様に、曲面レンズ85によって入射したビームLBの出射角度が変化しており、曲面レンズ85近傍でのビームLBの挙動について、図11を参照して説明する。
【0064】
図11は、図10の曲面レンズ近傍でのビームの光路の一部を示す拡大説明図である。
【0065】
図11において、焦点FPは、シリンドリカルレンズ83の焦点位置を示しており、曲面レンズ85は、シリンドリカルレンズ83に対し、焦点FPよりも遠い位置に配置されている。このように、凸レンズを焦点FPよりも後に配置することで、拡散し始めたビームLBを再度集束させて、ポリゴンミラー86が焦点となるように位置を調整することができる。ポリゴンミラー86は、曲面レンズ85の焦点位置に配置されている。
【0066】
曲面レンズ85の曲率は、シリンドリカルレンズ83の曲率より小さくなっている。つまり、シリンドリカルレンズ83からのビームLBの出射角度(第5出射角度θ5)は、大きく設定されており、焦点FPを過ぎてから同じ角度で拡散しているが、曲面レンズ85によって、それより小さい出射角度(第6出射角度θ6)で集束させて、ポリゴンミラー86に入射する。このように、シリンドリカルレンズ83よりも曲率が小さい凸レンズを用いることで、ポリゴンミラー86への入射角度が小さくなるように調整することができる。
【0067】
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 光走査装置
81 レーザダイオード(光源の一例)
82 コリメータレンズ
83 シリンドリカルレンズ
84 反射ミラー
85 曲面レンズ
86 ポリゴンミラー
87 fθレンズ
100 画像形成装置
S 主走査方向
H 副走査方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11