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  • 特開-自動充電システム 図1
  • 特開-自動充電システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002791
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】自動充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241226BHJP
   B60L 53/37 20190101ALI20241226BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
B60L53/37
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103143
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白澤 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】羽原 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 佑輔
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BE02
5H125DD03
5H125EE55
(57)【要約】
【課題】充電ロボットに撮像装置及びセンサを設けることなく、ロボットアームの目標移動位置及び進入角度を算出できる自動充電システムを提供すること。
【解決手段】本発明の自動充電システムは、蓄電装置を搭載する車両と充電コネクタを有する充電ケーブルを備えた充電器とロボットアームを備えた充電ロボットとによって構成された自動充電システムであって、車両は、車両に搭載された撮像装置が撮像した車両周辺の画像または距離センサによって測定された車両と周辺物との間の距離に基づいて、駐車位置及び車両姿勢を算出する車両制御装置と、駐車位置及び車両姿勢を含む充電口への充電コネクタの挿入動作に要する情報を充電ロボットに送信する車両通信装置とを備え、充電ロボットは、挿入動作に要する情報を受信するロボット通信装置と、挿入動作に要する情報に基づいて、ロボットアームの目標移動位置及び進入角度を算出するロボット制御装置とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置から供給される電力によって駆動される車両と、
充電コネクタを有する充電ケーブルを備えた充電器と、
前記充電コネクタを掴み、駐車スペースに位置する前記車両の充電口に対する、前記充電コネクタの抜き差しを自動的に行うロボットアームを備えた充電ロボットと、
によって構成され、
前記充電口に前記充電コネクタを挿入して前記充電器から前記蓄電装置に電力を供給して充電する自動充電システムであって、
前記車両は、
前記車両に搭載された撮像装置が撮像した車両周辺の画像、または、前記車両に搭載された距離センサによって測定された前記車両と周辺物との間の距離に基づいて、前記駐車スペース内における前記車両の駐車位置及び車両姿勢を算出する車両制御装置と、
前記車両制御装置が算出した前記駐車位置及び前記車両姿勢を含む前記充電口への前記充電コネクタの挿入動作に要する情報を前記充電ロボットに送信する車両通信装置と、
を備えており、
前記充電ロボットは、
前記挿入動作に要する情報を受信するロボット通信装置と、
前記挿入動作に要する情報に基づいて、前記ロボットアームの目標移動位置及び進入角度を算出するロボット制御装置と、
を備える、
ことを特徴とする自動充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、充電ロボットに設けられた超音波センサによって車両の後輪タイヤを検出し、充電対象の車両位置を確認して充電ロボットによる自動充電を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-092622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、自動充電を行うために充電ロボットに対して超音波センサを別途で設ける必要がある。また、車両に既存で搭載されている撮像装置であるカメラや、車両と周辺物との間の距離を測定する距離センサなどを利用する場合には、どのように利用すれば、車両の充電口に充電コネクタを挿入するロボットアームの目標移動位置及び進入角度を算出することができるか、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、充電ロボットに撮像装置及びセンサを設けることなく、ロボットアームの目標移動位置及び進入角度を算出することができる自動充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る自動充電システムは、蓄電装置から供給される電力によって駆動される車両と、充電コネクタを有する充電ケーブルを備えた充電器と、前記充電コネクタを掴み、駐車スペースに位置する前記車両の充電口に対する、前記充電コネクタの抜き差しを自動的に行うロボットアームを備えた充電ロボットと、によって構成され、前記充電口に前記充電コネクタを挿入して前記充電器から前記蓄電装置に電力を供給して充電する自動充電システムであって、前記車両は、前記車両に搭載された撮像装置が撮像した車両周辺の画像、または、前記車両に搭載された距離センサによって測定された前記車両と周辺物との間の距離に基づいて、前記駐車スペース内における前記車両の駐車位置及び車両姿勢を算出する車両制御装置と、前記車両制御装置が算出した前記駐車位置及び前記車両姿勢を含む前記充電口への前記充電コネクタの挿入動作に要する情報を前記充電ロボットに送信する車両通信装置と、を備えており、前記充電ロボットは、前記挿入動作に要する情報を受信するロボット通信装置と、前記挿入動作に要する情報に基づいて、前記ロボットアームの目標移動位置及び進入角度を算出するロボット制御装置と、を備える、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る自動充電システムは、充電ロボットに撮像装置及びセンサを設けることなく、ロボットアームの目標移動位置及び進入角度を算出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る自動充電システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る自動充電制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る自動充電システムの実施形態について説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、実施形態に係る自動充電システム1の概略構成の一例を示す図である。実施形態に係る自動充電システム1は、自動充電装置100及び車両2によって構成される。自動充電装置100は、充電器110及び充電ロボット120によって構成されている。充電器110は、充電器本体111、充電ケーブル112、及び、充電コネクタ113などを備えており、例えば、商用電源に接続されている。充電コネクタ113は、嵌合等の機械的な連結を伴って車両2の充電口(インレット)に挿入可能に構成されている。充電ロボット120は、ロボット本体121、ロボット本体121に接続されたロボットアーム122、ロボットアーム122の先端部に設けられたロボットハンド123、ロボット制御装置、及び、ロボット通信装置などを備えている。自動充電装置100では、充電コネクタ113をロボットハンド123で掴み、ロボットアーム122を移動させて充電コネクタ113を車両2の充電口へ挿入することによって、充電器10と車両2との間で電力伝送のための電気的な接続が確保される。これにより、充電器10から供給される電力によって車両2の車載バッテリを充電することが可能になる。
【0011】
車両2は、自動充電装置100の近くの地面に白線で四角形に囲んで形成された駐車枠31内の駐車スペース3に駐車されている。車両2は、車載カメラ21、車両通信装置、充電口、充電リッド、車両制御装置、及び、車載バッテリなどを備えている。車載カメラ21は、車両周辺を撮影することができる。また、車両2は、車両2と周辺物との距離を測定する距離センサ(LiDAR、ミリ波レーダ、及び、超音波センサなど)を備えてもよい。車両2と充電ロボット120とは、車両通信装置とロボット通信装置とによってWi-Fiなどの無線通信を行うことが可能である。
【0012】
車両制御装置は、車載カメラ21によって撮影した車両周辺の画像に基づいて、車両周辺の特徴部(例えば、駐車枠31の白線など)と車両2との相対位置から駐車位置及び車両姿勢(駐車枠31に対する車両2の傾き具合など)を算出する。ここで、例えば、駐車枠31の車両左右方向(短手方向)に延びる白線方向をX軸とし、駐車枠31における車両前後方向(長手方向)に延びる白線方向をY軸とし、駐車枠31における地面からの車両高さ方向をZ軸とし、駐車枠31の任意の位置を原点とする。そして、駐車位置は、例えば、車両2に搭載された車載カメラ21または距離センサの位置について、X軸方向の位置とY軸方向の位置とを算出する。また、車両姿勢は、車両2に搭載された車載カメラ21または距離センサの位置について、Z軸周りの角度を算出する。車両制御装置によって算出された駐車位置及び車両姿勢に関する情報は、車両2から充電ロボット120に無線通信によって送信する。
【0013】
充電ロボット120は、車両2から受信した駐車位置及び車両姿勢に関する情報に基づいて、ロボットアーム122(充電コネクタ113)の移動先である充電口の位置、充電口に対するロボットアーム122(充電コネクタ113)の進入角度、充電リッドの位置、及び、充電リッドの開方向などを決定する。そして、充電ロボット120は、車両2の充電リッドやサイドミラーなどの障害物を回避しつつ、ロボットアーム122によって充電コネクタ113を車両2の充電口に挿入する。
【0014】
このように、実施形態に係る自動充電装置100においては、充電ロボット120(自動充電装置100)にカメラや距離センサを設けることなく、ロボットアーム122の移動先である車両2の充電口の位置や、充電口へのロボットアーム122(充電コネクタ113)の進入角度を決定して、自動充電を行うことができる。
【0015】
図2は、実施形態に係る自動充電制御の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS11の処理では、ユーザーがスマートフォンなどの携帯情報端末などを用いて車両2に充電開始要求を送信する。次に、ステップS21の処理では、車両2がユーザーからの充電開始要求を車両通信装置などによって受信する。次に、ステップS22の処理では、車両制御装置が充電可能な車両条件を満たすか否かを判断する。充電可能な条件としては、例えば、Power-offになっていることや、車載バッテリのSOCが所定値以下になっていることである。車両制御装置は、充電可能な車両条件を満たすと判断した場合(ステップS22にてYes)、ステップS23の処理に移行する。ステップS23の処理では、車載カメラ21で車両周辺を撮影する。次に、ステップS24の処理では、車両制御装置は、車載カメラ21によって撮影された車両周辺の画像に基づいて、駐車位置及び車両姿勢を算出する。例えば、車両制御装置は、駐車枠31を構成する車両前方の白線を含む画像を車載カメラ21によって撮影する。そして、車両制御装置は、撮影した画像中における当該白線の長さ及び傾きから当該白線と車両2との相対位置を算出することにより、駐車枠31内における駐車位置及び車両姿勢を算出する。なお、車両制御装置は、駐車位置及び車両姿勢を算出する際に、車載カメラ21によって撮影された画像に替えて、車両2に搭載された距離センサの測定結果などを用いてもよい。例えば、車両制御装置は、駐車枠31を構成する車両前方の白線の両端に設けられた2箇所のポールと車両2との間の距離を、車両2に搭載された距離センサによって測定する。そして、車両制御装置は、距離センサの測定結果に基づいて、2箇所のポールと車両2との相対位置を算出することにより、駐車枠31内における駐車位置及び車両姿勢を算出する。次に、ステップS25の処理では、充電開始要求、及び、算出された駐車位置及び車両姿勢を含む充電口への充電コネクタ113の挿入動作に要する情報である関連情報を、車両通信装置から充電ロボット120(ロボット通信装置)に送信する。なお、前記関連情報としては、例えば、ロボットアーム122の目標移動位置(充電口の位置)の算出に必要な情報や、ロボットアーム122(充電コネクタ113)の進入角度の算出に必要な情報などである。ロボットアーム122の目標移動位置(充電口の位置)の算出に必要な情報としては、例えば、算出した駐車位置及び車両姿勢や、駐車枠31に駐車された車両2の車種に依存して求められる充電口の位置などである。また、ロボットアーム122の進入角度の算出に必要な情報としては、例えば、車両2のサイドミラーの位置や、車両2の充電リッドの位置及び開方向などである。
【0016】
ステップS31の処理では、充電ロボット120のロボット通信装置が、車両2(車両通信装置)からの充電開始要求及び関連情報を受信する。次に、ステップS32の処理では、自動充電装置100が充電可能な駐車位置及び車両姿勢であるか否かを判断する。自動充電装置100は、充電可能な駐車位置及び車両姿勢であると判断した場合(ステップS32にてYes)、ステップS33の処理に移行する。ステップS33の処理では、車両2から受信した情報をもとにして、車両2の充電口の位置(ロボットアーム122の目標移動位置)と、車両2のサイドミラーや充電リッドなどの障害物を回避する方向から車両2の充電口へアプローチできるロボットアーム122(充電コネクタ113)の進入角度とを算出する。車両2の充電口の位置は、例えば、車両2に搭載された車載カメラ21または距離センサの位置からのX軸方向の位置及びY軸方向の位置、並びに、Z軸方向の位置(地面からの高さ)から算出する。次に、ステップS34の処理では、ロボットアーム122によって充電コネクタ113を車両2の充電口に挿入し、充電を開始する。そして、一連の制御を終了する。
【0017】
また、ステップS22の処理において、車両2の車両制御装置は、充電可能な車両条件を満たさないと判断した場合(ステップS22にてNo)、ステップS26の処理に移行する。ステップS26の処理では、充電可能な車両条件を満たさない旨をユーザーに通知して、例えば、ユーザーにPower-offを促す。そして、一連の制御を終了する。
【0018】
また、ステップS32の処理において、自動充電装置100のロボット制御装置は、充電可能な駐車位置及び車両姿勢ではないと判断した場合(ステップS32にてNo)、ステップS35の処理に移行する。ステップS35の処理では、充電可能な駐車位置及び車両姿勢ではない旨をユーザーに通知して、例えば、ユーザーに再駐車を促す。そして、一連の制御を終了する。
【0019】
実施形態に係る自動充電システム1においては、充電ロボット120にカメラや距離センサを設けることなく、ロボットアーム122の移動先(目標移動位置)である車両2の充電口の位置や、車両2の充電口へのロボットアーム122(充電コネクタ113)の進入角度を決定することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 自動充電システム
2 車両
3 駐車スペース
21 車載カメラ
31 駐車枠
100 自動充電装置
110 充電器
111 充電器本体
112 充電ケーブル
113 充電コネクタ
120 充電ロボット
121 ロボット本体
122 ロボットアーム
123 ロボットハンド
図1
図2