(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027944
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】カートリッジ及びその定量化方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
G01N35/10 D
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013797
(22)【出願日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】18/234,388
(32)【優先日】2023-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516067494
【氏名又は名称】クレド ダイアグノスティックス バイオメディカル プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】歐 育誠
(72)【発明者】
【氏名】陳 翰毅
(72)【発明者】
【氏名】蔡 秉憲
(72)【発明者】
【氏名】陳 冠穎
(72)【発明者】
【氏名】曾 家洲
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058EA14
2G058EB11
2G058EB15
2G058EB21
(57)【要約】
【課題】少なくとも1つの定量化チャンバが内部に配置されたカートリッジを提供し、液体を移送する間に能動的な定量化を達成し、それによってカートリッジによるスクリーニングの感度および精度を高めること。
【解決手段】カートリッジ及び定量化方法は、メインカバー、容器、第1ピペット、及び回転バルブを含む。前記メインカバーは、互いに対向する第1の表面と第2の表面とを有し、前記第1の表面は、第1の定量化チャンバと、第1の流体トンネルと、第1のガストンネルと、貯蔵チャンバとを含み、前記第1の定量化チャンバの第1の端部は、前記第1の流体トンネルに接続され、前記貯蔵チャンバの第1の端部は、前記第1のガストンネルに接続され、前記第1の定量化チャンバの第2の端部は、前記貯蔵チャンバの第2の端部に接続される。第1のピペットは、メインカバー上に配置され、第2の表面から部分的に突出し、第1のピペットは、第1の定量化チャンバの第2の端部に接続され、容器内に垂直に延在する。回転弁は、第2の面上に回転可能に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジであって、
互いに対向する第1の表面および第2の表面を有するメインカバーであって、前記第1の表面は平面上に延在する第1の定量化チャンバ、第1の流体トンネル、第1のガストンネル、および貯蔵チャンバを備え、前記第1の定量化チャンバの第1の端部は、前記第1の流体トンネルに接続され、前記貯蔵チャンバの第1の端部は、前記第1のガストンネルに接続され、前記第1の定量化チャンバの第2の端部は、前記貯蔵チャンバの第2の端部に接続される、メインカバーと、
前記メインカバーの前記第2の表面上に配置された少なくとも1つの容器であって、前記少なくとも1つの容器は、前記第1の定量化チャンバの前記第2の端部と垂直方向に重なる、少なくとも1つの容器と、
前記メインカバー上に配置され、前記メインカバーの前記第2の表面から部分的に突出した第1のピペットであって、前記第1のピペットは、前記第1の定量化チャンバの前記第2の端部に接続され、前記少なくとも1つの容器内に垂直に延在する、第1のピペットと、
前記メインカバーの前記第2の表面上に回転可能に配置された回転弁と、を備えることによって特徴づけられる、カートリッジ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの容器の上部と底部との間で、前記少なくとも1つの容器内に配置された第2の定量化チャンバであって、前記第2の定量化チャンバの底面と前記第1のピペットの底部とが同一平面上にある、第2の定量化チェンバをさらに備えることによって特徴づけられる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記回転弁は、異なる材料を有する第1の部分と第2の部分をさらに備え、前記第1の部分上に流路および開口部が配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記流路および前記開口部は、それぞれ、前記第1の流体トンネルおよび前記第1のガストンネルと位置合わせされることを特徴とする、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記メインカバーの前記第1の表面上に配置され、前記第1の流体トンネルに接続された第2のガストンネルであって、前記回転弁の前記開口部は、任意選択的に、前記第2のガストンネルと位置合わせされる、第2のガストンネルと、
前記メインカバーの前記第1の表面上に配置された第2の流体トンネルであって、前記第2の流体トンネルの一端は、前記少なくとも1つの容器と前記垂直方向に重なっており、前記回転弁の前記流路は、前記第2の流体トンネルと位置合わせされる、第2の流体トンネルと、をさらに備えることによって特徴づけられる、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記メインカバー上に配置され、前記メインカバーの前記第2の表面から突出した第2のピペットであって、前記第2のピペットは、前記流体トンネルと接続され、前記少なくとも1つの容器内へ垂直に延びる、第2のピペットをさらに備えることによって特徴づけられる、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記メインカバーの前記第1の表面上に覆いをする封止層と、
前記封止層上に配置されたパッケージカバーであって、前記パッケージカバーは、
前記パッケージカバーの第1の表面上に配置され、前記少なくとも1つの容器と前記垂直方向に重ねられた気密リングと、
前記少なくとも1つの容器を封止するために前記気密リング上に配置された容器カバーと、
前記パッケージカバーの第2の表面上に突出して配置された少なくとも1つのピンと、をさらに含む、パッケージカバーと、
をさらに含むことによって特徴づけられる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記メインカバーの前記第1の表面上に、それぞれ異なる方向に沿って配置された複数の第3の流体トンネルおよび複数の第3のガストンネルと、
前記メインカバーの前記第2の表面からそれぞれ突出するために前記メインカバー上に配置された複数の第3のピペットおよび複数の第3のガス注入口であって、前記第3のピペットの各々は、前記流体トンネルの各々に接続され、前記ガス注入口の各々は、前記第3のガストンネルの各々と接続されている、複数の第3のピペットおよび複数の第3のガス注入口と、
前記メインカバーの前記第2の表面上にそれぞれ配置された複数の容器であって、前記ガス注入口の各々と前記ピペットの各々はそれぞれ前記容器の各々の中へ延びる、複数の容器と、
をさらに備えることによって特徴づけられる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項9】
定量化方法であって、前記定量化方法は、
カートリッジを提供することであって、前記カートリッジは、
平面上に延在する第1の定量化チャンバ、第1の流体トンネル、第1のガストンネル、および貯蔵チャンバを備えるメインカバーであって、前記第1の定量化チャンバの第1の端部は、前記第1の流体トンネルに接続され、前記貯蔵チャンバの第1の端部は、前記第1のガストンネルに接続され、前記第1の定量化チャンバの第2の端部は、前記貯蔵チャンバの第2の端部に接続される、メインカバーと、
前記メインカバー上に配置された第1のピペットであって、前記第1のピペットは、前記第1の定量化チャンバの前記第2の端部に接続されている、第1のピペットと、
前記メインカバー上に配置された複数の容器であって、前記複数の容器のうちの1つは、前記第1の定量化チャンバの前記第2の端部と垂直方向に重なる、複数の容器と、
前記メインカバー上に回転可能に配置された回転弁であって、流路と開口部は、前記回転弁の表面上に配置されている、回転弁と、を含む、提供することと、
前記第1の定量化チャンバの前記第1の端部から前記第1の定量化チャンバ内に試薬を注入することと、
前記試薬が前記第1の定量化チャンバに注入された後、前記試薬の一部を、前記第1の定量化チャンバの前記第2の端部から前記貯蔵チャンバに移送することと、
回転弁により、前記試薬の別の部分を前記第1の定量化チャンバから前記複数の容器のうちの1つに移送することと、を含む、定量化方法。
【請求項10】
前記回転弁の前記流路が前記第1の流体トンネルと位置合わせされ、前記回転弁の前記開口部が前記第1のガストンネルと位置合わせされるまで、前記回転弁を回転させることをさらに含むことによって特徴づけられる、請求項9に記載の定量化方法。
【請求項11】
前記メインカバー上に配置され、前記第1の流体トンネルに接続された第2のガストンネルと、
前記メインカバー上に配置された第2の流体トンネルと、
前記メインカバー上に配置され、前記第2の流体トンネルと接続されている第2のピペットであって、前記第2のピペットは、前記複数の容器のうちの1つの中へ垂直に延びる、第2のピペットと、
前記複数の容器のうちの1つの中の、前記複数の容器のうちの1つの上部と底部との間に配置された第2の定量化チャンバと、をさらに含むことによって特徴づけられる、請求項9または10に記載の定量化方法。
【請求項12】
前記試薬の前記別の部分を前記第1の定量化チャンバから前記複数の容器のうちの1つに移送する間に、前記回転弁の前記開口部が前記第2のガストンネルと位置合わせされるまで、前記回転弁を回転させることをさらに含むことによって特徴づけられる、請求項11に記載の定量化方法。
【請求項13】
前記第2の定量化チャンバと前記第2のピペットを通じて定量化された混合物を形成するために、複数の容器のうちの1つの内部で前記試薬と生物学サンプルを混合することと、
前記混合物を前記第2の流体トンネルから前記複数の容器のうちに別の1つに移送することと、をさらに含むことによって特徴づけられる、請求項11に記載の定量化方法。
【請求項14】
前記回転弁の前記流路が前記第2の流体トンネルと位置合わせされるまで、前記回転弁を回転させることをさらに含むことによって特徴づけられる、請求項13に記載の定量化方法。
【請求項15】
前記第2の定量化チャンバの底面と前記第1のピペットの底部は同一平面上にあり、前記第2の定量化チャンバの上面は前記複数の容器の前記上部よりも低いことを特徴とする、請求項11に記載の定量化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ及びその定量化方法に関し、より詳しくは、核酸抽出及び核酸増幅用カートリッジ及びその定量化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸抽出および核酸増幅は、生物医学的試験または診断において使用される一般的な技術である。一般に、核酸抽出キットまたは核酸抽出試薬は、通常、核酸抽出のために開放型のルーチン実験室で使用され、続いて、核酸増幅キットまたは核酸増幅試薬を使用して、特定の核酸断片を増幅するか、または特定の核酸断片を検出する。しかしながら、上記キット又は試薬は、通常、手動操作を必要とし、これは時間がかかり、試料又は試薬の汚染をもたらしやすく、それにより、大量試験又は生産ラインモード試験での使用において効率が低い。一方、既存の分析カートリッジの中には、機械的に操作可能なものもあるが、これらのカートリッジは、通常、複雑な構成を有し、操作のために高価な機械と適合させる必要があり、それによってスクリーニングコストが増大する。したがって、関連技術の実際の要求を満たすために、関連技術に対して新規で改良された技術を提供することが依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このことを念頭に置いて、本開示は、少なくとも1つの定量化チャンバが内部に配置されたカートリッジを提供し、液体を移送する間に能動的な定量化を達成し、それによってカートリッジによるスクリーニングの感度および精度を高めることを目的とする。
【0004】
また、本発明は、液体がカートリッジ内の少なくとも1つの定量化チャンバを通って流れることによって移送される間に、液体を同期して定量化することを可能にし、それによって、操作を簡略化し、カートリッジスクリーニングの感度および精度を向上させる、カートリッジの定量化方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、独立請求項に記載のカートリッジおよびその定量化方法によって達成される。従属請求項は、対応するさらなる発展および改良に関する。
【0006】
以下の詳細な説明からより明確に理解されるように、本開示によってカートリッジが提供される。カートリッジは、メインカバーと、容器と、第1のピペットと、回転弁とを含む。前記メインカバーは、互いに対向する第1表面及び第2表面を有し、前記第1表面は、平面上に延在する第1定量化チャンバ、第1流体トンネル、第1気体トンネル、及び貯蔵チャンバを含み、前記第1定量化チャンバの第1端は前記第1流体トンネルに接続され、前記貯蔵チャンバの第1端は前記第1気体トンネルに接続され、前記第1定量化チャンバの第2端は前記貯蔵チャンバの第2端に接続される。容器は、メインカバーの第2の面上に配置され、第1の定量化チャンバの第2の端部と垂直方向に重なる。第1のピペットは、メインカバー上に配置され、メインカバーの第2の表面から部分的に突出し、第1のピペットは、第1の定量化チャンバの第2の端部に接続され、少なくとも1つの容器内に垂直に延在する。回転弁は、メインカバーの第2の面に回転可能に配置される。
【0007】
以下の詳細な説明からより明確に理解されるように、本開示によってカートリッジの定量化方法が提供される。定量化方法は、以下のステップを含む。まず、カートリッジが提供され、カートリッジは、メインカバーと、複数の容器と、第1のピペットと、回転弁とを含む。前記メインカバーは、第1の定量化チャンバと、第1の流体トンネルと、第1のガストンネルと、平面上に延在する貯蔵チャンバとを含み、前記第1の定量化チャンバの第1の端部は前記第1の流体トンネルに接続され、前記貯蔵チャンバの第1の端部は前記第1のガストンネルに接続され、前記第1の定量化チャンバの第2の端部は前記貯蔵チャンバの第2の端部に接続される。第1のピペットは、メインカバーに配置され、第1のピペットは、第1の定量化チャンバの第2の端部に接続される。複数の容器は、メインカバー上に配置され、複数の容器のうちの1つは、垂直方向において第1の定量化チャンバの第2の端部と重なる。回転弁は、メインカバー上に回転可能に配置される。次に、第1の定量化チャンバの第1の端部から第1の定量化チャンバ内に試薬を注入する。試薬が第1の定量化チャンバに注入された後、試薬の一部は、第1の定量化チャンバの第2の端部から貯蔵チャンバに移送される。そして、ロータリーバルブを回転させることにより、第1定量化室内の試薬の残部を複数の容器のうちの1つの容器に移送する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施例によりさらに説明する。
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るカートリッジを示す概略図である。本発明の第1実施形態に係るカートリッジの分解図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るカートリッジを示す概略図である。本発明の第1の実施形態に係るカートリッジの側面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るカートリッジを示す概略図である。本開示の第1の実施形態によるカートリッジの断面図を示す。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るカートリッジを示す概略図である。本開示の第1の実施形態による第2の定量化チャンバの断面図を示す。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るカートリッジを示す概略図である。本開示の第2の実施形態によるカートリッジの分解図を示す。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るカートリッジを示す概略図である。本開示の第2の実施形態によるカートリッジの側面図を示す。
【
図7】本開示の好ましい実施形態に係る定量化方法の処理フローを示す模式図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係るカートリッジを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のより良い理解を提供するために、好ましい実施形態が詳細に説明される。本開示の好ましい実施形態は、番号付けされた要素を有する添付の図面に示される。
【0011】
本開示において、説明中の第2の特徴の上に第1の特徴を形成することは、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触して形成される実施形態を含み得、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触しないように、第1の特徴と第2の特徴との間に追加の特徴が形成され得る実施形態も含み得る。加えて、本開示は、様々な例において参照番号および/または文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、簡潔さおよび明瞭さのためであり、それ自体、議論される様々な実施形態および/または構成の間の関係を決定するものではない。さらに、「下に(beneath)」、「下方に(below)」、「下側に(lower)」、「上に(over)」、「上方に(above)」、「上側に(upper)」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるように、1つの要素または特徴の別の要素(複数可)または特徴(複数可)に対する関係を説明するための説明を容易にするために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、使用または動作中のデバイスの異なる向きを包含することが意図される。例えば、図中の装置が反転される場合、他の要素又は特徴の「下」及び/又は「真下」として記載される要素は、他の要素又は特徴の「上」及び/又は「上方」に配向される。装置は、他の方向に向けられてもよく(90度回転されるか、または他の方向に)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、同様に、それに応じて解釈されてもよい。
【0012】
第1、第2、第3などの用語は、本明細書では、様々な要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを別の領域、層、および/またはセクションと区別するためにのみ使用され得る。「第1の」、「第2の」などの用語、および他の数値用語は、本明細書で使用されるとき、文脈によって明確に示されない限り、シーケンスまたは順序を暗示しない。したがって、以下で説明される第1の要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションは、実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションと呼ばれることがある。
【0013】
本明細書に開示されるように、用語「約」または「実質的」は、一般に、所与の値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%、3%、2%、1%、または0.5%以内を意味する。特に明示的に指定されない限り、本明細書に開示される数値範囲、量、値、及び百分率の全ては、全ての場合において、用語「約」または「実質的」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対のことが示されない限り、本開示および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、所望に応じて変化し得る近似値である。
【0014】
図1~
図4を参照すると、本発明の第1の実施形態によるカートリッジ100が示されており、
図1は、カートリッジ100の分解図の概略図であり、
図2は、カートリッジ100の側面図の概略図であり、
図3は、カートリッジ100の断面図の概略図であり、
図4は、第2の定量化チャンバ121の断面図の概略図である。
図1~
図3に示すように、カートリッジ100は、メインカバー102と、容器120aと、第1ピペット112aと、ロータリーバルブとを備える。メインカバー102は、互いに対向する第1面102a及び第2面102bを含む。メインカバー102の第1面102aには、第1定量化チャンバー108、第1流体トンネル104a、第1ガストンネル106a、及び貯蔵チャンバー110が配置される。容器120aは、メインカバー102の第2面102bに配置される。第1ピペット112aは、(
図2に示されるように)中空構造を有し、第1表面102aから下方に延びて、第2表面102bから部分的に突出し、容器120a内に延びる。回転弁116は、第2の面102bに回転可能に配置されている。第1の定量化チャンバ108の第1の端部108aは、第1の流体トンネル104aに接続され、貯蔵チャンバ110の第1の端部110aは、第1のガストンネル106aに接続され、第1の定量化チャンバ108の第2の端部108bは、貯蔵チャンバ110の第2の端部110bに接続され、第1の定量化チャンバ108および貯蔵チャンバ110の第2の端部108b/110bは、両方とも、第1のピペット112aに接続し、垂直方向D3において下の容器120aに重なることに留意されたい。したがって、第1の定量化チャンバ108を配置することによって、カートリッジ100は、容器120aに試薬を注入する間に、能動的な定量化を達成することを可能にし、それによって、スクリーニングにおけるカートリッジ100の感度および精度を改善する。
【0015】
正確には、メインカバー102は、例えば、方向D1及び方向D2の両方によって規定される平面に沿って延在し、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及び熱可塑性及び生体適合性を有する他のものを含む群から選択される適切な材料を用いてプラスチック射出成形法によって形成されてもよいが、これに限定されない。第1流体トンネル104a及び第1ガストンネル106aは、第1面102aから下方に凹んだ液体流通用又は気体流通用の流路である。第1定量化チャンバ108および貯蔵チャンバ110は、液体定量化のために、または必要な試薬を収容するために、第1表面102aから下方に窪んだ空間である。当業者は、第1の定量化チャンバ108および/または貯蔵チャンバ110の空間が、実際の要件に基づいて、任意の可能な形状または容積を含んでもよく、
図1に示されるものに限定されないことを十分に理解するはずである。一実施形態において、第1の定量化チャンバ108は、試薬を移送する間に試薬が第1の定量化チャンバ108内に残留して定量化結果に影響を及ぼすことを防止するために、
図1に示すように、平面(方向D1およびD2によって画定される平面)上で傾斜した2つの対向する側壁108cを含むことが好ましい。別の実施形態では、疎水性フィルム(図示せず)が、第1の定量化チャンバ108の2つの側壁108c上にさらにコーティングされて、試薬が第1の定量化チャンバ108内に残ることをさらに回避し、それによって、各チャンバと容器120aとの間の試薬の移動を促進してもよい。
【0016】
図1及び
図2に示すように、回転弁116は、下に配置されたベース126を介してメインカバー102の第2の表面102bに取り付けられ、上から下に配置された第1の部分116a及び第2の部分116bを更に含む。第1の部分116aは、部分的に突出して、流路118aおよび開口部118bをそれぞれ画定し、開口部118bは、ガス循環のために使用され、流路118aは、液体循環のために使用される。流路118aは、
図1に示すような直線形状などの任意の適切な形状を含むことができるが、これに限定されない。一実施形態において、第1の部分116aおよび第2の部分116bは、例えば、異なる材料を含み、第1の部分116aは、例えば、第2の表面102bに密着するための熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ゴム、ポリウレタン材料、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、生体適合性樹脂、またはそれらの組み合わせのような材料を含み、第2の部分116bは、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリカーボネート等の剛性材料を含むが、それらに限定されない。これらの配置を通して、回転弁116の第2の部分116bは、モータ(図示せず)に外部接続されてもよく、モータは、特定の方向および角度で回転するようにカートリッジ100内の回転弁116を駆動および制御し、次いで、第1の部分118の開口部118bおよび流れトンネル116aは、それぞれ、第1のガストンネル106aおよび第1の流体トンネル104aと整合され、それによって、第1の流体トンネル104a、第1の定量化チャンバ108、第1のピペット112a、および容器120aを連通させる。このようにして、外部ポンプ(図示せず)によって正圧または負圧が提供されている間、カートリッジ100は、液体定量化のために第1の流体トンネル104aから第1の定量化チャンバ108内に試薬を送達することが可能である。
【0017】
さらに
図1を参照すると、メインカバー102は、第1の表面102a上に配置された第2の流体トンネル104bおよび第2のガストンネル106bと、第2のピペット112bとをさらに含む。第2のガストンネル106bは、第1の流体トンネル104aに接続され、第2の流体トンネル104bは、第2のピペット112に接続される。第2ピペット112bは、
図2および
図3に示すように、第1面102aから下方に延び、鉛直方向D3に沿って、第2面102bから部分的に突出し、容器120a内に延びる中空構造を有する。したがって、モータがカートリッジ100内の回転弁116を駆動して回転させる間、回転弁118上の開口部116bは、任意選択で第2のガストンネル106bと位置合わせされ、その結果、第1の定量化チャンバ内の定量化試薬は、次に第1のピペット112aを介して容器120aに移送され得る。そうでなければ、回転弁118の開口部116bは、任意選択的に、第2の流体トンネル104bと位置合わせされ、それによって、第2の流体トンネル104a、第2のピペット112b、および容器120aを連通させる。次いで、外部ポンプによって正圧または負圧がカートリッジ100に提供される間、容器120a内の定量化試薬は、第2のピペット112bおよび第2の流体トンネル104bを通して、第2の表面102b上にも配置された別の容器120bにさらに送達され得る。しかしながら、別の実施形態では、第1のピペット112は、組み立ての単純化の要求の下で省略されてもよく、貫通孔(図示せず)のみが定量化チャンバ108の第2の端部108bに接続され、貫通孔は、第1の定量化チャンバ102の第2の端部108b/110bと貯蔵チャンバ110とを同時に連通させるために、第1の表面102aおよび第2の表面108bを貫通する。これらの配置を通して、定量化試薬は、貫通孔を介して容器120a内に直接送達され得る。
【0018】
一方、容器120a,120bは、メインカバー102に設けられた貫通孔を介して第2面102bにそれぞれ取り付けられている。
図3に示すように、容器120aは、容器120aの上部122aと底部122bとの間の内部に配置された第2の定量化チャンバ121をさらに含む。第2の定量化チャンバ121は、容器120a内のバッファ領域であり、第2の定量化チャンバ121の底面V1と、第1のピペット112a及び第2のピペット122bの底部とは、好ましくは、同じ平面に位置し、第2の定量化チャンバ121の上面V2は、第1のピペット112a及び第2のピペット112bの上面よりも低い。一実施形態では、容器120aは、試薬が第2の定量化チャンバ121内に残るのを防止するために、垂直方向D3から傾斜した2つの対向する側壁124aをさらに含む。好ましくは、傾斜側壁124aは、
図3に示すように、少なくとも第2の定量化チャンバ121の上面V2から底面V1まで延在し、液体が残留して定量化結果に影響を及ぼすことを効果的に防止する。また、第1ピペット112a及び第2ピペット112bの底部は、容器120aの底部120bに直接接触することなく容器122a内に容易に延在するように傾斜面113をそれぞれ有し、それによって液体吸収を容易にすることが好ましい。本実施形態は、カートリッジ100内に2つの容器120a、120bのみを配置することによって例示されるが、カートリッジ100内の容器の数は、実際の要件に基づいて調整されてもよく、例えば、他の容器(図示せず)をさらに含み、容器の各々は、カートリッジ100内のスクリーニングのプロセスを容易にするために、傾斜側壁124および/または内部に配置された第2の定量化チャンバ121を任意選択で含むことを、当業者は十分に理解すべきである。
【0019】
さらに
図1および
図3を参照すると、カートリッジ100は、封止層128およびパッケージカバー130をさらに含み、これらは、例えば、限定はしないが、熱溶融プロセスまたは超音波プロセスなどの適切な組立プロセスによって、メインカバー102の第1の表面102aに順次取り付けられる。正確に言えば、密封層128は、メインカバー102の第1の表面102aに配置され、メインカバー102に配置された第1の流体トンネル104a、第2の流体トンネル104b、第1のガストンネル106a、第1のガストンネル106b、第1の定量化チャンバ108、および貯蔵チャンバ110を密封する。パッケージカバー130は、封止層128上に配置され、方向D1およびD2によって画定される平面に沿っても延在する。一実施形態では、パッケージカバー130もプラスチック射出成形法によって形成され、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、およびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される材料を含むが、これらに限定されない。パッケージカバー130とメインカバー102は、好ましくは、互いに対応する輪郭を含み、例えば、
図1に示すように、両者は矩形状を有するが、これに限定されない。当業者は、
図1に示されるパッケージカバー130およびメインカバー102の輪郭が単なる例示であり、実際の製品要件に基づいて他の適用可能な形状を含み得ることを容易に理解するはずである。
【0020】
パッケージカバー130は、互いに対向する第1の表面130aおよび第2の表面130bを含む。第1の表面130aは、シール部材132、気密リング133、および容器カバー134をさらに含む。封止膜132は、例えば、アルミニウム箔を含み、容器120aの開口を封止する。気密リング133は、密封フィルム132上に配置され、下にある容器120aに重なり、容器120aの閉鎖を強化するために、容器カバー134によって覆われ、閉じられる。しかしながら、別の実施形態では、特に容器120aが試料または試薬を収容していない場合、組み立ての単純化の要求の下で、封止フィルム132を省略することもできる。第2の表面130bは、少なくとも1つのピン136と、その上に配置された複数の組立柱138とをさらに含み、ピン136は、カートリッジ100内に空気を導入するために、パッケージカバー130をメインカバー102に取り付ける間に封止フィルム128を貫通するように第2の表面130b上に突出して配置される。組立柱138は、パッケージカバー130の周囲に配置され、したがって、パッケージカバー130を案内して、正確な方法でメインカバー102に着座させ、取り付ける。
【0021】
以上の構成により、本実施形態のカートリッジ100は、試薬の移送中に2段階の液体定量化を行うことができ、カートリッジ100のスクリーニング品質を向上させることができる。正確に言えば、必要な試薬は、外部領域(図示せず)からカートリッジ100に最初に導入されてもよく、またはカートリッジ100内の貯蔵空間(図示せず)もしくは他の適切な容器に事前装填されてもよく、その後、回転弁116を回転させることによって必要な試薬を移送する。必要な試薬が移送される間、回転弁118の開口部116bは、第1ガストンネル106aと選択的に位置合わせされ、流路118aは、最初に第1流体トンネル104aと選択的に位置合わせされ、したがって、必要な試薬は、第1流体トンネル104aを通って第1定量化チャンバ108に入り、必要な試薬の体積を正確に定量化することができ、定量化試薬は、第1定量化チャンバ108内に残る。回転弁118の開口部116b、第1のガストンネル106a、および貯蔵チャンバ110が一緒になってガス循環経路を形成することによって、必要な試薬が、第1の流体トンネル104aおよび第1の定量化チャンバ108を迅速かつ円滑に通過することができることに留意されたい。その後、必要な試薬がまず定量化チャンバ108に充填され、続いて、過剰量の必要な試薬が、第1の定量化チャンバ108の第2の端部108b(すなわち、貯蔵チャンバ110の第2の端部110b)を介して貯蔵チャンバ100に移送される。このように、第1定量化チャンバ108と貯蔵チャンバ110を配置することによって、必要な試薬の第1段階の定量化が達成され、定量化試薬が得られる。次に、外部モータを制御することによって回転弁116を回転させ、回転弁118の開口部116bを第2ガストンネル106bと選択的に位置合わせし、第1定量化チャンバ108内の定量化試薬を空気圧によって駆動し、垂直方向D3に配置された第1ピペット112aを介して容器120aに注入する。一方、貯蔵チャンバ110は、いずれの流体トンネルにも接続されていないので、必要とされる試薬の過剰量は、容器120aに流入することなく、貯蔵チャンバ100内に依然として残っている。これらの性能により、任意の試薬は、外部モータを受動的に制御することによって定量化されるだけではなく、第1の定量化チャンバ108を通過することによって、容器120aに注入される前に能動的に定量化され得る。
【0022】
次に、回転弁118の開口部116bが第2の流体トンネル104bと選択的に位置合わせされている間に、容器120a内の定量化試薬は、第2のピペット112bおよび第2の流体トンネル104bを通して、カートリッジ100の内側の他の容器120bなどの他の空間にさらに移送され得る。
図4を参照すると、定量化試薬を移送する間、第2の定量化チャンバ121内の定量化試薬のみが送達されることが可能であり、第2の定量化チャンバ121の底面V1よりも低く(すなわち、第2のピペット112bの底部よりも低く)配置された定量化試薬は、容器120a内に残される。すなわち、定量化用試薬の移送量は、容積va1から容積va2を差し引いた所定値(Va1-Va2)に正確に制御される。一実施形態において、凍結乾燥試料を容器120aに予め入れておき、定量化用試薬と凍結乾燥試料とを混合した後の混合試薬の移送量を値(Va1-Va2)に制御してもよい。このように、第2定量化室121では、容器120a内の試薬を移送しながら、第2段階の定量化を同期して正確に行うことができ、試薬の移送量(Va1-Va2)を精密に制御することができる。したがって、本実施形態のカートリッジ100は、任意の試薬を容器120aに注入する間に能動的な定量化を達成することができ、また、試薬を容器120aから容器120bに移送する間にさらなる定量化を達成することができ、その結果、核酸抽出反応または核酸増幅反応などの反応体積に関して厳しい要件を有するスクリーニングに使用することができ、それによって反応効率およびスクリーニングの感度を高めることができる。
【0023】
当業者は、本開示のカートリッジが、前述のタイプに限定されず、任意の可能なスクリーニングで効果的に使用されるために、他の例または変形を含み得ることも十分に理解すべきである。
図5及び
図6を参照すると、本発明の第2の実施形態によるカートリッジ200が示されており、
図5は、カートリッジ200の分解図の概略図であり、
図6は、カートリッジ200の側面図の概略図である。本実施形態のカートリッジ200の構造は、上述した第1実施形態のカートリッジ100の構造と実質的に同じであり、以下では、すべての類似点について重複して説明しない。本実施形態と第1実施形態との相違点は、
図5に示すように、カートリッジ200が、メインカバー102の第1表面102aに配置された複数の第3流体トンネル104c及び複数の第3気体トンネル106cと、メインカバー102の第2表面102bに配置された複数の容器120a、120b、220c、複数の第3ピペット112c、及び複数の気体入口114とをさらに含むことである。各第3ピペット112c及び各ガス注入口114は、
図6に示すように、それぞれ垂直方向D3に沿って延在する中空構造を含み、第1表面102aから下方に延在して、第2表面102bから部分的に突出する。なお、各第3ピペット112c及び各気体入口114は、共に、対応する容器120b、220の1つと垂直方向D3に重なり、対応する容器120b、220の1つの中に延在し、各第3流体トンネル104c及び各第3気体トンネル106cは、メインカバー102の中心から周囲に水平に延在し、対応する第3ピペット112cの1つ及び対応する気体入口114の1つにそれぞれ接続する。このように、回転弁118の流路116aは、第3の流体トンネル104cのそれぞれと選択的に位置合わせされ、第3の流体トンネル104cのそれぞれ、第3のピペット112cの対応する1つ、および容器120b、220の対応する1つを連通し、また、回転弁118の開口部116bは、空気循環のために同時に第3のガストンネル106cのそれぞれと選択的に位置合わせされ、その結果、必要な試薬または試料は、容器120a、120b、220のそれぞれの間でランダムに移送され得る。このような配置により、必要な試薬、サンプルまたは凍結乾燥された生物学的物質は、実際のスクリーニングの要求に従って、最初に各容器120a、120bおよび220に任意に収容され、続いて第3の流体トンネル104c、第3のピペット112cおよび回転弁116を介して他の容器に移送されてもよい。言い換えれば、容器120a、120b、220のそれぞれは、任意の生体試料または生体物質を収容するための試料容器、溶解溶液または磁気ビーズを収容するための抽出容器、反応試薬を収容するための反応容器、および/または洗浄溶液、緩衝液などを収容するための洗浄容器として機能することができ、その結果、前述の試薬、試料、または凍結乾燥された生体物質を、その後のスクリーニングのためにランダムに混合または移送することができる。当業者は、容器120a、120b、220の具体的な数、サイズ、および形状が、
図5に示されるものに限定されず、実際の製品要件に従ってさらに調整され得ることを十分に理解するはずである。
【0024】
本開示の当業者が本開示のカートリッジを容易に理解するために、本開示におけるカートリッジの定量化方法を以下にさらに説明する。
図7を参照すると、
図7は、本開示の好ましい実施形態による定量化方法のプロセスフローを示す概略図である。まず、カートリッジ200を提供し(ステップS1)、カートリッジ200は、メインカバー102、複数の容器120a、120b、220、第1のピペット112a、及び回転弁116を含み、メインカバー102は、その上に配置された第1の定量化チャンバ108、第1の流体トンネル104a、第1のガストンネル106a、及び貯蔵チャンバ110をさらに含む。容器120aは、鉛直方向D3において第1定量化室108の第2端部108bと重なる。なお、上記のすべてのアセンブリの詳細な構造および特徴は、すべて上記の段落に記載されており、以下では重複して説明しない。
【0025】
次に、第1定量化室108に試薬を注入する(ステップS2)。正確に言えば、試薬は、例えば、生体試料の核酸を含み、次いで、回転弁116の流路118aが第1の流体トンネル104aと位置合わせされ、回転弁116の開口部118bが第1のガストンネル106aと位置合わせされるまで回転弁116を回転させることによって、一次定量化のために第1の流体トンネル104aを介して第1の定量化チャンバ108に移送される。一実施形態では、容器120a、120b、220は、それぞれ、生体試料、溶解物、磁気ビーズ、溶離液、洗浄溶液等を含有し、次いで、試薬(核酸を含む)は、例えば、以下のステップを通してカートリッジ200の中に送達されるが、それらに限定されない。まず、生体試料を収容した容器220の1つから、抽出溶液を収容した容器220の別の1つに生体試料を移し、生体試料内の細胞を破裂または開放させ、その核酸などの物質を放出させる。次に、核酸を磁気ビーズを含む容器220の1つに移し、磁気ビーズが核酸を捕捉し、続いて磁気ビーズおよび核酸を、洗浄液を含む容器220の別の1つに移し、磁気ビーズおよび核酸を洗浄する。その後、さらに、磁気ビーズと核酸を、溶離液を含む容器220の1つに移し、磁気ビーズから核酸を単離し、単離された核酸を次に容器220の別の1つに移し、それによって必要な試薬を得る。しかしながら、別の実施形態では、試薬(核酸を含む)は、容器220のうちの1つに直接配置され、その後、回転弁を特定の位置に回転させることによって、定量化のために容器220のうちの1つから第1の定量化チャンバ108に試薬を移送することもでき、それにより、構成、ならびにカートリッジ200の動作ステップが簡略化される。
【0026】
そして、試薬(核酸を含む)の一部を貯留室110に移送する(ステップS3)。正確に言えば、試薬が第1の定量化チャンバ108に注入される間、第1の定量化チャンバ108の収容容積を超える試薬の過剰部分は、第1の定量化チャンバ108と貯蔵チャンバ110との間の圧力差により、第1の定量化チャンバ108の第2の端部108bから第1の定量化チャンバ108に隣接する貯蔵チャンバ110に流入する。試薬の過剰部分は、貯蔵チャンバ110内に一時的に貯蔵され、第1の定量化チャンバ108内に残った試薬は、第1の定量化チャンバ108の収容容積と等しい容積を有する定量化された試薬を得るために、同期して定量化されている。したがって、第1の定量化チャンバ108および貯蔵チャンバ110の配置を通して、カートリッジ200は、スクリーニングにおいて試薬の体積を正確に制御することが可能である。
【0027】
その後、第1定量化チャンバ108内の試薬を容器120aに移送する(ステップS4)。言い換えれば、回転弁116の開口118が第2ガストンネル106bと位置合わせされるまで回転弁116を再び回転させて空気圧を発生させ、その結果、第1定量化チャンバ108内の定量化された試薬を空気圧によって容器120a内に押し込むことができ、試薬の過剰部分は依然として貯蔵チャンバ110内に残る。このようにして、容器120aに注入される試薬(核酸を含む)は、したがって、正確に制御された体積を得ることができる。一実施形態では、容器120aは、その中に配置された凍結乾燥試料をさらに含むことができ、その結果、容器120aに注入された試薬は、凍結乾燥試料と混合されて、核酸と凍結乾燥試料との混合物を形成し、その後のスクリーニングを実行することができることに留意されたい。したがって、第1定量化チャンバー108を介して試薬を定量化することによって、試薬と凍結乾燥試料との混合比も正確に制御することができ、これによって、後続スクリーニングの感度及び正確度を向上させることができる。
【0028】
その後、精密に制御された温度条件下で、容器120a内の核酸と凍結乾燥試料との混合物を介して、核酸増幅などの所望の反応を行うことができるが、これに限定されない。しかしながら、別の実施形態では、回転弁116は、回転弁116の流路118が第2の流体トンネル104bと位置合わせされるまで再び回転されて、核酸と凍結乾燥試料との混合物を容器120aから別の容器120bに移送して、要求された反応を実行することができる。また、核酸と凍結乾燥サンプルの混合物を移送する間、核酸と凍結乾燥サンプルの混合物は、第2の定量化チャンバ121を通して同時にさらに定量化され、続いて、試薬の量をさらに正確に制御し、反応効率を高めるために、第2のピペット112bおよび第2の流体トンネル104bを通過することによって容器120bに送達されてもよい。言い換えれば、本開示の定量化方法によれば、2段階の能動的定量化プロセスが、カートリッジ200内に配置された第1の定量化チャンバ108および/または第2の定量化チャンバ121を通してそれぞれ実行され、その結果、試薬が容器120aに注入されるか、または容器120aから試薬を吸い出す間に、試薬が同時に定量化される。このように、本実施形態の定量化方法は、簡略化された操作の下で、カートリッジ200の改善されたスクリーニング定量化を得ることができる。なお、本実施形態の定量化方法は、上記実施形態のカートリッジ200を用いてスクリーニングを行うことを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態では、定量化方法は、実際の要件の下でカートリッジ100を使用することによって実行されてもよい。
【0029】
当業者はまた、本開示のカートリッジが他の例または変形例を含み得ることを十分に理解すべきである。以下の説明は、カートリッジの異なる実施形態を詳述し、以下の説明は、異なる実施形態間の相違点を詳述し、同一の特徴は、冗長に説明されない。なお、各実施形態の相違点を容易に比較するために、以下の各実施形態において同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0030】
図8を参照すると、本発明の第3の実施形態によるカートリッジ300が示されている。本実施形態のカートリッジ300の構造は、上述の第2の実施形態のカートリッジ200の構造と実質的に同じであり、すべての類似点については、以下では冗長に説明しない。本実施形態と第2の実施形態との間の差異は、カートリッジ300が、容器120a、120b、220および回転弁116を担持するための底部カバー240をさらに含むことである。
【0031】
正確に言えば、
図8に示すように、ボトムカバー240は、メインカバー102の下に配置され、例えば、熱溶融プロセスまたは超音波プロセスなどの適切な組立プロセスによってメインカバー102の第2の表面102bに取り付けられてもよいが、これに限定されない。前記ボトムカバー240は、前記ボトムカバー240の対向する2つの表面をそれぞれ貫通する複数の貫通孔242、244をさらに含む。貫通孔242、244のそれぞれは、容器120a、120b、220及び回転弁116のそれぞれを収容するための任意の可能なサイズを含み得る。これらの配置により、容器120a、120b、220および回転弁116は、メインカバー102と底部カバー240との間に挟まれ、それによって、カートリッジ300の構造的信頼性および密閉性を高める。
【0032】
全体的に言えば、本開示のカートリッジは、試薬を移送する間に試薬の能動的定量化を達成するために、その中に配置された少なくとも1つの定量化チャンバをさらに含み、それによって、カートリッジの操作および組み立てを単純化し、カートリッジスクリーニングの感度および精度をさらに改善する。