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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027959
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】プロピレンの精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/12 20060101AFI20250220BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20250220BHJP
   C07C 7/04 20060101ALI20250220BHJP
   D01F 9/12 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C07C7/12
C07C11/06
C07C7/04
D01F9/12
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069981
(22)【出願日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】202311025583.9
(32)【優先日】2023-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524157280
【氏名又は名称】広東華特気体股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangdong Huate Gas Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Jinfeng Road, Heshun, Lishui, Nanhai, Foshan, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】傅 鋳紅
(72)【発明者】
【氏名】肖 静
(72)【発明者】
【氏名】陳 艶珊
(72)【発明者】
【氏名】楊 俊豪
(72)【発明者】
【氏名】謝 武中
(72)【発明者】
【氏名】張 勝超
【テーマコード(参考)】
4H006
4L037
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AD11
4H006AD17
4H006BD10
4L037CS03
4L037FA01
4L037FA03
4L037PC05
4L037PS01
4L037PS02
(57)【要約】
【課題】高純度のプロピレンを取得し、高い選択性と高い吸着容量を備えた吸着剤を調製する。
【解決手段】一実施形態によるプロピレンの精製方法は、次のステップS1~S3を含み、S1では、分子篩を採用して精製対象のプロピレンから水を除去し、使用前に分子篩を300~400℃で12~24h活性化処理し、S2では、改質多孔質炭素繊維を採用して、ステップS1で取得されたプロピレンを吸着処理し、S3では、ステップS2で取得されたプロピレンを精留塔内に入れて精留処理する。本実施形態では、まず機能化改質された多孔質炭素繊維を採用して、プロピレン中の不純物を予め吸着し、比較的低いエネルギー消費で多量のC4炭化水素不純物を除去し、後続の蒸留工程の負担を軽減し、純度が比較的高いプロピレンを得る。後続の精留ステップは、通常の精留塔を、比較的高い理論段を有する2つのセクションに分割する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンの精製方法であって、以下のステップS1~S3を含み、
S1では、分子篩を採用して、精製されるプロピレンから水を除去し、使用前に分子篩を300~400℃で12~24h活性化処理し、
S2では、改質多孔質炭素繊維を採用して、ステップS1で取得されたプロピレンを吸着処理し、
S3では、ステップS2で取得されたプロピレンを精留塔内に入れて精留処理する、ことを特徴とするプロピレンの精製方法。
【請求項2】
精留塔は、互いに連通する脱軽質分塔と脱重質分塔を含み、脱重質分塔は、互いに連通するA脱重質分塔とB脱重質分塔を含み、A脱重質分塔の塔頂には凝縮器が設けられ、脱軽質分塔とB脱重質分塔の塔底にはいずれも再沸器が設けられ、
精留処理は以下のステップS31~S35を含み、
S31では、脱軽質分塔と脱重質分塔を真空引き処理し、脱軽質分塔の中上部からプロピレンを供給し、供給液位が50~80%になると、脱軽質分塔の再沸器をオンにして温度を25~45℃に設定し、軽質分の不純物を脱軽質分塔の頂部から1.5~2.5kg/hの速度で排出し、1時間ごとに液相の軽質分を検出し、合格すると、B脱重質分塔に圧入し、圧入速度が15~18kg/hであり、
S32では、B脱重質分塔の供給液位が50~80%になると、B脱重質分塔の再沸器をオンにして温度を25~30℃に設定し、プロピレンがB脱重質分塔の塔頂からA脱重質分塔の塔釜に入り、
S33では、A脱重質分塔の液位が25~40%になると、A脱重質分塔からB脱重質分塔の塔頂にプロピレンを戻し、A脱重質分塔の液位を25~30%に制御し、
S34では、ステップS32~S33を繰り返して、A脱重質分塔とB脱重質分塔で2~3h安定して精製し、ダイアフラム式コンプレッサーを起動してプロピレンを充填マニホールドから脱軽質分塔に戻し、
S35では、ステップS31~S32を繰り返して、A脱重質分塔の塔頂から排出された気相を検出し、合格の場合にそれが精製後のプロピレンとなり、不合格の場合にステップS31~S35の繰り返しを継続する、ことを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの精製方法。
【請求項3】
脱軽質分塔と脱重質分塔の精製圧力はいずれも0.3~0.6Mpaである、ことを特徴とする請求項2に記載のプロピレンの精製方法。
【請求項4】
改質多孔質炭素繊維の調製ステップは以下のS21~S23を含み、
S21.炭素繊維の前処理では、炭素繊維と溶媒水溶液とを混合した後に10~30min超音波又は撹拌処理し、濾過後、得られた固体を80~180℃で恒温乾燥し、
S22.機能化処理では、ステップS21で取得された炭素繊維を酸化剤又は窒化剤の水溶液に添加し、40~80℃で撹拌し改質処理し、
S23.機能化熱処理では、ステップS22で取得された炭素繊維を水洗し、乾燥した後、空気又は窒素ガス雰囲気下、260~700℃で1~6h熱処理して、改質多孔質炭素繊維を得る、ことを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの精製方法。
【請求項5】
酸化剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウムのうちの1つを含み、
窒化剤は、尿素、ナトリウムアミド、グルタミン酸、グリシンのうちの1つを含む、ことを特徴とする請求項4に記載のプロピレンの精製方法。
【請求項6】
溶媒は、エタノール、アセトン、メタノール、クロロホルムのうちの1つを含む、ことを特徴とする請求項4に記載のプロピレンの精製方法。
【請求項7】
ステップS23では、空気雰囲気を採用する場合、空気の流速は40~80ml/minであり、熱処理温度は260~350℃であり、熱処理時間は4~6hであり、
窒素ガス雰囲気を採用する場合、窒素ガスの流速は40~60ml/minであり、熱処理温度は550~700℃であり、熱処理時間は1.5~2hである、ことを特徴とする請求項4~6いずれか一項に記載のプロピレンの精製方法。
【請求項8】
ステップS21では、乾燥温度は80~180℃であり、乾燥時間は8~10hであり、
炭素繊維とエタノール水溶液の質量比は1:5~20であり、エタノール水溶液におけるエタノールと水の質量比は1:4~10である、ことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載のプロピレンの精製方法。
【請求項9】
炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ポリイミド系炭素繊維、ポリフッ化ビニリデン系炭素繊維のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項4に記載のプロピレンの精製方法。
【請求項10】
ステップS22では、酸化剤水溶液又は窒化剤水溶液の濃度はいずれも0.2~1.5mol/Lであり、撹拌温度は40~80℃であり、撹拌時間は6~12hである、ことを特徴とする請求項4に記載のプロピレンの精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン精製の技術分野に関し、特にプロピレンの精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子グレードのプロピレンは、炭素-炭素二重結合を含むため、化学反応を起こしやすく、基板表面に堆積する他の物質を生成し、主にエピタキシー、堆積ガス、成膜ガスに使用されるか、又はアモルファスシリコンカーボンの成長に使用され、半導体製造用の重要なガスである。現在、電子グレードのプロピレンの国産化程度は高くない。半導体技術の急速な変化に伴い、より大きいウェハサイズ、より微細化のプロセス技術が要求され、電子グレードのプロピレンの需要はますます大きくなり、純度に対する要求はますます高くなっている。
工業グレードのプロピレンの純度は99.5%であり、主な不純物は、窒素、酸素、二酸化炭素、炭化水素不純物及び水などを含む。現在、プロピレン精製に一般的に使用されている精製方法は、吸着、精留、触媒作用、金属有機骨格材料の選択吸着などの手段を含む。一般的な条件下では、吸着方法の選択性は高くない。精留方法は、設備に対する要求が高く、エネルギー消費が高い。触媒方法で使用される触媒は調製が困難である。金属有機骨格材料の選択性が良いが、これまでに報告されているMOFのほとんどは、プロピレンに対する選択性が優れたものであり、安定性が悪く、コストが高く、工業的応用は困難である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の主な目的は、既存のプロピレン精製方法の選択性が高くなく、触媒調製の難度が高く、安定性が悪く、コストが高く、または設備に対する要求が高いなどの技術問題を改善するために、プロピレンの精製方法を提供することである。
【0004】
上記の目的を実現するために、本発明はプロピレンの精製方法を提案する。この方法は、以下のステップS1~S3を含む。
S1では、分子篩を採用して、精製されるプロピレンから水を除去し、使用前に分子篩を300~400℃で12~24h活性化処理する。
S2では、改質多孔質炭素繊維を採用して、ステップS1で取得されたプロピレンを吸着処理する。
S3では、ステップS2で取得されたプロピレンを精留塔内に入れて精留処理する。
【0005】
プロピレンは主にナフサの水蒸気分解及び接触分解から得られ、その生成物ガスにC4炭化水素不純物が不可避的に混合される。C4炭化水素不純物には主にブタン、ブチレン、ブタジエンなどが含まれる。これらのガス成分はすべてプロピレンよりも分極率が高いため、吸着剤とC4炭化水素ガスとの間の強いファンデルワールス力及び水素結合作用力により、プロピレン生成物ガスからさらに除去することができる。従来の分子篩は、比表面積が限られているため(通常<400m/g)、吸着容量が比較的低く、さらに、脱着温度が比較的高い(通常>250℃)ため、追加の再生エネルギー消費が発生するだけでなく、吸着されたC4炭化水素は、高温条件下で分子篩の金属部位によって容易に触媒作用を受け、分子篩の細孔内で重合して、その作業能力と耐用年数が低下する。
【0006】
本解決策では、まず、改質された多孔質炭素繊維を採用してプロピレンを吸着処理する。対照的に、多孔質炭素繊維は高い細孔容積(>1.3cm/g)、優れた水蒸気安定性、及び穏やかな再生性能を有する。多孔質炭素繊維の細孔化学を調整し、その窒素、酸素官能基の含有量を増加させることにより、より高い吸着部位を維持しながら、C4炭化水素に対する吸着作用力と選択性を向上させる。さらに、プロピレンとプロパンの精留分離ステップの前に、比較的に低いエネルギー消費で多量のC4炭化水素不純物を除去し、比較的高純度のプロピレンを得る。その後、精留プロセスによりプロピレンを精留処理し、取得されたプロピレンの純度をさらに向上させることができる。
【0007】
好ましくは、精留塔は、互いに連通する脱軽質分塔と脱重質分塔を含み、脱重質分塔は、互いに連通するA脱重質分塔とB脱重質分塔を含み、A脱重質分塔の塔頂には凝縮器が設けられ、脱軽質分塔とB脱重質分塔の塔底には再沸器が設けられる。
精留処理は以下のステップS31~S35を含む。S31では、脱軽質分塔と脱重質分塔を真空引き処理し、脱軽質分塔の中上部からプロピレンを供給し、供給液位が50~80%になると、脱軽質分塔の再沸器をオンにして温度を25~45℃に設定し、軽質分の不純物を脱軽質分塔の頂部から1.5~2.5kg/hの速度で排出し、1時間ごとに液相の軽質分を検出し、合格すると、B脱重質分塔に圧入し、圧入速度が15~18kg/hである。
S32では、B脱重質分塔の供給液位が50~80%になると、B脱重質分塔の再沸器をオンにして温度を25~30℃に設定し、A脱重質分塔の塔頂圧力を0.3~0.6Mpaに設定し、プロピレンがB脱重質分塔の塔頂からA脱重質分塔の塔釜に入る。
S33では、A脱重質分塔の液位が25~40%になると、A脱重質分塔からB脱重質分塔の塔頂にプロピレンを戻し、A脱重質分塔の液位を25~30%に制御する。
S34では、ステップS32~S33を繰り返して、A脱重質分塔とB脱重質分塔で2~3h安定して精製し、ダイアフラム式コンプレッサー(膜圧机)を起動してプロピレンを充填マニホールドから脱軽質分塔に戻し、
S35では、ステップS31~S32を繰り返して、A脱重質分塔の塔頂から排出された気相を検出し、合格の場合にそれが精製後のプロピレンとなり、不合格の場合にステップS31~S35の繰り返しを継続する。
【0008】
上記の精留ステップは、従来の精留工程とは異なる。本解決策は、通常の精留塔を、比較的高い理論段を有する2つのセクションに分割し、調整後の精留ステップでC4不純物を完全に除去し、得られるプロピレンの純度がより高いようにすることができる。
【0009】
好ましくは、脱軽質分塔と脱重質分塔の精製圧力はいずれも0.3~0.6Mpaである。
【0010】
好ましくは、上記の改質多孔質炭素繊維の調製ステップは以下のS21~S23を含む。S21.炭素繊維の前処理では、炭素繊維と溶媒水溶液とを混合した後に10~30min超音波又は撹拌処理し、濾過後、得られた固体を80~180℃で恒温乾燥する。
S22.機能化処理では、ステップS21で取得された炭素繊維を酸化剤又は窒化剤の水溶液に添加し、40~80℃で撹拌し改質処理する。
S23.機能化熱処理では、ステップS22で取得された炭素繊維を水洗し、乾燥した後、空気又は窒素ガス雰囲気下、260~700℃で1~6h熱処理して、改質多孔質炭素繊維を得る。
【0011】
炭素繊維を酸化剤又は窒化剤の水溶液又は水溶液中に入れて改質処理し、乾燥後、空気又は窒素ガス雰囲気で中高温熱処理を続ける。調製された窒素酸素機能化改質された炭素繊維は、安定な構造を有する多孔質炭素材料であり、プロピレン生成物の混合ガスからC4炭化水素ガスを吸着して除去することができ、非常に良好な産業応用の見通しを有する。また、上記の調製方法の原料は広く入手可能で安価であり、調製ステップが簡単であり、改質条件が穏やかであり、材料の再生性能が優れている。
【0012】
上記の調製方法では、まずエタノール水溶液を採用して炭素繊維を前処理する。主な目的は、灰や空気汚染物質など、炭素繊維の表面や内部細孔の不純物を除去し、それにより、後続の改質工程をより十分なものにすることである。なお、本解決策は、激しい酸性酸化環境で強力な酸化剤を採用して炭素繊維を酸化していない。これは主に、このような酸化手段が炭素表面の酸素含有官能基を増加させると同時に、炭素材料の細孔構造を破壊して、一部の細孔が潰れるか又はメソ孔として融合し、一部の吸着部位が犠牲になり、小分子ガス(C4炭化水素など)に対する細孔制限作用力が弱まるためである。本解決策の炭素繊維を酸化剤又は窒化剤の水溶液に直接添加し、改質策略に金属部位の導入を避けることにより、細孔内でのC4炭化水素ガスの重合が減少し、作業容量と耐用年数が確保され、環境に優しく再生しやすい利点がある。
【0013】
なお、ステップS2では、酸化剤により炭素繊維を改質する場合、空気雰囲気を採用する。ステップS2では、窒化剤により炭素繊維を改質する場合、窒素ガス雰囲気を採用する。
【0014】
好ましくは、酸化剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウムのうちの1つを含む。本解決策で採用される酸化手段は比較的温和であり、追加の酸性条件を必要としない。採用される酸化剤は、過硫酸塩、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウムなどであり、温和な酸化条件下で微小孔の吸着部位と酸素含有官能基の吸着作用力をよりよく協調できる。
【0015】
好ましくは、窒化剤は、尿素、ナトリウムアミド、グルタミン酸、グリシンのうちの1つを含む。窒化改質と酸化改質の目的は一致し、いずれもヘテロ原子を導入し、材料の極性を高めることである。対照的には、窒化剤で改質処理された炭素繊維は通常、酸化改質処理された炭素繊維よりも化学安定性、特に水蒸気安定性に優れている。
【0016】
好ましくは、溶媒は、エタノール、アセトン、メタノール、クロロホルムのうちの1つを含む。ここで、最も好ましい溶媒はエタノールである。
【0017】
好ましくは、ステップS23では、空気雰囲気を採用する場合、空気の流速は40~80ml/minであり、熱処理温度は260~350℃であり、熱処理時間は4~6hである。窒素ガス雰囲気を採用する場合、窒素ガスの流速は40~60ml/minであり、熱処理温度は550~700℃であり、熱処理時間は1.5~2hである。空気雰囲気又は窒素ガス雰囲気では、対応する熱処理温度と熱処理時間は異なる。本解決策は、2つの雰囲気下で対応する熱処理パラメータと流速条件をそれぞれ限定し、性能がよりよい改質多孔質炭素繊維を取得する。
【0018】
好ましくは、ステップS21では、乾燥温度は80~180℃であり、乾燥時間は8~10hである。乾燥工程は、主に炭素繊維中の水分を除去するためのものである。乾燥パラメータが上記の範囲に限定されると、取得された炭素繊維は、後続の改質工程により有利である。
【0019】
好ましくは、ステップS21では、炭素繊維とエタノール水溶液の質量比は1:5~20であり、エタノール水溶液におけるエタノールと水の質量比は1:4~10である。エタノール水溶液は、炭素繊維の表面や内部細孔の不純物を除去するために使用できる。炭素繊維とエタノール水溶液の質量比が1:5~20に限定されると、炭素繊維中の不純物への除去効果がよりよくなり、後続の改質工程がさらに向上する。
【0020】
好ましくは、炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ポリイミド系炭素繊維、ポリフッ化ビニリデン系炭素繊維のうちの少なくとも1つを含む。
【0021】
好ましくは、ステップS22では、酸化剤水溶液又は窒化剤水溶液の濃度はいずれも0.2~1.5mol/Lであり、撹拌温度は40~80℃であり、撹拌時間は6~12hである。
【0022】
従来技術と比較して、本発明のプロピレンの精製方法は、以下の有益な効果を有する。
1.このプロピレンの精製方法では、まず機能化改質された多孔質炭素繊維を採用して、プロピレン中の不純物を予め吸着し、比較的低いエネルギー消費で多量のC4炭化水素不純物を除去し、後続の蒸留工程の負担を軽減し、純度が比較的高いプロピレンを得る。後続の精留ステップは、通常の精留塔を、比較的高い理論段を有する2つのセクションに分割し、炭化水素不純物を完全に除去し、得られるプロピレンの純度がより高いようにすることができる。
【0023】
2.上記の改質多孔質炭素繊維の調製では、広く入手可能で安価な多孔質炭素繊維を原料として、酸化剤又は窒化剤の存在の条件下で、穏やかな改質方法及び後続の更なる熱処理活性化などの工程により、C4炭化水素ガスを優先的に吸着するという特徴を有し、高い選択性と高い吸着容量を備えた吸着剤を調製する。吸着部位を破壊せずに窒素官能基と酸素官能基を導入し、C4炭化水素ガスに対する吸着作用力を向上させ、プロピレン生成物の混合ガスからC4炭化水素ガスを吸着し除去することができる。改質多孔質炭素繊維は、プロピレン生成物ガスの精製に使用でき、2.5mmol/g超えのC4炭化水素ガス吸着容量を有し、吸着作用力がプロピレンよりも強く、出口ガス中のC4炭化水素ガスを比較的低いレベルまで除去することができる。この吸着剤はまた、構造が安定でコストが低いという利点を有し、プロピレン生成物の混合ガスからC4炭化水素ガスを吸着し除去することに優れている吸着分離材料である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施例に係る技術的解決策を明確かつ完全に説明する。当然のことながら、ここで説明する実施例は本発明の実施例の全てではなく一部にすぎない。当業者が創造的な作業なしに本発明の実施例に基づいて得られる他の全ての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0025】
また、それぞれの実施例における技術的解決策は互いに組み合わせることができるが、それらは当業者が実施できるものに基づいていなければならない。技術的解決策の組み合わせが矛盾しているように見える場合、または実現できない場合、そのような技術的解決策の組み合わせは存在せず、本発明が要求する保護範囲内にないとみなされるべきである。
【0026】
プロピレンの精製方法であって、以下のテップS1~S3を含む。
S1では、分子篩を採用して、精製されるプロピレンから水を除去し、使用前に分子篩を300~400℃で12~24h活性化処理する。
具体的には、原料タンクのプロピレンを気相で供給し、分子篩を採用して水を除去する。出口の水含有量が0.5ppmより低いことが求められる。出口検出に不合格の場合は、二次除去のために吸着器に戻す必要がある。精製圧力は0.3~0.6Mpaであり、吸着温度は50℃未満である。
【0027】
S2では、ステップS1で取得されたプロピレンを改質多孔質炭素繊維により吸着処理する。
具体的には、a.吸収塔を加熱して真空引きし、温度を120~160℃に制御し、0.5~1h保持した後、25~35℃まで冷却する。ここで、吸収塔には、改質された炭素繊維が充填されている。例えば、炭素繊維をブロックにプレス成形してから堆積すること、金属メッシュスクリーンを用いて炭素繊維を栓にし、栓を一層ずつ堆積して塔本体に充填すること、炭素繊維フェルトを切断して成形してから巻き包んで充填することなど、複数の具体的な充填方式がある。b.吸収塔の塔底から原料(プロピレン)を供給し、供給圧力を0.3~0.5Mpaに設定し、軽質分生成物を吸収塔の頂部から1.5~2.5kg/hの速度で排出し、オンライン検出に合格すると、精留装置に導入する。c.吸収塔再生:C4成分が検出されなくなるまでステップaを繰り返す。
【0028】
S3では、ステップS2で取得されたプロピレンを精留塔内に入れて精留・不純物除去処理する。
精留前に、大部分の水と炭化水素不純物を既に除去し、精留圧力を低下させる。具体的には、精留塔は、互いに連通する脱軽質分塔と脱重質分塔を含み、脱重質分塔は、互いに連通するA脱重質分塔とB脱重質分塔を含み、A脱重質分塔の塔頂には凝縮器が設けられ、脱軽質分塔とB脱重質分塔の塔底には再沸器が設けられる。
精留処理は以下のステップS31~S35を含み、S31では、脱軽質分塔と脱重質分塔を真空引き処理し、脱軽質分塔の中上部からプロピレンを供給し、供給液位が50~80%になると、脱軽質分塔の再沸器をオンにして温度を25~45℃に設定し、脱軽質分塔と脱重質分塔の精製圧力をいずれも0.3~0.6Mpaにし、軽質分不純物を脱軽質分塔の頂部から1.5~2.5kg/hの速度で排出し、1時間ごとに液相の軽質分を検出し、合格すると、B脱重質分塔に圧入し、圧入速度が15~18kg/hである。
ここで、液相軽質分が検出に合格する指標は、O≦1.0ppm、N≦2.0ppm、CO≦0.5ppm、H≦0.5ppm、CH≦0.5ppmである。
【0029】
S32では、B脱重質分塔の供給液位が50~80%になると、B脱重質分塔の再沸器をオンにして温度を25~30℃に設定し、A脱重質分塔の塔頂圧力(精製圧力)を0.3~0.6Mpaに設定し、プロピレンがB脱重質分塔の塔頂からA脱重質分塔の塔釜に入る。
【0030】
S33では、A脱重質分塔の液位が25~40%になると、A脱重質分塔からB脱重質分塔の塔頂にプロピレンを戻し、A脱重質分塔の液位を25~30%に制御する。
【0031】
S34では、ステップS32~S33を繰り返して、A脱重質分塔とB脱重質分塔を2~3h安定して精製し、ダイアフラム式コンプレッサーを起動してプロピレンを充填マニホールドから脱軽質分塔に戻す。(A脱重質分塔のプロピレンはダイアフラム式コンプレッサーによりマニホールドに送られ、マニホールドには脱軽質分塔に戻るパイプラインがある。マニホールドから戻されたプロピレンはオンラインで検出することができ、マニホールドで検出に合格すれば充填することができ、不合格であれば脱軽質分塔に戻って再精留される)
【0032】
S35では、ステップS31~S32を繰り返して、A脱重質分塔の塔頂から排出された気相を検出し、合格の場合にそれが精製後のプロピレンとなり、不合格の場合にステップS31~S35の繰り返しを継続する。
【0033】
ここで、上記のステップを経た後に検出に合格するプロピレンの指標は、C純度≧99.999%、O≦1.0ppm、N≦2.0ppm、CO≦0.5ppm、H≦0.5ppm、CH≦0.5ppm、C≦0.5ppm、C≦0.5ppm、C≦5.0ppm、OHC≦1.0ppm、HO≦02.0ppmを含む。
【0034】
上記のプロピレンの精留精製は、先に軽質分を除去し、続いて重質分を除去する連続精留プロセスを採用し、脱軽質分塔と脱重質分塔を含む。プロピレン(沸点-47.7℃)とプロパン(沸点-42.1℃)は沸点が近く、相対揮発度が非常に近い、分離が困難であり、且つ分子性質が非常に近く、通常の吸着剤の選択性が非常に悪い。本発明は、精留設備及び精留操作を最適化し、脱重質分塔でプロパン不純物を重点的に除去する。プロピレンとプロパンの沸点差が小さく且つ分離要求が高く、脱重質分塔が比較的高いため、脱重質分塔をA脱重質分塔とB脱重質分塔の2つの塔に分割し、A脱重質分塔の塔頂に凝縮器を設け、B脱重質分塔の塔底に再沸器を設ける。B脱重質分塔の塔頂はA脱重質分塔の塔釜に入り、A脱重質分塔の液相プロピレンは液体ポンプによりB脱重質分塔の上部に戻される。
【0035】
なお、従来の精留塔は脱軽質分塔と脱重質分塔のみを含み、脱重質分塔を2つのセクションに分割していないため、不純物、特にプロパンに対する除去効果が普通である。原料における初期のプロパンの含有量は2800PPMであり、精留塔で循環した後に取得された気相中のプロパンの含有量は依然として数百PPMである。一方、本解決策の上記の精留プロセスにより、精留塔で循環した後に取得された気相中のプロパンの含有量は2PPM以下に維持することができる。脱軽質分塔、A脱重質分塔及びB脱重質分塔の精製圧力をそれぞれ0.5~0.6Mpa、0.37~0.45Mpa及び0.3~0.4Mpaに設定し、且つステップS33のA脱重質分塔とB脱重質分塔の液位をそれぞれ35~38%と25~26%に設定すると、精留塔で循環した後に取得された気相中のプロパンの含有量は1PPM以下まで低減することもできる。
【0036】
上記の改質多孔質炭素繊維の調製は、以下のステップS21~S23を含む。S21.炭素繊維の前処理では、炭素繊維とエタノール水溶液を混合した後に10~30min超音波又は撹拌処理し、濾過後、得られた固体を80~180℃で恒温乾燥して不純物を除去し、乾燥時間は8~10hである。
ここで、炭素繊維とエタノール水溶液の質量比は1:5~20である。エタノール水溶液におけるエタノールと水の質量比は1:4~10である。
【0037】
S22.機能化処理では、ステップS21で取得された炭素繊維を酸化剤又は窒化剤の水溶液に添加し、40~80℃で撹拌し改質処理する。
ここで、酸化剤水溶液又は窒化剤水溶液の濃度は0.2~1.5mol/Lであり、撹拌温度は40~80℃であり、撹拌時間は6~12hである。
【0038】
S23.機能化熱処理では、ステップS22で取得された炭素繊維を水洗し、乾燥(温度100~130℃、乾燥6~10h)した後、空気又は窒素ガス雰囲気下で、管状炉において260~700℃で1~6h熱処理して、改質多孔質炭素繊維を得る。
【0039】
この点に関して、本解決策では、以下の実施例を設けて検証を行う。
<実施例1>
【0040】
改質多孔質炭素繊維の調製は、以下のステップS21~S23を含む。S21.炭素繊維の前処理では、炭素繊維(ポリアクリロニトリル系炭素繊維)とエタノール水溶液を混合した後に10min超音波処理し、濾過後、得られた固体を130℃で恒温乾燥し、乾燥時間が8hであった。
ここで、炭素繊維とエタノール水溶液の質量比は1:12であり、エタノール水溶液におけるエタノールと水の質量比は1:6であった。
【0041】
S22.機能化処理では、ステップS21で取得された炭素繊維を酸化剤(過硫酸カリウム)の水溶液に添加し、40℃で撹拌し改質処理した。
ここで、酸化剤水溶液の濃度は1.2mol/Lであり、撹拌温度は40℃であり、撹拌時間は11.5hであった。
【0042】
S23.機能化熱処理では、ステップS22で取得された炭素繊維を水洗し、乾燥した後、空気雰囲気下、300℃で6h熱処理して、改質多孔質炭素繊維を得た。ここで、空気の流速は65ml/minであった。
<実施例2>
【0043】
改質多孔質炭素繊維の調製は、以下のステップS21~S23を含む。S21.炭素繊維の前処理では、炭素繊維とエタノール水溶液を混合した後に20min撹拌処理し、濾過後、得られた固体を100℃で恒温乾燥し、乾燥時間が9hであった。
ここで、炭素繊維(ポリイミド系炭素繊維)とエタノール水溶液の質量比は1:8であり、エタノール水溶液におけるエタノールと水の質量比は1:4であった。
【0044】
S22.機能化処理では、ステップS21で取得された炭素繊維を窒化剤(グルタミン酸)の水溶液に添加し、67℃で撹拌して改質処理し、撹拌時間が10hであった。ここで、窒化剤水溶液の濃度は0.8mol/Lであった。
【0045】
S23.機能化熱処理では、ステップS22で取得された炭素繊維を水洗し、乾燥した後、窒素ガス雰囲気下、680℃で2h熱処理して、改質多孔質炭素繊維を得た。ここで、窒素ガスの流速は60ml/minであった。
<実施例3>
【0046】
改質多孔質炭素繊維の調製は、以下のステップS21~S23を含む。S21.炭素繊維の前処理では、炭素繊維(ピッチ系炭素繊維)とエタノール水溶液を混合した後に30min超音波処理し、濾過後、得られた固体を160℃で恒温乾燥し、乾燥時間が10hであった。
ここで、炭素繊維とエタノール水溶液の質量比は1:19であり、エタノール水溶液におけるエタノールと水の質量比は1:8であった。
【0047】
S22.機能化処理では、ステップS21で取得された炭素繊維を酸化剤(過酸化水素)の水溶液に添加し、75℃で撹拌し改質処理した。
ここで、酸化剤水溶液の濃度は1.5mol/Lであり、撹拌温度は60℃であり、撹拌時間は7hであった。
【0048】
S23.機能化熱処理では、ステップS22で取得された炭素繊維を水洗し、乾燥した後、空気雰囲気下、270℃で5h熱処理して、改質多孔質炭素繊維を得た。ここで、空気の流速は45ml/minであった。
【0049】
実施例1~3では、上記の改質ステップで取得された改質炭素繊維を採用してプロピレンの不純物を吸着したところ、取得された気相プロピレンに含まれるC4不純物は、それぞれ0.3PPM、0.4PPM、0.6PPMであった。また、数回の実験を経て、パラメータを変更した後、上記の改質ステップにより取得された改質炭素繊維がプロピレンに対して吸着を行った後、取得された気相中のC4不純物を0.9PPM以下に低減することができ、パラメータを最適化した結果、気相中のC4不純物を0.2PPMまで削減することもできる。
【0050】
上記の実施例1と同様のパラメータ、ステップ及び改質条件で、単に前処理を行わない、即ちステップS21をキャンセルする場合、改質炭素繊維による吸着後に、取得された気相プロピレンに含まれるC4不純物は約13PPMであった。これは、多孔質改質炭素繊維を前処理しないことが、改質効果に不利であり、後続の改質炭素繊維が吸着する際にC4不純物に対する除去程度が比較的悪いことを引き起こしやすいことを示している。
【0051】
上記の実施例1と同様のパラメータ、ステップ及び改質条件で、単にステップS21の前処理におけるエタノール水溶液を脱イオン水溶液に置き換えると、改質炭素繊維による吸着後に、取得された気相プロピレンに含まれるC4不純物は約7.3PPMであった。これは、炭素繊維改質の前に脱イオン水を採用して前処理を行うことが、表面と細孔の不純物の完全除去に不利であり、改質効果が普通であることを示している。
【0052】
上記の実施例1と同様のパラメータ、ステップ及び改質条件で、ステップS22における機能化処理時の雰囲気を酸性雰囲気に調整し、即ち、ステップS21で取得された炭素繊維を、酸性環境で酸化剤の水溶液に添加し、まず希塩酸で洗浄し、次にステップS23における水洗を行い、改質炭素繊維による吸着後に、取得された気相プロピレンに含まれるC4不純物は約5.4PPMであった。これは、酸性条件下で改質処理を行う場合、改質された炭素繊維のC4不純物に対する除去効果が比較的悪いことを示している。
【0053】
上記の実施例1と同様のパラメータ、ステップ及び改質条件で、単にステップS22における機能化処理時に酸洗ステップを追加し、即ちステップS21で取得された炭素繊維を酸化剤の水溶液に添加し、まず希塩酸で洗浄(酸洗)し、次にステップS23の水洗を行い、改質炭素繊維による吸着後に、取得された気相プロピレンに含まれるC4不純物は約1.3PPMであった。これは、希塩酸を使用して、改質された炭素繊維を洗浄すると、窒素酸素官能基の一部を破壊し、炭素繊維の改質効果が比較的悪いことを引き起こすことを示している。
ここで、空気雰囲気を採用する場合、空気の流速は40~80ml/minであり、熱処理温度は260~350℃であり、熱処理時間は4~6hであり、窒素ガス雰囲気を採用する場合、窒素ガスの流速は40~60ml/minであり、熱処理温度は550~700℃であり、熱処理時間は1.5~2hであった。
【0054】
実施例1における300℃の熱処理温度(これは空気雰囲気での熱処理であり、酸化剤を採用して炭素繊維を改質処理する)を変更し、残りのステップ及びパラメータはすべて実施例1と一致する。具体的な温度は、それぞれ、260℃、280℃及び350℃に調整された。改質炭素繊維による吸着後に、取得された気相プロピレンに含まれるC4不純物は、それぞれ0.8PPM、0.2PPM、0.5PPMであった。これは、酸化改質工程において、280~350℃の適切な熱処理温度により、一方では空気雰囲気下で炭素構造の安定性を維持することができ、他方では酸化効果を向上させて、C4除去効果を最良にすることができ、気相プロピレンに含まれるC4不純物が0.5PPM以下に低下できることを示している。
【0055】
実施例2における680℃の熱処理温度(これは窒素ガス雰囲気での熱処理であり、窒化剤を採用して炭素繊維を改質処理する)を変更し、残りのステップ及びパラメータはすべて実施例2と一致する。具体的な温度は、それぞれ、550℃、600℃及び700℃に調整された。改質炭素繊維による吸着後に、取得された気相プロピレンに含まれるC4不純物は、それぞれ0.9PPM、0.7PPM、0.4PPMであった。これは、窒化改質工程において、680~700℃の適切な熱処理温度により、C4除去効果を最良にすることができ、気相プロピレンに含まれるC4不純物が0.4PPM以下に低減できることを示している。
【0056】
酸化剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウムのうちの1つを含む。窒化剤は、尿素、ナトリウムアミド、グルタミン酸、グリシンのうちの1つを含む。炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ポリイミド系炭素繊維、ポリフッ化ビニリデン系炭素繊維のうちの少なくとも1つを含む。
【0057】
実施例1と同様に、酸化剤の過硫酸カリウムを採用して炭素繊維を改質して取得された改質炭素繊維により、プロピレンの不純物を吸着し、取得された気相のプロピレン中に含まれるC4不純物は約0.3PPMであり、水蒸気安定性試験で測定された容量ロスは9%であった。
【0058】
上記の実施例1の炭素繊維と同様なステップ及び改質条件下で、単に酸化剤である過硫酸カリウムを、窒化剤である尿素、窒化剤であるナトリウムアミドにそれぞれ置き換えた場合(熱処理パラメータは、熱処理時間2h、窒素ガス流速50ml/min)、プロピレンの不純物を吸着した後に、取得された気相プロピレンに含まれるC4不純物はそれぞれ0.6PPM、0.5PPMであり、多孔質改質炭素繊維の水蒸気安定性試験で測定された容量ロスはそれぞれ4%、3%であった。これは、窒化剤を使用して多孔質炭素繊維を窒化改質すると、得られた吸着剤である改質炭素繊維はより良好な水蒸気安定性を有することを示している。
【0059】
なお、上記の水蒸気安定性の試験過程は、多孔質炭素繊維を湿潤条件(80%RH)下で5日間放置し、湿潤処理前後の(静的)吸着量の損失程度を比較するものである。
【0060】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の保護範囲を制限するものではない。本発明のアイデアに基づいて、本発明の明細書の内容を利用してなされる同等の構造変更、又は他の関連する技術分野への直接的/間接的適用は、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。