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特開2025-27975一体成形された区画両面体感フィラメントマットレス及び製造方法
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  • 特開-一体成形された区画両面体感フィラメントマットレス及び製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027975
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】一体成形された区画両面体感フィラメントマットレス及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/12 20060101AFI20250220BHJP
   B29C 48/05 20190101ALI20250220BHJP
   B29C 48/18 20190101ALI20250220BHJP
   B29C 48/88 20190101ALI20250220BHJP
【FI】
A47C27/12 F
A47C27/12 E
A47C27/12 H
B29C48/05
B29C48/18
B29C48/88
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024103577
(22)【出願日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】202311026110.0
(32)【優先日】2023-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522105584
【氏名又は名称】山東谷悦康養器具有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shandong Guyuekang Appliance Co., LTD
【住所又は居所原語表記】558 Xinwu Road, Xiaoying Office, High-tech Zone, Binzhou city, Shandong Province, China
(71)【出願人】
【識別番号】521127446
【氏名又は名称】山東欣悦健康科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】王 春凱
(72)【発明者】
【氏名】朱 子玉
(72)【発明者】
【氏名】荊 常斌
(72)【発明者】
【氏名】苟 文明
(72)【発明者】
【氏名】左 学良
(72)【発明者】
【氏名】桑 田
(72)【発明者】
【氏名】任 海華
(72)【発明者】
【氏名】李 涛
【テーマコード(参考)】
3B096
4F207
【Fターム(参考)】
3B096AB07
3B096AC05
3B096BA01
4F207AG03
4F207AG14
4F207AR08
4F207AR12
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB22
4F207KK12
4F207KK54
4F207KL64
4F207KM16
(57)【要約】
【課題】一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスを提供する。
【解決手段】本発明のマットレスは、硬さが異なる上層と下層とを含み、前記上層と下層は、異なる区画を含み、各区画は、異なる密度と長さを有し、前記上層と下層は、連続的な生産によって一体成形され、異なる密度と長さは、独立した制御システムを採用することで上下層の対応するスクリュー押し出し速度、搬送ローラの速度、牽引ローラの速度及び各速度条件での運行時間を制御することによって取得される。本発明のマットレスは、フィラメント材質を採用し、硬さが異なる上下層構造を有し、両面体感を提供し、上層と下層は、異なる区画を含み、脊柱の支持条件を改善し、体圧分散の効果を達成し、睡眠の快適性を向上させ、マットレスは、密度が比較的小さい遷移領域をさらに含んで、マットレスが折り畳む可能である。本発明のマットレスは、一体成形を採用し、マットレスの各区画の構造の安定性を維持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスであって、硬さが異なる上層と下層とを含み、前記上層と下層は、異なる区画を含み、各区画は、異なる密度と長さを有し、前記上層と下層は、連続的な生産によって一体成形され、前記一体成形は、上層と下層とのフィラメントを同時に連続的に製造し、区画に従ってフィラメントの製造速度と製造時間を設定することで、異なる上層と下層の異なる区画を形成し、一体成形されたマットレスを得ることである、ことを特徴とする一体成形された区画両面体感フィラメントマットレス。
【請求項2】
前記上層と下層は、それぞれ2~6つの耐荷重区画を含み、好ましくは、前記マットレスは、遷移領域をさらに含み、前記遷移領域は、一部又はすべての耐荷重区画の間に位置し、前記遷移領域の密度は、耐荷重区画の密度よりも遥かに小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の区画両面体感フィラメントマットレス。
【請求項3】
前記上層の硬さは、下層よりも小さく、前記上層の厚さは、下層の厚さよりも小さく、好ましくは、前記上層と下層フィラメントの材質は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、エチレン類ポリマー(例えばポリエチレンPE)、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー(POE)から選択される一つ又は複数である、ことを特徴とする請求項2に記載の区画両面体感フィラメントマットレス。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の区画両面体感フィラメントマットレスの製造方法であって、独立した制御システムを採用してそれぞれ上層と下層のフィラメントの製造を制御し、区画設定に従って上層と下層の各区画を形成する、ことを特徴とする製造方法。
【請求項5】
前記製造方法は、
(1)上層と下層の原料をそれぞれの溶融チャンネルにそれぞれ送り込んだ後に糸出しアセンブリに入れることと、
(2)糸出しアセンブリにおける隣接する糸噴出領域によって上層フィラメント糸状物と下層フィラメント糸状物を連続的に噴出することと、
(3)上層フィラメント糸状物と下層フィラメント糸状物が隣接し且つ水中に垂直に入り、水中で搬送、冷却、硬化を経て上層フィラメントと下層フィラメントを形成し、案内を経て水面から引き出し、水面から引き出した時に上層フィラメントと下層フィラメントが隣接し且つ上下位置に位置するように維持することと、
(4)牽引を経、フィラメントが順に連続的に区画に従ってマットレスの上層と下層の各区画を設定して形成し、一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスを得ることとをさらに含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)において、前記隣接する糸噴出領域は、上層糸噴出領域と下層糸噴出領域とを含み、前記上層糸噴出領域により噴出された糸径は、下層糸噴出領域により噴出された糸径よりも小さく、
好ましくは、上層糸噴出領域と下層糸噴出領域により噴出されたのは、いずれも中実糸であり、糸径は、それぞれ0.8~1.5mmと1.0~2.5mmであり、
又は上層糸噴出領域により噴出されたのは、中実糸であり、糸径は、0.8~1.5mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのは、中空糸であり、外輪糸径は、2.8~3.4mmであり、内輪穴径は、2.2~2.8mmであり、
又は上層糸噴出領域と下層糸噴出領域により噴出されたのは、中空糸であり、外輪糸径は、2.8~3.4mmであり、内輪穴径は、2.2~2.8mmである、ことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップ(1)において、前記溶融チャンネルは、スクリュー押し出しチャンネルであり、ステップ(3)において、前記搬送は、搬送ローラによる搬送であり、ステップ(4)において、前記牽引は、牽引ローラによる牽引である、ことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(4)において、前記区画設定は、区画におけるフィラメントの密度と区画製造時間とを含み、前記フィラメントの密度は、スクリュー押し出し速度、搬送速度と牽引速度に対応し、前記区画製造時間は、特定の設定速度のスクリュー押し出し運行時間、搬送運行時間と牽引運行時間に対応する、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(4)において、前記スクリュー押し出し速度、搬送速度と牽引速度の決定方法は、予想の上層と下層の各区画のフィラメントの密度に従い、上層と下層の対応するスクリュー押し出しの速度を設定し、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度をマットレスの密度分布の差異に応じて調整し、密度を大きくする必要がある場合、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度を低減させ、密度を小さくする必要がある場合、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度を大きくすることである、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記区画製造時間は、区画の長さと搬送ローラとの比であり、前記の牽引ローラの速度は、搬送ローラの速度の80~90%である、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレス分野に関し、具体的に一体成形された区画両面体感フィラメントマットレス及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マットレス製品は、中国において流行しはじめ、ラテックス、パーム、形状記憶フォーム、ナノ技術、エアマットレスなどがあり、材料の種類は、非常に多い。マットレス製品の機能は、消費者が健康で快適な睡眠を得ることを保証することであり、マットレス性能の優劣は、主にマットレスの材質、通気性の有無、人体への力学的支持などにより決められる。フィラメントマットレスは、4Dフィラメント材料をクッション層構造部分として採用するマットレスを指し、フィラメント材料は、熱可塑性樹脂(PE、POE)又は熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)などの原料を採用し、それを高温で溶融して糸を直接噴出して成形することによって、生産プロセス全体は、化学的接着剤で粘着する必要がなく、異臭がなく、ホルムアルデヒドが全然ない。なお、フィラメントマットレスは、フィラメントのほかに、90%がいずれもエアであり、通気性がよい。フィラメントマットレスの健康性が優れているため、フィラメントマットレスの性能に対する改良は、主に力学的支持性に集中している。
【0003】
マットレスの力学的支持の改良は、第一の態様で、フィラメント材料を改良することによって行うことができる。例えば、CN116219641Aは、高耐疲労フィラメントマット及びその製造方法を開示し、フィラメントの成分は、60~90部の熱可塑性エラストマー樹脂、10~40部のポリオレフィン樹脂、1~2部の架橋剤、0.1~0.4部の開始剤、0.1~0.5部の触媒、0.3~0.6部の抗酸素剤、0.5~2部の加工助剤を含む。第二の態様で、マットレスの構造を改良することによって行うことができ、例えば、CN215456807Uは、硬さが異なる多層構造を採用し、人体圧力の分布を比較的によくする。しかし、人体の異なる部位の重量によって、マットレスにおける圧力の分布が異なるため、マットレスは、区画設置により適切である。しかしながら、区画設置は、一般的には複数のマット本体から組み合わせられてなり、例えば、JP2022069693Aは、長手方向において複数のマット本体に分けられるマットレスを開示した。複数のマット本体を継ぎ合せて得られたマットレスは、新たな技術問題をもたらし、継ぎ合せ位置の両側の力学的性能は、異なり、圧力を受けた時に変形は、異なり、長時間になると継ぎ合せ位置がずれ、構造が破壊され、汚れが溜まりやすいなどを引き起こす。一体成形されたマットレスは、組み合わせの技術問題を回避することができるが、一体成形された異なる区画のフィラメントマットレスは、まだ文献に報道されていない。なお、マットレスは、一般的には折り畳みにくく、特殊の用途(例えば病床)又は収納の時に、折り畳む可能なマットレスが望まれる。
【0004】
上記技術問題に鑑んで、特に本発明を提案する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術問題を解決するために、本発明の第一の態様は、一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスを提供し、前記マットレスは、硬さが異なる上層と下層とを含み、前記上層と下層は、異なる区画を含み、各区画は、異なる密度と長さを有し、前記上層と下層は、連続的な生産によって一体成形され、前記一体成形は、上層と下層とのフィラメントを同時に連続的に製造し、区画に従ってフィラメントの製造速度と製造時間を設定することで、異なる上層と下層の異なる区画を形成し、一体成形されたマットレスを得ることである。本発明に記載の区画は、耐荷重区画、遷移区画又は他のマットレスに適用な構造区画を指す。
【0006】
人間の脊柱は正常な生理的湾曲があり、柔らかすぎるマットレスと硬すぎるマットレスは、いずれも脊柱を適切に支持することができない。マットレスの人体への支持は、マットレス全体と人体重量との間が互いに作用する結果であり、異なる体型と体重は、マットレスの硬さと硬さの分布への需要が異なっている。人体の部位によって重量の分布が異なるのに鑑みて、本発明のマットレスは、区画式を採用し、マットレスの異なる耐荷重区画に異なる硬さ特徴を持たせることで、脊柱の支持条件を改善し、体圧分散の効果を達成し、睡眠の快適性を向上させる。
【0007】
フィラメントが同じである時に、マットレスの硬さは、主にフィラメントの密度に依存し、密度が大きいほど、硬さが高くなる。一つ又は複数の実施形態では、前記上層と下層は、それぞれ2~6つの耐荷重区画を含む。
【0008】
例えば、上層と下層は、それぞれ上部領域と下部領域という2つの耐荷重領域を含む。又は、上層と下層は、それぞれ頭背領域、腰尻領域と足領域という3つの耐荷重領域を含む。この時に、前記上層頭背領域、腰尻領域と足領域の密度は、それぞれ55~70kg/m、65~80kg/mと60~70kg/mであり、上層の長さを占める百分率は、それぞれ25~30%、30~35%と30~40%である。下層頭背領域、腰尻領域と足領域の密度は、それぞれ40~50kg/m、45~60kg/mと40~50kg/mであり、下層の長さを占める百分率は、それぞれ25~30%、30~35%と30~40%である。
【0009】
一つの典型的な例は、図1に示すように、マットレスの区画は、第一の頭背領域1001、第一の腰尻領域1002、第一の足領域1003、第二の頭背領域1004、第二の腰尻領域1005、第二の足領域1006を含み、各区画は、異なる密度と長さを有する。例えば、長さが2mのマットレスは、頭背領域が64cmであり、腰尻領域が60cmであり、足領域が76cmである。
【0010】
一つ又は複数の実施形態では、前記マットレスは、遷移領域をさらに含み、前記遷移領域は、耐荷重区画の間に位置し、前記遷移領域の密度は、耐荷重区画の密度よりも遥かに小さい。遷移領域は、すべての耐荷重区画の間に位置してもよく、一部の耐荷重区画の間に位置してもよい。遷移領域の密度は、すべて同じであってもよく、異なってもよく、例えばいずれも25~30kg/mであり又はそれぞれ25~28kg/m、28~30kg/mである。遷移領域の長さは、すべて同じであってもよく、差異があってもよく、例えばマットレスの長さを占める百分率は、いずれも1%~3%であり又はそれぞれ1%~2%、2~3%である。
【0011】
一つの典型的な実施例では、マットレス構造及び折り畳みの概略図は、図2に示すように、マットレスは、第一の遷移領域1007、第二の遷移領域1008、第三の遷移領域1009と第四の遷移領域1010をさらに含み、第三の遷移領域1009の長さは、第一の遷移領域1007よりも大きく、第三の遷移領域1009の密度は、第一の遷移領域1007よりも小さく、第四の遷移領域は、第二の遷移領域の関係と類似し、各遷移領域の長さと密度設定のため、マットレスの頭背領域と足領域は、非常に上へ折り畳みやすい。
【0012】
一つの典型的な実施例では、マットレス構造及び折り畳みの概略図は、図3に示すように、マットレスは、第一の遷移領域1007、第二の遷移領域1008、第三の遷移領域1009と第四の遷移領域1010をさらに含み、第三の遷移領域1009の長さは、第一の遷移領域1007よりも大きく、第三の遷移領域1009の密度は、第一の遷移領域1007よりも小さく、第四の遷移領域は、第二の遷移領域の関係と逆である。各遷移領域の長さと密度設定のため、マットレスの頭背領域は、上へ折り畳みやすく、足領域は、下へ折り畳みやすく、Z字形の折り畳みを形成し、より折り畳みやすくなる。
【0013】
上層と下層は、異なる硬さを有し、上層の硬さが小さく、下層の硬さが大きいことであってもよく、上層の硬さが大きく、下層の硬さが小さいことであってもよい。上下層の硬さは、フィラメント材質、中空フィラメント又は中実フィラメント、フィラメントの糸径、フィラメントの密度などによって調整することができる。一つの典型的な例では、前記上層の硬さは、下層よりも小さく、前記上層の厚さは、下層の厚さよりも小さく、前記上層の厚さは、2~3cmであり、下層の厚さは、4~5cmである。
【0014】
一つ又は複数の実施形態では、前記上層と下層フィラメントの材質は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、エチレン類ポリマー(例えばポリエチレンPE)、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー(POE)から選択される一つ又は複数であり、好ましくは、前記上層フィラメントの材質は、TPEE又はPEから選択され、前記下層フィラメントの材質は、PEから選択される。
【0015】
本発明の第二の態様は、本発明のいずれか一つの実施形態に記載の一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスの製造方法をさらに提供し、独立した制御システムを採用してそれぞれ上層と下層のフィラメントの製造を制御し、区画設定に従って上層と下層の各区画を形成する。
【0016】
一つ又は複数の実施形態では、前記製造方法は、
(1)上層と下層の原料をそれぞれの溶融チャンネルにそれぞれ送り込んだ後に糸出しアセンブリに入れることと、
(2)糸出しアセンブリにおける隣接する糸噴出領域によって上層フィラメント糸状物と下層フィラメント糸状物を連続的に噴出することと、
(3)上層フィラメント糸状物と下層フィラメント糸状物が隣接し且つ水中に垂直に入り、水中で搬送、冷却、硬化を経て上層フィラメントと下層フィラメントを形成し、案内を経て水面から引き出し、水面から引き出した時に上層フィラメントと下層フィラメントが隣接し且つ上下位置に位置するように維持することと、
(4)牽引を経、フィラメントが順に連続的に区画に従ってマットレスの上層と下層の各区画を設定して形成し、一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスを得ることとをさらに含む。
【0017】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(1)において、原料を溶融チャンネルに送り込む前に、原料混合と、原料乾燥操作とをさらに含む。前記上層と下層の原料は、真空方式によって溶融チャンネルに送り込まれ、好ましくは、前記溶融チャンネルは、スクリュー押し出しチャンネルである。前記原料は、溶融チャンネルを経て糸出しアセンブリに入る前に、さらに濾過を経る。
【0018】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(2)において、前記隣接する糸噴出領域は、上層糸噴出領域と下層糸噴出領域とを含み、前記上層糸噴出領域により噴出された糸径は、下層糸噴出領域により噴出された糸径よりも小さく、好ましくは、上層糸噴出領域と下層糸噴出領域により噴出されたのは、いずれも中実糸であり、糸径は、それぞれ0.8~1.5mmと1.0~2.5mmである。又は上層糸噴出領域により噴出されたのは、中実糸であり、糸径は、0.8~1.5mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのは、中空糸であり、外輪糸径は、2.8~3.4mmであり、内輪穴径は、2.2~2.8mmである。又は上層糸噴出領域と下層糸噴出領域により噴出されたのは、中空糸であり、外輪糸径は、2.8~3.4mmであり、内輪穴径は、2.2~2.8mmである。
【0019】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(3)において、前記上層フィラメント糸状物の下層フィラメント糸状物と隣接する少量の糸状物は、互いに巻き付いて輪として粘着される。
【0020】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(4)において、前記区画設定は、区画におけるフィラメントの密度と区画製造時間とを含み、前記フィラメントの密度は、スクリュー押し出し速度、搬送速度と牽引速度に対応し、前記区画製造時間は、特定の設定速度のスクリュー押し出し運行時間、搬送運行時間と牽引運行時間に対応し、好ましくは、搬送ローラによって搬送し、牽引ローラによって牽引する。
【0021】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(4)において、前記スクリュー押し出し速度、搬送速度と牽引速度の決定方法は、予想の上層と下層の各区画のフィラメントの密度に従い、上層と下層の対応するスクリュー押し出しの速度を設定し、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度をマットレスの密度分布の差異に応じて調整し、密度を大きくする必要がある場合、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度を低減させ、密度を小さくする必要がある場合、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度を大きくすることである。
【0022】
一つ又は複数の実施形態では、前記区画製造時間は、区画の長さと搬送ローラとの比であり、前記の牽引ローラの速度は、搬送ローラの速度の80~90%である。
【0023】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(4)において、前記マットレスの長手方向は、製品が連続的に生産される長手方向である。
【0024】
本発明の第三の態様は、本発明のいずれか一つの実施形態に記載の一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスの製造機器をさらに提供し、図4に示すように、前記機器は、糸出しアセンブリ1、シャワー板8、貯水タンク9、搬送ローラ10、牽引ローラ11、案内ローラ12、乾燥器3、搬送スクリュー4と独立した制御システム(図4に示せず)を含む。
【0025】
前記乾燥器の出力側は、前記搬送スクリューの入力側と連結され、前記搬送スクリューの出力側は、前記糸出しアセンブリの入力側と連結され、前記搬送スクリューは、若干の加熱区間を含む。
【0026】
上下層が採用した熱可塑性エラストマー原料は、それぞれの搬送スクリューを経由してからいずれもそれぞれ独立した原料運行チャンネル及び制御システムを有し、上下層の密度設定に応じて単独で制御してもよい。
【0027】
前記糸出しアセンブリは、合流弁2と、糸噴出金型5と、割り当て板6と、糸噴出板7とを含み、合流弁2は、それぞれ搬送スクリュー及び糸噴出金型と連通し、前記糸噴出金型は、下へ前記割り当て板と緊密に貼り付き、前記割り当て板は、下へ前記糸噴出板と緊密に貼り付き、割り当て板は、溶融流体の糸噴出板における押し出し圧力をバランスすることができる。
【0028】
前記糸噴出金型に若干の糸噴出チャンネルが設けられ、前記割り当て板上に前記糸噴出チャンネルに対応する数の割り当て領域があり、前記割り当て領域上に若干の割り当て穴がさらに設けられ、各前記割り当て領域における割り当て穴の穴径とピッチは、いずれも異なり、前記糸噴出板は、若干の糸噴出領域に分けられ、いずれか一つの前記糸噴出領域の状態は、中実又は中空のうちの一つである。
【0029】
前記貯水タンクは、冷却水を貯留するために用いられ、前記搬送ローラは、前記貯水タンク内に設けられ、且つ前記貯水タンクの冷却水中に完全にもぐり、前記糸出しアセンブリは、前記貯水タンクの外部に位置し、前記シャワー板は、前記糸出しアセンブリと前記搬送ローラとの間に傾斜して設置され、且つ前記シャワー板の第一の側は、前記搬送ローラの水面に接近する側に接触し、前記シャワー板の第二の側は、前記糸出しアセンブリへ延伸し、且つ前記シャワー板のシャワー斜面は、前記糸出しアセンブリの糸出し面に向かう。
【0030】
前記貯水タンク上方は、遠赤外線放射器をさらに含み、放射範囲は、糸噴出板から水面までの空間をカバーし、糸落ち空間全体の温度の均一化を実現し、遠赤外線放射器は、空間全体の温度を120℃~220℃に維持する。
【0031】
シャワー板の間のマットレスの幅方向の両側は、設置された定型金型をさらに含み、前記定型金型は、シャワー板斜面の角度に一致し、サイクル冷却水をスプレーすることができる装置であり、前記定型金型の作用は、マットレスの幅方向の両側の自由に落ちた細糸を内へ圧縮し、再切断の問題を回避し、生産原料を節約し、労力強度を低減させるとともに、円滑な側縁がマットレスをマットレスカバー内に入れ込むことを容易にすることである。
【0032】
前記貯水タンク内に若干の案内ローラが設けられ、前記貯水タンク外部に牽引ローラがさらに設けられ、前記牽引ローラは、冷却後のフィラメント層を前記搬送ローラを経て前記貯水タンクから引き出すために用いられ、前記若干の案内ローラは、前記フィラメント層に沿って前記搬送ローラの水面から離れる側から前記牽引ローラの移動方向へ順に配列され、
前記独立した制御システムは、スクリュー押し出し速度、搬送ローラの速度、牽引ローラの速度と特定の速度の運行時間を制御してマットレス区画の形成を制御するために用いられる。
【発明の効果】
【0033】
従来の技術と比べ、本発明の有益な効果は、少なくとも以下を含む。
1、本発明のマットレスは、フィラメント材質を採用し、硬さが異なる上下層構造を有し、両面体感を提供し、上層と下層は、いずれも頭背領域、腰尻領域と足領域に分けられ、脊柱の支持条件を改善し、体圧分散の効果を達成し、睡眠の快適性を向上させる。
【0034】
2、本発明のマットレスは、密度が比較的小さい遷移領域をさらに含み、それによってマットレスの折り畳みを可能にし、且つ遷移領域の密度と長さの調整によって、折り畳みを容易にし且つマットレスへの損傷が比較的小さい。
【0035】
3、本発明のマットレスの上層と下層の原料は、いずれもそれぞれ独立した溶融チャンネル、糸出しアセンブリと制御システムを有するため、上下層の密度設定に応じてそれぞれ単独で制御することができる。連続的な生産プロセスにおいて、この特定のプログラムに従ってスクリュー押し出し速度、搬送ローラの速度、牽引ローラの速度と各速度条件での運行時間をサイクルすれば頭背領域、遷移領域、腰尻領域、遷移領域、足領域などの区画を含む一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスが得られる。
【0036】
4、本発明のマットレスは、一体成形を採用し、マットレスの各区画の構造の安定性を維持し、前記一体成形は、連続的な生産を採用し、効率が比較的高い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
ここの図面は、明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本発明の実施に合致する実施例を示し、且つ明細書とともに本発明の実施例の原理を解釈するために用いられる。自明なことに、以下の記述における図面は、ただ本発明の実施のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】フィラメントマットレスの典型的な構造概略図である。
図2】遷移領域を含むフィラメントマットレス及び折り畳み概略図Aである。
図3】遷移領域を含むフィラメントマットレス及び折り畳み概略図Bである。
図4】実施例1の製造機器の構造概略図である。
図5】実施例1の製造機器の局所構造概略図である。
図6】実施例1の製造機器の糸出しアセンブリ1の断面概略図である。
図7】実施例1の製造機器の糸噴出領域概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の目的、技術案と有益な効果をより明瞭にするために、以下では、図面と具体的な実施の形態を結び付けながら、本発明をさらに詳細に説明する。前記実施例の例は、図面において示される。理解すべきこととして、下記本発明の実施の形態に記述された具体的な実施例は、本発明の具体的な実施の形態の例示的な説明に過ぎず、本発明を解釈するためのものであり、本発明に対する制限ではない。
【0039】
本明細書で言及された範囲の端点と任意の値は、いずれもこの精確な範囲又は値に限らず、これらの範囲又は値は、これらの範囲に接近することを含むと理解すべきである。
【0040】
実施例1
一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスについて、製造機器は、図4に示すように、合流弁2、乾燥器3、搬送スクリュー4、糸噴出金型5、割り当て板6、糸噴出板7、シャワー板8、貯水タンク9、搬送ローラ10、牽引ローラ11、案内ローラ12(ここで、13は、貯水タンク水面である)を含む。前記乾燥器3は、第一の乾燥器31と第二の乾燥器32に分けられ、搬送スクリュー4は、第一の搬送スクリュー41と第二の搬送スクリュー42に分けられ、合流弁2は、第一の分流チャンネル21と第二の分流チャンネル22に分けられ、糸噴出金型5は、第一の糸噴出チャンネル51と第二の糸噴出チャンネル52に分けられ、割り当て板6は、第一の割り当て領域61と第二の割り当て領域62に分けられ、糸噴出板7は、第一の糸噴出領域71と第二の糸噴出領域72に分けられ、ここで、合流弁2、糸噴出金型5、割り当て板6、糸噴出板7は、図5~7に示されるように、糸噴出アセンブリ1と総称される。
【0041】
ここで、前記合流弁2は、前記糸噴出金型5と緊密に貼り付き、前記糸噴出金型5の下側は、前記割り当て板6の上側と緊密に貼り付き、前記割り当て板6の下側は、前記糸噴出板7の上側と緊密に貼り付き、前記合流弁2に上下層が採用した熱可塑性エラストマー原料が経由した第一の搬送スクリュー41と第二の搬送スクリュー42にそれぞれ対応する2つの第一の分流チャンネル21と第二の分流チャンネル22が設けられ、前記糸噴出金型5は、上金型、中金型、下金型から構成され、糸噴出金型を2つの独立した第一の糸噴出チャンネル51と第二の糸噴出チャンネル52に分割し、第一の糸噴出チャンネル51と第二の糸噴出チャンネル52は、それぞれ対応する第一の分流チャンネル21と第二の分流チャンネル22とそれぞれ連通する。割り当て板6上に前記第一の糸噴出チャンネル51と第二の糸噴出チャンネル52に対応する2つの第一の割り当て領域61と第二の割り当て領域62があり、前記割り当て板6上に、その下側糸噴出板と連通する若干の割り当て穴がさらに設けられ、前記糸噴出板7は、2つの第一の糸噴出領域71と第二の糸噴出領域72から構成され、いずれか一つの前記糸噴出領域71、72上に若干の糸噴出穴があり、前記糸噴出穴の状態は、中実又は中空のうちの一つであり、ここで、中空の直径は、明らかに中実の直径よりも大きい。本実施例1では、糸噴出領域71は、中実穴であり、糸噴出領域72は、中空穴である。
【0042】
採用された上記機器製造方法は、以下のとおりである。それぞれ上層TPEE原料と下層PE原料をそれぞれ乾燥器3によって乾燥させ、スクリュー4に送り込み、溶融した後に合流弁2に送り届け、そして糸噴出金型5を介して、割り当て板6を経、さらに糸噴出板7を介して噴出して上層TPEEフィラメント糸状物と下層PEフィラメント糸状物を得る。
【0043】
ここで、前記割り当て板6の穴径は、4mmであり、糸噴出金型と嵌合して左右の2つの独立した原料層割り当て領域を形成し、割り当て板における割り当て穴の数は、106個/列であり、隣接する二列の間は、交差して設置され、左右割り当て領域にそれぞれ8列がある。
【0044】
上層TPEEフィラメント糸状物と下層PEフィラメント糸状物は、自然に水中に落ち、糸状物の速度は、遅くなって隣接する糸状物が輪で接触することを引き起こし、搬送ローラによって糸輪層を20℃の冷却貯水タンクに入るように搬送して迅速に冷却して硬化し、図6に示すように、上層TPEEフィラメント糸状物の下層PEフィラメント糸状物と隣接する少量の糸状物は、互いに巻き付いて輪として粘着され、上層と下層の結合強度を向上させる。
【0045】
冷却後の糸輪は、案内ローラによって水面から引き出され、水面から引き出された時に上層フィラメントと下層フィラメントは、隣接し且つ上下位置に位置するように維持し、牽引ローラによる牽引を経、独立した制御システムは、設定された条件に従ってスクリュー押し出し速度、搬送ローラの速度及び牽引ローラの速度を制御し、順に連続的に形成されたマットレスの上層と下層の各区画は、順に形成された第一の頭背領域と第二の頭背領域、第一の腰尻領域と第二の腰尻領域、及び第一の足領域と第二の足領域を含む。
【0046】
ここで、前記糸噴出板7における糸噴出領域71、72のパラメータは、それぞれ上層糸噴出領域により噴出されたのが中実糸であり、穴径が1mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのがいずれも中実糸であり、穴径が1.5mmであることであり、実施例1で得られたマットレス構造及びパラメータは、以下の表に示すとおりである。
【0047】
表1
【0048】
実施例2
実施例1との相違点は、以下のとおりである。上層と下層の原料は、いずれもPEであり、前記糸噴出板7における糸噴出領域71、72のパラメータは、それぞれ上層糸噴出領域により噴出されたのが中実糸であり、穴径が0.8mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのがいずれも中実糸であり、穴径が1mmであることであり、実施例2で得られたマットレス構造及びパラメータは、以下の表に示すとおりである。
【0049】
表2
【0050】
実施例3
実施例1との相違点は、第一の頭背領域と第二の頭背領域、第一の遷移領域と第三の遷移領域、第一の腰尻領域と第二の腰尻領域、第二の遷移領域と第四の遷移領域、及び第一の足領域と第二の足領域を順に形成することである。構造概略図は、図2に示すように、得られたマットレス構造及びパラメータは、以下の表に示すとおりである。
【0051】
表3
【0052】
実施例4
実施例2との相違点は、以下のとおりである。前記糸噴出板7における糸噴出領域71、72のパラメータは、それぞれ上層糸噴出領域により噴出されたのが中実糸であり、穴径が1mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのが中空糸であり、外輪穴径が3mmであり、内輪穴径が2.5mmであることであり、実施例4で得られたマットレス構造及びパラメータは、以下の表に示される。
【0053】
表4
【0054】
最後に説明すべきこととして、以上の実施例は、本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、本発明の概要に対する制限を構成しない。本発明の技術的構想の範囲において、本発明の技術案に対して様々な簡単な変形を行うことができ、各技術的特徴を任意の他の適切な方式によって組み合わせることを含み、これらの簡単な変形と組み合わせは、同様に本発明に開示された内容とされるべきであり、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0055】
1糸出しアセンブリ、2合流弁、3乾燥器、4搬送スクリュー、5糸噴出金型、6割り当て板、7糸噴出板、8シャワー板、9貯水タンク、10搬送ローラ、11牽引ローラ、12案内ローラ、13貯水タンク水面、21第一の分流チャンネル、22第二の分流チャンネル、31第一の乾燥器、32第二の乾燥器、41第一の搬送スクリュー、42第二の搬送スクリュー、51第一の糸噴出チャンネル、52第二の糸噴出チャンネル、61第一の割り当て領域、61第二の割り当て領域、71第一の糸噴出領域、72第二の糸噴出領域、1001第一の頭背領域、1002第一の腰尻領域、1003第一の足領域、1004第二の頭背領域、1005第二の腰尻領域、1006第二の足領域、1007第一の遷移領域、1008第二の遷移領域、1009第三の遷移領域、1010第四の遷移領域。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレス分野に関し、具体的に一体成形された区画両面体感フィラメントマットレス及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マットレス製品は、中国において流行しはじめ、ラテックス、パーム、形状記憶フォーム、ナノ技術、エアマットレスなどがあり、材料の種類は、非常に多い。マットレス製品の機能は、消費者が健康で快適な睡眠を得ることを保証することであり、マットレス性能の優劣は、主にマットレスの材質、通気性の有無、人体への力学的支持などにより決められる。フィラメントマットレスは、4Dフィラメント材料をクッション層構造部分として採用するマットレスを指し、フィラメント材料は、熱可塑性樹脂(PE、POE)又は熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)などの原料を採用し、それを高温で溶融して糸を直接噴出して成形することによって、生産プロセス全体は、化学的接着剤で粘着する必要がなく、異臭がなく、ホルムアルデヒドが全然ない。なお、フィラメントマットレスは、フィラメントのほかに、90%がいずれもエアであり、通気性がよい。フィラメントマットレスの健康性が優れているため、フィラメントマットレスの性能に対する改良は、主に力学的支持性に集中している。
【0003】
マットレスの力学的支持の改良は、第一の態様で、フィラメント材料を改良することによって行うことができる。例えば、CN116219641Aは、高耐疲労フィラメントマット及びその製造方法を開示し、フィラメントの成分は、60~90部の熱可塑性エラストマー樹脂、10~40部のポリオレフィン樹脂、1~2部の架橋剤、0.1~0.4部の開始剤、0.1~0.5部の触媒、0.3~0.6部の抗酸素剤、0.5~2部の加工助剤を含む。第二の態様で、マットレスの構造を改良することによって行うことができ、例えば、CN215456807Uは、硬さが異なる多層構造を採用し、人体圧力の分布を比較的によくする。しかし、人体の異なる部位の重量によって、マットレスにおける圧力の分布が異なるため、マットレスは、区画設置により適切である。しかしながら、区画設置は、一般的には複数のマット本体から組み合わせられてなり、例えば、JP2022069693Aは、長手方向において複数のマット本体に分けられるマットレスを開示した。複数のマット本体を継ぎ合せて得られたマットレスは、新たな技術問題をもたらし、継ぎ合せ位置の両側の力学的性能は、異なり、圧力を受けた時に変形は、異なり、長時間になると継ぎ合せ位置がずれ、構造が破壊され、汚れが溜まりやすいなどを引き起こす。一体成形されたマットレスは、組み合わせの技術問題を回避することができるが、一体成形された異なる区画のフィラメントマットレスは、まだ文献に報道されていない。なお、マットレスは、一般的には折り畳みにくく、特殊の用途(例えば病床)又は収納の時に、折り畳む可能なマットレスが望まれる。
上記技術問題に鑑み、特に本発明を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許第CN116219641A号公報
【特許文献2】中国実用新案第CN215456807U号公報
【特許文献3】特開JP2022069693A号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術問題を解決するために、本発明の第一の態様は、一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスを提供し、前記マットレスは、硬さが異なる上層と下層とを含み、前記上層と下層は、異なる区画を含み、各区画は、異なる密度と長さを有し、前記上層と下層は、連続的な生産によって一体成形され、前記一体成形は、上層と下層とのフィラメントを同時に連続的に製造し、区画に従ってフィラメントの製造速度と製造時間を設定することで、異なる上層と下層の異なる区画を形成し、一体成形されたマットレスを得ることである。本発明に記載の区画は、耐荷重区画、遷移区画又は他のマットレスに適用な構造区画を指す。
【0006】
人間の脊柱は正常な生理的湾曲があり、柔らかすぎるマットレスと硬すぎるマットレスは、いずれも脊柱を適切に支持することができない。マットレスの人体への支持は、マットレス全体と人体重量との間が互いに作用する結果であり、異なる体型と体重は、マットレスの硬さと硬さの分布への需要が異なっている。人体の部位によって重量の分布が異なるのに鑑みて、本発明のマットレスは、区画式を採用し、マットレスの異なる耐荷重区画に異なる硬さ特徴を持たせることで、脊柱の支持条件を改善し、体圧分散の効果を達成し、睡眠の快適性を向上させる。
【0007】
フィラメントが同じである時に、マットレスの硬さは、主にフィラメントの密度に依存し、密度が大きいほど、硬さが高くなる。一つ又は複数の実施形態では、前記上層と下層は、それぞれ2~6つの耐荷重区画を含む。
【0008】
例えば、上層と下層は、それぞれ上部領域と下部領域という2つの耐荷重領域を含む。又は、上層と下層は、それぞれ頭背領域、腰尻領域と足領域という3つの耐荷重領域を含む。この時に、前記上層頭背領域、腰尻領域と足領域の密度は、それぞれ55~70kg/m、65~80kg/mと60~70kg/mであり、上層の長さを占める百分率は、それぞれ25~30%、30~35%と30~40%である。下層頭背領域、腰尻領域と足領域の密度は、それぞれ40~50kg/m、45~60kg/mと40~50kg/mであり、下層の長さを占める百分率は、それぞれ25~30%、30~35%と30~40%である。
【0009】
一つの典型的な例は、図1に示すように、マットレスの区画は、第一の頭背領域1001、第一の腰尻領域1002、第一の足領域1003、第二の頭背領域1004、第二の腰尻領域1005、第二の足領域1006を含み、各区画は、異なる密度と長さを有する。例えば、長さが2mのマットレスは、頭背領域が64cmであり、腰尻領域が60cmであり、足領域が76cmである。
【0010】
一つ又は複数の実施形態では、前記マットレスは、遷移領域をさらに含み、前記遷移領域は、耐荷重区画の間に位置し、前記遷移領域の密度は、耐荷重区画の密度よりも遥かに小さい。遷移領域は、すべての耐荷重区画の間に位置してもよく、一部の耐荷重区画の間に位置してもよい。遷移領域の密度は、すべて同じであってもよく、異なってもよく、例えばいずれも25~30kg/mであり又はそれぞれ25~28kg/m、28~30kg/mである。遷移領域の長さは、すべて同じであってもよく、差異があってもよく、例えばマットレスの長さを占める百分率は、いずれも1%~3%であり又はそれぞれ1%~2%、2~3%である。
【0011】
一つの典型的な実施例では、マットレス構造及び折り畳みの概略図は、図2に示すように、マットレスは、第一の遷移領域1007、第二の遷移領域1008、第三の遷移領域1009と第四の遷移領域1010をさらに含み、第三の遷移領域1009の長さは、第一の遷移領域1007よりも大きく、第三の遷移領域1009の密度は、第一の遷移領域1007よりも小さく、第四の遷移領域は、第二の遷移領域の関係と類似し、各遷移領域の長さと密度設定のため、マットレスの頭背領域と足領域は、非常に上へ折り畳みやすい。
【0012】
一つの典型的な実施例では、マットレス構造及び折り畳みの概略図は、図3に示すように、マットレスは、第一の遷移領域1007、第二の遷移領域1008、第三の遷移領域1009と第四の遷移領域1010をさらに含み、第三の遷移領域1009の長さは、第一の遷移領域1007よりも大きく、第三の遷移領域1009の密度は、第一の遷移領域1007よりも小さく、第四の遷移領域は、第二の遷移領域の関係と逆である。各遷移領域の長さと密度設定のため、マットレスの頭背領域は、上へ折り畳みやすく、足領域は、下へ折り畳みやすく、Z字形の折り畳みを形成し、より折り畳みやすくなる。
【0013】
上層と下層は、異なる硬さを有し、上層の硬さが小さく、下層の硬さが大きいことであってもよく、上層の硬さが大きく、下層の硬さが小さいことであってもよい。上下層の硬さは、フィラメント材質、中空フィラメント又は中実フィラメント、フィラメントの糸径、フィラメントの密度などによって調整することができる。一つの典型的な例では、前記上層の硬さは、下層よりも小さく、前記上層の厚さは、下層の厚さよりも小さく、前記上層の厚さは、2~3cmであり、下層の厚さは、4~5cmである。
【0014】
一つ又は複数の実施形態では、前記上層と下層フィラメントの材質は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、エチレン類ポリマー(例えばポリエチレンPE)、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー(POE)から選択される一つ又は複数であり、好ましくは、前記上層フィラメントの材質は、TPEE又はPEから選択され、前記下層フィラメントの材質は、PEから選択される。
【0015】
本発明の第二の態様は、本発明のいずれか一つの実施形態に記載の一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスの製造方法をさらに提供し、独立した制御システムを採用してそれぞれ上層と下層のフィラメントの製造を制御し、区画設定に従って上層と下層の各区画を形成する。
【0016】
一つ又は複数の実施形態では、前記製造方法は、
(1)上層と下層の原料をそれぞれの溶融チャンネルにそれぞれ送り込んだ後に糸出しアセンブリに入れることと、
(2)糸出しアセンブリにおける隣接する糸噴出領域によって上層フィラメント糸状物と下層フィラメント糸状物を連続的に噴出することと、
(3)上層フィラメント糸状物と下層フィラメント糸状物が隣接し且つ水中に垂直に入り、水中で搬送、冷却、硬化を経て上層フィラメントと下層フィラメントを形成し、案内を経て水面から引き出し、水面から引き出した時に上層フィラメントと下層フィラメントが隣接し且つ上下位置に位置するように維持することと、
(4)牽引を経、フィラメントが順に連続的に区画に従ってマットレスの上層と下層の各区画を設定して形成し、一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスを得ることとをさらに含む。
【0017】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(1)において、原料を溶融チャンネルに送り込む前に、原料混合と、原料乾燥操作とをさらに含む。前記上層と下層の原料は、真空方式によって溶融チャンネルに送り込まれ、好ましくは、前記溶融チャンネルは、スクリュー押し出しチャンネルである。前記原料は、溶融チャンネルを経て糸出しアセンブリに入る前に、さらに濾過を経る。
【0018】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(2)において、前記隣接する糸噴出領域は、上層糸噴出領域と下層糸噴出領域とを含み、前記上層糸噴出領域により噴出された糸径は、下層糸噴出領域により噴出された糸径よりも小さく、好ましくは、上層糸噴出領域と下層糸噴出領域により噴出されたのは、いずれも中実糸であり、糸径は、それぞれ0.8~1.5mmと1.0~2.5mmである。又は上層糸噴出領域により噴出されたのは、中実糸であり、糸径は、0.8~1.5mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのは、中空糸であり、外輪糸径は、2.8~3.4mmであり、内輪穴径は、2.2~2.8mmである。又は上層糸噴出領域と下層糸噴出領域により噴出されたのは、中空糸であり、外輪糸径は、2.8~3.4mmであり、内輪穴径は、2.2~2.8mmである。
【0019】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(3)において、前記上層フィラメント糸状物の下層フィラメント糸状物と隣接する少量の糸状物は、互いに巻き付いて輪として粘着される。
【0020】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(4)において、前記区画設定は、区画におけるフィラメントの密度と区画製造時間とを含み、前記フィラメントの密度は、スクリュー押し出し速度、搬送速度と牽引速度に対応し、前記区画製造時間は、特定の設定速度のスクリュー押し出し運行時間、搬送運行時間と牽引運行時間に対応し、好ましくは、搬送ローラによって搬送し、牽引ローラによって牽引する。
【0021】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(4)において、前記スクリュー押し出し速度、搬送速度と牽引速度の決定方法は、予想の上層と下層の各区画のフィラメントの密度に従い、上層と下層の対応するスクリュー押し出しの速度を設定し、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度をマットレスの密度分布の差異に応じて調整し、密度を大きくする必要がある場合、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度を低減させ、密度を小さくする必要がある場合、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度を大きくすることである。
【0022】
一つ又は複数の実施形態では、前記区画製造時間は、区画の長さと搬送ローラとの比であり、前記の牽引ローラの速度は、搬送ローラの速度の80~90%である。
【0023】
一つ又は複数の実施形態では、前記ステップ(4)において、前記マットレスの長手方向は、製品が連続的に生産される長手方向である。
【0024】
本発明の第三の態様は、本発明のいずれか一つの実施形態に記載の一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスの製造機器をさらに提供し、図4に示すように、前記機器は、糸出しアセンブリ1、シャワー板8、貯水タンク9、搬送ローラ10、牽引ローラ11、案内ローラ12、乾燥器3、搬送スクリュー4と独立した制御システム(図4に示せず)を含む。
【0025】
前記乾燥器の出力側は、前記搬送スクリューの入力側と連結され、前記搬送スクリューの出力側は、前記糸出しアセンブリの入力側と連結され、前記搬送スクリューは、若干の加熱区間を含む。
【0026】
上下層が採用した熱可塑性エラストマー原料は、それぞれの搬送スクリューを経由してからいずれもそれぞれ独立した原料運行チャンネル及び制御システムを有し、上下層の密度設定に応じて単独で制御してもよい。
【0027】
前記糸出しアセンブリは、合流弁2と、糸噴出金型5と、割り当て板6と、糸噴出板7とを含み、合流弁2は、それぞれ搬送スクリュー及び糸噴出金型と連通し、前記糸噴出金型は、下へ前記割り当て板と緊密に貼り付き、前記割り当て板は、下へ前記糸噴出板と緊密に貼り付き、割り当て板は、溶融流体の糸噴出板における押し出し圧力をバランスすることができる。
【0028】
前記糸噴出金型に若干の糸噴出チャンネルが設けられ、前記割り当て板上に前記糸噴出チャンネルに対応する数の割り当て領域があり、前記割り当て領域上に若干の割り当て穴がさらに設けられ、各前記割り当て領域における割り当て穴の穴径とピッチは、いずれも異なり、前記糸噴出板は、若干の糸噴出領域に分けられ、いずれか一つの前記糸噴出領域の状態は、中実又は中空のうちの一つである。
【0029】
前記貯水タンクは、冷却水を貯留するために用いられ、前記搬送ローラは、前記貯水タンク内に設けられ、且つ前記貯水タンクの冷却水中に完全にもぐり、前記糸出しアセンブリは、前記貯水タンクの外部に位置し、前記シャワー板は、前記糸出しアセンブリと前記搬送ローラとの間に傾斜して設置され、且つ前記シャワー板の第一の側は、前記搬送ローラの水面に接近する側に接触し、前記シャワー板の第二の側は、前記糸出しアセンブリへ延伸し、且つ前記シャワー板のシャワー斜面は、前記糸出しアセンブリの糸出し面に向かう。
【0030】
前記貯水タンク上方は、遠赤外線放射器をさらに含み、放射範囲は、糸噴出板から水面までの空間をカバーし、糸落ち空間全体の温度の均一化を実現し、遠赤外線放射器は、空間全体の温度を120℃~220℃に維持する。
【0031】
シャワー板の間のマットレスの幅方向の両側は、設置された定型金型をさらに含み、前記定型金型は、シャワー板斜面の角度に一致し、サイクル冷却水をスプレーすることができる装置であり、前記定型金型の作用は、マットレスの幅方向の両側の自由に落ちた細糸を内へ圧縮し、再切断の問題を回避し、生産原料を節約し、労力強度を低減させるとともに、円滑な側縁がマットレスをマットレスカバー内に入れ込むことを容易にすることである。
【0032】
前記貯水タンク内に若干の案内ローラが設けられ、前記貯水タンク外部に牽引ローラがさらに設けられ、前記牽引ローラは、冷却後のフィラメント層を前記搬送ローラを経て前記貯水タンクから引き出すために用いられ、前記若干の案内ローラは、前記フィラメント層に沿って前記搬送ローラの水面から離れる側から前記牽引ローラの移動方向へ順に配列され、
前記独立した制御システムは、スクリュー押し出し速度、搬送ローラの速度、牽引ローラの速度と特定の速度の運行時間を制御してマットレス区画の形成を制御するために用いられる。
【発明の効果】
【0033】
従来の技術と比べ、本発明の有益な効果は、少なくとも以下を含む。
1、本発明のマットレスは、フィラメント材質を採用し、硬さが異なる上下層構造を有し、両面体感を提供し、上層と下層は、いずれも頭背領域、腰尻領域と足領域に分けられ、脊柱の支持条件を改善し、体圧分散の効果を達成し、睡眠の快適性を向上させる。
【0034】
2、本発明のマットレスは、密度が比較的小さい遷移領域をさらに含み、それによってマットレスの折り畳みを可能にし、且つ遷移領域の密度と長さの調整によって、折り畳みを容易にし且つマットレスへの損傷が比較的小さい。
【0035】
3、本発明のマットレスの上層と下層の原料は、いずれもそれぞれ独立した溶融チャンネル、糸出しアセンブリと制御システムを有するため、上下層の密度設定に応じてそれぞれ単独で制御することができる。連続的な生産プロセスにおいて、この特定のプログラムに従ってスクリュー押し出し速度、搬送ローラの速度、牽引ローラの速度と各速度条件での運行時間をサイクルすれば頭背領域、遷移領域、腰尻領域、遷移領域、足領域などの区画を含む一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスが得られる。
【0036】
4、本発明のマットレスは、一体成形を採用し、マットレスの各区画の構造の安定性を維持し、前記一体成形は、連続的な生産を採用し、効率が比較的高い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
ここの図面は、明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本発明の実施に合致する実施例を示し、且つ明細書とともに本発明の実施例の原理を解釈するために用いられる。自明なことに、以下の記述における図面は、ただ本発明の実施のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】フィラメントマットレスの典型的な構造概略図である。
図2】遷移領域を含むフィラメントマットレス及び折り畳み概略図Aである。
図3】遷移領域を含むフィラメントマットレス及び折り畳み概略図Bである。
図4】実施例1の製造機器の構造概略図である。
図5】実施例1の製造機器の局所構造概略図である。
図6】実施例1の製造機器の糸出しアセンブリ1の断面概略図である。
図7】実施例1の製造機器の糸噴出領域概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の目的、技術案と有益な効果をより明瞭にするために、以下では、図面と具体的な実施の形態を結び付けながら、本発明をさらに詳細に説明する。前記実施例の例は、図面において示される。理解すべきこととして、下記本発明の実施の形態に記述された具体的な実施例は、本発明の具体的な実施の形態の例示的な説明に過ぎず、本発明を解釈するためのものであり、本発明に対する制限ではない。
【0039】
本明細書で言及された範囲の端点と任意の値は、いずれもこの精確な範囲又は値に限らず、これらの範囲又は値は、これらの範囲に接近することを含むと理解すべきである。
【0040】
実施例1
一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスについて、製造機器は、図4に示すように、合流弁2、乾燥器3、搬送スクリュー4、糸噴出金型5、割り当て板6、糸噴出板7、シャワー板8、貯水タンク9、搬送ローラ10、牽引ローラ11、案内ローラ12(ここで、13は、貯水タンク水面である)を含む。前記乾燥器3は、第一の乾燥器31と第二の乾燥器32に分けられ、搬送スクリュー4は、第一の搬送スクリュー41と第二の搬送スクリュー42に分けられ、合流弁2は、第一の分流チャンネル21と第二の分流チャンネル22に分けられ、糸噴出金型5は、第一の糸噴出チャンネル51と第二の糸噴出チャンネル52に分けられ、割り当て板6は、第一の割り当て領域61と第二の割り当て領域62に分けられ、糸噴出板7は、第一の糸噴出領域71と第二の糸噴出領域72に分けられ、ここで、合流弁2、糸噴出金型5、割り当て板6、糸噴出板7は、図5~7に示されるように、糸噴出アセンブリ1と総称される。
【0041】
ここで、前記合流弁2は、前記糸噴出金型5と緊密に貼り付き、前記糸噴出金型5の下側は、前記割り当て板6の上側と緊密に貼り付き、前記割り当て板6の下側は、前記糸噴出板7の上側と緊密に貼り付き、前記合流弁2に上下層が採用した熱可塑性エラストマー原料が経由した第一の搬送スクリュー41と第二の搬送スクリュー42にそれぞれ対応する2つの第一の分流チャンネル21と第二の分流チャンネル22が設けられ、前記糸噴出金型5は、上金型、中金型、下金型から構成され、糸噴出金型を2つの独立した第一の糸噴出チャンネル51と第二の糸噴出チャンネル52に分割し、第一の糸噴出チャンネル51と第二の糸噴出チャンネル52は、それぞれ対応する第一の分流チャンネル21と第二の分流チャンネル22とそれぞれ連通する。割り当て板6上に前記第一の糸噴出チャンネル51と第二の糸噴出チャンネル52に対応する2つの第一の割り当て領域61と第二の割り当て領域62があり、前記割り当て板6上に、その下側糸噴出板と連通する若干の割り当て穴がさらに設けられ、前記糸噴出板7は、2つの第一の糸噴出領域71と第二の糸噴出領域72から構成され、いずれか一つの前記糸噴出領域71、72上に若干の糸噴出穴があり、前記糸噴出穴の状態は、中実又は中空のうちの一つであり、ここで、中空の直径は、明らかに中実の直径よりも大きい。本実施例1では、糸噴出領域71は、中実穴であり、糸噴出領域72は、中空穴である。
【0042】
採用された上記機器製造方法は、以下のとおりである。それぞれ上層TPEE原料と下層PE原料をそれぞれ乾燥器3によって乾燥させ、スクリュー4に送り込み、溶融した後に合流弁2に送り届け、そして糸噴出金型5を介して、割り当て板6を経、さらに糸噴出板7を介して噴出して上層TPEEフィラメント糸状物と下層PEフィラメント糸状物を得る。
【0043】
ここで、前記割り当て板6の穴径は、4mmであり、糸噴出金型と嵌合して左右の2つの独立した原料層割り当て領域を形成し、割り当て板における割り当て穴の数は、106個/列であり、隣接する二列の間は、交差して設置され、左右割り当て領域にそれぞれ8列がある。
【0044】
上層TPEEフィラメント糸状物と下層PEフィラメント糸状物は、自然に水中に落ち、糸状物の速度は、遅くなって隣接する糸状物が輪で接触することを引き起こし、搬送ローラによって糸輪層を20℃の冷却貯水タンクに入るように搬送して迅速に冷却して硬化し、図6に示すように、上層TPEEフィラメント糸状物の下層PEフィラメント糸状物と隣接する少量の糸状物は、互いに巻き付いて輪として粘着され、上層と下層の結合強度を向上させる。
【0045】
冷却後の糸輪は、案内ローラによって水面から引き出され、水面から引き出された時に上層フィラメントと下層フィラメントは、隣接し且つ上下位置に位置するように維持し、牽引ローラによる牽引を経、独立した制御システムは、設定された条件に従ってスクリュー押し出し速度、搬送ローラの速度及び牽引ローラの速度を制御し、順に連続的に形成されたマットレスの上層と下層の各区画は、順に形成された第一の頭背領域と第二の頭背領域、第一の腰尻領域と第二の腰尻領域、及び第一の足領域と第二の足領域を含む。
【0046】
ここで、前記糸噴出板7における糸噴出領域71、72のパラメータは、それぞれ上層糸噴出領域により噴出されたのが中実糸であり、穴径が1mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのがいずれも中実糸であり、穴径が1.5mmであることであり、実施例1で得られたマットレス構造及びパラメータは、以下の表に示すとおりである。
【0047】
表1
【0048】
実施例2
実施例1との相違点は、以下のとおりである。上層と下層の原料は、いずれもPEであり、前記糸噴出板7における糸噴出領域71、72のパラメータは、それぞれ上層糸噴出領域により噴出されたのが中実糸であり、穴径が0.8mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのがいずれも中実糸であり、穴径が1mmであることであり、実施例2で得られたマットレス構造及びパラメータは、以下の表に示すとおりである。
【0049】
表2
【0050】
実施例3
実施例1との相違点は、第一の頭背領域と第二の頭背領域、第一の遷移領域と第三の遷移領域、第一の腰尻領域と第二の腰尻領域、第二の遷移領域と第四の遷移領域、及び第一の足領域と第二の足領域を順に形成することである。構造概略図は、図2に示すように、得られたマットレス構造及びパラメータは、以下の表に示すとおりである。
【0051】
表3
【0052】
実施例4
実施例2との相違点は、以下のとおりである。前記糸噴出板7における糸噴出領域71、72のパラメータは、それぞれ上層糸噴出領域により噴出されたのが中実糸であり、穴径が1mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのが中空糸であり、外輪穴径が3mmであり、内輪穴径が2.5mmであることであり、実施例4で得られたマットレス構造及びパラメータは、以下の表に示される。
【0053】
表4
【0054】
最後に説明すべきこととして、以上の実施例は、本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、本発明の概要に対する制限を構成しない。本発明の技術的構想の範囲において、本発明の技術案に対して様々な簡単な変形を行うことができ、各技術的特徴を任意の他の適切な方式によって組み合わせることを含み、これらの簡単な変形と組み合わせは、同様に本発明に開示された内容とされるべきであり、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0055】
1糸出しアセンブリ、2合流弁、3乾燥器、4搬送スクリュー、5糸噴出金型、6割り当て板、7糸噴出板、8シャワー板、9貯水タンク、10搬送ローラ、11牽引ローラ、12案内ローラ、13貯水タンク水面、21第一の分流チャンネル、22第二の分流チャンネル、31第一の乾燥器、32第二の乾燥器、41第一の搬送スクリュー、42第二の搬送スクリュー、51第一の糸噴出チャンネル、52第二の糸噴出チャンネル、61第一の割り当て領域、61第二の割り当て領域、71第一の糸噴出領域、72第二の糸噴出領域、1001第一の頭背領域、1002第一の腰尻領域、1003第一の足領域、1004第二の頭背領域、1005第二の腰尻領域、1006第二の足領域、1007第一の遷移領域、1008第二の遷移領域、1009第三の遷移領域、1010第四の遷移領域。

【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスの製造方法であって、
前記マットレスは、硬さが異なる上層と下層とを含み、前記上層と下層は、異なる区画を含み、
各区画は、異なる密度と長さを有し、前記上層と下層は、連続的な生産によって一体成形され、
前記一体成形は、上層と下層とのフィラメントを同時に連続的に製造し、区画に従ってフィラメントの製造速度と製造時間を設定することで、異なる上層と下層の異なる区画を形成し、一体成形されたマットレスを得ることである、ことを特徴とする一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスの製造方法。
【請求項2】
前記上層と下層は、それぞれ2~6つの耐荷重区画を含み、
前記マットレスは、遷移領域をさらに含み、前記遷移領域は、一部又はすべての耐荷重区画の間に位置し、前記遷移領域の密度は、耐荷重区画の密度よりも遥かに小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記上層の硬さは、下層よりも小さく、前記上層の厚さは、下層の厚さよりも小さく、
前記上層と下層フィラメントの材質は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、エチレン類ポリマー(例えばポリエチレンPE)、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー(POE)から選択される一つ又は複数である、ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
独立した制御システムを採用してそれぞれ上層と下層のフィラメントの製造を制御し、区画設定に従って上層と下層の各区画を形成する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記製造方法は、
(1)上層と下層の原料をそれぞれの溶融チャンネルにそれぞれ送り込んだ後に糸出しアセンブリに入れることと、
(2)糸出しアセンブリにおける隣接する糸噴出領域によって上層フィラメント糸状物と下層フィラメント糸状物を連続的に噴出することと、
(3)上層フィラメント糸状物と下層フィラメント糸状物が隣接し且つ水中に垂直に入り、水中で搬送、冷却、硬化を経て上層フィラメントと下層フィラメントを形成し、案内を経て水面から引き出し、水面から引き出した時に上層フィラメントと下層フィラメントが隣接し且つ上下位置に位置するように維持することと、
(4)牽引を経、フィラメントが順に連続的に区画に従ってマットレスの上層と下層の各区画を設定して形成し、一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスを得ることとをさらに含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)において、前記隣接する糸噴出領域は、上層糸噴出領域と下層糸噴出領域とを含み、前記上層糸噴出領域により噴出された糸径は、下層糸噴出領域により噴出された糸径よりも小さく、
上層糸噴出領域と下層糸噴出領域により噴出されたのは、いずれも中実糸であり、糸径は、それぞれ0.8~1.5mmと1.0~2.5mmであり、
又は上層糸噴出領域により噴出されたのは、中実糸であり、糸径は、0.8~1.5mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのは、中空糸であり、外輪糸径は、2.8~3.4mmであり、内輪穴径は、2.2~2.8mmであり、
又は上層糸噴出領域と下層糸噴出領域により噴出されたのは、中空糸であり、外輪糸径は、2.8~3.4mmであり、内輪穴径は、2.2~2.8mmである、ことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップ(1)において、前記溶融チャンネルは、スクリュー押し出しチャンネルであり、ステップ(3)において、前記搬送は、搬送ローラによる搬送であり、ステップ(4)において、前記牽引は、牽引ローラによる牽引である、ことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(4)において、前記区画設定は、区画におけるフィラメントの密度と区画製造時間とを含み、前記フィラメントの密度は、スクリュー押し出し速度、搬送速度と牽引速度に対応し、前記区画製造時間は、特定の設定速度のスクリュー押し出し運行時間、搬送運行時間と牽引運行時間に対応する、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(4)において、前記スクリュー押し出し速度、搬送速度と牽引速度の決定方法は、予想の上層と下層の各区画のフィラメントの密度に従い、上層と下層の対応するスクリュー押し出しの速度を設定し、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度をマットレスの密度分布の差異に応じて調整し、密度を大きくする必要がある場合、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度を低減させ、密度を小さくする必要がある場合、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度を大きくすることである、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記区画製造時間は、区画の長さと搬送ローラとの比であり、前記の牽引ローラの速度は、搬送ローラの速度の80~90%である、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスの製造方法であって、
前記マットレスは、硬さが異なる上層と下層とを含み、前記上層と下層は、異なる区画を含み、
各区画は、異なる密度と長さを有し、前記上層と下層は、連続的な生産によって一体成形され、
前記一体成形は、上層と下層とのフィラメントを同時に連続的に製造し、区画に従ってフィラメントの製造速度と製造時間を設定することで、異なる上層と下層の異なる区画を形成し、一体成形されたマットレスを得ることであり、
前記上層の厚さは、2~3cmであり、前記下層の厚さは、4~5cmであり、
前記上層のフィラメントは、中実で糸経が0.7~0,8mm、前記下層のフィラメントは、中空で糸経が1.3~1.8mmで、
前記上層と前記下層は、それぞれ頭背領域、腰尻領域及び足領域という3つの耐荷重領域を含み、
前記上層における頭背領域、腰尻領域及び足領域の密度は、それぞれ55~70kg/m 、65~80kg/m 及び60~70kg/m であり、
前記下層における頭背領域、腰尻領域及び足領域の密度は、それぞれ40~50kg/m 、45~60kg/m 及び40~50kg/m である、ことを特徴とする一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスの製造方法。
【請求項2】
前記マットレスの長さは2mであり、頭背領域が64cm、腰尻領域が60cm、足領域が76cmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記上層と前記下層のフィラメントの材質は、熱可塑性ポリエステルエラストマーポリエチレン及びポリオレフィン熱可塑性エラストマーから選択される一つ又は複数である、ことを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項4】
独立した制御システムを採用してそれぞれ上層と下層のフィラメントの製造を制御し、区画設定に従って上層と下層の各区画を形成する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記製造方法は、
(1)上層と下層の原料をそれぞれの溶融チャンネルにそれぞれ送り込んだ後に糸出しアセンブリに入れることと、
(2)糸出しアセンブリにおける隣接する糸噴出領域によって上層フィラメント糸状物と下層フィラメント糸状物を連続的に噴出することと、
(3)上層フィラメント糸状物と下層フィラメント糸状物が隣接し且つ水中に垂直に入り、水中で搬送、冷却、硬化を経て上層フィラメントと下層フィラメントを形成し、案内を経て水面から引き出し、水面から引き出した時に上層フィラメントと下層フィラメントが隣接し且つ上下位置に位置するように維持することと、
(4)牽引を経、フィラメントが順に連続的に区画に従ってマットレスの上層と下層の各区画を設定して形成し、一体成形された区画両面体感フィラメントマットレスを得ることとをさらに含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)において、前記隣接する糸噴出領域は、上層糸噴出領域と下層糸噴出領域とを含み、前記上層糸噴出領域により噴出された糸径は、下層糸噴出領域により噴出された糸径よりも小さく、
上層糸噴出領域と下層糸噴出領域により噴出されたのは、いずれも中実糸であり、糸径は、それぞれ0.8~1.5mmと1.0~2.5mmであり、
又は上層糸噴出領域により噴出されたのは、中実糸であり、糸径は、0.8~1.5mmであり、下層糸噴出領域により噴出されたのは、中空糸であり、外輪糸径は、2.8~3.4mmであり、内輪穴径は、2.2~2.8mmであり、
又は上層糸噴出領域と下層糸噴出領域により噴出されたのは、中空糸であり、外輪糸径は、2.8~3.4mmであり、内輪穴径は、2.2~2.8mmである、ことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップ(1)において、前記溶融チャンネルは、スクリュー押し出しチャンネルであり、ステップ(3)において、前記搬送は、搬送ローラによる搬送であり、ステップ(4)において、前記牽引は、牽引ローラによる牽引である、ことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(4)において、前記区画設定は、区画におけるフィラメントの密度と区画製造時間とを含み、前記フィラメントの密度は、スクリュー押し出し速度、搬送速度と牽引速度に対応し、前記区画製造時間は、特定の設定速度のスクリュー押し出し運行時間、搬送運行時間と牽引運行時間に対応する、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(4)において、前記スクリュー押し出し速度、搬送速度と牽引速度の決定方法は、予想の上層と下層の各区画のフィラメントの密度に従い、上層と下層の対応するスクリュー押し出しの速度を設定し、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度をマットレスの密度分布の差異に応じて調整し、密度を大きくする必要がある場合、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度を低減させ、密度を小さくする必要がある場合、搬送ローラの速度と牽引ローラの速度を大きくすることである、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記区画製造時間は、区画の長さと搬送ローラとの比であり、前記の牽引ローラの速度は、搬送ローラの速度の80~90%である、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。