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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028002
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】動力出力フライホイール装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/02 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
H02K7/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024131637
(22)【出願日】2024-08-07
(31)【優先権主張番号】112130950
(32)【優先日】2023-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524298745
【氏名又は名称】▲立▼東車體企業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003856
【氏名又は名称】弁理士法人テックロー国際知財事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】蔡 宗▲驛▼
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607CC03
5H607CC05
5H607DD03
5H607DD07
5H607EE05
5H607EE42
5H607FF06
5H607FF36
5H607GG00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】動力出力ユニットを起動する時の消費電力を減らすことができる動力出力フライホイール装置を提供する。
【解決手段】電力入力源が接続される給電制御モジュール10と、給電制御モジュールにより制御されると共に給電される電動モーター20と、一方向伝達アセンブリ30と、フライホイール40と、動力出力ユニット50とを含み、電動モーターと、一方向伝達アセンブリのモーター接続軸及び一方向軸受32と、フライホイールと、動力出力ユニットとが順に接続され、これにより、動力出力ユニットは電動モーターに連動される。電動モーターは、一方向伝達アセンブリを介してフライホイールを連動させて回転させることにより、フライホイールで慣性モーメントを生じさせてエネルギーを蓄積する。動力出力ユニットを起動する場合は、そのフライホイールで予め蓄積されたエネルギーにより、必要な起動電流を減らす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力入力源が接続される給電制御モジュールと、
前記給電制御モジュールに電気接続され、前記給電制御モジュールにより制御されると共に給電される電動モーターと、
前記電動モーターに接続されるモーター接続軸と、前記モーター接続軸に設けられる一方向軸受とを含む一方向伝達アセンブリと、
両側に前記一方向軸受に接続される取り付け部と慣性出力部とがそれぞれ形成されるフライホイールであって、前記電動モーターに対して軸方向の周りに回転すると共に、前記一方向伝達アセンブリを介して前記電動モーターに連動するフライホイールと、
前記フライホイールの慣性出力部に接続されると共に、前記フライホイールに連動する動力出力ユニットとを含むことを特徴とする、
動力出力フライホイール装置。
【請求項2】
前記フライホイールの取り付け部に、前記一方向軸受が収容される収容溝が形成され、
前記一方向軸受が、相対的に回転する内環と外環を有し、
前記モーター接続軸が、前記一方向軸受の内環に接続され、
前記一方向軸受の外環が、前記フライホイールに接続され、
駆動方向に沿って回転する前記モーター接続軸が、前記一方向軸受を介して前記フライホイールを連動回転させることを特徴とする、請求項1に記載の動力出力フライホイール装置。
【請求項3】
前記電動モーターに設けられるカバーを含み、
前記一方向伝達アセンブリ及び前記フライホイールが前記カバーの中に位置し、
前記動力出力ユニットが、前記カバーの前記電動モーターから遠い側に設けられると共に、前記カバー内に伸びて前記フライホイールに接続されることを特徴とする、請求項1に記載の動力出力フライホイール装置。
【請求項4】
前記電動モーターに設けられるカバーを含み、
前記一方向伝達アセンブリ及び前記フライホイールが前記カバーの中に位置し、
前記動力出力ユニットが、前記カバーの前記電動モーターから遠い側に設けられると共に、前記カバー内に伸びて前記フライホイールに接続されることを特徴とする、請求項2に記載の動力出力フライホイール装置。
【請求項5】
前記動力出力ユニットが液圧ポンプであることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の動力出力フライホイール装置。
【請求項6】
前記給電制御モジュールが前記電動モーターに設けられることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の動力出力フライホイール装置。
【請求項7】
前記給電制御モジュールが前記電動モーターに設けられることを特徴とする、請求項5に記載の動力出力フライホイール装置。
【請求項8】
前記電力入力源が太陽エネルギー発電モジュールであることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の動力出力フライホイール装置。
【請求項9】
前記電動モーターに設けられると共に、前記給電制御モジュールに電気接続され、前記給電制御モジュールにより制御されて前記電動モーターを冷却する電動冷却モジュールを含むことを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の動力出力フライホイール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力出力フライホイール装置に関し、特に、フライホイールの回転による慣性モーメントで、フライホイールが接続される動力出力ユニットを起動するための初期駆動力を減らすことにより、エネルギー消費を節約する動力出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一部の動力出力装置は、動力出力ユニットと電動モーターとを含み、該動力出力ユニットは、例えば、液圧ポンプ又は真空ポンプ等であり、動力受軸を介して該電動モーターに接続し、電動モーターが電力で動力受軸を回転させることにより、動力出力ユニットを起動して動力を出力する。
【0003】
しかしながら、電動モーターで動力出力ユニットの動力受軸を起動させるときは、該動力受軸が静止状態から電動モーターにより回転駆動されることから、動力受軸に必要な回転力を得るために、動力受軸の静止摩擦を超える必要があるので、電動モーターの駆動に多くの電力を消費しなければ動力受軸を回転させることができない。従って、従来の動力出力装置は、動力出力ユニットを起動する時、多くの電力を消費する必要があることから、環境に優しくないので、改善する余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来の動力出力装置における、動力出力ユニットを起動する時に、多くの電力エネルギーを消費する必要があることから、環境に優しくないとの問題を解決する動力出力フライホイール装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明が採用する技術手段は、以下の動力出力フライホイール装置を案出した。即ち、
電力入力源が接続される給電制御モジュールと、
前記給電制御モジュールに電気接続され、前記給電制御モジュールにより制御されると共に給電される電動モーターと、
前記電動モーターに接続されるモーター接続軸と、前記モーター接続軸に設けられる一方向軸受とを含む一方向伝達アセンブリと、
両側に前記一方向軸受に接続される取り付け部と慣性出力部とがそれぞれ形成されるフライホイールであって、前記電動モーターに対して軸方向の周りに回転すると共に、前記一方向伝達アセンブリを介して前記電動モーターに連動するフライホイールと、
前記フライホイールの慣性出力部に接続されると共に、前記フライホイールに連動する動力出力ユニットとを含む、動力出力フライホイール装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の動力出力フライホイール装置においては、一方向伝達アセンブリ及びフライホイールが、電動モーターと動力出力ユニットとの間に接続されていることにより、動力出力ユニットを起動する時、消費電力を減らすことができる。具体的に述べると、電動モーターは、給電制御モジュールにより制御されると共に給電され、一方向伝達アセンブリを介してフライホイールを連動させて回転させることにより、フライホイールで慣性モーメントを生じさせてエネルギーを蓄積する。動力出力ユニットを起動する場合は、そのフライホイールで予め蓄積されたエネルギーにより、電動モーターは、少ない電力により、フライホイールを介して動力出力ユニットを連動させて回転させることができる。更に、動力出力ユニットを起動する時の消費電力を減らすことができるので、環境に優しいとの効果を発揮できる。
【0007】
また、電動モーターの回転速度が低下して、モーター接続軸の回転速度がフライホイールの回転速度より小さくなると、モーター接続軸による、一方向軸受を介してフライホイールへの連動がストップすることから、フライホイールの回転及びエネルギーの蓄積に影響が与えることはなく、且つ、該フライホイールは、依然として、動力出力ユニットにより供給されるエネルギーを蓄積することができるので、動力出力ユニットの作動に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の動力出力フライホイール装置の好適な実施例の斜視模式図である。
図2】本発明の動力出力フライホイール装置の部分分解模式図である。
図3】本発明の動力出力フライホイール装置の動力出力ユニット、フライホイール及び一方向軸受の分解模式図である。
図4】本発明の動力出力フライホイール装置のフライホイール及び一方向軸受の分解模式図である。
図5】本発明の動力出力フライホイール装置の側面部分断面模式図である。
図6】本発明の動力出力フライホイール装置の側面部分拡大断面模式図である。
図7】本発明の動力出力フライホイール装置の正面部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び図2に示すように、本発明の動力出力フライホイール装置の好適な実施例は、電力入力源に接続される給電制御モジュール10と、電動モーター20と、一方向伝達アセンブリ30と、フライホイール40と、動力出力ユニット50を含む。
【0010】
図1及び図5に示すように、電動モーター20は、給電制御モジュール10に電気接続され、給電制御モジュール10により制御されると共に給電される。
【0011】
図2図3図5及び図6に示すように、一方向伝達アセンブリ30は、電動モーター20に接続されるモーター接続軸31と、モーター接続軸31に設けられる一方向軸受32を含む。
【0012】
図2図6に示すように、フライホイール40は、円盤型を呈し、両側に一方向軸受32に接続される取り付け部41と慣性出力部42とがそれぞれ形成され、電動モーター20に対して軸方向の周りに回転すると共に、一方向伝達アセンブリ30を介して電動モーター20に連動するフライホイール40である。
【0013】
図2図3図5及び図6に示すように、動力出力ユニット50は、フライホイール40の慣性出力部42に接続されると共に、フライホイール40に連動する。
【0014】
本発明の動力出力フライホイール装置において、一方向伝達アセンブリ30及びフライホイール40は、電動モーター20と動力出力ユニット50との間に接続されているので、動力出力ユニット50が起動する時、消費電力を減らすことができる。具体的に説明すると、電動モーター20は、給電制御モジュール10により制御されると共に給電され、一方向伝達アセンブリ30を介してフライホイール40を連動させて回転させることにより、フライホイール40で慣性モーメントを生じさせてエネルギーを蓄積する。つまり、静止摩擦が動摩擦より大きいと、未回転の状態から動力出力ユニット50を起動するために大きな初期駆動力が必要となるが、本願の発明は、フライホイール40が回転し続けていることから、フライホイール40の慣性モーメントにより該初期駆動力を減らすことができるので、起動電流も減らすこともできる。これにより、動力出力ユニット50を起動する時、フライホイール40で予め蓄積されたエネルギーにより、電動モーター20は少ない電力で、フライホイール40を介して動力出力ユニット50を連動させて回転させることができることから、動力出力ユニットを起動する時の消費電力を効果的に減らすことができるので、環境にも優しい。
【0015】
また、本構成によれば、フライホイール40で慣性モーメントを生じさせてエネルギーを蓄積することができることから、動力出力ユニット50が作動し続けている過程において、電動モーター20が動力出力ユニット50を連動させるために必要な連続的な動力の出力を節約できるので、持続的な節電効果を発揮できると共に、フライホイール40の慣性モーメントにより、電動モーター20のトルク出力を調整することができる。
【0016】
図4図7に示すように、フライホイール40の取り付け部41には、一方向軸受32が収容される収容溝43が形成されており、該一方向軸受32は、相対的に回転する内環321と外環322とを有し、前記モーター接続軸31は該一方向軸受32の内環321に接続され、該一方向軸受32の外環322はフライホイール40に接続されることにより、駆動方向Dに沿って回転するモーター接続軸31が、該一方向軸受32を介してフライホイール40を連動させて回転させる。一方、前記電動モーター20の回転速度が低下して、前記モーター接続軸31の回転速度がフライホイール40の回転速度より小さくなると、該モーター接続軸31がフライホイール40に対して駆動方向Dと逆の方向に回転するので、前記一方向軸受32を介してフライホイール40を連動させることができなくなる。これにより、フライホイール40の回転及びエネルギーの蓄積は影響を受けることなく、フライホイール40は依然として、動力出力ユニット50により供給されるエネルギーを蓄積することができるので、動力出力ユニット50の作動に役に立つ。なお、図に示す一方向軸受32は単に、作動の方法を説明するためのものであり、一方向軸受32は該図に示めす形態に限定されるものではなく、他の形態の一方向軸受を使用することもできる。
【0017】
図1図3に示すように、動力出力フライホイール装置は、電動モーター20に設けられるカバー60を含み、一方向伝達アセンブリ30及びフライホイール40は、該カバー60の中に位置し、動力出力ユニット50は、該カバー60の電動モーター20から遠い側に設けられると共に、該カバー60内に伸びてフライホイール40に接続される。この構成によれば、前記カバー60により一方向伝達アセンブリ30及びフライホイール40が保護されるので、異物による動力出力フライホイール装置の動作の妨げを防止できる。
【0018】
なお、給電制御モジュール10は電動モーター20に設けられることが好ましく、これにより、動力出力フライホイール装置の小型化を図ることができる。
【0019】
電力入力源は、太陽エネルギー発電モジュールであることが好ましく、これにより、給電制御モジュール10は、太陽エネルギー発電により給電されるので、動力出力フライホイール装置の使用は、環境により優しいと言える。また、太陽エネルギー発電による電力は直流であることから、交流を直流に変換して給電制御モジュール10に供給するためのコンバータを別途設置する必要がないので、コストのみではなく、設置スペースも節約することができる。
【0020】
図1及び図5に示すように、動力出力フライホイール装置は、電動モーター20に設けられると共に、給電制御モジュール10に電気接続され、給電制御モジュール10により制御されて電動モーター20を冷却する電動冷却モジュール70を含み、これにより、電動モーター20の熱損耗を減らすことができる。
【0021】
更に、従来のごみ収集車の油圧ポンプはモーターにより駆動されるが、モーターをゴミリサイクル車のバッテリパックに接続して油圧ポンプを連動する場合、油圧ポンプを起動するための起動電流が大きいので、消費電力が大きくなると共に、大きなバッテリパックを接続するための大きいスペースも必要となり、かつ油圧ポンプを起動するためのトルクも大きいので、モーター自体のサイズが大きく、かなりの重量がある。又、モーターを伝動軸及び動力分配装置を介してごみ収集車のエンジン変速機に接続し、エンジンのアイドル運転時に生じるエネルギーでモーターを駆動してポンプを作動させる場合、モーター、伝動軸、動力分配装置からなる全体的な構造の重量が重く、構造が複雑であることから、エネルギー伝達時のロスが大きく、かつ広いスペースが必要となるので、車両全体における必要スペースが大きくなってしまう。一方、本発明の動力出力フライホイール装置をごみ収集車に応用する場合、ごみ収集車の油圧ポンプは動力出力ユニット50に相当し、給電制御モジュール10はバッテリに電気接続されて給電されることから、動力出力フライホイール装置の電動モーター20は、少ない電力を消費するだけで、フライホイール40を介して油圧ポンプを作動させることができると共に、本発明の全体的な重量は軽く、占用スペースが小さいので、車両全体の小型化を図ることができる。
【0022】
又、動力出力フライホイール装置は位置が固定されているごみ圧縮箱にも応用することができる。この構成によれば、動力出力ユニット50は油圧ポンプで、ごみを圧縮するものであり、位置が固定されているごみ圧縮箱は、太陽エネルギー発電モジュールの設置に適していることから、ごみ収集がより環境に優しいものとなる。
【0023】
動力出力ユニット50は、液圧ポンプであることが好ましいが、動力出力ユニット50は、真空ポンプ、水ポンプ、または大型発電機等であってもよく、ユーザのニーズに応じて動力出力ユニット50のタイプを選択することができる。例えば、本発明をごみ収集車やエレベータに応用する場合は、動力出力ユニット50として油圧ポンプを選択してもよく、本発明を水肥料車や泥吸引車、養殖車に応用する場合は、動力出力ユニット50として真空ポンプを選択してもよく、本発明をスプリンクラー、給水車、水産養殖に応用する場合は、動力出力ユニット50として水ポンプを選択してもよく、本発明を非常用エネルギー蓄積車、洞窟用消防車、電力出力平衡装置に応用する場合は、動力出力ユニット50として大型発電機を選択してもよい。
【0024】
上述したように、本発明の動力出力フライホイール装置において、一方向伝達アセンブリ30及びフライホイール40は、電動モーター20と動力出力ユニット50との間に接続されており、該電動モーター20は、一方向伝達アセンブリ30の一方向軸受32を介してフライホイール40を連動させて回転させることにより、フライホイール40で慣性モーメントを生じさせてエネルギーを蓄積する。これにより、動力出力ユニット50を起動する場合、フライホイール40で予め蓄積されたエネルギーにより、起動電流を減らすことができることから、動力出力ユニット50を起動する時の消費電力を減らすことができるので、節電及び環境に非常に優しい。
【符号の説明】
【0025】
10 給電制御モジュール
20 電動モーター
30 一方向伝達アセンブリ
31 モーター接続軸
32 一方向軸受
321 内環
322 外環
40 フライホイール
41 取り付け部
42 慣性出力部
43 収容溝
50 動力出力ユニット
60 カバー
70 電動冷却モジュール
D 駆動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7