(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028045
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】過負荷保護機能を有する触覚ピン
(51)【国際特許分類】
G09B 21/00 20060101AFI20250220BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20250220BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
G09B21/00 C
H01H13/52 Z
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024137458
(22)【出願日】2024-08-16
(31)【優先権主張番号】18/235,158
(32)【優先日】2023-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524309096
【氏名又は名称】フリーダム サイエンティフィック, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Freedom Scientific, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド, トッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン トゥジル, ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】アルヴィーズ, ケイトリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェロルスタイン, エリック
【テーマコード(参考)】
5E555
5G206
【Fターム(参考)】
5E555AA21
5E555BA31
5E555BB31
5E555DA25
5E555FA00
5G206AS12F
5G206AS12J
5G206AS12Z
5G206FS22J
5G206GS05
5G206HW14
5G206HW34
5G206KS02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】点字ディスプレイで使用するための過負荷保護ピン(「OPピン」)を提供する。
【解決手段】点字ディスプレイにおける各OPピンは、関連するアクチュエータピンの上方に配置され、それにより、OPピンを選択的に上方又は下方に駆動させることができる。これにより、OPピンを選択的に位置して、BLVユーザが感知できる点字文字を生成することができる。しかしながら、過剰な力(BLVユーザによって加えられる標準的な感知圧力を超える力として規定される)を受けると、OPピンは、降伏して、点字ディスプレイの上面の下方の位置に引き込まれる。これは、OPピン及び下方にあるアクチュエータ機構の両方を保護するのに役立つ。過剰な力が除去されると、OPピンはその元の高さに回復する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフレッシュ可能な点字ディスプレイで使用するための過負荷保護機能を伴う触覚ピンであって、前記リフレッシュ可能な点字ディスプレイが一連の開口を伴う上面を含み、前記触覚ピンが前記一連の開口のうちの1つの内部に受けられ、前記触覚ピンは、
上側範囲、下側範囲、及びこれらの間の中間範囲であって、前記上側範囲が、丸みを帯びるとともに、ユーザの指先によって知覚されるようになっている、上側範囲、下側範囲、及び中間範囲と、前記触覚ピンの前記下側範囲を受けるためのベースと、前記ベースと関連付けられるアクチュエータ機構であって、前記点字ディスプレイの前記上面に対して前記触覚ピンを上方に選択的に駆動させ、リフレッシュ可能な点字文字を選択的に生成するために一連の触覚ピンを駆動させるための命令を受けるとともに、繊細な構成要素を含む、アクチュエータ機構と、前記触覚ピンの前記中間範囲の周囲に位置されるコイルばねであって、長さ及びばね定数を有し、前記ばねが圧縮されるときに前記触覚ピンの前記上側範囲が前記点字ディスプレイの前記上面の下方に位置されるように前記長さ及び前記ばね定数が選択され、過剰な力が加えられるときに前記繊細な構成要素へのいかなる損傷も防止するように前記長さ及び前記ばね定数が更に選択される、コイルばねと、
を備える、触覚ピン。
【請求項2】
過負荷保護機能を伴う点字ディスプレイであって、
ユーザによって知覚されるようになっている上側範囲と、
前記ディスプレイ内に位置されるとともに、リフレッシュ可能な点字文字を生成するために上下に駆動されるようになっている触覚ピンと、
前記触覚ピンを駆動させるためのアクチュエータ機構と、
を備え、
前記触覚ピンは、ユーザによって知覚されるようになっている上側範囲と、前記アクチュエータ機構に動作可能に接続される下側範囲とを含み、
前記触覚ピンの前記上側範囲と前記下側範囲との間に形成されるビームであって、過剰な力が加えられると座屈するようになっており、前記過剰な力が除去された後に座屈解除されるようになっている、ビームを備え、
前記ビームは、前記触覚ピン及び前記アクチュエータ機構への損傷を防止するように機能する、
点字ディスプレイ。
【請求項3】
前記ビームの長さ及び厚さは、前記過剰な力が加わるときに前記触覚ピンが前記点字ディスプレイの表面の下方に位置されるように選択される、請求項2に記載の点字ディスプレイ。
【請求項4】
前記触覚ピンがプラスチックから一体成形される、請求項2に記載の点字ディスプレイ。
【請求項5】
前記ビームは、前記過剰な力が加えられると中心軸に向かって座屈する、請求項2に記載の点字ディスプレイ。
【請求項6】
前記ビームは、前記過剰な力が加えられると中心軸から離れるように座屈する、請求項2に記載の点字ディスプレイ。
【請求項7】
リフレッシュ可能な点字ディスプレイで使用するためのピンであって、
ユーザによって知覚されるようになっている上側範囲であって、一連のピンが個々の点字文字を生成するために使用される、上側範囲と、
前記個々の点字文字を形成するために必要に応じて前記触覚ピンを選択的に駆動させるアクチュエータ機構であって、ベース内に位置される、アクチュエータ機構と、
過負荷保護手段であって、前記点字ディスプレイに前記過剰な力が加えられるときに前記ピンが前記アクチュエータ機構を損傷させるのを防止する、過負荷保護手段と、
を備えるピン。
【請求項8】
前記過負荷保護手段は、前記ピンと前記ベースとの間に相互接続されるオフセット座屈ばねを備える、請求項7に記載のピン。
【請求項9】
前記過負荷保護手段は、前記ピンと前記ベースとの間に相互接続されるプラスチックばねを備える、請求項7に記載のピン。
【請求項10】
前記過負荷保護手段は、前記ピンの上側範囲と下側範囲との間で延在するプラスチックビームを備える、請求項7に記載のピン。
【請求項11】
前記過負荷保護手段は、前記ピンの下側範囲に形成される圧縮性エラストマーを備える、請求項7に記載のピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点字ディスプレイに使用するための触覚ピンに関する。より詳細には、本開示は、過剰な力が加えられたときにピン及び関連するディスプレイへの損傷を低減するための機能を有する触覚ピンに関する。
【背景技術】
【0002】
点字ディスプレイは、盲目であるか、そうでなければ視力が低い個人(以下、「BLVユーザ」)によって使用される。点字ディスプレイは、リフレッシュ可能な点字文字を生成するために選択的に上昇又は下降させることができる一連のピンを含む。触覚ピン又はドットピンと呼ばれることもあるこれらのピンは、BLVユーザの指先によって感知されるように設計される。触覚ピンは、繊細であり、損傷を受けやすい。触覚ピンのわずかな損傷でさえも、ディスプレイを読むときにBLVユーザによって雑音又はノイズとして知覚され得る。触覚ピンの著しい損傷は、表示されている点字文字をBLVユーザが読むことができないという結果をもたらし得る。残念なことに、多くの触覚ピンの設計形態は、過剰な力を加えると容易に損傷する。この損傷は、点字ディスプレイがユーザによって落とされる場合など、意図的でないことが多い。他の場合では、公然とアクセス可能な点字ディスプレイが破壊される場合など、破壊力は意図的である。
【0003】
破壊は、例えば、点字ディスプレイが公共のキオスクに組み込まれるときに起こり得る。これらのキオスクは、自動販売機、情報キオスク、又は予約端末など、BLVユーザがデータを読み取る又は入力する必要がある場所で見出すことができる。これらのディスプレイの公共性及び既存のピン設計の脆弱な性質は、これらのディスプレイを損傷させて使用できなくする明確なリスクをもたらす。点字又は触覚ディスプレイ要素が損傷され得る多くの態様がある。例えば、ピンに加えられる様々な横方向の力、垂直方向の力、又はせん断力が、下方にあるアクチュエータに伝達されて該アクチュエータを損傷させる可能性がある。下方にあるアクチュエータが損傷されなくても、ピン自体が使用不可能にされ得る。
【0004】
この結果として、幾つかの公共のキオスクは、特定の安全基準を通過しなければならない。ボール衝撃試験として知られる一規格の下で、50mmの500gスチールボールが点字ディスプレイの表面に落下される。この安全規格は、ディスプレイにその機能を保持することを求めず、ディスプレイが衝撃後にBLVユーザに安全上のリスクをもたらさないことのみを求める。したがって、業界では、より高い規格が実際に必要とされており、それにより、点字ディスプレイは、大きな衝撃及び過剰な力に続いてその機能性を再訓練することができる。
【0005】
触覚ピンを保護するための努力はほとんどなされていないが、様々な押しボタン装置を損傷から保護するための努力がなされている。そのような例の1つが、Leeらによる米国特許第6,765,164号明細書に示される。Leeは、過剰な外力の印加時の損傷に耐える押しボタン設計を開示する。ボタンは、過剰な力の印加時に弾性的に圧縮され得る第1及び第2のばねを含む。このようにして、スイッチ構成要素が損傷又は破損から保護される。同様に、Schaadによる米国特許第4,053,726号明細書は、押しボタン電気スイッチを開示する。押しボタンスイッチは、ケーシングの開口内で、押しボタンがケーシングと面一になる位置へとスライド可能である。このようにして、固定接触手段に作用する力は、関連するばねによって生み出される力を超えることができず、それによってボタンへの損傷の可能性を低減する。
【0006】
参照される押しボタンは、ある程度の損傷保護を提供するが、全く異なる用途に使用され、触覚ピン及び点字ディスプレイによって提示される固有の課題には関係しない。参照される押しボタンは、点字ディスプレイに関連する下方にあるアクチュエータ機構を保護するための手段を含まない。本開示の触覚ピンは、これら及び背景技術で知られている他の欠点を克服することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,765,164号明細書
【特許文献2】米国特許第4,053,726号明細書
【発明の概要】
【0008】
したがって、この開示の目的は、様々な過負荷保護機能を伴う触覚ピン形態を提供することである。
【0009】
開示された過負荷保護ピンは、幾つかの重要な利点を与える。例えば、過負荷保護ピンは、下方にあるアクチュエータ機構を損傷させないように過剰な力を分散させることができるようにする。
【0010】
更なる想定し得る利点は、過剰な力が加えられるときに関連する点字ディスプレイの下方に過負荷保護ピンを位置させ、それにより、ピンが損傷又は使用不能にならないようにすることによって達成される。
【0011】
本システムの更に別の想定し得る利点は、公に利用可能なキオスクによって受けられ得る力に耐えることができる点字ディスプレイを提供することである。
【0012】
これら及び他の利点は、過負荷保護ピン(「OPピン」)を点字ディスプレイに組み込むことによって実現される。ディスプレイ内の各OPピンは、関連するアクチュエータピンの上方に配置される。これにより、OPピンを関連するアクチュエータピンによって上方又は下方に選択的に駆動させることができる。したがって、OPピンは、BLVユーザによって触覚的に感知され得る点字文字を生成するように位置され得る。しかしながら、標準的な触覚感知圧力を超える過剰な力がOPピンに加えられると、OPピンは、降伏して、その全体の高さが周囲の点字ディスプレイの上面よりも低くなるように減少する。これは、OPピン並びに下方にあるアクチュエータ機構の両方を保護するのに役立つ。過剰な力が除去されると、OPピンはその元の高さに回復する。過剰な力を受ける際にOPピンを点字ディスプレイの表面の下方に位置させることができる様々な手段がある。これらの手段の例としては、ばね荷重ピン、座屈ばねピン、プラスチックばねピン、及び圧縮性発泡ピンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0013】
本発明の様々な実施形態は、これらの利点のいずれも有さなくてもよく、これらの利点の一部又は全部を有してもよい。本発明の他の技術的利点は、当業者には容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示及びその利点のより完全な理解のために、ここで、添付図面と併せて解釈される、以下の説明を参照する。
【
図1】本開示の過負荷保護機能を使用する触覚ピンを伴う点字キオスクの等角図である。
【
図2A】過負荷保護機能を伴う触覚ピンの第1の実施形態を開示する。
【
図2B】過負荷保護機能を伴う触覚ピンの第1の実施形態を開示する。
【
図3A】過負荷保護機能を伴う触覚ピンの第2の実施形態を開示する。
【
図3B】過負荷保護機能を伴う触覚ピンの第2の実施形態を開示する。
【
図4A】過負荷保護機能を伴う触覚ピンの第3の実施形態を開示する。
【
図4B】過負荷保護機能を伴う触覚ピンの第3の実施形態を開示する。
【
図5A】過負荷保護機能を伴う触覚ピンの第4の実施形態を開示する。
【
図5B】過負荷保護機能を伴う触覚ピンの第4の実施形態を開示する。
【
図6A】過負荷保護機能を伴う触覚ピンの第5の実施形態を開示する。
【
図6B】過負荷保護機能を伴う触覚ピンの第5の実施形態を開示する。
【0015】
同様の参照番号は、図面の幾つかの図の全体にわたって同じ又は同様の要素を指すために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この開示は、点字ディスプレイで用いられ得る様々な過負荷保護ピン(「OPピン」)に関する。OPピンは、過剰な力が加えられる際の損傷を防止する又は最小限に抑えるための特徴を含む。各OPピンは、関連するアクチュエータピンの上方に配置され、それにより、OPピンを選択的に上方又は下方に駆動させることができる。これにより、OPピンは、BLVユーザによって感知され得る点字文字を選択的に生成することができる。しかしながら、過度の力を受けると、OPピンは、降伏して、点字ディスプレイの上面の下方の位置に引き込まれる。これは、OPピン及び下方にあるアクチュエータ機構の両方を保護するのに役立つ。過剰な力が除去されると、OPピンは、その元の高さに戻り、従来の触覚ピンとして再び使用され得る。本開示は、OPピンに過負荷保護を提供するための様々な手段について説明する。本開示の様々な特徴、及びそれらが相互に関連する態様は、以下でより詳細に説明される。
【0017】
図1は、本開示に係る点字キオスク10を示す。図示のディスプレイ10は点字キオスクであるが、本開示は、例えば携帯型ディスプレイ及びタブレットなどの多種多様な点字ディスプレイのいずれかに関連して容易に使用され得る。ディスプレイ10は、スクリーン11と、様々なユーザコントロールを実装するための上面14とを含む。上面14は、点字文字の列を形成する触覚ピンのアレイを伴う中央に位置されるリフレッシュ可能な点字ディスプレイを収容する。個々の点字文字16は、当該技術分野で知られているように、6ドット文字又は8ドット文字から形成され得る。各ピン12の上端面は、点字文字としてBLVユーザによって感知されるべきディスプレイ10の表面14の上方に選択的に位置され得る。個々のピンのそれぞれは、本明細書に開示される実施形態のいずれかに従って構成されたOPピン12となり得る。
【0018】
第1の実施形態
図2A及び
図2Bは、第1の実施形態のOPピン12の詳細断面図である。
図2Aは、その上面20がディスプレイ10の表面14の上方で延在する、非圧縮状態のOPピン12を示す。
図2Bは、上面20が表面14の下方に位置される、圧縮状態のOPピン12を示す。この実施形態のOP12は、ピン12のカラー12aをベース18aに接続するビーム18を含む。ベース18aは、OPピン12を駆動させるアクチュエータ機構26と接触する。そのようなアクチュエータ機構は、当該技術分野で知られており、例えば、圧電ドライバ、磁気ドライバ、又は電磁ドライバを使用することができる。アクチュエータ機構26は、一連の触覚ピンを駆動させるための命令を受信し、それによって点字文字をリフレッシュ可能に生成する。これらの既知のアクチュエータ機構は、OPピン12から伝達される過剰な力によって損傷され得る繊細な電子機器を含む。
【0019】
12、12a、18、18a、及び20から成るOPピン12は、成形プラスチックの単一部品として製造され得る。製造方法にかかわらず、OPピン12のビーム18部分は、過剰な力が加えられるときに座屈するのに十分に薄い。すなわち、ユーザの指によって加えられる力を超える力が印加されると、ビーム18は、中心軸に向かって内側に座屈し、それによってOPピン12の全高を減少させる。ビーム18が反対方向に外側に座屈することも本発明の範囲内である。本明細書で使用される「過剰な力」は、点字ディスプレイを読む際にBLVユーザによって加えられる力、OPピン12の底部18aをアクチュエータ機構26に衝突させてアクチュエータ機構26を損傷させる力、又はそうでなければOPピン12の上面20を損傷させる力を超える任意の力として規定される。
【0020】
圧縮時のOPピン12の高さのこの減少は、ピン12の上面20をディスプレイの表面14の下方に位置させることができるようにする(
図2B)。したがって、ディスプレイ10上のいかなる追加の力も、繊細なOPピン12ではなく、ディスプレイ10の表面14によって受けられる。この構成は、両方のOPピン12並びにアクチュエータ機構26に関連する繊細な構成要素の完全性を保護する。以下に説明する他の実施形態は、過負荷保護を提供するための様々な代替手段について説明する。
【0021】
第2の実施形態
本開示の第2の実施形態は、ディスプレイ10のOPピン12のうちの1つの側面図及び断面図である
図3A及び
図3Bに示される。この実施形態及び後述する他の代替実施形態は、主要実施形態と同じ特徴の多くを共有する。したがって、同じ参照番号は、様々な図の全体にわたって同じ要素を指す。各OPピン12は、ディスプレイ10の表面14の上方に延出されるときにBLVユーザによって感知され得る上面20を含む。各OPピン12は、下端22aを有する中心シャフト22も含む。コイルばね24がシャフト22の周囲に位置される。シャフト22の下端22aは、OPピン12を上方又は下方に選択的に駆動させる際に使用されるアクチュエータ機構26と接触する。アクチュエータ機構26は、ベース28内に収容される。OPピン12及びシャフト22は、アクチュエータ26によってベース28内で上下に往復移動され得る。
【0022】
この第2の実施形態の過負荷保護手段は、中心に位置するシャフト22の周囲でピン12の中間範囲に沿って位置されるコイルばね24によってもたらされる。このコイルばね24は、OPピン12の下側カラー12aとベース28の上面28aとの間で延在する。ばね24は、アクチュエータ26をOPピン12に加えられる過剰な力から分離するように機能する。すなわち、過剰な力が1つ以上のOPピン12に加えられると、ばね24は、OPピン12の移動を遅くして上面20が上面14の下方で延びることができるようにするべく圧縮する。すなわち、ばね24の完全な圧縮の前に、OPピン12の上端部20がディスプレイ10の表面14の下方に移動する。この目的を達成するために、ばね24のサイズ、ばね定数、及び事前圧縮が達成される。このようにして、ばね24は、BLVユーザが触覚的に感知するのに十分な力を与えながら、過剰な力がシャフト22を介して下方にある作動機構26に伝達されるのを防止する。ばね24は、過剰な力の除去に続いて圧縮解除することによってリフォームする。これにより、OPピン12は、上端20がディスプレイ10の表面14の上方にある状態でその初期位置にリセットすることができる。
【0023】
第3の実施形態
OPピン12の第3の実施形態が
図4A-
図4Bに示される。この第3の実施形態では、コイルばね24が座屈ばね34に置き換えられる。更に、中央シャフト22が、上下のオフセットされた取り付けポスト32に置き換えられる。したがって、座屈ばね34は、中心軸からオフセットされて、対向する取り付けポスト32を介してOPピン12に接続される。OPピン12が十分に高い圧縮力を受けると、座屈ばね34はOPピン12の中心軸に向かって座屈する。これにより、次に、OPピン12は、ディスプレイ10の表面14の下方に落下して、下方にある作動機構26への損傷を防止することができる。その後、座屈ばね34は、力の除去に続いてリフォームし、それによってOPピン12が表面14の上方のその初期高さにリセットできるようにする。
【0024】
第4の実施形態
図5A-
図5Bは、本開示の第4の実施形態を示す。この実施形態では、コイルばね24がプラスチックばねピン42に置き換えられる。この実施形態では、中心シャフトが存在しない。むしろ、プラスチックばねピン42は、ばねがその全体にわたって成形された単一のプラスチック部品である。過負荷力を受けると、プラスチックばねピン42はそれ自体上へと下方に圧縮し、それによってOPピン12の上端20がディスプレイ10の上面14の下方で延びる。次いで、プラスチックばねピン42は、力の除去後にリフォームし、プラスチックばねピン42がその初期位置にリセットできるようにする。
【0025】
第5の実施形態
図6A-
図6Bは、多材料OPピン12に関する。ピン12は、硬質の弾性プラスチックによって形成された上側範囲52と、圧縮性エラストマー56から形成された下側範囲54とを含む。図示の実施形態において、下側範囲54は、非圧縮状態で円錐台形の形態をとる(
図6A)。その後、過剰な力が加えられると、発泡体56が圧縮してOPピン12をそれ自体内へと押しつぶし、それによってピンの全高を減少させる。これにより、OPピン12の上面20がディスプレイ表面14の下方の位置に位置決めされる。この場合も、これがOPピン12及びアクチュエータ機構26の両方を保護する。この力が除去された後、エラストマー56は、その元の形状を回復し、OPピン12をその初期位置に戻す。
【0026】
この開示は、特定の実施形態及び一般に関連する方法に関して記載されているが、これらの実施形態及び方法の改変及び置換は、当業者には明らかとなる。したがって、例示的な実施形態の上記の説明は、この開示を規定又は限定するものではない。この開示の思想及び範囲から逸脱することなく、他の変更、置換、及び改変も可能である。
【外国語明細書】