(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028047
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】電子オイルポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 2/10 20060101AFI20250220BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
F04C2/10 321B
H02K7/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024137467
(22)【出願日】2024-08-16
(31)【優先権主張番号】202311034365.1
(32)【優先日】2023-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202311608228.4
(32)【優先日】2023-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524034486
【氏名又は名称】杭州象限科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU QUADRANT TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.55, Xiacheng Road, Tonglu County, Hangzhou, Zhejiang 311500, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王利平
(72)【発明者】
【氏名】張国俊
(72)【発明者】
【氏名】王鋭楠
(72)【発明者】
【氏名】華和照
(72)【発明者】
【氏名】趙毅
(72)【発明者】
【氏名】盧志学
【テーマコード(参考)】
3H041
5H607
【Fターム(参考)】
3H041AA02
3H041BB04
3H041CC20
3H041DD07
3H041DD09
3H041DD10
3H041DD26
3H041DD34
3H041DD38
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC05
5H607CC07
5H607DD03
5H607FF06
5H607GG01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本出願は、ポンプケーシングを備える電子オイルポンプを提供する。
【解決手段】ポンプケーシング1内に設けられる固定シャフト4と、前記固定シャフトに偏心して回動可能に接続される内歯車3と、前記固定シャフトに同軸接続され、前記ポンプケーシング内に回動可能に接続され、前記内歯車の外周に位置しており、前記内歯車に噛み合う外歯車2と、前記外歯車の外周に固定的に接続されるモータロータ8と、前記ロータの外周に位置しており、前記ポンプケーシングに固定的に接続されるモータステータ93と、さらに備え、前記固定シャフトの軸心を通る平面において、前記モータステータ、前記モータロータ、前記外歯車、前記内歯車及び前記固定シャフトの投影領域は、少なくとも部分的に重なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプケーシング(1)を備える電子オイルポンプであって、
前記ポンプケーシング(1)内に設けられる固定シャフト(4)と、
前記固定シャフト(4)に偏心して回動可能に接続される内歯車(3)と、
前記固定シャフト(4)に同軸接続され、前記ポンプケーシング(1)内に回動可能に接続され、前記内歯車(3)の外周に位置しており、前記内歯車(3)に噛み合う外歯車(2)と、
前記外歯車(2)の外周に固定的に接続されるモータロータ(8)と、
前記ロータの外周に位置しており、前記ポンプケーシング(1)に固定的に接続されるモータステータ(93)と、さらに備え、
前記固定シャフト(4)の軸心を通る平面において、前記モータステータ(93)、前記モータロータ、前記外歯車(2)、前記内歯車(3)及び前記固定シャフト(4)の投影領域は、少なくとも部分的に重なる
ことを特徴とする電子オイルポンプ。
【請求項2】
第1軸受(6)を備え、前記外歯車(2)は前記第1軸受(6)を介して前記固定シャフト(4)の一端に回動可能に接続され、前記固定シャフト(4)の他端は前記ポンプケーシング(1)に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子オイルポンプ。
【請求項3】
第2軸受(6)を備え、前記固定シャフト(4)の一端は前記第2軸受(6)を介して前記ポンプケーシング(1)に回動可能に接続され、前記固定シャフト(4)の他端は前記外歯車(2)に同軸接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子オイルポンプ。
【請求項4】
前記固定シャフト(4)と前記内歯車(3)との間に位置している偏心校正ピース(5)をさらに備え、前記偏心校正ピース(5)は、前記固定シャフト(4)の周方向外壁に設けられる半月形スリーブであり、前記半月形スリーブには、前記固定シャフト(4)が嵌め込む円弧溝(51)が設けられ、前記半月形スリーブは、前記内歯車(3)を前記固定シャフト(4)に偏心して回動可能に接続するように設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子オイルポンプ。
【請求項5】
ブッシング(7)をさらに備え、前記内歯車(3)は、前記ブッシング(7)により前記半月形スリーブ及び前記固定シャフト(4)に回動可能に接続される
ことを特徴とする請求項4に記載の電子オイルポンプ。
【請求項6】
前記固定シャフト(4)または前記外歯車(2)には、冷間始動用のセンサが固定的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子オイルポンプ。
【請求項7】
前記外歯車(2)、及び前記内歯車(3)が囲んで複数のハフアンドパフオイルチャンバー(21)が形成され、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)は、体積が外歯車(2)の回動方向に沿ってまず段階的に増大してから段階的に減小し、前記ポンプケーシング(1)には給油孔(11)及び排油孔(12)が設けられ、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)が段階的に増やす場合に、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)の給油口は前記給油孔(11)と対応し、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)が段階的に減小する場合に、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)の排油口は前記排油孔(12)と対応する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子オイルポンプ。
【請求項8】
前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)が段階的に増大する場合に、冷却油は前記給油孔(11)を介して前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)に流入し、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)が段階的に減小する場合に、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)内の冷却油は前記排油孔(12)から押し出される
ことを特徴とする請求項7に記載の電子オイルポンプ。
【請求項9】
モータロータ(8)と回路制御モジュール(9)とをさらに備え、前記回路制御モジュール(9)は、前記ポンプケーシング(1)内に設けられたコントローラ(91)と、ハブ(92)とを備え、前記モータステータ(93)は、前記ハブ(92)に設けられ、前記モータステータ(93)は自体の周方向に複数のステータ巻線(94)が設けられ、前記モータロータ(8)は前記外歯車(2)の周方向外円に外嵌され、前記モータロータ(8)の周方向外壁は前記モータステータ(93)の周方向内壁と対応する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子オイルポンプ。
【請求項10】
ポンプケーシング(1)の外周にはO型シールリングがさらに設けられる
ことを特徴とする請求項9に記載の電子オイルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、新エネルギー自動車電子オイルポンプの技術分野に関し、特に低抵抗、高安定性の電子オイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エレクトロニクスと新エネルギー自動車の急速な発展に伴い、集積式高精度設計された電子オイルポンプは、高効率、省エネ、柔軟な制御などの特徴により適用が広がっている。
【0003】
現在、電子オイルポンプは、主にロータポンプ、モータ、コントローラ等の部材の三部分から構成され、コントローラによってモータの作動を制御し、さらにロータポンプの回転を駆動し、電子オイルポンプの作動を実現する。
【0004】
しかしながら、従来の電子オイルポンプには、構造が複雑、体積が大きく、抵抗が高く、安定性が低い等の欠点があるので、依然として改良余裕がある。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、コンパクトな構造、小型、低抵抗、優れた安定性、高い作業効率という利点を有する電子オイルポンプを提供することを目的とする。
【0006】
本出願は、
前記ポンプケーシング内に設けられる固定シャフトと、
前記固定シャフトに偏心して回動可能に接続される内歯車と、
前記固定シャフトに同軸接続され、前記ポンプケーシング内に回動可能に接続され、前記内歯車の外周に位置しており、前記内歯車に噛み合う外歯車と、
前記外歯車の外周に固定的に接続されるモータロータと、
前記ロータの外周に位置しており、前記ポンプケーシングに固定的に接続されるモータステータと、さらに備え、
前記固定シャフトの軸心を通る平面において、前記モータステータ、前記モータロータ、前記外歯車、前記内歯車及び前記固定シャフトの投影領域は、少なくとも部分的に重なるポンプケーシングを備える電子オイルポンプが提供される。
【0007】
上記技術案を用いることによって、モータロータの内部に外歯車を設け、外歯車をモータロータに集積させ一体に合わせる。このような設計は下記の利点を有する。第一に、電子オイルポンプの高さを低減させ、システムの体積を大幅に小さくし、システム重量を低減させ、システム材料及び生産コストを顕著に低減させる。第二に、オイルポンプの高さが低くなり、加圧された冷却油の経路を短縮し、ロータポンプチャンバーの摩擦を効果的に減少させ、システム効率の向上に有利である。第三に、構造が簡単、累積された取り付け誤差を低減させ、モータロータ、モータステータ及び外歯車の同軸度を向上させ、エアギャップの偏心のリスクを回避する。第四に、構造がより安定になり、ポンプ本体の作動時の振動ノイズを効果的に低減させ、ポンプ本体の性能を向上させ、ポンプ本体の確実性を向上させ、ポンプ本体の作動寿命を延ばす。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1軸受をさらに備え、前記外歯車は前記第1軸受を介して前記固定シャフトの一端に回動可能に接続され、前記固定シャフトの他端は前記ポンプケーシングに接続される。
【0009】
いくつかの実施形態において、第2軸受をさらに備え、前記固定シャフトの一端は前記第2軸受を介して前記ポンプケーシングに回動可能に接続され、前記固定シャフトの他端は前記外歯車に同軸接続される。
【0010】
従来の固定シャフト及びポンプケーシングの取り付けは、ポンプケーシングの底部に段差が設計されることにより実現され、ここで、固定シャフトの固定端は、段差を通ってナットにねじ接続され、ナットが段差の端面に当接され、ナットと段差との当接による摩擦力により、固定シャフトとポンプケーシングとの固定的な接続を実現する。しかしながら、ナット取り付けの締め具合は、ポンプ本体の軸方向端面の隙間に影響する。作動状態で、ポンプケーシング内の温度が向上し、ポンプケーシング、固定シャフト及びナットの材料(例えばポンプケーシングのアルミニウム材料、固定シャフトのステンレス鋼、ナットの鋼材料)の熱膨張係数の相違によって、軸方向端面の隙間が変化し、さらにポンプ本体の性能に影響する。上記技術案を用いることによって、軸受が直接的に固定シャフトに接続され、電子オイルポンプにおけるアスペクト比を小さくする。大径軸受と回転シャフトは大きいアスペクト比を有し、よって電子オイルポンプの構造安定性が低くなり、電子オイルポンプの作動時にモータ及びポンプ歯車は、回転シャフトに対する同心度が低くなる。回転シャフトの底部に小さいサイズの軸受を取り付けることで、多くの利点が実現できる。例えば、ポンプ本体構造システムは、小さいアスペクト比を呈し、ポンプ本体構造がより安定になり、且つモータ、ポンプギア及び回転シャフトの同心度を効果的に向上させることができる。次、歯車ポンプ構造、回転シャフト及びポンプ本体シャーシの組立の難しさを大きく簡略化し、ポンプ本体システム構造の同心度に寄与し、モータステータ及びモータロータのエアギャップ精度の向上に寄与し、モータ作動が常に精密で均一な磁界分布にあり、モータ作動がより安定になり、モータ磁界に対する利用効率がより高くなり、最終的に電子オイルポンプが効率的に稼働することを保証する。次に、大きいサイズの軸受と歯車ポンプの外歯車及びポンプ本体シャーシとの大面積接触界面を低減させ、複数の接触界面による組立偏差累積を低減させ、ポンプ本体構造の回転作動時に生じる摩擦抵抗を低減させ、大きいサイズの軸受の回転時に発生する大きい遠心度を低減させ、温度による異なる材料の熱膨張によるポンプ本体の軸方向及び径方向の端面隙間の影響を小さくし、電子オイルポンプ効率及び安定性を向上させる。
【0011】
いくつかの実施形態において、電子オイルポンプは、前記固定シャフトと前記内歯車との間に位置している偏心校正ピースをさらに備え、前記偏心校正ピースは、前記固定シャフトの周方向外壁に設けられる半月形スリーブであり、前記半月形スリーブには、前記固定シャフトが嵌め込む円弧溝が設けられ、前記半月形スリーブは、前記内歯車を前記固定シャフトに偏心して回動可能に接続するように設けられる。好ましくは、前記半月形スリーブは、前記ポンプケーシングに固定的に接続される。
【0012】
上記技術案を用いることによって、偏心校正ピースは、複数の部品、例えばポンプケーシング、固定シャフト及びモータの加工及び組立による同心度偏差を補償することができ、ポンプケーシング、固定シャフト及びモータの同心度を効果的に確保する。このようにして、外歯車と固定シャフトとが回動可能に接続されると同時に、偏心集合体も内歯車に回動可能に接続され、内歯車と外歯車との同軸及び偏心の効果を実現することができる。同時に、固定シャフトとポンプケーシングとが同心配置されるため、モータロータは固定シャフトを介して固定シャフト、ポンプケーシングとの高い同心度を実現し、加工及び組立によって生じた公差累積による同心精度不足を効果的に補償することができる。固定シャフトの周方向側壁部分が円弧溝内に嵌め込まれ、固定シャフトの周方向側壁と半月形スリーブの周方向外壁とが、内歯車に回動可能に接続される偏心集合体を形成し、内歯車と外歯車との同軸及び偏心の効果を実現し、加工及び組立によって生じた公差累積によるモータ円心及び軸心の偏心度不足を効果的に補償し、ロータポンプの内歯車及び外歯車の遠心度による相互駆動も保持する。
【0013】
いくつかの実施形態において、ブッシングをさらに備え、前記内歯車は、前記ブッシングにより前記半月形スリーブ及び前記固定シャフトに回動可能に接続される。
【0014】
上記技術案を用いることによって、ブッシングは、内歯車と固定シャフト、半月形スリーブとの間の摩擦を低減させ、摩擦抵抗を低減させ、回動効率を向上させることができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記外歯車、及び前記内歯車が囲んで複数のハフアンドパフオイルチャンバーが形成され、前記ハフアンドパフオイルチャンバーは、体積が外歯車の回動方向に沿ってまず段階的に増大してから段階的に減小し、前記ポンプケーシングには給油孔及び排油孔が設けられ、前記ハフアンドパフオイルチャンバーが段階的に増大する場合に、前記ハフアンドパフオイルチャンバーの給油口は前記給油孔と対応し、前記ハフアンドパフオイルチャンバーが段階的に減小する場合に、前記ハフアンドパフオイルチャンバーの排油口は前記排油孔と対応する。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記ハフアンドパフオイルチャンバーが段階的に増大する場合に、冷却油は前記給油孔を介して前記ハフアンドパフオイルチャンバーに流入し、前記ハフアンドパフオイルチャンバーが段階的に減小する場合に、前記ハフアンドパフオイルチャンバー内の冷却油は排油孔から押し出される。
【0017】
上記技術的解決手段を採用することによって、外歯車内円の周方向内壁、外歯車外円の内側端面及び内歯車の周方向外壁は囲んで、閉鎖された複数のハフアンドパフオイルチャンバーが形成される。内歯車と外歯車とが相対的に回動する場合に、ハフアンドパフオイルチャンバーは、段階的に増大するプロセスにおいて給油孔を介して油を吸入し、ハフアンドパフオイルチャンバーにおける油量は体積の増大に伴って増大し、油の吸入中に温度が低い油と内歯車及び外歯車の歯と接触し、油が歯の熱を吸収する。ハフアンドパフオイルチャンバーは、段階的に減小するプロセスにおいて排油孔を介して油を排出し、ハフアンドパフオイルチャンバーにおける油量は体積の減小に伴って減小し、油の吸入中に熱を吸収して高温になった油は排油孔を介してポンプ本体から排出され、よって、内歯車及び外歯車の降温及び潤滑、並びにポンプ本体の降温が実現され、ポンプの作動温度及び効率が保証される。
【0018】
いくつかの実施形態において、回路制御モジュールをさらに備え、前記回路制御モジュールは、前記ポンプケーシング内に設けられたコントローラと、ハブとを備え、前記モータステータは、前記ハブに設けられ、前記モータステータは自体の周方向に複数のステータ巻線が設けられ、前記モータロータは前記外歯車の周方向外円に外嵌され、前記モータロータの周方向外壁は前記モータステータの周方向内壁と対応する。
【0019】
上記技術的解決手段を採用することによって、コントローラは、ハブがモータステータにおける複数のステータ巻線コイルに通電するように制御し、複数のステータ巻線が通電された後、生じた磁界とロータ磁石の永久磁界とは相互に作用して、モータロータが回動するように駆動し、モータロータは歯車ポンプの外ロータに集積され、即ちモータステータとロータ磁石とは相互に作用して、ロータ歯車ポンプの外歯車が回動するように駆動し、さらにロータ歯車ポンプの外歯車は内歯車が回動するように駆動し、内歯車と外歯車との相対的な回動が実現される。
【0020】
いくつかの実施形態において、ポンプケーシングの外周にはO型シールリングが設けられる。
【0021】
前記技術案において、O型シールリングは、水平方向及び軸方向に変形することができ、シール、油漏れの低減、高圧の形成に役立ち、経済的で効率的、組み立てが容易になり、耐用年数が長く、メンテナンスが容易になる。
【0022】
要するに、本出願は下記の少なくとも1つの有益技術効果を実現できる。
【0023】
1、本出願の電子オイルポンプの高さを低減させ、システム体積を小さくし、重量を低減させ、コストを低減させる。構造が簡単、組み立て精度が高く、作動効率が高く、製品の作動寿命を延ばす。
【0024】
2、本出願のいくつかの実施形態における電子オイルポンプが小さいアスペクト比を呈し、ポンプ本体構造がより安定になり、モータ、ポンプ歯車及び回転シャフトの間の同心度を向上させることができる。このような設計は、歯車ポンプ構造、回転シャフト及びポンプ本体シャーシの組立の難しさを大きく低減させ、ポンプ本体システム構造の同心度に寄与し、モータステータ及びモータロータのエアギャップ精度の向上に寄与し、モータ作動が常に精密で均一な磁界分布にあり、モータ作動がより安定で精密になり、モータ磁界に対する利用効率がより高くなり、最終的に電子オイルポンプが効率的に稼働することを保証する。
【0025】
3、第2軸受を用いる場合に、軸受のサイズが小さくなり、よって軸受と歯車ポンプの外歯車及びポンプ本体シャーシとの接触界面面積を低減させ、複数の接触界面による組立偏差累積を低減させ、ポンプ本体構造の回転作動時に生じる摩擦抵抗を低減させ、大きいサイズの軸受の回転時に発生する大きい遠心度を低減させ、電子オイルポンプ効果を向上させ、電子オイルポンプの安定性を向上させる。
【0026】
4、第2軸受を設け、回転シャフトの底部とポンプ本体シャーシとを一体に固定し、シャフト上部が外歯車トップカバーに直接的に接続され、精密のポンプ本体端面隙間及び径方向隙間を確保し、異なる部品の材料温度係数によって温度変化時に生じる熱膨張効果を回避する。同時に、第2軸受を設けることによって、電子ポンプの構造がより安定になり、ポンプ本体の作動時の振動ノイズを効果的に低減させ、ポンプ本体のNVH性能を向上させ、ポンプ本体の確実性を向上させ、ポンプ本体の作動寿命を延ばす。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は本出願の電子オイルポンプの第1実施例の外観構造概略図である。
【
図2】
図2は本出願の電子オイルポンプの第1実施例の斜視断面構造概略図である。
【
図3】
図3は本出願の電子オイルポンプの第1実施例の内部構造概略図である。
【
図4】
図4は本出願の電子オイルポンプの第1実施例のモータステータの構造概略図である。
【
図5】
図5は本出願の電子オイルポンプの第1実施例のケーシングの構造概略図である。
【
図6】
図6は本出願の電子オイルポンプの第2実施例の斜視断面概略図である。
【
図7】
図7は本出願の電子オイルポンプの第2実施例の回路制御モジュール、外歯車及び内歯車の構造概略図である。
【
図8】
図8は本出願の電子オイルポンプの第2実施例のモータステータと内歯車、外歯車の構造嵌合概略図である。
【
図9】
図9は本出願の電子オイルポンプの第2実施例のポンプケーシングの底部の構造概略図である。
【
図10】
図10は本出願の電子オイルポンプの第2実施例の外歯車及び内歯車の構造概略図である。
【
図11】
図11は本出願の電子オイルポンプの第2実施例の偏心校正ピースの構造概略図である。
【
図12】
図12は本出願の電子オイルポンプの第3実施例の斜視断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確化するために、以下、図面を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。一般的に、ここで本明細書に記載及び表示された本発明の実施例のアセンブリは様々な異なる構成で配置され設計されることができる。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な作業を要さずに取得する他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0029】
注意すべきこととして、以下の図面において同様の符号及び文字は同様の項目を表すため、ある図で項目を定義したら、後の図でそれ以上の定義及び説明を必要としない。
【0030】
本発明の説明において、説明すべきこととして、明確な規定及び限定がない限り、「取付」、「繋がる」、「接続」等の用語は広く理解されるべきであり、例えば、固定的に接続されてもよいし、取り外し可能に接続されてもよいし、又は一体に接続されてもよく、機械的に接続されてもよいし、電気的に接続されてもよく、直接的に接続されてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解してもよい。
【0031】
本出願の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」等の技術用語に指示される向き又は位置関係は、添付図面に示すものに基づく向き又は位置関係で、本出願の説明を容易にし、簡略化するためのものに過ぎなく、言及された装置又は素子が特定の向きを有し、特定の向きで構築され操作しなければならないことを指示又は示唆するものではないので、本出願を限定すると理解されることができない。
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳しく説明する。矛盾がない場合、以下の実施例の特徴は相互に組み合わせることができる。
実施例1
【0033】
図1乃至
図5を参照すると、本実施例は、電子オイルポンプを公開する。
図1を参照すると、電子オイルポンプはポンプケーシング1を備える。いくつかの実施形態において、ポンプケーシング1はアルミ素材である。ポンプケーシング1の側壁には排油孔12が設けられ、ポンプケーシング1の底部には給油孔11が設けられ、ポンプケーシング1の底部には、給油孔11に位置しており、且つ給油孔11を覆うフィルター14が設けられる。
【0034】
図2乃至
図4を参照すると、ポンプケーシング1内には、固定シャフト4、モータ、回路制御モジュール9及び歯車セットが取り付けられる。モータは、モータロータ8、モータステータ93及びステータ巻線94を備える。モータステータ93は、ポンプケーシング1内に固定され、モータロータ8はモータステータ93内に設けられ、ステータ巻線94は複数セット設けられ、円形配列でモータステータ93に巻かれ、モータロータ8とモータステータ93との間に位置している。
【0035】
ギアセットは、モータロータ8と集積して固定された外歯車2と、外歯車2内に位置しており外歯車2の内歯に噛み合う内歯車3とを備える。内歯車3と固定シャフト4とは偏心して回動可能に接続され、偏心とは、回動軸心が一致しないという意味である。外歯車2と固定シャフト4とは同軸接続され、ポンプケーシング1内に回動可能に接続される。本発明の外歯車2は、モータロータ8に集積され、一体として圧合される。このような設計は、一方で、システムの体積を大幅に低減させ、システムの重さを低減させ、システム材料及び生産コストを明らかに低減させ、他方で、ロータポンプ空洞摩擦を効果的に低減させ、システム効率の向上に寄与する。
【0036】
ポンプケーシング1には、前記コントローラ91とハブ92を仕切るためのシャーシ15が設けられ、油路と電気制御部分を仕切り、密閉性を向上させ、コントローラ91が適宜な温度で作動することを保証するためのものである。シャーシ15には、冷却油温度を検出してフィードバックするためのPTC温度センサ(図示なし)が取り付けられ、PTC温度センサはコントローラ91に電気的に接続される。いくつかの実施形態において、PTC温度センサは、0.1℃の油温検出精度を実現することができる。
【0037】
外歯車がモータロータに集積され、モータステータ93及びポンプ本体の熱膨張係数が一致するため、温度によるオイルポンプ隙間への影響を大幅に低減させ、ポンプの端面の隙間を正確的に保証し、温度によるシステムの流量効率への影響を効果的に低減、または回避することができる。
【0038】
操作中に、回路制御モジュール9は、複数のステータ巻線94が通電されるように制御し、その後生じる磁界とモータロータ8の磁石の永久磁界とは互いに作用して、モータロータ8が回動するように駆動する。モータロータ8と外歯車2とは固定され、即ちモータステータ93とモータロータ8の磁石とは互いに作用して外歯車2が回動するように駆動し、さらに外歯車2は内歯車3が回動するように駆動し、内歯車3と外歯車2との相対的な回動が実現される。
【0039】
特に、固定シャフト4の軸心を通る平面において、モータステータ93、モータロータ8、外歯車2、内歯車3及び固定シャフト4の投影面積は、少なくとも部分的に重なる。本構造は、電子オイルポンプの軸方向の高さを低くし、構造がコンパクト、体積が小さい。
【0040】
ポンプケーシング1の外周にはシールリングがさらに設けられる。いくつかの実施形態において、シールリングはO型シールリング17であり、素材がゴムである。O型シールリング17は、水平及び軸方向の変形に用いられ、シール、油漏れの低減、高圧の形成に役立ち、経済的で効率的、組み立てが容易になり、耐用年数が長く、メンテナンスが容易になる。
【0041】
いくつかの実施形態において、電子オイルポンプは、外歯車2に固定的に接続される上蓋25をさらに備え、固定シャフト4の一端は軸受6を介してポンプケーシング1に回動可能に接続され、固定シャフト4の他端は上蓋25を介して外歯車2に同軸に固定的に接続される。内歯車3は、ポンプケーシング1により固定シャフト4に偏心して接続され、内歯車3はポンプケーシング1に回動可能に接続される。
【0042】
高出力電子オイルポンプのコールドスタートのために、本実施例は、固定シャフト4の頂端にセンサ26、例えば磁力インダクタがさらに固定的に接続される。他の実施形態において、センサ26は、外歯車2に固定的に接続される上蓋25に固定的に接続されてもよい。
【0043】
回路制御モジュール9は、ポンプケーシング1内に設けられ、モータの上方に位置しているハブ92と、ハブ92の上方に位置しているコントローラ91とを備える。ハブ92の役割としては、ステータ巻線94の入出力線を収集し、糸くずの配布を規則的かつ明確にし、ハブ92に糸くずを溶接することであり、工程が簡単で簡潔である。ハブ92の他の役割としては、コントローラ91とモータ部分とを分け、このようにして油はモータ部分のみを流通し、冷却及び潤滑の回路が形成され、油がコントローラ91に入ることがない。
【0044】
ステータアセンブリの上方にはハブ92が設けられる。ステータ巻線94のピンはハブ92を貫通し、電気制御アセンブリの設計を簡略化し、従来の巻線構造を簡略化する。
【0045】
コントローラ91は、素早い対応を実現し、回路逆接続保護、信号干渉防止、油温監視、過熱防止、独立した通信チャネル、モータ角度位置の検出、モータの回転速度比較の受信及び計算、実際のロータ回転速度の比較及び調整などの特徴を持っている。
【0046】
電子オイルポンプの全体の高さが低くなるため、従来の電子オイルポンプに比べて、本実施例では加圧された冷却油がステータアセンブリまで流れる時間が短く、温度低下効果がより優れる。
【0047】
図2を参照すると、電子オイルポンプの作動過程:コントローラ91は、ハブ92がモータステータ93における複数のステータ巻線94に通電するように制御し、複数のステータ巻線94が通電された後、磁界を生じ、モータロータ8が回動するように駆動し、モータステータ93は外歯車2が回動するように駆動し、外歯車2と内歯車3との相対的な回動が実現される。
【0048】
内歯車3と外歯車2とが相対的に回動する時に、ハフアンドパフオイルチャンバー21が段階的に増大し、給油孔11を介して油を吸引するため、ハフアンドパフオイルチャンバー21における油量は体積の増大に伴って増大する。この場合に、油吸引過程で、温度が低い油と内歯車3及び外歯車2の歯に接触し、油が歯の熱を吸収する。そして、ハフアンドパフオイルチャンバー21が段階的に減小する過程で、排油孔12を介して油を吐出し、ハフアンドパフオイルチャンバー21における油量は、体積の減小に伴って小さくなる。この場合に、油吸引過程で、熱を吸引した後の温度が高い油は、排油孔12からポンプ本体の外に排出され、よって内歯車3と外歯車2の降温及び潤滑を実現すると同時に、ポンプ本体に対する降温を実現する。
【0049】
図5を参照すると、ポンプケーシング1の底部には、給油孔11及び排油孔12を覆うポンプケーシング底部13が一体成形される。ポンプケーシング1底部には固定孔131が開けられ、固定孔131はポンプケーシング1に対して偏心して設けられる。固定シャフト4は固定孔131内に設けられ、固定シャフト4の周方向外壁と固定孔131の孔壁とは強固的に嵌合される。内歯車3とポンプケーシング1との間には、回動抵抗を低減させ、作動寿命を向上するように、摺動軸受が設けられても良い。ポンプケーシング底部13の端面には、給油孔11と連通するオイル吸入口132と、排油孔12と連通するオイル排出口133とが開けられる。ポンプケーシング底部13には、オイル吸入口132とオイル排出口133とを仕切るための仕切り部134が形成され、仕切り部134は一側が内歯車3の一側に貼り合って、オイル吸入口132とオイル排出口133との間の密閉性を向上させる。
【0050】
本実施例は、ポンプケーシングの偏心固定孔131により、内歯車3と外歯車2との間の偏心嵌合を実現し、余分な付属品がない。この設計の利点としては、歯車ポンプの構造が簡単になり、回転シャフト及びポンプ本体シャーシの組立の難しさを低減させ、モータ、シェル及び歯車セットの間の同心度を向上させ、ポンプ本体システム構造の同心度の確保に有利であり、モータステータとモータロータのエアギャップの向上に寄与し、モータ作動が常に精密で均一な磁界分布に位置させ、モータ作動がより安定で精密になり、モータ磁界の利用効率が高くなり、最終的に電子オイルポンプの高効率運転を保証し、複数の接触界面による組立偏差累積を低減させ、ポンプ本体構造の回転作動時に生じる摩擦抵抗を効果的に低減させ、大きいサイズの軸受の回転時に発生する大きい遠心度を低減させ、電子オイルポンプ効率を向上し、電子オイルポンプの安定性を向上し、体積が小さく、重量が軽く、コストが低い。
実施例2
【0051】
図6乃至
図11を参照すると、本実施例は、実施例1の固定シャフト4の偏心接続構造と異なる。
【0052】
図6乃至
図8を参照すると、本実施例の外歯車2は、内歯車3に噛み合う外歯車内円23を備え、モータロータの内円は、外歯車外円に固定的に外嵌される。モータロータ8の永久磁石はモータロータ外円24の外周に固定され、モータロータ8の永久磁石とステータ巻線94との間にはエアギャップ16が設けられる。研究開発プロセスにおいて、エアギャップ16の距離の安定性に対するさまざまな要因の影響を最小限に抑える必要がある。モータロータ外円24の頂部には、モータロータネック22が一体成形され、モータロータネック22内には軸受6が取り付けられる。玉軸受6は、モータロータ8を支持し、ロータポンプにおいて外歯車2の回転を保証し、玉軸受6は、モータとロータポンプとの間に空洞がなくするように、ロータポンプの端部に取り付けられ、電子オイルポンプの高さを低減させ、ロータポンプの重さ、ロータポンプの体積を大幅に低減させる。実施例において、玉軸受6は、ポンプケーシング1と同じ機械治具により加工され、よって、両者が非常に精密な同軸度及び同心度を持ち、エアギャップの偏心を精密に制御することができる。
【0053】
図6乃至
図9を参照すると、ポンプケーシング1底部には固定孔131が開けられ、固定孔131はポンプケーシング1と同心配置される。固定孔131内には固定シャフト4が貫通して設けられ、固定シャフト4と軸受6とが強固的に嵌合され、外歯車2の一側には軸受6に嵌合されたモータロータネック22が一体成形される。内歯車は、固定シャフト4に同軸嵌合され、偏心集合体に抵触する内歯車内円を備え、内歯車3は、偏心校正ピース5により固定シャフト4に偏心して回動可能に接続され、偏心とは回動軸心が一致しないという意味である。偏心校正ピース5は、固定シャフト4の周方向外壁に設けられる半月形スリーブであり、半月形スリーブには、固定シャフト4が嵌め込む円弧溝51が設けられ、半月形スリーブは、内歯車3を固定シャフト4に偏心して回動可能に接続するように設けられる。モータロータ内円は、軸方向に外歯車外円に貼り合うように設けられる。モータロータ外円24の一側には、軸受6に嵌合するモータロータネック22が一体成形され、モータロータネック22及びモータロータ外円24の一側は、軸受6が嵌め込む溝が形成され、軸受6の周方向外壁は、溝の周方向溝壁に強固的に嵌合され、作動ノイズを低減させることができる。
【0054】
図9乃至11を参照すると、外歯車内円23の周方向内壁と内歯車3の周方向外壁はいずれもモータロータ外円24の内側端面に貼り合い、外歯車2と内歯車3との間は、歯と歯の接触により領域の分割が行われ、閉鎖された複数のハフアンドパフオイルチャンバー21が形成され、ハフアンドパフオイルチャンバー21の体積は外歯車2の回動方向においてまず段階的に増大してから段階的に減小し、ポンプケーシング1の底部には給油孔11が一体成形され、周方向外壁には排油孔12が一体成形される。ハフアンドパフオイルチャンバー21が段階的に増大する場合に、ハフアンドパフオイルチャンバー21の給油口は給油孔11に対応し、ハフアンドパフオイルチャンバー21が段階的に減小する場合に、ハフアンドパフオイルチャンバー21の排油口は排油孔12に対応する。
【0055】
ポンプケーシング1の底部には、給油孔11及び排油孔12を覆うポンプケーシング底部13が一体成形され、ポンプケーシング底部13の端面軸方向には、固定シャフト4の一端に固定的に接続された固定孔131が開けられる。固定シャフト4は固定孔131内に挿入され、固定シャフト4の周方向外壁と固定孔131の孔壁とは強固的に嵌合され、内歯車3とポンプケーシング1との間に摺動軸受を設け、回動抵抗を低減させ、作動寿命を向上させる。ポンプケーシング底部13の端面には、給油孔11と連通するオイル吸入口132と、排油孔12と連通するオイル排出口133とが開けられる。ポンプケーシング底部13には、オイル吸入口132とオイル排出口133とを仕切るための仕切り部134が形成され、仕切り部134は一側が内歯車3の一側に貼り合って、オイル吸入口132とオイル排出口133との間の密閉性を向上させる。
【0056】
半月形スリーブの一側には、位置決め孔52が貫通して開けられ、ポンプケーシング底部13には、位置決め孔52に対応する組立ガイド孔135が開けられ、組立ガイド孔135と固定孔131とは偏心して配置され、固定シャフト4と内歯車3との間には、摺動摩擦力を低減させるブッシング7が設けられる。内歯車3は、ブッシング7を介して半月形スリーブ及び固定シャフト4に回動可能に接続される。
【0057】
ポンプケーシング1には固定シャフト4と合わせる1つの孔が開けられ、ポンプケーシング1の加工の複雑さが効果的に低減され、ポンプケーシング1の加工の効率が向上し、外歯車2と内歯車3とが嵌合する精度が向上する。
【0058】
本出願実施例の高精度設計された電子オイルポンプの実施原理は下記である。
【0059】
ポンプケーシング1内に1本の固定シャフト4を設け、その後、固定シャフト4の周方向側壁に偏心校正ピース5を設けて偏心集合体41が形成され、外歯車2と固定シャフト4とを回動接続させると同時に、偏心集合体41も内歯車3に回動接続され、内歯車3と外歯車2との同軸及び偏心の効果を奏することができる。
実施例3
【0060】
図12を参照すると、実施例1及び実施例2との相違としては、軸受が外歯車とポンプケーシングとの間に設けられ、固定シャフト4が中空構造であることである。本実施例において、固定シャフト4の内部には、冷却油が流れる流路が設けられる。本実施例は、固定シャフト4について静的固定設計を用い、外歯車2の駆動で、ポンプ内歯車3は固定シャフト4に対して回動し、互いに潤滑し、摩擦を小さくし、ロータポンプシステム損耗を低減させ、且つロータポンプの回転安定性を効果的に向上させることができる。
【0061】
本発明の冷却油がステータアセンブリを冷却するアルゴリズムは下記の通りである
【0062】
モータロータ8は、外歯車2とともに、内歯車3が回転するように駆動して、給油孔11から流入される冷却油を加圧することによって、加圧された一方の冷却油が固定シャフト4の中空流路を介してステータアセンブリまで流れ、ステータアセンブリを冷却させ、熱交換された冷却油が再びに低気圧領域まで流れる。
【0063】
また、加圧された他方の冷却油が高気圧領域を介して排油孔12からそのまま排出される。
【0064】
本実施例では、固定シャフト4には、その位置を検知する径方向磁性鋼がさらに取り付けられる。
【0065】
本発明では、ステータアセンブリを冷却する具体的なプロセスは下記の通りである。
【0066】
1)まず、機器をオンにし、この際に、コントローラ91が通電し、コントローラ91は電気を三相電に変換し、ステータ巻線94へ給電し、電磁力によりモータロータ8及び外歯車2が回転駆動され、モータロータ8及び外歯車2の回転によって給油孔11から流入される冷却油がフィルター14を介した後、低気圧領域に入るようにする。
【0067】
2)モータロータ8は、外歯車2とともに、内歯車3が固定シャフト4のまわりに回転するように駆動して、給油孔11から流入される冷却油を加圧することによって、加圧された一方の冷却油が固定シャフト4を介してステータアセンブリまで流れ、ステータアセンブリを冷却させ、熱交換された冷却油が再びに低気圧領域まで流れるようにし、内外歯車の差による遠心力により冷却油を加圧する。この場合に、PTC温度センサは、油の現在温度値を検出し、この温度値をコントローラ91にフィードバックし、コントローラ91は、現在油温度値を外部の制御システムにフィードバックする。
【0068】
3)加圧された他方の冷却油は、高気圧領域を経過した後、そのまま排油孔12から排出される。
【0069】
以上、本発明の基本原理、主な特徴および本発明の利点を示し、説明した。当業者は、本発明が上記の実施例に限定されず、上記の実施例および説明書で説明されるものが、本発明の原理を説明するためのものに過ぎず、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、本発明に多くの変更、修正、切替、および変形があり、これらの変更、修正、切替、および変形はいずれも本発明の請求範囲に含まれることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0070】
1、ポンプケーシング
11、給油孔
12、排油孔
13、ポンプケーシング底部
131、固定孔
132、オイル吸入口
133、オイル排出口
134、仕切り部
135、組立ガイド孔
14、フィルター
15、シャーシ
16、エアギャップ
17、シールリング
2、外歯車
21、ハフアンドパフオイルチャンバー
22、モータロータネック
23、外歯車内円
24、モータロータ外円
25、上蓋
26、センサ
3、内歯車
4、固定シャフト
41、偏心集合体
5、偏心校正ピース
51、円弧溝
52、位置決め孔
6、軸受
7、ブッシング
8、モータロータ
9、回路制御モジュール
91、コントローラ
92、ハブ
93、モータステータ
94、ステータ巻線
【手続補正書】
【提出日】2025-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプケーシング(1)を備える電子オイルポンプであって、
前記ポンプケーシング(1)内に設けられる固定シャフト(4)と、
前記固定シャフト(4)に偏心して回動可能に接続される内歯車(3)と、
前記固定シャフト(4)に同軸接続され、前記ポンプケーシング(1)内に回動可能に接続され、前記内歯車(3)の外周に位置しており、前記内歯車(3)に噛み合う外歯車(2)と、
前記外歯車(2)の外周に固定的に接続されるモータロータ(8)と、
前記モータロータ(8)の外周に位置しており、前記ポンプケーシング(1)に固定的に接続されるモータステータ(93)と、
第1軸受(6)と、を備え、
前記固定シャフト(4)の軸心を通る平面において、前記モータステータ(93)、前記モータロータ、前記外歯車(2)、前記内歯車(3)及び前記固定シャフト(4)の投影領域は、少なくとも部分的に重なり、
前記外歯車(2)は前記第1軸受(6)を介して前記固定シャフト(4)の一端に回動可能に接続され、前記固定シャフト(4)の他端は前記ポンプケーシング(1)に接続される
ことを特徴とする電子オイルポンプ。
【請求項2】
第2軸受(6)を備え、前記固定シャフト(4)の一端は前記第2軸受(6)を介して前記ポンプケーシング(1)に回動可能に接続され、前記固定シャフト(4)の他端は前記外歯車(2)に同軸接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子オイルポンプ。
【請求項3】
前記固定シャフト(4)と前記内歯車(3)との間に位置している偏心校正ピース(5)をさらに備え、前記偏心校正ピース(5)は、前記固定シャフト(4)の周方向外壁に設けられる半月形スリーブであり、前記半月形スリーブには、前記固定シャフト(4)が嵌め込む円弧溝(51)が設けられ、前記半月形スリーブは、前記内歯車(3)を前記固定シャフト(4)に偏心して回動可能に接続するように設けられる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子オイルポンプ。
【請求項4】
ブッシング(7)をさらに備え、前記内歯車(3)は、前記ブッシング(7)により前記半月形スリーブ及び前記固定シャフト(4)に回動可能に接続される
ことを特徴とする請求項3に記載の電子オイルポンプ。
【請求項5】
前記固定シャフト(4)または前記外歯車(2)には、冷間始動用のセンサが固定的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子オイルポンプ。
【請求項6】
前記外歯車(2)、及び前記内歯車(3)が囲んで複数のハフアンドパフオイルチャンバー(21)が形成され、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)は、体積が外歯車(2)の回動方向に沿ってまず段階的に増大してから段階的に減小し、前記ポンプケーシング(1)には給油孔(11)及び排油孔(12)が設けられ、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)が段階的に増やす場合に、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)の給油口は前記給油孔(11)と対応し、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)が段階的に減小する場合に、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)の排油口は前記排油孔(12)と対応する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子オイルポンプ。
【請求項7】
前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)が段階的に増大する場合に、冷却油は前記給油孔(11)を介して前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)に流入し、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)が段階的に減小する場合に、前記ハフアンドパフオイルチャンバー(21)内の冷却油は前記排油孔(12)から押し出される
ことを特徴とする請求項6に記載の電子オイルポンプ。
【請求項8】
モータロータ(8)と回路制御モジュール(9)とをさらに備え、前記回路制御モジュール(9)は、前記ポンプケーシング(1)内に設けられたコントローラ(91)と、ハブ(92)とを備え、前記モータステータ(93)は、前記ハブ(92)に設けられ、前記モータステータ(93)は自体の周方向に複数のステータ巻線(94)が設けられ、前記モータロータ(8)は前記外歯車(2)の周方向外円に外嵌され、前記モータロータ(8)の周方向外壁は前記モータステータ(93)の周方向内壁と対応する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子オイルポンプ。
【請求項9】
ポンプケーシング(1)の外周にはO型シールリングがさらに設けられる
ことを特徴とする請求項8に記載の電子オイルポンプ。