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2025-28122蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法、蓄冷材粒子の製造方法、蓄冷器の製造方法、冷凍機の製造方法、クライオポンプの製造方法、超電導磁石の製造方法、核磁気共鳴イメージング装置の製造方法、核磁気共鳴装置の製造方法、磁界印加式単結晶引上げ装置の製造方法、及び、ヘリウム再凝縮装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028122
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法、蓄冷材粒子の製造方法、蓄冷器の製造方法、冷凍機の製造方法、クライオポンプの製造方法、超電導磁石の製造方法、核磁気共鳴イメージング装置の製造方法、核磁気共鳴装置の製造方法、磁界印加式単結晶引上げ装置の製造方法、及び、ヘリウム再凝縮装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/14 20060101AFI20250220BHJP
   F25B 9/00 20060101ALI20250220BHJP
   G01N 24/00 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C09K5/14 F
F25B9/00 D
G01N24/00 600D
G01N24/00 600Y
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024215961
(22)【出願日】2024-12-10
(62)【分割の表示】P 2023545537の分割
【原出願日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2021139669
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】303058328
【氏名又は名称】東芝マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】河本 崇博
(72)【発明者】
【氏名】田口 成那
(72)【発明者】
【氏名】碓井 大地
(72)【発明者】
【氏名】平松 亮介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘康
(57)【要約】
【課題】蓄冷材粒子の製造コストを低減できる蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含む希土類酸硫化物を含む原料粉末、又は、少なくとも一つの希土類元素を含む希土類酸化物を含む原料粉末と、0.01重量%以上40重量%以下の有機物を含むバインダと、を混合して原料混合体を得、原料混合体を転動造粒法、攪拌造粒法、押し出し法、噴霧法、又はプレス成形法で造粒する蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法であって、蓄冷材粒子用造粒粒子の炭素の濃度が0.001重量%以上50重量%以下であり、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が10%以上50%以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含む希土類酸硫化物を含む原料粉末、又は、前記少なくとも一つの希土類元素を含む希土類酸化物を含む原料粉末と、0.01重量%以上40重量%以下の有機物を含むバインダと、を混合して原料混合体を得、
前記原料混合体を転動造粒法、攪拌造粒法、押し出し法、噴霧法、又はプレス成形法で造粒する蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法であって、
前記蓄冷材粒子用造粒粒子の炭素の濃度が0.001重量%以上50重量%以下であり、
前記蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が10%以上50%以下である、蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法。
【請求項2】
Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含む希土類酸硫化物を含む原料粉末、又は、前記少なくとも一つの希土類元素を含む希土類酸化物を含む原料粉末と、有機物を含む分散媒と、を混合してスラリーを作製し、
前記スラリーをゲル化溶液に滴下して、ゲル化させることで造粒する蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法であって、
前記原料粉末の前記分散媒に対する重量の割合が、0.1倍以上20倍以下であり、
前記蓄冷材粒子用造粒粒子の炭素の濃度が0.001重量%以上50重量%以下であり、
前記蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が10%以上50%以下である、蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法。
【請求項3】
粒径が50μm以上7mm以下である請求項1又は請求項2記載の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法。
【請求項4】
アスペクト比が1以上5以下である請求項1又は請求項2記載の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法。
【請求項5】
濃度が0.001原子%以上60原子%以下の第一族元素を、更に含む請求項1又は請求項2記載の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法。
【請求項6】
前記第一族元素はLi、Na、及びKからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である請求項5記載の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法。
【請求項7】
濃度が0.001原子%以上60原子%以下の第二族元素を、更に含む請求項1又は請求項2記載の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法。
【請求項8】
前記第二族元素はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である請求項7記載の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法。
【請求項9】
濃度が0.001原子%以上60原子%以下の添加元素であって、Mn、Al、Fe、Cu、Ni、Co、Zr、Y、及びBからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である添加元素を、更に含む請求項1又は請求項2記載の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法。
【請求項10】
ゲルである請求項2記載の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法。
【請求項11】
請求項1又は請求項2記載の蓄冷材粒子用造粒粒子を焼結して得られる蓄冷材粒子の製造方法。
【請求項12】
2K以上10K以下の温度範囲における体積比熱の最大値が0.5J/(cm・K)以上である請求項11記載の蓄冷材粒子の製造方法。
【請求項13】
粒径が50μm以上5mm以下である請求項11記載の蓄冷材粒子の製造方法。
【請求項14】
アスペクト比が1以上5以下である請求項11記載の蓄冷材粒子の製造方法。
【請求項15】
請求項11記載の蓄冷材粒子が複数個、充填された蓄冷器の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の蓄冷器を備えた、冷凍機の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の冷凍機を備えた、クライオポンプの製造方法。
【請求項18】
請求項16記載の冷凍機を備えた、超電導磁石の製造方法。
【請求項19】
請求項16記載の冷凍機を備えた、核磁気共鳴イメージング装置の製造方法。
【請求項20】
請求項16記載の冷凍機を備えた、核磁気共鳴装置の製造方法。
【請求項21】
請求項16記載の冷凍機を備えた、磁界印加式単結晶引上げ装置の製造方法。
【請求項22】
請求項16記載の冷凍機を備えた、ヘリウム再凝縮装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法、蓄冷材粒子の製造方法、蓄冷器の製造方法、冷凍機の製造方法、クライオポンプの製造方法、超電導磁石の製造方法、核磁気共鳴イメージング装置の製造方法、核磁気共鳴装置の製造方法、磁界印加式単結晶引上げ装置の製造方法、及び、ヘリウム再凝縮装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超電導技術の発展は著しく、超電導技術の応用分野が拡大するに伴って小型で高性能の極低温冷凍機の開発が不可欠になってきている。極低温冷凍機は、軽量かつ小型で熱効率の高いことが要求される。極低温冷凍機は、種々の応用分野において実用化が進められている。
【0003】
極低温冷凍機は、複数の蓄冷材を充填した蓄冷器を備える。例えば、蓄冷材と、蓄冷器の中を通るヘリウムガスとの間で熱交換を行うことにより、寒冷を発生させる。例えば、超電導MRI装置や、半導体製造装置等に使用されるクライオポンプなどにおいては、ギフォード・マクマホン(GM)方式、スターリング方式、又はパルスチューブ方式などの冷凍サイクルによる冷凍機が用いられている。
【0004】
また、磁気浮上列車にも超電導磁石を用いて磁力を発生させるために高性能な冷凍機が必須とされている。さらに、最近では、超電導電力貯蔵装置(SMES)、及び高品質のシリコンウェハーなどを製造する磁界印加式単結晶引上げ装置などにおいても高性能な冷凍機が用いられている。また、高い信頼性を有することが期待されているパルスチューブ冷凍機の開発及び実用化も積極的に進められている。
【0005】
上記したような超電導磁石やMRI装置などにおいては、使用する液体ヘリウムが蒸発するため、液体ヘリウムの補給が問題となる。近年、ヘリウムの枯渇問題が深刻化し、入手困難な状態が発生し、産業界に影響を及ぼしている。
【0006】
この液体ヘリウムの消費量を低減し、補給などのメンテナンスの負荷を軽減するため、蒸発したヘリウムを再凝縮するヘリウム再凝縮装置が実用化され、需要が高まっている。このヘリウム再凝縮装置にも、ヘリウムを液化するために、温度を4Kレベルに冷却するGM冷凍機やパルスチューブ冷凍機が使用されている。
【0007】
冷凍機においては、蓄冷材が充填された蓄冷器内を、圧縮されたヘリウム(He)ガスなどの作動媒質が一方向に流れて、その熱エネルギーを蓄冷材に供給する。そして、蓄冷器内を膨張した作動媒質が反対方向に流れ、蓄冷材から熱エネルギーを受け取る。こうした過程での復熱効果が良好になるに伴い、作動媒質サイクルでの熱効率が向上し、より低い温度を実現することが可能となる。ヘリウムガスと蓄冷材との熱エネルギー交換が円滑に行われるためには、蓄冷材の熱伝導率は高いことが望ましい。
【0008】
ここで蓄冷器に搭載する蓄冷材の単位体積当たりの比熱が高いほど、蓄冷材の蓄えることが可能な熱エネルギーが増加するため、冷凍機の冷凍能力が向上する。このため、蓄冷器の低温側には低温で高い比熱を有する蓄冷材を、高温側には高温で高い比熱を有する蓄冷材を充填することが望ましい。
【0009】
磁性蓄冷材はその組成に依存して、特定の温度域で高い体積比熱を示す。このため、異なる体積比熱を示す異なる組成の磁性蓄冷材を組み合わせることで、蓄冷能力が高まり、冷凍機の冷凍能力が向上する。
【0010】
また、蓄冷器に充填する蓄冷材は、その熱伝導率及び熱伝達率が高いほど熱エネルギーの受け渡しの効率が向上し、冷凍機の効率が向上する。
【0011】
これまでの冷凍機では、蓄冷器の高温側に鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、又はスズ(Sn)などの金属蓄冷材粒子を充填し、蓄冷器の20K以下の低温側にErNi、ErNi、HoCuなどの金属系磁性蓄冷材粒子を充填することで4Kでの冷凍が実現されてきた。
【0012】
近年では、金属系磁性蓄冷材粒子の一部を2Kから10Kの温度域で高い比熱を有するGdS、TbS、DyS、HoS、GdAlOなどのセラミックス磁性蓄冷材粒子に置換することにより、冷凍機の冷凍能力を向上させる試みもなされている。
【0013】
上記のセラミックス磁性蓄冷材粒子は、原料とバインダの混合、造粒、数百度での脱脂、数百度での硫化及び千数百度での焼結等の多段の製造プロセスを経て得られる。このため、脱脂及び硫化を従来に比べ低温で実施できれば、製造コスト及び環境負荷を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003-73661号公報
【特許文献2】特開2003-213252号公報
【特許文献3】国際公開第2018/025581号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、蓄冷材粒子の製造コストを低減できる蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含む希土類酸硫化物を含む原料粉末、又は、前記少なくとも一つの希土類元素を含む希土類酸化物を含む原料粉末と、0.01重量%以上40重量%以下の有機物を含むバインダと、を混合して原料混合体を得、前記原料混合体を転動造粒法、攪拌造粒法、押し出し法、噴霧法、又はプレス成形法で造粒する蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法であって、前記蓄冷材粒子用造粒粒子の炭素の濃度が0.001重量%以上50重量%以下であり、前記蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が10%以上50%以下である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子の模式断面図。
図2】第2の実施形態の蓄冷材粒子及び第4の実施形態の冷凍機の要部構成を示す模式断面図。
図3】第5の実施形態のクライオポンプの概略構成を示す断面図。
図4】第6の実施形態の超電導磁石の概略構成を示す斜視図。
図5】第7の実施形態の核磁気共鳴イメージング装置の概略構成を示す断面図。
図6】第8の実施形態の核磁気共鳴装置の概略構成を示す断面図。
図7】第9の実施形態の磁界印加式単結晶引上げ装置の概略構成を示す斜視図。
図8】第10の実施形態のヘリウム再凝縮装置の概略構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する場合がある。
【0019】
本明細書中、極低温とは、例えば、超電導現象を工業的に有用に利用できる温度域を意味する。例えば、20K以下の温度域である。
【0020】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含む希土類酸硫化物、又は、上記少なくとも一つの希土類元素を含む希土類酸化物と、濃度が0.001重量%以上50重量%以下の炭素と、を含み、相対密度が10%以上50%以下である。
【0021】
図1は、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子の模式断面図である。
【0022】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、蓄冷材粒子を製造するための造粒粒子である。例えば、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101に脱脂のための熱処理、焼結のための熱処理を行うことで、蓄冷材粒子が製造される。脱脂のための熱処理の後、焼結のための熱処理の前に、蓄冷材粒子用造粒粒子101に対して硫化のための熱処理を行っても構わない。
【0023】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、図1に示すように、例えば、原料粉末101a、バインダ101b、及び空隙101cを含む。蓄冷材粒子用造粒粒子101は、バインダ101bにかえて、例えば、分散媒を含んでいても構わない。蓄冷材粒子用造粒粒子101は、バインダ101bにかえて、例えば、ゲル化剤を含んでいても構わない。原料粉末101aには、例えば、蓄冷材粒子を製造する際の焼結を促進させるための焼結助剤が含まれていても構わない。
【0024】
蓄冷材粒子用造粒粒子101は、原料粉末101aを造粒することにより形成されている。蓄冷材粒子用造粒粒子101は、例えば、複数の原料粉末101aがバインダ101bによって結合することにより形成されている。
【0025】
蓄冷材粒子用造粒粒子101は、例えば、ゲルである。蓄冷材粒子用造粒粒子101は、例えば、複数の原料粉末101aをゲル化剤(ゲル化溶液)を用いて、ゲル化することにより形成されている。原料粉末101aは、例えば、独立した運動性を失い、集合して固化した状態にある。
【0026】
蓄冷材粒子用造粒粒子101がゲルである場合、蓄冷材粒子用造粒粒子101は、例えば、原料粉末101aと分散媒を含む。分散媒には、例えば、ゲル化剤が含まれる。蓄冷材粒子用造粒粒子101がゲルである場合、蓄冷材粒子用造粒粒子101は、例えば、原料粉末101aとゲル化剤を含む。なお、蓄冷材粒子用造粒粒子101のゲル化後に、ゲル化したゲル化剤もゲル化剤と称する。
【0027】
原料粉末101aは、希土類酸硫化物又は希土類酸化物を含む。原料粉末101aに含まれる希土類酸硫化物は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含む。また、原料粉末101aに含まれる希土類酸化物は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含む。
【0028】
原料粉末101aに含まれる希土類酸硫化物は、例えば、酸硫化ガドリニウム又は酸硫化ホルミウムである。原料粉末101aに含まれる希土類酸硫化物は、例えば、GdS、TbS、DyS、又はHoSである。
【0029】
原料粉末101aに含まれる希土類酸化物は、例えば、酸化ガドリニウム又は酸化ホルミウムである。原料粉末101aに含まれる希土類酸化物は、例えば、Gd、Tb、Dy、又はHoである。
【0030】
原料粉末101aは、例えば、第一族元素を含む炭酸塩、酸化物、窒化物、又は炭化物を含む。原料粉末101aは、例えば、第二族元素を含む炭酸塩、酸化物、窒化物、又は炭化物を含む。
【0031】
原料粉末101aは、例えば、添加元素を含む炭酸塩、酸化物、窒化物、又は炭化物を含む。上記添加元素は、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びボロン(B)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である。
【0032】
原料粉末101aとして焼結助剤が含まれる場合、焼結助剤は、例えば酸化物である。焼結助剤は、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、又は酸化ホウ素である。
【0033】
バインダ101bは、有機物である。バインダ101bは、例えば、樹脂である。バインダ101bは、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂、又はポリエチレングリコールである。
【0034】
蓄冷材粒子用造粒粒子101に分散媒が含まれる場合、分散媒は有機物である。分散媒は、例えば、アルギン酸塩である。分散媒は、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、又はアルギン酸カリウムである。
【0035】
蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度は、10%以上50%以下である。
【0036】
例えば、蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度が低い場合、蓄冷材粒子用造粒粒子101に占める原料粉末101aの体積割合が相対的に小さい。蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度が低い場合、蓄冷材粒子用造粒粒子101に占めるバインダ101b、分散媒、又は空隙101cの体積割合が相対的に高い。
【0037】
一方、蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度が高い場合、蓄冷材粒子用造粒粒子101に占める原料粉末101aの体積割合が相対的に高い。蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度が高い場合、蓄冷材粒子用造粒粒子101に占めるバインダ101b、分散媒、又は空隙101cの体積割合が相対的に低い。
【0038】
蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度は、例えば、造粒粒子50粒から求めた平均成形密度を構成物質の真密度で除算することで算出することができる。50粒の平均成形密度は、造粒粒子50粒の重量を、体積で除算することで求める。体積は、各粒子の円相当径を粒子の直径と仮定して求めた各粒子の体積を積算することで算出できる。
【0039】
蓄冷材粒子用造粒粒子101の真密度の算出においては、まず、X線回折測定により造粒粒子を構成する原料粉末101aの結晶相を同定する。そして、X線回折パターンのリートベルト解析又は誘導結合プラズマ発光分光分析から、造粒粒子を構成する原料粉末101aの構成比率を求める。原料粉末101aの結晶相と、原料粉末101aの構成比率から蓄冷材粒子用造粒粒子101の真密度が算出できる。
【0040】
蓄冷材粒子用造粒粒子101の粒径は、例えば、50μm以上7mm以下である。また、蓄冷材粒子用造粒粒子101のアスペクト比は、例えば、1以上5以下である。蓄冷材粒子用造粒粒子101のアスペクト比とは、蓄冷材粒子用造粒粒子101の短径に対する長径の比である。蓄冷材粒子用造粒粒子101の形状は、例えば、球状である。
【0041】
本明細書中、蓄冷材粒子用造粒粒子101の粒径とは、円相当径である。円相当径は、光学顕微鏡画像又は走査電子顕微鏡画像(SEM画像)などの画像で観察される図形の面積に相当する真円の直径である。蓄冷材粒子用造粒粒子101の粒径は、例えば、光学顕微鏡画像又はSEM画像の画像解析により求めることが可能である。
【0042】
蓄冷材粒子用造粒粒子101は、炭素を含む。蓄冷材粒子用造粒粒子101に含まれる炭素の濃度は、0.001重量%以上50重量%以下である。
【0043】
炭素は、例えば、バインダ101b又は分散媒に含まれる。例えば、蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度が低い場合、炭素の濃度は相対的に高くなる。例えば、蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度が高い場合、炭素の濃度は相対的に低くなる。
【0044】
蓄冷材粒子用造粒粒子101は、例えば、第一族元素を含む。第一族元素は、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、及びカリウム(K)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である。
【0045】
第一族元素は、例えば、原料粉末101a、バインダ101b、又は分散媒に含まれる。第一族元素は、例えば、蓄冷材粒子用造粒粒子101を製造する際に用いられたゲル化溶液に由来する。
【0046】
蓄冷材粒子用造粒粒子101に含まれる第一族元素の濃度は、例えば、0.001原子%以上60原子%以下である。
【0047】
蓄冷材粒子用造粒粒子101は、例えば、第二族元素を含む。第二族元素は、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である。
【0048】
第二族元素は、例えば、原料粉末101a、バインダ101b、又は分散媒に含まれる。第二族元素は、例えば、蓄冷材粒子用造粒粒子101を製造する際に用いられたゲル化溶液に由来する。
【0049】
蓄冷材粒子用造粒粒子101に含まれる第二族元素の濃度は、例えば、0.001原子%以上60原子%以下である。
【0050】
蓄冷材粒子用造粒粒子101は、例えば、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びボロン(B)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である添加元素を含む。
【0051】
添加元素は、例えば、原料粉末101a、バインダ101b、又は分散媒に含まれる。添加元素は、例えば、蓄冷材粒子用造粒粒子101を製造する際に用いられたゲル化溶液に由来する。
【0052】
蓄冷材粒子用造粒粒子101に含まれる上記添加元素の濃度は、例えば、0.001原子%以上60原子%以下である。
【0053】
蓄冷材粒子用造粒粒子101に含まれる元素の検出、及び、元素の原子濃度の測定は、例えば、造粒粒子を液体に溶解させ、誘導結合プラズマ発光分光分析(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy:ICP-AES)を用いて行うことも可能である。また、エネルギー分散型X線分光法(EDX)又は波長分散型X線分析法(WDX)を用いて行うことも可能である。
【0054】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば原料粉末とバインダをボールミルなどを用いて混合して原料混合体を調製し、得られた原料混合体を転動造粒法,攪拌造粒法,押し出し法,噴霧法(スプレー法)又はプレス成形法などにより粒状に成形(造粒)することにより製造できる。
【0055】
上記造粒法では、バインダを添加し原料粉末同士を付着させることで、造粒粒子の強度を向上させている。バインダは、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂、ポリエチレングリコール等を用いることができる。バインダの添加量は、例えば、0.01重量%以上40重量%以下である。例えば、バインダ量を増やすことで、相対密度が低くても破壊強度を向上させることができる。
【0056】
原料粉末には、酸化物、あるいは酸硫化物を使用することができる。蓄冷材粒子の目標組成に合わせて、酸化物、あるいは酸硫化物の種類及び割合を調整する。
【0057】
原料粉末に第一族元素、第二族元素、又は添加元素を含む、炭酸塩、酸化物、窒化物、あるいは炭化物を使用することができる。上記添加元素は、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びボロン(B)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である。原料粉末に第一族元素、第二族元素、又は添加元素を含む、炭酸塩、酸化物、窒化物、あるいは炭化物を使用することで、第一族元素、第二族元素、又は添加元素を含有する蓄冷材粒子用造粒粒子を製造することができる。
【0058】
原料混合体には、原料粉末として焼結助剤を含んでもよい。焼結助剤は、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、又は酸化ホウ素である。
【0059】
転動造粒においては、例えば、造粒時の造粒機の回転数及び造粒機の直径を制御することで、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度を変化することができる。回転数が遅い、あるいは造粒機の直径が小さいと、転動時のエネルギーが減少することで、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が低減する。
【0060】
また、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子の製造において、原料粉末をアルギン酸水溶液に加えて混合して作製したスラリーをゲル化溶液に滴下し、スラリーをゲル化させることで粒状に造粒してもよい。この方法は、ゲル化溶液が含有する多価金属イオンによる架橋反応によりゲル化を進行させることで粒子を造粒する方法である。
【0061】
原料粉末とアルギン酸水溶液の割合を変化させることで、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度を変化させることができる。原料粉末のアルギン酸水溶液に対する重量の割合は、例えば、0.1倍以上20倍以下である。
【0062】
蓄冷材粒子用造粒粒子はアルギン酸塩のゲル化により粒状に固まる。このため、造粒粒子の強度、すなわち、ゲル化強度は粒子に含まれるアルギン酸塩の量、あるいは、アルギン酸塩水溶液の粘度によりゲル化強度は変化する。アルギン酸塩は、例えば、アルギン酸塩水溶液の粘度を調整することによって、ゲル中に原料粉末を担保し、蓄冷材粒子用造粒粒子の強度を保ち、目的とする形状の蓄冷材粒子用造粒粒子を得ることができる。
【0063】
スラリーのゲル化溶液への滴下は、例えば、スポイト、ビューレット、ピペット、シリンジ、ディスペンサー、インクジェット等を用いることができる。以下、同手法による粒子の造粒法をアルギン酸ゲル法と呼称する。
【0064】
アルギン酸ゲル法ではスラリーの粘度、滴下の際の吐出口の口径、又は吐出口の先端とゲル化溶液の液面までの距離を調整することで、蓄冷材粒子用造粒粒子の粒径、及びアスペクト比を変化させることができる。吐出口の口径は、例えば、50μm以上3000μm以下である。また、吐出口の先端とゲル化溶液の液面までの距離は、例えば、0.1mm以上1000mm以下である。
【0065】
ディスペンサーを吐出に用いる場合、装置としてエアパルス式ディスペンサー、プランジャー式ディスペンサー、及びピエゾ式ディスペンサーのいずれを使用してもよい。
【0066】
インクジェットは吐出方式として大きくコンティニュアス型とオンデマンド型に分かれるが、いずれの型の吐出方式を使用してもよい。また、オンデマンド型はピエゾ方式、サーマル方式、バルブ方式の3つに区分されるが、いずれの方式を使用してもよい。
【0067】
スポイト、ビューレット、ピペット、シリンジ、ディスペンサー、インクジェット等によりゲル化溶液に滴下されたスラリーは、ゲル化溶液中に保持することでゲル化する。スラリーをゲル化させることで、蓄冷材の原料粉末を含む造粒粒子が形成される。スラリーのゲル化溶液中での保持時間は、例えば、10分以上48時間以下である。ゲル化時間が短いとゲル化が十分に進行しないため、造粒粒子の強度が低くなる。
【0068】
アルギン酸ゲル法で用いるアルギン酸水溶液は、例えば、アルギン酸ナトリウム水溶液、アルギン酸アンモニウム水溶液、又はアルギン酸カリウム水溶液である。第一族元素を含むアルギン酸ナトリウム水溶液、又はアルギン酸カリウム水溶液を使用することで、蓄冷材粒子用造粒粒子101にナトリウム(Na)、又はカリウム(K)を含有させることができる。アルギン酸ナトリウム水溶液、及びアルギン酸カリウム水溶液の混合水溶液をスラリーに使用することで、蓄冷材粒子用造粒粒子101にナトリウム(Na)、及びカリウム(K)を同時に含有させることができる。
【0069】
アルギン酸塩の濃度はアルギン酸塩水溶液として、例えば、0.1重量%以上5重量%以下である。アルギン酸塩水溶液の濃度が0.1重量%より低いと、十分な強度のゲルが生成できず、蓄冷材粒子用造粒粒子を得ることができない。
【0070】
ゲル化溶液として、例えば、乳酸カルシウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、塩化マンガン(II)水溶液、硫酸マグネシウム水溶液、硫酸ベリリウム水溶液、硝酸ストロンチウム水溶液、塩化バリウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、塩化アルミニウム水溶液、硝酸アルミニウム水溶液、乳酸アルミニウム水溶液、塩化鉄(II)水溶液、塩化鉄(III)水溶液、塩化銅(II)水溶液、塩化ニッケル(II)水溶液、又は塩化コバルト(II)水溶液を使用することができる。
【0071】
乳酸カルシウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、塩化マンガン(II)水溶液、硫酸マグネシウム水溶液、硫酸ベリリウム水溶液、硝酸ストロンチウム水溶液、塩化バリウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、塩化アルミニウム水溶液、硝酸アルミニウム水溶液、乳酸アルミニウム水溶液、塩化鉄(II)水溶液、塩化鉄(III)水溶液、塩化銅(II)水溶液、塩化ニッケル(II)水溶液、塩化コバルト(II)水溶液をゲル化溶液に使用することで、カルシウム(K)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、又はコバルト(Co)を蓄冷材粒子用造粒粒子101に含有させることができる。
【0072】
また、塩化アルミニウム水溶液、硝酸アルミニウム水溶液、乳酸アルミニウム水溶液、塩化鉄(II)水溶液、塩化鉄(III)水溶液、塩化銅(II)水溶液、塩化ニッケル(II)水溶液、塩化コバルト(II)水溶液をゲル化溶液として使用することで、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、又はコバルト(Co)を蓄冷材粒子用造粒粒子101に含有させることができる。
【0073】
ゲル化は、ゲル化溶液が含有する多価金属イオンによる架橋反応により進行するため、スラリーに第一族元素を含む水溶液を使用し、ゲル化溶液に水溶液中で多価金属イオンを形成する元素を含む水溶液を使用した場合、ゲル化溶液に滴下して造粒した粒子のゲル化溶液中の浸漬時間を調整することで、粒子中に含まれる第一族元素、及び水溶液中で多価金属イオンを形成する元素の量を調整することができる。
【0074】
水溶液中で多価イオンを形成する元素は、例えば、カルシウム(Ca)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、又はコバルト(Co)である。
【0075】
乳酸カルシウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、塩化マンガン(II)水溶液、硫酸マグネシウム水溶液、硫酸ベリリウム水溶液、硝酸ストロンチウム水溶液、塩化バリウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、塩化アルミニウム水溶液、硝酸アルミニウム水溶液、乳酸アルミニウム水溶液、塩化鉄(II)水溶液、塩化鉄(III)水溶液、塩化銅(II)水溶液、塩化ニッケル(II)水溶液、及び塩化コバルト(II)水溶液からなる群から選ばれる、異なる金属元素を含む少なくとも二種類の水溶液を混合し、ゲル化溶液として使用することで、水溶液中で多価イオンを形成する元素を蓄冷材粒子用造粒粒子101に二種類以上含有させることができる。
【0076】
次に、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子の作用及び効果について説明する。
【0077】
蓄冷材粒子用造粒粒子に脱脂のための熱処理、焼結のための熱処理を行うことで、蓄冷材粒子が製造される。例えば、蓄冷材粒子用造粒粒子が酸化物の原料粉末を含む場合、脱脂のための熱処理の後、焼結のための熱処理の前に、蓄冷材粒子用造粒粒子に対して硫化のための熱処理を行う場合もある。
【0078】
蓄冷材粒子用造粒粒子は脱脂することで、バインダや分散媒に含まれる有機成分を一定量除去することができる。例えば、原料粉末が酸化物である場合、脱脂が不十分であると、酸化物の硫化が十分に進行せず、酸硫化物を必要な量生成できない。
【0079】
さらに、蓄冷材粒子用造粒粒子の脱脂が不十分で有機成分の残留量が多いと、焼結反応も阻害される。焼結反応が阻害されると焼結後の蓄冷材粒子の密度が低くなる。蓄冷材粒子の密度が低くなると、蓄冷材粒子の強度が弱くなり、冷凍機での使用中に破壊するおそれがある。また、焼結反応が阻害されると焼結後の蓄冷材粒子の比熱が低くなる。蓄冷材粒子の比熱が低くなると、冷凍機の性能が低下する。
【0080】
一方、蓄冷材粒子用造粒粒子の脱脂が進みすぎると、強度を担保するために必要な有機成分が消失する。このため、脱脂後の造粒粒子の強度が低下し、造粒粒子に割れ、あるいは欠けが生じるおそれがある。
【0081】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、相対密度が10%以上50%以下である。
【0082】
蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度を50%以下とすることで、脱脂の熱処理の際にバインダや分散媒に含まれる有機成分の除去が容易である。したがって、例えば、脱脂の熱処理の温度の低減、又は、脱脂の熱処理の時間を短縮することができる。また、例えば、硫化の熱処理の温度の低減、又は、硫化の熱処理の時間を短縮することができる。また、例えば、焼結の熱処理の温度の低減、又は、焼結の熱処理の時間を短縮することができる。よって、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101によれば、熱処理の温度の低減又は熱処理時間の低減により、蓄冷材粒子の製造コストを低減することができる。
【0083】
脱脂、硫化、又は焼結のための熱処理の温度を低減する観点、又は、脱脂、硫化、又は焼結のための熱処理の時間を低減する観点から、蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度は、45%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。
【0084】
蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が10%未満となると、例えば、蓄冷材粒子の空隙の割合が大きくなり、蓄冷材粒子用造粒粒子の強度が低下する。蓄冷材粒子用造粒粒子の強度が低下すると蓄冷材粒子用造粒粒子のハンドリングが困難になる。
【0085】
また、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が10%未満となると、脱脂の熱処理の際に有機成分が過剰に除去されるおそれがある。有機成分が過剰に除去されると、製造される蓄冷材粒子の強度の低下や比熱の低下が生じる。
【0086】
また、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が10%未満となると、例えば、製造される蓄冷材粒子の相対密度が低下し、蓄冷材粒子の比熱が低下する。これは、原料粉末同士の接点が減少し、蓄冷材粒子の焼結性が低下するためだと考えられる。
【0087】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、相対密度を10%以上とすることで、蓄冷材粒子用造粒粒子101の強度が保たれ、蓄冷材粒子用造粒粒子のハンドリングが容易となる。
【0088】
また、蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度を10%以上とすることで、脱脂の熱処理の際に有機成分が過剰に除去されることが抑制される。したがって、製造される蓄冷材粒子の強度の低下や比熱の低下が抑制される。
【0089】
また、蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度を10%以上とすることで、製造される蓄冷材粒子の焼結性が向上し、蓄冷材粒子の比熱が向上する。
【0090】
蓄冷材粒子用造粒粒子101の強度を保つ観点から、蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度は、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。また、脱脂の熱処理の際に有機成分が過剰に除去されることを抑制する観点から、蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度は、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。また製造される蓄冷材粒子の焼結性を向上させる観点から、蓄冷材粒子用造粒粒子101の相対密度は、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。
【0091】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、濃度が0.001重量%以上50重量%以下の炭素を含む。
【0092】
蓄冷材粒子用造粒粒子の炭素濃度が高いと蓄冷材粒子用造粒粒子の強度が向上する。例えば、蓄冷材粒子用造粒粒子の炭素濃度が0.001重量%未満の場合、蓄冷材粒子用造粒粒子の強度が低下しハンドリングが困難になる。
【0093】
一方、蓄冷材粒子用造粒粒子の炭素濃度が高いと、蓄冷材粒子用造粒粒子から製造される蓄冷材粒子の熱伝導率が低下する。これは、製造される蓄冷材粒子の結晶粒界に過剰に炭素が残存するためである。
【0094】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、炭素濃度が0.001重量%以上であることで、蓄冷材粒子用造粒粒子の強度が向上する。蓄冷材粒子用造粒粒子の強度を向上させる観点から、蓄冷材粒子用造粒粒子101の炭素濃度は、0.01重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましい。
【0095】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、炭素濃度が50重量%以下であることで、製造される蓄冷材粒子の熱伝導率が向上する。製造される蓄冷材粒子の熱伝導率を向上させる観点から、蓄冷材粒子用造粒粒子101の炭素濃度は、10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
【0096】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、濃度が0.001原子%以上60原子%以下の第一族元素を含むことが好ましい。蓄冷材粒子用造粒粒子101は、上記濃度範囲の第一族元素を含むことで、製造される蓄冷材粒子の焼結性を向上させることができる。したがって、例えば、製造される蓄冷材粒子の強度及び比熱が向上する。
【0097】
製造される蓄冷材粒子の焼結性を向上させる観点から、蓄冷材粒子用造粒粒子101に含まれる第一族元素の濃度は、0.01原子%以上30原子%以下であることがより好ましく、0.1原子%以上10原子%以下であることが更に好ましい。
【0098】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、濃度が0.001原子%以上60原子%以下の第二族元素を含むことが好ましい。蓄冷材粒子用造粒粒子101は、上記濃度範囲の第二族元素を含むことで、製造される蓄冷材粒子の焼結性を向上させることができる。したがって、例えば、製造される蓄冷材粒子の強度及び比熱が向上する。
【0099】
製造される蓄冷材粒子の焼結性を向上させる観点から、蓄冷材粒子用造粒粒子101に含まれる第二族元素の濃度は、0.01原子%以上30原子%以下であることがより好ましく、0.1原子%以上10原子%以下であることが更に好ましい。
【0100】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、濃度が0.001原子%以上60原子%以下の、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びボロン(B)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である添加元素を含むことが好ましい。蓄冷材粒子用造粒粒子101は、上記濃度範囲の添加元素を含むことで、製造される蓄冷材粒子の焼結性を向上させることができる。したがって、例えば、製造される蓄冷材粒子の強度及び比熱が向上する。
【0101】
製造される蓄冷材粒子の焼結性を向上させる観点から、蓄冷材粒子用造粒粒子101に含まれる添加元素の濃度は、0.01原子%以上30原子%以下であることがより好ましく、0.1原子%以上10原子%以下であることが更に好ましい。
【0102】
第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101は、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、又は酸化ホウ素を含むことが好ましい。上記酸化物は、焼結助剤として機能する。蓄冷材粒子用造粒粒子101は、上記酸化物を含むことで、製造される蓄冷材粒子の焼結性を向上させることができる。
【0103】
以上、第1の実施形態によれば、蓄冷材粒子の製造コストを低減できる蓄冷材粒子用造粒粒子を提供できる。
【0104】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子を焼結して得られる。
【0105】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、粒径が、例えば、50μm以上5mm以下である。蓄冷材粒子のアスペクト比は、例えば、1以上5以下である。蓄冷材粒子のアスペクト比とは、蓄冷材粒子の短径に対する長径の比である。蓄冷材粒子の形状は、例えば、球状である。第2の実施形態の蓄冷材粒子は、例えば、相対密度が90%以上である。第2の実施形態の蓄冷材粒子の相対密度は93%以上であることが好ましく。95%以上であることがより好ましい。
【0106】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子から得られる蓄冷材粒子である。第2の実施形態の蓄冷材粒子は、希土類酸硫化物又は希土類酸化物を含む。蓄冷材粒子に含まれる希土類酸硫化物は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含む。また、蓄冷材粒子に含まれる希土類酸化物は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含む。
【0107】
第2の実施形態の蓄冷材粒子の2K以上10K以下の温度範囲における体積比熱の最大値は、例えば、0.5J/(cm・K)以上である。
【0108】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、例えば、一般式R2±0.11±0.1(式中、RはY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選ばれる少なくとも一つの希土類元素を示す)で示される希土類酸硫化物を含む。
【0109】
上記一般式で示される希土類酸硫化物において、選択された希土類元素によって体積比熱の最大値と、体積比熱の最大値を示す温度が異なる。このため、希土類元素の割合を適宜調整することで、希土類酸硫化物の比熱特性を調整することができる。希土類元素は、例えば、Gd、Tb、Dy、Ho、及びErからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である。希土類元素は、例えば、二種類以上の希土類元素を含んでもよい。
【0110】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、例えば、一般式R1±0.11±0.13±0.1(式中、RはY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素、MはAl、Cr、Mn及びFeからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を示す)で示される希土類酸化物を含む。
【0111】
上記一般式で示される希土類酸化物において、選択された希土類元素によって体積比熱の最大値と、体積比熱の最大値を示す温度が異なる。このため、希土類元素の割合を適宜調整することで、希土類酸化物の比熱特性を調整することができる。希土類元素は、例えば、Gd、Tb、Dy、Ho、及びErからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である。希土類元素は、例えば、二種類以上の希土類元素を含んでもよい。
【0112】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、又はジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。上記元素は、例えば、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101に含まれる焼結助剤に由来する元素である。
【0113】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、例えば、ホウ素(B)を含む。ホウ素(B)は、例えば、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101に含まれる焼結助剤に由来する。
【0114】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101の焼結助剤に由来する物質を、酸化物として含む。酸化物は、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、又は酸化ホウ素である。
【0115】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びホウ素(B)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を、0.01原子%以上20原子%以下含む。
【0116】
焼結助剤を構成していた上記元素は、比熱特性を発揮しない。そのため、上記元素の添加量が、蓄冷材粒子中で20原子%を超えると、蓄冷材粒子としての体積比熱が低下し、蓄冷器の蓄冷性能が低下し、冷凍機の冷凍能力が低下する。
【0117】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、例えば、2.5K以上10K以下の温度範囲における体積比熱が0.5J/(cm・K)以上である。また、第2の実施形態の蓄冷材粒子は、例えば、2K以上8K以下の温度範囲における体積比熱が0.55J/(cm・K)以上である。また、第2の実施形態の蓄冷材粒子は、例えば、4K以上7K以下の温度範囲における体積比熱が0.6J/(cm・K)以上である。
【0118】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、2K以上10K以下の温度範囲における体積比熱の最大値が0.5J/(cm・K)以上である。したがって、第2の実施形態の蓄冷材粒子は高い体積比熱を有する。第2の実施形態の蓄冷材粒子は、高い体積比熱を有するため、第2の実施形態の蓄冷材粒子を搭載した蓄冷器は、高い蓄冷性能を具備し、冷凍機は高い冷凍能力を発揮する。
【0119】
第2の実施形態の蓄冷材粒子の粒径は、例えば、50μm以上5mm以下である。蓄冷材粒子の粒径は、1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。蓄冷材粒子の粒径が上記下限値を上回ることで、蓄冷器中の蓄冷材粒子の充填密度が低くなり、ヘリウム等の作動媒質の圧力損失が低減し、冷凍機の冷凍性能が向上する。一方、蓄冷材粒子の粒径が上記上限値を下回ることで、蓄冷材粒子表面から粒子中心部までの距離が短くなり、作動媒質と蓄冷材粒子間での伝熱が蓄冷材中心部まで伝わりやすくなり、冷凍機の冷凍性能が向上する。
【0120】
蓄冷材粒子用造粒粒子の粒径は、円相当径である。円相当径は、光学顕微鏡画像又は走査電子顕微鏡画像(SEM画像)などの画像で観察される図形の面積に相当する真円の直径である。蓄冷材粒子用造粒粒子の粒径は、例えば、光学顕微鏡画像又はSEM画像の画像解析により求めることが可能である。
【0121】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、例えば、相対密度が90%以上である。第2の実施形態の蓄冷材粒子の相対密度は93%以上であることが好ましく。95%以上であることがより好ましい。
【0122】
第2の実施形態の蓄冷材粒子の相対密度は蓄冷材粒子50粒から求めた平均の焼結密度を構成物質の真密度で除算することで算出することができる。50粒の平均焼結密度は、蓄冷材粒子50粒の重量を、体積で除算することで求める。体積は、各粒子の円相当径を粒子の直径と仮定して求めた各粒子の体積を積算することで算出できる。
【0123】
第2の実施形態の蓄冷材粒子に含まれる希土類酸硫化物の結晶構造は、例えば、CeS型であり、その空間群はP-3mである。結晶構造は粉末X線回折測定や走査型電子顕微鏡を用いた電子線後方散乱回折像の観察、又は透過型電子顕微鏡観察などにより確認できる。
【0124】
第2の実施形態の蓄冷材粒子に含まれる希土類酸化物の結晶構造は、例えば、ペロブスカイト型であり、その空間群は、例えば、Pnmaである。また、空間群は、例えば、Pm-3mである。結晶構造及び空間群は粉末X線回折測定や走査型電子顕微鏡を用いた電子線後方散乱回折像の観察、又は透過型電子顕微鏡観察などにより確認できる。
【0125】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101に脱脂のための熱処理、焼結のための熱処理を行うことで、蓄冷材粒子が製造される。例えば、蓄冷材粒子用造粒粒子が酸化物の原料粉末を含む場合、脱脂のための熱処理の後、焼結のための熱処理の前に、蓄冷材粒子用造粒粒子に対して硫化のための熱処理を行う場合もある。
【0126】
脱脂の熱処理は、例えば、大気雰囲気中で行われる。脱脂の熱処理の温度は、例えば、400℃以上700℃以下である。また、脱脂の熱処理の時間は、例えば、30分以上6時間以下である。
【0127】
蓄冷材粒子用造粒粒子101の原料粉末101aに酸化物を使用し、酸硫化物を含む蓄冷材粒子を製造する場合、蓄冷材粒子用造粒粒子101の硫化を行う。この場合、硫化雰囲気で熱処理を行う。硫化雰囲気は、例えば、硫化水素(HS)、硫化炭素(CS)、又はメタンチオール(CHSH)等の酸化数が負の硫黄原子を含むガスを含む。硫化の熱処理の温度は、例えば、400℃以上600℃以下である。また、硫化の熱処理の時間は、例えば、1時間以上5時間以下である。
【0128】
脱脂後の造粒粒子、あるいは、得られた酸硫化物を焼結する熱処理は、例えば、不活性ガスの雰囲気で行う。熱処理温度は、例えば、1100℃以上2000℃以下である。熱処理温度は、例えば、1200℃以上1800℃以下である。熱処理時間は、例えば、1時間以上48時間以下である。
【0129】
蓄冷材粒子用造粒粒子101が、第一族元素、第二族元素、又は添加元素を含むと、焼結促進効果により焼結温度を低くし、焼結時間を短くすることができる。上記添加元素は、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びボロン(B)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である。
【0130】
第一族元素、第二族元素、又は添加元素を含む蓄冷材粒子用造粒粒子101を焼結する熱処理は、例えば、不活性ガスの雰囲気で行う。焼結の熱処理の温度は、例えば、1000℃以上2000℃以下である。焼結の熱処理の温度は、例えば、1100℃以上1700℃以下である。焼結の熱処理の時間は、例えば、1時間以上48時間以下である。
【0131】
第2の実施形態の蓄冷材粒子は、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101を焼結して製造される。このため、例えば、脱脂の熱処理の温度の低減、又は、脱脂の熱処理の時間を短縮することができる。また、例えば、硫化の熱処理の温度の低減、又は、硫化の熱処理の時間を短縮することができる。また、例えば、焼結の熱処理の温度の低減、又は、焼結の熱処理の時間を短縮することができる。よって、第2の実施形態の蓄冷材粒子の製造コストが低減する。
【0132】
また、第2の実施形態の蓄冷材粒子は、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子101を焼結して製造される。このため、例えば、有機成分が十分除去され、蓄冷材粒子に含まれる残留炭素量が低減され、蓄冷材粒子の熱伝導率が向上する。よって、第2の実施形態の蓄冷材粒子を用いた冷凍機の性能が向上する。
【0133】
第2の実施形態の蓄冷材粒子のアスペクト比は、例えば、1以上5以下であることが好ましい。蓄冷材粒子のアスペクト比は、例えば、1以上2以下であることがより好ましい。蓄冷材粒子のアスペクト比が上記上限値を下回ることで、蓄冷材粒子を蓄冷器に充填した際の空隙が均一になり、冷凍機の冷凍性能が向上する。
【0134】
以上、第2の実施形態によれば、製造コストを低減できる蓄冷材粒子が提供できる。
【0135】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の蓄冷器は、第2の実施形態の蓄冷材粒子が複数個、充填された蓄冷器である。第3の実施形態の蓄冷器は、例えば、充填された複数の第2の実施形態の蓄冷材粒子の、投影像の周囲長さをLとし、投影像の実面積をAとしたとき、4πA/Lで表される円形度Rが0.5以下の蓄冷材粒子の比率が5%以下である。
【0136】
円形度Rは、光学顕微鏡で複数の蓄冷材粒子の形状を画像処理することで、求めることができる。円形度Rが0.5以下の蓄冷材粒子は、表面に凹凸が存在する等の形状を表す。このような蓄冷材粒子を、5%を超えて含む複数の蓄冷材粒子が蓄冷器に充填されると、蓄冷器の中で、蓄冷材粒子が形成する空隙率が不均一となり、また充填性が不安定な状態となるため、作動媒質が流入した際、蓄冷性能が低下したり、蓄冷材粒子の充填時や、冷凍機の作動時に蓄冷材粒子にかかる応力によって、蓄冷材粒子が移動したり、破壊して微粒子を発生し、空隙を詰まらせる原因となり、冷凍機の冷凍性能や、長期信頼性を低下させる。円形度Rが0.5以下の蓄冷材粒子は、2%以下であることが好ましく、さらには、0%であることが好ましい。
【0137】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の冷凍機は、第2の実施形態の蓄冷材粒子が複数個、充填された第3の実施形態の蓄冷器を備える冷凍機である。以下、第2の実施形態、及び第3の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0138】
図2は、第2の実施形態の蓄冷材粒子及び第4の実施形態の冷凍機の要部構成を示す模式断面図である。図2は、第2の実施形態の蓄冷材粒子が複数個、充填された、第3の実施形態の蓄冷器を備える、第4の実施形態の冷凍機の一例であるGM冷凍機の要部構成を示す模式断面図である。第4の実施形態の冷凍機は、超電導機器などの冷却に用いられる2段式の蓄冷型極低温冷凍機100である。第2の実施形態の蓄冷材粒子が複数個、充填された蓄冷器は、前述のGM冷凍機の他、スターリング方式の冷凍機、またはパルスチューブ方式などの冷凍機であっても良い。
【0139】
蓄冷型極低温冷凍機100(冷凍機)は、第1シリンダ111、第2シリンダ112、真空容器113、第1蓄冷器114、第2蓄冷器115(蓄冷器)、第1シールリング116、第2シールリング117、第1蓄冷材118、第2蓄冷材119(蓄冷材粒子)、第1膨張室120、第2膨張室121、第1冷却ステージ122、第2冷却ステージ123、コンプレッサ124を備える。
【0140】
蓄冷型極低温冷凍機100は、大径の第1シリンダ111と、第1シリンダ111と同軸的に接続された小径の第2シリンダ112とが設置された真空容器113を有している。第1シリンダ111には第1蓄冷器114が往復運動自在に配置されている。第2シリンダ112には、第3の実施形態の蓄冷器の一例である第2蓄冷器115が往復運動自在に配置されている。
【0141】
第1シリンダ111と第1蓄冷器114との間には、第1シールリング116が配置されている。第2シリンダ112と第2蓄冷器115との間には、第2シールリング117が配置されている。
【0142】
第1蓄冷器114には、Cuメッシュなどの第1蓄冷材118が充填されている。第2蓄冷器115には、第2の実施形態の蓄冷材粒子が、複数個、第2蓄冷材119として充填されている。
【0143】
第2蓄冷器115は、金属メッシュ材で区分けされ、複数の蓄冷材充填層を具備しても良い。第2蓄冷器115を複数の充填層に分ける場合、少なくとも一つの充填層に複数個の第2の実施形態の蓄冷材粒子からなる蓄冷材粒子群を充填し、例えば、鉛蓄冷材粒子群、ビスマス蓄冷材粒子群、スズ蓄冷材粒子群、ホルミウム銅蓄冷材粒子群、エルビウムニッケル蓄冷材粒子群、エルビウムコバルト蓄冷材粒子群、及びガドリニウムアルミニウム酸化物蓄冷材粒子群から選ばれる少なくとも1種の蓄冷材粒子群と組み合わせる。
【0144】
蓄冷材の組合せは、比熱のピーク温度が高い方を第一の蓄冷材粒子群とし、比熱のピーク温度が低い方を第二の蓄冷材粒子群とし、比熱のピーク温度が順次低くなるように組み合わせていくものとする。
【0145】
2層タイプの場合、第一の蓄冷材粒子群にホルミウム銅蓄冷材粒子群、第二の蓄冷材粒子群に第2の実施形態に係る蓄冷材粒子群を使用する組合せなどが挙げられる。また、3層タイプの場合、第一の蓄冷材粒子群として鉛蓄冷材粒子群、ビスマス蓄冷材粒子群、及びスズ蓄冷材粒子群から選ばれる少なくとも1種の蓄冷材粒子群を使用し、第二の蓄冷材粒子群としてホルミウム銅蓄冷材粒子群を使用し、第三の蓄冷材粒子群として第2の実施形態に係る蓄冷材粒子群を使用する組合せなどが挙げられる。
【0146】
ホルミウム銅蓄冷材粒子は、例えばHoCuまたはHoCuであることが好ましい。エルビウムニッケル蓄冷材粒子は、例えばErNiまたはErNiであることが好ましい。
【0147】
第1蓄冷器114及び第2蓄冷器115は、第1蓄冷材118や第2蓄冷材119の間隙などに設けられた作動媒質の通路をそれぞれ有している。作動媒質は、ヘリウムガスである。
【0148】
第1蓄冷器114と第2蓄冷器115との間には、第1膨張室120が設けられている。また、第2蓄冷器115と第2シリンダ112の先端壁との間には、第2膨張室121が設けられている。そして、第1膨張室120の底部に第1冷却ステージ122が設けられている。また、第2膨張室121の底部に第1冷却ステージ122より低温の第2冷却ステージ123が形成されている。
【0149】
上述した2段式の蓄冷型極低温冷凍機100には、コンプレッサ124から高圧の作動媒質が供給される。供給された作動媒質は、第1蓄冷器114に充填された第1蓄冷材118間を通過して第1膨張室120に到達する。そして、第2蓄冷器115に充填された第2蓄冷材119間を通過して第2膨張室121に到達する。
【0150】
この際に、作動媒質は第1蓄冷材118及び第2蓄冷材119に熱エネルギーを供給して冷却される。第1蓄冷材118及び第2蓄冷材119の間を通過した作動媒質は、第1膨張室120及び第2膨張室121で膨張して寒冷を発生させる。そして、第1冷却ステージ122及び第2冷却ステージ123が冷却される。
【0151】
膨張した作動媒質は、第1蓄冷材118及び第2蓄冷材119の間を反対方向に流れる。作動媒質は第1蓄冷材118及び第2蓄冷材119から熱エネルギーを受け取った後に排出される。こうした過程で復熱効果が良好になるに従って作動媒質サイクルの熱効率が向上し、より一層低い温度が実現されるように蓄冷型極低温冷凍機100は構成されている。
【0152】
第4の実施形態の冷凍機が備える蓄冷器は、第2蓄冷器115に第2蓄冷材119として、第2の実施形態の蓄冷材粒子を、複数個、充填する。第2蓄冷材119の少なくとも一部が、第2の実施形態の蓄冷材粒子である。
【0153】
第2の実施形態の複数個の蓄冷材粒子は、蓄冷材粒子のそれぞれの投影像の周囲長をLとし、上記投影像の実面積をAとしたとき、4πA/Lで表される円形度Rが0.5以下のものが5%以下であることが好ましい。
【0154】
冷凍機の冷凍能力向上には、蓄冷材の単位体積当たりの比熱を向上させることと、熱伝導率及び熱伝達率を向上させることが望ましい。第4の実施形態の冷凍機は、体積比熱を維持し、熱伝導率及び熱伝達率を向上した蓄冷材、または蓄冷材粒子を具備する。
【0155】
第4の実施形態の冷凍機を、磁気浮上列車に利用することにより、磁気浮上列車の長期信頼性を向上させることができる。
【0156】
以上、第4の実施形態によれば、優れた特性を備えた蓄冷材粒子を用いることにより、優れた特性の冷凍機が実現できる。
【0157】
(第5の実施形態)
第5の実施形態のクライオポンプは、第4の実施形態の冷凍機を備える。以下、第4の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0158】
図3は、第5の実施形態のクライオポンプの概略構成を示す断面図である。第5の実施形態のクライオポンプは、第4の実施形態の蓄冷型極低温冷凍機100を備えるクライオポンプ500である。
【0159】
クライオポンプ500は、気体分子を凝縮又は吸着するクライオパネル501、クライオパネル501を所定の極低温に冷却する蓄冷型極低温冷凍機100、クライオパネル501と蓄冷型極低温冷凍機100の間に設けられたシールド503、吸気口に設けられたバッフル504、及び、アルゴン、窒素、水素等の排気速度を変化させるリング505を備える。
【0160】
第5の実施形態によれば、優れた特性の冷凍機を用いることで優れた特性のクライオポンプが実現できる。また、第5の実施形態のクライオポンプを半導体製造装置などに利用することにより、半導体製造装置の長期信頼性を向上させることができ、半導体製造装置のメンテナンス回数を削減することができる。その結果、製造する半導体の品質向上と、製造コストの低減に貢献する。
【0161】
(第6の実施形態)
第6の実施形態の超電導磁石は、第4の実施形態の冷凍機を備える。以下、第4の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0162】
図4は、第6の実施形態の超電導磁石の概略構成を示す斜視図である。第6の実施形態の超電導磁石は、第4の実施形態の蓄冷型極低温冷凍機100を備える、例えば磁気浮上列車用超電導磁石600である。
【0163】
磁気浮上列車用超電導磁石600は、超電導コイル601、この超電導コイル601を冷却するための液体ヘリウムタンク602、液体ヘリウムの揮散を防ぐ液体窒素タンク603、積層断熱材605、パワーリード606、永久電流スイッチ607、及び、蓄冷型極低温冷凍機100を備える。
【0164】
第5の実施形態によれば、優れた特性の冷凍機を用いることで優れた特性の超電導磁石が実現できる。
【0165】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の核磁気共鳴イメージング装置は、第4の実施形態の冷凍機を備える。以下、第4の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0166】
図5は、第7の実施形態の核磁気共鳴イメージング装置の概略構成を示す断面図である。第7の実施形態の核磁気共鳴イメージング(MRI)装置は、第4の実施形態の蓄冷型極低温冷凍機100を備える核磁気共鳴イメージング装置700である。
【0167】
核磁気共鳴イメージング装置700は、人体に対して空間的に均一で時間的に安定な静磁界を印加する超電導静磁界コイル701、発生磁界の不均一性を補正する図示を省略した補正コイル、測定領域に磁界勾配を与える傾斜磁界コイル702、ラジオ波送受信用プローブ703、クライオスタット705、及び、放射断熱シールド706を備える。そして、超電導静磁界コイル701の冷却用として、蓄冷型極低温冷凍機100が用いられている。
【0168】
第7の実施形態によれば、優れた特性の冷凍機を用いることで優れた特性の核磁気共鳴イメージング装置が実現できる。
【0169】
(第8の実施形態)
第8の実施形態の核磁気共鳴装置は、第4の実施形態の冷凍機を備える。以下、第4の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0170】
図6は、第7の実施形態の核磁気共鳴装置の概略構成を示す断面図である。第7の実施形態の核磁気共鳴(NMR)装置は、第3の実施形態の蓄冷型極低温冷凍機100を備える核磁気共鳴装置800である。
【0171】
核磁気共鳴装置800は、サンプル管801に入れられた有機物等のサンプルに磁界を印加する超電導静磁界コイル802、磁場中のサンプル管801にラジオ波を印加する高周波発振器803、サンプル管801の周りの図示しないコイルに発生する誘導電流を増幅する増幅器804を備える。また、超電導静磁界コイル802を冷却する蓄冷型極低温冷凍機100を備える。
【0172】
第8の実施形態によれば、優れた特性の冷凍機を用いることで優れた特性の核磁気共鳴装置が実現できる。
【0173】
(第9の実施形態)
第9の実施形態の磁界印加式単結晶引上げ装置は、第4の実施形態の冷凍機を備える。以下、第4の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0174】
図7は、第9の実施形態の磁界印加式単結晶引上げ装置の概略構成を示す斜視図である。第9の実施形態の磁界印加式単結晶引上げ装置は、第4の実施形態の蓄冷型極低温冷凍機100を備える磁界印加式単結晶引上げ装置900である。
【0175】
磁界印加式単結晶引上げ装置900は、原料溶融用るつぼ、ヒータ、単結晶引上げ機構等を有する単結晶引上げ部901、原料融液に対して静磁界を印加する超電導コイル902、単結晶引上げ部901の昇降機構903、電流リード905、熱シールド板906、及び、ヘリウム容器907を備える。そして、超電導コイル902の冷却用として、蓄冷型極低温冷凍機100が用いられている。
【0176】
第9の実施形態によれば、優れた特性の冷凍機を用いることで優れた特性の磁界印加式単結晶引上げ装置が実現できる。
【0177】
(第10の実施形態)
第10の実施形態のヘリウム再凝縮装置は、第4の実施形態の冷凍機を備える。以下、第4の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0178】
図8は、第10の実施形態のヘリウム再凝縮装置の概略構成を示す模式図である。第10の実施形態のヘリウム再凝縮装置は、第4の実施形態の蓄冷型極低温冷凍機100を備えるヘリウム再凝縮装置1000である。
【0179】
ヘリウム再凝縮装置1000は、蓄冷型極低温冷凍機100、蒸発配管1001、及び液化配管1002を備える。
【0180】
ヘリウム再凝縮装置1000は、液体ヘリウムを使用する装置、例えば、超電導磁石、核磁気共鳴(NMR)装置、核磁気共鳴イメージング(MRI)装置、物理特性測定システム(PPMS)、あるいは磁気特性測定システム等の超電導磁石を使用する装置が具備する液体ヘリウム装置から蒸発するヘリウムガスを再凝縮して、液体ヘリウムとすることができる。
【0181】
図示しない液体ヘリウム装置から、蒸発配管1001を通ってヘリウムガスがヘリウム再凝縮装置1000に導入される。ヘリウムガスは、蓄冷型極低温冷凍機100により、ヘリウムの液化温度以下の4Kへ冷却される。凝縮液化した液体ヘリウムが、液化配管1002を通って、液体ヘリウム装置に戻る。
【0182】
第10の実施形態によれば、優れた特性の冷凍機を用いることで優れた特性のヘリウム再凝縮装置が実現できる。
【実施例0183】
以下、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子、及び第2の実施形態の蓄冷材粒子にかかる実施例、比較例、及び、それらの評価結果について説明する。
【0184】
(実施例1)
Gd粉末をボールミルで24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.4mm~0.6mmの蓄冷材粒子用造粒粒子を調製した。このとき、バインダにはポリビニルアルコールを使用し、原料粉末に対して1.2重量%となるように加えた。蓄冷材粒子用造粒粒子の炭素濃度は0.99重量%だった。蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度は34%だった。
【0185】
蓄冷材粒子用造粒粒子の強度を評価するため、造粒粒子をφ15mm、高さ5mmの円筒容器に充填した。このとき、蓄冷材粒子用造粒粒子が円筒容器の中で固定され、自由に動かないように十分な量の蓄冷材粒子用造粒粒子を充填した。容器に対して振幅2mm、最大加速度200m/sの単振動を1×10回加えた。その結果、破壊した蓄冷材粒子用造粒粒子の割合は0.1重量%未満だった。
【0186】
蓄冷材粒子用造粒粒子に対し、大気雰囲気下で600℃、2時間の脱脂を行った。脱脂後の蓄冷材粒子用造粒粒子は、炭素濃度が0.51重量%であり、相対密度は40%だった。蓄冷材粒子用造粒粒子に対し、硫化水素(HS)を含む雰囲気中で、600℃、2時間の熱処理を行い、造粒粒子を硫化した。その後、不活性ガスの雰囲気中で、1300℃、12時間の熱処理を行い、蓄冷材粒子用造粒粒子を焼結し、蓄冷材粒子を製造した。
【0187】
実施例1の蓄冷材粒子の主たる構成要素は酸硫化ガドリニウムである。
【0188】
なお、以下の実施例及び比較例において、原料粉末の混合時間、脱脂の熱処理の条件、硫化の熱処理の条件、焼結の熱処理の条件等は適切な条件となるように調整している。
【0189】
(実施例2)
原料粉末として、Gd粉末とNaCO粉末の混合物を使用したこと以外は実施例1と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0190】
(実施例3)
NaCO粉末の代わりにKCO粉末を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0191】
(実施例4)
NaCO粉末の代わりにCaCO粉末を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0192】
(実施例5)
NaCO粉末の代わりにMgCO粉末を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0193】
(実施例6)
NaCO粉末の代わりにSrCO粉末を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0194】
(実施例7)
NaCO粉末に加えて、CaCO粉末を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0195】
(実施例8)
CaCO粉末の代わりに、MgCO粉末を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0196】
(実施例9)
CaCO粉末の代わりに、SrCO粉末を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0197】
(実施例10)
Gd粉末の代わりにHo粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0198】
(実施例11)
NaCO粉末に加え、KCO粉末を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0199】
(実施例12)
NaCO粉末に加え、KCO粉末及びCaCO粉末を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0200】
(実施例13~15)
NaCO粉末の重量を変えたこと以外は、実施例2と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0201】
(実施例16~18)
CaCO粉末の重量を変えたこと以外は、実施例7と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0202】
(実施例19)
Gd粉末の一部をHoに変更したこと以外は、実施例2と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0203】
(実施例20)
Gd粉末の代わりにGdS粉末を用い、硫化を施さなかったこと以外は、実施例1と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0204】
(実施例21)
Gd粉末をアルギン酸ナトリウム水溶液に加え、24時間混合することでスラリーを作成した。また、原料粉末のアルギン酸水溶液に対する重量の割合は、0.5倍とした。作成したスラリーを、ゲル化溶液である乳酸カルシウム水溶液に滴下した。スラリーの滴下にはシリンジを用いた。
【0205】
シリンジの口径は510μm、シリンジの先端から乳酸カルシウム水溶液の液面までの距離は100mmとした。シリンジで滴下したスラリーをゲル化溶液中に5時間保持した。
【0206】
その後、ゲル化した蓄冷材粒子用造粒粒子を純水で洗浄した。蓄冷材粒子用造粒粒子を洗浄した後、乾燥させた。蓄冷材粒子用造粒粒子のナトリウム濃度は0.83原子% であり、炭素濃度は0.5重量%であった。蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度は27%だった。蓄冷材粒子用造粒粒子の乾燥後、脱脂、硫化と焼結を行った。
【0207】
蓄冷材粒子用造粒粒子に対し、大気雰囲気下で500℃、2時間の脱脂を行った。脱脂後の蓄冷材粒子用造粒粒子のナトリウム濃度は1.0原子%であり、炭素濃度は0.25重量%であり、相対密度は30%だった。脱脂後、硫化水素(HS)を含む雰囲気中で、600℃、2時間の熱処理を行い、蓄冷材粒子用造粒粒子を硫化した。不活性ガスの雰囲気中で、1300℃、12時間の熱処理を行い、蓄冷材粒子用造粒粒子を焼結し蓄冷材粒子を製造した。
【0208】
実施例21の蓄冷材粒子の主たる構成要素は酸硫化ガドリニウムである。実施例21の蓄冷材粒子の中のナトリウム濃度は1.1原子%であった。
【0209】
(実施例22~24)
原料粉末とアルギン酸ナトリウム水溶液の割合を変えることで、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度を変えたこと、及び、洗浄時間及び回数を変えることでナトリウム及びカルシウムを除去したこと以外は実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0210】
(実施例25~26)
アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度を変えることで、蓄冷材粒子用造粒粒子に含まれる炭素の濃度を変えて、洗浄時間を調整したこと以外は実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0211】
(実施例27)
乳酸カルシウム水溶液の代わりに塩化マグネシウム水溶液を用いたこと以外は、実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0212】
(実施例28)
乳酸カルシウム水溶液の代わりに塩化ストロンチウム水溶液を用いたこと以外は、実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0213】
(実施例29)
スラリーの滴下方法としてシリンジではなくエアパルス式ディスペンサーを用いたこと以外は、実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。ノズルの口径を510μm、ノズルの先端から乳酸カルシウム水溶液の液面までの距離は100mmとした。
【0214】
(実施例30)
スラリーの滴下方法としてシリンジではなくピエゾ式ディスペンサーを用いたこと以外は、実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。ノズルの口径は510μm、ノズルの先端から乳酸カルシウム水溶液の液面までの距離は100mmとした。
【0215】
(実施例31)
スラリーの滴下方法としてシリンジではなくコンティニュアス型インクジェットを用いたこと以外は、実施例21と同様にして蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0216】
(実施例32~37)
実施例32~37の蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子は、粒径又はアスペクト比が、実施例21の蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子と異なる。実施例32~37の蓄冷材粒子用造粒粒子を製造する際、実施例21の蓄冷材粒子用造粒粒子を製造する場合に対し、シリンジの口径及びシリンジの先端からゲル化溶液の表面までの距離を変化させた。
【0217】
(実施例38)
原料粉末とアルギン酸ナトリウム水溶液の割合を変えることで、相対密度を11%にしたこと、及び、浸漬時間、洗浄時間及び回数を変えることでカルシウムのみを除去したこと以外は実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0218】
(実施例39)
原料粉末とアルギン酸ナトリウム水溶液の割合を変えることで、相対密度を11%にしたこと、及び、浸漬時間、洗浄時間及び回数を変えることでナトリウムのみを除去したこと以外は実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。
【0219】
(実施例40)
原料粉末にAl粉末も用いた以外は、実施例22と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。Al粉末は蓄冷材粒子に含まれるAlが15原子%となるように加えた。
【0220】
(実施例41)
原料粉末にAl粉末も用いた以外は、実施例38と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。Al粉末は蓄冷材粒子に含まれるAlが15原子%となるように加えた。
【0221】
(実施例42)
原料粉末とアルギン酸ナトリウム水溶液の割合を変えることで、相対密度を11%にしたこと、及び、原料粉末にAl粉末も用いた以外は、実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。Al粉末は蓄冷材粒子に含まれるAlが15原子%となるように加えた。
【0222】
(実施例43)
原料粉末とアルギン酸ナトリウム水溶液の割合を変えることで、相対密度を11%にしたこと、及び、乳酸カルシウム水溶液の代わりに塩化アルミニウム水溶液を用いたこと以外は、実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。蓄冷材粒子中に含まれるAlの量が0.01原子%となるように加えた。
【0223】
(実施例44)
原料粉末とアルギン酸ナトリウム水溶液の割合を変えることで、相対密度を11%にしたこと、及び乳酸カルシウム水溶液に加え塩化アルミニウム水溶液を用いたこと以外は、実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。蓄冷材粒子中に含まれるAlの量が0.01原子%となるように加えた。
【0224】
(実施例45)
原料粉末とアルギン酸ナトリウム水溶液の割合を変えることで、相対密度を11%にしたこと、及び乳酸カルシウム水溶液に加え塩化アルミニウム水溶液を用いたこと以外は、実施例21と同様にして、蓄冷材用粒子用造粒粒子、及び蓄冷材粒子を製造した。蓄冷材粒子中に含まれるAlの量が20原子%となるように加えた。
(実施例46)
原料粉末にGd粉末とAl粉末を使用し、硫化水素(HS)を含む雰囲気中での熱処理を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。蓄冷材粒子の主たる構成要素はGdAlOである。
【0225】
(実施例47)
原料粉末にGd粉末とAl粉末を使用し、硫化水素(HS)を含む雰囲気中での熱処理を行わないこと以外は、実施例2と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。主たる構成要素はGdAlOである。
【0226】
(実施例48)
原料粉末にGd粉末とAl粉末を使用し、硫化水素(HS)を含む雰囲気中での熱処理を行わないこと以外は、実施例21と同様にして、蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造した。主たる構成要素はGdAlOである。
【0227】
(比較例1)
比較例1の蓄冷材粒子用造粒粒子は、相対密度が9%と少ない点で、実施例21の蓄冷材粒子用造粒粒子と異なる。比較例1の蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造する際、実施例21の蓄冷材粒子用造粒粒子を製造する場合に対し、原料粉末の量を減らした。
【0228】
(比較例2)
比較例2の蓄冷材粒子用造粒粒子は、相対密度が51%と多い点で、実施例21の蓄冷材粒子用造粒粒子と異なる。比較例2の蓄冷材粒子用造粒粒子を製造する際、実施例21の蓄冷材粒子用造粒粒子を製造する場合に対し、原料粉末の重量を増やした。
【0229】
(比較例3)
比較例3の蓄冷材粒子用造粒粒子は、炭素濃度が0.0004重量%と少ない点で、実施例21の蓄冷材粒子用造粒粒子と異なる。比較例3の蓄冷材粒子用造粒粒子を製造する際、実施例21の蓄冷材粒子用造粒粒子を製造する場合に対し、アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度を減らした。
【0230】
(比較例4)
比較例4の蓄冷材粒子用造粒粒子は、炭素濃度が51重量%と多い点で、実施例21の蓄冷材粒子用造粒粒子と異なる。比較例4の蓄冷材粒子用造粒粒子を製造する際、実施例21の蓄冷材粒子用造粒粒子を製造する場合に対し、アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度を増やした。
【0231】
(比較例5)
比較例5の蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子は、蓄冷材粒子中に含まれるAlが65原子%と多い点で実施例41と異なる。比較例5の蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造する際、実施例41の蓄冷材粒子用造粒粒子及び蓄冷材粒子を製造する場合に対し、Al粉末の重量を増やした。
【0232】
各実施例及び比較例に係る蓄冷材粒子用造粒粒子、及び、蓄冷材粒子について、蓄冷材粒子用造粒粒子の強度及び蓄冷材粒子の相対密度及び比熱を測定した。結果を表1、表2、及び表3に示す。なお、表1においては、蓄冷材粒子用造粒粒子を「造粒粒子」、蓄冷材粒子用造粒粒子から製造された蓄冷材粒子を「蓄冷材粒子」と表記している。
【0233】
【表1】
【0234】
【表2】
【0235】
【表3】
【0236】
比較例1のように、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が10%未満になると造粒粒子を球状として回収することができない。これは、相対密度が10%未満では蓄冷材粒子用造粒粒子に含まれる空隙の割合が多いために、蓄冷材粒子用造粒粒子の強度が著しく低下したためと考えられる。
【0237】
比較例2のように、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が50%を超える場合、製造される蓄冷材粒子の相対密度が著しく低下し、比熱も著しく低下した。これは、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が50%を超える場合、蓄冷材粒子用造粒粒子に含まれる有機成分が十分に除去できず、蓄冷材粒子の焼結性が損なわれたためだと考えられる。
【0238】
比較例3の結果より、蓄冷材粒子用造粒粒子の炭素濃度が0.001重量%未満となると、蓄冷材粒子用造粒粒子の強度が低下する。このため、蓄冷材粒子用造粒粒子は取り扱い時に容易に破壊され、収率が顕著に低下する。
【0239】
比較例4の結果より、蓄冷材粒子用造粒粒子の炭素濃度が50重量%を超える場合、焼結後の蓄冷材粒子の相対密度が著しく低下し、比熱も著しく低下する。これは、造粒粒子に含まれる有機成分が十分に除去できず、炭素が多く残留したため、蓄冷材粒子の焼結性が損なわれたためだと考えられる。
【0240】
実施例22~24から、第一族元素又は第二族元素を含まない場合、相対密度が15%以上50%以下の場合の方が、相対密度10%以上15%以下の時に比べ、蓄冷材粒子の相対密度が向上し、比熱も向上することが分かる。これは、相対密度が低すぎると、原料粉末同士の接触点の数が低下し、蓄冷材粒子の焼結性が低下するためだと考えられる。
【0241】
実施例38及び実施例39から、第一族元素又は第二族元素を含むと、相対密度が10%以上15%以下であっても、蓄冷材粒子の相対密度が向上し、比熱も向上することが分かる。これは、第一族元素及び第二族元素の焼結促進効果によるものだと考えられる。
【0242】
実施例40~45の通り、相対密度が10%以上15%以下であっても、焼結助剤を含むと焼結粒子の相対密度が向上することが分かる。これは、焼結助剤の焼結促進効果によるものだと考えられる。相対密度が10%未満となると、焼結助剤を含んでいても蓄冷材粒子の相対密度が低くなり、比熱も小さくなる。
【0243】
比較例5の結果より、焼結助剤に由来する添加元素の原子濃度が、60原子%を超えて大きいと、蓄冷材粒子の比熱が低下することが分かる。
【0244】
実施例46~48の通り、硫化水素雰囲気中での熱処理をしないことで、蓄冷材粒子の主たる構成要素がGdAlOであっても、蓄冷材粒子用造粒粒子の相対密度が10%以上50%以下であれば、主たる構成要素が酸硫化ガドリニウムの時と同様の効果を示すことが分かる。
【0245】
以上の実施例により、第1の実施形態の蓄冷材粒子用造粒粒子及び第2の実施形態の蓄冷材粒子の奏する効果が確認された。
【0246】
ディスペンサーとしてエアパルス式ディスペンサー、あるいは、ピエゾ式ディスペンサーの場合を例に説明したが、ブランジャー式ディスペンサーを用いても構わない。
【0247】
インクジェットとしてコンティニュアス型インクジェットの場合を例に説明したが、オンデマンド型インクジェットを用いても構わない。
【0248】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0249】
100 蓄冷型極低温冷凍機(冷凍機)
101 蓄冷材粒子用造粒粒子
115 第2蓄冷器(蓄冷器)
119 第2蓄冷材(蓄冷材粒子)
500 クライオポンプ
600 超電導磁石
700 核磁気共鳴イメージング装置
800 核磁気共鳴装置
900 磁界印加式単結晶引上げ装置
1000 ヘリウム再凝縮装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8