(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002830
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】画像処理システム、画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20241226BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20241226BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20241226BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G06F3/01 510
G06F3/04815
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103193
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】517040102
【氏名又は名称】PwCコンサルティング合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100163902
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 奈月
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 慧
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智広
(72)【発明者】
【氏名】南 政樹
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA06
5B050BA09
5B050BA11
5B050BA13
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA04
5B050EA19
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA05
5E555AA27
5E555AA59
5E555AA64
5E555BA08
5E555BA18
5E555BA22
5E555BA87
5E555BB08
5E555BB18
5E555BB22
5E555BE16
5E555BE17
5E555CA42
5E555CB47
5E555DA08
5E555DA09
5E555DB37
5E555DB57
5E555DC09
5E555DC43
5E555DD08
5E555EA05
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】条件に応じて画像を処理する。
【解決手段】画像処理システムは、ユーザに装着されるディスプレイと、演算回路を含み、ユーザの属性に応じた映像をディスプレイに表示させる画像処理装置と、を備える画像処理システムであって、演算回路は、周辺環境の映像を取得し、ユーザの属性を取得し、ユーザの属性に応じて、周辺環境の一部を、周辺環境の構造とは異なる構造に見えるように加工する加工方法を決定し、決定された加工方法に従って、映像の一部を加工し、加工された映像をディスプレイに表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに装着されるディスプレイと、演算回路を含み、ユーザの属性に応じた映像を前記ディスプレイに表示させる画像処理装置と、を備える画像処理システムであって、
前記演算回路は、
周辺環境の映像を取得し、
ユーザの属性を取得し、
前記ユーザの属性に応じて、前記周辺環境の一部を、前記周辺環境の構造とは異なる構造に見えるように加工する加工方法を決定し、
決定された前記加工方法に従って、前記映像の一部を加工し、
加工された映像を前記ディスプレイに表示させる
画像処理システム。
【請求項2】
演算回路を含み、ユーザの属性に応じた映像をディスプレイに表示させる画像処理装置であって、
前記演算回路は、
周辺環境の映像を取得し、
ユーザの属性を取得し、
前記ユーザの属性に応じて、前記周辺環境の一部を、前記周辺環境の構造とは異なる構造に見えるように加工する加工方法を決定し、
決定された前記加工方法に従って、前記映像の一部を加工し、
加工された映像を前記ディスプレイに表示させる
画像処理装置。
【請求項3】
前記演算回路は、
前記加工方法を決定する前に、前記ユーザの属性に応じて、前記ユーザに最適な前記周辺環境を特定し、
前記加工方法は、
前記特定された周辺環境の一部を加工する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定された周辺環境は、前記ユーザが移動可能な移動ルートであって、
前記加工方法は、
当該移動ルートでの移動を前記ユーザに促すように前記移動ルートの一部を加工する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記演算回路は、
前記ユーザが前記特定された周辺環境へ向けて移動しなかった場合に、前記加工を継続する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記演算回路は、
前記ユーザの属性に応じて、前記特定された周辺環境の前記加工方法を決定する
請求項3ないし5のいずれか1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ディスプレイは、歩行する前記ユーザに装着されるウェアラブル装置であって、
前記ユーザの属性は、前記ユーザに求められる運動強度に関する情報を含み、
前記演算回路は、
運動強度が異なる複数の異なる歩行のルートを含み、前記ルートのそれぞれにルートを移動する場合に要する運動強度が関連付けられる空間の三次元情報を記憶する記憶装置にアクセス可能であって、
前記加工方法の決定において、前記空間の三次元情報を参照し、前記ユーザに求められる運動強度と最も近い運動強度となるルートを選択し、
前記映像の加工において、前記周辺環境に現実に含まれる物理的な構造とは異なるように表示されるとともに、選択された前記ルートの運動強度が、選択されていない前記ルートの運動強度よりも少なく表示されるように、前記映像の一部を加工する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
記憶装置及び演算回路を含み、ユーザによって制御される移動体の移動環境をディスプレイに表示させる画像処理装置であって、
前記演算回路は、
周辺環境の映像を取得し、
移動体の移動ルートに関する環境を示す環境条件を取得し、
前記環境条件と、前記記憶装置に記憶される複数のルートの状態とを比較して、前記移動体に最適な移動ルートを選択し、
当該選択された移動ルートでの移動を促すように前記映像の一部を加工し、
加工された映像を前記ディスプレイに表示させる
画像処理装置。
【請求項9】
演算回路を含み、ユーザの姿勢情報を含むユーザの属性に応じた映像をディスプレイに表示させる画像処理装置であって、
前記演算回路は、
ユーザの属性を取得し、
予め定められる理想的な姿勢と、前記ユーザの姿勢情報とを比較して、前記ユーザの姿勢の改善の要否を判定し、
前記ユーザの姿勢の改善の必要があるとき、前記映像の加工において、前記ユーザに姿勢の修正を促すように、前記映像の一部を、前記映像の構造とは異なる構造に見えるように加工する加工方法を決定し、
決定された前記加工方法に従って、前記映像の一部を加工し、
加工された映像を前記ディスプレイに表示させる
画像処理装置。
【請求項10】
演算回路を含み、ユーザの嗜好を含むユーザの属性に応じた映像をディスプレイに表示させる画像処理装置であって、
前記映像は、ユーザの嗜好と、当該嗜好に応じて表示される異なる複数の状態が関連付けられ、
前記演算回路は、
ユーザの属性を取得し、
前記ユーザの嗜好に関連付けられる状態を選択し、前記映像の一部を、前記映像の構造とは異なる構造に見えるように加工する加工方法を決定し、
決定された前記加工方法に従って、前記映像の一部を加工し、
加工された映像を前記ディスプレイに表示させる
画像処理装置。
【請求項11】
演算回路を含む画像処理装置で実行され、ユーザの属性に応じた映像をディスプレイに表示させる画像処理方法であって、
前記演算回路は、
周辺環境の映像を取得し、
ユーザの属性を取得し、
前記ユーザの属性に応じて、前記周辺環境の一部を、前記周辺環境の構造とは異なる構造に見えるように加工する加工方法を決定し、
決定された前記加工方法に従って、前記映像の一部を加工し、
加工された映像を前記ディスプレイに表示させる
画像処理方法。
【請求項12】
前記演算回路は、
前記ユーザが前記加工方法に従って加工された一部を有する周辺構造に近づいた場合、前記加工された周辺構造の一部を、前記加工前の周辺構造に戻すように再加工する再加工方法を決定し、
決定された前記再加工方法に従って、前記映像の一部を再加工し、
再加工された映像を前記ディスプレイに表示させる
請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項13】
情報処理装置に、請求項11または12に記載の画像処理方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイに表示する画像を処理する画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報技術の進歩やビッグデータの利用の拡大に伴い、ユーザの嗜好や環境の条件等に合わせた情報の選択やリコメンドが盛んとなっている。例えば、ECサイトでは、顧客の嗜好を分析して商品をリコメンドする。また、自動車の搭乗者に、効果的に情報を提供する技術もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リコメンドの方法やタイミングには種々あるが、例えば、ユーザが自然にリコメンドされた情報を受け入れることができると、ユーザにとっても満足度が高くなるため理想的である。
【0005】
上記に鑑み、本発明は、条件に応じて画像を処理する画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る画像処理システムは、ディスプレイにアクセス可能な演算回路を含み、ユーザの属性に応じた映像を前記ディスプレイに表示させる画像処理システムであって、前記演算回路は、周辺環境の映像を取得し、ユーザの属性を取得し、前記ユーザの属性に応じて、前記周辺環境の一部を、前記周辺環境の構造とは異なる構造に見えるように加工する加工方法を決定し、決定された前記加工方法に従って、前記映像の一部を加工し、加工された映像を前記ディスプレイに表示させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラムは、条件に応じて画像を処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2A】第1実施形態に係る画像処理システムで処理される前の画像例である。
【
図3】
図1のウェアラブル装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図1の画像処理装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係る画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】
図5の画像処理装置における処理の一例を示すフローチャートである
【
図7】第3実施形態に係る画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】
図7のウェアラブル装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図7の画像処理装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本開示に係る画像処理システム、画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラムについて説明する。本開示の画像処理システムは、取得する条件に応じて、画像を処理する。なお、以下の説明では、同一の構成について、同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
[第1実施形態:移動する人間のルートを誘導する際の画像処理]
〈画像処理システム〉
図1に示す第1実施形態に係る画像処理システム1Aは、受け付ける条件に応じて、ユーザの行動を誘導するように画像を処理する。第1実施形態に係る画像処理システム1Aは、
図1に示すように、画像処理装置10Aと、ウェアラブル装置20Aとがネットワーク30を介して接続される。ウェアラブル装置20Aは、移動可能なユーザに装着される。画像処理装置10Aの演算回路11は、周辺環境の映像を取得し、ユーザの属性を取得し、ユーザの属性に応じて、周辺環境の一部を、周辺環境の構造とは異なる構造に見えるように加工する加工方法を決定し、決定された加工方法に従って、三次元映像の一部を加工し、加工された三次元映像をウェアラブル装置20Aのディスプレイ24に表示させる。ここで、ユーザの属性は、ユーザに求められる運動強度に関する情報を含み、演算回路11は、記憶装置12に記憶される、異なる運動強度が必要とされる複数の異なるルートを含む空間の三次元情報を参照し、ユーザに求められる運動強度と最も近い運動強度となるルートを選択し、ユーザに選択したルートの選択を促すように周辺環境の映像を加工する。これにより、ウェアラブル装置20Aで周辺環境の映像を観ながら移動するユーザは、自然にユーザにとって好ましいルートで移動することができる。
【0011】
以下では、画像処理システム1Aは、身体のリハビリテーション(以下、「リハビリ」とする)を行う際に、歩行がプログラムに組み込まれた一例で説明する。具体的には、患者のリハビリを担当する医療従事者、例えば、理学療法士がオペレータとなって画像処理装置10Aを操作し、リハビリを受ける患者がユーザとなってウェアラブル装置20Aを着用して、リハビリで利用される空間を歩行する一例で説明する。したがって、以下の例では、ユーザに好ましいルートは、リハビリの観点でユーザの運動能力の回復のために好ましいルートである。
【0012】
なお、
図1に示す例では、画像処理システム1Aは、画像処理装置10Aとウェアラブル装置20Aとを含む例で説明するが、これに限定されない。例えば、ウェアラブル装置20A内の記憶装置22で必要な情報を記憶しており、ウェアラブル装置20A内の演算回路21で必要な処理を実行可能であれば、ウェアラブル装置20Aに画像処理装置10Aが一体化されていてもよい。
【0013】
《ウェアラブル装置》
ウェアラブル装置20Aは、例えば、ヘッドマウントディスプレイやスマートグラス等のユーザの頭部に装着し、ユーザの目の前にディスプレイを備える。例えば、このウェアラブル装置20Aは、周辺環境を表す映像を表示可能であるため、例えば、いわゆる、光学シースルー型又は、ビデオシースルー型の装置である。光学シースルー型である場合、ウェアラブル装置20Aは、レンズを通してユーザが視認できる周辺環境の映像に、ユーザが好ましいルートを選択するために一部の情報が追加された映像を表示する。ビデオシースルー型である場合、ウェアラブル装置20Aは、内蔵のカメラで撮影される周辺環境の映像に、ユーザの属性に応じた好ましいルートを選択するために一部の情報が加工された映像を表示する。なお、以下では、ウェアラブル装置20Aがビデオシースルー型である一例で説明する。例えば、一部の情報は、画像を構成する一部の形状であってもよいし、明度や色彩であってもよいし、マークや文字等がであってもよい。したがって、例えば、本開示のウェアラブル装置20Aの利用によって、複合現実(MR)や拡張現実(AR)を実現することができる。
【0014】
図1に示すように、ウェアラブル装置20Aは、演算回路21と、記憶装置22と、入力装置23と、出力装置であるディスプレイ24及びスピーカ25と、通信回路26と、センサ29と、カメラ28とを備えることができる。
【0015】
演算回路21は、ウェアラブル装置20A全体の制御を司るコントローラである。演算回路21は、記憶装置22に記憶されるコンピュータプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。また、演算回路21は、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。例えば、演算回路21は、CPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサであってもよい。
【0016】
記憶装置22は、種々の情報を記録する記憶媒体である。記憶装置22は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶装置22は、映像の表示処理の過程で利用される種々のデータを記憶する。例えば、記憶装置22は、通信回路26を介して画像処理装置10Aから受信するデータ、センサ29、カメラ28、GPS受信機27で得られるデータ等を記憶する。
【0017】
入力装置23は、例えば、ウェアラブル装置20Aの電源のオンオフや、種々の調整用や操作用の信号等の入力に利用可能な操作ボタンである。
【0018】
ディスプレイ24は、ウェアラブル装置20Aを装着するユーザに視認可能な映像を表示する。ここで、ディスプレイ24は、視差が考慮された一組の右眼用と左眼用の映像をそれぞれ表示する右眼用のディスプレイと左眼用のディスプレイとを含むことができる。
【0019】
スピーカ25は、音声を出力する必要がある場合にウェアラブル装置20Aに備えられる。
【0020】
通信回路26は、画像処理装置10A等の外部の装置とのデータ通信を可能とする。データ通信は、ネットワーク30を介して無線及び/又は有線による公知の通信規格にしたがって行われ得る。例えば、有線によるデータ通信は、イーサネット(登録商標)規格、及び/又はUSB(登録商標)規格等に準拠して動作する半導体集積回路の通信コントローラを通信回路15として用いることによって行われる。また無線によるデータ通信は、LAN(Local Area Network)に関するIEEE802.11規格、及び/又は移動体通信に関する、いわゆる4G/5Gと呼ばれる、第4世代/第5世代移動通信システム等に準拠して動作する半導体集積回路の通信コントローラを通信回路15として用いることによって行われる。
【0021】
GPS受信機27は、衛星測位システムであるグローバルポジショニングシステム(GPS)の複数の衛星から送信される信号を受信し、ウェアラブル装置20Aの位置を算出する。これにより、演算回路21は、ウェアラブル装置20Aを装着するユーザの位置を取得することができる。
【0022】
カメラ28は、ウェアラブル装置20Aの周辺環境を撮影する。
【0023】
演算回路21は、所定のタイミングで、GPS受信機27を介して、ウェアラブル装置20Aの現在地を取得する。演算回路21は、例えば、ユーザの移動の開始のタイミングで現在地を取得してもよいし、その後の移動が終了するまでの定期的なタイミングで現在地を取得してもよいし、現在地を逐次取得してもよい。また、演算回路21は、取得した現在地を、通信回路26を介して画像処理装置10Aに送信する。
【0024】
演算回路21は、ウェアラブル装置20Aの利用が開始されると、カメラ28によって、周辺環境の映像を取得する。また、演算回路21は、取得した映像を、通信回路26を介して画像処理装置10Aに送信する。
【0025】
演算回路21は、通信回路26を介して、画像処理装置10Aから映像を受信する。また、演算回路21は、受信した映像をディスプレイ24に表示する。ここで、映像は、カメラ28で撮影された周辺環境の映像に、ユーザ毎の条件に応じて、ユーザが好ましいルートで移動するように一部の情報が加工された信号である。
【0026】
《画像処理装置》
図1に示すように、画像処理装置10Aは、演算回路11と、記憶装置12と、入力装置13と、出力装置14と、通信回路15とを備えることができる。
【0027】
演算回路11は、演算回路21と同様の構成であって、画像処理装置10A全体の制御を司るコントローラである。演算回路11は、記憶装置12に記憶されるコンピュータプログラムP1を実行することにより各種の処理を実行する。
【0028】
入力装置13は、操作信号や必要な情報の入力に利用される操作ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロフォン等である。また、出力装置14は、処理結果やデータの出力に利用されるディスプレイ、スピーカ等である。
【0029】
通信回路15は、通信回路26と同様の構成であって、ウェアラブル装置20A等の外部の装置とのデータ通信を可能とする。
【0030】
記憶装置12は、記憶装置22度同様の構成であって、種々の情報を記録する記憶媒体である。記憶装置12は、画像処理装置10Aの実行に利用されるコンピュータプログラムP1に加え、映像の表示処理の過程で利用される種々のデータを記憶する。例えば、記憶装置12は、予め、空間情報D1等を記憶することができる。また、画像処理を実行する過程でウェアラブル装置20Aから受信するデータを記憶することができる。
【0031】
空間情報D1は、ウェアラブル装置20Aの移動の対象となる三次元空間を示す情報である。具体的には、空間情報D1は、空間で取得された三次元点群データであり得る。この空間情報D1を利用することで、複数のルートが示されるとともに、複数のルートを移動する際の条件が示される。例えば、空間情報D1により、各ルートの起伏が特定される。また、空間情報D1は、三次元点群データに加え、空間の各点を示す情報を含んでもよい。例えば、空間上のある点に存在する物体や施設の名称やカテゴリ等の情報を含むことができる。さらに、空間情報D1は、後述するユーザの属性に応じて当該ユーザが誘導されるべき周辺環境に関する情報をあらかじめ有してもよい。例えば、空間情報D1は、特定の属性を有するユーザに対してのみ、周辺環境の一部を加工するという情報を有してもよい。
【0032】
演算回路11は、オペレータの操作に従って、入力装置13を介して、ユーザの属性を受け付ける。演算回路11は、受け付けたユーザの属性を、記憶装置12に記憶させる。例えば、ユーザの属性は、ユーザが「リハビリ中である」ことを示す情報である。また、ユーザの属性は、リハビリに関する「プログラム内容」、リハビリにおいて「必要な運動の程度」、ユーザの「運動強度を決定するための情報」等を含んでいてもよい。例えば、ユーザの属性は、病名や、疾患のある部位の名称等を含むことができる。または、複数の患者のリハビリのプログラムが記憶装置12に記憶されている場合、演算回路11は、オペレータの操作にしたがって、対象の患者であるユーザのプログラムを読み出しても良い。
【0033】
演算回路11は、オペレータの操作に従って、入力装置13を介して、ユーザの目的地を受け付ける。また、演算回路11は、受け付けた目的地を、記憶装置12に記憶させる。
【0034】
演算回路11は、通信回路15を介して、ウェアラブル装置20Aから送信された現在地を受信する。また、演算回路11は、受信した現在地を、記憶装置12に記憶させる。
【0035】
演算回路11は、記憶装置12に記憶される空間情報D1を参照して、出発地から目的地まで移動可能な複数のルートをルートの候補として選択する。ルート候補の選択は、任意の条件に基づいて判断してよい。例えば、出発地から目的地までの移動可能な複数のルートのそれぞれの移動時間を算出し、移動時間の最も短いルートから順に3つのルートをルート候補として選択してよい。また、演算回路11は、選択された複数のルートの候補から、ユーザの属性に応じて、ユーザに好適な1つのルートを選択する。すなわち、演算回路11は、複数のルートの候補から、ユーザの属性で定められる条件に合致する1つのルートを「ユーザが選択すべきルート」として選択する。
【0036】
例えば、演算回路11は、ユーザの属性から、リハビリ中であることが特定され、「所定の強度の運動が必要である」ことが条件とされるユーザには、複数のルートの候補から、この条件で求められる運動強度に最も近い運動強度となるルートを選択する。一方、運動が制限されるユーザには、演算回路11は、複数のルートの候補から、運動強度が制限値よりも低いルートを選択する。具体的には、演算回路11は、複数のルートの候補に対し、空間情報D1を参照して運動強度を求める。その後、演算回路11は、各ルートの候補から、ユーザの条件に最適なルートを選択する。また、それぞれのルートにかかる空間情報D1が、「運動強度の強いルート」や「運動強度の弱いルート」などの情報をあらかじめ有していてもよい。その場合、演算回路11は、各ルートにかかる空間情報D1の情報を参照し、当該情報に基づいて、ユーザが移動することが望ましいルート(ユーザの行動が誘導されるべき周辺環境)を特定してよい。なお、一般的に、軽度のリハビリ中のユーザの場合、ある程度の広い空間において、ユーザがリハビリのためのルートを複数のルートの候補から自由に選択することができる。また、ユーザが生活習慣病の改善中の場合にも、ユーザは、ユーザ自身でルートを自由に選択して多く運動することが求められる。なお、リハビリ中のユーザに最適なルートの条件は、理学療法士などの指示に基づいて、演算回路11に事前に設定されてもよい。例えば、ユーザの属性で示されるユーザの条件と、当該ユーザに最適とされる周辺環境との関係を示すデータは、予め記憶装置12に記憶されていてもよい。また、当該データは、好ましい加工方法を関連付けていてもよい。
【0037】
演算回路11は、ユーザが選択すべきと特定されたルートがユーザ自身に選択され易くなるように、すなわち、ユーザにとって魅力的なルートと映るように当該特定された周辺環境の一部を加工する加工方法を決定し、映像を加工する。具体的には、演算回路11は、映像の加工において、ユーザが選択すべきと特定されたルートの運動強度が、実空間でルートを移動した際に要求されるよりも少なく表示されるように映像の一部を加工する。一般的に、ユーザは、身体に負担をかけたくないため、運動強度が低く見えるルートを選択する傾向がある。したがって、演算回路11は、運動強度が高いためにユーザに選択されにくいルートがユーザの選択すべきルートとして特定されている場合、運動強度が低く見えるように(ユーザに選択され易い周辺環境となるように)映像を加工する。具体的には、演算回路11は、坂道の傾斜が大きい場合、坂道の傾斜が小さく見えるように映像を加工してもよい。また、階段がある場合、演算回路11は、出発地から目的地までの段が低く見えるように映像を加工してもよい。例えば、予め、「所定以上の傾斜であるとき、ユーザに魅力的であるとする」、「所定以上の傾斜であるとき、ユーザに選択されやすい」等の条件を定めていてもよい。なお、予め定められる傾斜は、ユーザに魅力的又は選択されやすい傾斜の初期値であって、ユーザの行動や好みによって変更され得る。
【0038】
例えば、
図2Aは、実空間を現実の尺度で示す図であるとする。
図2Aに示すように、現在地Dから目的地Aまでのルートの候補として、階段のある第1のルートR1と、階段のない第2のルートR2とがあり、第1のルートR1が選択されたとする。一方、
図2Aに示すように階段がある場合、ユーザにとって階段のない第2のルートR2の方が、運動強度が低く見え、ユーザに選択され易いルートに見えるため、第2のルートを選ぶ傾向にある。したがって、階段の演算回路11は、
図2Bに示すように、出発地Dから目的地Aまでの映像を段が低く見えるように加工してもよい。これにより、第1のルートR1の運動強度が低く見えることになり、ユーザは、第1のルートR1を選択する可能性が高くなる。その他、階段の段差の数が多い場合、演算回路11は、映像に階段の段差の数を減らすような画像処理を行ってもよい。さらに、演算回路11は、選択されなかったルートについては、ユーザに選択されやすくなるような画像処理をさらに継続する。すなわち、演算回路11は、傾斜がさらに緩やかに見えるような画像処理をさらに行ってもよい。これにより、傾斜は、最初の画像処理よりもさらに緩やかに見えるように画像処理される。また、演算回路11は、段の高さがさらに小さく見える画像処理を行ったり、階段の段差の数をさらに減らすような画像処理を行ってもよい。なお、坂道や階段等を調整した場合、ユーザがそれらの地点(加工された一部を有する周辺環境)に近づいた場合には、演算回路11は、正確な尺度(当該加工前の一部を有する周辺環境)で表示されるように映像を再度加工して表示する。つまり、ユーザが緩やかな傾斜に加工された坂道に近づいたとき、演算回路11は、これらの緩やかな傾斜に加工された坂道を加工前の傾斜に戻す再加工方法を決定し、その決定された再加工方法に従って、坂道が元の傾斜となるように映像を再加工して表示する。これは、誤った尺度での表示を続けた場合に事故が発生する恐れを防止するためである。
【0039】
例えば、演算回路11は、画像の加工には、スマートフォンアプリのスナップチャットのランドマーカー等のフィルタ機能で利用される加工技術を利用してもよい。なお、これらの画像処理では、演算回路11は、処理された部分をユーザに違和感なく表示するために、セマンテックセグメンテーションやインスタンスセグメンテーションにより、画像処理をピクセル単位で調整してもよい。セマンテックセグメンテーションとは、画像全体や一部の検出でなく、ピクセル(画素)単位でどのカテゴリに属するかのラベル付けを行う画像処理方法である。インスタンスセグメンテーションとは、同一の分類でラベル付けされたインスタンスについてピクセル単位で識別する画像処理方法である。例えば、処理された部分が歪んでる場合、セマンテックセグメンテーションによりピクセル単位で当該部分の画像処理を調整してよい。また、ユーザに違和感なく表示するために段差を変更するだけでは十分でない場合には、演算回路11は、階段の先の床の部分の位置を段差の変更と合わせて低く見せるよう画像処理し、かつその変更に合わせ壁と床との境界部分についても、セマンテックセグメンテーションによりピクセル単位で調整してよい。そのほか、階段の段差が低くなるように加工する際には、演算回路11は、階段の一つの段を複製して一番下に追加して段数を増やし、そのうえで階段の全ての段差を均一に低くする処理を行ってよい。反対に、階段の段差が高くなるように加工する際には、演算回路11は、階段の一つの段を削除し、そのうえで階段の全ての段差を均一に高くする処理を行ってよい。なお、物体についてのラベル付け画像処理は、上述した通りピクセル単位で行うが、画像表示の際には、ピクセル単位の点群データからメッシュを自動生成して表示してもよい。
【0040】
他の例として、一般的に、ユーザは、明るく見えるルートを選択する傾向がある。つまり、明るく見えるルートは、ユーザの行動が当該明るく見えるルートに向けて誘導され易く、またユーザにとって魅力的に映る。したがって、演算回路11は、選択を誘導するルートについては、映像の明度や彩度を調整してユーザに明るく見えるような画像処理を行ってもよい。さらに、演算回路11は、選択されなかったルートについては、映像の明度や彩度を調整してユーザに暗く見えるような画像処理を行ってもよい。
【0041】
更に他の例として、ユーザは興味を持つ物体等があるルートを魅力的に感じて選択する傾向がある。したがって、演算回路11は、ユーザが興味のある仮想の物体や拡張現実(AR)にかかる画像等、例えば、ユーザの嗜好に合わせた植物、彫刻、壁紙、家具等をルート上に配置するような画像処理を行ってもよい。また、例えば、ルート候補のうち一つのルートの空間情報D1に「10代の女性向けの店舗の情報」が含まれ、ユーザが「10代の女性」という属性を有する場合、演算回路11は、当該空間情報D1を含むルートを「当該ユーザの行動を誘導すべきルート」として特定してもよい。そして、演算回路11は、当該空間情報D1を含むルートの一部について、ユーザの行動が誘導されるように加工してもよい。このとき、演算回路11は、ユーザの「10代の女性」という属性に応じて加工方法を決定してもよい。具体的には、当該ルートのみに10代の女性が好むキャラクターの仮想物体を表示させるように加工してもよい。これにより、全てのルートや周辺環境に関連するキャラクターなどの仮想物体を全て表示させる広告形態とは異なり、「ユーザの行動を誘導すべきルート」のみが目立つことになり、当該ルートへのユーザの行動を強く促すことができる。また、演算回路11は、当該キャラクターの仮想物体を表示させた場合に、表示させた時点からユーザがそのルートを選択するまでの時間の長さや、ユーザが当該キャラクターを注視する時間の長さ等に基づいて、次回以降の仮想物体の表示方法を改善することもできる。
【0042】
その他の方法で映像を加工して、ルートの候補からユーザが選択すべきとして特定されたルートを、ユーザに提示してもよい。例えば、ルートを表示する画像において、選択されたルートにポジティブな情報を重畳したり、選択されないルートにネガティブな情報を重畳してもよい。一例として、ユーザの属性として、リハビリにおいて「必要な運動強度」を含むとする。この場合、演算回路11は、各ルートの候補について、運動強度を計算によりそれぞれ算出して求め、各ルートの運動強度や、必要な運動強度とルートの運動強度との差分を表す数値やマークを含むように映像を加工してもよい。
【0043】
さらに、例えば、ルートの候補に、何らかの事情でユーザが誘導されるべきでないルートがあるとき、ユーザの行動が誘導されにくいように映像加工してもよい。例えば、工事中で道幅が狭くなっている等の状態でありユーザが別のルートを選択する方が好ましいルート等がありうる。例えば、誘導されるべきでないルートを狭く見えるように加工したり、暗く見えるように加工することで、ユーザが誘導されにくくなる。
【0044】
《ウェアラブル装置における処理》
図3に示すフローチャートを用いて、ウェアラブル装置20Aにおける一連の処理について説明する。なお、以下の処理は一例であり、可能な範囲で処理を並行して行っても良いし、処理の順序を入れ替えてもよい。
【0045】
演算回路21は、GPS受信機27を用いて、ウェアラブル装置20Aの位置を求めることで、ユーザの現在地を取得する(S001)。演算回路21は、ステップS001で取得したユーザの現在地を、通信回路26を介して画像処理装置10Aに送信する(S002)。
【0046】
また、演算回路21は、カメラ28を用いて、ウェアラブル装置20Aの周辺環境の映像を取得する(S003)。演算回路21は、ステップS003で取得した周辺環境の映像を、通信回路26を介して画像処理装置10Aに送信する(S004)。
【0047】
続いて、画像処理装置10Aで加工された映像を、通信回路26を介して受信する(S005)。演算回路21は、ステップS005で受信した映像を、ディスプレイ24に表示させる(S006)。
【0048】
その後も、演算回路21は、定期的等の所定のタイミングで、GPS受信機27を用いて、ユーザの現在地を取得する(S007)。演算回路21は、ステップS007で取得したユーザの現在地を、通信回路26を介して画像処理装置10Aに送信する(S008)。
【0049】
例えば、演算回路21は、終了とされるまで、ステップS003に戻り、ステップS003~S008の処理を繰り返す(S009)。
【0050】
《画像処理装置における処理》
図4に示すフローチャートを用いて、画像処理装置10Aにおける画像処理について説明する。なお、以下の処理は一例であり、可能な範囲で処理を並行して行っても良いし、処理の順序を入れ替えてもよい。
【0051】
演算回路11は、入力装置13を介して、ユーザの属性を受け付ける(S101)。
【0052】
演算回路11は、入力装置13を介して、目的地を受け付ける(S102)。
【0053】
演算回路11は、通信回路15を介して、ウェアラブル装置20Aから送信されたユーザの現在地を受信する(S103)。
【0054】
演算回路11は、記憶装置12に記憶される空間情報D1を参照し、ステップS103で受信したユーザの現在地から、ステップS102で受け付けた目的地まで移動する複数のルートの候補を選択する(S104)。
【0055】
演算回路11は、ステップS104で生成した複数のルートの候補のなかから、ステップS101で受け付けたユーザの属性を条件として、この条件に合致する1つのルートを選択する(S105)。
【0056】
演算回路11は、通信回路15を介して、ウェアラブル装置20Aから送信されたウェアラブル装置20Aの周辺環境の映像を受信する(S106)。
【0057】
演算回路11は、ステップS101で受け付けたユーザの属性に応じて、ステップS106で受信した周辺環境の映像に対し、ステップS105で選択されたルートがユーザに選択されるための加工方法を決定する(S107)。
【0058】
演算回路11は、ステップS107で決定した加工方法に従って画像を加工する(S108)。
【0059】
演算回路11は、ステップS108で加工された映像を、通信回路15を介して、ウェアラブル装置20Aに送信する(S109)。
【0060】
その後も、演算回路11は、通信回路15を介して、ウェアラブル装置20Aから送信されたユーザの現在地を取得する(S110)。
【0061】
演算回路11は、ユーザの現在地が、ステップS105で選択されたルート上にあるか否かを判定する(S111)。
【0062】
また、演算回路11は、ユーザの現在地が、ステップS102で受け付けた目的地であるか否かを判定する(S112)。
【0063】
演算回路11は、ユーザの現在地が、目的地となり処理を終了するまで(S112でYES)、ステップS106に戻り、ステップS106~S112の処理を繰り返す。ここで、例えば、ステップS110で取得された現在地が、ステップS105で選択されたルート上にない場合、ステップS107において、演算回路11は、再度、ユーザが選択すべきと特定されたルートがユーザに選択されるように、映像の加工方法を実行する。一方、ステップS110で取得された現在地が、ステップS105で選択されたルート上にある場合、ステップS107において、演算回路11は、例えば、ユーザが選択されたルートを安全に歩行できるように、画像の加工方法を決定する。
【0064】
このように、画像処理システム1Aでは、画像処理装置10Aは、ユーザに設定される条件を用いて、ユーザが現在地から目的地まで移動する際のユーザにとって好ましいルートを選択する。また、画像処理装置10Aは、選択されたルートが、ユーザにとって魅力的に見えるように表示されるように、映像の画像処理を行ない、ウェアラブル装置20Aに送信する。ウェアラブル装置20Aは、画像処理装置10Aから送信された映像を受信し、ディスプレイ24に表示することができる。これにより、画像処理システム1Aでは、映像を観たユーザは、自然にユーザにとって好ましいルートを選択しやすくなる。
【0065】
《他の適用例》
上述した実施形態では、画像処理システム1Aが、リハビリにおいて利用される一例で説明した。しかしながら、画像処理システム1Aは、その他の様々な場面で利用することができる。例えば、ユーザは、地図上で指定する目的地まで移動する際にルートを検索する場面で画像処理システム1Aを利用してもよい。
【0066】
(ユーザの消費カロリーの管理)
例えば、ユーザの属性は、ユーザが「減量する必要があること」や「食事習慣の改善が望ましいこと」及び、ユーザの目標の「消費カロリー」を含むとする。この場合、演算回路11は、複数のルートの候補から、目標の消費カロリーに最も近い運動量となるルートを選択する。また、空間情報D1で飲食店等の情報を含み、ルートの候補に、ユーザが過去に利用したことのある複数の飲食店等が存在する場合、演算回路11は、その情報を考慮してもよい。具体的には、例えば、演算回路11は、ユーザが過去に利用したことのある飲食店等を利用する場合の一般的な摂取カロリーについてスコアを設け、スコアの合計の昇順で、ルートを選択してもよい。また、演算回路11は、選択されたルート又は選択されないルートに対し、それらの飲食店で飲食する場合の摂取カロリー等の情報目視可能に含む映像を生成してもよい。
【0067】
(ユーザの嗜好に合わせた表示)
また上述した例では、画像処理システム1Aは、移動するユーザの実際の位置をGPS受信機27で取得し、空間情報D1で示される実際の三次元空間に合わせてルートを選択している。また、画像処理システム1Aが加工する映像は、ユーザの現在の周辺環境の映像である。これに対し、画像処理システム1Aは、カメラ28を備えることは必須ではない。ユーザの属性として、ユーザの嗜好を含み、思考に応じて表示される予め異なる複数の映像や加工方法が関連付けられて記憶装置12に記憶される場合、画像処理システム1Aは、ユーザの嗜好に応じた映像を表示させることができる。演算回路11は、加工方法の決定において、ユーザの嗜好に関連付けられる状態を選択し、映像の加工において、選択された状態に映像を加工する。これにより、ユーザの嗜好に合わせた広告等を三次元空間内に含む映像を加工することができる。また例えば、ユーザが入力装置23を介して仮想空間内で移動するアバターのルートをユーザの嗜好に合わせて加工することができる。さらに、ユーザの手で自ら入力装置23を操作する場合だけに限られず、入力装置23が脳侵襲デバイスである場合には、ユーザの脳での思考に応じて加工することもあり得る。したがって、画像処理システム1Aは、複合現実や拡張現実に加え、仮想現実(VR)でもルートを選択し、映像を加工することができる。なお、仮想現実の場合には、GPS受信機27によって特定される位置ではなく、ユーザの操作によって特定される位置に基づいてルートが選択される。
【0068】
[第2実施形態:モビリティデバイスのルートを誘導する際の画像処理]
〈画像処理システム〉
第1実施形態に係る画像処理システム1Aは、ユーザの属性に応じて、ユーザの行動を誘導するように画像を処理する一例で説明した。これに対し、
図5に示す第2実施形態に係る画像処理システム1Bは、ユーザの属性以外の条件に応じて、ユーザの行動を誘導するように画像を処理する。画像処理システム1Bは、
図5に示すように、画像処理装置10Bと、表示装置20Bとがネットワーク30を介して接続される。画像処理装置10Bの演算回路11は、周辺環境の映像を取得し、モビリティデバイスが移動可能な移動ルートに関する環境を示す環境条件を取得し、環境条件と、記憶装置12に記憶される複数のルートの状態を比較して、モビリティデバイスの移動に好ましい移動ルートを選択し、選択された移動ルートでの移動を促すように映像の一部を加工し、加工された映像を表示装置20Bのディスプレイ24に表示させる。これにより、表示装置20Bを利用してモビリティデバイスを運転するユーザは、自然に、選択された好ましいルートで移動することができる。
【0069】
例えば、第2実施形態で説明するモビリティデバイスは、自動車であったり、電動車椅子、ドローン等の移動体であり得る。以下では、モビリティデバイスが自動車である一例で説明する。また、第2実施形態で説明する好ましいルートは、「環境に配慮したルート」であり得る。環境に配慮されたルートは、「エコなルート」とも表される。ユーザは、映像に従ってこのような環境に配慮されたルートを自然に選択することで、温室効果ガスの排出量を削減することができる。
【0070】
図5では、画像処理システム1Bは、画像処理装置10Bと、表示装置20Bと、これらを接続するネットワーク30を含む一例で説明するが、これに限定されない。例えば、画像処理装置10Bと、表示装置20Bとが一体化されていてもよい。
【0071】
《表示装置》
表示装置20Bは、例えば、モビリティデバイスに設置される。
図5に示すように、表示装置20Bも、
図1を用いて上述したウェアラブル装置20Aと同様に、演算回路21、記憶装置22、入力装置23、ディスプレイ24、スピーカ25、通信回路26、GPS受信機27及びカメラ28等を備える。
【0072】
なお、表示装置20Bのディスプレイ24は、自動車のフロントウィンドウがディスプレイとして機能していてもよいし、カーナビゲーションシステムのディスプレイであってもよい。
【0073】
GPS受信機27は、モビリティデバイスに備えられる、モビリティデバイスの位置を算出する。これにより、演算回路21は、モビリティデバイスを利用するユーザの位置を取得することができる。
【0074】
カメラ28は、例えば、モビリティデバイスの運転手となるユーザの視点でモビリティデバイスの周辺環境の映像を撮影する。
【0075】
演算回路21は、所定のタイミングで、GPS受信機27を介して、表示装置20Bの現在地を取得する。演算回路21は、例えば、モビリティデバイスの移動の開始のタイミングで現在地を取得してもよいし、その後の移動が終了するまでの定期的なタイミングで現在地を取得してもよいし、現在地を逐次取得してもよい。また、演算回路21は、取得した現在地を、通信回路26を介して画像処理装置10Bに送信する。
【0076】
演算回路21は、モビリティデバイスの利用が開始されると、カメラ28によって、周辺環境の映像を取得する。また、演算回路21は、取得した映像を、通信回路26を介して画像処理装置10Bに送信する。なお、仮に、カメラ28によって取得される映像が画像処理装置10Bで利用されない場合、映像の送信は必須ではない。また、カメラ28で撮影される映像が画像処理装置10Bで利用されない場合、カメラ28による撮影は必須ではなく、また、カメラ28自体も必須ではない。
【0077】
また、例えば、表示装置20Bがカーナビゲーションシステムに一体化される場合、演算回路21には、入力装置23を介してモビリティデバイスの目的地が入力され得る。このとき、演算回路21は、入力された目的地を、通信回路26を介して画像処理装置10Bに送信する。
【0078】
演算回路21は、通信回路26を介して、画像処理装置10Bから映像を受信する。また、演算回路21は、受信した映像をディスプレイ24に表示する。ここで、映像は、カメラ28で撮影された周辺環境の映像に、モビリティデバイスが利用するルートの状況やモビリティデバイスとルートとの相互作用等に応じて、ユーザが、好ましいルートで移動するように一部の情報が加工された信号である。
【0079】
《画像処理装置》
画像処理装置10Bは、例えば、モビリティデバイスに設置される。
図5に示すように、画像処理装置10Bも、
図1を用いて上述した画像処理装置10Aと同様に、演算回路11、記憶装置12、入力装置13、出力装置14及び通信回路15を備えることができる。
【0080】
画像処理装置10Bの記憶装置12は、空間情報D1に加え、予め、環境情報D2を記憶することができる。環境情報D2は、モビリティデバイスの移動の対象となる空間の環境を示す情報である。例えば、環境情報D2は、道路の舗装の種別(アスファルト、砂利、コンクリート、土等)、風速、風向、及び/又は雨量を含むことができる。ここで環境情報D2は、風速、風向及び/又は雨量として、現在値だけではなく、将来の予測値を含むこともできる。また、環境情報D2は、道路の勾配に関する情報、道路の渋滞に関する情報、工事や事故等に基づく道路の通行止めに関する情報も含むことができる。なお、環境情報D2は逐次更新され得る。
【0081】
演算回路11は、オペレータの操作に従って、入力装置13を介して、モビリティデバイスの属性を受け付ける。または、演算回路11は、通信回路15を介して、表示装置20Bから送信されたモビリティデバイスの属性を受信する。演算回路11は、受け付けたモビリティデバイスの属性を、記憶装置12に記憶させる。例えば、モビリティデバイスの属性は、モビリティデバイスの重量やサイズ、モビリティデバイスが有するタイヤの材質、性質及び/又は使用年数等を含むことができる。
【0082】
演算回路11は、通信回路15を介して、ウェアラブル装置20Aから送信された現在地を受信する。また、演算回路11は、受信した現在地を、記憶装置12に記憶させる。
【0083】
演算回路11は、記憶装置12に記憶される空間情報D1を参照して、出発地から目的地まで移動可能な複数のルートの候補として選択する。また、演算回路11は、環境条件を取得する。具体的には、演算回路11は、記憶装置12に記憶される環境情報D2から、選択した複数のルートの候補に関する情報を、環境条件として抽出する。さらに、演算回路11は、取得した環境条件及びモビリティデバイスの属性に応じて、予め定められる条件に合致する1つのルートを選択する。ここで予め定められる条件は、上述したような「環境に配慮したルート」である。
【0084】
例えば、演算回路11は、選択された複数のルートの距離に加え、道路の舗装やモビリティデバイスのタイヤと関連付けられる摩擦係数、道路の勾配、モビリティデバイスの重量等に応じて、モビリティデバイスでの消費エネルギーを求める。このとき、演算回路11は、各ルートの材質(例えば、アスファルト、コンクリート、砂利等)、雨量、積雪、気温に応じた雪解けの状況等を考慮して消費エネルギーを調整してもよい。具体的には、演算回路11は、向かい風の場合には、消費エネルギーが増加され、追い風の場合には、消費エネルギーが低減されるように調整してもよい。その他、演算回路11は、雨の場合には、道路とタイヤとの摩擦が低くなり、消費エネルギーが低減するように調整してもよい。また、演算回路11は、これらの設定や調整に基づいて、選択された複数のルートごとに消費エネルギーを算出してもよい。そして、演算回路11は、最も消費エネルギーの少ないルートを「環境に配慮したルート」と決定してよい。なお、例えば、タイヤと関連付けられる摩擦係数としては、タイヤのホイールの質量や半径ならびに道路の形状等に応じた、摩擦係数、動摩擦係数および静止摩擦係数を用いて、物理マテリアルの摩擦モデルに基づいてタイヤの動き(消費エネルギー)を算出してよい。
【0085】
演算回路11は、例えば、「環境に配慮したルート」がユーザ自身に選択されるように画像処理を行って、映像を生成する。例えば、演算回路11は、選択を誘導するルートについては、映像の明度や彩度を調整してユーザに明るく見えるように加工してもよい。さらに、演算回路11は、選択させないようにしたルートについては、映像の明度や彩度を調整してユーザに暗く見えるように加工してもよい。一般に、ユーザは、明るく見えるルートを選択しやすいためである。また、各ルートに、移動に要する消費エネルギーを数値やマーク等の情報を重畳して加工してもよい。なお、例えば、表示装置20Bのディスプレイ24がカーナビゲーションシステムのディスプレイである場合、演算回路11が生成する映像は、カーナビゲーションシステムのディスプレイに表示される地図に情報を追加した画像であり得る。
【0086】
《表示装置における処理》
表示装置20Bにおける処理は、
図3に示すフローチャートを用いて、上述したウェアラブル装置20Aにおける一連の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0087】
《画像処理装置における処理》
図6に示すフローチャートを用いて、画像処理装置10Bにおける画像処理について説明する。なお、以下の処理は一例であり、可能な範囲で処理を並行して行っても良いし、処理の順序を入れ替えてもよい。
【0088】
演算回路11は、入力装置13を介して、モビリティデバイスの属性を受け付ける(S201)。
【0089】
演算回路11は、入力装置13を介して、又は、通信回路15を介して、目的地を受け付ける(S202)。
【0090】
演算回路11は、通信回路15を介して、表示装置20Bから送信されたモビリティデバイスの現在地を受信する(S203)。
【0091】
演算回路11は、記憶装置12に記憶される空間情報D1を参照し、ステップS203で受信したモビリティデバイスの現在地から、ステップS202で受け付けた目的地まで移動する複数のルートの候補を選択する(S204)。
【0092】
演算回路11は、記憶装置12に記憶される環境情報D2から、ステップS204で選択されたルートの候補に関する情報を抽出することで、環境条件を取得する(S205)。
【0093】
演算回路11は、ステップS205取得された環境条件及びステップS201で受け付けたモビリティデバイスの属性に応じて、予め定められる条件に合致する1つのルートを選択する(S206)。
【0094】
演算回路11は、通信回路15を介して、表示装置20Bから送信された表示装置20Bの周辺環境の映像を受信する(S207)。
【0095】
演算回路11は、ステップS207で受信した周辺環境の映像を、所定のルールで加工する(S208)。例えば、演算回路11は、ステップS206で選択されたルートがユーザに選択されるように映像を加工する。なお、ここで加工する映像は、ステップS207で受信した映像ではなく、記憶装置12に予め記憶される地図を示す映像であってもよい。
【0096】
演算回路11は、ステップS208で加工した映像を、通信回路15を介して、表示装置20Bに送信する(S209)。
【0097】
その後も、演算回路11は、通信回路15を介して、表示装置20Bから送信されたモビリティデバイスの現在地を取得する(S210)。
【0098】
演算回路11は、モビリティデバイスの現在地が、ステップS206で選択されたルート上にあるか否かを判定する(S211)。
【0099】
また、演算回路11は、モビリティデバイスの現在地が、ステップS202で受け付けた目的地であるか否かを判定する(S212)。
【0100】
演算回路11は、モビリティデバイスの現在地が、目的地となるまで(S212でYES)、ステップS207に戻り、ステップS207~S212の処理を繰り返す。
【0101】
このように、画像処理システム1Bでは、画像処理装置10Bは、環境情報、モビリティデバイスの属性、及び、予め定められる条件を用いて、モビリティデバイスが現在地から目的地まで移動する際に好ましいルートを選択する。また、画像処理装置10Bは、選択されたルートが、ユーザにとって魅力的に見えるように表示されるように、映像を加工し、表示装置20Bに送信する。表示装置20Bは、画像処理装置10Bから送信された加工された映像を受信し、ディスプレイ24に表示することができる。これにより、画像処理システム1Bでは、加工された映像を観たユーザは、自然にユーザにとって好ましいルートを選択しやすくなる。
【0102】
《他の適用例》
上述した実施形態では、画像処理システム1Bが、現在地から目的地までの環境に配慮したルートを提示する一例で説明した。しかしながら、画像処理システム1Bは、その他の様々な場面で利用することができる。例えば、ユーザは、地図を利用するルート検索において、画像処理システム1Aを利用してもよい。
【0103】
また、演算回路11は、複数のルートの中に、犯罪発生率が高い場所や事故発生率が高い場所が含まれるルートがあるとき、そのような危険なルートは選択しないように映像を加工してもよい。例えば、演算回路11は、選択されたルートと危険なルートとの明度や彩度を調整するように加工してもよい。また、例えば、危険なルートには、「スリ多発 注意」、「事故多発 注意」等の記載される仮想の看板等を表示するように加工してもよい。
【0104】
さらに、画像処理システム1Bにおいても、記憶装置12において、環境や予め複数の映像が記憶され、ユーザの操作によって特定される位置を使用する場合、複合現実及び拡張現実に加え、仮想現実でもルートを選択し、映像を加工することができる。
【0105】
[第3実施形態:人間の姿勢を改善する際の画像処理]
〈画像処理システム〉
第1実施形態及び第2実施形態で説明した画像処理システム1A、1Bは、現在地から目的地までのルートを検索し、好ましいルートが選択されるように画像処理する一例で説明した。これに対し、
図7に示す第3実施形態に係る画像処理システム1Cは、ディスプレイを利用するユーザの姿勢が好ましい状態ではない場合に改善させるシステムである。このとき、ユーザは、パーソナルコンピュータ等に接続されるディスプレイを利用していてもよい。または、ユーザはディスプレイを有するヘッドマウントディスプレイやゴーグル等のウェアラブル装置を装着していてもよい。以下では、ユーザが、ヘッドマウントディスプレイ等のユーザの頭に装着するウェアラブル装置20Cである一例で説明する。したがって、画像処理システム1Cは、画像処理装置10Cから送信された映像をウェアラブル装置20Cで表示するシステムであって、その際のユーザの姿勢を改善する例で説明する。画像処理装置10Cの演算回路11は、予め定められる理想的な姿勢と、ユーザの姿勢情報とを比較して、ユーザの姿勢の改善の要否を判定し、ユーザの姿勢の改善の必要があるとき、映像の加工において、ユーザに姿勢の修正を促すように映像の一部を加工する。
【0106】
図7では、画像処理システム1Cは、画像処理装置10Cと、ウェアラブル装置20Cと、これらを接続するネットワーク30を含む一例で説明するが、これに限定されない。例えば、画像処理装置10Cと、ウェアラブル装置20Cとが一体化されていてもよい。
【0107】
《表示装置》
図7に示すように、ウェアラブル装置20Cも、
図1を用いて上述したウェアラブル装置20Aと比較して、演算回路21、記憶装置22、入力装置23、ディスプレイ24、スピーカ25、通信回路26を備える点で同一である。一方、ウェアラブル装置20Cは、GPS受信機27及びカメラ28の代わりに、センサ29を備える。
【0108】
センサ29は、ユーザの姿勢を検出する。具体的には、センサ29は、例えば、ジャイロセンサであって、ウェアラブル装置20Cの傾きを検出することができる。センサ29によって検出されたウェアラブル装置20Cの傾きを用いて、ウェアラブル装置20Cを装着するユーザの姿勢を示す情報を求めることができる。
【0109】
演算回路21は、センサ29の検出結果を取得すると、取得した検出結果を用いて、ユーザの姿勢を示す情報(例えば、背骨の傾きを表す角度)を求める。また、演算回路21は、通信回路26を介して、求めた姿勢を示す情報を画像処理装置10Cに送信する。ここで、演算回路21は、定期的なタイミングでセンサ29から検出結果を取得してもよいし、センサ29の検出結果を逐次取得してもよい。
【0110】
演算回路21は、通信回路26を介して、画像処理装置10Cから送信された映像を受信する。また、演算回路21は、受信した映像をディスプレイ24に表示させる。
【0111】
《画像処理装置》
図7に示すように、画像処理装置10Cも、
図1を用いて上述した画像処理装置10Aと同様に、演算回路11、記憶装置12、入力装置13、出力装置14及び通信回路15を備えることができる。なお、
図7に示すように、画像処理装置10Cの記憶装置12は、空間情報D1を記憶せず、ウェアラブル装置20Cのディスプレイ24に表示させる映像情報D3を記憶する点で画像処理装置10Aの記憶装置12と異なる。ここで、映像情報D3の内容は、限定されない。例えば、映像情報D3は、映画等の映像である。また、映像情報D3は、ウェアラブル装置20Cからの操作に応じてストーリーが変更されるゲーム等の映像である。
【0112】
演算回路11は、通信回路15を介して、ウェアラブル装置20Cから送信されたユーザの姿勢を示す情報を受信する。
【0113】
演算回路11は、ウェアラブル装置20Cから受信したユーザの姿勢を示す情報を用いて、ウェアラブル装置20Cのディスプレイ24に表示する映像を加工する加工方法を決定し、決定した方法で映像を加工する。例えば、記憶装置12において、矯正が必要な姿勢を示す角度の閾値の範囲と、その場合の画像を加工方法との関係を示すテーブルを記憶していてもよい。または、記憶装置12において、矯正が必要な姿勢を示す角度とその補正方法との関係を示す数式を記憶していてもよい。
【0114】
例えば、ユーザが、垂直軸に対して前方に5度傾いている場合、演算回路11は、ディスプレイに表示する映像を、現在のユーザの傾きより極端に傾いた状態(例えば、垂直軸に対して前方に10度傾いた状態)となるように加工する。これにより、ディスプレイ24に映される映像が見にくくなることで、ユーザに自然な姿勢の改善を誘導することができる。また、映像を傾いた状態に加工して表示した後にもユーザの姿勢が変更されない場合、演算回路11は、更に極端に傾いた状態(例えば、垂直軸に対して15度傾いた状態)となるように加工してもよい。なお、映像を加工した後にユーザの姿勢が変更された場合には、演算回路11は、映像を正しい状態に戻してもよい。
【0115】
または、演算回路11は、ユーザの姿勢に合わせて、ユーザの姿勢を改善するように、映像のフレームの一部を明るく調整したり暗く調整してもよい。例えば、ユーザが猫背である場合、フレームの上の方を明るくするように調整してもよい。
【0116】
《ウェアラブル装置における処理》
図8に示すフローチャートを用いて、ウェアラブル装置20Cにおける一連の処理について説明する。なお、以下の処理は一例であり、可能な範囲で処理を並行して行っても良いし、処理の順序を入れ替えてもよい。
【0117】
演算回路21は、センサ29の検出結果を用いて、ユーザの姿勢情報を取得する(S301)。演算回路21は、ステップS301で取得したユーザの姿勢情報を、通信回路26を介して画像処理装置10Cに送信する(S302)。
【0118】
続いて、通信回路26を介して、画像処理装置10Cから映像を受信する(S303)。演算回路21は、ステップS303で受信した映像を、ディスプレイ24に表示させる(S304)。ここで、ステップS302で送信した姿勢情報で示されるユーザの傾きに応じて、映像は加工されている可能性がある。
【0119】
その後も、演算回路21は、定期的等の所定のタイミングで、センサ29の検出結果を用いて、ユーザの姿勢情報を取得する(S305)。演算回路21は、ステップS305で取得したユーザの姿勢情報を、通信回路26を介して画像処理装置10Cに送信する(S306)。
【0120】
例えば、演算回路21は、終了とされるまで、ステップS303に戻り、ステップS303~S307の処理を繰り返す(S307)。
【0121】
《画像処理装置における処理》
図9に示すフローチャートを用いて、画像処理装置10Cにおける画像処理について説明する。なお、以下の処理は一例であり、可能な範囲で処理を並行して行っても良いし、処理の順序を入れ替えてもよい。
【0122】
演算回路11は、入力装置13を介して、ユーザの姿勢情報を取得する(S401)。
【0123】
演算回路11は、ステップS401で取得した姿勢情報に基づいて、ユーザが姿勢の改善が不要な好ましい姿勢であるか否かを判定する(S402)。
【0124】
ユーザが好ましい姿勢ではないとき(S402でNO)、ステップS401で取得した姿勢情報に基づいて、演算回路11は、映像の加工方法を決定する(S403)。具体的には、演算回路11は、ユーザの姿勢に合わせて映像を傾けたり、映像の一部の明るさを調整するように加工する。
【0125】
演算回路11は、ステップS403で決定した加工方法で、記憶装置12に記憶される映像情報D3を加工する(S404)。
【0126】
演算回路11は、ステップS404で加工された映像を、通信回路15を介して、ウェアラブル装置20Cに送信する(S405)。
【0127】
その後も、演算回路11は、通信回路15を介して、ウェアラブル装置20Cから送信されたユーザの姿勢情報を取得する(S406)。
【0128】
演算回路11は、目的地となり処理を終了するまで(S407でYES)、ステップS402に戻り、ステップS402~S407の処理を繰り返す。
【0129】
このように、画像処理システム1Cでは、画像処理装置10Cは、ウェアラブル装置20Cから受信するユーザの姿勢情報から、ユーザが姿勢を改善する必要がある場合、姿勢を改善させるように映像を加工する。また、画像処理装置10Cは、加工された映像をウェアラブル装置20Cに送信する。ウェアラブル装置20Cは、画像処理装置10Cから送信された映像を受信し、ディスプレイ24に表示することができる。これにより、画像処理システム1Cでは、ユーザの姿勢が傾いている場合には、傾きに合わせて加工された映像が表示されるため、ユーザは自然に姿勢を改善することができる。
【0130】
《他の姿勢検出例》
上述した実施形態では、画像処理システム1Cが、ウェアラブル装置20Cに内蔵されるセンサを利用してユーザの姿勢情報を検出する一例で説明した。しかしながら、画像処理システム1Cの姿勢の検出方法はこれに限定されない。例えば、画像処理システム1Cは、ユーザの衣服等にセンサを取り付けて、ユーザの姿勢を検出してもよい。ユーザの背中にセンサを取り付けることで、ユーザの姿勢を正確に検出しやすくなる。または、画像処理システム1Cは、ユーザの画像等を取得してOpenPose等の技術を用いる画像処理を用いてユーザの姿勢を検出可能であってもよい。さらに、画像処理システム1Cは、光学トラッカ技術等を利用してユーザの姿勢を検出可能であってもよい。
【0131】
[変形例]
《機械学習モデルの改善》
上述した各実施形態に係る画像処理システム1A~1Cは、ユーザの行動を誘導する例で説明した。しかしながら、画像処理システム1A~1Cは、人間であるユーザの行動を誘導するばかりでなく、映像を利用して教師あり機械学習を行って生成された機械学習モデルの改善に利用してもよい。例えば、所定の動作を繰り返す制御を行う機械学習モデルを利用するとき、画像処理システムの処理で生成された画像を学習に利用してもよい。例えば、学習により得られた画像からセマンティックセグメンテーションを用いて特定される物体名、領域の位置、領域のサイズ等をラベルとしてもちいることができる。また、画像処理システムは、教師あり学習に限定されず、教師なし学習を利用した機械学習モデルの改善に利用しうる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本開示は、映像を利用したユーザの行動の誘導に有用である。
【符号の説明】
【0133】
1A,1B,1C 画像処理システム
10A,10B,10C 画像処理装置
11 演算回路
12 記憶装置
13 入力装置
14 出力装置
15 通信回路
D1 空間情報
D2 環境情報
D3 映像情報
20A,20C ウェアラブル装置
20B 表示装置
21 演算回路
22 記憶装置
23 入力装置
24 ディスプレイ
25 スピーカ
26 通信回路
27 GPS受信機
28 カメラ
29 センサ