(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028418
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】継竿、継竿固定補助部材、および止めねじ部材
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20250221BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
G03B17/56 A
H04N5/222 100
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133228
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000230630
【氏名又は名称】株式会社ルミカ
(71)【出願人】
【識別番号】523315212
【氏名又は名称】楽美加発光制品(大連)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】原田 士郎
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA03
2H105AA08
2H105AA25
5C122DA11
5C122DA12
5C122EA42
5C122GD01
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】柱状部材の脱落を防止することができる継竿を提供する。
【解決手段】中空状の第一の柱部材21と、第一の柱部材21の少なくとも一部を収容する中空状の第二の柱部材22とを組み合わせた継竿用接続体10を有する継竿であって、
第一の柱部材21および第二の柱部材22に取り付けられた開口部を備える蓋部212、222と、第一の柱部材21および第二の柱部材22の内部に配置された紐状部材3と、
第一の柱部材21の蓋部212に取り付けられ、紐状部材3に固定された第一の固定部材と、
第二の柱部材22の蓋部222に取り付けられ、紐状部材3に固定された第二の固定部材42と、を有し、
前記第一の固定部材および第二の固定部材42の間の紐状部材3の長さが、第二の柱部材22の長さよりも短いものである、継竿。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の第一の柱部材と、前記第一の柱部材の少なくとも一部を収容する中空状の第二の柱部材とを組み合わせた継竿用接続体を有する継竿であって、
前記第一の柱部材および前記第二の柱部材に取り付けられた開口部を備える蓋部と、
前記第一の柱部材および前記第二の柱部材の内部に配置された紐状部材と、
前記第一の柱部材の前記蓋部に取り付けられ、前記紐状部材に固定された第一の固定部材と、
前記第二の柱部材の前記蓋部に取り付けられ、前記紐状部材に固定された第二の固定部材と、を有し、
前記第一の固定部材および前記第二の固定部材の間の前記紐状部材の長さが、前記第二の柱部材の長さよりも短いものである、継竿。
【請求項2】
前記蓋部の前記開口部が雌ねじ部を有し、前記第一の固定部材および前記第二の固定部材が、前記雌ねじ部に受け入れられる雄ねじ部を有するものであり、
前記第一の固定部材および前記第二の固定部材が、前記紐状部材を固定する固定用第一部材と、前記固定用第一部材を収容する収容部を備える止めねじ部材とを有し、
前記止めねじ部材が、長さ方向に沿って設けられた第一の溝部と、前記第一の溝部の長さ方向と交差する第二の溝部とを有し、前記第二の溝部が、前記固定用第一部材を収容する前記収容部となる、請求項1に記載の継竿。
【請求項3】
紐状部材と、前記紐状部材に固定される第一の固定部材と、前記紐状部材に固定される第二の固定部材と、を有し、
前記第一の固定部材および前記第二の固定部材の間の前記紐状部材の所定の長さで取り付けられたものである、継竿固定補助部材。
【請求項4】
長さ方向に沿って設けられた第一の溝部と、前記第一の溝部の長さ方向と交差する第二の溝部とを有する止めねじ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継竿に関する。また、継竿に用いられる継竿固定用補助部材や、その一部として用いられる止めねじ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影などの高所作業や水中作業などのために長さを延長して用いるロングロッドが知られている(非特許文献1)。このロングロッドには、高所を撮影するために先端に設置したカメラから手元のスマホなどのモニターに映像や写真を送信する撮影機材などとして普及している。このロングロッドは、最長時に例えば4m~15mなど、一般的な三脚などでは達成できないような長さにも延長できる。この長さを利用して、空撮のような高所からの撮影や点検、測量、水中撮影などを、安全に行うことができる。一方で、ロングロッドとして使用しないときは、その筒を縮めると数十cm程度~2m弱程度に収納でき、保管や持ち運びなども行いやすい。
【0003】
このようなロングロッドに関連するものとして、例えば、任意の高さに調節しながら撮影するカメラや、高所で枝を切るためのはさみのような各種工具による工事など、高所作業をしようとするときに、竿状の作業用の補助具などが用いられることがある。例えば、特許文献1には、考古学の遺跡発掘調査、工事現場、デザイン工房などで使用する、高所から写真撮影するための、俯瞰写真撮影装置が開示されている。
【0004】
この高さ調節を行う手法としては、径が異なる筒状体を同軸上に内蔵させながら複数本配置し、使用時にはそれらの筒を順次送り出していく振出式の竿状の補助具があげられる。または、同径の筒状体の両端にそれぞれネジや嵌合部を設け、それらのネジを螺合したり、嵌合構造により嵌合せたりすることで繋いでいく継竿状の補助具があげられる。
【0005】
また、特許文献2は、中空状の第一の筒状体と、前記第一の筒状体よりも広径で前記第一の筒状体の一部を内包した中空状の第二の筒状体と、前記第一の筒状体の一部が前記第二の筒状体の中空部に内包された状態で、前記第一の筒状体の外周側と、前記第二の筒状体の内周側との間に設けられた接着部と、前記第一の筒状体の上端側に上端側接合用部と、下端側に下端側接合用部とを有し、前記第一の筒状体の前記第二の筒状体に内包されず突出した上端側が差込部をなし、前記第二の筒状体が前記第一の筒状体を内包せず前記差込部を嵌合可能な下端側の中空部が受け部をなす継竿用筒状体などを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-150414号公報
【特許文献2】特開2018-81148号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bi(登録商標) Rod Store (URL:https://birodstore.com/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1や一般的な三脚などは、脚部を延長するために繰り出したとき、脚部が外れないように、脚部内で移動する脚部の一部に径が大きい部分などを設けて脚部の内側と外側とがひっかかることで脱落を防止している。しかし、このような形状の場合、径が大きい部分も筒内で移動できるようにしながら長さ調製用の脚部は自在に移動できるように細くする必要があり、外側の脚部と内側の脚部の太さの差が大きいものとなる。このため、脚部の段数を増やしにくく、収容時の長さを短くしながら、延長時に長いものとすることができないものとなっている。
【0009】
特許文献2や非特許文献1は、このような問題を解決するために、両端の外径が略等しい筒状部材を用いており、隣り合う筒状部材間は、外側の筒状部材の内径と略等しい外径の内側の筒状部材を用いている。これにより、多段としても筒状部材の径の差が過度に変わることを抑制して、多段の筒をつないで用いても、十分な強度を維持しやすいものとしている。
【0010】
しかし、このような外筒の内径と内筒の外径とが略等しいものとすると、外筒の長さを超えて誤って引き出してしまい、外筒と内筒とが意図せずに分離してしまう場合がある。このような状態は、例えば、単に送り出しの停止用の目印を見落として内筒を引き出し過ぎてしまう場合や、クランプを留めずに作業して重さで抜け落ちてしまう場合、使用中にクランプが緩んで脱落してしまう場合などがある。
【0011】
係る状況下、本発明は、柱部材の脱落を防止することができる継竿や、そのための部材等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0013】
<1> 中空状の第一の柱部材と、前記第一の柱部材の少なくとも一部を収容する中空状の第二の柱部材とを組み合わせた継竿用接続体を有する継竿であって、
前記第一の柱部材および前記第二の柱部材に取り付けられた開口部を備える蓋部と、
前記第一の柱部材および前記第二の柱部材の内部に配置された紐状部材と、
前記第一の柱部材の前記蓋部に取り付けられ、前記紐状部材に固定された第一の固定部材と、
前記第二の柱部材の前記蓋部に取り付けられ、前記紐状部材に固定された第二の固定部材と、を有し、
前記第一の固定部材および前記第二の固定部材の間の前記紐状部材の長さが、前記第二の柱部材の長さよりも短いものである、継竿。
<2> 前記蓋部の前記開口部が雌ねじ部を有し、前記第一の固定部材および前記第二の固定部材が、前記雌ねじ部に受け入れられる雄ねじ部を有するものであり、
前記第一の固定部材および前記第二の固定部材が、前記紐状部材を固定する固定用第一部材と、前記固定用第一部材を収容する収容部を備える止めねじ部材とを有し、
前記止めねじ部材が、長さ方向に沿って設けられた第一の溝部と、前記第一の溝部の長さ方向と交差する第二の溝部とを有し、前記第二の溝部が、前記固定用第一部材を収容する前記収容部となる、前記<1>に記載の継竿。
<3> 紐状部材と、前記紐状部材に固定される第一の固定部材と、前記紐状部材に固定される第二の固定部材と、を有し、前記第一の固定部材および前記第二の固定部材の間の前記紐状部材の所定の長さで取り付けられたものである、継竿固定補助部材。
<4> 長さ方向に沿って設けられた第一の溝部と、前記第一の溝部の長さ方向と交差する第二の溝部とを有する止めねじ部材。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、継竿の柱部材の脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明にかかる継竿用接続体の例の概要図である。
【
図3】本発明にかかる止めねじ部材の例の概要図である。
【
図4】本発明にかかる継竿固定補助部材の例の概要図である。
【
図5】本発明にかかる柱部材の蓋部に固定部材を取り付ける操作の例の概要図である。
【
図7】本発明にかかる継竿における固定手法の例の概要図である。
【
図8】本発明にかかる継竿の例にかかる概要図像である。
【
図9】本発明にかかる柱部材の蓋部に固定部材を取り付ける操作の例の概要図である。
【
図10】本発明にかかる継竿の手元用柱部材の端部の取り付け例の概要図である。
【
図11】本発明にかかる第一の固定部材および第二の固定部材の製造例の像である。
【
図12】本発明にかかる柱部材の蓋部に固定部材を取り付ける操作の例を示す像である。
【
図13】本発明にかかる継竿用接続体の製造例の像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0017】
[本発明の継竿]
本発明の継竿は、中空状の第一の柱部材と、前記第一の柱部材の少なくとも一部を収容する中空状の第二の柱部材とを組み合わせた継竿用接続体を有する継竿であって、
前記第一の柱部材および前記第二の柱部材に取り付けられた開口部を備える蓋部と、
前記第一の柱部材および前記第二の柱部材の内部に配置された紐状部材と、
前記第一の柱部材の前記蓋部に取り付けられ、前記紐状部材に固定された第一の固定部材と、
前記第二の柱部材の前記蓋部に取り付けられ、前記紐状部材に固定された第二の固定部材と、を有し、前記第一の固定部材および前記第二の固定部材の間の前記紐状部材の長さが、前記第二の柱部材の長さよりも短いものである。
【0018】
[本発明の継竿固定補助部材]
本発明の継竿固定補助部材は、紐状部材と、前記紐状部材に固定される第一の固定部材と、前記紐状部材に固定される第二の固定部材と、を有し、前記第一の固定部材および前記第二の固定部材の間の前記紐状部材の所定の長さで取り付けられたものである。
【0019】
[本発明の止めねじ部材]
本発明の止めねじ部材は、長さ方向に沿って設けられた第一の溝部と、前記第一の溝部の長さ方向と交差する第二の溝部とを有する。
【0020】
なお、本願において本発明の継竿固定用補助部材や本発明の止めねじ部材は、本発明の継竿に用いることができ、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。
【0021】
図1は、本発明にかかる継竿用接続体の例の概要図である。
図1(a)は、柱部材が収容された状態の継竿用接続体10を示す概要図である。
図1(b)は、第一の柱部材21が、第二の柱部材22から送り出されて延長された状態を示す図である。
図1(c)は、第一の柱部材21や、第二の柱部材22などの長さの関係を説明するために、第一の柱部材21を、第二の柱部材22から抜き出して配置した状態である。
【0022】
図2は、従来の柱部材の関係を示す概要図である。第一の柱部材21と第二の柱部材22とは、継竿を構成する一部である継竿用接続体10にかかる部品の組み合わせである。第一の柱部材21と第二の柱部材22は、クランプ223で固定することで脱落を防止する。この固定位置の目安として、内側に配置されている第一の柱部材21に着色等を行った目印211を設けて、この目印211が見えるまでの範囲内で、外側の第二の柱部材22のクランプ223により固定する。なお、第二の柱部材22にはさらに他の柱部材を設けた時のために目印221が設けられている。目印211で留めずに、クランプ223で固定せずにそのまま送り出し続けると、第一の柱部材21は、第二の柱部材22から外れてしまう。本発明の継竿は、本発明の継竿用固定補助部材に関する紐状部材3と、第一の固定部材41と、第二の固定部材42とを用いることで、継竿用接続体10のそれぞれの柱部材が脱落しないように取り付けたものである。
【0023】
[継竿用接続体10]
継竿用接続体10は、第一の柱部材21と、第一の柱部材21の少なくとも一部を収容する第二の柱部材22とを組み合わせたものである。
【0024】
[第一の柱部材21、第二の柱部材22]
第一の柱部材21と第二の柱部材22は、継竿用接続体10を構成する柱部材である。第一の柱部材21と第二の柱部材22とは、円筒の場合の径に相当する外周の太さが異なる以外は、断面の基本的な形状や長さ、太さ等が、類似するものを用いることができる。継竿は、複数の柱部材を組み合わせたものとすることができる。このため、複数段設けた柱部材の相互の関係で、第一の柱部材21の内側にさらに他の内側柱部材を設けるときは、その内側柱部材を第一の柱部材と捉えることができ、第二の柱部材22の外側に他の外側柱部材を設けるときはその外側柱部材を第二の柱部材と捉えることができる繰り返し構造を有するものとできる。このことから、第一の柱部材21と第二の柱部材22とに共通する構成等を説明するときは、単に、柱部材と呼ぶ場合がある。
【0025】
柱部材は、中空状である。この中空状の部分に、隣り合う細い他の柱部材が収容される。柱部材は、断面形状が円である円筒状のものや、断面形状が多角形の多角柱状のものや、断面形状が直線や曲線を組み合わせたような形状のものなどを用いることができる。多数の柱部材を連接して長尺のものとしやすいことから、特に円筒状の部材を用いることが好ましい。
【0026】
このような柱部材は、軽量でしなりの負荷に強い素材で形成されていることが好ましい。さらに、使用環境での形状安定性に優れていることが好ましい。このような材料としては、例えば、カーボンファイバー、グラスファイバーおよびアルミニウムからなる群から選択される少なくともいずれかの材料を用いて形成されることが好ましい。これらは組み合わせて構成することもでき、例えば、内側の第一の柱部材はグラスファイバー製とし、外側の第二の柱部材はカーボンファイバー製とするような異素材を組み合わせた構成とすることもできる。
【0027】
柱部材は、略同じ長さのものを用いることが好ましい。具体的な長さとしては、例えば、それぞれの柱部材が30cm~200cm程度であり、好ましくは、50cm~150cm程度である。このような長さであれば、本発明の継竿用柱部材を連接して継竿として使用するときの3m以上や、5m以上(例えば12m程度)のような長さにするための連接数を極端に多くすることなく、かつ、一般的な運搬をしやすい長さとして取り扱い性にも優れたものとすることができる。また、その径は最外径となる部分で例えば10~100mm程度、より具体的には20~50mm程度とすることができる。
【0028】
[蓋部212、222]
第一の柱部材21は、開口部を備える蓋部212を有する。また、第二の柱部材22は、開口部を備える蓋部222を有する。蓋部212、222は、柱部材を送り出して延長する方向として設計している形状の反対側に柱部材が抜けることの防止や、柱部材をクランプ223などで締め付けるときに変形しにくいように強度の増強などのためにも取り付けられる。このため、第一の柱部材21の蓋部212は、第一の柱部材21の長さ方向において第二の柱部材22側に設けられる。第二の柱部材22の蓋部222は、第二の柱部材22の長さ方向において第一の柱部材21の反対側に設けられる。
【0029】
また、蓋部212、222は、開口部を有する。この開口部は、継竿用接続体10の内部に、紐状部材3等を通貫して配置させるための孔としても機能する。さらに、この開口部には、第一の固定部材41や第二の固定部材42(
図4、
図5参照)の取り付け位置としても用いることができる。
【0030】
[紐状部材3]
紐状部材3は、第一の柱部材21と、第二の柱部材22の内側に配置されている。紐状部材3は、第一の柱部材21を第二の柱部材22に収容しているときは、蓋部212と蓋部222間に押し込まれた状態となる。一方で、第一の柱部材21を第二の柱部材22から送り出して延伸させている使用状態のときは、伸びた状態となる。このため、紐状部材3は、折り曲げやすく、絡まりにくく、引っ張られたときの強度が高いものが好ましい。このような紐状部材としては強度が高い糸などを用いることができる。例えば、各種釣り糸等を利用でき、特にポリエチレン製の釣り糸などを用いることができる。
【0031】
[第一の固定部材41、第二の固定部材42]
第一の固定部材41は、第一の柱部材21の蓋部212に取り付けられ、紐状部材3に固定されている。第二の固定部材42は、第二の柱部材22の蓋部222に取り付けられ、紐状部材3に固定されている。
【0032】
第一の固定部材41と第二の固定部材42は、いずれも紐状部材3に固定されている。そして、前述のように、第一の固定部材41は第一の柱部材21に取り付けられ、第二の固定部材42は第二の柱部材22に取り付けられている。また、第一の固定部材41が固定されている位置から、第二の固定部材42が固定されている位置までの紐状部材3を伸ばした状態での長さ(
図1(c)における長さL1に相当)は、第二の柱部材22の長さ(
図1(c)における長さL22に相当)よりも短いものとして設計する。これにより、第一の柱部材21を引き出しても、紐状部材3が長さL1まで伸びた状態で、第一の柱部材21と第二の柱部材22とにそれぞれ固定されているため、それ以上、引き出しにくい状態となり止まる。よって、引き出している第一の柱部材21の目印211を見落として、クランプ223で留められていない状態でも、第一の柱部材21と第二の柱部材22とが意図せず分離して脱落するような事態を避けることができる。
【0033】
第二の柱部材22の長さ(
図1(c)における長さL22に相当)と、第一の固定部材41が固定されている位置から、第二の固定部材42が固定されている位置までの紐状部材3を伸ばした状態での長さ(
図1(c)における長さL1に相当)の差は、第一の柱部材21を適切に引き出すことができ脱落防止できる範囲で適宜設定できる。長さL22と、長さL1を用いて説明すると、より好ましくは、「長さL22-長さL1」は、2cm~10cm程度や、3cm~8cm程度が好ましい。第一の固定部材41が固定されている位置と、第二の固定部材42が固定されている位置に基づく長さ(L22)を求めるとき、それぞれの位置は、第一の固定部材41の長さ方向の中央と、第二の固定部材42の長さ方向の中央に基づいて測ることができる。
【0034】
第一の固定部材41と第二の固定部材42は、それぞれが固定されている第一の柱部材21と第二の柱部材22と、脱着自在な固定としておくことが好ましい。脱着自在なものとすることで、第一の柱部材21と、第二の柱部材22とを、分離することもできる。通常の使用状態では、意図しない脱落を防止して安全に使用するためにも、固定しておいた方がよい。一方で、継竿の使用状態のよっては、例えば海水中で使用するなどして、使用後に洗浄や乾燥などのメンテナンスを行ったほうが良い場合がある。このようなメンテナンスを行うとき、分離しやすい構造としておけば、容易にそれぞれの部材を洗浄等できて、必要に応じて取り換え等もできる点でも優れている。
【0035】
紐状部材と、第一の固定部材や第二の固定部材との固定は、柱部材と取り付けて、使用時に柱部材が分離する脱落を防止できるようにするものであり、柱部材内に配置できる組み合わせを用いることができる。例えば、蓋部の開口部にねじ切り加工しておき、第一の固定部材と第二の固定部材を、このねじに合わせて取り付けることができるものとして、その一部に紐状部材を巻き付けたり、絡ませたりすることで固定できるものなどを採用することができる。
【0036】
第一の固定部材41や第二の固定部材42は、紐状部材3を固定する固定用第一部材411、421と、固定用第一部材411、421を収容する収容部を備える止めねじ部材412、422を組み合わせたものとすることができる。このような組み合わせとすることで、固定用第一部材411、421を予め紐状部材3に取り付けるため、第一の固定部材41や第二の固定部材42の長さの間隔(L1)を調整しやすい。また、それぞれの柱部材への取り付け時には止めねじ部材412、422を用いるため、蓋部212、222への取り付けも行いやすい。また、このような固定用第一部材と、止めねじ部材の組み合わせは、柱部材の蓋部に取り付けながら、柱部材の中空部を通って、連続的に配置していく比較的小さい部材に対する加工性や、強度、生産性にも優れたものとなる。
【0037】
図3は、本発明にかかる止めねじ部材の例の概要図である。
図4は、本発明にかかる継竿固定補助部材の例の概要図である。
図1、4に示す実施形態において、固定用第一部材411、421は、リングを採用している。脱落を防止するために取り付け位置に合わせた柱部材の長さよりも短いものとする、所定の長さで紐状部材3に、このリングを取り付けている。
【0038】
[止めねじ部材412、422]
止めねじ部材412、422は、長さ方向に沿って設けられた第一の溝部4121、4221を有する。この第一の溝部4121、4221は、継竿の長さ方向にも沿うものとなり、これらの溝を通して、紐状部材3を通すことができる。そして、止めねじ部材412、422は、さらに、第一の溝部4121、4221の長さ方向と交差する第二の溝部4122、4222を有する。すなわち、止めねじ部材412、422の胴部分に横断するような溝を有する。この第二の溝部4122、4222は、固定用第一部材411、421を収容する収容部となる。
【0039】
図5は、本発明にかかる柱部材の蓋部に固定部材を取り付ける操作の例を説明するための概要図である。ここでは、第一の柱部材21に、紐状部材3と第一の固定部材41を取り付ける例を説明する。第一の柱部材21の蓋部212の開口部は雌ねじ部を有する。そして、第一の固定部材41は、雌ねじ部に受け入れられる雄ねじ部を有する。第一の固定部材41は、固定用第一部材411と、止めねじ部材412とを組み合わせている。この固定用第一部材411は、紐状部材3に取り付けられており、止めねじ部材412の収容部に収容されている。
図5(a)に示すように、この組み合わせの状態で、雄ねじ部を有する止めねじ部材412を、蓋部212に押し込んでいく。そして、
図5(b)のように十分に止めねじ部材412を押し込むと、収容部に挟まれていた固定用第一部材411は、蓋部212の雌ねじ部に覆われている状態となる。これにより、紐状部材3を第一の固定部材41により第一の柱部材21に固定した状態とすることができる。第二の柱部材22に対しても、同様の操作を行うことで、紐状部材3を第二の固定部材42により第二の柱部材22に固定した状態とすることができる。
【0040】
[継竿]
このように、本発明の継竿は、少なくとも第一の柱部材21と第二の柱部材22とを組み合わせて、ここに紐状部材3や第一の固定部材41と第二の固定部材42とを組み合わせて第二の柱部材22の長さを超えて第一の柱部材21が送り出せないようにした継竿用接続体10の構成を有する。本発明の継竿は、その外形や用途などは、非特許文献1(株式会社ルミカ「Bi(登録商標)Rod」)に準じるものとすることができる。継竿は、通常、多段の柱部材を有したものとする。継竿用接続体10に相当する構成は、継竿の柱部材全てに設けてもよいし、一部のみとしてもよい。
【0041】
図1等において継竿用接続体10として、柱部材を2つ連接するものを示したが、本発明に係る継竿用接続体10を用いる構成は、さらに多数の連接にも適しており、簡易な操作で複数の継竿用接続体を連接していくことができる。連接する数は、例えば3以上、好ましくは5以上、より好ましくは8以上とすることができる。その連接する上限に特に定めはないが、一般的な用途では、その用途に合わせて各継竿用接続体の柱部材の長さを最適化し、例えば30以下程度までの連接を想定したものとすることができる。
【0042】
図6は、本発明にかかる継竿の例にかかる概要図である。ここでは、10段分の柱部材を用いる継竿を例に説明する。
図6では、右側に、手元用として配置する太い柱部材を用いるものとし、左側に行くにつれ段階的に細くなる柱部材を用いたものとする。
【0043】
図7は、本発明にかかる継竿における固定手法の例を説明するための概要図である。
図6のような継竿の各柱部材に、隣り合う柱部材間の長さに合わせてそれぞれの柱部材が脱落しないように、すなわち隣り合う柱部材における第二の柱部材となる太いほうの柱部材の長さよりも短い間隔で、紐状部材に固定用部材の一部となるリングを取り付けている。このリングは
図7の下段に断面図で示すように、蓋部のねじ部に、リングを収容できる止めねじ部材を介してはめ込んで固定することで柱部材に固定用部材を介して紐状部材が取り付けられている状態となっている。このため、継竿全体で、柱部材の脱落を防止できる構造となっている。
【0044】
図8~10は、
図7、8に示した継竿をより把握しやすくするための関連する概要図である。
図8は、本発明にかかる継竿の例を説明するための概要図である。また、
図9は、本発明にかかる柱部材の蓋部に固定部材を取り付ける操作の例を説明するための概要図である。
図10は、本発明にかかる継竿の手元用柱部材の端部の取り付け例を説明するための概要図である。継竿の先端は、任意のものを取り付けることができるようにして、作業用などに用いることができる。例えば、カメラなどを取り付けるための雲台やホルダーなどとして、高所や水中、離れた場所などの撮影を行うためのものとして使用することができる。この継竿は手持ちで使用してもよいし、三脚等に固定して用いることもできる。また、手元用の柱部材などにコントローラーや、スマートフォンなどを取り付けるホルダーや、固定用のベルトなどを設けてもよい。
【0045】
図8は、柱部材を収容し先端の柱部材を伸ばした状態の像である。収容状態では、本発明にかかる継竿はコンパクトなものとすることができる。
図9は、糸をリングに取り付け、そのリングをねじ棒状の固定部材にはめ込み、柱部材の蓋部にねじ込む流れを示している。
図10は、手元の柱部材に固定するため、短めのねじ棒状の固定部材で固定する状態である。
【0046】
図11は、本発明にかかる第一の固定部材および第二の固定部材の製造例の像である。
図12は、本発明にかかる柱部材の蓋部に固定部材を取り付ける操作の例を示す像である。
図13は、本発明にかかる継竿用接続体の製造例の像である。
【0047】
このように直径1~3mm程度のナイロンやポリエチレン糸の所定の位置にストッパーとなるリングを固定してそのリングと糸を挟み込んだ後、ネジ構造の治具を各ロッドの底部分の蓋に捩じ込んで各ロッドの結束や、分解時の取り外しが容易に行える。すなわち、複数の所定の位置にリングや円板などのストッパーなる部材を固定し、これを十字の刻みなどを施したいわゆるイモネジのようなネジ棒に順次取り付けて、ロッドの底部同士を結束していく脱落防止手法に関する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、高所撮影等に利用できる継竿に利用することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0049】
10 継竿用接続体
21 第一の柱部材
22 第二の柱部材
211、221 目印
222 蓋部
223 クランプ
3 紐状部材
31 取り付け部
41 第一の固定部材
42 第二の固定部材
411、421 固定用第一部材
412、422 止めねじ部材
4121、4221 第一の溝部
4122、4222 第二の溝部