(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028474
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】避雷装置収納ケース
(51)【国際特許分類】
B65D 85/68 20060101AFI20250221BHJP
【FI】
B65D85/68 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133313
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】505312730
【氏名又は名称】株式会社電力機材サービス
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 怜也
(72)【発明者】
【氏名】菊池 大輔
(72)【発明者】
【氏名】藤田 教昌
【テーマコード(参考)】
3E037
【Fターム(参考)】
3E037AA20
3E037BA04
3E037BB09
3E037BB20
3E037CA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】避雷装置の取り扱いが容易な避雷装置収納ケースを提供する。
【解決手段】避雷装置収納ケース1は、避雷素子を内蔵した絶縁性ゴム材料から形成された避雷碍子11と、避雷素子に接続され、避雷碍子11から露出する一対の端末金具12a、12bと、一対の端末金具12a、12bに取り付けられ、鉄塔に取り付けられて送電線を支持する支持碍子に接続される一対の接続金具13、14と、を有する避雷装置10を収納する避雷装置収納ケース1であって、一対の接続金具13、14の一部をプレートの凹部で挟み込み固定することで一対の接続金具13、14を露出させつつ避雷装置10を収納する下ケース2及び上ケース3とを備え、下ケース2及び上ケース3は、避雷碍子11に接触しないように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避雷素子を内蔵するとともに絶縁性ゴム材料から形成された避雷碍子と、
前記避雷素子に接続され、前記避雷碍子から露出する一対の端末金具と、
前記一対の端末金具に取り付けられ、鉄塔に取り付けられて送電線を支持する支持碍子に接続される一対の接続金具と、を有する避雷装置を収納する避雷装置収納ケースであって、
前記一対の接続金具の一部をプレートの凹部で挟み込み固定することで前記一対の接続金具を露出させつつ前記避雷装置を収納する筐体を備え、
前記筐体は、前記避雷碍子が接触しないように構成されている、
避雷装置収納ケース。
【請求項2】
前記筐体は、外側の面に当該避雷装置収納ケースを吊り下げるための複数の吊り下げ具が取り付けられている、
請求項1に記載の避雷装置収納ケース。
【請求項3】
前記筐体は、開閉式である、
請求項2に記載の避雷装置収納ケース。
【請求項4】
前記筐体は、全体として筒状を有し、長手方向の両端部がそれぞれ閉塞された半筒状の下ケース及び上ケースを備え、
前記下ケース及び前記上ケースを開閉可能に支持するヒンジと、
前記下ケース及び前記上ケースを閉じた状態で固定する係止具と、
をさらに備えた請求項3に記載の避雷装置収納ケース。
【請求項5】
前記避雷装置を収納した当該避雷装置収納ケースを前記吊り下げ具を用いて吊り下げたとき、前記ヒンジが上側に位置するように設けられ、前記係止具が下側に位置するように設けられている、
請求項4に記載の避雷装置収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避雷装置収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄塔近傍の送電線を絶縁被覆されたジャンパー線でバイパス化することにより、通電状態においても鉄塔建替などの作業を、安全に工事(無停電工事)を行うことを可能にした仮工事工法(ケーブルジャンパー工法)が実施されている。
【0003】
このケーブルジャンパー工法により無停電工事を行う際に、ケーブルジャンパーが落雷時の雷サージによる高電圧により損傷し、高電圧が送電線に伝わるのを防止する避雷装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された避雷装置は、送電線を支持する支持碍子に取付金具を介して接続された避雷碍子と、架電側アークホーンとを備える。避雷碍子は、非直線抵抗特性を有する酸化亜鉛からなる避雷素子をシリコーンゴムでモールドしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
避雷碍子を構成するシリコーンゴムは、非常に柔らかく、その扱いや保管には十分な配慮(例えば、シリコーンゴムに力が加わらないようにする、汚れ、傷、埃等が付かないように養生する等)が必要である。
【0007】
避雷装置は、ケーブルジャンパー工法で使用するものであることから、工事現場に運搬し、鉄塔上の碍子連(支持碍子)部分に取り付け、必要期間の使用後は碍子連部分から外して運搬し、倉庫で保管するものであるにも拘わらず、木箱あるいは段ボール箱で納品されている。木箱あるいは段ボール箱は、ケーブルジャンパー工法での使用を想定した形態となっていないことから、木箱では開梱後、再び収納できず、段ボール箱では、雨などに晒されて運搬した場合には、使用不可能になってしまう。
【0008】
このため、使用後の避雷装置は、清掃(布などで汚れ・塩分などを除去)し、金具部分を木製の台(枕)に載せて、ビニル袋やポリ袋等を掛けて埃などから養生し、保管している。この保管方法では、広い保管場所が必要であり、避雷装置の金属部分が木製の台から外れてしまうと、シリコーンゴムの変形や傷の発生の可能性がある。また、倉庫から現場への運搬も同様の問題があることから、シリコーンゴムが損傷しないようにするため、細心の注意を払っている。さらに、工事現場では、避雷装置を高所に持ち上げる必要があるが、適切な吊り下げ具やそれに代わる吊り穴などがないことから、作業員は細心の注意を払いつつ、時間を掛けてゆっくりと手作業により避雷装置を高所に持ち上げ、そして碍子連への取り付け作業を慎重に行っている。
【0009】
したがって、本発明の課題は、避雷装置の取り扱いが容易な避雷装置収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]避雷素子を内蔵するとともに絶縁性ゴム材料から形成された避雷碍子と、
前記避雷素子に接続され、前記避雷碍子から露出する一対の端末金具と、
前記一対の端末金具に取り付けられ、鉄塔に取り付けられて送電線を支持する支持碍子に接続される一対の接続金具と、を有する避雷装置を収納する避雷装置収納ケースであって、
前記一対の接続金具の一部をプレートの凹部で挟み込み固定することで前記一対の接続金具を露出させつつ前記避雷装置を収納する筐体を備え、
前記筐体は、前記避雷碍子が接触しないように構成されている、避雷装置収納ケース。
[2]前記筐体は、外側の面に当該避雷装置収納ケースを吊り下げるための複数の吊り下げ具が取り付けられている、前記[1]に記載の避雷装置収納ケース。
[3]前記筐体は、開閉式である、前記[2]に記載の避雷装置収納ケース。
[4]前記筐体は、全体として筒状を有し、長手方向の両端部がそれぞれ閉塞された半筒状の下ケース及び上ケースを備え、前記下ケース及び前記上ケースを開閉可能に支持するヒンジと、前記下ケース及び前記上ケースを閉じた状態で固定する係止具と、をさらに備えた前記[3]に記載の避雷装置収納ケース。
[5]前記避雷装置を収納した当該避雷装置収納ケースを前記吊り下げ具を用いて吊り下げたとき、前記ヒンジが上側に位置するように設けられ、前記係止具が下側に位置するように設けられている、前記[4]に記載の避雷装置収納ケース。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、避雷装置の取り扱いが容易となる。
請求項2に係る発明によれば、避雷装置を収納した避雷装置収納ケースを吊り下げた状態で避雷装置の支持碍子への設置作業を行うことができる。
請求項3に係る発明によれば、避雷装置の支持碍子への設置作業が終わるまで避雷碍子を保護することができる。
請求項4に係る発明によれば、市販のパイプを利用して筐体を製造することができる。
請求項5に係る発明によれば、避雷装置を支持碍子に設置した後に避雷装置から避雷装置収納ケースを容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る避雷装置収納ケースの収納状態を示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す避雷装置収納ケースの平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す避雷装置収納ケースの背面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す避雷装置収納ケースの左側面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す避雷装置収納ケースの右側面図である。
【
図6】
図6は、避雷装置を収納した避雷装置収納ケースの上ケースを開いた状態を示す平面図である。
【
図7】
図7は、避雷装置の設置作業を説明するための図である。
【
図8】
図8(a)~(d)は、避雷装置の設置作業の詳細の一例を示す写真である。
【
図9】
図9(a)~(e)は、避雷装置の撤去作業の詳細の一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0014】
[実施の形態]
図1から
図5は、本発明の実施の形態に係る避雷装置収納ケースの収納状態を示し、
図1は、正面図、
図2は、平面図、
図3は、背面図、
図4は、左側面図、
図5は、右側面図である。
【0015】
避雷装置収納ケース1(以下単に「収納ケース1」ともいう。)は、下ケース2と、上ケース3と、下ケース2及び上ケース3を開閉可能に支持する複数(例えば、2つ)のヒンジ4と、下ケース2及び上ケース3を閉じた状態で固定する複数(例えば、2つ)のキャッチクリップあるいはパッチン錠と称される係止具5と、下ケース2及び上ケース3の外側の面に取り付けられ、避雷装置収納ケース1内に避雷装置10を収納した状態で吊り下げ可能な複数(例えば、8つ)のアイボルト等の吊り下げ具6a1、6a2、6b、6c、6d、6e、6x1、6x2(これらを総称するときは、以下「吊り下げ具6」ともいう。)とを備える。なお、吊り下げ具6は、8つに限られない。下ケース2及び上ケース3は、筐体の一例である。
【0016】
下ケース2及び上ケース3は、後述する避雷碍子11(
図6参照)が下ケース2及び上ケース3に接触しないように避雷装置10を収納する。具体的には、避雷碍子11の長手方向に沿った中心線(以下、避雷碍子中心線という。)11c(
図6参照)と下ケース2及び上ケース3の長手方向に沿った中心線(以下、ケース中心線という。)1a(
図2参照)とを一致させている。これにより、避雷碍子11の損傷を抑制することができる。
【0017】
また、下ケース2及び上ケース3は、ヒンジ4によって開閉式となっている。これにより避雷装置10の支持碍子110(
図7参照)への設置作業が終わるまで避雷碍子11を保護することができる。
【0018】
また、下ケース2及び上ケース3は、全体として筒状(例えば、円筒状)を有し、長手方向の両端部がそれぞれ閉塞された半筒状(例えば、半円筒状)を有する。これにより、市販のパイプを用いて下ケース2及び上ケース3を安価に製造することができる。下ケース2及び上ケース3の具体的な構造については、後述する。
【0019】
複数の吊り下げ具6は、例えば、避雷装置10を収納した避雷装置収納ケース1を吊り下げ具6を用いて吊り下げたとき、後述する
図7に示すように、避雷装置収納ケース1の傾斜方向が避雷装置10を架空送電線路に取り付けたときの傾斜方向と同じ向きなるように下ケース2及び上ケース3に取り付けられている。これにより吊り下げた避雷装置収納ケース1の傾斜方向の向きを変えずに避雷装置10の支持碍子110への設置作業を行うことができる。
【0020】
また、避雷装置収納ケース1を吊り下げたときの傾斜角度が避雷装置10を架空送電線路に取り付けたときの傾斜角度θa(支持碍子110が水平の場合は、例えば、約28)とほぼ同じ傾斜角度θb(例えば、傾斜角度θaとの差が15°以下、あるいは10°以下)となるように吊り下げ具6の位置や吊り方を定めてもよい。具体的には、
図1に示すように、下ケース2のヒンジ4の近くに2つの吊り下げ具6a1、6a2を設け、上ケース3の上部に軸方向に沿って3つの吊り下げ具6b、6x1、6cを設け、下ケース2の下部に軸方向に沿って3つの吊り下げ具6d、6x2、6eを設けた。
図2に示すように、収納状態の避雷装置収納ケース1の重心位置がほぼケース中心1b(長手方向及び径方向の中心)にあることから、
図1に示すように、ケース中心1bの対応する位置に吊り下げ具6x1、6x2を設け、ケース中心1bから軸方向に等距離Lの位置に吊り下げ具6a1、6a2、6b、6c、6d、6eを設けた。これにより、避雷装置10を避雷装置収納ケース1に収納した状態のまま吊り上げ、避雷装置10を支持碍子110に取り付けた後、避雷装置収納ケース1を避雷装置10から外すことができ、避雷装置10の設置作業が容易となる。
【0021】
下ケース2は、半円筒状の下ケース本体21と、下ケース本体21の長手方向の一方を塞ぐ前方プレート22と、下ケース本体21の長手方向の他方を塞ぐ後方プレート23とを備え、下ケース本体21、前方プレート22及び後方プレート23は、接着剤、溶着等によって互いに接合されている。
【0022】
上ケース3は、半円筒状の上ケース本体31と、上ケース本体31の長手方向の一方を塞ぐ前方プレート32と、上ケース本体31の長手方向の他方を塞ぐ後方プレート33とを備え、上ケース本体31、前方プレート32及び後方プレート33は、接着剤、溶着等によって互いに接合されている。
【0023】
下ケース本体21及び上ケース本体31は、例えば、外径216mm、内径202mmの硬質ポリ塩化ビニル管(JIS K 6741)のVU管を加工することで製造してもよい。前方プレート22、32及び後方プレート23、33は、例えば、厚さ30mmの塩化ビニル板を用いてもよい。
【0024】
避雷装置10を構成する座標調整金具14及び端末金具12bを避雷装置収納ケース1に対して位置決めして配置するため、
図4及び
図6に示すように、下ケース2の前方プレート22に凹部22aが形成されている。また、避雷装置10を構成する端末金具12aを避雷装置収納ケース1に対して位置決めして配置するため、下ケース2の後方プレート23に、凹部23aが形成されている。また、避雷装置10を構成する支持金具13を避雷装置収納ケース1に対して位置決めして配置するため、下ケース2の下ケース本体21に凹部21aが形成され、下ケース2の後方プレート23に凹部23bが形成されている。
【0025】
避雷装置収納ケース1の前方プレート22、32から座標調整金具14(
図6参照)が水平方向に露出し、後方プレート23、33から支持金具13(
図6参照)が水平方向に露出している。座標調整金具14が露出する位置は、
図3及び
図4に示すように、ケース中心線1aよりもやや上方となっている。支持金具13及び座標調整金具14は、一対の接続金具の一例である。
【0026】
(避雷装置の構成)
図6は、避雷装置10を収納した避雷装置収納ケース1の上ケース3を開いた状態を示す平面図である。なお、同図に示す避雷装置10は、送電電圧が66kV用のものである。
【0027】
避雷装置10は、図示しない避雷素子を内蔵した避雷碍子11と、避雷素子に接続され、避雷碍子11から露出する一対の端末金具12a、12bと、一方の端末金具12aに取り付けられた支持金具13と、他方の端末金具12bに取り付けられた座標調整金具14とを備える。
【0028】
支持金具13には、鉄塔側取付金具120の接続金具120a、又は電線側取付金具130の接続金具130aに取り付けるための穴13aが形成されている。
【0029】
座標調整金具14には、後述する
図7に示す一対の避雷装置10間の相対的な位置を調整して平編み線17を取り付けるための長穴14aが形成されている。
【0030】
避雷碍子11は、大径の笠部11a及び小径の笠部11bを軸方向に交互に有し、シリコーンゴム等の絶縁性ゴム材料から形成されている。避雷碍子11は、例えば、150mm程度の外径を有する。
【0031】
上述したように避雷碍子11の避雷碍子中心線11cが下ケース2及び上ケース3のケース中心線1aに一致するように避雷装置10を避雷装置収納ケース1に収納している。避雷碍子11の外径は、約148mm、避雷装置収納ケース1の内径は、202mmであるので、27mmの隙間が設けられている。
【0032】
送電電圧が154kV用の場合は、避雷碍子11が長くなり、それに伴って避雷装置収納ケース1が長くなることから、避雷碍子11の長手方向の中間付近をスポンジ等の弾性部材によって下ケース2の内面から支えてもよい。また、送電電圧が66kV用の避雷碍子11に対しても長手方向の中間付近をスポンジ等の弾性部材によって下ケース2の内面から支えてもよい。
【0033】
(避雷装置の設置作業の概要)
次に、避雷装置10の支持碍子110への設置作業の概要を、
図7を参照して説明する。なお、避雷装置10の支持碍子110への設置作業の詳細、及び避雷装置10の支持碍子110からの撤去作業の詳細については後述する。
図7では、鉄塔の一方の側の架空送電線路だけを図示しているが、鉄塔の両側に鉄塔の中心線に対して対称に架空送電線路が配置されている。
【0034】
同図に示す架空送電線路のうち支持碍子110、鉄塔側取付金具120、電線側取付金具130及び架空送電線140は、既設の部材であり、他の部材は、新たに設置する部材である。支持碍子110の一方の端部は、鉄塔側取付金具120を介して鉄塔に取り付けられ、支持碍子110の他方の端部は、電線側取付金具130を介して架空送電線140が取り付けられている。
【0035】
鉄塔を挟んで配置され、上記支持碍子110、鉄塔側取付金具120及び電線側取付金具130によりそれぞれ緊線状態に支持された架空送電線140間を電気的に接続するジャンパーユニット(ケーブルジャンパーともいう。)100が設けられている。
【0036】
ジャンパーユニット100は、ケーブルヘッド101の一方にジャンパー線104aが接続され、ケーブルヘッド101の他方に端子アダプタ102を介してジャンパー線104bが接続されている。端子アダプタ102は、ターンバックル103によって電線側取付金具130の接続金具130bに吊り上げられている。
【0037】
支持碍子110の両端の接続金具120a、130a間を一対の避雷装置10と、一対の避雷装置10間を接続する平編み線17とによって接続する。一対の避雷装置10は、それぞれ支持金具13が接続金具120a、130aに接続され、座標調整金具14が平編み線17を介して接続される。
【0038】
避雷装置10を支持碍子110に取り付ける際、避雷装置10を収納した避雷装置収納ケース1の複数の吊り下げ具6(例えば、吊り下げ具6a1、6a2)にそれぞれロープ15を通し、鉄塔上の適切な位置から金車で吊り、ロープ15を支持ロープ16の先端に設けたフック16aで把持し、金車を使って支持ロープ16を移動させて避雷装置収納ケース1を吊り下げる。このとき、避雷装置収納ケース1の傾斜角度θbは、避雷装置10を支持碍子110に取り付けたときの避雷装置10の傾斜角度θaとほぼ同じ傾斜角度となるため、避雷装置10の支持碍子110への設置作業を容易に行うことができる。なお、
図7では、ロープ15を吊り下げ具6a1、6a2に通しているが、後述する
図8に示すように、他の吊り下げ具(例えば、吊り下げ具6b、6c、6d、6e)に通してもよい。
【0039】
金車で避雷装置収納ケース1を吊り下げた状態で
図7に示す左側の避雷装置10の支持金具13を電線側取付金具130の接続金具130aに取り付ける。同様に
図7に示す右側の避雷装置10の支持金具13を鉄塔側取付金具120の接続金具120aに取り付ける。その後、左右の避雷装置10の座標調整金具14間を平編み線17によって接続する。
【0040】
次に、避雷装置収納ケース1を避雷装置10から外し、避雷装置10の支持碍子110への設置作業が終了する。
【0041】
(避雷装置の設置作業の詳細)
避雷装置10の支持碍子110への設置作業の詳細の一例を
図8を参照して説明する。なお、
図8中、130aは、実際の接続金具と同一形状の接続金具を模擬的に示す。また、同図では、
図7の左側の避雷装置10の設置作業の様子を示すが、右側の避雷装置10の設置作業も同様に行われる。
【0042】
まず、
図8(a)に示すように、吊り下げ具6b~6eと2本のロープ15を用いて避雷装置10を収納した収納ケース1を吊り下げる。すなわち、軸方向の一方の側に設けられている2つの吊り下げ具6b、6eに2本のうちの一方のロープ15を通し、軸方向の他方の側に設けられている2つの吊り下げ具6c、6dに2本のうちの他方のロープ15を通す。これにより、後述する
図8(b)に示すように、一方のロープ15と他方のロープ15の長さを調整することにより収納ケース1の傾斜角度θbの調整を容易に行うことができる。
【0043】
また、
図8(a)においては、吊り下げ具6x1、6x2とロープ15を用いて収納ケース1が開かないように固縛する。ロープ15で固縛したら、予め2つの係止具5を外しておく。さらに避雷装置10が万が一にも落下することがないように、設置作業が完了するまで吊り下げ具6a1、6a2と避雷装置10とをロープ15で接続しておく。
【0044】
次に、
図8(b)に示すように、収納ケース1を吊り下げた2本のロープ15を移動させて収納ケース1を設置位置まで吊り下げる。
【0045】
次に、
図8(c)に示すように、避雷装置10の支持金具13を接続金具130aに固定した後、吊り下げ具6x1、6x2に通しているロープ15を外し、吊り下げ具6a1、6a2に通しているロープ15を外す。
【0046】
次に、
図8(d)に示すように、吊り下げ具6b~6eと2本のロープ15を用いて収納ケース1を吊り下げることにより、収納ケース1が容易に開き、収納ケース1を避雷装置10から外す。以上のようにして避雷装置10が設置される。
【0047】
(避雷装置の撤去作業の詳細)
避雷装置10の支持碍子110からの撤去作業の詳細の一例を
図9を参照して説明する。なお、
図9中、130aは、実際の接続金具と同一形状の接続金具を模擬的に示す。また、同図では、
図7の左側の避雷装置10の撤去作業を示すが、右側の避雷装置10の撤去作業も同様に行われる。
【0048】
まず、
図9(a)に示すように、吊り下げ具6a1、6a2とロープ15を用いて避雷装置10を収納していない空の収納ケース1を吊り下げる。
【0049】
次に、
図9(b)に示すように、避雷装置10の位置まで吊り下げ具6a1、6a2とロープ15を用いて収納ケース1を吊り下げる。
【0050】
次に、
図9(c)に示すように、避雷装置10の支持金具13の位置と収納ケース1の凹部21aの位置とを合わせるとともに、避雷装置10の座標調整金具14と収納ケース1の凹部22aの位置とを合わせる。
【0051】
次に、
図9(d)に示すように、吊り下げ具6a1、6a2とロープ15を用いて収納ケース1を吊り下げた状態で収納ケース1を閉じる。
【0052】
最後に、
図9(e)に示すように、下ケース2及び上ケース3を係止具5を締めて閉じ、避雷装置10を収納ケース1に収納する。接続金具130aから避雷装置10の支持金具13を外し、吊り下げ具6a1、6a2とロープ15を用いて避雷装置10を収納した収納ケース1を吊り下げて地上に下ろす。以上のようにして避雷装置10の撤去作業が終了する。
【0053】
(実施の形態の作用)
本実施の形態に係る避雷装置収納ケース1によれば、以下の効果を奏する。
(a)避雷装置10の両端の金属部分を避雷装置収納ケース1で把持する構造にしたことから、避雷碍子11が筐体に接触せず、避雷碍子11全体を収納しているため、避雷碍子11を汚れから保護できるとともに、積み重ねて保管・運搬することが可能になる。
(b)筐体に吊り下げ具6を付けることで、高所へ上げる際や支持碍子110への取り付け・取り外しの際にロープ15を付けることが可能となり、作業の容易性、安全性が向上する。
【0054】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形、実施が可能である。また、上記実施の形態の構成要素の一部を省くことや変更してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…避雷装置収納ケース、1a…ケース中心線、1b…ケース中心、2…下ケース、3…上ケース、4…ヒンジ、5…係止具、6、6a1、6a2、6b~6e、6x1、6x2…吊り下げ具、10…避雷装置、11…避雷碍子、11a、11b…笠部、11c…避雷碍子中心線、12a、12b…端末金具、13…支持金具、13a…穴、14…座標調整金具、14a…長穴、15…ロープ、16…支持ロープ、16a…フック、17…平編み線、21…下ケース本体、21a…凹部、22…前方プレート、22a…凹部、23…後方プレート、23a、23b…凹部、31…上ケース本体、32…前方プレート、33…後方プレート、33a、33b…凹部、100…ジャンパ-ユニット、101…ケーブルヘッド、102…端子アダプタ、103…ターンバックル、104a、104b…ジャンパー線、110…支持碍子、120…鉄塔側取付金具、120a、120b…接続金具、130…電線側取付金具、130a、130b…接続金具、140…架空送電線