(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028510
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】基板
(51)【国際特許分類】
H10H 20/85 20250101AFI20250221BHJP
【FI】
H01L33/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133361
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 忠宏
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA51
5F142BA32
5F142CA03
5F142CA13
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD23
5F142CD25
5F142CD32
5F142CD47
(57)【要約】
【課題】強度の方向依存性が抑制された基板を提供する。
【解決手段】基板1は、複数のガラスクロス10が積層されている。複数のガラスクロス10は、第1ガラスクロス層10aと、第2ガラスクロス層10bとを含む。第2ガラスクロス層10bは、第1ガラスクロス層10aに積層されている。ガラスクロス10が積層されている方向をz方向とする。z方向から見て、第1ガラスクロス層10aの繊維方向は、第2ガラスクロス層10bの繊維方向と異なる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガラスクロスが積層されている基板であって、
複数の前記ガラスクロスは、第1ガラスクロス層と、前記第1ガラスクロス層に積層されている第2ガラスクロス層とを含み、
前記ガラスクロスが積層されている方向をz方向とすると、
前記z方向から見て、前記第1ガラスクロス層の繊維方向は、前記第2ガラスクロス層の繊維方向と異なる、基板。
【請求項2】
前記第1ガラスクロス層の繊維方向が、前記z方向に対して垂直なx方向を含み、
前記第2ガラスクロス層の繊維方向は、前記x方向に対して10°以上80°以下の範囲に傾いた方向を含む、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記第2ガラスクロス層の繊維方向は、前記x方向に対して45°傾いた方向を含む、請求項2に記載の基板。
【請求項4】
前記第1ガラスクロス層および前記第2ガラスクロス層の各々は、平編み状の繊維によって構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板。
【請求項5】
少なくとも1以上のガラスクロスを含む基板であって、
前記ガラスクロスの平面視において、
前記ガラスクロスは、前記ガラスクロスの中心点を囲むように延びている繊維を含む、基板。
【請求項6】
前記ガラスクロスは、前記平面視において円状の繊維を含む、請求項5に記載の基板。
【請求項7】
前記ガラスクロスは、前記平面視において楕円状の繊維を含む、請求項5に記載の基板。
【請求項8】
前記ガラスクロスは、前記平面視において放射状に延びている繊維を含む、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2023-76696号公報(特許文献1)は、発光素子が搭載されている基板を開示している。基板は、複数のガラスクロスが積層されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-76696号公報[概要] しかし、発光素子などを搭載する基板において、強度に改善の余地がある。
【0004】
本開示の一態様による基板は、複数のガラスクロスが積層されている。複数のガラスクロスは、第1ガラスクロス層と、第2ガラスクロス層とを含む。第2ガラスクロス層は、第1ガラスクロス層に積層されている。ガラスクロスが積層されている方向をz方向とする。z方向から見て、第1ガラスクロス層の繊維方向は、第2ガラスクロス層の繊維方向と異なる。
【0005】
本開示の一態様による基板は、少なくとも1以上のガラスクロスを含む。ガラスクロスの平面視において、ガラスクロスは、ガラスクロスの中心点を囲むように延びている繊維を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施の形態1の半導体装置の概略平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の線分II-IIにおける概略断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1の半導体装置におけるガラスクロスを分離した概略斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1の半導体装置におけるガラスクロスの概略部分拡大平面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2の半導体装置におけるガラスクロスの概略斜視図である。[詳細な説明] 図面に基づいて本開示の実施の形態の詳細について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。以下に記載する実施の形態の少なくとも一部の構成を任意に組み合わせてもよい。
【0007】
実施の形態1.
<半導体装置の構成>
図1は、実施の形態1の半導体装置100の概略平面図である。
図2は、
図1の線分II-IIにおける概略断面図である。
図3は、実施の形態1の半導体装置100におけるガラスクロス10を分離した概略斜視図である。
【0008】
図1から
図3に示された半導体装置100は、たとえば、発光素子2が搭載されている半導体装置100であって、基板1と、発光素子2と、金属層5と、封止樹脂6とを主に備える。なお、
図1における点線は封止樹脂6の外形線を示す。
【0009】
基板1は、第1面1sと第2面2sとを有する。第1面1sは、封止樹脂6が接し得る面である。第2面2sは第1面1sに対して反対側の面である。
図1に示されるように、第1面1sおよび第2面2sが延在する方向をx方向およびy方向とする。y方向はx方向に対して垂直な方向である。なお、後述するように、基板1は複数のガラスクロス10が積層されている。ガラスクロスが積層されている方向をz方向とする。z方向は、x方向およびy方向に対して垂直な方向である。
【0010】
金属層5は、第1表面ランド51a、第2表面ランド51b、第1裏面ランド52a、および第2裏面ランド52bを含む。
図2に示されているように、第1面1s上に第1表面ランド51aおよび第2表面ランド51bが配置されている。第2面2s上に第1裏面ランド52aおよび第2裏面ランド52bが配置されている。
図2に示されているように、第1表面ランド51aおよび第2表面ランド51bは互いにx方向に離間して配置されている。第1裏面ランド52aおよび第2裏面ランド52bは互いにx方向に離間して配置されている。
【0011】
第1表面ランド51aは、はんだのような導電性接着部3を介して発光素子2と電気的に接続されている。発光素子2は、ワイヤ4を介して第2表面ランド51bに電気的に接続されている。第1表面ランド51aは、第1裏面ランド52aと電気的に接続されている(図示せず)。第2表面ランド51bは、第2裏面ランド52bと電気的に接続されている(図示せず)。ワイヤ4は、たとえば、ワイヤボンディングによって形成される。
【0012】
金属層5は、たとえば、銅めっき層、ニッケルめっき層、および金めっき層が積層されて構成されている。金属層5は、基板1の第1面1sに形成された銅箔をパターニングした後に、当該銅箔の表面上に電解めっきを施すことによって形成されてもよい。
【0013】
図2に示されているように、発光素子2は封止樹脂6によって封止されている。具体的には、発光素子2は、封止樹脂6の内部に配置されている。
図2に示されているように、第1面1sにおいて、金属層5が形成されている領域以外の領域に、当該第1面1sは封止樹脂6に接している部分pを含む。封止樹脂6を構成する材料は、たとえば、シリコーン樹脂である。
【0014】
基板1は複数のガラスクロス10とエポキシ樹脂11とを含む。複数のガラスクロス10は、例えば、2層で構成されてもよく、3層で構成されてもよい。本実施の形態1において、ガラスクロス10は、2層で構成されており、第1ガラスクロス層10aと第2ガラスクロス層10bとを含む。
【0015】
ガラスクロス10は、平編み状のガラス繊維によって構成されている。つまり、第1ガラスクロス層10aの繊維方向はx方向およびy方向を含む。異なる観点から言うと、第1ガラスクロス層10aは、互いに交差する方向に延びるガラス繊維から構成されている。たとえば、第1ガラスクロス層10aは、x方向に延びるガラス繊維10a1と、y方向に延びるガラス繊維10a2とを含む。つまり、ガラス繊維10a1およびガラス繊維10a2は、互いに直交する。
【0016】
第2ガラスクロス層10bは、第1ガラスクロス層10aと同様で、互いに交差する方向に延びるガラス繊維から構成されている。
【0017】
エポキシ樹脂11は、上記のガラスクロス10のガラス繊維中に含浸するように第1ガラスクロス層10aおよび第2ガラスクロス層10bを接続している。
【0018】
ここで、本実施の形態1に係る基板1の特徴は、
図3に示されるように、第1ガラスクロス層10aの繊維方向が、第2ガラスクロス層10bの繊維方向と異なる点である。
図4は、実施の形態1の半導体装置100におけるガラスクロス10の概略部分拡大平面図である。
図4において実線は第1ガラスクロス層10aを構成するガラス繊維10a1,10a2の概略線を示し、点線は第2ガラスクロス層10bを構成するガラス繊維10b1,10b2の概略線を示す。
【0019】
第2ガラスクロス層10bは、ガラス繊維10b1とガラス繊維10b2とを含む。ガラス繊維10b1とガラス繊維10b2は、互いに直交する。
図4に示されるように、z方向から見て、第1ガラスクロス層10aにおけるガラス繊維10a1と第2ガラスクロス層10bにおけるガラス繊維10b1とのなす角度をθとする。
【0020】
第2ガラスクロス層10bの繊維方向は、x方向に対して10°以上80°以下の範囲に傾いた方向を含んでいてもよい。異なる観点から言うと、角度θは10°以上80°以下であってもよい。角度θは30°以上60°以下であってもよく、40°以上50°以下であってもよい。このようにすれば、当該第1ガラスクロス層10aの繊維方向における強度だけでなく、当該第1ガラスクロス層10aの繊維方向と異なる方向における強度が増加する。その結果、ガラスクロス10における、強度の方向依存性が抑制される。
【0021】
第2ガラスクロス層10bの繊維方向は、x方向に対して45°傾いた方向を含んでいてもよい。異なる観点から言うと、角度θは45°であってもよい。このようにすれば、ガラスクロス10における、強度の方向依存性が更に抑制される。
【0022】
なお、基板1におけるガラスクロス10の繊維方向は、露出している基板1の断面から観察することで特定することができる。基板1の断面を研磨することで、観察したい位置におけるガラスクロス10の繊維方向を特定してもよい。
【0023】
<作用効果>
本開示に従った基板1は、複数のガラスクロス10が積層されている。複数のガラスクロス10は、第1ガラスクロス層10aと、第2ガラスクロス層10bとを含む。第2ガラスクロス層10bは、第1ガラスクロス層10aに積層されている。ガラスクロス10が積層されている方向をz方向とする。z方向から見て、第1ガラスクロス層10aの繊維方向は、第2ガラスクロス層10bの繊維方向と異なる。
【0024】
このようにすれば、第1ガラスクロス層10aの繊維方向における強度だけでなく、当該第1ガラスクロス層10aの繊維方向と異なる方向における強度が増加する。その結果、ガラスクロス10における、強度の方向依存性が抑制される。
【0025】
上記基板1において、第1ガラスクロス層10aの繊維方向はx方向を含む。x方向は、z方向に対して垂直である。第2ガラスクロス層10bの繊維方向は、x方向に対して10°以上80°以下の範囲に傾いた方向を含む。
【0026】
このようにすれば、第1ガラスクロス層10aの繊維方向における強度だけでなく、当該第1ガラスクロス層10aの繊維方向と異なる方向における強度が増加する。その結果、ガラスクロス10における、強度の方向依存性が抑制される。
【0027】
上記基板1において、第2ガラスクロス層10bの繊維方向は、x方向に対して45°傾いた方向を含む。
【0028】
このようにすれば、第1ガラスクロス層10aの繊維方向における強度だけでなく、当該第1ガラスクロス層10aの繊維方向と異なる方向における強度が増加する。その結果、ガラスクロス10における、強度の方向依存性が抑制される。
【0029】
実施の形態2.
<半導体装置の構成>
図5は、実施の形態2の半導体装置100におけるガラスクロス10の概略斜視図である。
図5は、
図3に対応する。
図5に示された半導体装置100は、基本的には
図1から
図3に示された半導体装置100と同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、ガラスクロスの構成が異なる。
図5に示されているように、本実施の形態2に係る基板1は、ガラスクロス10として中心点10pを有する第3ガラスクロス層10cを含む。
【0030】
ガラスクロス10の平面視において、第3ガラスクロス層10cは、中心点10pを囲むように延びているガラス繊維10c1を含む。具体的には、第3ガラスクロス層10cは、ガラス繊維10c1とガラス繊維10c2とを含む。平面視において、たとえば、
図5に示されているようにガラス繊維10c1は中心点10pを中心として円状に延びたガラス繊維である。ガラス繊維10c1は、平面視において中心点10pを囲むように延びていればよく、たとえば、楕円状に延びたガラス繊維であってもよい。このようにすれば、平編み状のガラスクロス10に比べて、強度の方向依存性が抑制される。
【0031】
ガラスクロス10は、平面視において放射状に延びているガラス繊維10c2を含んでいてもよい。具体的には、
図5に示されているように、ガラス繊維10c2は、平面視において、中心点10pから放射状に延びている。このようにして、円状のガラス繊維10c1および放射状のガラス繊維10c2が交差するように編まれることで第3ガラスクロス層10cが構成される。このようにすれば、ガラスクロス10における、強度の方向依存性が更に抑制される。
【0032】
当該第3ガラスクロス層10cを用いることで、基板1に含まれるガラスクロス10は複数でなくてもよい。つまり、第3ガラスクロス層10cを用いる場合、ガラスクロス10の層数は1以上であればよい。なお、ガラスクロス10の中心点10pは、たとえばガラスクロス10の外形に関する重心として規定されてもよい。また、1本のガラス繊維10c1が、中心点10pを囲む円を構成するように配置されていてもよい。あるいは、中心点10pを中心とした円周長より短い長さを有する複数のガラス繊維10c1が、中心点10pを中心とした円周上に配置されていてもよい。また、ガラス繊維10c1は、閉じた円を形成するように配置されていてもよいが、中心点10pを中心としたらせん状に配置されていてもよい。あるいは、複数のガラス繊維10c1が中心点10pを中心とした円周上に互いに間隔を隔てて配置されていてもよい。また、放射状のガラス繊維10c2は、第3ガラスクロス層10cの対向する外周端を繋ぐことが可能な長さを有してもよいが、第3ガラスクロス層10cの幅より短い長さを有する複数のガラス繊維10c2が
図5に示されるように放射状に配置されてもよい。
【0033】
<作用効果>
本開示に従った基板1は、少なくとも1以上のガラスクロス10を含む。ガラスクロス10の平面視において、ガラスクロス10は、ガラスクロス10の中心点10pを囲むように延びている繊維を含む。
【0034】
このようにすれば、平編み状のガラスクロス10に比べて、強度の方向依存性が抑制される。
【0035】
上記基板1において、ガラスクロス10は、平面視において円状の繊維を含む。このようにすれば、ガラスクロス10における、強度の方向依存性が抑制される。
【0036】
上記基板1において、ガラスクロス10は、平面視において楕円状の繊維を含む。このようにすれば、ガラスクロス10における、強度の方向依存性が抑制される。
【0037】
上記基板1において、ガラスクロス10は、平面視において放射状に延びている繊維を含む。このようにすれば、ガラスクロス10における、強度の方向依存性が更に抑制される。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0039】
1 基板、1s 第1面、2 発光素子、2s 第2面、3 導電性接着部、4 ワイヤ、5 金属層、6 封止樹脂、10 ガラスクロス、10a 第1ガラスクロス層、10a1,10a2,10b1,10b2,10c1,10c2 ガラス繊維、10b 第2ガラスクロス層、10c 第3ガラスクロス層、10p 中心点、11 エポキシ樹脂、51a 第1表面ランド、51b 第2表面ランド、52a 第1裏面ランド、52b 第2裏面ランド、100 半導体装置、p 部分。