(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028531
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】浮上支持装置および外観検査装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20250221BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20250221BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
H01L21/68 A
G01N21/956 Z
B65G49/07 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133389
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 正芳
【テーマコード(参考)】
2G051
5F131
【Fターム(参考)】
2G051AA73
2G051AB07
2G051CA03
2G051DA08
5F131AA03
5F131AA33
5F131BA39
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5F131KA13
5F131KA14
5F131KA16
5F131KB23
5F131KB32
5F131KB38
(57)【要約】
【課題】可撓性を有するシート状の媒体を浮上させた状態で所定の位置に固定する浮上支持装置を提供すること。
【解決手段】浮上支持装置5は、矩形のシート状の媒体2を、所定距離Hだけ浮上させた状態に維持する非接触吸着盤8と、第1固定機構10Aおよび第2固定機構10Bを備える固定機構9と、を有する。第1固定機構10Aの第1吸着面41および第2固定機構10Bの第2吸着面46は、多孔質板31から所定距離Hだけ上方に位置する。第1固定機構10Aの第1吸気機構45が駆動されると第1吸気口41aから空気が吸引され、第1方向Lに沿った媒体2の第1辺2aの縁の一部分が第1吸着面41に吸着される。第2固定機構10Bの第2吸気機構50が駆動されると第2吸気口46aから空気が吸引され、第2方向Wに沿った媒体2の第2辺2bの縁の一部分が第2吸着面46に吸着される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質板を備え、可撓性を有する矩形のシート状の媒体を、前記多孔質板から所定距離だけ浮上させた状態に維持する非接触吸着盤と、
前記非接触吸着盤の前記多孔質板と重ならない位置に、それぞれ固定された第1固定機構および第2固定機構を備える固定機構と、
を有し、
上下方向と直交する方向を第1方向、上下方向および前記第1方向と直交する方向を第2方向とすると、
前記第1固定機構は、複数の第1吸気口を備える第1吸着面を備える第1吸着用部材と、複数の前記第1吸気口に連通する第1空気流路と、前記第1空気流路に接続された第1吸気機構と、を備え、
前記第2固定機構は、複数の第2吸気口を備える第2吸着面を備える第2吸着用部材と、複数の前記第2吸気口に連通する第2空気流路と、前記第2空気流路に接続された第2吸気機構と、を備え、
前記第1吸着面は、前記第1方向に沿って延び、
前記第2吸着面は、前記第2方向に沿って延び、
前記第1吸着面および前記第2吸着面は、前記多孔質板と平行であり、前記多孔質板から前記所定距離だけ上方に位置し、
前記第1吸気機構が駆動されると前記第1吸気口から空気が吸引され、前記第1方向に沿った前記媒体の第1辺の縁の一部分が前記第1吸着面に吸着され、
前記第2吸気機構が駆動されると前記第2吸気口から空気が吸引され、前記第2方向に沿った前記媒体の第2辺の縁の一部分が前記第2吸着面に吸着されることを特徴とする浮上支持装置。
【請求項2】
前記第1吸着用部材は、前記第1方向に沿って延びる四角柱形状の多孔質体であり、
前記第2吸着用部材は、前記第2方向に沿って延びる四角柱形状の多孔質体であり、
前記第1吸着面は、前記第1吸着用部材の上面であり、
前記第1吸気口は、前記第1吸着用部材の上面の気孔であり、
前記第2吸着面は、前記第2吸着用部材の上面であり、
前記第2吸気口は、前記第2吸着用部材の上面の気孔であることを特徴とする請求項1に記載の浮上支持装置。
【請求項3】
前記第1固定機構は、前記第1吸着用部材を保持する第1ホルダを備え、
前記第1ホルダは、前記第1吸着用部材の下面に密着する第1下面密着部と、前記第1吸着用部材の前記多孔質板とは反対側の第1側面に密着する第1側面密着部と、を備え、
前記第1下面密着部は、前記非接触吸着盤に固定され、
前記第1空気流路は、前記第1ホルダを貫通するとともに、前記第1側面密着部に開口する第1貫通孔を備え、
前記第1吸気機構は、前記第1側面密着部とは反対側で外部に露出する前記第1貫通孔の開口に接続され、
前記第2固定機構は、前記第2吸着用部材を保持する第2ホルダを備え、
前記第2ホルダは、前記第2吸着用部材の下面に密着する第2下面密着部と、前記第2吸着用部材の前記多孔質板とは反対側の第3側面に密着する第2側面密着部と、を備え、
前記下第2面密着部は、前記非接触吸着盤に固定され、
前記第2空気流路は、前記第2ホルダを貫通するとともに、前記第2側面密着部に開口する第2貫通孔を備え、
前記第2吸気機構は、前記第2側面密着部とは反対側で外部に露出する前記第2貫通孔の開口に接続され、
前記非接触吸着盤は、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダを前記非接触吸着盤に固定
したときに、前記第1吸着用部材の前記第1側面とは反対側を向く第2側面に密着する第1端面と、前記第2吸着用部材の前記第3側面とは反対側を向く第4側面に密着する第2端面とを備えることを特徴とする請求項2に記載の浮上支持装置。
【請求項4】
前記固定機構は、前記第1辺および前記第2辺の長さが異なる複数の媒体を、それぞれ吸着することが可能であり、
前記複数の媒体のうち、前記第1辺および前記第2辺の長さが最も小さい最小の媒体を前記固定機構が吸着する場合、
前記第1吸着面は、上下方向において前記最小の媒体の前記第1辺と完全に重なり、
前記第2吸着面は、上下方向において前記最小の媒体の前記第2辺と完全に重なることを特徴とする請求項2または3に記載の浮上支持装置。
【請求項5】
前記第1吸着面の前記第1方向の寸法は、前記最小の媒体の前記第1辺の寸法より短く、
前記第2吸着面の前記第2方向の寸法は、前記最小の媒体の前記第2辺の寸法より短いことを特徴とする請求項4に記載の浮上支持装置。
【請求項6】
前記第1方向において、前記第1固定機構の前記第2固定機構が位置する側とは反対側に配置される第1載置部材と、
前記第2方向において、前記第2固定機構の前記第1固定機構が位置する側とは反対側に配置される第2載置部材と、
を有し、
前記第1載置部材は、第1載置面を備える第1支持部材を備え、
前記第2載置部材は、第2載置面を備える第2支持部材を備え、
前記第1載置面は、上下方向において前記第1吸着面と同一の高さ、かつ、前記第1方向に沿って延び、
前記第2載置面は、上下方向において前記第2吸着面と同一の高さ、かつ、前記第2方向に沿って延びることを特徴とする請求項4に記載の浮上支持装置。
【請求項7】
請求項1に記載の浮上支持装置と、
前記浮上支持装置を上下方向に沿った回転軸で回転させる回転機構と、
前記回転機構を介して前記浮上支持装置を、水平の搬送経路に沿って移動させる駆動機構と、
前記媒体を撮像するラインカメラと、
前記浮上支持装置、前記回転機構、前記駆動機構および前記ラインカメラを制御する制御部と、
を有し、
前記ラインカメラは、前記搬送経路の上方に設けられるとともに、前記搬送経路に沿った搬送方向と直交する方向に延び、
前記第1吸着面は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の一方側に向けて移動する際、前記搬送方向と直交する方向に延び、
前記第2吸着面は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の他方側に向けて移動する際、前記浮上支持装置が90°回転することによって、前記搬送方向と直交する方向に延び、
前記制御部は、前記駆動機構を制御して、前記浮上支持装置を前記搬送経路の前記一方側に向けて移動させることによって、前記媒体の前記第1辺と直交する方向において撮像された前記媒体の第1画像データを、前記ラインカメラによって取得するとともに、前記第1画像データを取得した後、前記回転機構を制御して、前記浮上支持装置を90°回転させ、その後、前記駆動機構を制御して、前記浮上支持装置を前記搬送経路の前記他方側に向けて移動させることによって、前記媒体の前記第2辺と直交する方向において撮像された前記媒体の第2画像データを、前記ラインカメラによって取得することを特徴とする
外観検査装置。
【請求項8】
前記第1固定機構は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の前記一方側に向けて移動する際、前記非接触吸着盤の前記搬送経路の前記一方側に位置し、
前記第2固定機構は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の前記他方側に向けて移動する際、前記非接触吸着盤の前記搬送経路の前記他方側に位置することを特徴とする請求項7に記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の媒体を浮遊させた状態で移動不能に支持する媒体浮上支持装置に関する。また、シート状の媒体の外観を検査するための外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有するシート状の媒体の搬送には、媒体を浮上させた状態で移動させる非接触搬送装置が用いられる。特許文献1には、シート状の媒体を浮上させる非接触吸着盤を有する非接触搬送装置が記載されている。非接触吸着盤は、上端部分に多孔質板を備える。非接触吸着盤は、多孔質板の表面において、加圧空気の噴出による媒体の浮上と、空気吸引による媒体の非接触吸着とを同時に行い、媒体を多孔質板の表面から浮上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可撓性を有するシート状の媒体として、OLED(Organic Light Emitting Diode)基板がある。OLED基板とは、薄膜トランジスタと、有機EL素子を有するOLEDと、薄膜封止層とが積層されている基板である。
【0005】
OLED基板を採用したディスプレイなどの製造時には、OLED基板の外観検査が行われる。外観検査では、検査用ステージに載置したOLED基板をカメラ撮像し、取得した画像データに画像処理を施して傷などを検出することが試みられている。
【0006】
しかしながら、OLED基板は可撓性を有するので、OLED基板を検査用ステージの上面に載置したときに、OLED基板に反りやうねりが発生する場合がある。また、OLED基板はシート状なので、OLED基板を検査用ステージの上面に載置したときに、検査用ステージの上面に塵埃が存在する場合には、OLED基板に凹凸が発生することがある。OLED基板を撮像した画像に、反り、うねり、および、塵埃に起因する凹凸により影が発生していると、これらの陰と、OLED基板の表面に形成されたキズと、を画像データの解析により正確に判別することができない。このため、OLED基板の外観検査では、検査員の目視による外観検査が行われることが主流である。
【0007】
ここで、シート状の媒体を非接触吸着盤により浮上させれば、媒体に反りやうねりは発生しない。また、シート状の媒体を非接触吸着盤により浮上させれば、多孔質板の上面に塵埃が存在しても、媒体に凹凸が発生することを抑制することができる。よって、媒体を非接触吸着盤により浮上させた状態で撮像すれば、取得した画像データに基づいて媒体表面に形成されたキズを正確に判別すること可能である。しかしながら、非接触吸着盤により媒体を浮上させた場合には、媒体が多孔質板と平行な水平方向に移動しやすく、媒体を定位置に固定しておくことができないので、浮上した媒体の撮像が容易ではないという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、可撓性を有するシート状の媒体を浮上させた状態で所定の位置に固定する浮上支持装置を提供することにある。また、媒体を撮像した撮像データに基づいてシート状の媒体のキズなどを検出できる外観検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の浮上支持装置は、多孔質板を備え、可撓性を有する矩形のシート状の媒体を、前記多孔質板から所定距離だけ浮上させた状態に維持する非接触吸着盤と、前記非接触吸着盤の前記多孔質板と重ならない位置に、それぞれ固定された第1固定機構および第2固定機構を備える固定機構と、を有し、上下方向と直交する方向を第1方向、上下方向および前記第1方向と直交する方向を第2方向とすると、前記第1固定機構は、複数の第1吸気口を備える第1吸着面を備える第1吸着用部材と、複数の前記第1吸気口に連通する第1空気流路と、前記第1空気流路に接続された第1吸気機構と、を備え、前記第2固定機構は、複数の第2吸気口を備える第2吸着面を備える第2吸着用部材と、複数の前記第2吸気口に連通する第2空気流路と、前記第2空気流路に接続された第2吸気機構と、を備え、前記第1吸着面は、前記第1方向に沿って延び、前記第2吸着面は、前記第2方向に沿って延び、前記第1吸着面および前記第2吸着面は、前記多孔質板と平行であり、前記多孔質板から前記所定距離だけ上方に位置し、前記第1吸気機構が駆動されると前記第1吸気口から空気が吸引され、前記第1方向に沿った前記媒体の第1辺の縁の一部分が前記第1吸着面に吸着され、前記第2吸気機構が駆動されると前記第2吸気口から空気が吸引され、前記第2方向に沿った前記媒体の第2辺の縁の一部分が前記第2吸着面に吸着されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、非接触吸着盤は、シート状の媒体を多孔質板から上方に所定距離だけ浮上させる。したがって、媒体が多孔質板に接触して媒体に反りやうねりが発生することはなく、多孔質板の上面に塵埃が存在しても、媒体に凹凸が発生することがない。一方、第1固定機構および第2固定機構は、非接触吸着盤の多孔質板と重ならない位置に取り付けられており、多孔質板から上方に位置する第1吸着面および第2吸着面を備える。また、非接触吸着盤の多孔質板から浮上した媒体は、第1固定機構および第2固定機構によって、媒体の第1辺の縁の一部分および第2辺の縁の一部分が吸着される。これにより、媒体の2箇所の辺が、第1固定機構および第2固定機構によって保持されるので、固定機構によって媒体の1箇所の辺が保持される場合と比較して、媒体は多孔質板から浮上した状態で、より確実に固定される。さらに、媒体が多孔質板から浮上している高さと、各吸着用部材の各吸着面の高さが一致しているので、媒体が各吸着用部材に吸着されたときに、媒体に、反りや、うねりが発生しない。
【0011】
本発明において、前記第1吸着用部材は、前記第1方向に沿って延びる四角柱形状の多孔質体であり、前記第2吸着用部材は、前記第2方向に沿って延びる四角柱形状の多孔質体であり、前記第1吸着面は、前記第1吸着用部材の上面であり、前記第1吸気口は、前記第1吸着用部材の上面の気孔であり、前記第2吸着面は、前記第2吸着用部材の上面であり、前記第2吸気口は、前記第2吸着用部材の上面の気孔であることが好ましい。このようにすれば、各吸着用部材の上面の全てを吸着面とすることができるので、各吸着面の面積を大きくすることができる。これにより、各吸着用部材が媒体の第1辺の縁の一部分および第2辺の縁の一部分を吸着する際の吸着力が向上する。
【0012】
本発明において、前記第1固定機構は、前記第1吸着用部材を保持する第1ホルダを備え、前記第1ホルダは、前記第1吸着用部材の下面に密着する第1下面密着部と、前記第1吸着用部材の前記多孔質板とは反対側の第1側面に密着する第1側面密着部と、を備え、前記第1下面密着部は、前記非接触吸着盤に固定され、前記第1空気流路は、前記第1ホルダを貫通するとともに、前記第1側面密着部に開口する第1貫通孔を備え、前記第1吸気機構は、前記第1側面密着部とは反対側で外部に露出する前記第1貫通孔の開口に接続され、前記第2固定機構は、前記第2吸着用部材を保持する第2ホルダを備え、前記第2ホルダは、前記第2吸着用部材の下面に密着する第2下面密着部と、前記第2吸着用部材の前記多孔質板とは反対側の第3側面に密着する第2側面密着部と、を備え、前記下第
2面密着部は、前記非接触吸着盤に固定され、前記第2空気流路は、前記第2ホルダを貫通するとともに、前記第2側面密着部に開口する第2貫通孔を備え、前記第2吸気機構は、前記第2側面密着部とは反対側で外部に露出する前記第2貫通孔の開口に接続され、前記非接触吸着盤は、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダを前記非接触吸着盤に固定したときに、前記第1吸着用部材の前記第1側面とは反対側を向く第2側面に密着する第1端面と、前記第2吸着用部材の前記第3側面とは反対側を向く第4側面に密着する第2端面とを備えることが好ましい。
【0013】
このようにすれば、第1吸着用部材が多孔質体なので、第1吸気口である第1吸着用部材の上面の気孔は、第1吸着用部材の内部の気孔を介して第1貫通孔に接続される。また、第1吸着用部材の下面と第1側面には、第1ホルダが密着する。第1吸着用部材において第1側面とは反対側に位置する第2側面には、非接触吸着盤が密着する。さらに、非接触吸着盤の第1端面は、第1吸着用部材を介して、第1側面密着部および第1側面密着部に露出する第1貫通孔の一方の開口と対向する。よって、第1貫通孔に接続された第1吸気機構を駆動すれば、第1吸着用部材の上面の気孔から空気を吸い込むことができる。同様に、第2吸着用部材が多孔質体なので、第2吸気口である第2吸着用部材の上面の気孔は、第2吸着用部材の内部の気孔を介して第2貫通孔に接続される。また、第2吸着用部材の下面と第3側面には、第2ホルダが密着する。第2吸着用部材において第3側面とは反対側に位置する第4側面には、非接触吸着盤が密着する。さらに、非接触吸着盤の第2端面は、第2吸着用部材を介して、第2側面密着部および第2側面密着部に露出する第2貫通孔の一方の開口と対向する。よって、第2貫通孔に接続された第2吸気機構を駆動すれば、第2吸着用部材の上面の気孔から空気を吸い込むことができる。
【0014】
本発明において、前記固定機構は、前記第1辺および前記第2辺の長さが異なる複数の媒体を、それぞれ吸着することが可能であり、前記複数の媒体のうち、前記第1辺および前記第2辺の長さが最も小さい最小の媒体を前記固定機構が吸着する場合、前記第1吸着面は、上下方向において前記最小の媒体の前記第1辺と完全に重なり、前記第2吸着面は、上下方向において前記最小の媒体の前記第2辺と完全に重なることが好ましい。このようにすれば、固定機構が最小の媒体を吸着する場合であっても、第1吸着面および第2吸着面は、全てが媒体と接する。これにより、最小の媒体を固定機構が吸着する際、第1吸気口および第2吸気口から空気がリークしないので、第1吸着面および第2吸着面は、媒体を確実に吸着することができる。
【0015】
本発明において、前記第1吸着面の前記第1方向の寸法は、前記最小の媒体の前記第1辺の寸法より短く、前記第2吸着面の前記第2方向の寸法は、前記最小の媒体の前記第2辺の寸法より短いことが好ましい。このようにすれば、固定機構が最小の媒体を吸着する際、第1吸着面および第2吸着面に対して、媒体の第1辺および第2辺が僅かにズレた場合であっても、媒体の第1辺および第1吸着面、媒体の第2辺および第2吸着面が、それぞれ、完全に重なりやすい。これにより、最小の媒体を固定機構が吸着する際、第1吸気口および第2吸気口から空気がリークしないので、第1吸着面および第2吸着面は、媒体を確実に吸着することができる。
【0016】
本発明において、前記第1方向において、前記第1固定機構の前記第2固定機構が位置する側とは反対側に配置される第1載置部材と、前記第2方向において、前記第2固定機構の前記第1固定機構が位置する側とは反対側に配置される第2載置部材と、を有し、前記第1載置部材は、第1載置面を備える第1支持部材を備え、前記第2載置部材は、第2載置面を備える第2支持部材を備え、前記第1載置面は、上下方向において前記第1吸着面と同一の高さ、かつ、前記第1方向に沿って延び、前記第2載置面は、上下方向において前記第2吸着面と同一の高さ、かつ、前記第2方向に沿って延びることが好ましい。このようにすれば、最小の媒体より大きな媒体を固定機構が吸着する際、第1載置面が、媒
体の第1辺の縁において、第1吸着面によって吸着されない部分を支持し、第2載置面が、媒体の第2辺の縁において、第2吸着面によって吸着されない部分を支持する。これにより、媒体が多孔質板から浮上した際の高さが一定に維持されやすい。
【0017】
本発明の外観検査装置は、上記の浮上支持装置と、前記浮上支持装置を上下方向に沿った回転軸で回転させる回転機構と、前記回転機構を介して前記浮上支持装置を、水平の搬送経路に沿って移動させる駆動機構と、前記媒体を撮像するラインカメラと、前記浮上支持装置、前記回転機構、前記駆動機構および前記ラインカメラを制御する制御部と、を有し、前記ラインカメラは、前記搬送経路の上方に設けられるとともに、前記搬送経路に沿った搬送方向と直交する方向に延び、前記第1吸着面は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の一方側に向けて移動する際、前記搬送方向と直交する方向に延び、前記第2吸着面は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の他方側に向けて移動する際、前記浮上支持装置が90°回転することによって、前記搬送方向と直交する方向に延び、前記制御部は、前記駆動機構を制御して、前記浮上支持装置を前記搬送経路の前記一方側に向けて移動させることによって、前記媒体の前記第1辺と直交する方向において撮像された前記媒体の第1画像データを、前記ラインカメラによって取得するとともに、前記第1画像データを取得した後、前記回転機構を制御して、前記浮上支持装置を90°回転させ、その後、前記駆動機構を制御して、前記浮上支持装置を前記搬送経路の前記他方側に向けて移動させることによって、前記媒体の前記第2辺と直交する方向において撮像された前記媒体の第2画像データを、前記ラインカメラによって取得することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、浮上支持装置を水平方向に移動させた場合でも、浮上支持装置の非接触吸着盤上で、媒体が移動することがない。よって、非接触吸着盤上で浮上させた媒体を、撮像位置に移動させて、ラインカメラにより撮像できる。また、制御部が媒体の第1辺と直交する方向において撮像された媒体の第1画像データと、媒体の第2辺と直交する方向において撮像された媒体の第2画像データとを取得するので、制御部が第1画像データおよび第2画像データの一方を取得する場合と比較して、外観検査装置は、媒体の外観をより正確に検査することができる。
【0019】
本発明において、前記第1固定機構は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の前記一方側に向けて移動する際、前記非接触吸着盤の前記搬送経路の前記一方側に位置し、前記第2固定機構は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の前記他方側に向けて移動する際、前記非接触吸着盤の前記搬送経路の前記他方側に位置することが好ましい。このようにすれば、浮上支持装置が移動する際に、媒体の移動方向の前方が、固定機構に固定される。よって、浮上支持装置が移動する際に、媒体に反りや撓みが発生することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の浮上支持装置は、非接触吸着盤から浮上した媒体を固定機構により吸着して固定する。よって、浮上支持装置により支持された媒体を撮像すれば、撮像された画像データに基づいて、媒体のキズなどを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図5】浮上支持装置にシート状の媒体を支持した状態の説明図である。
【
図8】浮上支持装置における第1吸着用部材の周辺の縦断面図である。
【
図9】浮上支持装置における第2吸着用部材の周辺の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本形態の外観検査装置および浮上支持装置を説明する。
【0023】
(外観検査装置)
図1は、外観検査装置の説明図である。
図2は、外観検査装置の制御系のブロック図である。外観検査装置1は、シート状の媒体2を搬送しながら撮像し、取得した画像データから媒体2の表面にあるキズを検出する。本形態では、シート状の媒体2は、例えば、OLED基板である。OLED基板とは、薄膜トランジスタと、有機EL素子を有するOLEDと、薄膜封止層とが積層されているものである。
図1に示すように、媒体2としてのOLED基板は、平面形状が矩形である。OLED基板は、2つの長辺の1つである第1辺2aと、2つの短辺の1つである第2辺2bと、を備える。OLED基板の第1辺2aまたは第2辺2bの外周縁部分には、不図示のバーコードが記載されている。なお、媒体2は、長方形に限定されず、正方形であってもよい。この場合、媒体の何れかの辺のうち、1つを第1辺とし、第1辺と直交する辺のうちの1つを第2辺とすればよい。また、媒体は、2つの短辺のうちの1つを第1辺とし、2つの長辺のうちの1つである第2辺として備えてもよい。
【0024】
外観検査装置1は、レール4と、レール4上に載置された浮上支持装置5と、浮上支持装置5を上下方向に沿った回転軸で回転させる回転機構6と、回転機構6を介して浮上支持装置5をレール4に沿って移動させる駆動機構7と、を備える。回転機構6は、浮上支持装置5を回転させるモータなどの駆動部を備える。回転機構6は、駆動機構7に固定されている。駆動機構7は、レール4の一方端に設定された第1位置Aと、レール4の他方端に設定された第2位置Bとの間で形成された搬送経路25において浮上支持装置5を往復移動させる。ここで、媒体2は、不図示の搬送装置により、第1位置Aに配置された浮上支持装置5に上方から供給される。また、媒体2は、外観検査装置1によって外観検査が終了すると、不図示の搬送装置により、第1位置Aから次工程に排出される。
【0025】
外観検査装置1は、第1位置Aにある浮上支持装置5に媒体2が支持されているか、否かを検出する第1検出器11と、第2位置Bにある浮上支持装置5に媒体2が支持されているか、否かを検出する第2検出器12と、を備える。第1検出器11および第2検出器12は、浮上支持装置5に向かって検査光を発す発光部13と、媒体2からの反射光を検出する検出部14と、を備える。第1検出器11および第2検出器12は、各検出部14からの出力に基づいて、媒体2の有無を判定する。
【0026】
外観検査装置1は、搬送経路25の中程に、バーコードリーダ15と、撮像機構16と、を備える。バーコードリーダ15および撮像機構16は、レール4の上方に位置する。撮像機構16は、レール4に沿って移動する媒体2に照明光を照射する不図示のライトと、媒体2を撮像するラインカメラ17と、を備える。ラインカメラ17は、搬送経路25に沿った方向と直交する方向に延びる。より具体的には、ラインカメラ17は、搬送経路25に沿った方向と直交する方向に配列された複数の撮像素子を備える。
【0027】
外観検査装置1は、
図2に示すように、制御部21と、記憶装置22と、を備える。制御部21の入力側には、第1検出器11および第2検出器12が接続されている。制御部21の出力側には、浮上支持装置5、回転機構6、および駆動機構7が接続されている。
また、制御部21には、記憶装置22、バーコードリーダ15および撮像機構16が通信可能に接続されている。
【0028】
以下の説明では、上下方向をZ軸方向とし、Z軸方向と垂直で互いに直交する2方向をX軸方向およびY軸方向とする。また、X軸方向を搬送経路25(レール4)に沿った搬送方向とし、Y軸方向を搬送経路25と直交する方向とする。さらに、X軸方向において、第1位置Aから第2位置Bに向かう方向をX1方向、その反対をX2方向とする。また、浮上支持装置5において、浮上支持装置5に載置される媒体2の第1辺2aに沿った方向を第1方向Lとし、第2辺2bに沿った方向を第2方向Wとする。第1方向Lと第2方向Wとは、互いに直交するとともにZ軸方向とも直交する。
【0029】
(浮上支持装置)
図3は、浮上支持装置5の斜視図である。
図4は、浮上支持装置5の分解斜視図である。
図5は、浮上支持装置5にシート状の媒体2を支持した状態の説明図である。
図6は、第1固定機構10Aの分解斜視図である。
図7は、第2固定機構10Bの分解斜視図である。
図8は、浮上支持装置5における第1吸着用部材42の周辺の縦断面図である。
図9は、浮上支持装置5における第2吸着用部材の周辺の縦断面図である。
図10は、載置部材18の分解斜視図である。
図1および
図3に示すように、浮上支持装置5は、非接触吸着盤8と、固定機構9と、載置部材18と、を備える。
【0030】
(非接触吸着盤)
図3および
図4に示すように、非接触吸着盤8は、その上面の中央に、矩形の多孔質板31を備える。非接触吸着盤8は、多孔質板31の上面31aにおいて、加圧空気の噴出による媒体2の浮上と、空気吸引による媒体2の非接触吸着とを同時に行い、上方から浮上支持装置5に供給された媒体2を多孔質板31の上面31aから浮上させる。非接触吸着盤8は、周知のものである。
【0031】
図4に示すように、非接触吸着盤8は、直方体形状の本体部分32と、本体部分32の上面の中央から上方に突出する矩形の突出部分33と、を備える。これにより、非接触吸着盤8は、上端部分に第2方向Wで対向する一対の第1段部34と第1方向Lで対向する第2段部35と、を備える。本体部分32には、加圧空気を非接触吸着盤8に供給するための第1継手36と、空気吸引を行うための第2継手37とが、それぞれ複数ずつ接続されている。第1継手36には、不図示の加圧空気供給機構が接続される。第2継手37には、不図示の空気吸引機構が接続される。突出部分33の中央には、多孔質板31が配置されている。多孔質板31の外周面には、本体部分32から上方に延びる矩形の枠板38が密着する。
【0032】
(固定機構)
図3に示すように、固定機構9は、非接触吸着盤8に取り付けられる。固定機構9は、第1辺2aおよび第2辺2bの長さが異なる複数の媒体2を、それぞれ吸着することが可能である。より具体的には、
図5に示すように、固定機構9は、第1辺2a1および第2辺2b1の長さが最も小さい最小の媒体2Aから、第1辺2a2および第2辺2b2の長さが最も大きい最大の媒体2Bまでの媒体2を吸着することが可能である。
図3~
図5に示すように、固定機構9は、第1固定機構10Aと、第2固定機構10Bと、を備える。
【0033】
第1固定機構10Aは、媒体2の第1辺2aに沿った第1方向Lに延びる。第1固定機構10Aは、W1方向の第1段部34AのL1方向に偏って固定されている。第1固定機構10Aは、上面が複数の第1吸気口42aを有する第1吸着面41となっている第1吸着用部材42と、第1吸着用部材42を保持する第1ホルダ43と、を備える。第1吸着用部材42は、第1ホルダ43を介して、非接触吸着盤8に固定される。第1吸着用部材
42が非接触吸着盤8に固定された状態では、
図3に示すように、第1吸着用部材42は、多孔質板31のW1方向に位置する。第1吸着用部材42の第1吸着面41は、非接触吸着盤8の多孔質板31と平行で、多孔質板31の上面31aから所定距離Hだけ上方に位置する。第1固定機構10Aは、複数の第1吸気口42aと連通する第1空気流路44と、第1空気流路44に接続される第1吸気機構45と、を備える。
【0034】
図6に示すように、第1吸着用部材42は、四角柱形状の多孔質体である。多孔質体は、アルミナを主成分とする多孔質セラミックス、SiCを主成分とする多孔質セラミックス、或いは、通気性の多孔質カーボンから形成される。第1吸着用部材42は、第1方向Lに延設される。第1吸着用部材42は、上方を向く上面51と、上面51と平行で下方を向く下面52と、W2方向を向く第1側面53と、第1側面53と平行でW1方向を向く第2側面54と、を備える。ここで、第1吸気口42aは、多孔質体からなる第1吸着用部材42の上面51の気孔である。第1吸着面41は、第1吸着用部材42の上面51である。
【0035】
図5に示すように、複数の媒体2のうち、第1辺2aおよび第2辺2bの長さが最も小さい最小の媒体2Aを第1固定機構10Aが吸着する場合、第1吸着用部材42は、Z軸方向において最小の媒体2Aの第1辺2a1と完全に重なる。第1吸着用部材42の第1方向Lの寸法は、最小の媒体2Aの第1辺2a1の寸法より短い。
【0036】
図6に示すように、第1ホルダ43は、第2方向Wの幅が一定で、W2方向における第1吸着用部材42の一方端から他方端まで延びる矩形の板部61(第1下面密着部)を備える。第1ホルダ43は、板部61のW1の端部分から上方に突出して第1方向Lに延びる上側突出部62(第1側面密着部)と、板部61のW1方向の端部分から下方に突出して第1方向Lに延びる下側突出部63と、を備える。上側突出部62は、一定幅および一定高さで、板部61の第1方向Lにおける一方端から他方端まで延びる。下側突出部63は、一定幅および一定高さで、板部61の第1方向Lにおける一方端から他方端まで延びる。第2方向Wにおける上側突出部62の幅寸法は、下側突出部63の幅寸法よりも長い。
【0037】
第1ホルダ43には、第2方向Wに貫通する第1貫通孔64が設けられている。第1貫通孔64のW1方向の開口64bには、継手65が設けられている。第1貫通孔64のW2方向の開口64aは、上側突出部62においてW2方向を向く壁面62aに露出する。
【0038】
第1吸着用部材42は、板部61と上側突出部62とにより区画された段部68に保持される。
図8に示すように、第1吸着用部材42が段部68に保持された状態では、板部61における上側突出部62よりもW2方向の側の部分は、第1吸着用部材42の下面52の全体に密着する。上側突出部62においてW2方向を向く壁面62aは、第1吸着用部材42の第1側面53に密着する。本形態では、上側突出部62の高さ寸法は、第1吸着用部材42の第1側面53の高さ寸法よりも短い。よって、第1吸着用部材42は、上側突出部62よりも僅かに上方に突出する。このため、第1吸着用部材42の第1側面53の上端部分は、上側突出部62により覆われておらず、露出している。
【0039】
また、
図8に示すように、第1吸着用部材42が第1ホルダ43に保持された状態では、第1貫通孔64の開口64aは、第1吸着用部材42の第1側面53に密着する。ここで、第1吸着用部材42は多孔質体なので、第1貫通孔64の一方の開口64aが第1吸着用部材42に接触すると、第1吸気口42aである第1吸着用部材42の上面51(第1吸着面41)の気孔は、第1吸着用部材42の内部の気孔42b、および、第1側面53の気孔42cを介して、第1貫通孔64に接続される。すなわち、第1吸着用部材42が第1ホルダ43に保持されると、第1貫通孔64から第1吸着用部材42の上面51の
複数の第1吸気口42aに連通する第1空気流路44が形成される。第1貫通孔64は、第1空気流路44の一部である。
【0040】
図3および
図8に示すように、第1固定機構10Aは、第1ホルダ43の板部61が非接触吸着盤8の第1段部34Aに載置されて非接触吸着盤8に固定される。第1固定機構10Aが非接触吸着盤8に固定された状態では、下側突出部63が非接触吸着盤8の本体部分32にW1方向の側から当接する。第1固定機構10Aが非接触吸着盤8に固定されたときに、非接触吸着盤8において多孔質板31の外周面を囲む枠板38のW1方向を向く第1端面38aは、第1吸着用部材42の第2側面54に密着する。枠板38の第1端面38aは、第1吸着用部材42の一方端から他方端まで延びる。また、第1端面38aは、第1吸着用部材42を介して、上側突出部62において壁面62a、開口64aと対向する。
【0041】
ここで、
図8に示すように、第1固定機構10Aが非接触吸着盤8に固定されたときに、第1吸着面41である第1吸着用部材42の上面51は、非接触吸着盤8の多孔質板31の上面31aから所定距離Hだけ上方に位置する。所定距離Hは、非接触吸着盤8が、媒体2を、多孔質板31から浮上させる距離と同一である。
【0042】
第1吸気機構45は、イジェクターを備える。
図4に鎖線で示すように、第1吸気機構45は、第1ホルダ43に設けられた継手65に接続される。第1吸気機構45が駆動されると第1吸気口42aから空気が吸引され、媒体2の第1辺2aの縁のL1方向の一部分が第1吸着面41に吸着される。これにより、第1固定機構10Aは、媒体2の第1辺2aを保持する。
【0043】
第2固定機構10Bは、媒体2の第2辺2bに沿った第2方向Wに延びる。第2固定機構10Bは、L1方向の第2段部35AのW1方向に偏って固定されている。第2固定機構10Bは、上面が複数の第2吸気口47aを有する第2吸着面46となっている第2吸着用部材47と、第2吸着用部材47を保持する第2ホルダ48と、を備える。第2吸着用部材47は、第2ホルダ48を介して、非接触吸着盤8に固定される。第2吸着用部材47が非接触吸着盤8に固定された状態では、
図3に示すように、第2吸着用部材47は、多孔質板31のL1方向に位置する。第2吸着用部材47の第2吸着面46は、非接触吸着盤8の多孔質板31と平行で、多孔質板31の上面31aから所定距離Hだけ上方に位置する。第1吸着用部材42の第1吸着面41および第2吸着用部材47の第2吸着面46の高さは同一である。
【0044】
図4に示すように、第2固定機構10Bは、複数の第2吸気口47aと連通する第2空気流路49と、第2空気流路49に接続される第2吸気機構50と、を備える。
【0045】
図7に示すように、第2吸着用部材47は、第1吸着用部材42と同様に、四角柱形状の多孔質体である。第2吸着用部材47は、第2方向Wに延設される。第2吸着用部材47は、上方を向く上面56と、上面56と平行で下方を向く下面57と、L2方向を向く第3側面58と、第3側面58と平行でL1方向を向く第4側面59と、を備える。ここで、第2吸気口47aは、多孔質体からなる第2吸着用部材47の上面56の気孔である。第2吸着面46は、第2吸着用部材47の上面56である。
【0046】
図5に示すように、複数の媒体2のうち、第1辺2aおよび第2辺2bの長さが最も小さい最小の媒体2Aを第2固定機構10Bが吸着する場合、第2吸着用部材47は、Z軸方向において最小の媒体2Aの第2辺2b1と完全に重なる。第2吸着用部材47の第2方向Wの寸法は、最小の媒体2Aの第2辺2b1の寸法より短い。
【0047】
図7に示すように、第2ホルダ48は、第1方向Lの幅が一定で、L2方向における第2吸着用部材47の一方端から他方端まで延びる矩形の板部71(第2下面密着部)を備える。第2ホルダ48は、板部71のL1の端部分から上方に突出して第2方向Wに延びる上側突出部72(第2側面密着部)と、板部71のL1方向の端部分から下方に突出して第2方向Wに延びる下側突出部73と、を備える。上側突出部72は、一定幅および一定高さで、板部71の第2方向Wにおける一方端から他方端まで延びる。下側突出部73は、一定幅および一定高さで、板部71の第2方向Wにおける一方端から他方端まで延びる。第1方向Lにおける上側突出部72の幅寸法は、下側突出部73の幅寸法よりも長い。
【0048】
第2ホルダ48には、第1方向Lに貫通する第2貫通孔74が設けられている。第2貫通孔74のL1方向の開口74bには、継手75が設けられている。第2貫通孔74のL2方向の開口74aは、上側突出部72においてL2方向を向く壁面72aに露出する。
【0049】
第2吸着用部材47は、板部71と上側突出部72とにより区画された段部78に保持される。
図9に示すように、第2吸着用部材47が段部78に保持された状態では、板部71における上側突出部72よりもL2方向の側の部分は、第2吸着用部材47の下面57の全体に密着する。上側突出部72においてL2方向を向く壁面72aは、第2吸着用部材47の第3側面58に密着する。本形態では、上側突出部72の高さ寸法は、第2吸着用部材47の第3側面58の高さ寸法よりも短い。よって、第2吸着用部材47は、上側突出部72よりも僅かに上方に突出する。このため、第2吸着用部材47の第3側面58の上端部分は、上側突出部72により覆われておらず、露出している。
【0050】
また、
図9に示すように、第2吸着用部材47が第2ホルダ48に保持された状態では、第2貫通孔74の開口74aは、第2吸着用部材47の第3側面58に密着する。第2貫通孔74の一方の開口74aが第2吸着用部材47に接触すると、第2吸気口47aである第2吸着用部材47の上面56(第2吸着面46)の気孔は、第2吸着用部材47の内部の気孔47b、および、第3側面58の気孔47cを介して、第2貫通孔74に接続される。すなわち、第2吸着用部材47が第2ホルダ48に保持されると、第2貫通孔74から第2吸着用部材47の上面56の複数の第2吸気口47aに連通する第2空気流路49が形成される。第2貫通孔74は、第2空気流路49の一部である。
【0051】
図3および
図9に示すように、第2固定機構10Bは、第2ホルダ48の板部71が非接触吸着盤8の第2段部35Aに載置されて非接触吸着盤8に固定される。第2固定機構10Bが非接触吸着盤8に固定された状態では、下側突出部73が非接触吸着盤8の本体部分32にL1方向の側から当接する。第2固定機構10Bが非接触吸着盤8に固定されたときに、非接触吸着盤8において多孔質板31の外周面を囲む枠板38のL1方向を向く第2端面38bは、第2吸着用部材47の第4側面59に密着する。枠板38の第2端面38bは、第2吸着用部材47の一方端から他方端まで延びる。また、第2端面38bは、第2吸着用部材47を介して、上側突出部72において壁面72a、開口74aと対向する。
【0052】
ここで、
図9に示すように、第2固定機構10Bが非接触吸着盤8に固定されたときに、第2吸着面46である第2吸着用部材47の上面56は、非接触吸着盤8の多孔質板31の上面31aから所定距離Hだけ上方に位置する。
【0053】
第2吸気機構50は、イジェクターを備える。
図4に鎖線で示すように、第2吸気機構50は、第2ホルダ48に設けられた継手75に接続される。第2吸気機構50が駆動されると第2吸気口47aから空気が吸引され、媒体2の第2辺2bの縁のW1方向の一部分が第2吸着面46に吸着される。これにより、第2固定機構10Bは、媒体2の第2辺
2bを保持する。
【0054】
なお、本形態において、第1固定機構10Aおよび第2固定機構10Bは、基本的な構成が同じである。第1固定機構10Aは、第2固定機構10Bより長さ方向の寸法が長いので、第1ホルダ43は、第1貫通孔64および継手65を、それぞれ、2つ備える。
【0055】
(載置部材)
図3および
図4に示すように、載置部材18は、第1載置部材19Aと、第2載置部材19Bと、を備える。第1載置部材19Aは、第1方向Lにおいて第1固定機構10AのL2方向の側に隣接して配置される。
【0056】
第1載置部材19Aは、媒体2の第1辺2aに沿った第1方向Lに延びる。第1載置部材19Aは、第1段部34Aであって、第1固定機構10AのL2方向の側に固定されている。第1載置部材19Aは、第1載置面81を備える第1支持部材82と、第1支持部材82を保持する第1ホルダ83と、を備える。
【0057】
図10に示すように、第1支持部材82は、四角柱形状である。第1支持部材82は、金属また樹脂からなる。第1支持部材82の上面は、第1載置面81である。本形態では、第1支持部材82の断面形状は、第1吸着用部材42の断面形状と同一である。
図3~
図5に示すように、第1支持部材82は、第1方向Lにおいて、第1吸着用部材42と重なる。第1載置面81のZ軸方向の高さは、第1吸着面41のZ軸方向の高さと同じである。
【0058】
図10に示すように、第1ホルダ83は、第2方向Wの幅が一定で、W2方向における第1支持部材82の一方端から他方端まで延びる矩形の板部84を備える。第1ホルダ83は、板部84のW1の端部分から上方に突出して第1方向Lに延びる上側突出部85と、板部84のW1方向の端部分から下方に突出して第1方向Lに延びる下側突出部86と、を備える。上側突出部85は、一定幅および一定高さで、板部84の第1方向Lにおける一方端から他方端まで延びる。下側突出部86は、一定幅および一定高さで、板部84の第1方向Lにおける一方端から他方端まで延びる。第2方向Wにおける上側突出部85の幅寸法は、下側突出部86の幅寸法よりも長い。第1支持部材82は、板部84と上側突出部85とにより区画された段部87に保持される。第1載置部材19Aは、第1ホルダ83の板部84が非接触吸着盤8の第1段部34Aに載置されて非接触吸着盤8に固定される。なお、本形態では、第1ホルダ83は、第1貫通孔64および継手を備えない点を除き、第1ホルダ43と基本的な構成が同じである。
【0059】
図3および
図4に示すように、第2載置部材19Bは、媒体2の第2辺2bに沿った第2方向Wに延びる。第2載置部材19Bは、第2段部35Aであって、第2固定機構10BのW2方向の側に隣接して固定される。第2載置部材19Bは、第2載置面91を備える第2支持部材92と、第2支持部材92を保持する第2ホルダ93と、を備える。
【0060】
第2載置部材19Bは、第1載置部材19Aと基本的な構成が同じである。すなわち、
図10に示すように、第2支持部材92および第2ホルダ93は、第1支持部材82および第1ホルダ83に対応する構成である。よって、第2支持部材92および第2ホルダ93の詳細な説明は省略する。
【0061】
図3~
図5に示すように、第2支持部材92は、第2方向Wにおいて、第2吸着用部材47と重なる。第2載置面91のZ軸方向の高さは、第2吸着面46のZ軸方向の高さと同じである。第2載置部材19Bは、第2ホルダ93の板部94が非接触吸着盤8の第2段部35Aに載置されて非接触吸着盤8に固定される。
【0062】
(浮上支持装置による媒体の支持)
外観検査装置1の制御部21は、浮上支持装置5を駆動した状態で、媒体2の供給を受ける。すなわち、制御部21は、非接触吸着盤8および固定機構9を動作させた状態で媒体2の供給を受ける。
図5に示すように、浮上支持装置5に媒体2が供給された場合、媒体2の第1辺2aは、第1吸着面41に沿って配置され、媒体2の第2辺2bは、第2吸着面46に沿って配置される。
【0063】
浮上支持装置5に供給された媒体2は、非接触吸着盤8の多孔質板31から上方に所定距離Hだけ浮上した状態となる。媒体2の第1辺2aの縁のL1方向の一部分は、第1吸着面41に吸着される。このとき、媒体2の第1辺2aの縁のL2方向の他部分は、第1載置面81載置される。また、媒体2の第2辺2bの縁のW1方向の一部分は、第2吸着面46に吸着される。このとき、媒体2の第2辺2bの縁のW2方向の他部分は、第2載置面91載置される。
【0064】
(外観検査装置の動作)
本形態の外観検査装置1の動作について説明する。
図11は、外観検査装置1の動作を説明する図である。
図12は、外観検査装置1の動作を説明する図である。
【0065】
まず、浮上支持装置5が第1位置Aに位置した状態において、制御部21は、非接触吸着盤8および固定機構9を動作させる。次に、第1検出器11が、検出部14からの出力に基づいて、媒体2が存在しないことを検知すると、ロボットアーム等の搬送装置により、前工程から浮上支持装置5に媒体2が供給される(
図11のST1)。このとき、第1固定機構10Aおよび第1載置部材19Aは、非接触吸着盤8のX1方向の側に位置し、第2固定機構10Bおよび第2載置部材19Bは、非接触吸着盤8のY2方向の側に位置している。すなわち、第1吸着面41および第1載置面81は、Y軸方向に延び、第2吸着面46および第2載置面91は、X軸方向に延びる。
【0066】
次に、第1検出器11は検出部14からの出力に基づいて、浮上支持装置5の上に媒体2が存在することを検出すると、制御部21は、駆動機構7を動作させ、浮上支持装置5を第2位置Bに移動させる(
図11のST2)。このとき、制御部21は、バーコードリーダ15を動作させ、バーコードリーダ15の下方を通過する媒体2に印刷されたバーコードを読み取らせる。これにより、制御部21は、媒体2に印刷されたバーコードの情報を取得する。また、制御部21は、撮像機構16を動作させ、ラインカメラ17の下方を通過する媒体2を撮像させる。これにより、制御部21は、媒体2の第1辺2aと直交する方向において撮像された媒体2の第1画像データを取得する。
【0067】
次に、制御部21は、第1画像データを取得した後、回転機構6を駆動して、浮上支持装置5を右に90°回転させる(
図12のST3)。このとき、第1固定機構10Aおよび第1載置部材19Aは、非接触吸着盤8のY2方向の側に位置し、第2固定機構10Bおよび第2載置部材19Bは、非接触吸着盤8のX2方向の側に位置している。すなわち、第1吸着面41および第1載置面81は、X軸方向に延び、第2吸着面46および第2載置面91は、Y軸方向に延びる。
【0068】
浮上支持装置5が右に90°回転すると、第2検出器12は検出部14からの出力に基づいて、媒体2の有無を判定する。第2検出器12が浮上支持装置5の上に媒体2が存在することを検出すると、制御部21は、駆動機構7を動作させ、浮上支持装置5を第1位置Aに移動させる(
図12のST4)。このとき、制御部21は、撮像機構16を動作させ、ラインカメラ17の下方を通過する媒体2を撮像させる。これにより、制御部21は、媒体2の第2辺2bと直交する方向において撮像された媒体2の第2画像データを取得
する。
【0069】
制御部21が第1画像データおよび第2画像データを取得すると、制御部21に設けられた画像解析部23は、第1画像データおよび第2画像データを解析して、媒体2の表面のキズを検出する。また、制御部21は、各画像およびキズの検出結果を、バーコードの読取情報と関連付けた検査情報として、記憶装置22に記憶する。
【0070】
検査情報が記憶装置22に記憶されると、制御部21は、回転機構6を駆動して、浮上支持装置5を左に90°回転させる。浮上支持装置5が左に90°回転すると、ロボットアーム等の搬送装置により、第2位置Bにある浮上支持装置5から次工程に媒体2が搬出される。外観検査装置1は、動作ST1~ST4を繰り返す。
【0071】
(作用効果)
本形態によれば、非接触吸着盤8は、シート状の媒体2を多孔質板31から上方に所定距離Hだけ浮上させる。したがって、媒体2が多孔質板31に接触して媒体2に反りやうねりが発生することはなく、多孔質板31の上面に塵埃が存在しても、媒体2に凹凸が発生することがない。一方、第1固定機構10Aおよび第2固定機構10Bは、非接触吸着盤8の多孔質板31と重ならない位置に取り付けられており、多孔質板31から上方に位置する第1吸着面41および第2吸着面46を備える。また、非接触吸着盤8の多孔質板31から浮上した媒体2は、第1固定機構10Aおよび第2固定機構10Bによって、媒体2の第1辺2aの縁の一部分および第2辺2bの縁の一部分が吸着される。これにより、媒体2の2箇所の辺が、第1固定機構10Aおよび第2固定機構10Bによって保持されるので、固定機構9によって媒体2の1箇所の辺が保持される場合と比較して、媒体2は多孔質板31から浮上した状態で、より確実に固定される。さらに、媒体2が多孔質板31から浮上している高さと、各吸着用部材の各吸着面の高さが一致しているので、媒体2が各吸着用部材に吸着されたときに、媒体2に、反りや、うねりが発生しない。
【0072】
第1吸着用部材42は、第1方向Lに沿って延びる四角柱形状の多孔質体である。第2吸着用部材47は、第2方向Wに沿って延びる四角柱形状の多孔質体である。第1吸着面41は、第1吸着用部材42の上面である。第1吸気口42aは、第1吸着用部材42の上面の気孔である。第2吸着面46は、第2吸着用部材47の上面である。第2吸気口47aは、第2吸着用部材47の上面の気孔である。これにより、各吸着用部材の上面の全てを吸着面とすることができるので、各吸着面の面積を大きくすることができる。これにより、各吸着用部材が媒体2の第1辺2aの縁の一部分および第2辺2bの縁の一部分を吸着する際の吸着力が向上する。
【0073】
第1固定機構10Aは、第1吸着用部材42を保持する第1ホルダ43を備える。第1ホルダ43は、第1吸着用部材42の下面52に密着する板部61(第1下面密着部)と、第1吸着用部材42の多孔質板31とは反対側の第1側面53に密着する上側突出部62(第1側面密着部)と、を備える。板部61は、非接触吸着盤8に固定される。第1空気流路44は、第1ホルダ43を貫通するとともに、上側突出部62に開口する第1貫通孔64を備える。第1吸気機構45は、上側突出部62の壁面62aとは反対側で外部に露出する第1貫通孔64の開口64bに接続される。第2固定機構10Bは、第2吸着用部材47を保持する第2ホルダ48を備える。第2ホルダ48は、第2吸着用部材47の下面57に密着する板部71(第2下面密着部)と、第2吸着用部材47の多孔質板31とは反対側の第3側面58に密着する上側突出部72(第2側面密着部)と、を備える。板部71は、非接触吸着盤8に固定される。第2空気流路49は、第2ホルダ48を貫通するとともに、上側突出部72に開口する第2貫通孔74を備える。第2吸気機構50は、上側突出部72の壁面72aとは反対側で外部に露出する第2貫通孔74の開口74bに接続される。非接触吸着盤8は、第1ホルダ43および第2ホルダ48を非接触吸着盤
8に固定したときに、第1吸着用部材42の第1側面53とは反対側を向く第2側面54に密着する第1端面38aと、第2吸着用部材47の第3側面58とは反対側を向く第4側面59に密着する第2端面38bとを備える。
【0074】
これにより、第1吸着用部材42が多孔質体なので、第1吸気口42aである第1吸着用部材42の上面51の気孔は、第1吸着用部材42の内部の気孔42bを介して第1貫通孔64に接続される。また、第1吸着用部材42の下面52と第1側面53には、第1ホルダ43が密着する。第1吸着用部材42において第1側面53とは反対側に位置する第2側面54には、非接触吸着盤8が密着する。さらに、非接触吸着盤8の第1端面38aは、第1吸着用部材42を介して、上側突出部62の壁面62aおよび壁面62aに露出する第1貫通孔64の一方の開口64aと対向する。よって、第1貫通孔64に接続された第1吸気機構45を駆動すれば、第1吸着用部材42の上面51の気孔から空気を吸い込むことができる。同様に、第2吸着用部材47が多孔質体なので、第2吸気口47aである第2吸着用部材47の上面56の気孔は、第2吸着用部材47の内部の気孔47bを介して第2貫通孔74に接続される。また、第2吸着用部材47の下面57と第3側面58には、第2ホルダ48が密着する。第2吸着用部材47において第3側面58とは反対側に位置する第4側面59には、非接触吸着盤8が密着する。さらに、非接触吸着盤8の第2端面38bは、第2吸着用部材47を介して、上側突出部72および第3側面に露出する第2貫通孔74の一方の開口74aと対向する。よって、第2貫通孔74に接続された第2吸気機構50を駆動すれば、第2吸着用部材47の上面56の気孔から空気を吸い込むことができる。
【0075】
固定機構9は、第1辺2aおよび第2辺2bの長さが異なる複数の媒体2を、それぞれ吸着することが可能である。複数の媒体2のうち、第1辺2aおよび第2辺2bの長さが最も小さい最小の媒体2Aを固定機構9が吸着する場合、第1吸着面41は、Z軸方向において最小の媒体2Aの第1辺2a1と完全に重なる。第2吸着面46は、Z軸方向において最小の媒体2Aの第2辺2b1と完全に重なる。これにより、固定機構9が最小の媒体2Aを吸着する場合であっても、第1吸着面41および第2吸着面46は、全てが媒体2と接する。よって、最小の媒体2Aを固定機構9が吸着する際、第1吸気口42aおよび第2吸気口47aから空気がリークしないので、第1吸着面41および第2吸着面46は、媒体2を確実に吸着することができる。
【0076】
第1吸着面41の第1方向Lの寸法は、最小の媒体2の第1辺2aの寸法より短い。第2吸着面46の第2方向Wの寸法は、最小の媒体2Aの第2辺2bの寸法より短い。これにより、固定機構9が最小の媒体2Aを吸着する際、第1吸着面41および第2吸着面46に対して、媒体2Aの第1辺2a1および第2辺2b1が僅かにズレた場合であっても、媒体2Aの第1辺2a1および第1吸着面41、媒体2Aの第2辺2b1および第2吸着面46が、それぞれ、完全に重なりやすい。
【0077】
浮上支持装置5は、第1方向Lにおいて、第1固定機構10Aの第2固定機構10Bが位置する側とは反対側に配置される第1載置部材19Aと、第2方向Wにおいて、第2固定機構10Bの第1固定機構10Aが位置する側とは反対側に配置される第2載置部材19Bと、を有する。第1載置部材19Aは、第1載置面81を備える第1支持部材82を備える。第2載置部材19Bは、第2載置面91を備える第2支持部材92を備える。第1載置面81は、Z軸方向において第1吸着面41と同一の高さ、かつ、第1方向Lに沿って延びる。第2載置面91は、Z軸方向において第2吸着面46と同一の高さ、かつ、第2方向Wに沿って延びる。これにより、最小の媒体2Aより大きな媒体2を固定機構9が吸着する際、第1載置面81が、媒体2の第1辺2aの縁において、第1吸着面41によって吸着されない部分を支持し、第2載置面91が、媒体2の第2辺2bの縁において、第2吸着面46によって吸着されない部分を支持する。よって、媒体2が多孔質板31
から浮上した際の高さが一定に維持されやすい。
【0078】
本形態の外観検査装置1は、浮上支持装置5と、浮上支持装置5をZ軸方向に沿った回転軸で回転させる回転機構6と、回転機構6を介して浮上支持装置5を、水平の搬送経路25に沿って移動させる駆動機構7と、媒体2を撮像するラインカメラ17と、浮上支持装置5、回転機構6、駆動機構7およびラインカメラ17を制御する制御部21と、を有する。ラインカメラ17は、搬送経路25の上方に設けられるとともに、搬送経路25に沿った搬送方向と直交する方向に延びる。第1吸着面41は、浮上支持装置5が搬送経路25のX1方向に向けて移動する際、搬送方向と直交するY軸方向に延びる。第2吸着面46は、浮上支持装置5が搬送経路25のX2方向に向けて移動する際、浮上支持装置5が90°回転することによって、搬送方向と直交するY方向に延びる。制御部21は、駆動機構7を制御して、浮上支持装置5を搬送経路25のX1方向に向けて移動させることによって、媒体2の第1辺2aと直交する方向において撮像された媒体2の第1画像データを、ラインカメラ17によって取得するとともに、第1画像データを取得した後、回転機構6を制御して、浮上支持装置5を90°回転させ、その後、駆動機構7を制御して、浮上支持装置5を搬送経路25のX2方向に向けて移動させることによって、媒体2の第2辺2bと直交する方向において撮像された媒体2の第2画像データを、ラインカメラ17によって取得する。
【0079】
本形態によれば、浮上支持装置5を水平方向に移動させた場合でも、浮上支持装置5の非接触吸着盤8上で、媒体2が移動することがない。よって、非接触吸着盤8上で浮上させた媒体2を、撮像位置に移動させて、ラインカメラ17により撮像できる。また、制御部21が媒体2の第1辺2aと直交する方向において撮像された媒体2の第1画像データと、媒体2の第2辺2bと直交する方向において撮像された媒体2の第2画像データとを取得するので、制御部21が第1画像データおよび第2画像データの一方を取得する場合と比較して、外観検査装置1は、媒体2の外観をより正確に検査することができる。
【0080】
第1固定機構10Aは、浮上支持装置5が搬送経路25のX1方向に向けて移動する際、非接触吸着盤8の搬送経路25のX1方向の側に位置し、第2固定機構10Bは、浮上支持装置5が搬送経路25のX2方向に向けて移動する際、非接触吸着盤8の搬送経路25のX2方向の側に位置する。これにより、浮上支持装置5が移動する際に、媒体2の移動方向の前方が、固定機構9に固定される。よって、浮上支持装置5が移動する際に、媒体2に反りや撓みが発生することを抑制することができる。
【0081】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0082】
(1)
多孔質板を備え、可撓性を有する矩形のシート状の媒体を、前記多孔質板から所定距離だけ浮上させた状態に維持する非接触吸着盤と、
前記非接触吸着盤の前記多孔質板と重ならない位置に、それぞれ固定された第1固定機構および第2固定機構を備える固定機構と、
を有し、
上下方向と直交する方向を第1方向、上下方向および前記第1方向と直交する方向を第2方向とすると、
前記第1固定機構は、複数の第1吸気口を備える第1吸着面を備える第1吸着用部材と、複数の前記第1吸気口に連通する第1空気流路と、前記第1空気流路に接続された第1吸気機構と、を備え、
前記第2固定機構は、複数の第2吸気口を備える第2吸着面を備える第2吸着用部材と、複数の前記第2吸気口に連通する第2空気流路と、前記第2空気流路に接続された第2吸気機構と、を備え、
前記第1吸着面は、前記第1方向に沿って延び、
前記第2吸着面は、前記第2方向に沿って延び、
前記第1吸着面および前記第2吸着面は、前記多孔質板と平行であり、前記多孔質板から前記所定距離だけ上方に位置し、
前記第1吸気機構が駆動されると前記第1吸気口から空気が吸引され、前記第1方向に沿った前記媒体の第1辺の縁の一部分が前記第1吸着面に吸着され、
前記第2吸気機構が駆動されると前記第2吸気口から空気が吸引され、前記第2方向に沿った前記媒体の第2辺の縁の一部分が前記第2吸着面に吸着されることを特徴とする浮上支持装置。
【0083】
(2)
前記第1吸着用部材は、前記第1方向に沿って延びる四角柱形状の多孔質体であり、
前記第2吸着用部材は、前記第2方向に沿って延びる四角柱形状の多孔質体であり、
前記第1吸着面は、前記第1吸着用部材の上面であり、
前記第1吸気口は、前記第1吸着用部材の上面の気孔であり、
前記第2吸着面は、前記第2吸着用部材の上面であり、
前記第2吸気口は、前記第2吸着用部材の上面の気孔であることを特徴とする(1)に記載の浮上支持装置。
【0084】
(3)
前記第1固定機構は、前記第1吸着用部材を保持する第1ホルダを備え、
前記第1ホルダは、前記第1吸着用部材の下面に密着する第1下面密着部と、前記第1吸着用部材の前記多孔質板とは反対側の第1側面に密着する第1側面密着部と、を備え、
前記第1下面密着部は、前記非接触吸着盤に固定され、
前記第1空気流路は、前記第1ホルダを貫通するとともに、前記第1側面密着部に開口する第1貫通孔を備え、
前記第1吸気機構は、前記第1側面密着部とは反対側で外部に露出する前記第1貫通孔の開口に接続され、
前記第2固定機構は、前記第2吸着用部材を保持する第2ホルダを備え、
前記第2ホルダは、前記第2吸着用部材の下面に密着する第2下面密着部と、前記第2吸着用部材の前記多孔質板とは反対側の第3側面に密着する第2側面密着部と、を備え、
前記下第2面密着部は、前記非接触吸着盤に固定され、
前記第2空気流路は、前記第2ホルダを貫通するとともに、前記第2側面密着部に開口する第2貫通孔を備え、
前記第2吸気機構は、前記第2側面密着部とは反対側で外部に露出する前記第2貫通孔の開口に接続され、
前記非接触吸着盤は、前記第1ホルダおよび前記第2ホルダを前記非接触吸着盤に固定したときに、前記第1吸着用部材の前記第1側面とは反対側を向く第2側面に密着する第1端面と、前記第2吸着用部材の前記第3側面とは反対側を向く第4側面に密着する第2端面とを備えることを特徴とする(2)に記載の浮上支持装置。
【0085】
(4)
前記固定機構は、前記第1辺および前記第2辺の長さが異なる複数の媒体を、それぞれ吸着することが可能であり、
前記複数の媒体のうち、前記第1辺および前記第2辺の長さが最も小さい最小の媒体を前記固定機構が吸着する場合、
前記第1吸着面は、上下方向において前記最小の媒体の前記第1辺と完全に重なり、
前記第2吸着面は、上下方向において前記最小の媒体の前記第2辺と完全に重なることを特徴とする(2)または(3)に記載の浮上支持装置。
【0086】
(5)
前記第1吸着面の前記第1方向の寸法は、前記最小の媒体の前記第1辺の寸法より短く、
前記第2吸着面の前記第2方向の寸法は、前記最小の媒体の前記第2辺の寸法より短いことを特徴とする(4)に記載の浮上支持装置。
【0087】
(6)
前記第1方向において、前記第1固定機構の前記第2固定機構が位置する側とは反対側に配置される第1載置部材と、
前記第2方向において、前記第2固定機構の前記第1固定機構が位置する側とは反対側に配置される第2載置部材と、
を有し、
前記第1載置部材は、第1載置面を備える第1支持部材を備え、
前記第2載置部材は、第2載置面を備える第2支持部材を備え、
前記第1載置面は、上下方向において前記第1吸着面と同一の高さ、かつ、前記第1方向に沿って延び、
前記第2載置面は、上下方向において前記第2吸着面と同一の高さ、かつ、前記第2方向に沿って延びることを特徴とする(4)または(5)に記載の浮上支持装置。
【0088】
(7)
(1)から(6)の何れか一項に記載の浮上支持装置と、
前記浮上支持装置を上下方向に沿った回転軸で回転させる回転機構と、
前記回転機構を介して前記浮上支持装置を、水平の搬送経路に沿って移動させる駆動機構と、
前記媒体を撮像するラインカメラと、
前記浮上支持装置、前記回転機構、前記駆動機構および前記ラインカメラを制御する制御部と、
を有し、
前記ラインカメラは、前記搬送経路の上方に設けられるとともに、前記搬送経路に沿った搬送方向と直交する方向に延び、
前記第1吸着面は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の一方側に向けて移動する際、前記搬送方向と直交する方向に延び、
前記第2吸着面は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の他方側に向けて移動する際、前記浮上支持装置が90°回転することによって、前記搬送方向と直交する方向に延び、
前記制御部は、前記駆動機構を制御して、前記浮上支持装置を前記搬送経路の前記一方側に向けて移動させることによって、前記媒体の前記第1辺と直交する方向において撮像された前記媒体の第1画像データを、前記ラインカメラによって取得するとともに、前記第1画像データを取得した後、前記回転機構を制御して、前記浮上支持装置を90°回転させ、その後、前記駆動機構を制御して、前記浮上支持装置を前記搬送経路の前記他方側に向けて移動させることによって、前記媒体の前記第2辺と直交する方向において撮像された前記媒体の第2画像データを、前記ラインカメラによって取得することを特徴とする外観検査装置。
【0089】
(8)
前記第1固定機構は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の前記一方側に向けて移動する際、前記非接触吸着盤の前記搬送経路の前記一方側に位置し、
前記第2固定機構は、前記浮上支持装置が前記搬送経路の前記他方側に向けて移動する際、前記非接触吸着盤の前記搬送経路の前記他方側に位置することを特徴とする(7)に記載の外観検査装置。
【符号の説明】
【0090】
1…外観検査装置、2…媒体、2A…最小の媒体、2B…最大の媒体、2a…第1辺、2b…第2辺、2a1…最小の媒体の第1辺、2b1…最小の媒体の第2辺、2a2…最大の媒体の第1辺、2b2…最大の媒体の第2辺、4…レール、5…浮上支持装置、6…回転機構、7…駆動機構、8…非接触吸着盤、9…固定機構、10A…第1固定機構、10B…第2固定機構、11…第1検出器、12…第2検出器、13…発光部、14…検出部、15…バーコードリーダ、16…撮像機構、17…ラインカメラ、18…載置部材、19A…第1載置部材、19B…第2載置部材、21…制御部、22…記憶装置、23…画像解析部、25…搬送経路、31a…上面、31…多孔質板、31a…上面、32…本体部分、33…突出部分、34…第1段部、35…第2段部、36…第1継手、37…第2継手、38…枠板、38a…第1端面、38b…第2端面、41…第1吸着面、42a…第1吸気口、42b…内部の気孔、42c…側面の気孔、42…第1吸着用部材、43…第1ホルダ、44…第1空気流路、45…第1吸気機構、46…第2吸着面、47a…第2吸気口、47b…内部の気孔、47c…側面の気孔、47…第2吸着用部材、48…第2ホルダ、49…第2空気流路、50…第2吸気機構、51…上面、52…下面、53…第1側面、54…第2側面、56…上面、57…下面、58…第3側面、59…第4側面、61…板部、62…上側突出部、62a…壁面、63…下側突出部、64…第1貫通孔、64a…開口、64b…開口、65…継手、68…段部、71…板部、72…上側突出部、72a…壁面、73…下側突出部、74…第2貫通孔、74a…開口、74b…開口、75…継手、78…段部、81…第1載置面、82…第1支持部材、83…第1ホルダ、84…板部、85…上側突出部、86…下側突出部、87…段部、91…第2載置面、92…第2支持部材、93…第2ホルダ、94…板部、A…第1位置、B…第2位置。