特開 2025-28555 枕

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2025028555

(43)【公開日】2025-03-03

(54)【発明の名称】枕

(51)【国際特許分類】

   A47G 9/10 20060101AFI20250221BHJP

【ＦＩ】

A47G9/10 H

A47G9/10 V

【審査請求】未請求

【請求項の数】14

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023133452

(22)【出願日】2023-08-18

(71)【出願人】

【識別番号】523315681

【氏名又は名称】丹羽 将基

(74)【代理人】

【識別番号】100096703

【弁理士】

【氏名又は名称】横井 俊之

(72)【発明者】

【氏名】丹羽 将基

【テーマコード（参考）】

3B102

【Ｆターム（参考）】

3B102AA00

3B102AB07

3B102AC01

(57)【要約】

【課題】 より自然に頭を異動することができ、違和感を感じにくくさせる。
【解決手段】 体が寝返りをしようとすると頭は底板部１０から側板部２０に近づいていく。頭が側板部２０に接し始めると、側板部２０は外方に押され始めると、底板部１０と側板部２０とが連結する辺の外側は断面円弧状の円弧面３０が形成されているので、固いベース２の上で外側に転がり始める。寝返りとともに単体の枕本体１は外側に転がり、側板部２０の外側がベース２の上面に到達すると回転が止まる。寝返りしている状態から、仰向けの状態に戻るときは、頭部は側板部２０の上から底板部１０に向けて移動して底板部１０が押され始め、枕本体１は固いベース２の上で内側に転がる。底板部１０の外側がベース２の上面に到達すると回転が止まる。
【選択図】 図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

就寝時に人の頭部を支える枕であって、
断面が概略Ｌ字形状であって、前記人の身長方向に伸びる枕本体を有し、
底板部と側板部とを交差するように連結することで概略Ｌ字形状としてあり、
少なくとも前記底板部と前記側板部とが連結する辺の外側は断面円弧状に形成されていることを特徴とする枕。

【請求項2】

断面が上方に開口する概略コの字型になるように、左右対称の前記枕本体の一対を並べて配置されることを特徴とする請求項１に記載の枕。

【請求項3】

左右対称の前記枕本体の一対の相対角度を所定の角度範囲で変更することが可能ことを特徴とする請求項２に記載の枕。

【請求項4】

前記枕本体を、前記枕本体よりも固い板材からなるベースの上に載置してあることを特徴とする請求項１に記載の枕。

【請求項5】

前記枕本体は、前記ベース上で、前記連結する部分で転がることができることを特徴とする請求項４に記載の枕。

【請求項6】

前記枕本体と前記ベースは、前記連結する部分で転がることができるように柔軟素材で連結されていることを特徴とする請求項５に記載の枕。

【請求項7】

前記枕本体と前記ベースは、前記連結する部分を面ファスナーで接続されていることを特徴とする請求項６に記載の枕。

【請求項8】

前記枕本体と前記ベースは、前記面ファスナーで接続されているとともに、前記面ファスナーの復元力で前記底板部が前記ベースに接する側に付勢することを特徴とする請求項７に記載の枕。

【請求項9】

左右対称に並べた前記枕本体の前記底板部における側面同士が互いに磁力によって吸着可能となっていることを特徴とする請求項２に記載の枕。

【請求項10】

前記底板部と前記側板部とが交差する角度は、80度～150度であることを特徴とする請求項１に記載の枕。

【請求項11】

前記底板部と前記側板部とが交差する角度は、部位によって一定では無いことを特徴とする請求項１に記載の枕。

【請求項12】

前記底板部と前記側板部は、クッション材で形成されていることを特徴とする請求項１に記載の枕。

【請求項13】

前記底板部と前記側板部が連結する谷間における前記人の体の側の端部に、膨らみ部を形成していることを特徴とする請求項１に記載の枕。

【請求項14】

前記底板部の厚みが、前記側板部の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項１に記載の枕。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、就寝時に人の頭部を支える枕に関する。

【背景技術】

【0002】

就寝時に人の頭部を支える枕は様々なものがある。
寝返りをしやすくする枕として、特許文献１および特許文献２に示すものが知られている。
特許文献１に示す枕は、中央部と左右に、中央部が低くなるように厚みを変えた部位を形成してあり、寝返りをしたときに頭が少し持ち上がる姿勢となる。これにより自然な体型を維持できる。

【0003】

特許文献２に示す枕は、中央部と、左右の部位とが独立しており、かつ、左右の部位は、立っている状態から外側に倒れる状態となるように回転可能となっている。頭が中央部にあるときは左右の部位は頭の側方に沿って立っているが、寝返りをして頭が右または左に移動しようとすると、左右の部位の一方の上に乗り上がり、これとともに左右の部位は外側に倒れ込んで水平な状態となる。このとき、左右の部位の上面が中央部よりも高くなるため、自然な体型を維持できる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】実用新案登録第３２４１３６６号公報

【特許文献2】特開２０２１－８７６９３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

特許文献１や特許文献２に示す枕の場合、寝返りをするときに頭が、より高い位置へと乗り上がる動作となるため、違和感を感じることがある。
本発明は、違和感を感じることなく寝返りをしやすい枕を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明は、就寝時に人の頭部を支える枕であって、断面が概略Ｌ字形状であって、前記人の身長方向に伸びる枕本体を有し、底板部と側板部とを交差するように連結することで概略Ｌ字形状としてあり、少なくとも前記底板部と前記側板部とが連結する辺の外側は断面円弧状に形成される構成としてある。

【0007】

この単体の枕を含み、以下の構成を組み合わせることが可能である。断面が上方に開口する概略コの字型になるように、左右対称の前記枕本体の一対を並べて配置する。左右対称の前記枕本体の一対の相対角度を所定の角度範囲で変更することが可能とする。前記枕本体を、前記枕本体よりも固い板材からなるベースの上に載置する。

【0008】

左右対称の前記枕本体の一対を並べて配置すると、断面が上方に開口する概略コの字型となり、この開口から頭を乗せることが可能である。このとき、左右の枕本体の底板部が接するので、頭を概ね平坦な部位に乗せることができる。この状態は通常の枕と異ならないと言える。

【0009】

体が寝返りをしようとすると頭は底板部から側板部に近づいていく。頭が側板部に接し始めると、側板部は外方に押され始める。すると、前記底板部と前記側板部とが連結する辺の外側は断面円弧状に形成されているので、固いベースの上で外側に転がり始める。寝返りとともに単体の枕は外側に転がり、側板部の外側がベースの上面に到達すると回転が止まる。

【0010】

寝返りしている状態から、仰向けの状態に戻るときは、頭部は側板部の上から底板部に向けて移動して押され始め、枕は固いベースの上で内側に転がる。底板部の外側がベースの上面に到達すると回転が止まる。

【0011】

以上の作用が左右のいずれの側にも生じるが、寝返りをするときに頭の回転軸は、体の回転軸と一致するのではなく、体の中心を支点として円弧状に移動することが多く、この円弧形状は体型に応じて変わる。このため、左右対称の前記枕本体の一対の相対角度を所定の角度範囲で変更することで、個人個人の円弧形状に合わせやすくなり、より自然に寝返り時の頭の移動に追従しやすくなる。

【発明の効果】

【0012】

本発明の枕によれば、より自然に頭を異動することができ、違和感を感じにくくさせることができる。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】枕の斜視図である。

【図2】枕の一式をセットした状態の正面図である。

【図3】枕の一式をセットした状態の平面図である。

【図4】枕の側面図である。

【図5】枕の一部の拡大図である。

【図6】枕の一部の拡大図である。

【図7】枕の配置を変更する状態を示す平面図である。

【図8】枕を使用して寝返りが起こる際の模式図である。

【図9】枕を使用して寝返りが起こる際の模式図である。

【図10】枕を使用して寝返りが起こる際の模式図である。

【発明を実施するための形態】

【0014】

以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図１は、本発明の一実施形態にかかる枕を斜視図により示しており、図２は、枕の一式をセットした状態の正面図により示しており、図３は、枕の一式をセットした状態の平面図により示している。
同図において、枕本体１は、底板部１０と側板部２０とを有している。底板部１０と側板部２０は、人の身長方向にて断面が概略Ｌ字形状となるように、交差するように連結されている。底板部１０と側板部２０は、枕としての適度な柔らかさを有しており、いわゆるクッション材にて形成されている。ただし、全体的な断面概略Ｌ字形状を維持する必要がある。このため、本実施例では、底板部１０と側板部２０の芯材は十分な硬度を有する弾性フォーム材で形成し、表面により柔軟性を有するウレタンスポンジを貼り付けて形成している。

【0015】

また、底板部１０と側板部２０は、例えば、直交する平面を有する共通の連結部位を備え、この連結部位の各平面から板材を延設することで、外見上、底板部１０と側板部２０とが直交方向に交差しているようにすることもできる。
なお、各図面においては、縁部を直線上に描画しているが、クッション材で形成した後にカバーを掛ける場合には、外観の縁部や角部は概ね曲線状の形状となる。このような場合でも、概略的には断面がＬ字形状となっていると言える。

【0016】

底板部１０と側板部２０とが連結する辺の外側はその断面が円弧状となる円弧面３０が形成されている。すなわち、底板部１０と側板部２０とが連結する辺の外側が、円柱の外周面のようになっている。円弧面３０となる角度範囲は特に限定されるものではないが、後述するように、断面Ｌ字形の枕本体１がこの円弧面３０の部分によって、左右に横転できるようになればよい。

【0017】

ここで、底板部１０と側板部２０が交差する角度は、９０度よりもわずかに鈍角となるようにしているが、明確な角度のものに限定される必要は無い。一例として、約８０度～約１５０度程度であれば、概ね適切な角度と言える。ただし、枕本体１を使用する人の個人差も影響を与えることになる。また、底板部１０と側板部２０とが交差する角度は、一定である必要も無く、部位によって異ならせることで一定でなくすることもできる。

【0018】

底板部１０の厚みと側板部２０の厚みとは同じではなく、後述するように、底板部１０の厚みの方が、側板部２０の厚みよりも、薄くしてある。

【0019】

また、底板部１０と側板部２０には、頭の長さ方向の両側に端面が存在するが、底板部１０と側板部２０における人の体の側の端部は、傾斜面１１，２１となっている。この傾斜面１１，２１は、徐々に人から離れる側に向かって離れる形状となっている。ただし、クッション材をカバーで覆って枕本体１を形成する場合は、曲面となり、平面のような明らかな傾斜面とはなりにくいものの、この場合も傾斜面１１，２１に含まれる。
なお、本実施形態では、傾斜面１１，２１としているが、斜めとせずに底板１０と側板部２０の端面を他の面に対して概ね直角になるようにすることも可能である。また、片方だけ、例えば傾斜面１１の側だけを傾斜面とすることも可能である。
底板部１０と側板部２０とが連結する谷間における前記人の体の側の端部、すなわち、傾斜面１１，２１が連結するあたりには、二点鎖線で示すような膨らみ部１２を形成することが可能である。枕本体１をクッション材で覆うようにしており、膨らませ方は様々であるが、寝返りを打つときに頭よりも細い首のあたりに触れることで、寝心地をよくするとともに寝返りをしやすくする効果を期待できる。

【0020】

図２に示すように、断面が上方に開口する概略コの字型になるように、左右対称の枕本体１の一対を並べて配置する。また、一対の枕本体１は、枕本体１よりも固い板材からなるベース２の上に載置してある。

【0021】

図４は、枕を側面図により示しており、図５は、枕の一部を拡大図により示している。
同図に示すように、枕本体１とベース２は、連結部分で転がることができるように柔軟素材である面ファスナー３で接続されている。このため、枕本体１は、ベース２の上において連結部分で転がることができる。

【0022】

枕本体１における円弧状とした連結部分である円弧面３０の外側には、面ファスナー３ａを縫い付けてあり、ベース２の上面にも面ファスナー３ｂを貼り付けている。連結部分の外側に縫い付けられた面ファスナー３ａと、枕本体１が載置されるベース２の上面に貼付された面ファスナー３ｂに対して、図５に示すように、面ファスナー３ｃが両者と固定している。弾性部材である面ファスナー３ｃは、図６に示すようにして連結部分で転がった後、平らな状態に戻ろうとする復元力を発生する。このため、枕本体１は、図５と図６において、時計回り方向に回転するように付勢される。すなわち、底板部１０がベース２に接するように付勢されるのに加えて後述する磁石４０による吸着力により、自然に側板部２０がベース２に接する側に転倒することを防いでいる。なお、面ファスナーには、雄側と雌側とがあるが、両者は相対的なものであって、どちらを採用するかは適宜変更可能である。

【0023】

このように、枕本体１とベース２は、雌側面ファスナー３ｃで接続されているとともに、雌側面ファスナー３ｃが平板であろうとする復元力で底板部１０がベース２に接する側に付勢している。

【0024】

図７は、枕の配置を変更する状態を示す平面図により示している。
ベース２と枕本体１は雄側面ファスナー３ａと、雌側面ファスナー３ｃと、雄側面ファスナー３ｂとで連結されている。ここで、雄側面ファスナー３ｂと雌側面ファスナー３ｃとを貼り付け合わせるときに、適宜、角度を調整することも可能である。

【0025】

枕本体１は、使用時に、頭の先の側がやや開くように底板部１０と側板部２０とを形成してある。この状態で、左右対称の一対の枕本体１をベース２上に配置すると、底板部１０における側板部２０とは反対側の辺同士が、一直線に対面する。この状態を一般的な位置としたとき、個人差によっては、頭の先の側をもっと開けたいと感じる人もいるし、逆に、体の側をより開けたいと感じる人もいる。

【0026】

このような個人差が生じる場合には、側板部２０の雄側面ファスナー３ａと雌側面ファスナー３ｃとの貼り付け位置はそのままにしつつ、雌側面ファスナー３ｃとベース２の雄側面ファスナー３ｂとの対面位置を水平面を基準にして時計回り方向あるいは反時計回り方向にずらすことで、頭の先の側をもっと開けたり、逆に、体の側をより開けたりすることができるようになる。

【0027】

このように、左右対称の枕本体1の一対の相対角度を所定の角度範囲で変更することが可能となっている。

【0028】

図１に示すように、対称に対峙する枕本体１における底板部１０の側面には、互いに対面する位置にて吸着力を発生する向きで、一対の磁石４０をそれぞれに貼付してある。貼付の方法は適宜変更可能であり、枕本体１の側はポケットを縫い付けて磁石４０を入れるということでも良い。また、一方を鉄片とし、他方のみ磁石とするようにして、磁力で吸着させるようにしても良い。

【0029】

吸着する向きで一対の磁石４０を貼付しているので、底板部１０の側面同士が張り付く状態となっている。これにより二つの枕本体１の位置が安定する。その一方で、一方の枕本体１が傾いたときに、二つの底板部１０を離すということも自在である。後述するように、枕本体１の側板部２０が外側に転倒した後、再度、逆方向に転倒して底板部１０同士が近づいたときに、一対の磁石４０の磁力により、最初の位置に戻すことができる。なお、底板部１０同士が中央で引きつけ合うことで、双方の底板部１０はベース２に向けても引きつけられ、ベース２上でずれにくくしている。

【0030】

このように、左右対称に並べた枕本体１の底板部１０における側面同士が互いに磁力によって吸着可能となっている。

【0031】

次に、上記構成からなる本実施形態の動作を説明する。
図８～図１０は、枕を使用して寝返りが起こる際の模式図である。図面では、簡略化して枕本体１とベース２だけを表示している。
図８に示すように、寝返りを打つ前は、頭部４は、左右対称の一対の枕本体１における、底板部１０の上に載っている。

【0032】

図９は、寝返りを開始した直後であり、頭部４を側板部２０の側に傾けている。この時点で体は寝返りをしているときもあるし、寝返りをしていないときもある。頭部４だけを傾けた状態を首寝返りと呼ぶことにすると、側板部２０が立ったままこの首寝返りを支えている。睡眠はこのような姿勢も生じるが、この首寝返りを側板部２０が支えることで、睡眠が楽になる。

【0033】

図１０は、首寝返りを超えた状態を示している。首寝返りからさらに頭部４が回転しようとすると、それまで磁石４０で互いに吸着されていた底板部１０が他方の底板部１０およびベース２から離れ始め、枕本体１全体として円弧面３０でベース２上を外側に転がり始める。そして、側板部２０の外側面がベース２に接する状態に至る。

【0034】

上述したように底板部１０は側板部２０より薄いため、枕本体１が転がるときに頭部４は自然に持ち上げられることになる。持ち上げられるという表現に加え、頭部４の自然な高さを維持した状態で回転できるとも言える。これは、寝返り時にこれまでであれば頭部４は同じ高さを維持することになって不自然な体型を取らざるを得なかった。しかし、枕本体１が自然に転倒することで、自然な体型を維持して寝返りを打つことができる。こにより、睡眠の質も向上する。

【0035】

寝返りを戻すときは逆の過程をたどる。すなわち、図９に示す状態から、図８に示す首寝返りの状態に戻ったり、さらに図７に示す仰向けの状態に戻る。逆方向への寝返りも同様である。

【0036】

なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。

【符号の説明】

【0037】

１…枕本体、
２…ベース、
３…面ファスナー、
３ａ…雄側面ファスナー、
３ｂ…雄側面ファスナー、
３ｃ…雌側面ファスナー、
４…頭部、
１０…底板部、
１１…傾斜面、
２０…側板部、
２１…傾斜面、
３０…円弧面、
４０…磁石。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】