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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028581
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20250221BHJP
【FI】
G03G21/00 318
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133488
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】明星 敏之
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GB02
2H134HD01
2H134KB05
2H134KB20
2H134KF03
2H134KF07
2H134KH01
2H134KH07
(57)【要約】
【課題】像担持体と接触し、像担持体から除去されたトナーを含む付着物が収容される収容ボックスから付着物が飛散することを防止するシール部材に、像担持体上の付着物が付着して堆積し、収容ボックスに回収されないことを防止できるクリーニング装置を提供する。
【解決手段】シールブレード164は、一端が収容ボックス162に固定され、他端を含む先端領域において感光体ドラム12と面接触するように配置され、感光体ドラム12に向かい合う対向面のうち、先端領域164dの回転方向の上流側に隣接し感光体ドラム12から離間している隣接領域に感光体ドラム12の表面に付着した付着物を収集する収集部164eが備えられ、収集部164eを、感光体ドラム12に接触させる方向に間欠的に移動させる移動部材を更に備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転方向に回転可能な像担持体の表面に接触するように配置され、前記像担持体の表面に付着した付着物を除去するクリーニングブレードと、
前記クリーニングブレードで除去された前記付着物を収容する収容ボックスと、
前記クリーニングブレードよりも前記像担持体の前記回転方向の上流側に配置され、前記収容ボックスに収容された前記付着物が前記収容ボックスの外側に飛散することを防止するシート状のシール部材と、を備え、
前記シール部材は、一端が前記収容ボックスに固定され、他端を含む先端領域において前記像担持体と面接触するように配置され、前記像担持体に向かい合う対向面のうち、前記先端領域の前記回転方向の上流側に隣接し前記像担持体から離間している隣接領域に前記像担持体の表面に付着した前記付着物を収集する収集部を有し、
前記収集部を、前記像担持体に接触させる方向に間欠的に移動させる移動部材を更に備えるクリーニング装置。
【請求項2】
前記移動部材は、前記収容ボックス内に、前記像担持体と平行に配置され、前記回転方向と反対方向に回転する軸部と、前記軸部の表面の周方向に所定の間隔で配置された少なくとも一つ以上のブラシ部を有するクリーニングブラシであり、
前記ブラシ部が、前記軸部の回転によって前記シール部材の前記隣接領域の裏面と間欠的に摺動するように構成されている請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記収集部は、前記シール部材の前記像担持体の回転軸線の方向に亘って、前記像担持体から離れる方向に窪んだ、一条以上の溝部から構成されている請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記溝部は、前記像担持体の回転軸線と直交する方向の断面形状が円弧形状である請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記シール部材は、前記先端領域において、前記一端側に向かって窪んだ切欠部が、前記像担持体の回転軸線方向に沿って複数設けられている請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記移動部材は、前記収容ボックス内に、前記像担持体と平行に配置され、前記回転方向と反対方向に回転する軸部と、前記軸部の表面の周方向に所定の間隔で配置された少なくとも一つ以上のブラシ部を有するクリーニングブラシであり、
前記ブラシ部が、前記軸部の回転によって前記シール部材の前記先端領域及び前記隣接領域の裏面と間欠的に摺動するように構成されている請求項5に記載のクリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、所定の回転方向に回転可能な像担持体の表面に接触するように配置され、前記像担持体の表面に付着した付着物を除去するクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードで除去された前記付着物を収容する収容ボックスと、前記クリーニングブレードよりも前記像担持体の前記回転方向の上流側に配置され、前記収容ボックスに収容された前記付着物が前記収容ボックスの外側に飛散することを防止するシート状のシール部材と、を備えたクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された画像形成装置では、像担持体上に形成された画像潜像をトナーで現像し、像担持体上に形成されたトナー像を一旦中間転写体に転写した後、記録媒体に転写し、或いは直接記録媒体に転写し、トナー像が転写された記録媒体を定着処理して画像を形成する工程をとる。
【0003】
像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体、或いは記録媒体に転写したとき、像担持体上には転写されなかったトナーが残留する。像担持体上に残留したトナーや紙粉を含む付着物は次の画像形成に支障をきたすので、クリーニング装置により清掃するように構成されている。
【0004】
このようなクリーニング装置には、像担持体或いは中間転写体の表面に接触する弾性を有するゴム製のクリーニングブレードを使用するものが広く使用されている。そして、クリーニングブレードにより像担持体或いは中間転写体の表面から除去された付着物は、収容ボックスに収容される。また、クリーニングブレードの上流側には、収容ボックスに収容された付着物の飛散を防ぐシール部材が配置されている。
【0005】
このような構成により、像担持体上の付着物は、像担持体とシール部材との間を通り抜けて収容ボックスに入り、クリーニングブレードによって像担持体から掻き取られ、シール部材により飛散が防がれた状態で収容ボックスに収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-304334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
付着物自体の状態や周囲環境の状態により、当該付着物が像担持体とシール部材との間を通り抜けることができずにシール部材に堆積することがある。このように堆積した付着物は、当該付着物の自重や、画像形成装置自体の振動や、外部からの衝撃でシール部材から剥がれて転写装置などを汚損し、印字に汚れが発生するなどの問題があった。
【0008】
本開示は、上述の問題に鑑みなされたものであり、像担持体と接触し、像担持体から除去されたトナーを含む付着物が収容される収容ボックスから付着物が飛散することを防止するシール部材に、像担持体上の付着物が付着して堆積し、収容ボックスに回収されないことを防止できるクリーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するための、本開示に係るクリーニング装置は、所定の回転方向に回転可能な像担持体の表面に接触するように配置され、前記像担持体の表面に付着した付着物を除去するクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードで除去された前記付着物を収容する収容ボックスと、前記クリーニングブレードよりも前記像担持体の前記回転方向の上流側に配置され、前記収容ボックスに収容された前記付着物が前記収容ボックスの外側に飛散することを防止するシート状のシール部材と、を備え、前記シール部材は、一端が前記収容ボックスに固定され、他端を含む先端領域において前記像担持体と面接触するように配置され、前記像担持体に向かい合う対向面のうち、前記先端領域の前記回転方向の上流側に隣接し前記像担持体から離間している隣接領域に前記像担持体の表面に付着した前記付着物を収集する収集部を有し、前記収集部を、前記像担持体に接触させる方向に間欠的に移動させる移動部材を更に備える、ことを特徴とする。
【0010】
上述の構成によると、シール部材は、基端領域において像担持体の表面から離間しているので、像担持体の表面に残留したトナーを含む付着物は像担持体とシール部材との間に円滑に導かれる。当該像担持体とシール部材との間に導かれた付着物は、像担持体とシール部材とが接触する先端領域の手前において均され、所定量ずつ収容ボックスの内部へ導かれる。当該所定量を上回る付着物は、先端領域の隣接領域に設けられた収集部に集められるため、像担持体とシール部材とが接触する先端領域の手前の部分において堆積することが回避される。
【0011】
モノクロプリンタのように像担持体から印刷用紙へのトナーの転写位置において当該印刷用紙が縦に通紙されるような画像形成装置においては、トナーの転写位置の下流側かつ露光位置の上流側に設けられる収容ボックスは、装置本体の小型化に伴って、像担持体の上方に配置せざるを得ない。この場合、付着物の収容ボックスへの導入部分に配置されるシール部材から、収容ボックスには収容されなかった付着物の塊が剥がれ落ちると、上下位置の横下方に配置される転写装置を汚損する虞が高い。
【0012】
そのため上述のような構成は、モノクロプリンタのように、像担持体から印刷用紙へのトナーの転写位置において、当該印刷用紙が縦に通紙されるような構造の画像形成装置に好適に採用することができる。
【0013】
本開示に係るクリーニング装置において、前記移動部材は、前記収容ボックス内に、前記像担持体と平行に配置され、前記回転方向と反対方向に回転する軸部と、前記軸部の表面の周方向に所定の間隔で配置された少なくとも一つ以上のブラシ部を有するクリーニングブラシであり、前記ブラシ部が、前記軸部の回転によって前記シール部材の前記隣接領域の裏面と間欠的に摺動するように構成されている、ことを特徴としてもよい。
【0014】
本開示に係るクリーニング装置において、前記収集部は、前記シール部材の前記像担持体の回転軸線の方向に亘って、前記像担持体から離れる方向に窪んだ、一条以上の溝部から構成されている、ことを特徴としてもよい。
【0015】
本開示に係るクリーニング装置において、前記溝部は、前記像担持体の回転軸線と直交する方向の断面形状が円弧形状である、ことを特徴としてもよい。
【0016】
本開示に係るクリーニング装置において、前記シール部材は、前記先端領域において、前記一端側に向かって窪んだ切欠部が、前記像担持体の回転軸線方向に沿って複数設けられている、ことを特徴としてもよい。
【0017】
本開示に係るクリーニング装置において、前記移動部材は、前記収容ボックス内に、前記像担持体と平行に配置され、前記回転方向と反対方向に回転する軸部と、前記軸部の表面の周方向に所定の間隔で配置された少なくとも一つ以上のブラシ部を有するクリーニングブラシであり、前記ブラシ部が、前記軸部の回転によって前記シール部材の前記先端領域及び前記隣接領域の裏面と間欠的に摺動するように構成されている、ことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示のクリーニング装置は、像担持体と接触し、像担持体から除去されたトナーを含む付着物が収容される収容ボックスから付着物が飛散することを防止するシール部材に、像担持体上の付着物が付着して堆積し、収容ボックスに回収されないことを防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
図2図1に示す画像形成装置の要部の構成を示す説明図である。
図3】本開示に係るクリーニング装置が備えるシール部材の説明図である。
図4】本開示に係るクリーニング装置が備えるクリーニングブラシの説明図である。
図5】シール部材とクリーニングブラシの説明図である。
図6】シール部材とクリーニングブラシの説明図である。
図7】別実施形態に係るシール部材の説明図である。
図8図7に示すシール部材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態1]
以下、本開示の実施形態1について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施形態の間で同一の構成要素には同一の符号を付し、それら構成要素について重複する説明は省略する。
【0021】
画像形成装置1はモノクロプリンタである。画像形成装置1は、印刷用画像データに応じて、所定の印刷用紙2に対して黒色の画像を形成する。なお、画像とは印刷用紙2に表された文字を含む。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置1は、帯電器10と、露光装置11と、光が照射されていない状態では絶縁性を示し、光が照射されると導電性を示す感光層が表面に設けられた感光体ドラム12と、現像装置13と、転写装置14と、定着装置15と、クリーニング装置16と、除電装置17と、給紙装置18と、搬送手段19と、排紙トレイ20などを備えている。
【0023】
帯電器10は、金属シャフトの外周面に導電性の弾性部材を有し、当該導電性の弾性部材の表面が感光体ドラム12と接触するように配置され、図示しない電源からマイナス電圧(例えば、-3kV)が前記金属シャフトに供給される帯電ローラを含み、感光体ドラム12の表面と当該帯電ローラの表面(導電性の弾性部材の表面)の電位差によって生じる放電によって感光体ドラム12の像担持表面を所定の電位(例えば、-600V)に均一に帯電させる。
【0024】
露光装置11は発光部(例えばLD)を有している。印刷用画像データに応じて照射される、当該発光部からの照射光によって感光体ドラム12の均一に帯電された表面が露光されると、当該露光された部分は導電性になって電位が弱められ静電潜像が形成される。
【0025】
感光体ドラム12は直径約30mm、長さ約400mmの円筒状をしており、アルミニウムなどの導電性の円筒基材の表面に上述した感光層が設けられた構成をしている。なお、導電性の円筒基材は接地されている。また、感光体ドラム12の直径や長さは例示であってこの値に限られるものではない。当該感光体ドラム12が請求項における「像担持体」である。
【0026】
感光体ドラム12は軸方向の両端部を軸支されており、図示しない駆動装置により回転駆動可能に構成されている。感光体ドラム12は、図中反時計回りに回転する。
【0027】
なお、感光体ドラム12の像担持表面(感光層)は、暗いところでは絶縁体となり、光があたると導体となる光導電体から構成されているのは上述したとおりである。そのため、帯電器10によって均一に帯電された像担持表面(感光層)に前記発光部によって光を照射すると、光が照射された部分の表面電位は、接地電位である0Vに近い、例えば、-50Vまで低下する。照射された像担持表面(感光層)の表面電位が完全に0Vにならないのは、照射時間が短くて像担持表面(感光層)の抵抗値が完全に0にならないためである。一方、像担持表面のうち光が照射されない部分は電荷を保持したまま(例えば、-600Vのまま)となる。
【0028】
現像装置13は、トナーを含む現像剤が貯留されている現像槽131、現像槽131の現像剤を撹拌する撹拌部材132と、撹拌部材132の撹拌により所定の電位に摩擦帯電されたトナーを後述する現像ローラに供給するトナー供給ローラ133と、感光体ドラム12にトナーを現像する現像ローラ134と、を有している。
【0029】
本実施形態においては、現像剤には非磁性のトナーと磁性のキャリアとを含む現像剤(二成分現像剤)が用いられる。なお、トナーの粒子径は5~10μm程度であり、キャリアの粒子径は40μm程度である。トナーとキャリアの混合比率は例えば1:7程度である。
【0030】
前記現像ローラにはバイアス電源から所定の現像バイアス(例えば、-450V)が印加されており、当該現像ローラからの反発力を受けてトナーとキャリアのうちトナーのみが感光体ドラム12の像担持表面の静電潜像、つまり像担持電位の部分(像担持領域)に現像される。一方、像非担持電位の部分(像非担持領域)にはトナーは現像されない。
【0031】
転写装置14は、図示しない電源からプラスのバイアス電圧が供給される転写ローラを有している。前記転写ローラは、感光体ドラム12との間にニップ域を形成する。搬送手段19を通じ印刷用紙2は、このニップ域に挟み込まれるように搬送される。ニップ域において印刷用紙2の画像が形成される面の裏面側からプラスの電荷が与えられおり、印刷用紙2がニップ域を通過する際に、感光体ドラム12の表面のトナー像が印刷用紙2に転写される。
【0032】
定着装置15は、加熱源が内蔵された加熱ローラと加圧ローラとで印刷用紙2を挟み込み、印刷用紙2に転写されたトナー像を加熱しながら圧送することにより、トナー像を印刷用紙2に定着させる。
【0033】
本開示に係るクリーニング装置16の説明の前に、除電装置17、給紙装置18、搬送手段19、排紙トレイ20について説明する。
【0034】
除電装置17は感光体ドラム12の軸方向に沿って対向配列されたLEDアレー等を有している。当該LEDアレーから光を照射することによって、感光体ドラム12の像担持表面に残っている静電気が取り除かれる。当該除電によって感光体ドラム12は帯電器10による帯電前の状態(接地電位)に戻る。
【0035】
給紙装置18は、画像形成に使用する印刷用紙2を積載するトレイを有している。搬送手段19は、主経路や反転経路を備え、各経路に印刷用紙2を搬送するための搬送ローラなどが適宜配置されている。排紙トレイ20は、画像形成済みの印刷用紙2が載置されるトレイである。
【0036】
以下に、本開示に係るクリーニング装置16について説明する。
【0037】
図2に示すように、クリーニング装置16は感光体ドラム12の軸方向に沿って、像担持表面に当接するように対向配置されたクリーニングブレード161を有している。言い換えると、クリーニングブレード161は、所定の回転方向(図2中にR1で示す矢印の方向)に回転可能な感光体ドラム12の表面に先端が接触するように配置される。ここで、クリーニングブレード161はウレタンゴム等の材質により構成されている。
【0038】
当該クリーニングブレード161は、印刷用紙2に転写しきれずに感光体ドラム12の像担持表面に残留したトナーや紙粉を含む付着物(以下、付着物3と記す。)を掻き取って除去する。これにより、感光体ドラム12の像担持表面の付着物3は除去され、感光体ドラム12は次の印刷の準備が可能となる。
【0039】
クリーニングブレード161によって掻き取られた付着物3は収容ボックス162に収容される。収容ボックス162は、収容された付着物3を図示しない、当該画像形成装置1に着脱可能に設けられた廃棄用の容器に搬送するトナースクリュー163を備えている。なお、クリーニングブレード161は、先端と反対側において収容ボックス162に固定される。
【0040】
図2に示すように、さらに、クリーニング装置16は、収容ボックス162に収容された付着物3が収容ボックス162の外に飛散することを防止するシールブレード164を備えている。なお、当該シールブレード164が請求項における「シール部材」である。
【0041】
シールブレード164は、例えばウレタンゴムやシリコン、PETなどの樹脂を、長さが感光体ドラム12の軸方向幅と同じかそれ以上の350mm~400程度、感光体ドラム12の進行方向長さが10mm程度、厚みが0.1mm程度のシート状の部材で構成される。そして、一端164aが収容ボックス162に固定され、他端164bがクリーニングブレード161側に向かって伸びた自由端をなすように構成されている。
【0042】
シールブレード164は、一端164aを含む基端領域164cにおいて感光体ドラム12の表面から離間しており、他端164bを含む先端領域164dにおいて感光体ドラム12の表面に、感光体ドラム12の進行方向において1mm程度が面接触する位置に配置されている。
【0043】
図3に示すように、シールブレード164は、感光体ドラム12に向かい合う対向面のうち先端領域164dの感光体ドラム12の回転方向R1の上流側に隣接し、感光体ドラム12から離間している隣接領域に、感光体ドラム12の表面に付着した付着物3を収集する収集部164eが備えられている。
【0044】
収集部164eは、感光体ドラム12の幅、つまり感光体ドラム12の回転軸線方向に亘って、感光体ドラム12から離れる方向に窪んだ一条の溝部から構成されている。本実施形態においては、溝部の、感光体ドラム12の回転軸線と直交する方向の断面形状は半径0.5mm~1mm程度の半円形状である。
【0045】
以上のように、収集部164eは溝部から構成され、当該溝部は感光体ドラム12の幅に亘って設けられていることから、感光体ドラム12の表面の印刷領域(トナー画像が形成される領域)のうちいずれの位置においても付着物3を収集することができる。
【0046】
なお、感光体ドラム12の幅とは、感光体ドラム12の表面の進行方向に直交する方向の幅をいう。溝部は、断面形状が円弧形状である。溝部の断面形状が円弧形状であることから、角を有する形状よりも、応力集中による破損に強い。
【0047】
図2に示すように、さらに、クリーニング装置16は、収容ボックス162の内部にクリーニングブラシ165を備えている。なお、当該クリーニングブラシ165が請求項における「移動部材」である。
【0048】
図4に示すようにクリーニングブラシ165は、収容ボックス162内に、感光体ドラム12と平行に配置され、感光体ドラム12の回転方向R1と反対方向R2に回転する軸部165aと、軸部165aの表面の周方向に所定の間隔で配置された少なくとも1つ以上のブラシ部を有する。本開示のクリーニングブラシ165は、軸部165aの表面の周方向に等間隔(約1/4円周間隔)でブラシ部165bが四つ設けられている。言い換えるとブラシ部165bは、軸部165aの回転軸線を中心に回転方向R1に90度間隔で設けられている。そして、ブラシ部165bは、軸部165aの長手方向(回転軸線方向)に沿って一列に配置されている。
【0049】
軸部165aは、金属又は樹脂から形成された5mm程度の直径を有する部材である。軸部165aは、その両端部が収容ボックス162に軸支され、図示しない駆動装置によって回転させられるように構成されている。軸部165a(クリーニングブラシ165)は、図中時計回りに回転する。
【0050】
本実施形態においては、クリーニングブラシ165の周速度は、感光体ドラム12の周速度より0.6%速い周速度に制御されている。なお、クリーニングブラシ165の周速度は、感光体ドラム12の周速度と同じかわずかに速い範囲であればよく、例えば0~5%程度に制御されていればよい。
【0051】
ブラシ部165bは、例えば導電性ポリエステル繊維から形成され、5mmから10mm程度の長さ、440T/40F(40本/束、10,000m×40本で440g)程度の太さに構成されている。
【0052】
クリーニングブラシ165は、ブラシ部165bが軸部165aの回転によってシールブレード164の隣接領域の裏面と間欠的に摺動するように収容ボックス162内に設けられている。本実施形態においては、ブラシ部165bは収集部164eを含む隣接領域及び先端領域の裏面を摺動するように配置されている。ブラシ部165bは収集部164eを含む領域の裏面を摺動するときに、シールブレード164の収集部164eを感光体ドラム12に当接させる方向に移動させる(撓ませる)。
【0053】
このとき、収集部164eに捕集された付着物は、感光体ドラム12側に押し付けられる力が大きくため、回転している感光体ドラム12との摩擦力がシールブレード164との付着力より大きくなってシールブレード164から離れてクリーニングブレード161側に送られる。また軸部165aの回転によって、ブラシ部165bが隣接両機の裏面と間欠的に摺動することによって、シールブレード164のたわみが間欠的に変動するため、収集部164eに捕集された付着物とシールブレード164との付着力を振動によって弱くすることができる。
【0054】
これによってシールブレード164に堆積した付着物を感光体ドラム12の回転によってクリーニングブレード161に送ることができる。また、軸部165aの回転によって、ブラシ部165bが隣接領域の裏面と間欠的に摺動することによって、収集部164eに捕集された付着物と感光体ドラム12に対する当接力が間欠的に変動する。
【0055】
そのため、回転する感光体ドラム12に対する収集部164eに捕集された付着物に対する摩擦力が間欠的に変動するので、効果的にシールブレード164から剥がしてクリーニングブレード161に送ることができる。
【0056】
つまり、シールブレード164に付着物の収集部164eを設けそこに付着物を収集しても、移動部材が動作することですぐに除去されてクリーニングブレード161に送られてなくなるので、シールブレード164に付着物が堆積して収容ボックス162に回収されないことを防止することができる。
【0057】
[実施形態2]
図7及び図8には、実施形態2に係るシールブレード164が示されている。当該実施形態2に係るシールブレード164は、上述した実施形態1に係るシールブレード164とは異なり、先端領域164dに当該シールブレード164から下流に向けて排出される付着物3を収集通過させやすくする複数の切欠部164fが断続的に備えられている。つまり、シールブレード164は先端領域164dにおいて、一端164a側に向かって窪んだ切欠部164fが、感光体ドラム12の回転軸線方向(感光体ドラム12の幅方向)に沿って複数設けられる。
【0058】
本実施形態においては、切欠部164fは半径1.5mmの半円状のものが、シールブレード164の先端領域164dに3mmおきに設けられている。なお、切欠部164fは、山形や矩形であってもよいし、線状の切込みであってもよい。
【0059】
シールブレード164のうち切欠部164fが備えられている部分は、切欠部164fが備えられていない部分よりも付着物3が通り抜けやすいことから、付着物3がシールブレード164の先端領域164dを通り抜けようとするときに切欠部へ164cへと導かれる。
【0060】
また、塊状に凝集してしまった付着物3が感光体ドラム12とシールブレード164との間を通り抜ける際に、シールブレード164は当該付着物3の幅以上に大きく開かされてしまう。このような隙間から収容ボックス162に収容されている付着物3が飛散する虞があるため好ましくはない。
【0061】
当該実施形態2に係るシールブレード164によると、塊状に凝集してしまった付着物3が感光体ドラム12とシールブレード164との間を通り抜ける際に、シールブレード164は広くても切欠部164fと切欠部164fとの幅において開かされるに過ぎないため、付着物3が飛散する虞が軽減される。
【0062】
さらに、シールブレード164に切欠部164fが備えられていると、クリーニングブラシ165のブラシ部165bにより切欠部164fに案内された付着物3を収容ボックス162へ向けて搬送することができる。
【0063】
[実施形態3]
実施形態1及び実施形態2に係るシールブレード164の収集部164eは一条の溝部から構成されていたが、収集部164eは複数条の溝部から構成されていてもよい。その際、各溝部の断面形状、例えば輪郭や大きさは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
実施形態1及び実施形態2に係るクリーニングブラシ165のブラシ部165bは、軸部165aの周囲の90度ずつの4方向に配置されていたが、ブラシ部165bは、シールブレード164の収集部164eに一旦集められた付着物3の定期的な押し出しができればよく、軸部165aの周囲の一方向に設けられていてもよいし、4方向以外の複数方向、例えば軸部の周囲の45度ずつの8方向に設けられていてもよい。
【0065】
さらに、ブラシ部165bは、軸部165aの長手方向に沿って一列に配置されていたが、ブラシ部165bは、軸部165aの長手方向に沿って、一部又は全部が斜めに配列されていてもよい。
【0066】
上述したいずれかの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本開示の実施形態はこれに限定されず、本開示の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 :画像形成装置
3 :付着物
16 :クリーニング装置
161 :クリーニングブレード
162 :収容ボックス
163 :トナースクリュー
164 :シール部材
164 :クリーニングブラシ
164a :一端
164b :他端
164c :基端領域
164d :先端領域
164e :収集部
164f :切欠部
165 :クリーニングブラシ
165a :軸部
165b :ブラシ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8