(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028597
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】吸込スクリュ式ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/70 20060101AFI20250221BHJP
F04D 1/04 20060101ALI20250221BHJP
F04D 7/04 20060101ALI20250221BHJP
F04D 29/18 20060101ALI20250221BHJP
F04D 29/52 20060101ALI20250221BHJP
F04D 29/22 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
F04D29/70 G
F04D1/04
F04D7/04 M
F04D29/18 101
F04D29/52 A
F04D29/22 B
F04D29/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133511
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】505328085
【氏名又は名称】古河産機システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】種市 準
(72)【発明者】
【氏名】宇野 秀城
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AA27
3H130AB22
3H130AB42
3H130AB53
3H130AC07
3H130BA45A
3H130BA45C
3H130CA06
3H130CA21
3H130CB06
3H130DC16X
3H130EA07A
3H130EA07C
3H130EB01A
3H130EB01C
(57)【要約】
【課題】スクリュ作用部先端への夾雑物の引っ掛かり以外の機序で吸込スクリュの背面に夾雑物が回り込んでしまった場合であっても、吸込スクリュの背面に夾雑物が回り込んで堆積するという問題を防止または抑制できる吸込スクリュ式ポンプを提供する。
【解決手段】この吸込スクリュ式ポンプ10は、シャフト12の先端に設けられてシャフト12と一体で回転する吸込スクリュ20と、吸込スクリュ20を自身内部に収容するとともにシャフト12の軸方向前方の中心に吸込口46が設けられ側方に吐出口47が設けられるケーシング40と、ケーシング40の背面に設けられてシャフト12の周囲を軸封する軸封部15と、を備え、吸込スクリュ20の背面38とケーシング40の内面とが軸方向で対向する部分に、吸込スクリュ20の背面38に回り込んだ夾雑物Eを径方向外側に向けて導く排出溝70を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの軸方向前方から後方に向けて送液を移送する吸込スクリュ式ポンプであって、
前記シャフトの先端に設けられて該シャフトと一体で回転する吸込スクリュと、前記吸込スクリュを自身内部に収容するとともに前記シャフトの軸方向前方の中心に吸込口が設けられ側方に吐出口が設けられるケーシングと、前記ケーシングの背面に設けられて前記シャフトの周囲をメカニカルシールで軸封する軸封部と、を備え、
前記吸込スクリュは、前記シャフトの先端に同軸に設けられた円錐台状のコーン部と、該コーン部から径方向外側に螺旋状に延出する羽根と、を含むスクリュ本体と、該スクリュ本体の前記コーン部の背面に装着されるハブと、を有し、
前記吸込スクリュの前記ハブの背面と前記ケーシングの内面とが軸方向で対向する部分に、前記コーン部の背面に回り込んだ夾雑物を径方向外側に向けて導く排出溝を有することを特徴とする吸込スクリュ式ポンプ。
【請求項2】
前記排出溝は、前記コーン部の背面に対向する前記ケーシングのバックカバー前面に設けられている請求項1に記載の吸込スクリュ式ポンプ。
【請求項3】
前記排出溝は、前記シャフトの中心に対して、放射状に複数形成されている請求項1に記載の吸込スクリュ式ポンプ。
【請求項4】
前記排出溝は、前記シャフトの回転方向に対して所定の傾きθを有する請求項1に記載の吸込スクリュ式ポンプ。
【請求項5】
前記排出溝は、溝が径方向に連続する連通溝、若しくは、溝が径方向の途中部分で中断する非連通溝である請求項1に記載の吸込スクリュ式ポンプ。
【請求項6】
前記排出溝は、溝深さが次第に変わっている請求項1に記載の吸込スクリュ式ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸込スクリュ式ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥等を送液として移送するポンプの場合、送液中のし渣等の夾雑物が閉塞しないように、通過粒径の大きな吸込スクリュ(羽根車)を有する吸込スクリュ式ポンプが使用される(例えば特許文献1参照)。
この種の吸込スクリュ式ポンプは、例えば
図5に示す吸込スクリュ式ポンプ100のように、吸込スクリュ120がケーシング140内に収容される。ケーシング140の背面中央には軸封部115が設けられる。吸込スクリュ120は、シャフト112の先端に同軸に設けられた円錐台状のコーン部132と、コーン部132から径方向外側に螺旋状に延出する一枚の羽根134と、が一体形成されている。
【0003】
吸込スクリュ式ポンプ100が駆動されると、モータ(図示略)からの回転力によりシャフト112および吸込スクリュ120が一体となって回転する。これにより、吸込スクリュ式ポンプ100は、吸込スクリュ120が発生する旋回流の作用により、吸込口146からケーシング140内に送液を吸入するとともに、ケーシング140内の送液が加圧状態になって吐出口147から排出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、この種の吸込スクリュ式ポンプ100において、吸込スクリュ120に対して、コーン部132の背面138には、
図6に示すように、バックカバー前面149に対向して、複数の裏羽根133が設けられる。
しかし、夾雑物Eによってはコーン部132の背面138にまで夾雑物Eが回り込んでバックカバー前面149との間に堆積する場合がある。そのため、その堆積した夾雑物Eが軸封部115への母液による潤滑を阻害して軸封部115のメカニカルシール等の損傷を招くという問題がある。なお、同図に示す白抜矢印は、吸込スクリュのコーン部背面に夾雑物Eが回り込むイメージを示している。
【0006】
このような問題点に対し、上記特許文献1記載の技術では、フロントカバー143の内周面に円環状段部を形成し、吸込口146の外側から見たときに、この円環状段部によって、羽根134のスクリュ作用部135の先端を覆い隠している。
これにより、同文献記載の技術では、吸込口146から吸いこまれた夾雑物Eの、吸込スクリュ羽根先端への引っ掛かりを防止または抑制し、コーン部背面に夾雑物が回り込んで堆積するという問題を解決している。
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、コーン部132よりも上流側の位置で夾雑物Eの羽根134との引っ掛かりを防止または抑制し得るものの、吸込口146から吸いこまれた夾雑物Eのうち、スクリュ作用部135先端への夾雑物Eの引っ掛かり以外の機序でコーン部背面に夾雑物Eが回り込んでしまった場合までは対処できない。
よって、この種の吸込スクリュ式ポンプにおいて、吸込スクリュのコーン部背面に夾雑物が回り込んで堆積するという問題を解決する上で未だ改善の余地が残されている。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、吸込口から吸いこまれた夾雑物のうち、スクリュ作用部先端への夾雑物の引っ掛かり以外の機序で吸込スクリュのコーン部背面に夾雑物が回り込んでしまった場合であっても、コーン部背面に夾雑物が回り込んで堆積するという問題を防止または抑制し得る吸込スクリュ式ポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る吸込スクリュ式ポンプは、シャフトの軸方向前方から後方に向けて送液を移送する吸込スクリュ式ポンプであって、前記シャフトの先端に設けられて該シャフトと一体で回転する吸込スクリュと、前記吸込スクリュを自身内部に収容するとともに前記シャフトの軸方向前方の中心に吸込口が設けられ側方に吐出口が設けられるケーシングと、前記ケーシングの背面に設けられて前記シャフトの周囲をメカニカルシールで軸封する軸封部と、を備え、前記吸込スクリュは、前記シャフトの先端に同軸に設けられた円錐台状のコーン部と該コーン部から径方向外側に螺旋状に延出する羽根とを含むスクリュ本体と、該スクリュ本体の前記コーン部の背面に装着されるハブと、を有し、前記吸込スクリュの前記ハブの背面と前記ケーシングの内面とが軸方向で対向する部分に、前記コーン部の背面に回り込んだ夾雑物を径方向外側に向けて導く排出溝を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、吸込スクリュのコーン部背面とケーシングの内面とが軸方向で対向する部分に、コーン部背面に回り込んだ夾雑物を径方向外側に向けて導く排出溝を設けている。
そのため、吸込口から吸いこまれた夾雑物のうち、スクリュ作用部先端への夾雑物の引っ掛かり以外の機序で吸込スクリュのコーン部背面に夾雑物が回り込んでしまった場合であっても、コーン部の背面側に侵入する夾雑物を排出溝に沿って径方向外側に導くことによって排出性能を向上させることができる。そのため、コーン部背面に夾雑物が回り込んで堆積するという問題を防止または抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
上述のように、本発明によれば、吸込スクリュのコーン部背面に夾雑物が回り込んで堆積するという問題を防止または抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一態様に係る吸込スクリュ式ポンプの一実施形態の説明図であり、同図では、軸線を含む断面を示している。
【
図3】
図1での要部を説明する模式図であり、同図(a)は
図1のA矢視部分を示し、(b)はB矢視部分を示している。
【
図4】本発明の一態様に係る吸込スクリュ式ポンプの変形例の説明図であり、同図は、
図3(b)に対応する図を示している。
【
図5】本発明の一態様に係る吸込スクリュ式ポンプに対する比較例の説明図であり、同図では、軸線を含む断面を示している。
【
図6】
図5での要部を説明する模式図であり、同図(a)は
図5のA矢視部分を示し、(b)はB矢視部分を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る吸込スクリュ式ポンプ10は、シャフト(回転軸)12を水平姿勢に支持するフレーム14を備える。フレーム14の前部にはケーシング40が装備されている。ケーシング40の背面中央には軸封部15が設けられ、フレーム14の後部には軸支部16が設けられている。軸支部16は、シャフト12の軸方向の中間部を、軸方向前後の軸受18および軸受19を介して回転自在に支持している。
【0015】
本実施形態では、軸支部16の前側(
図1では左側)の端面は、ボルト27で固定された軸受カバー52により閉止されている。また、軸支部16の後側(
図1では右側)の端面は、ボルト28で固定された軸受カバー54により閉止されている。シャフト12は、前後の軸受カバー52、54をそれぞれ貫通し、その先端側及び基端側が、それぞれ軸受カバー52、54から突出されている。
【0016】
ケーシング40は、ボルト・ナットで相互に固定された、軸方向中央のケーシング本体44と、ケーシング本体44前方に設けられるフロントカバー43と、ケーシング本体44後方のバックカバー45と、を有する。
ケーシング40の内部に吸込スクリュ20の収容空間が画成されている。シャフト12の先端はケーシング40内に突設している。シャフト12の先端には羽根34を有する吸込スクリュ20が同軸に固定され、吸込スクリュ20はケーシング40の内部に片持ち支持される。シャフト12の基端部には、不図示のモータの出力軸が駆動力を伝達可能に接続される。
【0017】
ケーシング本体44の上部には、上方に開口する吐出口47が形成され、フロントカバー43には、中央に軸方向に沿って前方に張り出す吸込口46が形成されるとともに、フロントカバー43内面の円錐部が吸込スクリュ20の羽根34の周囲を覆っている。
バックカバー45には、その背面48の中央に、円筒状のホルダ部50が後方のフレーム14側に突出して一体形成されている。ホルダ部50の後端面に、例えばメカニカルシールを内蔵した軸封部15が同軸に装着され、この軸封部15によって、バックカバー45の背面中央の位置でシャフト12の先端側の後部を軸封している。
【0018】
ここで、本実施形態の吸込スクリュ20は、スクリュ本体21と、スクリュ本体21の後部に設けられるハブ30と、を備える。
スクリュ本体21は、シャフト12の先端に同軸に設けられた円錐台状のコーン部32と、コーン部32から径方向外側に螺旋状に延出する一枚の羽根34と、が一体形成されて構成されている。本実施形態では、上記シャフト12の先端部には雄ねじ39が形成され、雄ねじ39が吸込スクリュ20の基端側のコーン部32の端面中央部に開口したねじ穴41に螺合されている。
羽根23の先端部は、コーン部32の外周面の先端部よりも軸方向前方に張り出した非対称形状である。本実施形態の羽根34は、コーン部32の周囲に螺旋状に配設されるとともに、コーン部32の先端32sよりも先の吐出口47の側に突出するスクリュ作用部35を一体に有する。
【0019】
スクリュ本体21は、
図2に拡大図示するように、コーン部32の内部に、後方に開口する空洞22を有する(コーン部32の内面が略円錐状の空洞22になっている)。コーン部32の先端部には、シャフト12への装着用のボルト挿通穴24が同軸に貫通形成されている。
スクリュ本体21には、コーン部32の基端部に、ハブ30の外周面が嵌合されるインロー凹部であるハブ装着部25が形成されている。ハブ装着部25の軸方向後方を向く面にはハブ装着ピン穴26が形成され、ハブ30は、コーン部32の空洞22の開口部を覆うように自身軸方向前側から同軸に係合される。
【0020】
ハブ30は、円盤部37と、円盤部37の中心に前方および後方に向けて張り出す円筒状複数の段部からなるボス部36とを有する。ボス部36の中心には、軸線に沿って装着用のねじ部31が形成されている。円盤部37は、スクリュ本体21側のハブ装着部25にインロー嵌合可能に凹の段部が適所に形成されている。
【0021】
ここで、本実施形態では、
図2および
図3に示すように、バックカバー45の前面49に、周方向に離隔して複数の排出溝70が形成されている。また、円盤部37の背面38には、周方向で反対側に位置する二箇所に剪断刃80がボルトによって着脱可能に付設されている(
図3(a)参照)。
詳しくは、複数の排出溝70は、吸込スクリュ20のコーン部32の背面38とケーシング40の内面(本実施形態ではケーシング40を構成するバックカバー45の前面49)とが軸方向で対向する部分に、コーン部32の背面38に回り込んだ夾雑物Eを径方向外側に向けて導くように形成されている。つまり、本実施形態の排出溝70は、コーン部32の背面38に対向するバックカバー45の前面49に設けられている。
【0022】
複数の排出溝70は、
図3(b)に示すように、シャフト12の中心12cに対して放射状に複数(同図の例では8箇所)形成されている。本実施形態の例では、各排出溝70は、シャフト12の回転方向に対して所定の傾きθを有して直線状に伸びている。
なお、各排出溝70は、溝が径方向に連続する連通溝、若しくは、溝が径方向の途中部分で中断する非連通溝とすることができる。また、各排出溝70は、溝深さを一定としてもよいし、溝深さが次第に変わるように形成してもよい。
【0023】
次に、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10の動作及び作用効果を説明する。
本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10は、電動モータ(図示略)からの回転力によりシャフト12及び吸込スクリュ20が一体となって回転すると、吸込スクリュ20が発生する旋回流の作用により、シャフト12の軸方向前方の吸込口46から後方に向けてケーシング40内に送液が吸入されるとともに、ケーシング40内の送液が加圧状態になって吐出口47から排出される。
【0024】
ここで、下水汚泥等を送液として移送するポンプの場合、送液中の夾雑物が閉塞しないように、通過粒径の大きな吸込スクリュ(羽根車)が採用されるところ、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10の吸込スクリュ20によれば、スクリュ作用部35がコーン部32よりも先の吸込口46の側に突出する1枚の羽根34を備えるので、無閉塞性を確保するポンプとして好適である。
【0025】
しかし、下水汚泥等を移送する吸込スクリュ付汚泥ポンプの場合、ポンプに流入してくる下水汚泥送液中に、輪ゴム類などの弾性・伸縮性の大きな夾雑物Eが混入するケースがある。この種の夾雑物Eが、吸込スクリュ20の背面38に回り込んで堆積し、その堆積した夾雑物Eが軸封部15への母液による潤滑を阻害してメカニカルシールの損傷を招く場合がある。また、毛髪などの細長い夾雑物Eの場合、円盤部37の背面38と対向面であるバックカバー45の前面49の間で細長い夾雑物Eが回転方向に沿って流れてしまい、径方向外側に向けて排出されないことが考えられる。
【0026】
これに対し、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10によれば、上述したように、吸込スクリュ20の背面38とケーシング40の内面(バックカバー45の前面49)とが軸方向で対向する部分に、吸込スクリュ20の背面38に回り込んだ夾雑物Eを径方向外側に向けて導く排出溝70を設けている。
そのため、吸込口46から吸いこまれた夾雑物Eのうち、スクリュ作用部先端35への夾雑物Eの引っ掛かり以外の機序で吸込スクリュ20の背面38に夾雑物Eが回り込んでしまった場合であっても、吸込スクリュ20の背面側に侵入する夾雑物Eを排出溝70に沿って径方向外側に導くことによって排出性能を向上させることができる。また、排出溝70があることにより細長い夾雑物Eが回転方向に沿って流れることを抑止できるため、径方向外側に向けて流れの指向性を持たせることができる。そのため、吸込スクリュ20の背面38に夾雑物Eが回り込んで堆積するという問題を防止または抑制できる[発明1]。
【0027】
また、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10では、排出溝70は、
図1から
図3に示したように、吸込スクリュ20の背面38に対向する、ケーシング40を構成するバックカバー45の前面49に設けられているので、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10によれば、排出溝70の径方向での溝延在範囲を可及的に広い範囲に設定できる。そのため、例えば、
図5に例示した裏羽根133と同様の作用効果を効果的に生じさせることができる[発明2]。
【0028】
また、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10では、排出溝70は、
図3に示したように、シャフト12の中心12cに対して、放射状に複数形成されているので、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10によれば、
図5に例示した裏羽根133と同様の作用効果を効果的に生じさせることができる[発明3]。
【0029】
また、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10では、排出溝70は、
図3に示したように、シャフト12の回転方向Rに対して、その回転方向Rに沿うように所定の傾きθを有する。
ここで、背面38による夾雑物Eを排出しようとする流れは、円盤部37が回転することにより生じるため、円盤部37の中心を原点とした放射状の直線ではなく、円盤部37の中心から外周へ進むにつれて回転方向に移動する流れになる。そこで、排出溝70に傾きθを設けることにより、夾雑物Eが流れに沿って円滑に移動するため、排出溝70の内部で夾雑物Eが詰まることをより効果的に予防できる。
そのため、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10によれば、夾雑物Eを排出溝70に沿って径方向外側に導くことによって排出性能を向上させる上でより好適である[発明4]。
【0030】
また、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10では、排出溝70は、溝が径方向に連続する連通溝、若しくは、溝が径方向の途中部分で中断する非連通溝とすることにより、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10によれば、夾雑物Eを排出溝70に沿って径方向外側に導くことによって排出性能を向上させる上でより好適である[発明5]。
【0031】
また、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10では、排出溝70は、溝深さが次第に変わっているので、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10によれば、夾雑物Eを排出溝70に沿って径方向外側に導くことによって排出性能を向上させる上でより好適である[発明6]。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の吸込スクリュ式ポンプ10によれば、吸込スクリュ20の背面38に夾雑物が回り込んで堆積するという問題を防止または抑制できる。なお、本発明に係る吸込スクリュ式ポンプは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
【0033】
例えば、上記実施形態では、「ケーシング40の内面」として、ケーシング40を構成するバックカバー45の前面49が対応する例を示したが、ケーシング40の構成によってはバックカバーの有無には限定されず、ケーシング40の内壁の接液面において、吸込スクリュ20の背面38に対向する面を対応させることができる。
【0034】
また、例えば、上記実施形態では、各排出溝70が、バックカバー45の前面49に、シャフト12の回転方向に対して所定の傾きθを有して直線状に伸びる例を示したが、これに限定されない。例えば
図4に変形例を示すように、各排出溝70を、バックカバー45の前面49に円弧状に伸びる溝によって形成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 吸込スクリュ式ポンプ
12 シャフト(回転軸)
14 フレーム
15 軸封部
16 軸支部
18、19 軸受
20 吸込スクリュ
21 スクリュ本体
22 空洞
23 羽根
24 ボルト挿通穴
25 ハブ装着部
26 ハブ装着ピン穴
27、28 ボルト
30 ハブ
31 ねじ部
32 コーン部
32s 先端
34 羽根
35 スクリュ作用部
36 ボス部
37 円盤部
38 (円盤部の)背面
39 雄ねじ
40 ケーシング
41 ねじ穴
43 フロントカバー
44 ケーシング本体
45 バックカバー
46 吸込口
47 吐出口
48 背面
49 前面
50 ホルダ部
52、54 軸受カバー
60 固定ピン
70 排出溝
80 剪断刃
100 吸込スクリュ式ポンプ
112 シャフト
115 軸封部
120 吸込スクリュ
132 コーン部
133 裏羽根
134 羽根
135 スクリュ作用部
138 背面
140 ケーシング
143 フロントカバー
145 バックカバー
146 吸込口
147 吐出口
149 バックカバー前面
E 夾雑物
R 回転方向