(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028611
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】従業者情報共有サーバ及び従業者情報共有システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20250221BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133530
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】523315843
【氏名又は名称】株式会社明照会労働衛生コンサルタント事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】浅見 愛
(72)【発明者】
【氏名】小倉 行雄
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】従業者の健康に関する情報を共有するための従業者情報共有サーバ及び従業者情報共有システムを提供する。
【解決手段】従業者情報共有サーバ1は、医療に係る定期的な経過観察を要する従業者が許諾した、診療情報の収集に関する許諾情報を管理する許諾情報登録部12と、従業者に対応付けて、従業者が受診する医療機関の産業医を識別する産業医IDを記憶する従業者属性記憶部23と、許諾情報に基づき、医療機関に有する従業者の診療情報を受信し、従業者情報DB3に登録する診療情報登録部14と、従業者の属する企業の産業医による照会要求に応じて、従業者情報DB3に記憶された従業者の診療情報を、要求元の端末に参照可能に出力する診療情報出力部16と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療に係る定期的な経過観察を要する従業者が許諾した、診療情報の収集に関する許諾情報を管理する許諾情報管理手段と、
前記従業者に対応付けて、前記従業者が受診する医療機関及び/又は前記医療機関の医療従事者を識別する医療識別情報を記憶する従業者情報記憶部と、
前記許諾情報に基づき、前記医療機関に有する前記従業者の前記診療情報を受信し、従業者情報データベースに登録する診療情報登録手段と、
前記従業者の属する企業の産業医による照会要求に応じて、前記従業者情報データベースに記憶された前記従業者の前記診療情報を、要求元の端末に参照可能に出力する診療情報出力手段と、
を備える、従業者情報共有サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の従業者情報共有サーバにおいて、
前記許諾情報は、収集を許諾する前記診療情報の種類を指定する情報を含み、
前記診療情報登録手段は、前記許諾情報に基づいて収集対象の前記診療情報を受信して前記従業者情報データベースに登録する、従業者情報共有サーバ。
【請求項3】
請求項2に記載の従業者情報共有サーバにおいて、
前記診療情報は、カルテ情報及び/又は前記医療従事者による所見情報を含む、従業者情報共有サーバ。
【請求項4】
請求項1に記載の従業者情報共有サーバにおいて、
前記許諾情報は、前記診療情報を参照可能なユーザを指定するユーザ指定情報を含み、
前記従業者の属する企業に係る特定ユーザによる照会要求があった場合に、前記許諾情報に基づいて前記照会要求に対する処理の許否を判断する許否判断手段を備え、
前記診療情報出力手段は、前記許否判断手段による判断が前記照会要求に対する処理を許可するものである場合に、前記従業者情報データベースに記憶された前記従業者の前記診療情報を、前記要求元の端末に参照可能に出力する、従業者情報共有サーバ。
【請求項5】
請求項1に記載の従業者情報共有サーバにおいて、
前記従業者ごとに前記従業者情報データベースに前記診療情報が最後に登録されてから所定期間を経過した場合に、前記従業者の属する企業の前記産業医の端末に経過確認に係る報知をする報知手段を備える、従業者情報共有サーバ。
【請求項6】
請求項1に記載の従業者情報共有サーバにおいて、
前記従業者情報データベースには、前記従業者の健診情報が登録されており、
前記医療機関の前記医療従事者による前記従業者に係る前記健診情報の照会要求に応じて前記従業者情報記憶部の前記医療識別情報を確認し、確認ができた場合に前記従業者の前記健診情報を、要求元の端末に参照可能に出力する健診情報出力手段を備える、従業者情報共有サーバ。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載の従業者情報共有サーバと、
前記従業者情報データベースと、
を備える、従業者情報共有システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従業者情報共有サーバ及び従業者情報共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業においては、従業者が心身共に健康に働けるように健康管理にも配慮することが、重要な義務の1つになっている。従業者の中には、例えば、持病がありながらも働いている場合があり、企業は、従業者の病歴、持病、体調等を考慮して業務配置を行う義務がある。
そのような状況下において、安全配慮義務を怠ったとして企業が訴えられないようにするため、集団検診の結果を利用して、従業者に対する安全配慮義務を果たせるよう、適切な生活改善指導を行うためのシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものは、健康診断結果データから精査対象者を選択して精密検査を行わせ、特別措置対象者を選択する。そして、特別措置対象者には、生活習慣改善指導を受けることを促す通知がされ、当該システムにおいて表示される生活習慣改善指導の画面を用いて現状に関する入力を行わせる。そうすることで、特別措置対象者が、現状の生活習慣の問題点を把握することができるものである。
【0005】
ところで、企業には、従業者数に応じた産業医を選任して従業者の健康管理等を行わせる義務が課されている。産業医とは、職場等において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導及び助言を行う医師をいう。産業医と企業とが連携して従業者の健康に関する情報を共有すれば、企業は、従業者に対する適切な健康管理が行えると共に、従業者に対する安全配慮義務を果たすことが可能になる。
【0006】
本発明は、従業者の健康に関する情報を共有するための従業者情報共有サーバ及び従業者情報共有システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、医療に係る定期的な経過観察を要する従業者が許諾した、診療情報の収集に関する許諾情報を管理する許諾情報管理手段と、前記従業者に対応付けて、前記従業者が受診する医療機関及び/又は前記医療機関の医療従事者を識別する医療識別情報を記憶する従業者情報記憶部と、前記許諾情報に基づき、前記医療機関に有する前記従業者の前記診療情報を受信し、従業者情報データベースに登録する診療情報登録手段と、前記従業者の属する企業の産業医による照会要求に応じて、前記従業者情報データベースに記憶された前記従業者の前記診療情報を、要求元の端末に参照可能に出力する診療情報出力手段と、を備える、従業者情報共有サーバに関する。
【0008】
また、従業者情報共有サーバにおいて、前記許諾情報は、収集を許諾する前記診療情報の種類を指定する情報を含み、前記診療情報登録手段は、前記許諾情報に基づいて収集対象の前記診療情報を受信して前記従業者情報データベースに登録してもよい。
【0009】
また、従業者情報共有サーバにおいて、前記診療情報は、カルテ情報及び/又は前記医療従事者による所見情報を含んでもよい。
【0010】
また、従業者情報共有サーバにおいて、前記許諾情報は、前記診療情報を参照可能なユーザを指定するユーザ指定情報を含み、前記従業者の属する企業に係る特定ユーザによる照会要求があった場合に、前記許諾情報に基づいて前記照会要求に対する処理の許否を判断する許否判断手段を備え、前記診療情報出力手段は、前記許否判断手段による判断が前記照会要求に対する処理を許可するものである場合に、前記従業者情報データベースに記憶された前記従業者の前記診療情報を、前記要求元の端末に参照可能に出力してもよい。
【0011】
また、従業者情報共有サーバにおいて、前記従業者ごとに前記従業者情報データベースに前記診療情報が最後に登録されてから所定期間を経過した場合に、前記従業者の属する企業の前記産業医の端末に経過確認に係る報知をする報知手段を備えてもよい。
【0012】
また、従業者情報共有サーバにおいて、前記従業者情報データベースには、前記従業者の健診情報が登録されており、前記医療機関の前記医療従事者による前記従業者に係る前記健診情報の照会要求に応じて前記従業者情報記憶部の前記医療識別情報を確認し、確認ができた場合に前記従業者の前記健診情報を、要求元の端末に参照可能に出力する健診情報出力手段を備えてもよい。
【0013】
また、本発明は、上記に記載の従業者情報共有サーバと、前記従業者情報データベースと、を備える、従業者情報共有システムに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従業者の健康に関する情報を共有するための従業者情報共有サーバ及び従業者情報共有システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る従業者情報共有サービスにおける関係図である。
【
図2】本実施形態に係る従業者情報共有システムの全体構成図である。
【
図3】本実施形態に係る従業者情報共有サーバの機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る従業者情報共有サーバの記憶部の例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る従業者情報共有サーバの許諾管理処理を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る従業者情報共有サーバの情報登録処理を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る従業者情報共有サーバの情報閲覧処理を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る従業者情報共有サーバの報知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
(実施形態)
〔従業者情報共有システム100の全体構成〕
図1は、本実施形態に係る従業者情報共有サービス1000における関係図である。
図2は、本実施形態に係る従業者情報共有システム100の全体構成図である。
【0017】
図1に示す従業者情報共有サービス1000での関係は、
図2に示す従業者情報共有システム100を用いて実現可能なものである。
従業者は、例えば、持病のために受診をして主治医(医療従事者)の診療を受ける。診療は、対面であってもよいし、オンラインであってもよい。この場合、従業者は、主治医に対する患者である。ここで、従業者は、例えば、癌、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎、その他難病等の反復、継続して治療が必要となる疾患を有し、医療に係る定期的な経過観察を要する者である。また、従業者が有する疾患は、心の病等の精神的な病であってもよい。主治医は、従業者が受診する医療機関の担当医師であり、例えば、従業者の自宅や勤務地の近くにあるクリニック等の医師である。
【0018】
また、従業者は、例えば、定期的に産業医と面談を行う。産業医は、従業者が許諾することで主治医から取得した診療情報や、企業が有する健診情報や就労情報を、面談を行う際に参照することができる。
企業は、従業者に対して業務上の配慮を行う際に用いるため、従業者から診療情報に関する許諾を求め、従業者が許諾した場合に許諾情報を取得する。また、企業は、産業医から従業者に対する包括的なアドバイスを得ることで、従業者に対して安全配慮義務を果たせるように業務上の配慮を行うことが可能になる。業務上の配慮には、例えば、業務内容に関するものや労働時間に関するものがある。
【0019】
図2に示す従業者情報共有システム100は、従業者情報共有サーバ1と、従業者情報DB(データベース)3と、主治医が用いる端末5と、産業医が用いる端末6と、企業の担当者が用いる端末7とを備える。従業者情報共有サーバ1と、端末5と、端末6と、端末7とは、データ通信網Nによってデータ通信が可能になっている。
図2では、従業者情報共有サーバ1と、従業者情報DB3とは、直接接続されているものとして示しているが、データ通信網Nを介して接続されていてもよい。
また、
図2には、各端末が1台ずつ記載されているが、一例にすぎない。実際には、複数の医療機関の各主治医が端末5を有し、1以上の嘱託機関の各産業医が端末6を有し、従業者情報共有サービス1000を利用する各企業の各担当者が端末7を有する。そのため、複数の端末が、従業者情報共有サーバ1に対して接続されている。
【0020】
〔従業者情報共有サーバ1〕
図3は、本実施形態に係る従業者情報共有サーバ1の機能ブロック図である。
図4は、本実施形態に係る従業者情報共有サーバ1の記憶部20の例を示す図である。
従業者情報共有サーバ1は、例えば、従業者情報共有サービス1000を提供する企業が有する。当該サービスを提供する企業は、例えば、嘱託産業医を管理し、各企業に嘱託産業医を派遣する企業であってよい。また、当該サービスを提供する企業は、当該サービスのためのプラットフォームを提供する企業であってもよい。
【0021】
図3に示すように、従業者情報共有サーバ1は、制御部10と、記憶部20と、データ通信IF(インタフェース)29とを備える。
制御部10は、従業者情報共有サーバ1の全体を制御するCPU(中央処理装置)である。制御部10は、記憶部20に記憶されているOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0022】
制御部10は、データ登録処理部11と、許諾判断部15(許否判断手段)と、診療情報出力部16(診療情報出力手段)と、経過確認報知部17(報知手段)と、健診情報出力部18(健診情報出力手段)とを備える。
データ登録処理部11は、各種のデータ登録に係る処理を行う。
データ登録処理部11は、許諾情報登録部12(許諾情報管理手段)と、健診情報登録部13と、診療情報登録部14(診療情報登録手段)とを備える。
【0023】
許諾情報登録部12は、従業者から得た許諾情報を、例えば、企業の担当者が端末7から登録する。許諾情報は、一例として従業者属性記憶部23(後述する)に登録され、管理がされる。許諾情報は、従業者が主治医から診療情報を収集することを許諾する旨を含む情報である。許諾情報は、その他、例えば、診療科や主治医の指定といった許諾範囲の指定等、収集を許諾する診療情報の種類を指定する情報を含んでよい。また、許諾情報は、企業の担当者による参照可否に関する指定を含んでもよい。
【0024】
健診情報登録部13は、企業が実施した定期健康診断の結果である健診情報を、例えば、企業の担当者が端末7から登録する。企業には、1年以内ごとに定期的に健康診断を実施することが法令で義務づけられている。そのため、企業では、業務内容によって1年に1回や半年に1回程度の健康診断を行い、健診結果を従業者に通知する。このように企業が行った健診に係る健診情報を、健診情報登録部13は、一例として従業者情報DB3に登録する。
【0025】
診療情報登録部14は、診療情報を、主治医が端末5から登録する。診療情報登録部14は、例えば、カルテ情報や主治医による所見情報を含む診療情報を、一例として従業者情報DB3に登録する。診療情報登録部14は、許諾情報に基づいて収集対象の診療情報を受信して、例えば、従業者情報DB3に登録してもよい。また、診療情報登録部14は、主治医が診療情報を端末5に登録することで、端末5から自動的に送信された診療情報を受信して登録してもよい。さらに、診療情報登録部14は、端末5に対して診療情報の依頼をすることで、端末5から送信された診療情報を受信して登録してもよい。
【0026】
許諾判断部15は、従業者の属する企業の担当者等(特定ユーザ)による照会要求があった場合に、許諾情報に基づいて照会要求に対する処理の許否を判断する。
診療情報出力部16は、従業者の属する企業の産業医による照会要求に応じて、従業者情報DB3に記憶された従業者の診療情報を、産業医の端末6に参照可能に出力する。また、診療情報出力部16は、許諾判断部15による判断が照会要求に対する処理を許可するものである場合に、従業者情報DB3に記憶された従業者の診療情報を、企業の担当者等の端末7に参照可能に出力する。
【0027】
経過確認報知部17は、従業者ごとに従業者情報DB3に診療情報が最後に登録されてから所定期間を経過した場合に、従業者の属する企業の産業医の端末6に対して経過確認に係る報知をする。所定期間は、例えば、1ヶ月や3ヶ月等の固定の期間であってもよいし、企業側で設定できるようにしてもよい。
健診情報出力部18は、主治医による従業者に係る健診情報の照会要求に応じて、従業者属性記憶部23(後述する)の主治医ID(IDentification)(医療識別情報)を確認し、確認ができた場合に従業者の健診情報を、主治医の端末5に参照可能に出力する。
【0028】
記憶部20は、制御部10が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部20は、プログラム記憶部21と、企業情報記憶部22と、従業者属性記憶部23(従業者情報記憶部)と、産業医情報記憶部24と、主治医情報記憶部25とを備える。
プログラム記憶部21は、上述した制御部10が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラム(プログラム)を記憶する記憶領域である。
【0029】
企業情報記憶部22は、当該従業者情報共有サービス1000を利用する企業に関する情報を記憶する記憶領域である。
図4(A)に示す例では、企業情報記憶部22は、例えば、企業コードをキーにして企業名等を対応付けて記憶する。
企業コードは、従業者情報共有システム100で一意に定める企業を識別する識別情報である。
企業名は、当該企業の名称である。
その他、企業情報記憶部22は、住所等の項目を有してもよい。
【0030】
従業者属性記憶部23は、企業情報記憶部22に登録された企業の従業者に関する属性情報等を記憶する記憶領域である。
図4(B)に示す例では、従業者属性記憶部23は、従業者コードと企業コードとをキーにして、従業者名と、許諾情報と、主治医IDとを対応付けて記憶する。
従業者コードは、企業コードと共に用いて企業の従業者を識別する識別情報である。
許諾情報は、従業者による、診療情報を主治医から収集することを許諾する旨についての情報である。許諾情報は、許諾可否に関する情報を含み、許諾可である場合に、許諾範囲を含んでもよい。
主治医IDは、従業者の主治医を識別する識別情報である。主治医IDは、許諾情報に対応させてもよい。
【0031】
産業医情報記憶部24は、従業者情報共有サービス1000により企業に提供する嘱託産業医に係る情報を記憶する記憶領域である。
図4(C)に示す例では、産業医情報記憶部24は、産業医IDをキーにして、産業医名と、企業コード等とを対応付けて記憶する。
産業医IDは、産業医を識別する識別情報である。
産業医名は、産業医の氏名である。
企業コードは、当該産業医が担当する企業を識別する識別情報である。産業医が複数の企業を担当する場合には、複数の企業コードが対応付けられる。
【0032】
主治医情報記憶部25は、従業者のかかりつけ医である主治医に係る情報を記憶する記憶領域である。
図4(D)に示す例では、主治医情報記憶部25は、主治医IDをキーにして、主治医名等を対応付けて記憶する。
主治医IDは、主治医を識別する識別情報である。
主治医名は、主治医の氏名である。
その他、主治医情報記憶部25は、主治医が属する医療機関名等の項目を有してもよい。
【0033】
なお、記憶部20に記憶されるデータは、上記のものに限定されない。記憶部20には、例えば、従業者情報共有システム100を利用する産業医や主治医、企業の担当者が従業者情報共有サーバ1に接続するためのログイン情報を記憶してもよい。また、企業情報記憶部22には、例えば、企業の担当者に係る識別情報等を有してもよい。
さらに、
図4に示した企業情報記憶部22から主治医情報記憶部25までの各項目は、一例であり、他の項目があってもよいし、ない項目があってもよい。
【0034】
図3のデータ通信IF29は、データ通信網Nとの間のインタフェースである。
なお、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、従業者情報共有サーバ1は、制御部10、記憶部20等を備えた情報処理装置であり、コンピュータの概念に含まれる。
また、従業者情報共有サーバ1は、1つのサーバ装置ではなく、複数のサーバ装置に組み合わせによって実現されていてもよいし、クラウドサーバであってもよい。
【0035】
〔従業者情報DB3〕
図2の従業者情報DB3は、従業者の診療情報や健診情報、就労情報を記憶する記憶領域である。図示しないが、従業者情報DB3は、従業者コード及び企業コードをキーとして、例えば、データ日付と、データ内容とを記憶する。データ日付は、例えば、診療日や健診日等のデータ作成日付である。また、データ内容は、例えば、診療情報や健診情報、就労情報である。
【0036】
〔端末〕
図2の主治医が用いる端末5は、例えば、主治医の属する医療機関に設けられ、診療情報の登録や健診情報の参照に用いる端末である。端末5は、例えば、電子カルテ端末と同じ端末であってもよいし、異なる端末であってもよい。また、端末5は、オンライン診療を行う端末と同じであってもよい。
産業医が用いる端末6は、診療情報や健診情報、就労情報の参照や、面談記録及び企業に対する従業者への包括的なアドバイスの内容の登録に用いる端末である。
企業の担当者が用いる端末7は、例えば、企業に設けられ、健診情報や就労情報の登録や、アドバイスの内容の参照に用いる端末である。
【0037】
図2では、各端末は、ノート型のパーソナルコンピュータ(PC)として例示しているが、一例である。各端末は、例えば、デスクトップ型のPCであってもよいし、スマートフォンや、タブレット等の携帯端末等の他の端末であってもよい。
また、各端末は、図示しないが、制御部と、記憶部と、タッチパネル等の入出力部(又は、ディスプレイ等の表示部及びキーボード等の入力部)と、データ通信IFとを備える。
さらに、主治医が用いる端末5は、例えば、オンライン診療で使用することを可能とし、さらに、カメラと、マイクとを備えるものであってもよい。
【0038】
〔処理の説明〕
次に、従業者情報共有システム100での処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る従業者情報共有サーバ1の許諾管理処理を示すフローチャートである。
従業者情報共有サービス1000では、主治医が作成する従業者の診療情報を企業が収集する場合に、従業者から許諾を得る必要がある。診療情報は、患者である従業者の情報であり、第三者である企業が当該情報を勝手に収集することができないためである。以下に説明する許諾管理処理は、許諾情報を管理するための処理であり、例えば、企業において定期健康診断の結果を登録した都度行う。
【0039】
図5のステップS(以下、「ステップS」を単に「S」という。)1において、従業者情報共有サーバ1の制御部10は、従業者情報DB3に登録された直近の健診情報に基づいて、経過観察を必要とする従業者を抽出する。この処理では、健診情報から特に安全配慮義務を果たす必要がある従業者を抽出する。制御部10は、経過観察を必要とする従業者として、健診結果の値が異常値である従業者等を抽出する。
なお、直近の健診情報以外に、例えば、従業者による申告によって経過観察を必要とする従業者を含んでもよい。
【0040】
制御部10は、抽出した従業者に係る情報を、例えば、企業の担当者が用いる端末7に出力することで、企業の担当者は、当該従業者から既に許諾情報を得ているか否かを確認する。既に許諾情報が登録されているか否かについては、例えば、端末7から従業者情報共有サーバ1に接続し、従業者属性記憶部23を検索することで確認できる。また、制御部10が、抽出した従業者に係る情報と、従業者属性記憶部23とを照合して許諾情報を得ていない従業者抽出してもよい。
【0041】
そして、許諾情報を得ていない従業者に対して、企業の担当者は、許諾の依頼を行う。また、既に許諾情報を得ている従業者であっても、許諾情報の範囲外で許諾が必要な場合には、企業の担当者は、許諾の依頼を行う。許諾の依頼は、例えば、電子メール等により行ってもよいし、依頼書等の書類によって行ってもよい。
その後、従業者の許諾が得られた場合には、企業の担当者が端末7から許諾情報を登録することで、S2において、制御部10は、許諾情報を取得する。
【0042】
S3において、制御部10は、取得した許諾情報を、従業者属性記憶部23に登録し、従業者と主治医とを関連付ける。その後、制御部10は、本処理を終了する。
なお、企業の担当者は、退職等により管理が不要となった従業者について、端末7を用いて従業者属性記憶部23から該当する従業者を削除する等のメンテナンス作業を、適宜行う。また、企業の担当者は、後から従業者の主治医についての情報を得た場合には、端末7を用いて従業者属性記憶部23から該当する従業者に主治医を対応付ける。
【0043】
次に、従業者情報共有サーバ1に各種データを登録する処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る従業者情報共有サーバ1の情報登録処理を示すフローチャートである。
この情報登録処理は、端末5から端末7までのいずれかの端末からデータを受信したことに応じて処理を開始する。
図6のS11において、制御部10は、主治医からの診療情報であるか否かを判断する。主治医からの診療情報である場合(S11:YES)には、制御部10は、処理をS12に移す。他方、主治医からの診療情報ではない場合(S11:NO)には、制御部10は、処理をS13に移す。
S12において、制御部10(診療情報登録部14)は、診療情報を従業者に対応付けて従業者情報DB3に登録する。
【0044】
S13において、制御部10は、産業医からの面談記録等であるか否かを判断する。産業医の端末6から受信するデータとしては、従業者との面談記録の他、産業医が面談記録や健診情報、診療情報等を参照して作成した、企業への従業者に対する包括的なアドバイスに係る情報等が含まれる。産業医からの面談記録等である場合(S13:YES)には、制御部10は、処理をS14に移す。他方、産業医からの面談記録等ではない場合(S13:NO)には、制御部10は、処理をS15に移す。
S14において、制御部10は、面談記録等を従業者に対応付けて従業者情報DB3に登録する。
【0045】
S15において、制御部10は、企業の担当者からの健診情報であるか否かを判断する。健診情報である場合(S15:YES)には、制御部10は、処理をS16に移す。他方、健診情報ではない場合(S15:NO)には、制御部10は、本処理を終了する。
S16において、制御部10(健診情報登録部13)は、健診情報を従業者に対応付けて従業者情報DB3に登録する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
なお、その他として企業の担当者の端末7から従業者の就労情報を受信した場合にも、制御部10は、就労情報を従業者を対応付けて従業者情報DB3に登録してもよい。
【0046】
次に、各端末から情報の閲覧要求があった場合に行う処理について説明する。
図7は、本実施形態に係る従業者情報共有サーバ1の情報閲覧処理を示すフローチャートである。
この情報閲覧処理は、端末5から端末7までのいずれかの端末からの閲覧要求を受信したことに応じて処理を開始する。
【0047】
図7のS21において、制御部10は、主治医が用いる端末5から閲覧要求があったか否かを判断する。閲覧要求には、従業者を特定する情報として、例えば、従業者コード及び企業コードが含まれる。主治医が用いる端末5から閲覧要求があった場合(S21:YES)には、制御部10は、処理をS22に移す。他方、主治医が用いる端末5から閲覧要求がなかった場合(S21:NO)には、制御部10は、処理をS23に移す。
S22において、制御部10(健診情報出力部18)は、当該従業者が閲覧要求をした主治医に関連付けられていることを従業者属性記憶部23を参照して確認した上で、従業者情報DB3に登録された該当する従業者の健診情報を、端末5に出力する。
【0048】
S23において、制御部10は、産業医が用いる端末6から閲覧要求があったか否かを判断する。閲覧要求には、従業者を特定する情報として、例えば、従業者コード及び企業コードが含まれる。産業医が用いる端末6から閲覧要求があった場合(S23:YES)には、制御部10は、処理をS24に移す。他方、産業医が用いる端末6から閲覧要求がなかった場合(S23:NO)には、制御部10は、処理をS25に移す。
S24において、制御部10(診療情報出力部16、健診情報出力部18)は、従業者情報DB3に登録された該当する従業者の診療情報や健診情報を、端末6に出力する。なお、制御部10は、閲覧要求のあった情報のみ(診療情報又は健診情報)を、端末6に出力するようにしてもよい。
【0049】
S25において、制御部10は、企業の担当者が用いる端末7から閲覧要求があったか否かを判断する。閲覧要求には、従業者を特定する情報として、例えば、従業者コードが含まれる。企業の担当者が用いる端末7から閲覧要求があった場合(S25:YES)には、制御部10は、処理をS26に移す。他方、企業の担当者が用いる端末7から閲覧要求がなかった場合(S25:NO)には、制御部10は、本処理を終了する。
【0050】
S26において、制御部10(許諾判断部15、診療情報出力部16)は、従業者情報DB3に登録された該当する従業者の面談情報等を、端末7に出力する。その際、制御部10(許諾判断部15)は、企業の担当者への閲覧が許諾されているか否かを、従業者属性記憶部23を参照して判断する。そして、企業の担当者への閲覧が許諾されている場合と、企業の担当者への閲覧が許諾されていない場合とでは、閲覧を可能とする情報を異なるようにする。より具体的には、制御部10は、企業の担当者への閲覧が許諾されている場合には、従業者の診療情報を閲覧可能にするが、企業の担当者への閲覧が許諾されていない場合には、従業者の診療情報を閲覧できないように制御する。
その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0051】
次に、従業者に対して定期的なフォローアップをするための機能に係る処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る従業者情報共有サーバ1の報知処理を示すフローチャートである。
この報知処理は、例えば、毎日1回や、週に1回等の定期的なタイミングで処理を開始する。
【0052】
図8のS41において、制御部10は、診療情報が最後に登録されてから所定期間が経過した従業者を、従業者情報DB3から抽出する。ここで、所定期間は、一律の期間であってもよいし、従業者ごとに異なる期間であってもよい。
S42において、制御部10は、抽出した従業者の産業医を、従業者属性記憶部23を参照して特定する。
S43において、制御部10(経過確認報知部17)は、特定した産業医が用いる端末6に対して、従業者の情報と共に経過確認に係る報知情報を出力する。報知情報は、診療情報が最後に登録されてから所定期間が経過した従業者を、例えば、メッセージとして出力してもよいし、一覧表にして出力してもよい。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0053】
このように、本実施形態の従業者情報共有システム100によれば、以下のような効果がある。
(1)従業者情報共有サーバ1は、医療に係る定期的な経過観察を要する従業者が許諾した、診療情報の収集に関する許諾情報を管理し、従業者に対応付けて、従業者が受診する医療機関の主治医を識別する主治医IDを従業者属性記憶部23に記憶し、許諾情報に基づき、医療機関に有する従業者の診療情報を受信し、従業者情報DB3に登録すし、従業者の属する企業の産業医による照会要求に応じて、従業者情報DB3に記憶された従業者の診療情報を、要求元の産業医が用いる端末6に参照可能に出力する。
このような仕組みにより、医療機関での従業者の診療情報を、従業者情報DB3に登録させて管理をすることができる。また、従業者の診療情報の収集に係る許諾情報を、従業者から得て管理をすることができる。さらに、産業医からの従業者の診療情報に係る照会要求があった場合に、収集した診療情報を、産業医に参照させることができる。
その結果、産業医と主治医という医師同士の連携をスムーズに図ることができる仕組みを構築できる。また、企業側においては、従業者にヒアリング等を行わなくても従業者の病状等を把握し、管理をすることができる。
【0054】
(2)許諾情報は、収集を許諾する前記診療情報の種類を指定する情報を含み、従業者情報共有サーバ1は、許諾情報に基づいて収集対象の診療情報を受信して従業者情報DB3に登録する。
よって、従業者が許諾する診療情報の範囲を、従業者が指定することができる。その結果、従業者が許諾した診療情報のみを産業医が参照させることができる。
(3)診療情報は、カルテ情報及び/又は主治医による所見情報を含む。
よって、従業者の病状を把握できる内容の情報を取得することができる。
【0055】
(4)許諾情報は、診療情報を参照可能なユーザを指定するユーザ指定情報を含み、従業者情報共有サーバ1は、従業者の属する企業の担当者による照会要求があった場合に、許諾情報に基づいて照会要求に対する処理の許否を判断し、判断が照会要求に対する処理を許可するものである場合に、従業者情報DB3に記憶された従業者の診療情報を、企業の担当者が用いる端末7に参照可能に出力する。
よって、従業者が指定した企業の担当者等、従業者が許諾したユーザは、当該従業者の診療情報を確認することができる。
【0056】
(5)従業者情報共有サーバ1は、従業者ごとに従業者情報DB3に診療情報が最後に登録されてから所定期間を経過した場合に、従業者の属する企業の産業医の端末6に経過確認に係る報知をする。
よって、産業医は、従業者の受診状況について定期的に確認することができ、未受診の従業者に対して受診を促すことができる。
【0057】
(6)従業者情報DB3には、従業者の健診情報が登録されており、従業者情報共有サーバ1は、主治医による従業者に係る健診情報の照会要求に応じて従業者属性記憶部23の主治医IDを確認し、確認ができた場合に従業者の健診情報を、主治医が用いる端末5に参照可能に出力する。
よって、主治医が従業者の健診情報を確認できる仕組みを構築でき、主治医は診療の際に当該健診情報を参考にすることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0059】
(変形形態)
(1)本実施形態では、産業医を嘱託産業医を例に説明したが、これに限定されない。企業に勤務する専属産業医であってもよい。
【0060】
(2)本実施形態では、産業医が作成する面談記録や包括的なアドバイスの内容を、企業の担当者に参照可能に出力するものを例に説明したが、これに限定されない。産業医が、従業者に対してアドバイスの内容を提供等してもよい。
(3)本実施形態では、記憶部20に各種の情報を記憶するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、従業者情報共有サーバに対して接続された外部装置に、各種の情報を有してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 従業者情報共有サーバ
3 従業者情報DB
5,6,7 端末
10 制御部
11 データ登録処理部
12 許諾情報登録部
13 健診情報登録部
14 診療情報登録部
15 許諾判断部
16 診療情報出力部
17 経過確認報知部
18 健診情報出力部
19 通話処理部
20 記憶部
21 プログラム記憶部
22 企業情報記憶部
23 従業者属性記憶部
24 産業医情報記憶部
25 主治医情報記憶部
29 データ通信IF
100 従業者情報共有システム
1000 従業者情報共有サービス
N データ通信網