(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028640
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20250221BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133574
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】恐田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
(72)【発明者】
【氏名】筒井 淳司
(72)【発明者】
【氏名】冨田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】北村 真吾
【テーマコード(参考)】
2E011
2E239
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KA06
2E011KB03
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KD14
2E011KE07
2E011KF01
2E011KH01
2E239CA02
2E239CA22
2E239CA32
2E239CA55
2E239CA62
(57)【要約】
【課題】防火性能の向上した改装建具を提供すること。
【解決手段】改装建具1は、建物躯体100の開口部11に設けられる既設枠2と、既設枠2に固定される新設枠3と、新設枠3を既設枠2に固定するアタッチメント4と、を備える。アタッチメント4は、既設枠2に固定されるアタッチメント本体40と、アタッチメント本体40に固定されて既設枠2の室外側に配置されるカバー部材50と、を備え、アタッチメント本体40と、カバー部材50とにより囲まれる領域8が形成され、領域8に、加熱発泡材6が配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に設けられる既設枠と、前記既設枠に固定される新設枠と、前記新設枠を前記既設枠に固定するアタッチメントと、を備える改装建具であって、
前記アタッチメントは、前記既設枠に固定されるアタッチメント本体と、前記アタッチメント本体に固定されて前記既設枠の室外側に配置されるカバー部材と、を備え、
前記アタッチメント本体と、前記カバー部材とにより囲まれる領域が形成され、
前記領域に、加熱発泡材が配置される、改装建具。
【請求項2】
前記アタッチメントは、前記開口部の上部に配置される既設上枠及び新設上枠の間に配置される上枠アタッチメント本体及び上枠カバー部材を有し、
前記領域は、前記上枠アタッチメント本体の室外側の上面から上方に起立するアタッチメント本体側起立片と、前記上枠カバー部材の上面から上方に起立するとともに前記アタッチメント本体側起立片に対向して配置されるカバー部材側起立片と、の間に形成される第1領域を含み、
前記加熱発泡材は、前記第1領域に配置される、請求項1に記載の改装建具。
【請求項3】
前記アタッチメントは、前記開口部の上部に配置される既設上枠及び新設上枠の間に配置される上枠アタッチメント本体及び上枠カバー部材を有し、
前記領域は、前記上枠アタッチメント本体の室外側の下面と、前記上枠カバー部材の室内側の上面との間に形成される第2領域を含み、
前記加熱発泡材は、前記第2領域に配置される、請求項1又は2に記載の改装建具。
【請求項4】
前記上枠アタッチメント本体と前記上枠カバー部材とを固定するネジをさらに有し、
前記ネジの軸部は、前記第2領域の前記加熱発泡材を挿通する、請求項3に記載の改装建具。
【請求項5】
前記アタッチメントは、前記開口部の側部に配置される一対の既設縦枠及び一対の新設縦枠の間に配置される縦枠アタッチメント本体及び縦枠カバー部材を有し、
前記縦枠アタッチメント本体は、前記既設縦枠の見込面に沿って配置され、
前記既設縦枠の室外側面及び前記縦枠アタッチメント本体の室外側の端部のいずれか又は両方の室外側を、前記縦枠カバー部材が覆うように配置されて形成される第3領域を含み、
前記加熱発泡材は、前記第3領域に配置される、請求項1又は2に記載の改装建具。
【請求項6】
前記縦枠アタッチメント本体と前記縦枠カバー部材とを固定するネジをさらに有し、
前記ネジの軸部は、前記第3領域の前記加熱発泡材を挿通する、請求項5に記載の改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物躯体の開口部をリフォーム等で改装する方法として開口部に新たな建具を設置するカバー工法が採用されている。カバー工法において、建物躯体の開口部に設けられる既設枠と、既設枠の内周側に配置される新設枠と、既設枠と新設枠との間に配置されるアタッチメントと、を備える改装建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アタッチメントを一部材でなく二部材で構成すると、取り付けが容易になり施工性が向上する一方、二部材の結合部から、火災時に発生する熱が内側へ入り込みやすくなるという懸念がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、建物躯体の開口部に設けられる既設枠と、前記既設枠に固定される新設枠と、前記新設枠を前記既設枠に固定するアタッチメントと、を備える改装建具であって、前記アタッチメントは、前記既設枠に固定されるアタッチメント本体と、前記アタッチメント本体に固定されて前記既設枠の室外側に配置されるカバー部材と、を備え、前記アタッチメント本体と、前記カバー部材とにより囲まれる領域が形成され、前記領域に、加熱発泡材が配置される、改装建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】本実施形態の改装建具の上方の部分縦断面図である。
【
図5A】他の実施形態に係る上枠アタッチメント本体及び上枠カバー部材を示す図である。
【
図5B】他の実施形態に係る縦枠アタッチメント本体及び縦枠カバー部材を示す図である。
【
図5C】他の実施形態の変形例に係る縦枠アタッチメント本体及び縦枠カバー部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の改装建具1は、例えば、マンション等のビル等の建物躯体100の開口部11に設けられる。
図1は、改装建具1を室内側から見た様子を示している。改装建具1は、すでに設置されている既設枠2に、新設枠3を取り付ける改修を行って形成される。
【0008】
本明細書において、「見付方向」とは、建物躯体100の壁に形成された開口部11に納められた改装建具1における障子71、72の面材の面が延びる方向を意味する。「見付方向の外側」は、開口部11における外周側を意味し、「見付方向の内側」は、開口部11における内周側を意味する。「見付面」は、改装建具1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味する。改装建具1の見付方向における横方向は左右方向である。
【0009】
本明細書において、「見込方向」とは、上記面材の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見込面」は、改装建具1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、改装建具1の見込方向の室外側を室外側X1とし、改装建具1の見込方向の室内側を室内側X2とする。
【0010】
改装建具1は、
図1に示すように、建物躯体100の開口部11に設置された既設枠2の内周側に、アタッチメント4(
図2~
図4参照)を介して、新設枠3を取り付けることで構成される。改装建具1は、既設枠2と、新設枠3と、アタッチメント4と、加熱発泡材6と、を有する。新設枠3の内側には、障子71、72が開閉可能に納められる。
【0011】
既設枠2は、窓枠10と一体又は別体で構成され、開口部11に設けられる枠体である。既設枠2は、矩形の枠状に形成される。既設枠2は、アルミニウム製、アルミ樹脂複合製又は樹脂製の形材により構成される。既設枠2は、既設上枠21と、既設下枠22と、左右一対の既設縦枠23と、を有する。
【0012】
既設上枠21は、開口部11の上方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。既設下枠22は、開口部11の下方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の既設縦枠23は、開口部11の見付方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0013】
新設枠3は、アタッチメント4(
図2~
図4参照)を介して、既設枠2の内周側に固定される。新設枠3は、矩形の枠状に形成される。新設枠3は、アルミニウム製の形材により構成される。新設枠3は、新設上枠31と、新設下枠32と、左右一対の新設縦枠33と、を有する。
【0014】
新設上枠31は、開口部11の上方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。新設下枠32は、開口部11の下方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の新設縦枠33は、開口部11の見付方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0015】
図2~
図4に示すように、アタッチメント4は、既設枠2と新設枠3の間に配置され、新設枠3を既設枠2に固定するための部材である。アタッチメント4は、アタッチメント本体40と、カバー部材50と、の二部材を有する。アタッチメント本体40は、既設枠2の室内側X2に固定される。カバー部材50は、アタッチメント本体40に固定されて、既設枠2の室外側X1に配置される。カバー部材50は、上枠カバー部材51と、下枠カバー部材52と、左右一対の縦枠カバー部材53と、を有する。アタッチメント本体40と、カバー部材50とは、互いに重ねるように対向して配置され、アタッチメント本体40と、カバー部材50とにより囲まれる領域8を形成している(
図3、
図4参照)。
【0016】
アタッチメント本体40は、上枠アタッチメント本体41(
図2、
図4参照)と、下枠アタッチメント本体42と、左右一対の縦枠アタッチメント本体43(
図3参照)と、を有する。上枠アタッチメント本体41、下枠アタッチメント本体42、及び左右一対の縦枠アタッチメント本体43は、それぞれ、例えば、アルミニウム製の形材により構成される。
【0017】
上枠アタッチメント本体41、下枠アタッチメント本体42、及び左右一対の縦枠アタッチメント本体43は、それぞれ、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に沿って配置される。上枠アタッチメント本体41、下枠アタッチメント本体42及び左右一対の縦枠アタッチメント本体43は、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向において、間隔を空けて複数配置されてもよいし、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に延びる一つの部材により構成されていてもよい。
【0018】
領域8は、上枠アタッチメント本体41と上枠カバー部材51との間に形成される第1領域81及び第2領域82と、縦枠アタッチメント本体43と縦枠カバー部材53との間に形成される第3領域83と、を含む。
【0019】
加熱発泡材6は、火災等の熱を受けた場合に発泡して膨張し、部材同士の隙間を閉塞する部材であり、シート状に形成される。加熱発泡材6は、上枠アタッチメント本体41、下枠アタッチメント本体42、及び一対の縦枠アタッチメント本体43にそれぞれ取り付けられる。加熱発泡材6は、上枠側加熱発泡材61と、下枠側加熱発泡材62と、縦枠側加熱発泡材63と、を有する。加熱発泡材6は、アタッチメント本体40とカバー部材50との間の領域8に配置される。
【0020】
図4により、既設上枠21、新設上枠31、上枠アタッチメント本体41及び上枠側加熱発泡材61の固定構造について説明する。
【0021】
既設上枠21は、
図1に示すように、建物躯体100の開口部11の上部に配置され、見込方向に所定幅を有する。既設上枠21は、
図4に示すように、見込方向に延びる室内外方向延在板211と、室内外方向延在板211の室外側X1の端部から下方に突出する外側面部212と、室内外方向延在板211の室内側X2の端部から下方に突出する内側面部213と、室内外方向延在板211の室内外方向の途中から下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール214、215と、室内外方向延在板211の室外側X1の端部から上方に突出する室外側L字片216と、室内外方向延在板211の室内側X2の端部から上方に突出する室内側L字片217と、室内側X2の端部に設けられるL字接続部材218と、を有する。ガイドレール214が室外側X1に設けられ、ガイドレール215が室内側X2に設けられる。
【0022】
既設上枠21は、開口部11の上部に配置され、室内側X2の端部が、L字状のL字接続部材218を介して、建物躯体100の内額縁101に固定されている。また、既設上枠21は、室外側L字片216及び室内側L字片217により、建物躯体100に固定されている。なお、本実施形態では、既設上枠21の室内側X2の端部に別体のL字接続部材218を接続したが、これに限定されない。L字接続部材218を設けずに、既設上枠21と一体で既設上枠21から突出するリブを設けてもよい。
【0023】
上枠アタッチメント本体41は、既設上枠21と新設上枠31とを接続する。上枠アタッチメント本体41は、
図4に示すように、開口部11の上方で既設上枠21及び新設上枠31の間に配置され、見付方向に延びる長尺の部材である。上枠アタッチメント本体41は、既設上枠21の内周側に接続される。上枠アタッチメント本体41は、既設上枠21の下方に配置され、既設上枠21に固定される。
【0024】
上枠アタッチメント本体41は、見込方向に延びる。上枠アタッチメント本体41は、室内外方向延在板411と、室内側端部延出部412と、アタッチメント本体側起立片413と、突起414と、を有する。
【0025】
室内外方向延在板411は、室内外方向に延び、ネジにより既設上枠21の室内外方向延在板211及び建物躯体100に固定される。室内外方向延在板411の上面には、室外側X1において既設上枠21の外側面部212の下端212aが当接し、室内側X2において既設上枠21の内側面部213の下端213aが当接する。
【0026】
既設上枠21のガイドレール214、215の下端214a、215aは、室内外方向延在板411の上面に当接する。既設上枠21のガイドレール214、215の下端214a、215aは、室内外方向延在板411の上面に当接せずに、室内外方向延在板411の上面から上方に離れて配置されていてもよい。
【0027】
室内側端部延出部412は、室内外方向延在板411の室内側X2の端部から、室内側X2へ延びる。
【0028】
アタッチメント本体側起立片413は、室内外方向延在板411の室外側X1の端部寄りに形成され、室内外方向延在板411の上面から上方に起立する。アタッチメント本体側起立片413は、既設上枠21の外側面部212の室内側X2の面に沿い、外側面部212の下端部2121に当接する。
【0029】
突起414は、室内外方向延在板411の室外側X1の端部から下方に突出して形成され、既設上枠21の外側面部212の下方に配置される。
【0030】
上枠カバー部材51は、室内外方向延在板411の室外側X1に固定される。上枠カバー部材51は、見込面部としての上枠側見込面部511と、カバー部材側起立片512と、室外側見付面部513と、ホロー部514と、を有する。
【0031】
上枠側見込面部511は、上枠カバー部材51の見込方向に延びる。上枠側見込面部511の室外側X1の端部は、後述する室外側見付面部513の上端に接続される。上枠側見込面部511は、室外側見付面部513の上端から室内側X2へ延びる。上枠側見込面部511は、その室内側X2の縁が、上枠アタッチメント本体41における室内外方向延在板411の室外側X1の下面に重ねて配置され、ネジ91により固定される。上枠側見込面部511は、最も室内側X2の端部に形成され、上方に屈曲する屈曲端部511aを有する。
【0032】
カバー部材側起立片512は、上枠側見込面部511の上面から上方に起立する。カバー部材側起立片512は、アタッチメント本体側起立片413に対向して配置され、既設上枠21の外側面部212の下端部2121の室外側X1に配置される。カバー部材側起立片512は、上下方向の中央部で見込方向に屈曲しており、上方が室内側X2で、下方が室外側X1で、それぞれ互いに略平行に上下方向に延びて形成されている。カバー部材側起立片512は、屈曲端部512aと、起立片上部512bと、起立片下部512cと、起立片凹部512dと、突起部512eと、を有する。
【0033】
屈曲端部512aは、カバー部材側起立片512の上端から、既設上枠21の外側面部212に向かって屈曲する。屈曲端部512aは、既設上枠21の室外側X1から既設上枠21に当接するように配置される。カバー部材側起立片512と、屈曲端部512aと、外側面部212の下端部2121とで形成された空間には、止水材512fが配置されている。カバー部材側起立片512と、アタッチメント本体側起立片413とにより、外側面部212の下端212aが挟まれて配置される。
【0034】
起立片上部512bは、屈曲端部512aの下面から下垂する平坦な面である。起立片下部512cは、起立片上部512bの下端側から室外側X1へ屈曲し、上枠側見込面部511の上面に接続される平坦な面である。突起部512eは、上枠側見込面部511の上面において、起立片上部512bの下端と対向する位置で、上方に向かって突出する突起である。
図4に示すように、起立片上部512bの下端は、起立片下部512cが室外側X1へ向かって屈曲する部分よりも下方に突出しており、起立片上部512bの下端と、突起部512eは、同一直線状に並ぶとともに、互いの間に開口が形成して配置されている。起立片凹部512dは、起立片上部512bの下端と、起立片下部512cと、突起部512eで囲まれて形成されるくぼみである。
【0035】
室外側見付面部513は、上枠カバー部材51の室外側X1の端部に配置される。室外側見付面部513は、既設上枠21よりも室外側X1に突出して配置され、上枠側見込面部511の室外側X1の端部から下垂し、上下方向に延びる。上枠カバー部材51の上枠側見込面部511と室外側見付面部513とは、断面視で室内側X2及び下方側に向けて開放するL字状に形成される。室外側見付面部513は、新設上枠31の室外側X1に配置される。室外側見付面部513は、新設上枠31の室外側X1の端部の少なくとも一部を覆うように配置される。
【0036】
ホロー部514は、上枠側見込面部511の上方に配置され、上枠側見込面部511と、室外側見付面部513から上方へ延出する室外側の面と、カバー部材側起立片512と、室外側見付面部513から延出する室外側の面の上端及びカバー部材側起立片512の上端を接続する上面514aにより形成される。ホロー部514は、内部が中空に形成される。ホロー部514の上面514aには、凹部514bが形成される。凹部514bには、上方に向かって突出するヒレ部514cが挿入される。ヒレ部514cは、ゴム等の軟質樹脂で形成され、既設上枠21の外側面部212の室外側面を覆っている。
【0037】
第1領域81は、アタッチメント本体側起立片413と、カバー部材側起立片512との間に形成される。より詳細には、
図4に示すように、第1領域81は、アタッチメント本体側起立片413が当接している既設上枠21の外側面部212と、上枠アタッチメント本体41の突起414と、カバー部材側起立片512の屈曲端部512aと、起立片上部512b及び起立片凹部512dとで囲まれた空間である。
【0038】
第2領域82は、上枠アタッチメント本体41の室内外方向延在板411の下面と、上枠カバー部材51の上枠側見込面部511の上面と、の間に形成される。より詳細には、第2領域82は、室内外方向延在板411の下面と、上枠側見込面部511の上面と、突起414と、屈曲端部511aと、で囲まれた空間である。
【0039】
新設上枠31は、開口部11の上部に配置され、見込方向に所定幅を有する。上枠アタッチメント本体41の内周側(上枠アタッチメント本体41の下方)に、スペーサ部材316を介して、取り付けられる。新設上枠31は、上枠アタッチメント本体41の室内外方向延在板411の下面との間に、板状のスペーサ部材316を挟んだ状態で、スペーサ部材316の下面に配置される。
【0040】
スペーサ部材316は、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材316を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、上枠アタッチメント本体41と新設上枠31との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。また、上枠アタッチメント本体41と新設上枠31との間の隙間の大きさによっては、スペーサ部材316を設けなくてもよい。
【0041】
新設上枠31は、室外側枠部材311と室内側枠部材312とに見込方向に二分割されている。室外側枠部材311及び室内側枠部材312は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材311と室内側枠部材312とは、連結部材313によって一体的に連結されている。連結部材313は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設上枠31における室外側枠部材311から室内側枠部材312への熱の伝達を遮断する。
【0042】
新設上枠31は、新設枠3の内側に納められる2枚の障子71、72用の一対のガイドレール314a、314bと、新設枠3の最も室外側X1に納められる網戸73用のガイドレール314cと、を有する。ガイドレール314b、314cは、室外側枠部材311に配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール314aは、室内側枠部材312において連結部材313に隣接して配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール314a、314b、314cは、新設上枠31の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0043】
図4に示すように、室外側枠部材311は、ガイドレール314bが配置される部位から連結部材313に亘って延びる断面略矩形状の中空部3111を有する。室内側枠部材312は、連結部材313から室内側X2に向けて延びる断面略矩形状の中空部3121を有する。中空部3111に対応する室外側枠部材311の上面311a及び中空部3121に対応する室内側枠部材312の上面312aは、いずれも平坦面であり、新設上枠31の見込み方向に面一状に並んで配置されている。連結部材313は、これらの上面311a、312aよりも上方に突出していない。
【0044】
室外側枠部材311は、室外側枠部材311の上面311aよりも低い位置で室外側X1に向けて延びる室外側延出部3112を一体に有する。新設上枠31が既設上枠21の内周側に取り付けられた状態において、室外側延出部3112は、新設上枠31で最も低い部位である。室外側延出部3112は、新設上枠31の室外側X1の端部に配置される。具体的には、室外側延出部3112は、ガイドレール314bとガイドレール314cとの間に配置される。室外側延出部3112は、新設上枠31の上面に浸入した雨水を室内側X2に流入させることなく、見付方向に流す排水溝でもある。
【0045】
室外側延出部3112の最も室外側X1の部位には、上下方向に延びる外側面部315が一体に設けられる。外側面部315は、上枠カバー部材51の室外側見付面部513の下端側の室内側X2に、見込方向に重なって配置されている。室外側見付面部513の下端の屈曲端部513aが、外側面部315に当接し、外側面部315と室外側見付面部513との間に止水材513bが設けられている。
【0046】
新設上枠31の一対のガイドレール314a、314bの間には、樹脂製もしくは木質由来材料製のレール間カバー3113が取り付けられる。レール間カバー3113は、新設上枠31におけるガイドレール314a、314bの間を実質的に遮蔽するように、室外側枠部材311の下面311bと連結部材313の下面側とに亘って配置される。
図4に示すように、レール間カバー3113は、上板部3113aと、上板部3113aの下方に略平行に配置される下板部3113bと、上板部3113a及び下板部3113bを繋ぐ複数の連結板部3113cとによって構成される二重構造を有する。レール間カバー3113は、既設上枠21側から新設上枠31に伝わる外気温度が、新設上枠31の内周側に伝達されることを抑制する。
【0047】
図4に示すように、新設上枠31の室内側枠部材312の室内側X2の端部には、樹脂製もしくは木質由来材料製のアングル部材319が取り付けられている。アングル部材319は、室内側枠部材312の下面に沿って配置されるとともに、上枠側の固定構造の室内側を覆う化粧部材320に接続されている。
【0048】
上枠側加熱発泡材61は、第1領域81に配置される第1上枠側加熱発泡材611と、第2領域82に配置される第2上枠側加熱発泡材612と、を有する。
【0049】
第1上枠側加熱発泡材611は、第1領域81に配置される。第1上枠側加熱発泡材611は、上枠カバー部材51におけるカバー部材側起立片512の起立片凹部512d内に嵌め込まれている。この位置で第1上枠側加熱発泡材611が室外側から熱を受けて発泡すると、上枠カバー部材51の上枠側見込面部511と、上枠アタッチメント本体41の室内外方向延在板411の突起414とが重なる位置の室外側X1が塞がれる。
【0050】
第2上枠側加熱発泡材612は、第2領域82に配置される。第2上枠側加熱発泡材612は、上枠カバー部材51の上枠側見込面部511の室内側X2の上面と、上枠アタッチメント本体41の室内外方向延在板411の間に挟まれるように配置される。この位置で第2上枠側加熱発泡材612が室外側から熱を受けて発泡すると、上枠カバー部材51の上枠側見込面部511と、上枠アタッチメント本体41の室内外方向延在板411の突起414とが重なる位置の室内側X2が塞がれる。
【0051】
次に、
図2により、既設下枠22、新設下枠32及び下枠アタッチメント本体42、下枠カバー部材52の固定構造について説明する。
【0052】
既設下枠22は、
図2に示すように、建物躯体100の開口部の下部に配置され、見込方向では下方室外側X1から室内側X2に亘って階段状に形成される。既設下枠22は、階段状の底面221からそれぞれ上方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール221a、221bと、既設網戸用のガイドレール221cと、最も室内側X2の室内側面221dと、を有する。既設下枠22の高さは、最も室内側X2のガイドレール221aから最も室外側X1のガイドレール221cにかけて、次第に低くなるように形成されている。既設下枠22の室外側X1には、室内側X2から室外側X1へ傾斜する外額縁102が固定されている。
【0053】
下枠アタッチメント本体42は、既設下枠22の上部を覆うように取り付けられる。下枠アタッチメント本体42は、室内外方向延在板421と、室外側傾斜部422と、室外側下垂面部423と、を有する。室内外方向延在板421は、室内側X2の端部からガイドレール221bの上部付近まで概ね平坦に延びる。室内外方向延在板421は室内側の端部近傍で既設下枠22の室内側X2の端部に接続される。室外側傾斜部422は、室内外方向延在板421の室外側X1の端部から下方へ傾斜する。室外側下垂面部423は、室外側傾斜部422の室外側X1の端部からガイドレール221cの室外側面に沿って下垂し、ガイドレール221cに固定される。
【0054】
下枠カバー部材52は、下枠アタッチメント本体42の室外側下垂面部423に固定され、室外側下垂面部423から室外側X1に間を空けた位置で上下方向に延び、室外側下垂面部423を覆う。
【0055】
新設下枠32は、室外側枠部材321と室内側枠部材322とに見込方向に二分割されている。室外側枠部材311及び室内側枠部材312は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材321と室内側枠部材322とは、連結部材323によって一体的に連結されている。連結部材323は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設下枠32における室外側枠部材321から室内側枠部材322への熱の伝達を遮断する。
【0056】
新設下枠32は、新設枠3の内側に納められる2枚の障子71、72用の一対のガイドレール324a、324bと、新設枠3の最も室外側X1に納められる網戸73用のガイドレール324cと、を有する。ガイドレール324b、324cは、室外側枠部材321に配置され、上方に向けて突出している。ガイドレール324aは、室内側枠部材322において連結部材323に隣接して配置され、上方に向けて突出している。ガイドレール324a、324b、324cは、新設下枠32の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0057】
図2に示すように、室内側枠部材322は、下枠アタッチメント本体42の室内外方向延在板421の上に載置される。室内側枠部材322は、内部が中空の方形筒状に形成され、平坦な上面を有する。室内側枠部材322の上面の室外側X1の端部が連結部材323に連結され、連結部材323と上面との境界から上方にガイドレール324aが突出している。また、上面の室内側X2の端部は、ガイドレール324aに対向して上方に突出する係合部325が形成されており、係合部325には、モール材326が接続されている。
【0058】
室外側枠部材321は、室内側X2の端部が連結部材323に連結されるとともに、下枠アタッチメント本体42の室内外方向延在板421と、室外側傾斜部422との境界付近に固定される。室外側枠部材321は、ガイドレール324b、324cが配置される上面が概ね平坦に形成されている。室外側枠部材321の上面は、室内側枠部材322の上面よりも低い位置に延びている。室外側枠部材321の室内側X2の下面は、室外側傾斜部422の傾斜に沿いながら段差を有して下方へ傾斜する。室外側枠部材321の室外側の面は、下垂して外部に露出する。室外側枠部材321は、内部が中空に形成されている。
【0059】
新設下枠32の上面には、樹脂製もしくは木質由来材料製の上面カバー327が取り付けられる。上面カバー327は、室外側上面カバー3271と、室内側上面カバー3272と、を有する。室外側上面カバー3271は、新設下枠32におけるガイドレール324a、324bの間を実質的に遮蔽するように、室外側枠部材321の上面と連結部材323の上面側とに亘って配置される。室内側上面カバー3272は、ガイドレール324bから係合部325の間に亘って配置される。上面カバー327は、平坦なカバー面327aと、カバー面327aの下面から下方に突出する小さな脚部327bとを有して形成される。上面カバー327は、既設下枠22側から新設下枠32に伝わる外気温度が、新設下枠32の内周側に伝達されることを抑制する。
【0060】
下枠側加熱発泡材62は、下枠カバー部材52の室内側X2の面に固定される。
図2に示すように、下枠カバー部材52の室内側X2の面には、下枠側加熱発泡材62を係止するための係止爪62aが上下に一対形成されている。一対の係止爪62aは、下枠カバー部材52の室内側X2の面から室内側X2へ下枠側加熱発泡材62の厚さの分突出し、室内側X2の端部が下枠側加熱発泡材62を支持可能に、互いが向かい合う方向へ屈曲する。下枠側加熱発泡材62は、係止爪62aに係止される。この位置で、下枠側加熱発泡材62が室外側X1から熱を受けて発泡すると、下枠カバー部材52が室外側X1から火災等で熱を受けた場合に、下枠側加熱発泡材62は、下枠アタッチメント本体42と下枠カバー部材52の間を埋めるように発泡する。
【0061】
次に、
図3により、一対の既設縦枠23、新設縦枠33、縦枠アタッチメント本体43、縦枠カバー部材53、及び縦枠側加熱発泡材63の固定構造について説明する。一対の既設縦枠23、新設縦枠33及び縦枠アタッチメント本体43については、見付方向左右の構成は概ね同様であることから、
図3に示す左側の構成の説明のみ行い、右側の構成の説明を省略する。
【0062】
一対の既設縦枠23は、
図3に示すように、建物躯体100の開口部11の上下方向に延びる側部に沿って配置される。既設縦枠23は、見込方向に延びる室内外方向延在板231と、室内外方向延在板231の室外側X1の端部から見付方向に延びる室外側面としての外側面部232と、室内外方向延在板231の室内側X2の端部から見付方向に延びる内側面部233と、室内外方向延在板231の室内外方向の途中から内周側に向けて立設される既設障子用のガイドレール234と、室内外方向延在板231の室外側X1の端部から見付方向外側に突出する室外側L字片236と、室内外方向延在板231の室内側X2の見付方向外側に突出する室内側L字片237と、を有する。
【0063】
縦枠アタッチメント本体43は、既設縦枠23と新設縦枠33とを接続する。縦枠アタッチメント本体43は、
図3に示すように、開口部11の側部において、既設縦枠23及び新設縦枠33の間に配置され、見込方向に所定幅を有するとともに、上下方向に延びる長尺の部材である。縦枠アタッチメント本体43は、既設縦枠23の見付方向内側に、既設縦枠23の見込面に沿って配置され、既設縦枠23に固定される。
【0064】
縦枠アタッチメント本体43は、見込方向に延びる。縦枠アタッチメント本体43は、室内外方向延在板431と、縦枠カバー部材固定部432と、接続片433と、を有する。室内外方向延在板431は、既設縦枠23の室内外方向延在板231と略平行な位置に延びる板状の部分である。縦枠カバー部材固定部432は、室内外方向延在板231の室外側の端部がわずかに見付方向外側にずれた位置で見込方向に延びる。縦枠カバー部材固定部432は、室内外方向延在板231から見付方向外側にくぼむように形成された段差に形成される。接続片433は、室内外方向延在板431の室内側X2で、見付方向外側の面から外側へ突出する平坦な部分である。接続片433は、既設縦枠23の内側面部233と重ねられてネジで固定される。
【0065】
縦枠カバー部材53は、縦枠アタッチメント本体43における見付方向内側の面に固定され、既設縦枠23の室外側X1に配置される。縦枠カバー部材53は、見込面部としての縦枠見込面部531と、接続片532と、室外側見付面部533と、を有する。
【0066】
縦枠見込面部531は見込方向に延びる薄板状の部分であり、縦枠アタッチメント本体43の縦枠カバー部材固定部432に重ねてネジで固定される。縦枠見込面部531は、後述する室外側見付面部533の室内側X2の面から見込方向の室内側X2へ延びている。縦枠見込面部531は、室内側X2の端部が縦枠カバー部材固定部432に向かって屈曲する屈曲端部531aを有する。屈曲端部531aが縦枠カバー部材固定部432に当接することで、縦枠見込面部531と縦枠カバー部材固定部432との間の隙間が塞がれている。
【0067】
接続片532は、縦枠見込面部531の見込方向の中央部近傍から見付方向外側に向かって突出する平坦な部分である。接続片532は、既設縦枠23の室外側X1から、外側面部232に当接するように配置される。より具体的には、接続片532は、自由端側が外側面部232に向かって屈曲する屈曲端部532aを有し、接続片532と、接続片532の屈曲端部532aと、外側面部232で囲まれた空間に止水材532bが配置される。接続片532の見付方向外側の端部には、見込方向外側に突出する係止爪532cが形成される、係止爪532cは、室外側X1へ突出した後室内側X2へ屈曲して内部に凹部を形成している。この係止爪532cの内部に、見付方向外側に向かって突出するヒレ部523dが挿入される。ヒレ部523dは、ゴム等の軟質樹脂で形成され、既設縦枠23と開口部11の側部を覆っている。
【0068】
室外側見付面部533は、縦枠見込面部531の最も室外側X1に配置され、縦枠見込面部531と略直交する方向に延びる。室外側見付面部533は、見付幅の狭い面を有し、縦枠見込面部531から見付方向の一方及び他方に延出している。
【0069】
第3領域83は、縦枠アタッチメント本体43の縦枠カバー部材固定部432における見付方向内側の面と、縦枠カバー部材53の縦枠見込面部531の室内側X2における見付方向外側の面と、縦枠見込面部531の屈曲端部531aと、接続片532と、接続片532の屈曲端部532aと、既設縦枠23の室外側面としての外側面部232と、に囲まれた空間である。第3領域83は、外側面部232と、縦枠見込面部531の室外側X1の端部とで形成される角部831の室外側を、縦枠カバー部材53の縦枠見込面部531及び接続片532が覆うように配置されて形成される。
【0070】
一対の新設縦枠33は、
図3に示すように、建物躯体100の開口部11の上下方向に延びる側部に沿って配置される、一対の新設縦枠33は、縦枠アタッチメント本体43の見付方向内側に、スペーサ部材336を介して、取り付けられる。新設縦枠33は、室内外方向延在板331と、外側面部332と、ガイドレール334a~334cと、を有する。室内外方向延在板331は、縦枠アタッチメント本体43及び縦枠カバー部材53に沿って見込方向に延びる。室内外方向延在板331は、縦枠アタッチメント本体43の室内外方向延在板431との間に、板状のスペーサ部材336を挟んだ状態で、スペーサ部材336の内側面に配置される。
【0071】
スペーサ部材336は、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材336を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、縦枠アタッチメント本体43と新設縦枠33との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。また、縦枠アタッチメント本体43と新設縦枠33との間の隙間の大きさによっては、スペーサ部材336を設けなくてもよい。
【0072】
外側面部332は、室内外方向延在板331の最も室外側X1に配置され、室内外方向延在板331と略直交する方向に延びる。外側面部332は、見付幅の狭い面を有し、室内外方向延在板331から見付方向の一方及び他方に延出している。新設縦枠33の外側面部332の室外側X1に、縦枠カバー部材53の室外側見付面部533が配置され、いずれも上下方向に延びている。
【0073】
一対のガイドレール334a、334bは、新設枠3の内側に納められる2枚の障子71、72を案内する。ガイドレール334cは、新設枠3の最も室外側X1に納められる網戸73(
図3中不図示)を案内する。ガイドレール334a~334cは、室内外方向延在板331の内側面から見付方向内側に向かって突出する。ガイドレール334a、334b、334cは、新設縦枠33の長さ方向の全長に亘って延びている。
図3に示すように、ガイドレール334aは、見付方向の一方側(
図3の右側)の障子71に係止するように、一対の新設縦枠33のうちの一方の室内外方向延在板331における室内側X2に配置される。ガイドレール334bは、見付方向の他方側(
図3の左側)の障子72に係止するように、一対の新設縦枠33のうちの他方の室内外方向延在板331における室外側に配置される。ガイドレール334cは、一対の新設縦枠33のそれぞれの室内外方向延在板331における室外側の端部に形成される。ガイドレール334cは、外側面部332と一体に連続して形成されている。
【0074】
縦枠側加熱発泡材63は、第3領域83に配置される。縦枠側加熱発泡材63は、第1縦枠側加熱発泡材631と、第2縦枠側加熱発泡材632と、の二部材に分かれており、それぞれ薄い板状に形成される。
【0075】
第1縦枠側加熱発泡材631は、縦枠カバー部材53の縦枠見込面部531における外側面に取り付けられ、縦枠アタッチメント本体43の縦枠カバー部材固定部432の室外側X1の端部に対向して配置される。
【0076】
第2縦枠側加熱発泡材632は、縦枠カバー部材53の接続片532の室内側面に取り付けられる。第2縦枠側加熱発泡材632は、縦枠見込面部531と接続片532とが交差する角部831に第1縦枠側加熱発泡材631と略直交する方向に取り付けられる。第2縦枠側加熱発泡材632は、縦枠カバー部材固定部432の室外側X1の端部と、既設縦枠23の外側面部232の見付方向内側の端部とに面している。
この状態で、新設縦枠33に火災等の熱が加えられた場合、縦枠側加熱発泡材63は、縦枠カバー部材53と既設縦枠23及び縦枠アタッチメント本体43との間の空間を塞ぐように発泡する。
図3に示すように、縦枠カバー部材53における縦枠見込面部531と接続片532とで形成される角部831は、既設縦枠23の外側面部232と縦枠カバー部材固定部432との端部が突き合う部分を覆っている。
【0077】
次に、障子71、72について説明する。
【0078】
図2に示すように、障子71、72は、それぞれ上框711、721と、下框712、722と、左右一対の縦框713、723と、を矩形に四方組みした框体の内側に、1枚以上のガラス等からなる面材714、724を納めることによって構成される。
【0079】
図2に示すように、上框711、721は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる上框本体7111、7211と、上框本体7111、7211の室内側X2の側面をカバーする樹脂製又は木質由来材料製のカバー部材7112、7212と、によって構成される。上框本体7111、7211は、新設上枠31のガイドレール314a、314bを見込方向に挟むように設けられる。
【0080】
図2に示すように、下框712、722は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる下框本体7121、7221と、下框本体7121、7221の室内側X2の側面をカバーする樹脂製又は木質由来材料製のカバー部材7122、7222と、によって構成される。下框本体7121、7221は、新設下枠32のガイドレール324a、324bを見込方向に挟むように設けられる。下框本体7121、7221の内部には、戸車7123、7223が設けられ、ガイドレール324a、324b上に転動可能に載置されている。
【0081】
図3に示すように、縦框713、723は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる縦框本体7131、7231と、縦框本体7131、7231の室内側X2の側面をカバーする樹脂製又は木質由来材料製のカバー部材7132、7232と、によって構成される。縦框本体7131、7231は、新設縦枠のガイドレール334a、334bを見込方向に挟むように設けられる。
【0082】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。改装建具1を、建物躯体100の開口部11に設けられる既設枠2と、既設枠2に固定される新設枠3と、新設枠3を既設枠2に固定するアタッチメント4と、を含んで構成した。アタッチメント4を、既設枠2に固定されるアタッチメント本体40と、アタッチメント本体40に固定されて既設枠2の室外側に配置されるカバー部材50と、を含んで構成した。アタッチメント本体40と、カバー部材50とにより囲まれる領域8を形成し、領域8に、加熱発泡材6が配置させた。アタッチメント4をアタッチメント本体40とカバー部材50の二部材で構成したときに、加熱発泡材6がアタッチメント本体40とカバー部材50との間に形成される領域8に配置されることで、熱により加熱発泡材6が発泡した際に、領域8から熱が室内側X2へ伝わることを効果的に防止することができる。
【0083】
本実施形態によれば、アタッチメント4を、開口部11の上部に配置される既設上枠21及び新設上枠31の間に配置される上枠アタッチメント本体41及び上枠カバー部材51を含んで構成した。領域8を、上枠アタッチメント本体41の室外側X1の上面から上方に起立するアタッチメント本体側起立片413と、上枠カバー部材51の上面から上方に起立するとともにアタッチメント本体側起立片413に対向して配置されるカバー部材側起立片512と、の間に形成される第1領域81を含んで構成し、加熱発泡材6を、第1領域81に配置させた。これにより、アタッチメント本体側起立片413と、カバー部材側起立片512の間の第1領域81を介して火災時の熱が室内側X2へ伝わることを効果的に防止することができる。
【0084】
本実施形態によれば、アタッチメント4を、開口部11の上部に配置される既設上枠21及び新設上枠31の間に配置される上枠アタッチメント本体41及び上枠カバー部材51を含んで構成した。領域8を、上枠アタッチメント本体41の室内外方向延在板411の室外側X1の下面と、上枠カバー部材51の上枠側見込面部511の室内側X2の上面との間に形成される第2領域82を含んで構成した。加熱発泡材6を、第2領域82に配置させた。これにより、上枠アタッチメント本体41の室内外方向延在板411の下面と、上枠カバー部材51の上枠側見込面部511の上面との間の第2領域82を介して火災時の熱が室内側X2へ伝わることを効果的に防止することができる。
【0085】
本実施形態によれば、アタッチメント4を、開口部11の側部に配置される一対の既設縦枠23及び一対の新設縦枠33の間に配置される縦枠アタッチメント本体43及び縦枠カバー部材53を含んで構成した。縦枠アタッチメント本体43を、既設縦枠23の見込面に沿って配置し、既設縦枠23の外側面部232及び縦枠アタッチメント本体43の縦枠カバー部材固定部432における室外側X1の端部の両方の部材によって形成される角部831の室外側X1を、縦枠カバー部材53が覆うように配置されて形成される第3領域83を含み、加熱発泡材6を、第3領域83に配置させた。外側面部232と縦枠カバー部材固定部432との端部が突き合う角部831を加熱発泡材が覆うことにより、第3領域83を介して室外側X1から加えられる熱が室内側X2へ伝わることを効果的に防止することができる。
【0086】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0087】
図5Aは、
図4に示す第2領域82に配置される第2上枠側加熱発泡材612の配置の他の実施形態を示す。
図4に示す構成では、第2上枠側加熱発泡材612は、室内外方向延在板411と上枠側見込面部511とを固定するネジ91を避け、ネジ91の室外側X1まで配置されている。しかし、この配置に限定されない。
図5Aに示すように、第2上枠側加熱発泡材612Aは、ネジ91のネジ穴92を跨いで屈曲端部511aに達するまで延びていてよい。この場合、加熱発泡材6は樹脂で形成されているため、ネジ穴92に合わせて穴を形成してもよく、ネジ91の軸部91aで第2上枠側加熱発泡材612Aを破ってもよい。ネジ91の軸部91aは、第2領域82の第2上枠側加熱発泡材612Aを挿通して室内外方向延在板411を貫通する。
【0088】
図5Bは、
図3に示す第3領域83に配置される縦枠側加熱発泡材63の配置の他の実施形態を示す。
図3に示す構成では、第1縦枠側加熱発泡材631は、縦枠カバー部材固定部432と縦枠見込面部531と上枠側見込面部511とを固定するネジ91を避け、ネジ91の室外側X1に配置されている。しかし、この配置に限定されない。
図5Bに示すように、第1縦枠側加熱発泡材631Aは、ネジ91のネジ穴92を跨いで屈曲端部531aに達するまで延びていてよい。この場合、加熱発泡材6は樹脂で形成されているため、ネジ穴92に合わせて穴を形成してもよく、ネジ91の軸部91aで第1縦枠側加熱発泡材631Aを破ってもよい。ネジ91の軸部91aは、第3領域83の第1縦枠側加熱発泡材631Aを挿通して縦枠カバー部材固定部432を貫通する。
【0089】
図5A及び
図5Bに示す他の実施形態によれば、ネジ91が加熱発泡材6を挿通し、加熱発泡材6とネジ91の間が密着することで、より効果的に熱が伝わることを防止することができる。
【0090】
図5Cは、
図5Bに示す実施形態のさらに変形例を示す。
図5Cに示すように、角部831Bは、縦枠アタッチメント本体43の室外側X1の端部(縦枠カバー部材固定部432の室外側X1の端部)が屈曲することで形成されている。このように、第3領域83Bは、縦枠アタッチメント本体43の室外側X1の端部の室外側X1を、縦枠カバー部材53が覆うように配置されて形成されていてもよい。
【0091】
また、図示を省略するが、角部が、既設縦枠23の室外側面232の見付方向内側が屈曲することで構成されていてもよい。この場合、第3領域は、既設縦枠23の室外側面の見付方向内側の端部を、縦枠カバー部材53が覆うように配置されて形成されていてもよい。
【0092】
このように、第3領域は、既設縦枠23の室外側面232及び縦枠アタッチメント本体43の室外側X1の端部のいずれか又は両方の室外側X1を、前記縦枠カバー部材が覆うように配置されて形成されていてよい。これらの構成によっても、上記実施形態と同様に、第3領域83を介して室外側X1から加えられる熱が室内側X2へ伝わることを効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 改装建具、 2 既設枠、 3 新設枠、 4 アタッチメント、 6 加熱発泡材、 8 領域、 11 開口部、 21 既設上枠、 23 既設縦枠、 31 新設上枠、 33 新設縦枠、 40 アタッチメント本体、 41 上枠アタッチメント本体、 43 縦枠アタッチメント本体、 50 カバー部材、 51 上枠カバー部材、 53 縦枠カバー部材、 81 第1領域、 82 第2領域、 83 第3領域、 91 ネジ、 91a ネジの軸部、 100 建物躯体、 232 外側面部(室外側面)、 413 アタッチメント本体側起立片、 512 カバー部材側起立片、 813 角部