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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028643
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】じゃかご
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/08 20060101AFI20250221BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
E02B3/08 301
E02D17/20 103G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133579
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】594116334
【氏名又は名称】筑豊金網工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】藤木 恒史
(72)【発明者】
【氏名】西島 武良
【テーマコード(参考)】
2D044
2D118
【Fターム(参考)】
2D044DB43
2D118AA28
2D118CA07
2D118FA06
2D118FB02
2D118GA32
2D118GA33
2D118GA53
2D118GA57
(57)【要約】
【課題】折畳み可能なじゃかごであって、組み立てる際には各側面網を自立させることができ、作業者が一人であっても容易に組み立てが可能なじゃかごを提供する。
【解決手段】折畳み可能なじゃかごであって、本体網と、前側面網と、後側面網と、を有するじゃかご本体を備え、前記本体網は、底面網と、前記底面網と折曲自在に連結される右側面網及び左側面網と、を備え、前記前側面網は、前記右側面網及び前記左側面網と折曲自在に連結され、前記後側面網は、前記右側面網及び前記左側面網と折曲自在に連結され、前記底面網、前記前側面網及び前記後側面網は、左右方向略中央で2つに折曲自在に形成される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折畳み可能なじゃかごであって、
本体網と、前側面網と、後側面網と、を有するじゃかご本体を備え、
前記本体網は、底面網と、前記底面網と折曲自在に連結される右側面網及び左側面網と、を備え、
前記前側面網は、前記右側面網及び前記左側面網と折曲自在に連結され、
前記後側面網は、前記右側面網及び前記左側面網と折曲自在に連結され、
前記底面網、前記前側面網及び前記後側面網は、左右方向略中央で2つに折曲自在に形成されることを特徴とするじゃかご。
【請求項2】
請求項1に記載のじゃかごにおいて、
前記じゃかご本体の上部を塞ぐ蓋網を備えることを特徴とするじゃかご。
【請求項3】
請求項1に記載のじゃかごにおいて、
前記前側面網及び前記後側面網は、結合部材によって前記本体網に結合されることを特徴とするじゃかご。
【請求項4】
請求項2に記載のじゃかごにおいて、
前記蓋網は、結合部材によって前記じゃかご本体に結合されることを特徴とするじゃかご。
【請求項5】
請求項1に記載のじゃかごにおいて、
前記右側面網と前記左側面網は、補強線によって連絡されることを特徴とするじゃかご。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、護岸工や土留工等に用いられる折畳み可能なじゃかごに関する。
【背景技術】
【0002】
じゃかごは、護岸工や土留工等に用いられ、一般に金網を箱状に組み立てて構成され、内部に砕石等の中詰材を充填して使用される。
【0003】
このようなじゃかごは、通常、施工現場での組み立て作業を省略するため、工場であらかじめ箱形に組み立てられた状態で輸送されるが、箱形に組み立てられたじゃかごは非常に嵩張り、大量に輸送することは困難であった。
【0004】
従来、このような課題を解決するためのじゃかごについて種々の構造が知られているが、例えば特許文献1に記載されるように、矩形の底面網と、相対する矩形の前側面網及び後側面網と、相対する矩形の左側面網及び右側面網と、矩形の上面網とからなる菱形金網製の角形蛇篭を、半製品の状態まで組み立てて折り畳み、結束線で結束した蛇篭結束体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3176793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の蛇篭結束体の発明によれば、図9(a)から図9(c)に示すように、従来のじゃかご本体100の底面網110に対して前後の面網120及び左右の面網130を起倒自在に連結させた半製品の形で折り畳み、結束することにより、大量輸送を可能とすることができる。また、従来のじゃかご本体100は、隣接する前後の面網120及び左右の面網130の側片同士を連結金具にて連結することにより、容易に箱状に組立てを行うことができるため、施工現場での作業を簡略化することができる。
【0007】
また、この他にも、図10(a)から図10(c)に示すように、従来のじゃかご本体200の底面網210に対して前後の面網220を起倒自在に連結させ、前後の面網220に対して左右の面網230を折曲自在に連結させた構造について知られている。
【0008】
従来のじゃかご本体100は、連結金具による各面網の連結作業を行う際に、各面網を起立させた状態で連結金具を巻着させる必要がある。この時、従来のじゃかご本体100は、各面網を自立させておくことができず、各面網を抑えて起立状態を保ちながら連結作業を行わなければならなかった。したがって、従来のじゃかご本体100を施工現場で組み立てる際には、各面網を抑えて起立状態を保つ作業と、隣接する面網に連結金具を巻着させる作業とを行う二人以上の作業者が必要となり、作業効率が悪いという課題があった。
【0009】
また、従来のじゃかご本体200は、各面網を展開した状態では平面状に大きく広がり、組み立てや折り畳みを行う場合には広いスペースが必要となるという課題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、折畳み可能なじゃかごであって、組み立てる際には各側面網を自立させることができ、作業者が一人であっても容易に組み立てが可能であると共に、狭いスペースであっても組み立てが可能なじゃかごを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記課題を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0012】
本願発明に係るじゃかごは、折畳み可能なじゃかごであって、本体網と、前側面網と、後側面網と、を有するじゃかご本体を備え、前記本体網は、底面網と、前記底面網と折曲自在に連結される右側面網及び左側面網と、を備え、前記前側面網は、前記右側面網及び前記左側面網と折曲自在に連結され、前記後側面網は、前記右側面網及び前記左側面網と折曲自在に連結され、前記底面網、前記前側面網及び前記後側面網は、左右方向略中央で2つに折曲自在に形成されることを特徴とする。
【0013】
本願発明に係るじゃかごにおいて、前記じゃかご本体の上部を塞ぐ蓋網を備えると好適である。
【0014】
本願発明に係るじゃかごにおいて、前記前側面網及び前記後側面網は、結合部材によって前記本体網に結合されると好適である。
【0015】
本願発明に係るじゃかごにおいて、前記蓋網は、結合部材によって前記じゃかご本体に結合されると好適である。
【0016】
本願発明に係るじゃかごにおいて、前記右側面網と前記左側面網は、補強線によって連絡されると好適である。
【0017】
上記発明の概要は、本発明に必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るじゃかごによれば、折畳みが可能であって大量輸送を可能とすることができると共に、組み立てる際には各側面網を自立させることができ、作業者が一人であっても容易に組み立てができ、施工現場での作業工数を削減することができると共に、狭いスペースであっても組み立て作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るじゃかごであって、蓋網を外した状態を示す分解斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る本体網を示す斜視図。
図3図2のA部拡大図。
図4】本発明の実施形態に係る前側面網又は後側面網を示す斜視図。
図5】本発明の実施形態に係る半製品状態のじゃかご本体であって、箱状に組み立てた状態を示す斜視図。
図6図5のB部拡大図。
図7】本発明に係る結合部材であって、図7(a)から図7(g)は結合部材の実施例を示す参考図。
図8】金網を省略した本発明の実施形態に係る半製品状態のじゃかご本体であって、図8(a)から図8(d)にかけて、箱状に組み立てた状態から、平面状に折り畳む工程について示す斜視図。
図9】金網を省略した従来の蛇篭結束体であって、図9(a)から図9(c)にかけて、箱状に組み立てた状態から、平面状に折り畳む工程について示す斜視図。
図10】金網を省略した従来のじゃかご本体であって、図10(a)から図10(c)にかけて、箱状に組み立てた状態から、平面状に展開する工程について示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るじゃかごであって、蓋網を外した状態を示す分解斜視図であり、図2は、本発明の実施形態に係る本体網を示す斜視図であり、図3は、図2のA部拡大図であり、図4は、本発明の実施形態に係る前側面網又は後側面網を示す斜視図であり、図5は、本発明の実施形態に係る半製品状態のじゃかご本体であって、箱状に組み立てた状態を示す斜視図であり、図6は、図5のB部拡大図であり、図8は、金網を省略した本発明の実施形態に係る半製品状態のじゃかご本体であって、図8(a)から図8(d)にかけて、箱状に組み立てた状態から、平面状に折り畳む工程について示す斜視図である。また、本明細書において、じゃかごの前後方向、左右の幅方向、上下の高さ方向とは、図1に示す矢印の方向と向きと定義する。なお、本明細書において、「前後」、「左右」、「上下」という言葉を用いているが、これらは、図示されているじゃかごを説明するにあたり便宜上使用している表現であって、実際のじゃかごの設置方向を規定するものではない。また、本明細書において、「じゃかご」とは、JIS規格(JIS A 5513)に規定されるひし形金網を主体として構成されるものに限らず、パンチングメタル、エキスパンドメタル、化繊ネット、亀甲金網、溶接金網、クリンプ金網、プラスチック製ネットその他の網体を主体として構成されるものを含むものとする。
【0022】
本実施形態のじゃかご1は、図1に示すように、上部が開放された箱形のじゃかご本体2と、じゃかご本体2の上部を塞ぐ蓋網50と、じゃかご本体2と蓋網50とを結合する複数の結合部材3と、を備える。
【0023】
じゃかご本体2は、後述するように折り畳み可能に構成されており、使用状態においては、図1に示すように箱形に組み立てられる。また、じゃかご本体2は、内部に図示しない砕石等の中詰材が充填されて使用される。じゃかご本体2は、使用状態において底面及び左右の両側面を形成する本体網10、前後の両側面を形成する前側面網40a、後側面網40b及び、これらの部材を連結する結合部材3を備える。
【0024】
本体網10は、図2に示すように、底面網20と、右側面網30a、左側面網30bを備える。また、右側面網30a、左側面網30bを連絡する補強線4を備える。
【0025】
底面網20は、図2に示すように、鉄線からなる長さ線21a、21b、21cと、鉄線からなる幅線22a、22bと、を備え、これらの部材が菱形金網の枠となるように構成されている。また、底面網20は、鉄線を扁平螺旋状に折曲した複数の列線11を備え、列線11の折曲部11aを順次連繋することにより金網部が形成されている。列線11は、両端部に環状に屈曲された環部11bを有しており、環部11bは、幅線22a、22bが挿通するように形成されている。
【0026】
長さ線21a、21b、21cは、前後方向を長手として配置され、左右方向に間隔を開けてそれぞれ平行に配置される。
【0027】
長さ線21aは、底面網20の右側端部に配置され、図3に示すように、列線11の折曲部11aと係合する。また、長さ線21aは、後述する右側面網30aの列線11とも係合する。長さ線21cは、底面網20の左側端部に配置され、長さ線21aと同様に、底面網20の列線11及び後述する左側面網30bの列線11の両方と係合する。
【0028】
長さ線21bは、底面網20の幅方向略中央に配置され、長さ線21bに対して右側に位置する列線11と、左側に位置する列線11の両方の折曲部11aと係合する。
【0029】
幅線22aは、長さ線21a、21bの両端部同士を架け渡すように配置され、幅線22bは、長さ線21b、21cの両端部同士を架け渡すように配置される。また、幅線22a、22bは、長さ線21bと回動自在に取り付けられる。幅線22a、22bは、一例として、端部が環状に屈曲され、環状の端部に長さ線21bを挿通することで、長さ線21bに対して回動自在に取り付けられる。
【0030】
このように、幅線22a、22bが、それぞれ長さ線21bに対して左右に位置する列線11を支持すると共に、長さ線21bに対して回動自在に取り付けられるため、底面網20は、長さ線21bを軸にして折曲自在に構成される。
【0031】
また、底面網20は、図2に示すように、長さ線21a、21bの中間部同士、及び、長さ線21b、21cの中間部同士を架け渡すように配置される複数の補強幅線22cを備えても構わない。補強幅線22cは、底面網20の長さ方向の大きさによって、必要に応じて取り付けられ、中詰材の側圧による底面網20の変形を防止する。本実施形態において、補強幅線22cは、図2に示すように、底面網20の長さ方向の略中央に取り付けられる場合について説明を行うが、補強幅線22cの数及び取付け位置は、底面網20の大きさに応じて適宜設定して構わない。
【0032】
右側面網30aは、底面網20と同様に複数の列線11を備え、菱形金網により形成されている。また、右側面網30aは、底面網20の右側端部に配置され、鉄線からなる長さ線31aと、高さ線32aと、を備え、これらの部材と底面網20の長さ線21aとが菱形金網の枠となるように構成されている。
【0033】
長さ線31aは、底面網20の長さ線21aと高さ方向に間隔を開けて平行に配置され、列線11の折曲部11aと係合するように配置される。
【0034】
高さ線32aは、底面網20の長さ線21aと、右側面網30aの長さ線31aの両端部同士を架け渡すように配置され、列線11の両端部に形成された環部11bに挿通する。また、高さ線32aは、底面網20の長さ線21aと回動自在に取り付けられる。高さ線32a、一例として、端部が環状に屈曲され、環状の端部に長さ線21aを挿通することで、長さ線21bに対して回動自在に取り付けられる。
【0035】
このように、高さ線32aが、右側面網30aの列線11を支持すると共に、底面網20の長さ線21aに対して回動自在に取り付けられるため、右側面網30aは、底面網20に対して長さ線21aを軸にして折曲自在となるように構成される。
【0036】
左側面網30bは、右側面網30aと同様に複数の列線11を備え、菱形金網により形成されている。また、左側面網30bは、底面網20の左側端部に配置され、鉄線からなる長さ線31bと、高さ線32bと、を備え、これらと底面網20の長さ線21cとが菱形金網の枠となるように構成されている。
【0037】
長さ線31bは、底面網20の長さ線21cと高さ方向に間隔を開けて平行に配置され、列線11の折曲部11aと係合するように配置される。
【0038】
高さ線32bは、底面網20の長さ線21cと、左側面網30bの長さ線31bの両端部同士を架け渡すように配置され、列線11の両端部に環状に屈曲された環部11bに挿通する。また、高さ線32bは、高さ線32aと同様に、底面網20の長さ線21cと回動自在に取り付けられる。また、高さ線32bは、高さ線32aと同じ高さとなるように構成されると好適である。
【0039】
このように、高さ線32bが、左側面網30bの列線11を支持すると共に、底面網20の長さ線21cに対して回動自在に取り付けられるため、左側面網30bは、底面網20に対して長さ線21cを軸にして折曲自在となるように構成される。
【0040】
また、右側面網30a及び左側面網30bは、長さ線21a、31aの中間部同士及び長さ線21c、31bの中間部同士を架け渡すように配置される補強高さ線32cを備えても構わない。補強高さ線32cは、長さ線21a、21cと回動自在に取り付けれられる。補強高さ線32cは、右側面網30a及び左側面網30bの長さ方向の大きさによって、必要に応じて取り付けられ、中詰材の側圧による右側面網30a及び左側面網30bの変形を防止する。本実施形態において、補強高さ線32cは、図2に示すように、右側面網30a及び左側面網30bの長さ方向の略中央に取り付けられる場合について説明を行うが、補強高さ線32cの数及び取付け位置は、右側面網30a及び左側面網30bの大きさに応じて適宜設定して構わない。
【0041】
補強線4は、鉄線からなり、右側面網30aと左側面網30bを連絡するように配置される。補強線4は、一例として、先端部が略U字状に屈曲され、図2に示すように、補強高さ線32c、32cに係合するように取り付けられる。補強線4は、底面網20の大きさによって、必要に応じて取り付けられ、中詰材の側圧による右側面網30a及び左側面網30bの変形を防止する。本実施形態において、補強線4は、図2に示すように、右側面網30a及び左側面網30bの長さ方向の略中央に取り付けられる場合について説明を行うが、補強線4の数及び取付け位置は、底面網20の大きさに応じて適宜設定して構わない。
【0042】
前側面網40a及び後側面網40bは、本体網10の前後側面を塞ぐように配置される。
【0043】
前側面網40a及び後側面網40bは、図4に示すように、鉄線からなる枠線41a、41bと、骨線42と、を備え、これらの部材が菱形金網の枠となるように構成されている。また、前側面網40a及び後側面網40bは、複数の列線11を備え、列線11の折曲部11aを、順次連繋することにより金網部が形成されている。
【0044】
枠線41a、41bは、幅方向に開いた略コの字状に形成され、コの字状に開いた先端部同士を対向させて、矩形となるように配置される。また、枠線41a、41bの間であって、前側面網40a及び後側面網40bの左右方向略中央となる位置には、骨線42が配置される。枠線41a、41bのコの字状に開いた先端部は、骨線42と回動自在に取付けられる。枠線41a、41bは、一例として、両端部が環状に屈曲され、環状の端部に骨線42を挿通することで、骨線42に対して回動自在に取り付けられる。
【0045】
枠線41a、41bの高さ方向に延びる辺は、右側面網30a及び左側面網30bの高さ線32a、32bの長さと等しくなるように形成される。また、枠線41a、41bの高さ方向に延びる辺、及び、骨線42は、図4に示すように、列線11の折曲部11aと係合する。
【0046】
枠線41a、41bの幅方向に延びる辺は、底面網20の幅線22a、22bの長さと等しくなるように形成される。また、枠線41a、41bの幅方向に延びる辺は、列線11の両端部に形成された環部11bに挿通する。
【0047】
このように、枠線41a、41bの幅方向に延びる辺が、それぞれ骨線42に対して左右に位置する列線11を支持すると共に、骨線42に対して回動自在に取付けられるため、前側面網40a及び後側面網40bは、骨線42を軸にして折曲自在に構成される。
【0048】
なお、本実施形態において、枠線41a、41bは、図4に示すように、鉄線を屈曲して略コの字状に形成してもよく、各辺が別部品であってそれぞれを溶接等で連結して形成しても構わない。
【0049】
結合部材3は、一例として、螺旋状をした鉄線により構成される。
【0050】
前側面網40a及び後側面網40bは、図5及び図6に示すように、枠線41a、41bの高さ方向に延びる辺と、隣接する高さ線32a、32bと、を結合部材3で巻き付けることにより本体網10と結合される。このとき、結合部材3が巻き付けられた各線部材と結合部材3の内面との間には、十分な隙間が形成される。このため、前側面網40a及び後側面網40bは、右側面網30a及び左側面網30bに対してそれぞれが折曲自在となるように取り付けられている。
【0051】
なお、本明細書において、図5及び図6に示すように、結合部材3を用いて、前側面網40a及び後側面網40bと本体網10を高さ方向のみ結合した状態であって、補強線4を備えていないじゃかご本体2を、半製品状態のじゃかご本体2と定義する。
【0052】
じゃかご本体2は、使用状態においては、図1に示すように、前側面網40a及び後側面網40bが、結合部材3によって底面網20に結合される。すなわち、使用状態においては、前側面網40a及び後側面網40bは、本体網10と高さ方向だけでなく、幅方向についても結合される。
【0053】
蓋網50は、図1に示すように、底面網20と同様に複数の列線11を備え、菱形金網により形成されている。また、蓋網50は、鉄線からなる長さ線51a、51bと、幅線52a、52bと、を備え、これらの部材が矩形の菱形金網の枠となるように構成されている。
【0054】
長さ線51a、51bは、底面網20の長さ方向の大きさと同等の長さに形成される。また、長さ線51a、51bは、底面網20の幅方向の大きさと同等の間隔を左右方向にあけて、平行となるように配置され、列線11の折曲部11aと係合するように配置される。
【0055】
幅線52a、52bは、長さ線51a、51bの両端部同士を架け渡すように配置され、列線11の両端部に形成された環部11bに挿通する。
【0056】
なお、本実施形態において、蓋網50は、長さ線51a、51b及び幅線52a、52bが矩形の菱形金網の枠をなす構成について説明をしたが、菱形金網の枠となる構造はこれに限らず、鉄線を屈曲した部材によって構成されても構わない。
【0057】
蓋網50は、使用状態においては、図1に示すように、じゃかご本体2の上部を覆うように載置され、長さ線51a、51b及び幅線52a、52bと、じゃかご本体2の上部に位置する各線部材とが、結合部材3によって結合される。
【0058】
なお、結合部材3は、一例として、螺旋状をした鉄線により構成される場合について説明を行ったが、結合部材3は、各面網を折曲自在に連結可能な構造であればよく、次に例示する結合部材3a、3b、3c、3d、3e、3f、3gのような構造の部材であっても構わない。
【0059】
結合部材3aは、図7(a)に示すように、例えば、2枚の板部材と、これらの板部材を連結するボルト・ナットにより構成され、隣り合う面網の枠となる線部材を2枚の板部材によって把持するように取り付けられ、隣り合う面網を折曲自在に連結するような構造であっても構わない。
【0060】
また、結合部材3bは、図7(b)に示すように、例えば、アングル鋼やL形鋼等の鋼材と、板部材と、鋼材と板部材とを連結するボルト・ナットにより構成され、隣り合う面網の枠となる線部材を鋼材と板部材によって把持するように取り付けられ、隣り合う面網を折曲自在に連結するような構造であっても構わない。
【0061】
また、結合部材3cは、図7(c)に示すように、例えば、U字ボルトと、U字ボルトを貫通させる板部材等により構成され、隣り合う面網の枠となる線部材をU字ボルトの内側に位置するように取り付けられ、隣り合う面網を折曲自在に連結するような構造であっても構わない。
【0062】
また、結合部材3dは、図7(d)に示すように、例えば、内側に爪部を備えるアングル鋼やL形鋼等の鋼材からなり、爪部によって隣り合う面網の枠となる線部材を把持するように取り付け、隣り合う面網を折曲自在に連結するような構造であっても構わない。
【0063】
また、結合部材3eは、図7(e)に示すように、例えば、断面が略E字形に形成された金具からなり、隣り合う面網の枠となる線部材を当該金具のそれぞれの内側になるように取付け、金具の開口部を屈曲して塞ぎ、隣り合う面網を折曲自在に連結するような構造であっても構わない。
【0064】
また、結合部材3fは、図7(f)に示すように、例えば、結束線やリング状の部材からなり、隣り合う面網の枠となる線部材に取付け、隣り合う面網を折曲自在に連結するような構造であっても構わない。
【0065】
また、結合部材3gは、底面網20と前側面網40a及び後側面網40bを結合する場合においては、図7(g)に示すように、略U字形の固定金具であっても構わない。この場合、結合部材3gを、隣り合う面網の枠となる線部材が略U字形の固定金具の内側に位置するように直接地面に打設して、じゃかご本体2を地面に固定しても構わない。
【0066】
本発明のじゃかご1は、一例として、工場等で半製品状態のじゃかご本体2を製造し、半製品状態のじゃかご本体2を折り畳んだ状態で施工現場等に輸送される。これにより、完成品状態のじゃかご本体2を輸送する場合に比べて省スペースになり、大量に輸送することができる。
【0067】
次に、半製品状態のじゃかご本体2を折り畳む方法について説明を行う。図8は、半製品状態のじゃかご本体2を折り畳む手順について示す金網を省略した斜視図である。
【0068】
先ず、図8(a)に示すように箱状に組み立てられた半製品状態のじゃかご本体2の前側面網40a及び後側面網40bを、図8(b)に示すように、骨線42がじゃかご本体2の内側に入り、上部から見て前側面網40a及び後側面網40bが略M字状となるように折り曲げる。
【0069】
次に、図8(c)に示すように、前側面網40a及び後側面網40bを骨線42に沿って更に折り畳む。前側面網40a及び後側面網40bは、右側面網30a及び左側面網30bと折曲自在に結合されている。また、右側面網30a及び左側面網30bは、それぞれ長さ線21a、21cに沿って底面網20に対して折曲自在に構成され、底面網20は、長さ線21bに沿って折曲自在に構成されている。このため、前側面網40a及び後側面網40bを略M字状に折り畳むことで、右側面網30a及び左側面網30bは、自動的に接近する。また、右側面網30aと左側面網30bが接近する動作に連携して、底面網20が長さ線21bに沿って折り曲げられる。なお、このとき底面網20は、長さ線21bがじゃかご本体2の外側に位置するように折り曲げられるため、前側面網40a及び後側面網40bと干渉することがない。
【0070】
その後、図8(d)に示すように、右側面網30aと左側面網30bを更に近づけるように折り畳むことで、半製品状態のじゃかご本体2を、輸送や積み重ね等に適した平面状の形態にすることができる。
【0071】
平面状に折り畳まれた半製品状態のじゃかご本体2を、箱状に組み立てる場合は、上記工程を逆に追って作業すればよく、施工現場等において容易に組み立てることができる。
【0072】
また、半製品状態のじゃかご本体2は、あらかじめ、前側面網40a及び後側面網40bが、本体網10と結合部材3によって高さ方向に結合されている。このため、半製品状態のじゃかご本体2を、図8(a)に示す箱状に組み立てた際に、他の部品を使用することなく自立させることができ、作業者が一人であっても容易に組み立てを行うことができる。
【0073】
また、本実施形態におけるじゃかご1は、図8(a)から(d)に示すように、じゃかご本体2の折り畳み又は組み立ての工程において、右側面網30a及び左側面網30b、並びに、前側面網40a及び後側面網40bの上方となる位置に、干渉する他の部材が存在せず、常に空間を有した状態で折り畳み又は組み立てを行うことができる。そのため、右側面網30a及び左側面網30b、並びに、前側面網40a及び後側面網40bは、高さ方向に延ばすことが可能となり、任意の高さのじゃかご1を設定することができる。
【0074】
なお、本実施形態におけるじゃかご1は、ひし形金網を主体として構成される場合を一例として説明を行ったが、じゃかご1を構成する要素はこれに限らず、パンチングメタル、エキスパンドメタル、化繊ネット、亀甲金網、溶接金網、クリンプ金網、プラスチック製ネットその他の網体を主体として構成されても構わない。また、本実施形態におけるじゃかご1は、図1に示すように、底面網20及び蓋網50の形状が前後方向に長い長方形である場合について説明を行ったが、底面網20及び蓋網50の形状はこれに限らず正方形であっても構わない。また、本実施形態におけるじゃかご1は、内部に砕石等の中詰材が充填され、護岸工や土留工等に用いられる場合について説明を行ったが、じゃかご1の大きさを小さく設定し、小石等の中詰材を充填して、プランター等の植栽に用いられても構わない。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0075】
1 じゃかご、 2 じゃかご本体、 3 結合部材、 4 補強線、 10 本体網、 11 列線、 11a 折曲部、 11b 環部、 20 底面網、 21a 21b 21c 長さ線、 22a 22b 幅線、 22c 補強幅線、 30a 右側面網、 30b 左側面網、 31a 31b 長さ線、 32a 32b 高さ線、 32c 補強高さ線、 40a 前側面網、 40b 後側面網、 41a 41b 枠線、 42 骨線、 50 蓋網、 51a 51b 長さ線、 52a 52b 幅線。
図1
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図10