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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028714
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】ローリングカッター
(51)【国際特許分類】
   E03F 9/00 20060101AFI20250221BHJP
   F16L 55/30 20060101ALI20250221BHJP
   B08B 9/043 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
E03F9/00
F16L55/30
B08B9/043
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133700
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】598132727
【氏名又は名称】株式会社インテ
(74)【代理人】
【識別番号】100130144
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健壱
(72)【発明者】
【氏名】家永 義次
【テーマコード(参考)】
2D063
3B116
【Fターム(参考)】
2D063FA12
2D063FA14
2D063FA16
3B116AA12
3B116AB54
3B116BA03
3B116BA15
3B116BA33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来の洗浄用移動体は、ゴム製の袋体内に流体物を注入させて、洗浄用移動体の外表面を管路の内壁に接触させているので、管路内に木の根等の硬い突出物が突出している場合には、管路内に突出している木の根を上手く取り除くことができないという問題があった。
【解決手段】本発明のローリングカッターは、左向き切り刃9と右向き切り刃10が交差した卵型切り刃体16を構成しているので、卵型切り刃体16を回転させず引っ張ることだけで、管路内に突出した木の根でも「斜め格子状の左向き切り刃9と右向き切り刃10」で挟み込み取り除くことができるとともに、左側調整板33と右側調整板34の間の長さを変えることにより卵型切り刃体16の断面径が変更維持できるので、大きな負荷が生じない作業で容易に卵型切り刃体16の断面径を変更維持させることができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内を移動させることにより、管路内に突出した突出物を取り除くローリングカッターであって、
棒状形状で形成された軸部材と、
該軸部材が挿通される左側貫通孔が形成され、該左側貫通孔に該軸部材が挿通された状態で該軸部材の左側に装着される左側調整板と、
前記軸部材が挿通される右側貫通孔が形成され、該右側貫通孔に該軸部材が挿通された状態で該軸部材の右側に装着される右側調整板と、
前記軸部材の左側端部に装着され、ロープが取り付けられる左側ロープ接続具と、
前記軸部材の右側端部に装着され、ロープが取り付けられる右側ロープ接続具と、
金属を材質とし、前記左側調整板と前記右側調整板の間に亘って、前記軸部材の周回りに、前記軸部材の長手方向に対し斜め左向きに回転させながら前記軸部材の周方向に間隔を空けて複数個設けられた左向き切り刃と、
金属を材質とし、前記左側調整板と前記右側調整板の間に亘って、前記軸部材の周回りに、前記軸部材の長手方向に対し斜め右向きに回転させながら前記軸部材の周方向に間隔を空けて複数個設けられた右向き切り刃と、
前記左側調整板と前記右側調整板の間の長さを変更維持させる調整板間長さ変更維持手段と、を有し、
前記左向き切り刃と前記右向き切り刃は、交差した斜め格子状に配されることにより、全体としての外形は略卵形状の卵型切り刃体を形成し、
前記調整板間長さ変更維持手段が、前記左側調整板と前記右側調整板の間の長さを変えることにより、前記卵型切り刃体の断面径が変更維持できることを特徴としたローリングカッター。
【請求項2】
前記軸部材は、一端部側に左ネジ山が螺刻され、他端部側に右ネジ山が螺刻され、
前記調整板間長さ変更維持手段は、前記軸部材の左ネジ山に螺合された左ネジ山ナットおよび前記軸部材の右ネジ山に螺合された右ネジ山ナットであり、
前記左側調整板は、前記軸部材の左ネジ山に螺合された前記左ネジ山ナットが前記軸部材の端部側に配され、もしくは前記軸部材の右ネジ山に螺合された前記右ネジ山ナットが前記軸部材の端部側に配されることにより該軸部材に装着され、
前記右側調整板は、前記軸部材の右ネジ山に螺合された前記右ネジ山ナットが前記軸部材の端部側に配され、もしくは前記軸部材の左ネジ山に螺合された前記左ネジ山ナットが前記軸部材の端部側に配されることにより該軸部材に装着され、
前記調整板間長さ変更維持手段は、前記軸部材の右ネジ山に螺合されている前記右ネジ山ナットの位置、および/または前記軸部材の左ネジ山に螺合されている前記左ネジ山ナットの位置を変えることにより、前記左側調整板と前記右側調整板の間の長さが変更維持されることを特徴とする請求項1記載のローリングカッター。
【請求項3】
前記軸部材は、一端部側に左ネジ山が螺刻され、他端部側に右ネジ山が螺刻され、
前記調整板間長さ変更維持手段は、前記左側調整板もしくは前記右側調整板に一体的に設けられた前記軸部材の左ネジ山に螺合される左ネジ山調整板ナットおよび前記右側調整板もしくは前記左側調整板に一体的に設けられた前記軸部材の右ネジ山に螺合される右ネジ山調整板ナットであり、前記軸部材の右ネジ山に螺合されている前記右ネジ山調整板ナットの位置、および/または前記軸部材の左ネジ山に螺合されている前記左ネジ山調整板ナットの位置を変えることにより、前記左側調整板と前記右側調整板の間の長さが変更維持されることを特徴とする請求項1記載のローリングカッター。
【請求項4】
前記軸部材は、一端部側に一端部側ピン挿入孔が所定位置に複数個に形成され、他端部側に他端部側ピン挿入孔が所定位置に複数個に形成され、
前記調整板間長さ変更維持手段は、前記軸部材の一端部側ピン挿入孔に挿入される一端部側ピンおよび前記軸部材の他端部側ピン挿入孔に挿入される他端部側ピンであり、
前記左側調整板は、前記軸部材の一端部側ピン挿入孔に挿入された前記一端部側ピンが前記軸部材の端部側に配され、もしくは前記軸部材の他端部側ピン挿入孔に挿入された前記他端部側ピンが前記軸部材の端部側に配されることにより該軸部材に装着され、
前記右側調整板は、前記軸部材の他端部側ピン挿入孔に挿入された前記他端部側ピンが前記軸部材の端部側に配され、もしくは前記軸部材の一端部側ピン挿入孔に挿入された前記一端部側ピンが前記軸部材の端部側に配されることにより該軸部材に装着され、
前記調整板間長さ変更維持手段は、前記軸部材の前記一端部側ピン挿入孔から前記一端部側ピンを抜き取り、他の前記一端部側ピン挿入孔に挿入、および/または前記軸部材の前記他端部側ピン挿入孔から前記他端部側ピンを抜き取り、他の前記他端部側ピン挿入孔に挿入することにより、前記左側調整板と前記右側調整板の間の長さが変更維持されることを特徴とする請求項1記載のローリングカッター。
【請求項5】
前記左向き切り刃および前記右向き切り刃の長手方向横断面は、略逆台形形状で形成されていることを特徴とする請求項1記載のローリングカッター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内を移動させることにより、管路内に突出した突出物を取り除くローリングカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、管路内を移動させることにより、管路に付着した堆積物を取り除く洗浄用移動体が知られている。この種の洗浄用移動体154として、ゴム製の袋体162内に水を含浸させたスポンジが詰められ、この袋体162の表面に網目状の洗浄用リブ166が一体的に形成されている。また、袋体162内には、圧力調整手段141の吸排ポンプ141aにより、管体138を介し、流体物が注入されまた流体物の抜き出しを行なうことができ、これにより、洗浄用移動体154の外表面を管路112の内壁の全周に略一定の圧力で接触させることができる(図10参照)。また、洗浄用移動体154には、洗浄用移動体154を移動方向前方及び後方から引き動作させるために、紐状体139が洗浄用移動体154の移動方向前後に接続されている。そして、洗浄用移動体154が紐状体139を介して引き動作されることにより、洗浄用移動体154の外表面を管路112の内壁の全周に略一定の圧力で接触させた状態で、洗浄用移動体154が管路112内を摺動されながら若しくは擦りながら移動させることができる(図11参照)。このように、洗浄用移動体154が管路内112を移動することにより、管路112内にある塵142が押し出され、管壁に付着している堆積物143も削り取られるというものであった(特許文献1参照)。ここで、図10は従来の洗浄用移動体を用いた管路洗浄システムの袋体の流動体の圧力を制御する圧力調整手段の概略説明図であり、図11は同洗浄用移動体を用いた管路洗浄システムの概略説明図である。
【0003】
【特許文献1】特開2015-13280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の洗浄用移動体154では、水が含浸されたスポンジが詰められたゴム製の袋体162内に吸排ポンプ141aにより流体物が注入され、そして、洗浄用移動体154の外表面を管路112の内壁に接触させた状態で、洗浄用移動体154を管路112内に摺動若しくは擦りながら移動させることにより、管路112内の塵142を押し出し、管壁に付着している堆積物143を取り除くものである。そのため、洗浄用移動体154の外表面を管路112の内壁の全周に略一定の圧力で接触させるためには、ゴム製の袋体162内に流体物を注入させるための吸排ポンプ141aおよび管体138などの設備が必要であることから、設備費用が高額となるとともに、ゴム製の袋体162内に流体物を注入させる多くの工数が必要であるという問題があった。また、ゴム製の袋体162内に流体物を注入させて、洗浄用移動体154の外表面を管路112の内壁に接触させているので、管路内に木の根等の硬い突出物が突出している場合には、流体物が注入されているゴム製の袋体162表面の洗浄用リブ166が弾性により内部方向に移動し、管路内に突出している木の根等の硬い突出物を上手く取り除くことができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、大きな負荷が生じない作業で容易に管路の内壁に接触させることができるとともに、管路内に木の根等の硬い突出物が突出している場合でも容易に取り除くことができるローリングカッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、管路内を移動させることにより、管路内に突出した突出物を取り除くローリングカッターであって、棒状形状で形成された軸部材と、軸部材が挿通される左側貫通孔が形成され、左側貫通孔に軸部材が挿通された状態で軸部材の左側に装着される左側調整板と、軸部材が挿通される右側貫通孔が形成され、右側貫通孔に軸部材が挿通された状態で軸部材の右側に装着される右側調整板と、軸部材の左側端部に装着され、ロープが取り付けられる左側ロープ接続具と、軸部材の右側端部に装着され、ロープが取り付けられる右側ロープ接続具と、金属を材質とし、左側調整板と右側調整板の間に亘って、軸部材の周回りに、軸部材の長手方向に対し斜め左向きに回転させながら軸部材の周方向に間隔を空けて複数個設けられた左向き切り刃と、金属を材質とし、左側調整板と右側調整板の間に亘って、軸部材の周回りに、軸部材の長手方向に対し斜め右向きに回転させながら軸部材の周方向に間隔を空けて複数個設けられた右向き切り刃と、左側調整板と右側調整板の間の長さを変更維持させる調整板間長さ変更維持手段と、を有し、左向き切り刃と右向き切り刃は、交差した斜め格子状に配されることにより、全体としての外形は略卵形状の卵型切り刃体を形成し、調整板間長さ変更維持手段が、左側調整板と右側調整板の間の長さを変えることにより、卵型切り刃体の断面径が変更維持できることを特徴としたものである。
【0007】
本発明によれば、左側調整板と右側調整板の間に亘って、軸部材の周回りに、軸部材の長手方向に対し斜め左向き(斜め右向き)に回転させながら軸部材の周方向に間隔を空けて複数個設けられた左向き切り刃(右向き切り刃)を有し、その左向き切り刃と右向き切り刃は交差した斜め格子状に配されることにより、全体としての外形は略卵形状の卵型切り刃体が形成されるので、管路内に木の根等の硬い突出物が突出している場合でも、卵型切り刃体を回転させず引っ張ることだけで、その交差させて斜め格子状に配されている左向き切り刃と右向き切り刃により、管路内に突出したしぶとい突出物でも「斜め格子状の左向き切り刃と右向き切り刃」で挟み込み容易に切断し取り除くことができるとともに、左側調整板と右側調整板の間の長さを変えることにより卵型切り刃体の断面径が変更維持できるので、卵型切り刃体の断面径を変更維持させるための他の設備を要することなく、大きな負荷が生じない作業で容易に卵型切り刃体の断面径を変更維持させることができる。
【0008】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係るローリングカッターであって、軸部材は、一端部側に左ネジ山が螺刻され、他端部側に右ネジ山が螺刻され、調整板間長さ変更維持手段は、軸部材の左ネジ山に螺合された左ネジ山ナットおよび軸部材の右ネジ山に螺合された右ネジ山ナットであり、左側調整板は、軸部材の左ネジ山に螺合された左ネジ山ナットが軸部材の端部側に配され、もしくは軸部材の右ネジ山に螺合された右ネジ山ナットが軸部材の端部側に配されることにより軸部材に装着され、右側調整板は、軸部材の右ネジ山に螺合された右ネジ山ナットが軸部材の端部側に配され、もしくは軸部材の左ネジ山に螺合された左ネジ山ナットが軸部材の端部側に配されることにより軸部材に装着され、調整板間長さ変更維持手段は、軸部材の右ネジ山に螺合されている右ネジ山ナットの位置、および/または軸部材の左ネジ山に螺合されている左ネジ山ナットの位置を変えることにより、左側調整板と右側調整板の間の長さが変更維持されることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、左側調整板(右側調整板)が、軸部材の左ネジ山(右ネジ山)に螺合された左ネジ山ナット(右ネジ山ナット)が軸部材の端部側に配され、もしくは軸部材の右ネジ山(左ネジ山)に螺合された右ネジ山ナット(左ネジ山ナット)が軸部材の端部側に配されることにより軸部材に装着されているので、作業者は、軸部材を持ちながらローリングカッター全体を円周同方向に回転させながら、軸部材の右ネジ山に螺合されている右ネジ山ナットの位置、および/または軸部材の左ネジ山に螺合されている左ネジ山ナットの位置が変えることにより、左側調整板と右側調整板の間の長さを変更維持させることができる。これにより、卵型切り刃体の断面径を変更維持させるための他の設備を要することなく、容易に卵型切り刃体の断面径を変更維持させることができる。
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係るローリングカッターであって、軸部材は、一端部側に左ネジ山が螺刻され、他端部側に右ネジ山が螺刻され、調整板間長さ変更維持手段は、左側調整板もしくは右側調整板に一体的に設けられた軸部材の左ネジ山に螺合される左ネジ山調整板ナットおよび右側調整板もしくは左側調整板に一体的に設けられた軸部材の右ネジ山に螺合される右ネジ山調整板ナットであり、軸部材の右ネジ山に螺合されている右ネジ山調整板ナットの位置、および/または軸部材の左ネジ山に螺合されている左ネジ山調整板ナットの位置を変えることにより、左側調整板と右側調整板の間の長さが変更維持されることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、調整板間長さ変更維持手段が、左側調整板もしくは右側調整板に一体的に設けられた軸部材の左ネジ山に螺合される左ネジ山調整板ナットおよび右側調整板もしくは左側調整板に一体的に設けられた軸部材の右ネジ山に螺合される右ネジ山調整板ナットであるので、作業者は、軸部材を持ちながらローリングカッター全体を円周同方向に回転させることにより、軸部材の右ネジ山に螺合されている右ネジ山調整板ナットの位置、および/または軸部材の左ネジ山に螺合されている左ネジ山調整板ナットの位置が変えることができるので、左側調整板と右側調整板の間の長さを容易に変更維持させることができる。これにより、卵型切り刃体の断面径を変更維持させるための他の設備を要することなく、容易に卵型切り刃体の断面径を変更維持させることができる。
【0012】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1の態様に係るローリングカッターであって、軸部材は、一端部側に一端部側ピン挿入孔が所定位置に複数個に形成され、他端部側に他端部側ピン挿入孔が所定位置に複数個に形成され、調整板間長さ変更維持手段は、軸部材の一端部側ピン挿入孔に挿入される一端部側ピンおよび軸部材の他端部側ピン挿入孔に挿入される他端部側ピンであり、左側調整板は、軸部材の一端部側ピン挿入孔に挿入された一端部側ピンが軸部材の端部側に配され、もしくは軸部材の他端部側ピン挿入孔に挿入された他端部側ピンが軸部材の端部側に配されることにより軸部材に装着され、右側調整板は、軸部材の他端部側ピン挿入孔に挿入された他端部側ピンが軸部材の端部側に配され、もしくは軸部材の一端部側ピン挿入孔に挿入された一端部側ピンが軸部材の端部側に配されることにより軸部材に装着され、調整板間長さ変更維持手段は、軸部材の一端部側ピン挿入孔から一端部側ピンを抜き取り、他の一端部側ピン挿入孔に挿入、および/または軸部材の他端部側ピン挿入孔から他端部側ピンを抜き取り、他の他端部側ピン挿入孔に挿入することにより、左側調整板と右側調整板の間の長さが変更維持されることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、軸部材は、一端部側(他端部側)に一端部側ピン挿入孔(他端部側ピン挿入孔)が所定位置に複数個に形成され、左側調整板(右側調整板)は、軸部材の一端部側ピン挿入孔(他端部側ピン挿入孔)に挿入された一端部側ピン(他端部側ピン)が軸部材の端部側に配され、もしくは軸部材の他端部側ピン挿入孔(一端部側ピン挿入孔)に挿入された他端部側ピン(一端部側ピン)が軸部材の端部側に配されることにより軸部材に装着されているので、作業者は、軸部材の一端部側ピン挿入孔から一端部側ピンを抜き取り、他の一端部側ピン挿入孔に挿入、および/または軸部材の他端部側ピン挿入孔から他端部側ピンを抜き取り、他の他端部側ピン挿入孔に挿入することにより、左側調整板と右側調整板の間の長さが変更維持されることができる。これにより、卵型切り刃体の断面径を変更維持させるための他の設備を要することなく、一端部側ピン(他端部側ピン)が挿入される軸部材の一端部側ピン挿入孔(他端部側ピン挿入孔)に対応した卵型切り刃体の断面径に容易に変更維持させることができる。
【0014】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第1の態様に係るローリングカッターであって、左向き切り刃および右向き切り刃の長手方向横断面は、略逆台形形状で形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明によれば、左向き切り刃および右向き切り刃の長手方向横断面が略逆台形形状で形成されているので、管路内に茎が太い木の根等の突出物が突出している場合でも、長手方向横断面が略逆台形形状の左向き切り刃および右向き切り刃の鋭利な刃により、容易に切断し取り除くことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大きな負荷が生じない作業で容易に管路の内壁に接触させることができるとともに、管路内に木の根等の硬い突出物が突出している場合でも容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)本発明の第1実施形態におけるローリングカッターの右側斜視図である。 (b)同ローリングカッターの正面図である。 (c)同ローリングカッターの右側面図である。 (d)同ローリングカッターの左向き切り刃および右向き切り刃の長手方向横断面を示す図である。
図2】同ローリングカッターの分解斜視図である。
図3】同ローリングカッターの左側調整板と右側調整板の間の長さを変更維持させる手順を示す図である。
図4】同ローリングカッターを用いた施工状況を示す概略図である。
図5】(a)同ローリングカッターにより管路内に突出した木の根が切り取られる前の状況を示す図である。(b)同ローリングカッターにより管路内に突出した木の根が切り取られる状況を示す図である。 (c)同ローリングカッターにより管路内に突出した木の根が切り取られた後の状況を示す図である。
図6】(a)本発明の第2実施形態におけるローリングカッターの右側斜視図である。 (b)同ローリングカッターの正面図である。 (c)同ローリングカッターの側面図である。 (d)同ローリングカッターの左向き切り刃および右向き切り刃の長手方向横断面を示す図である。
図7】同ローリングカッターの左側調整板と右側調整板の間の長さを変更維持させる手順を示す図である。
図8】(a)本発明の第3実施形態におけるローリングカッターの右側斜視図である。 (b)同ローリングカッターの正面図である。 (c)同ローリングカッターの側面図である。 (d)同ローリングカッターの左向き切り刃および右向き切り刃の長手方向横断面を示す図である。
図9】同ローリングカッターの左側調整板と右側調整板の間の長さを変更維持させる手順を示す図である。
図10】従来の洗浄用移動体を用いた管路洗浄システムの袋体の流動体の圧力を制御する圧力調整手段の概略説明図である。
図11】同洗浄用移動体を用いた管路洗浄システムの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態におけるローリングカッターについて、図面を参照にしながら説明する。ここで、図1(a)は本発明の第1実施形態におけるローリングカッターの右側斜視図であり、図1(b)は同ローリングカッターの正面図であり、図1(c)は同ローリングカッターの右側面図であり、図1(d)は同ローリングカッターの左向き切り刃および右向き切り刃の長手方向横断面を示す図であり、図2は同ローリングカッターの分解斜視図である。
【0019】
ローリングカッター1は、軸部材2と、左側調整板3と、右側調整板4と、左ネジ山ナット5(5a、5b)と、右ネジ山ナット6(6a、6b)と、左側ロープ接続具7と、右側ロープ接続具8と、左向き切り刃9と、右向き切り刃10と、を有している。ここで、ローリングカッター1は、後述するように、管路11内を移動させることにより、管路11に突出した木の根12等の突出物を取り除くために用いられる(図4図5参照)。ここで、左ネジ山ナット5および右ネジ山ナット6により、左側調整板3と右側調整板4の間の長さを変更維持させる調整板間長さ変更維持手段が構成される(図1参照)。なお、本実施形態では、左ネジ山ナット5および右ネジ山ナット6により調整板間長さ変更維持手段が構成されるとしたが、これに限らず、左ネジ山ナット5aおよび/または右ネジ山ナット6aのいずれかにより調整板間長さ変更維持手段が構成されてもよく、また、後述する軸部材2左端部側(一端部側または他端部側)の左ネジ山13と右端部側(他端部側または一端部側)の右ネジ山14により調整板間長さ変更維持手段が構成、すなわち、左側調整板3(右側調整板4)を軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)に沿って回転させ、左側調整板3(右側調整板4)の回転が完了した後に、左側調整板3(右側調整板4)が軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)に係止する場合は、左ネジ山13および/または右ネジ山14により調整板間長さ変更維持手段が構成されるとしてもよい。
【0020】
軸部材2は、ステンレス鋼を材質とし、軸ボルトからなる棒状形状で形成されている。具体的には、軸部材2は、棒状形状で形成された左端部側に左ネジ山13が螺刻され、右端部側に右ネジ山14が螺刻されている。そして、軸部材2の一端部側および他端部側には、ピン挿入孔2aが1個ずつ形成されている。なお、本実施形態では、軸部材2の左端部側に左ネジ山13が螺刻され、右端部側に右ネジ山14が螺刻されているとしたが、これに限らず、軸部材2の右端部側に左ネジ山が螺刻され、左端部側に右ネジ山が螺刻されているとしてもよい。すなわち、一端部側に左ネジ山が螺刻され、他端部側に右ネジ山が螺刻されているとしてもよい。また、軸部材2の左端部側および右端部側に左ネジ山が螺刻されるようにしてもよく、軸部材2の左端部側および右端部側に右ネジ山が螺刻されるようにしてもよい。また、軸部材2の中央より右側に左ネジ山が螺刻され、中央より左側に右ネジ山が螺刻されているとしてもよく、さらに、軸部材2の中央より左側に左ネジ山が螺刻され、中央より右側に右ネジ山が螺刻されているとしてもよい。また、軸部材2のすべてを左ネジ山(右ネジ山)が螺刻されるようにしてもよい。ここで、軸部材2の一端部側および他端部側とは、軸部材2の一端部側および他端部側のみに左ネジ山13や右ネジ山14が螺刻されていることをいうのではなく、少なくとも軸部材2の一端部側および他端部側に左ネジ山13や右ネジ山14が螺刻されていることをいうのである。すなわち、軸部材2の一端部側および他端部側には、軸部材2の一端部側および他端部側とともに、中央側にも左ネジ山13や右ネジ山14が螺刻されていることが含まれる。さらに、本実施形態では、軸部材2の一端部側および他端部側にピン挿入孔2aが1個ずつ形成されているが、これに限らず、軸部材2の一端部側および/または他端部側にピン挿入孔2aが3個~5個形成されていてもよい。
【0021】
左側調整板3は、ステンレス鋼を材質とし、側面に軸部材2が挿通される左側貫通孔17が形成され、その左側貫通孔17に軸部材2が挿通された状態で軸部材2の左側に装着される。そして、左側調整板3は、軸部材2の左ネジ山13に螺合された左ネジ山ナット5a(左ネジ山ナット5b)が軸部材2の端部側(中央側)に配されることにより軸部材2に装着されている。すなわち、左側調整板3は、後述する卵型切り刃体16の弾性力により軸部材2の端部側方向に移動させる力が働くが、左ネジ山ナット5aにより軸部材2の端部側方向に移動させる力が阻止されながら軸部材2に装着されている。また、左側調整板3の左側貫通孔17の径は、軸部材2の左ネジ山13のネジ谷の径と略同径であることから、左側調整板3を回転させることにより、左側調整板3を軸部材2の左ネジ山13に沿って移動させることができる。なお、本実施形態では、左側調整板3は、軸部材2の左ネジ山13に螺合された左ネジ山ナット5a(左ネジ山ナット5b)が軸部材2の端部側(中央側)に配されることにより軸部材2に装着されているとしたが、これに限らず、軸部材2の右ネジ山14に螺合された右ネジ山ナット6a(右ネジ山ナット6b)が軸部材2の端部側(中央側)に配されることにより軸部材2に装着されるようにしてもよい。また、本実施形態では、左側調整板3の左側貫通孔17の径は、軸部材2の左ネジ山13のネジ谷の径と略同径であるとしたが、これに限らず、軸部材2の左ネジ山13のネジ山の径より大きくしてもよい。このように、左側調整板3の左側貫通孔17の径を軸部材2の左ネジ山13のネジ山の径より大きくすることにより、左側調整板3が左ネジ山13のネジ山に引っ掛かることなく、左ネジ山13のネジ山の上部をスムーズに移動させることができ、軸部材2上を容易に移動させることができる。
【0022】
右側調整板4は、ステンレス鋼を材質とし、側面に軸部材2が挿通される右側貫通孔18が形成され、その右側貫通孔18に軸部材2が挿通された状態で軸部材2の右側に装着される。そして、右側調整板4は、軸部材2の右ネジ山14に螺合された右ネジ山ナット6a(右ネジ山ナット6b)が軸部材2の端部側(中央側)に配されることにより軸部材2に装着されている。すなわち、右側調整板4は、後述する卵型切り刃体16の弾性力により軸部材2の端部側方向に移動させる力が働くが、右ネジ山ナット6aにより軸部材2の端部側方向に移動させる力が阻止されながら軸部材2に装着されている。また、右側調整板4の右側貫通孔18の径は、軸部材2の右ネジ山14のネジ谷の径と略同径であることから、右側調整板4を回転させることにより、右側調整板4を軸部材2の右ネジ山14に沿って移動させることができる。なお、本実施形態では、右側調整板4は、軸部材2の右ネジ山14に螺合された右ネジ山ナット6a(右ネジ山ナット6b)が軸部材2の端部側(中央側)に配されることにより軸部材2に装着されているとしたが、これに限らず、軸部材2の左ネジ山13に螺合された左ネジ山ナット5a(左ネジ山ナット5b)が軸部材2の端部側(中央側)に配されることにより軸部材2に装着されるようにしてもよい。また、本実施形態では、右側調整板4の右側貫通孔18の径は、軸部材2の右ネジ山14のネジ谷の径と略同径であるとしたが、これに限らず、軸部材2の右ネジ山14のネジ山の径より大きくしてもよい。このように、右側調整板4の右側貫通孔18の径を軸部材2の右ネジ山14のネジ山の径より大きくすることにより、右側調整板4が右ネジ山14のネジ山に引っ掛かることなく、右ネジ山14のネジ山の上部をスムーズに移動させることができ、軸部材2上を容易に移動させることができる。
【0023】
左側ロープ接続具7は、軸部材2の左側端部に装着され、ワイヤーロープ15aが取り付けられる(図4図5参照)。具体的には、左側ロープ接続具7は、アイナットから構成されている。そして、左側ロープ接続具7は、アイナットの挿入孔7aに軸部材2が挿通され、その挿通された軸部材2に締付ナット7bが螺合されることにより、軸部材2の左側端部に装着される。また、軸部材2の左側端部に形成されたピン挿入孔2aに抜け防止ピン22が挿入されることにより、軸部材2に螺合されている締付ナット7bが軸部材2からはずれることを防止している。なお、本実施形態では、左側ロープ接続具7にワイヤーロープ15aを取り付けるようにしたが、これに限らず、ワイヤーロープ15a以外のロープを取り付けてもよい。
【0024】
右側ロープ接続具8は、軸部材2の右側端部に装着され、ワイヤーロープ15bが取り付けられる(図4図5参照)。具体的には、右側ロープ接続具8も、アイナットから構成されている。そして、右側ロープ接続具8は、左側ロープ接続具7と同様、アイナットの挿入孔8aに軸部材2が挿通され、その挿通された軸部材2に締付ナット8bが螺合されることにより、軸部材2の右側端部に装着される。また、軸部材2の右側端部に形成されたピン挿入孔2aに抜け防止ピン22が挿入されることにより、軸部材2に螺合されている締付ナット8bが軸部材2からはずれることを防止している。なお、本実施形態では、右側ロープ接続具8にワイヤーロープ15bを取り付けるようにしたが、これに限らず、ワイヤーロープ15b以外のロープを取り付けてもよい。
【0025】
左向き切り刃9は、ステンレス鋼を材質とし、左側調整板3と右側調整板4の間に亘って、軸部材2の周回りに、軸部材2の長手方向に対し斜め左向きに回転させながら軸部材2の周方向に間隔を空けて複数個設けられている。また、右向き切り刃10についても、ステンレス鋼を材質とし、左側調整板3と右側調整板4の間に亘って、軸部材2の周回りに、軸部材2の長手方向に対し斜め右向きに回転させながら軸部材2の周方向に間隔を空けて複数個設けられている。このように、左側調整板3と右側調整板4の間に亘って、左向き切り刃9は、軸部材2の周回りに、軸部材2の長手方向に対し斜め左向きに回転させながら配され、また、右向き切り刃10は、軸部材2の周回りに、軸部材2の長手方向に対し斜め右向きに回転させながら配されているので、左向き切り刃9と右向き切り刃10は、交差した斜め格子状に配されることにより、全体としての外形は略卵形状の卵型切り刃体16の形状が形成される。そして、この左向き切り刃9が右向き切り刃10と交差するところは、左向き切り刃9が右向き切り刃10上部(右向き切り刃10下部)→右向き切り刃10下部(右向き切り刃10上部)→右向き切り刃10上部(右向き切り刃10下部)に配され、また、右向き切り刃10が左向き切り刃9と交差するところは、右向き切り刃10が左向き切り刃9上部(左向き切り刃9下部)→左向き切り刃9下部(左向き切り刃9上部)→左向き切り刃9上部(左向き切り刃下部)に配され、このように、左向き切り刃9が右向き切り刃10と絡みながら交差しているので、卵型切り刃体16の形状が変形しにくくなっている。また、左向き切り刃9および右向き切り刃10の長手方向横断面は、略逆台形形状で形成されている(図1(d)参照)。このように、左向き切り刃9および右向き切り刃10の長手方向横断面が略逆台形形状で形成されているので、管路11に突出した木の根12等の突出物を効率よく取り除くことができる。
【0026】
次に、本発明の第1実施形態におけるローリングカッター1の左側調整板3と右側調整板4の間の長さを変更維持させる手順について、図3を用いて説明する。ここで、図3は、本発明の第1実施形態におけるローリングカッターの左側調整板と右側調整板の間の長さを変更維持させる手順を示す図である。
【0027】
以下において、ローリングカッター1の左側調整板3と右側調整板4の間の長さを狭める手順について説明するが、ローリングカッター1の左側調整板3と右側調整板4の間の長さを広める手順については、ローリングカッター1の左側調整板3と右側調整板4の間の長さを狭める手順から容易に理解できるので、説明は省略する。
【0028】
ローリングカッター1の左側調整板3と右側調整板4の間の長さを狭める際には、作業者は、軸部材2を持ちながら卵型切り刃体16全体を左方向から見て時計逆回転方向に回転させ、卵型切り刃体16の回転が完了した後に、軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)に螺合されている左ネジ山ナット5a(右ネジ山ナット6a)を軸部材2の中央方向に移動させることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さが狭まる方向に、左側調整板3と右側調整板4を移動させることができる。具体的には、卵型切り刃体16を回転させる際に、軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)に螺合されている左ネジ山ナット5b(右ネジ山ナット6b)が左側調整板3(右側調整板4)の右側端部(左側端部)と接している場合は、まず左側調整板3(右側調整板4)の右側端部(左側端部)と接している左ネジ山ナット5b(右ネジ山ナット6b)を軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)に沿って軸部材2の中央方向に移動させ、左ネジ山ナット5b(右ネジ山ナット6b)を軸部材2の中央方向の所定位置に移動させた後、その移動させた左ネジ山ナット5b(右ネジ山ナット6b)と接するまで、卵型切り刃体16全体を左方向から見て時計逆回転方向に回転させる。ここで、「左ネジ山ナット5b(右ネジ山ナット6b)を軸部材2の中央方向の所定位置に移動」の「所定位置」とは、左側調整板3(右側調整板4)を中央方向に移動させる位置のことである。そして、卵型切り刃体16の回転を完了させた後に、軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)に螺合されている左ネジ山ナット5a(右ネジ山ナット6a)を卵型切り刃体16が回転された位置まで軸部材2の中央方向に回転させる。つまり、ローリングカッター1の左側調整板3(右側調整板4)に接する位置まで、左ネジ山ナット5a(右ネジ山ナット6a)を軸部材2の中央方向に回転移動させる。このように、軸部材2の中央方向に回転させた左ネジ山ナット5b(右ネジ山ナット6b)と接するまで卵型切り刃体16全体を左方向から見て時計逆回転方向に回転させ、その卵型切り刃体16が回転された位置、つまりローリングカッター1の左側調整板3(右側調整板4)に接する位置まで左ネジ山ナット5a(右ネジ山ナット6a)を軸部材2の中央方向に回転させることにより、ローリングカッター1の左側調整板3(右側調整板4)を左ネジ山ナット5a(右ネジ山ナット6a)と左ネジ山ナット5b(右ネジ山ナット6b)で締め付け固定することができる。本実施形態では、軸部材2の左端部側に左ネジ山13、右端部側に右ネジ山14が螺刻され、左側調整板3(右側調整板4)の左側貫通孔17(右側貫通孔18)の径は、軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ谷の径と略同径であることから、左側調整板3(右側調整板4)を回転させることにより、左側調整板3(右側調整板4)が軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)に沿って軸部材2の中央方向に移動し、左側調整板3と右側調整板4が近づく方向に移動させることができる。このように、卵型切り刃体16、左ネジ山ナット5(5a、5b)と右ネジ山ナット6(6a、6b)をそれぞれ軸部材2の中央方向に回転させることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さが狭まる方向に容易に移動させることができる。そして、左側調整板3と右側調整板4の間の長さが狭まる方向に移動させることにより、卵型切り刃体16の断面径を増大変更維持させることができる。
【0029】
また、左側調整板3もしくは右側調整板4の一方だけを移動させて左側調整板3と右側調整板4の間の長さを狭めるときには、作業者は、左側調整板3もしくは右側調整板4の一方だけを「卵型切り刃体16全体を左方向から見て時計逆回転方向」に回転させ、左側調整板3もしくは右側調整板4の一方の回転が完了した後に、軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)に螺合されている左ネジ山ナット5a(右ネジ山ナット6a)の一方を軸部材2の中央方向に移動させることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さが狭まる方向に、左側調整板3もしくは右側調整板4の一方を移動させることができる。また、左側調整板3(右側調整板4)の左側貫通孔17(右側貫通孔18)の径が軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ山の径より大きく形成されている場合は、左側調整板3(右側調整板4)を左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ山の上部で軸部材2に沿って滑らすようにして移動させることができる。このように、左側調整板3(右側調整板4)の左側貫通孔17(右側貫通孔18)の径が軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ山の径より大きく形成されている場合は、左ネジ山ナット5(右ネジ山ナット6)を回転させることにより、卵型切り刃体16(左側調整板3(右側調整板4))が左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ山の上部を軸部材2に沿って滑るように移動するので、左ネジ山ナット5(右ネジ山ナット6)を回転させることだけで、左側調整板3と右側調整板4の間の長さが狭まる方向に左側調整板3(右側調整板4)を容易に移動させることができる。なお、本実施形態では、卵型切り刃体16を回転させ、卵型切り刃体16の回転が完了した後に、軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)に螺合されている左ネジ山ナット5a(右ネジ山ナット6a)を軸部材2の中央方向に移動させることにしたが、これに限らず、卵型切り刃体16の回転と左ネジ山ナット5(右ネジ山ナット6)の回転を並行して行なうようにしてもよい。このようにすることにより、軸部材2の左端部側に左ネジ山13、右端部側に右ネジ山14が螺刻され、卵型切り刃体16の左側調整板3(右側調整板4)の左側貫通孔17(右側貫通孔18)の径は、軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ谷の径と略同径であることから、左側調整板3(右側調整板4)および左ネジ山ナット5(右ネジ山ナット6)を軸部材2の左ネジ山13(右ネジ山14)に螺合させながら回転することになり、左側調整板3と右側調整板4の間の長さが狭まる方向に左側調整板3(右側調整板4)を容易に移動させることができる。
【0030】
このように、左側調整板3(右側調整板4)は、左ネジ山ナット5および/または右ネジ山ナット6が軸部材2の左ネジ山13および/または右ネジ山14と螺合された状態で、軸部材2の左ネジ山13に螺合された左ネジ山ナット5bおよび/または軸部材2の右ネジ山14に螺合された右ネジ山ナット6bと接するまで、卵型切り刃体16全体を左方向から見て時計逆回転方向に回転させ、そして、卵型切り刃体16の回転が完了した後、軸部材2の左ネジ山13に螺合された左ネジ山ナット5aおよび/または軸部材2の右ネジ山14に螺合された右ネジ山ナット6aをローリングカッター1の左側調整板3(右側調整板4)に接する位置まで軸部材2の中央方向に回転させることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さを狭める方向に変更維持させることができる。これにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さを狭める方向に変更維持させることができるので、卵型切り刃体16の断面径を変更維持させるための他の設備を要することなく、大きな負荷が生じない作業で容易に卵型切り刃体16の断面径を増大(変更)させることができる。
【0031】
次に、本発明の第1実施形態におけるローリングカッターを用いた施工状況について図4を用いて説明する。ここで、図4は、本発明の第1実施形態におけるローリングカッターを用いた施工状況を示す概略図である。
【0032】
ローリングカッター1は、左側ロープ接続具7(右側ロープ接続具8)にワイヤーロープ15(15a、15b)が接続された状態で管路11内に配され、ローリングカッター1の卵型切り刃体16の外径が調整されて、外形が管路11に接するようになっている。この状態で、ローリングカッター1の左側ロープ接続具7に接続されたワイヤーロープ15aは、金車19aを介して人孔20aから地上のウインチ21aに接続され、右側ロープ接続具8に接続されたワイヤーロープ15bは、金車19bを介して人孔20bから地上のウインチ21bに接続されている。そして、ワイヤーロープ15aがウインチ21aにより巻き取られると、ローリングカッター1は人孔20aの方向に移動し、また、ワイヤーロープ15bがウインチ21bにより巻き取られると、ローリングカッター1は人孔20bの方向に移動することになる。
【0033】
次に、本発明の第1実施形態におけるローリングカッターを用いた施工方法について図4図5を用いて説明する。ここで、図5(a)は本発明の第1実施形態におけるローリングカッターにより管路内に突出した木の根が切り取られる前の状況を示す図であり、図5(b)は同ローリングカッターにより管路内に突出した木の根が切り取られる状況を示す図であり、図5(c)は同ローリングカッターにより管路内に突出した木の根が切り取られた後の状況を示す図である。
【0034】
地上の作業員により、ウインチ21bを用いて、ゆっくりワイヤーロープ15bが巻かれる。これにより、ローリングカッター1は、管路11内を少しづつ人孔20b方向に移動していく。このように、ローリングカッター1が管路11内を少しづつ人孔20b方向に移動していくと、外形が管路11に接するように配されているローリングカッター1は、左向き切り刃9と右向き切り刃10が交差した斜め格子状の卵型切り刃体16を有しているので、その左向き切り刃9と右向き切り刃10により、管路11内に木の根12(硬い突出物)が突出している場合でも、管路11内に突出している木の根12(硬い突出物)を「斜め格子状の左向き切り刃9と右向き切り刃10」で挟み込み容易に切断し取り除くことができる(図5参照)。また、左向き切り刃9および右向き切り刃10の長手方向横断面が略逆台形形状で形成されているので、管路11に突出した木の根12等の突出物を効率よく取り除くことができる。また、径が異なる管路11で、ローリングカッター1を用いる場合は、上述したように、卵型切り刃体16全体を円周同方向に回転させることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さが容易に変更維持でき、ローリングカッター1(卵型切り刃体16)の断面径が容易に変更維持させることができるので、卵型切り刃体16の断面径を変更維持させるための他の設備を要することなく、大きな負荷が生じない作業で容易に卵型切り刃体16の断面径を変更維持させることができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態におけるローリングカッターについて、図面を参照にしながら説明する。ここで、図6(a)は本発明の第2実施形態におけるローリングカッターの右側斜視図であり、図6(b)は同ローリングカッターの正面図であり、図6(c)は同ローリングカッターの側面図であり、図6(d)同ローリングカッターの左向き切り刃および右向き切り刃の長手方向横断面を示す図である。
【0036】
第2実施形態と第1実施形態の異なるところは、第1実施形態では、左側調整板3は軸部材2の左ネジ山13に螺合された左ネジ山ナット5(5a、5b)と別部材であり、また、右側調整板4は軸部材2の右ネジ山14に螺合された右ネジ山ナット6(6a、6b)と別部材にしていたのに対し、第2実施形態では、左側調整板33は、軸部材2の左ネジ山13に螺合された左ネジ山ナット35(35a、35b)と溶接により一体的に構成され、また、右側調整板34は軸部材2の右ネジ山14に螺合された右ネジ山ナット36(36a、36b)と溶接により一体的に構成されるようにしたところが異なる(図6参照)。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と同一構成のものについては同一符号を用い、同一の作用効果を奏するものとし、説明は省略する。ここで、第2実施形態で用いられる軸部材2は、第1実施形態で用いられた軸部材2と同様の軸部材が用いられる。
【0037】
左側調整板33は、ステンレス鋼を材質とし、側面に軸部材2が挿通される左側貫通孔37が形成され、その左側貫通孔37に軸部材2が挿通された状態で軸部材2の左側に装着されている。具体的には、左側調整板33は、軸部材2の端部側に左ネジ山ナット35aが溶接され、また、軸部材2の中央側には左ネジ山ナット35bが溶接され、軸部材2の左ネジ山13に螺合された左ネジ山ナット35(35a、35b)と一体的に構成されている。また、左側調整板33の左側貫通孔37の径は、軸部材2の左ネジ山13のネジ山の径より大きく形成されている。なお、本実施形態では、左側調整板33は、軸部材2の端部側(中央側)に左ネジ山ナット35a(左ネジ山ナット35b)が溶接され、軸部材2の左ネジ山13に螺合された左ネジ山ナット35(35a、35b)と一体的に構成されるとしたが、これに限らず、軸部材2の右ネジ山14に螺合された右ネジ山ナット36と一体的に構成してもよい。また、本実施形態では、左側調整板33の左側貫通孔37の径は、軸部材2の左ネジ山13のネジ山の径より大きく形成されているとしたが、これに限らず、左側調整板33の左側貫通孔37の径は、軸部材2の左ネジ山13のネジ谷の径と略同径であってもよい。さらに、本実施形態では、左側調整板33は、軸部材2の端部側に左ネジ山ナット35aが溶接され、また、軸部材2の中央側には左ネジ山ナット35bが溶接されるが、これに限らず、軸部材2の端部側または中央側の少なくとも一方に、左ネジ山ナット35aまたは左ネジ山ナット35bが溶接されるようにしてもよい。
【0038】
右側調整板34は、ステンレス鋼を材質とし、側面に軸部材2が挿通される右側貫通孔38が形成され、その右側貫通孔38に軸部材2が挿通された状態で軸部材2の右側に装着されている。具体的には、右側調整板34は、軸部材2の端部側に右ネジ山ナット36aが溶接され、また、軸部材2の中央側には右ネジ山ナット36bが溶接され、軸部材2の右ネジ山14に螺合された右ネジ山ナット36(36a、36b)と一体的に構成されている。また、右側調整板34の右側貫通孔38の径は、軸部材2の右ネジ山14のネジ山の径より大きく形成されている。なお、本実施形態では、右側調整板34は軸部材2の端部側(中央側)に右ネジ山ナット36a(右ネジ山ナット36b)が溶接され、軸部材2の右ネジ山14に螺合された右ネジ山ナット36(36a、36b)と一体的に構成されているとしたが、これに限らず、軸部材2の左ネジ山13に螺合された左ネジ山ナット35と一体的に構成してもよい。また、本実施形態では、右側調整板34の右側貫通孔38の径は、軸部材2の右ネジ山14のネジ山の径より大きく形成されているとしたが、これに限らず、右側調整板34の右側貫通孔38の径は、軸部材2の右ネジ山14のネジ谷の径と略同径であってもよい。さらに、本実施形態では、右側調整板34は、軸部材2の端部側に右ネジ山ナット36aが溶接され、また、軸部材2の中央側には右ネジ山ナット36bが溶接されるが、これに限らず、軸部材2の端部側または中央側の少なくとも一方に、右ネジ山ナット36aまたは右ネジ山ナット36bが溶接されるようにしてもよい。
【0039】
第2実施形態では、左ネジ山ナット35(35a、35b)および右ネジ山ナット36(36a、36b)により、左側調整板33と右側調整板34の間の長さを変更維持させる調整板間長さ変更維持手段が構成される。なお、本実施形態では、左ネジ山ナット35および右ネジ山ナット36により調整板間長さ変更維持手段が構成されるとしたが、これに限らず、第1実施形態と同様、左ネジ山ナット35aおよび/または右ネジ山ナット36aにより調整板間長さ変更維持手段が構成されてもよく、左ネジ山ナット35または右ネジ山ナット36のいずれかにより調整板間長さ変更維持手段が構成されてもよく、また、左ネジ山ナット35と右ネジ山ナット36、および軸部材2の一端部側の左ネジ山13と他端部側の右ネジ山14により調整板間長さ変更維持手段が構成されるようにしてもよい。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態におけるローリングカッター31の左側調整板33と右側調整板34の間の長さを変更維持させる手順について、図7を用いて説明する。ここで、図7は、第2実施形態におけるローリングカッターの左側調整板と右側調整板の間の長さを変更維持させる手順を示す図である。
【0041】
以下において、ローリングカッター31の左側調整板33と右側調整板34の間の長さを狭める手順について説明するが、ローリングカッター31の左側調整板33と右側調整板34の間の長さを広める手順については、ローリングカッター31の左側調整板33と右側調整板34の間の長さを狭める手順から容易に理解できるので、説明は省略する。
【0042】
ローリングカッター31の左側調整板33と右側調整板34の間の長さを狭める際には、作業者は、軸部材2を持ちながら卵型切り刃体16全体を左方向から見て時計逆回転方向に回転させることにより、左側調整板33と右側調整板34の間の長さが狭まる方向に、左側調整板33と右側調整板34を移動させることができる。すなわち、左側調整板33に一体的に設けられている左ネジ山ナット35(35a、35b)が軸部材2左端部側の左ネジ山13と螺合されながら軸部材2の中央方向に移動するとともに、右側調整板34に一体的に設けられている右ネジ山ナット36(36a、36b)が軸部材2右端部側の右ネジ山14と螺合されながら軸部材2の中央方向に移動し、左側調整板33と右側調整板34が近づく方向に移動させることができる。このように、卵型切り刃体16を時計逆回転方向(一回転方向)に回転させることにより、左側調整板33と右側調整板34の間の長さが狭まる方向に移動させることができ、容易に卵型切り刃体16の断面径を変更維持させることができる。また、左側調整板33もしくは右側調整板34の一方だけ移動させるときは、第1実施形態と同様、左側調整板33もしくは右側調整板34の一方だけを回転させて、左側調整板33に一体的に設けられている左ネジ山ナット35(35a、35b)もしくは右側調整板34に一体的に設けられている右ネジ山ナット36(36a、36b)を軸部材2の左ネジ山13もしくは右ネジ山14に螺合させながら軸部材2の中央方向に移動させることができる。
【0043】
このように、左ネジ山ナット35(右ネジ山ナット36)が左側調整板33(右側調整板34)に一体的に取り付けられているので、卵型切り刃体16を左側調整板33(右側調整板34)とともに回転させることができ、左側調整板33と右側調整板34の間の長さを容易に変更維持させることができる。また、卵型切り刃体16を左側調整板33(右側調整板34)とともに回転させることにより、左側調整板33と右側調整板34の間の長さを変更維持させることができるので、卵型切り刃体16の断面径を変更維持させるための他の設備を要することなく、大きな負荷が生じない作業で容易に卵型切り刃体16の断面径を増大維持(変更維持)させることができる。
【0044】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態におけるローリングカッターについて、図面を参照にしながら説明する。ここで、図8(a)は本発明の第3実施形態におけるローリングカッターの右側斜視図であり、図8(b)は同ローリングカッターの正面図であり、図8(c)は同ローリングカッターの側面図であり、図8(d)は同ローリングカッターの左向き切り刃および右向き切り刃の長手方向横断面を示す図である。
【0045】
第3実施形態と第1実施形態の異なるところは、第1実施形態では、軸部材2の左ネジ山13に螺合されている左ネジ山ナット5(5a、5b)および軸部材2の右ネジ山14に螺合されている右ネジ山ナット6(6a、6b)の位置を変えることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さを変更維持させるようにしたのに対し、第3実施形態では、軸部材42の一端部(他端部)に一端部側ピン挿入孔45(他端部側ピン挿入孔47)が形成され、その一端部側ピン挿入孔45(他端部側ピン挿入孔47)に一端部側ピン46(他端部側ピン48)が挿入されることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さが変更維持されるようにしたところが異なる(図8参照)。なお、第3実施形態においては、第1実施形態と同一構成のものについては同一符号を用い、同一の作用効果を奏するものとし、説明は省略する。
【0046】
軸部材42は、ステンレス鋼を材質とし、軸ボルトからなる棒状形状で形成されている。具体的には、軸部材42は、左端部側に一端部側ピン挿入孔45が所定の間隔毎に8個形成され、また右端部側にも他端部側ピン挿入孔47が所定の間隔毎に8個ずつ形成されている。なお、本実施形態では、左端部側に一端部側ピン挿入孔45が所定の間隔毎に8個形成され、右端部側に他端部側ピン挿入孔47が所定の間隔毎に8個形成されているとしたが、これに限らず、左端部側に一端部側ピン挿入孔45が複数個(4個~10個(好ましくは、6個~10個(より好ましくは、6個~8個)))形成され、右端部側に他端部側ピン挿入孔47が複数個(4個~10個(好ましくは、6個~10個(より好ましくは、6個~8個)))形成されていてもよく、また、一端部側ピン挿入孔45と他端部側ピン挿入孔47が異なる個数形成されるようにしてもよい。さらに、左端部側に他端部側ピン挿入孔47が複数個(4個~10個(好ましくは、6個~10個(より好ましくは、6個~8個)))形成され、右端部側に一端部側ピン挿入孔45が複数個(4個~10個(好ましくは、6個~10個(より好ましくは、6個~8個)))に形成されているとしてもよい。すなわち、軸部材42は、一端部側に一端部側ピン挿入孔45が複数個(4個~10個(好ましくは、6個~10個(より好ましくは、6個~8個)))形成され、他端部側に他端部側ピン挿入孔47が複数個(4個~10個(好ましくは、6個~10個(より好ましくは、6個~8個)))形成されているとしてもよい。また、一端部側ピン挿入孔45(他端部側ピン挿入孔47)は、所定の間隔毎に設けなくてもよい。
【0047】
左側調整板3(右側調整板4)は、第1実施形態の左側調整板3(右側調整板4)と同様、左側調整板3(右側調整板4)の左側貫通孔17(右側貫通孔18)の径は、軸部材42の右ネジ山14のネジ谷の径と略同径である。これにより、左側調整板3(右側調整板4)を回転させることにより、左側調整板3(右側調整板4)を軸部材42の左ネジ山13(右ネジ山14)に沿って移動させることができる。なお、本実施形態では、左側調整板3(右側調整板4)の左側貫通孔17(右側貫通孔18)の径は、軸部材42の左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ谷の径と略同径であるとしたが、これに限らず、第1実施形態と同様、軸部材42の左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ山の径より大きくしてもよい。このように、左側調整板3(右側調整板4)の左側貫通孔17(右側貫通孔18)の径を軸部材42の左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ山の径より大きくすることにより、左側調整板3(右側調整板4)が左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ山に引っ掛かることなく、左ネジ山13(右ネジ山14)のネジ山の上部をスムーズに移動させることができ、軸部材42上を容易に移動させることができる。
【0048】
このように、第3実施形態では、軸部材42の一端部側ピン挿入孔45に挿入される一端部側ピン46および軸部材42の他端部側ピン挿入孔47に挿入される他端部側ピン48の位置を変えることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さを変更維持させることができることから、軸部材42の一端部側ピン挿入孔45に挿入される一端部側ピン46および軸部材42の他端部側ピン挿入孔47に挿入される他端部側ピン48により、左側調整板3と右側調整板4の間の長さを変更維持させる調整板間長さ変更維持手段が構成される。なお、本実施形態では、一端部側ピン46および他端部側ピン48により調整板間長さ変更維持手段が構成されるとしたが、これに限らず、一端部側ピン46または他端部側ピン48のいずれかにより調整板間長さ変更維持手段が構成されてもよく、また、一端部側ピン46と他端部側ピン48、および軸部材42の一端部側ピン挿入孔45と他端部側ピン挿入孔47により調整板間長さ変更維持手段が構成されるとしてもよく、さらに、第1実施形態と同様、軸部材42左端部側(一端部側または他端部側)の左ネジ山13と右端部側(他端部側または一端部側)の右ネジ山14により調整板間長さ変更維持手段が構成されるとしてもよい。すなわち、第3実施形態では、調整板間長さ変更維持手段は、軸部材42の一端部側ピン挿入孔45から一端部側ピン46が抜き取られ、他の一端部側ピン挿入孔45に挿入、および/または軸部材42の他端部側ピン挿入孔47から他端部側ピン48が抜き取られ、他の他端部側ピン挿入孔47に挿入されることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さが変更維持される。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態におけるローリングカッター41の左側調整板3と右側調整板4の間の長さを変更維持させる手順について、図9を用いて説明する。ここで、図9は、本発明の第3実施形態におけるローリングカッターの左側調整板と右側調整板の間の長さを変更維持させる手順を示す図である。
【0050】
以下において、ローリングカッター41の左側調整板3と右側調整板4の間の長さを狭める手順について説明するが、ローリングカッター41の左側調整板3と右側調整板4の間の長さを広める手順については、ローリングカッター41の左側調整板3と右側調整板4の間の長さを狭める手順から容易に理解できるので、説明は省略する。
【0051】
ローリングカッター41の左側調整板3と右側調整板4の間の長さを狭める際には、作業者は、軸部材42を持ちながら卵型切り刃体16全体を左方向から見て時計逆回転方向に回転させ、左側調整板3と右側調整板4を左側調整板3と右側調整板4の間の長さが狭まる方向に移動させる。そして、軸部材42の端部側の一端部側ピン挿入孔45(他端部側ピン挿入孔47)に挿入されている一端部側ピン46(他端部側ピン48)を抜き取り、抜き取られた一端部側ピン46(他端部側ピン48)を軸部材42の中央側の一端部側ピン挿入孔45(他端部側ピン挿入孔47)に挿入させることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さを変更維持させることができる。このように、第3実施形態のローリングカッター41は、一端部側ピン46および他端部側ピン48を抜き取り、抜き取られた一端部側ピン46および他端部側ピン48を左側調整板3と右側調整板4の間の長さが狭まる方向の一端部側ピン挿入孔45および他端部側ピン挿入孔47に移動挿入させることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さが狭まる方向に移動させることができ、容易に卵型切り刃体16の断面径を変更維持させることができる。また、左側調整板3もしくは右側調整板4の一方だけ移動させるときは、一端部側ピン挿入孔45または他端部側ピン挿入孔47に挿入された一端部側ピン46もしくは他端部側ピン48のいずれかを抜き取り、抜き取られた一端部側ピン46または他端部側ピン48を左側調整板3と右側調整板4の間の長さが狭まる方向の一端部側ピン挿入孔45または他端部側ピン挿入孔47に移動挿入させる。
【0052】
このように、軸部材42は、一端部側(他端部側)に一端部側ピン挿入孔45(他端部側ピン挿入孔47)が所定の間隔毎にそれぞれ8個形成され、そして、一端部側ピン46(他端部側ピン48)が一端部側ピン挿入孔45(他端部側ピン挿入孔47)に挿入されることにより、左側調整板3と右側調整板4の間の長さを容易に変更維持することができる。このように、左側調整板3と右側調整板4の間の長さを容易に変更維持させることができるので、卵型切り刃体16の断面径を変更維持させるための他の設備を要することなく、大きな負荷が生じない作業で容易に卵型切り刃体16の断面径を容易に増大維持(変更維持)させることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態のローリングカッター1(31,41)によれば、左側調整板3(33)と右側調整板4(34)の間に亘って、軸部材2(42)の周回りに、軸部材2(42)の長手方向に対し斜め左向き(斜め右向き)に回転させながら軸部材の周方向に間隔を空けて複数個設けられた左向き切り刃9(右向き切り刃10)を有し、その左向き切り刃9と右向き切り刃10は交差した斜め格子状に配されるので、管路11内に木の根12等の硬い突出物が突出している場合でも、卵型切り刃体16を回転させず引っ張ることだけで、その交差させて斜め格子状に配されている左向き切り刃9と右向き切り刃10により、管路11内に突出したしぶとい突出物でも「斜め格子状の左向き切り刃9と右向き切り刃10」で挟み込み容易に切断し取り除くことができるとともに、左側調整板3(33)と右側調整板4(34)の間の長さを変えることにより卵型切り刃体16の断面径が変更維持できるので、卵型切り刃体16の断面径を変更維持させるための他の設備を要することなく、大きな負荷が生じない作業で容易に卵型切り刃体16の断面径を変更維持させることができる。
【0054】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
1 ローリングカッター
2 軸部材
2a ピン挿入孔
3 左側調整板
4 右側調整板
5 左ネジ山ナット
6 右ネジ山ナット
7 左側ロープ接続具
7a 挿入孔
7b 締付ナット
8 右側ロープ接続具
8a 挿入孔
8b 締付ナット
9 左向き切り刃
10 右向き切り刃
11 管路
12 木の根
13 左ネジ山
14 右ネジ山
15a ワイヤーロープ
15b ワイヤーロープ
16 卵型切り刃体
17 左側貫通孔
18 右側貫通孔
19a 金車
19b 金車
20a 人孔
20b 人孔
21a ウインチ
21b ウインチ
22 抜け防止ピン
31 ローリングカッター
33 左側調整板
34 右側調整板
35 左ネジ山ナット
36 右ネジ山ナット
37 左側貫通孔
38 右側貫通孔
41 ローリングカッター
42 軸部材
45 一端部側ピン挿入孔
46 一端部側ピン
47 他端部側ピン挿入孔
48 他端部側ピン


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11