(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028727
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】疾病リスク評価装置、疾病リスク評価システム、及び疾病リスク評価方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20250221BHJP
A61B 3/14 20060101ALI20250221BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20250221BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
G16H50/20
A61B3/14
A61B3/10 100
A61B10/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177289
(22)【出願日】2023-10-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2023133563
(32)【優先日】2023-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521233943
【氏名又は名称】株式会社 SAI
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福間 康文
(72)【発明者】
【氏名】ザイシン マオ
(72)【発明者】
【氏名】塚田 央
【テーマコード(参考)】
4C316
5L099
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AA30
4C316AB02
4C316AB11
4C316AB16
4C316FB21
4C316FB26
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定し、疾病の候補を提案する疾病リスク評価装置、疾病リスク評価システム、及び疾病リスク評価方法を提供する。
【解決手段】本発明の疾病リスク評価装置は、ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部と、第1の学習済モデルと、第1の学習済モデルに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由のデータを出力する、予測理由解析部と、予測理由解析部から出力された疾病レベル予測理由のデータを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力する、症状予測部と、症状予測部から出力された症状に基づいて症状に対応する疾病の疾病情報を出力する、疾病情報出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部と、
前記第1の学習済モデルと、前記第1の学習済モデルに入力された前記診断データとを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由のデータを出力する、予測理由解析部と、
前記予測理由解析部から出力された前記疾病レベル予測理由のデータを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力する、症状予測部と、
前記症状予測部から出力された症状に基づいて前記症状に対応する疾病の疾病情報を出力する、疾病情報出力部と
を備えることを特徴とする、疾病リスク評価装置。
【請求項2】
前記疾病情報出力部は、前記症状予測部から出力された症状を入力として、外部の疾病データベース内を検索し、前記症状に対応する疾病名又は疾病コードを出力することを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項3】
前記第1の学習済モデルは、ユーザの診断データを学習用診断データとして入力し、特定の疾病に関する疾病レベルごとの診断データを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項4】
前記学習用診断データが、ユーザの眼底画像、OCT(Optical Coherence Tomography)計測値、BMI(Body Mass Index)、性別、年齢、健康診断パラメータのうちのいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項3に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項5】
前記予測理由解析部は、前記第1の学習済モデル内のニューラルネットワークの各層の伝播係数に関する値を抽出し、前記疾病レベル予測スコアが導出された主要因を解析することを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項6】
前記予測理由解析部は、前記第1の学習済モデル内のニューラルネットワークの各層の伝播係数の積算値を抽出し、診断データのピクセル毎又はパラメータ毎に、前記疾病レベル予測スコアが導出されたことへの貢献度を数値化することを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項7】
数値化された前記貢献度をマップ又はグラフとして出力することを特徴とする、請求項6に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項8】
前記第2の学習済モデルは、特定の症状が現れている画像データと前記特定の症状を示すIDとを学習用データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項9】
前記第2の学習済モデルは、特定の症状を示す数値データと前記特定の症状を示すIDとを学習用データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項10】
前記特定の疾病が、うつ病であり、
前記第1の学習済モデルは、ユーザの眼底画像及びOCT計測値を学習用健診データとして入力し、前記うつ病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項3に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項11】
前記疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像及びOCT計測値を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項10に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項12】
前記予測理由解析部は、前記第1の学習済モデルと、前記第1の学習済モデルに前記診断データとして入力された前記ユーザの眼底画像及び前記OCT計測値とを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由として少なくともユーザの眼底画像に対応する貢献度マップを出力することを特徴とする、請求項10に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項13】
前記特定の疾病が、糖尿病であり、
前記第1の学習済モデルは、少なくとも基本バイオ数値を学習用健診データとして入力し、糖尿病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項3に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項14】
疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも基本バイオ数値を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項13に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項15】
前記予測理由解析部は、前記第1の学習済モデルと、前記第1の学習済モデルに前記診断データとして入力された前記基本バイオ数値とを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由として少なくとも関連する基本バイオ数値を出力することを特徴とする、請求項13に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項16】
前記特定の疾病が、HbA1C値に関する疾病であり、
前記第1の学習済モデルは、少なくともユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別を学習用健診データとして入力し、HbA1C値を学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項3に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項17】
前記疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアとしてHbA1C値を出力することを特徴とする、請求項16に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項18】
前記予測理由解析部は、前記第1の学習済モデルと、前記第1の学習済モデルに前記診断データとして入力されたユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別とを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由として少なくとも関連するパラメータを出力することを特徴とする、請求項16に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項19】
前記特定の疾病が、心疾患に関する疾病であり、
前記第1の学習済モデルは、ユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上を学習用健診データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項3に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項20】
前記疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとしてユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項19に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項21】
前記予測理由解析部は、前記第1の学習済モデルと、前記第1の学習済モデルに前記診断データとして入力されたユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上とを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由として少なくとも関連するパラメータを出力することを特徴とする、請求項19に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項22】
前記症状予測部は、少なくともユーザの眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像を入力として、第2の学習済モデルM2により症状を予測し、予測された症状を出力する、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項23】
ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部と、
前記ユーザの診断データを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力する、症状予測部と、
前記症状予測部から出力された症状に基づいて前記症状に対応する疾病の疾病情報を出力する、疾病情報出力部と
を備えることを特徴とする、疾病リスク評価装置。
【請求項24】
前記疾病情報出力部は、前記症状予測部から出力された症状を入力として、外部の疾病データベース内を検索し、前記症状に対応する疾病名又は疾病コードを出力することを特徴とする、請求項23に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項25】
前記第1の学習済モデルは、ユーザの診断データを学習用診断データとして入力し、特定の疾病に関する疾病レベルごとの診断データを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項23に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項26】
前記学習用診断データが、ユーザの眼底画像、OCT(Optical Coherence Tomography)計測値、BMI(Body Mass Index)、性別、年齢、健康診断パラメータのうちのいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項25に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項27】
前記第2の学習済モデルは、特定の症状が現れている画像データと前記特定の症状を示すIDとを学習用データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項23に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項28】
前記第2の学習済モデルは、特定の症状を示す数値データと前記特定の症状を示すIDとを学習用データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項23に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項29】
前記特定の疾病が、うつ病であり、
前記第1の学習済モデルは、ユーザの眼底画像及びOCT計測値を学習用健診データとして入力し、前記うつ病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項25に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項30】
前記疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像及びOCT計測値を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項29に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項31】
前記特定の疾病が、糖尿病であり、
前記第1の学習済モデルは、少なくとも基本バイオ数値を学習用健診データとして入力し、糖尿病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項25に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項32】
疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも基本バイオ数値を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項31に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項33】
前記特定の疾病が、HbA1C値に関する疾病であり、
前記第1の学習済モデルは、少なくともユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別を学習用健診データとして入力し、HbA1C値を学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項25に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項34】
前記疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアとしてHbA1C値を出力することを特徴とする、請求項33に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項35】
前記特定の疾病が、心疾患に関する疾病であり、
前記第1の学習済モデルは、ユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上を学習用健診データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項25に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項36】
前記疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとしてユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項35に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項37】
前記症状予測部は、少なくともユーザの眼底画像を入力として、第2の学習済モデルM2により症状を予測し、予測された症状を出力する、請求項23に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項38】
前記特定の疾病が、糖尿病性網膜症であり、
前記第1の学習済モデルは、少なくとも眼底画像を学習用健診データとして入力し、糖尿病性網膜症に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項3に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項39】
疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも眼底画像を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項38に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項40】
前記予測理由解析部は、前記第1の学習済モデルと、前記第1の学習済モデルに前記診断データとして入力された前記眼底画像とを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由として少なくとも前記眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像を出力することを特徴とする、請求項38に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項41】
前記特定の疾病が、動脈硬化であり、
前記第1の学習済モデルは、少なくとも眼底画像を学習用健診データとして入力し、動脈硬化に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項3に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項42】
疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも眼底画像を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項41に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項43】
前記予測理由解析部は、前記第1の学習済モデルと、前記第1の学習済モデルに前記診断データとして入力された前記眼底画像とを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由として少なくとも前記眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像を出力することを特徴とする、請求項41に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項44】
前記特定の疾病が、糖尿病性網膜症であり、
前記第1の学習済モデルは、少なくとも眼底画像を学習用健診データとして入力し、糖尿病性網膜症に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項25に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項45】
疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも眼底画像を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項44に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項46】
前記特定の疾病が、動脈硬化であり、
前記第1の学習済モデルは、少なくとも眼底画像を学習用健診データとして入力し、動脈硬化に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項25に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項47】
疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも眼底画像を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項46に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項48】
請求項1~47のいずれか一項に記載の疾病リスク評価装置と、
ユーザ端末と、
前記ユーザ端末から入力されたユーザの診断データを格納する診断データデータベースと
を備え、
前記疾病レベル予測部が、前記診断データデータベースから前記ユーザの診断データを取得し、
前記疾病情報出力部が、前記疾病レベル予測部で予測された症状に対応する疾病情報を前記ユーザ端末に送信することを特徴とする、疾病リスク評価システム。
【請求項49】
疾病リスク評価装置が疾病リスクを評価する疾病リスク評価方法であって、前記疾病リスク評価装置が、
ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力するステップと、
前記疾病レベル予測スコアと、前記第1の学習済モデルと、前記第1の学習済モデルに入力された前記診断データとを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由を出力するステップと、
出力された前記疾病レベル予測理由のデータを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力するステップと、
出力された前記症状に基づいて前記症状に対応する疾病の疾病情報を出力するステップと
を含むことを特徴とする、疾病リスク評価方法。
【請求項50】
疾病リスク評価装置が疾病リスクを評価する疾病リスク評価方法であって、前記疾病リスク評価装置が、
ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力するステップと、
前記ユーザの診断データを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力するステップと、
出力された症状に基づいて前記症状に対応する疾病の疾病情報を出力するステップと
を含むことを特徴とする、疾病リスク評価方法。
【請求項51】
請求項49又は50に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康段階での特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定する疾病リスク評価装置、疾病リスク評価システム、及び疾病リスク評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、予防医学に関する関心が高まり、疾病に罹患していない健康段階において特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定することが求められている。また、AIによる機械学習済モデルを使用して健康診断等により得られた患者の診断データから、特定の疾病に罹患するリスクを判定することが試みられている。
【0003】
しかしながら、AIによる機械学習済モデルを使用してリスクの判定を行う際に、AIによる機械学習済モデルから出力された結果がどのような理由に基づいて判定されたものであるかについては、ユーザ側からはブラックボックスとなり、得られた結果をどのように評価し利用すれば良いのかユーザ側からは分かりづらいものとなっていた。
【0004】
そのため、AIによる機械学習済モデルを使用した疾病リスク評価システムを用いるユーザがシステムの導入を検討したり、システムからの出力結果を解釈してその結果を利用したりする際の意思決定に役立てるため、AIから出力された結果が得られた理由を明確にすることが求められている。
【0005】
また、例えば、特定の疾病に罹患するリスクが高いと判定された際に、AIから出力された結果が得られた理由を明確にすることにより、その特定の疾病に罹患するリスクが高まる理由を推定することも可能となり、疾病の予防に役立てることが期待される。
【0006】
さらに、AIから出力された結果が得られた理由をどのように解釈すべきかには専門的な知識を要するため、ユーザとして想定される医師などの医療関係者が疾病リスクの評価や実際の診断の参考にするための情報として活用できるように、情報を提示することが求められる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Xiao Liu et al., “Development of a Novel Retina-Based Diagnostic Score for Early Detection of Major Depressive Disorder: An Interdisciplinary View”, Frontiers in Psychiatry, May 2022, Volume 13, Article 897759
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、非特許文献1では、OCTA(Optical Coherence Tomography Angiography)のデータを用いてうつ病性障害の進行度を予測することが試みられている。しかしながら、得られた予測結果がどのような理由により得られたものであるかについては、ユーザからは見えないものとなっていた。
【0009】
また、得られた予測結果がどのような理由により得られたものであるかという情報をAIが出力することができるシステムの場合でも、その出力に対し適切な解釈を行い、疾病リスクの評価を実際の診断の参考にするための情報として活用できるように、情報を提示することができるものではなかった。
【0010】
そこで、本発明によれば、健康段階での特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定する疾病リスク評価システムにおいて、AIによる機械学習済モデルから出力された予測結果がどのような理由に基づいて判定されたものであるかについて予測理由のデータを得るとともに、得られた予測理由のデータから症状を判断し、疾病の候補を提案する疾病リスク評価装置、疾病リスク評価システム、および疾病リスク評価方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明では、疾病リスク評価装置であって、ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部と、第1の学習済モデルと、第1の学習済モデルに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由のデータを出力する、予測理由解析部と、予測理由解析部から出力された疾病レベル予測理由のデータを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力する、症状予測部と、症状予測部から出力された症状に基づいて症状に対応する疾病の疾病情報を出力する、疾病情報出力部とを備えることを特徴とする、疾病リスク評価装置を提供する。
【0012】
また、本発明の他の態様による疾病リスク評価装置は、ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部と、ユーザの診断データを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力する、症状予測部と、出力された症状に基づいて症状に対応する疾病の疾病情報を出力する、疾病情報出力部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病情報出力部は、症状予測部から出力された症状を入力として、外部の疾病データベース内を検索し、症状に対応する疾病名又は疾病コードを出力することを特徴とする。
【0014】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、第1の学習済モデルは、ユーザの診断データを学習用診断データとして入力し、特定の疾病に関する疾病レベルごとの診断データを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0015】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、学習用診断データが、ユーザの眼底画像、OCT(Optical Coherence Tomography)計測値、BMI(Body Mass Index)、性別、年齢、健康診断パラメータのうちのいずれか1つ以上であることを特徴とする。
【0016】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、第1の学習済モデル内のニューラルネットワークの各層の伝播係数に関する値を抽出し、疾病レベル予測スコアが導出された主要因を解析することを特徴とする。
【0017】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、第1の学習済モデル内のニューラルネットワークの各層の伝播係数の積算値を抽出し、診断データのピクセル毎又はパラメータ毎に、疾病レベル予測スコアが導出されたことへの貢献度を数値化することを特徴とする。
【0018】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、数値化された貢献度をマップ又はグラフとして出力することを特徴とする。
【0019】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、第2の学習済モデルは、特定の症状が現れている画像データと特定の症状を示すIDとを学習用データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0020】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、第2の学習済モデルは、特定の症状を示す数値データと前記特定の症状を示すIDとを学習用データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0021】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、特定の疾病が、うつ病であり、第1の学習済モデルは、ユーザの眼底画像及びOCT計測値を学習用健診データとして入力し、うつ病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0022】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像及びOCT計測値を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする。
【0023】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、第1の学習済モデルと、第1の学習済モデルに前記診断データとして入力されたユーザの眼底画像及びOCT計測値とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくともユーザの眼底画像に対応する貢献度マップを出力することを特徴とする。
【0024】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、特定の疾病が、糖尿病であり、第1の学習済モデルは、少なくとも基本バイオ数値を学習用健診データとして入力し、糖尿病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0025】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも基本バイオ数値を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする。
【0026】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、第1の学習済モデルと、第1の学習済モデルに前記診断データとして入力された基本バイオ数値とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも関連する基本バイオ数値を出力することを特徴とする、請求項13に記載の疾病リスク評価装置。
【0027】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、特定の疾病が、HbA1C値に関する疾病であり、第1の学習済モデルは、少なくともユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別を学習用健診データとして入力し、HbA1C値を学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0028】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアとしてHbA1C値を出力することを特徴とする。
【0029】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、第1の学習済モデルと、第1の学習済モデルに診断データとして入力されたユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも関連するパラメータを出力することを特徴とする。
【0030】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、特定の疾病が、心疾患に関する疾病であり、第1の学習済モデルは、ユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上を学習用健診データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0031】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとしてユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする。
【0032】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、第1の学習済モデルと、第1の学習済モデルに診断データとして入力されたユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも関連するパラメータを出力することを特徴とする。
【0033】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、特定の疾病が、糖尿病性網膜症であり、第1の学習済モデルは、少なくとも眼底画像を学習用健診データとして入力し、糖尿病性網膜症に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0034】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも眼底画像を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする。
【0035】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、第1の学習済モデルと、第1の学習済モデルに前記診断データとして入力された眼底画像とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも前記眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像を出力することを特徴とする。
【0036】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、特定の疾病が、動脈硬化であり、第1の学習済モデルは、少なくとも眼底画像を学習用健診データとして入力し、動脈硬化に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0037】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも眼底画像を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする。
【0038】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、第1の学習済モデルと、第1の学習済モデルに診断データとして入力された眼底画像とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも前記眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像を出力することを特徴とする。
【0039】
また、本発明では、疾病リスク評価システムであって、上記疾病リスク評価装置と、ユーザ端末と、ユーザ端末から入力されたユーザの診断データを格納する診断データデータベースとを備え、疾病レベル予測部が、診断データデータベースからユーザの診断データを取得し、疾病情報出力部が、疾病レベル予測部で予測された症状に対応する疾病情報をユーザ端末に送信することを特徴とする、疾病リスク評価システムを提供する。
【0040】
また、本発明では、疾病リスク評価装置が疾病リスクを評価する疾病リスク評価方法であって、疾病リスク評価装置が、ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力するステップと、疾病レベル予測スコアと、第1の学習済モデルと、第1の学習済モデルに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由を出力するステップと、出力された疾病レベル予測理由のデータを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力するステップと、出力された症状に基づいて症状に対応する疾病の疾病情報を出力するステップとを含むことを特徴とする、疾病リスク評価方法を提供する。
【0041】
また、本発明の他の態様による疾病リスク評価装置が疾病リスクを評価する疾病リスク評価方法は、疾病リスク評価装置が、ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力するステップと、ユーザの診断データを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力するステップと、症状予測部から出力された症状に基づいて症状に対応する疾病の疾病情報を出力するステップとを含むことを特徴とする。
【0042】
また、本発明では、コンピュータに、上記疾病リスク評価方法の各ステップを実行させることを特徴とするプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、健康段階での特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定する疾病リスク評価システムにおいて、AIによる機械学習済モデルから出力された予測結果がどのような理由に基づいて判定されたものであるかについて予測理由のデータを得るとともに、得られた予測理由のデータから症状を判断し、疾病の候補を提案することが可能となる。
【0044】
本発明の他の態様による疾病リスク評価システムによれば、健康段階での特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定するとともに、ユーザの診断データから症状を判断し、疾病の候補を提案することが可能となる。
本発明の他の目的、特徴および利点は添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態による本発明による疾病リスク評価システムの全体を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施の形態による第1の学習済モデルの生成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施の形態による疾病レベル予測部を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施の形態による予測理由解析部を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施の形態による症状予測部を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の一実施の形態による疾病情報出力部を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の一実施の形態による疾病情報出力部を示す図である。
【
図6C】
図6Cは、本発明の一実施の形態による疾病情報出力部を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施の形態による疾病リスク評価処理の流れを示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の他の実施の形態による疾病リスク評価システムの全体を示す概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の他の実施の形態による疾病リスク評価処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0046】
図1は、本発明による疾病リスク評価システム1の全体を示す概略図である。
疾病リスク評価システム1は、疾病リスク評価装置10と、ユーザ端末60と、ユーザ端末60から入力されたユーザの診断データを格納する診断データデータベース70とを備え、疾病リスク評価装置10において、疾病レベル予測部20が、診断データデータベース70からユーザの診断データを取得し、疾病レベルを予測し、予測理由解析部30が疾病レベルの予測理由を解析し、症状予測部40が症状を予測し、疾病情報出力部50が、疾病レベル予測部で予測された症状に対応する疾病情報をユーザ端末60に送信する。
【0047】
疾病リスク評価装置10は、ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルM1により疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部20と、第1の学習済モデルM1と、第1の学習済モデルに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由のデータを出力する、予測理由解析部30と、予測理由解析部30から出力された疾病レベル予測理由のデータを入力として、第2の学習済モデルM2により症状を予測し、予測された症状を出力する、症状予測部40と、症状予測部40から出力された症状に基づいて症状に対応する疾病の疾病情報を出力する、疾病情報出力部50とを備える。
【0048】
疾病情報出力部50は、症状予測部40から出力された症状を入力として、外部の疾病データベース内を検索し、症状に対応する疾病名又は疾病コードを出力する。外部の疾病データベース内を検索するための検索キーは、症状名、特定の症状を示すID等のキーワードである。特定の症状を示すIDは、例えば、ICD10国際疾病分類やDPC傷病名分類等に基づくものであってもよい。
【0049】
図2は、本発明の一実施の形態による第1の学習済モデルの生成を示す図である。
第1の学習済モデルM1は、疾病リスク評価装置10の外部の機械学習モデル生成部90によって予め生成される。機械学習モデル生成部90は、疾病リスク評価システム1に含まれるようにしてもよく、疾病リスク評価システム1の外部に設けられるようにしてもよい。
【0050】
第1の学習済モデルM1は、ユーザの診断データを学習用診断データとして入力し、特定の疾病に関する疾病レベルごとの診断データを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。
【0051】
学習用診断データは、例えば、ユーザの眼底画像、OCT(Optical Coherence Tomography)計測値、BMI(Body Mass Index)、性別、年齢、健康診断パラメータのうちのいずれか1つ以上であってもよい。ここで、「健康診断パラメータ」には、一般的な健康診断や人間ドック、又は疾病に関する検査等で検査項目となり得るあらゆる任意の健康診断パラメータが含まれ得る。「診断データ」とは、健康診断や人間ドック、又は疾病に関する検査等で得たユーザの生体データのことをいう。診断データには、ユーザの性別、年齢、身長、体重、血液型、BMI、血圧等の基本的な身体データの他、一般的な健康診断や人間ドック、又は疾病に関する検査等で検査項目となり得るあらゆる任意の健康診断パラメータが含まれ得る。また、眼科検診等により得られる眼底画像等の眼に関するデータも診断データに含まれ得る。例えば、血液検査により測定される項目である白血球数、赤血球数、血小板数、コレステロール値(LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、総コレステロール値)、ビタミンB12値、25-ヒドロキシビタミンD2値、分葉核好中球パーセント値、赤血球分布幅、赤血球葉酸値、単球パーセント値、平均血小板容積値、平均赤血球容積値、リンパ球パーセント値、ヘモグロビン値、HbA1c値、エピ-25-ヒドロキシビタミンD3値、25-ヒドロキシビタミンD3値、好塩基球パーセント値、好酸球パーセント値等が診断データに含まれ得る。また、例えば、尿検査により測定される項目であるクレアチニン値やアルブミン値等も診断データに含まれ得る。また、病状、生活条件、睡眠状態等に関する問診結果、即ち、健康状態や生活習慣等に関する質問への回答も診断データに含まれ得る。問診結果は、例えば、「近親者は糖尿病だったか?」、「喘息があると言われた?」等の質問に対して「はい」又は「いいえ」で回答した結果等も含まれ得る。
【0052】
学習用スコアデータは、例えば、疾病レベル1、2、・・・n等、疾病レベルを複数の段階にグループ化したものである。特定の疾病に対して、疾病レベルとして一般的に用いられる指標がある場合には、その指標を疾病レベルとして用いてもよい。例えば、うつ病の場合、疾病レベルとして一般的に用いられる指標であるPHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)の値を疾病レベルとしてもよい。例えば、PHQ-9の値は、0~27の数値で表される。
【0053】
図3は、本発明の一実施の形態による疾病レベル予測部を示す図である。
疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルM1により疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。ユーザの診断データは、例えば、ユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、性別、年齢、その他の健康診断パラメータ等である。ユーザの診断データは、実際の健康診断や人間ドック、又は疾病に関する検査等で得られたデータである。予測スコアは、疾病レベル予測部20の出力結果として得られたものであり、例えば、疾病レベル1、2、・・・n等、疾病レベルを複数の段階にグループ化したものである。特定の疾病に対して、疾病レベルとして一般的に用いられる指標がある場合には、その指標を疾病レベルとして用いてもよい。例えば、うつ病の場合、疾病レベルとして一般的に用いられる指標であるPHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)の値を疾病レベルとしてもよい。例えば、PHQ-9の値は、0~27の数値で表される。
【0054】
図4は、本発明の一実施の形態による予測理由解析部を示す図である。
予測理由解析部30は、第1の学習済モデルM1と、第1の学習済モデルM1に入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由を出力する。具体的には、予測理由解析部30は、第1の学習済モデルM1内のニューラルネットワークの各層の伝播係数に関する値を抽出し、疾病レベル予測スコアが導出された主要因を解析する。
【0055】
予測理由解析部30は、第1の学習済モデルM1内のニューラルネットワークの各層の伝播係数の積算値を抽出し、診断データのピクセル毎又はパラメータ毎に、疾病レベル予測スコアが導出されたことへの貢献度を数値化する。
【0056】
予測理由解析部30において、数値化された貢献度をマップ又はグラフとして出力するようにしてもよい。予測理由解析部30は、疾病レベル予測理由として、例えば、ユーザの眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像や健康診断パラメータを出力するようにしてもよい。数値化された貢献度はマップ又はグラフとして出力されるようにしてもよい。例えば、うつ病の疾病レベルを予測する際に、入力したユーザの眼底画像のどの部分が疾病レベルの予測に貢献しているかを示すために、ユーザの眼底画像の各ピクセルの貢献度を色の変化で示す、いわゆるヒートマップを作成してもよい。また、ユーザの眼底画像のうち疾病レベルの予測への貢献度が高い部分を着色したり、丸や矩形で囲んだりして示すようにしてもよい。また、例えば、糖尿病の疾病レベルを予測する際に、入力したユーザの健康診断パラメータのうち、BMIと年齢が疾病レベルの予測に貢献していた場合には、BMIと年齢の貢献度が高いことを示すグラフを出力するようにしてもよい。グラフは、ランキングを示す棒グラフやレーダーチャート等、任意の形式のグラフを用いてよい。
【0057】
図5は、本発明の一実施の形態による症状予測部を示す図である。
症状予測部40は、予測理由解析部30から出力された疾病レベル予測理由のデータを入力として、第2の学習済モデルM2により症状を予測し、予測された症状を出力する。症状予測部40は、少なくともユーザの眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像を入力として、第2の学習済モデルM2により症状を予測し、予測された症状を出力するようにしてもよい。症状予測部40は、ユーザの眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像と健康診断パラメータとを入力として、第2の学習済モデルM2により症状を予測し、予測された症状を出力するようにしてもよい。
【0058】
第2の学習済モデルM2は、特定の症状が現れている画像データと特定の症状を示すIDとを学習用データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。特定の症状が現れている画像データは、例えば、眼底の血管からの出血がある眼底画像や眼底の神経部分に損傷がある眼底画像等である。特定の症状を示すIDは、例えば、眼底の血管からの出血という症状を示すIDや眼底の神経部分に損傷があるという症状を示すIDである。特定の症状を示すIDは、ICD10国際疾病分類の病名、ICD10コード(ICD-10-Code)、及び病名交換用コードであってもよい。また、特定の症状を示すDPC傷病名分類の病名又はDPCの6桁の数字であってもよい。例えば、「ICD10 国際疾病分類第10版(2013年版)」によれば、「糖尿病性白内障」の場合、ICD10国際疾病分類の病名は「糖尿病性白内障」であり、ICD10コードは「E143 H280」、病名交換用コードは「M5VP」である。また、例えば、網脈絡膜の局在性炎症の一つである「中心性脈絡網膜症」の場合、CD10国際疾病分類の病名は「中心性脈絡網膜症」であり、ICD10コードは「H300」、病名交換用コードは「SU0Q」である。特定の症状を示すIDは、これに限られず、症状名等を示すキーワード又は番号、英数字、記号等の任意のテキストデータであってもよい。
【0059】
例えば、眼底の血管からの出血がある眼底画像と、眼底の血管からの出血という症状を示すIDとを学習用データとして入力して機械学習を行うことにより第2の学習済モデルM2を生成するようにしてもよい。他の例では、眼底画像の神経部分に損傷が見られる眼底画像と、眼底画像の神経部分の損傷という症状を示すIDとを学習用データとして入力して機械学習を行うことにより第2の学習済モデルM2を生成するようにしてもよい。
【0060】
第2の学習済モデルM2は、特定の症状を示す数値データと特定の症状を示すIDとを学習用データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。
【0061】
症状予測部40において出力される予測された症状は、症状名又は特定の症状を示すIDであってもよい。症状名は、眼底出血、神経損傷、網脈絡膜の局在性炎症、中心性脈絡網膜症等であってもよい。例えば、特定の症状を示すIDは、例えば、眼底の血管からの出血という症状を示すIDや眼底の神経部分に損傷があるという症状を示すIDである。特定の症状を示すIDは、ICD10国際疾病分類の病名、ICD10コード(ICD-10-Code)、及び病名交換用コードであってもよい。また、特定の症状を示すDPC傷病名分類の病名又はDPCの6桁の数字であってもよい。例えば、「ICD10 国際疾病分類第10版(2013年版)」によれば、「糖尿病性白内障」の場合、ICD10国際疾病分類の病名は「糖尿病性白内障」であり、ICD10コードは「E143 H280」、病名交換用コードは「M5VP」である。また、例えば、網脈絡膜の局在性炎症の一つである「中心性脈絡網膜症」の場合、CD10国際疾病分類の病名は「中心性脈絡網膜症」であり、ICD10コードは「H300」、病名交換用コードは「SU0Q」である。特定の症状を示すIDは、これに限られず、症状名等を示すキーワード又は番号、英数字、記号等の任意のテキストデータであってもよい。
【0062】
例えば、症状予測部40は、「眼底出血」等の症状名やそれを示すIDを出力するようにしてもよい。
【0063】
図6A~
図6Cは、本発明の一実施の形態による疾病情報出力部を示す図である。
疾病情報出力部50は、症状予測部40から出力された症状に基づいて症状に対応する疾病の疾病情報を出力する。疾病情報は、例えば、疾病名又は疾病IDである。疾病名は、例えば、ICD10国際疾病分類の病名やDPC傷病名分類の病名に基づくものであってもよい。
【0064】
疾病情報出力部50は、疾病情報として、外部の疾病データデータベース80からを疾病名又は疾病ID抽出し、疾病レベル予測部20で予測した疾病レベルと抽出した疾病名又は疾病IDとを対応付けて、予め外部の疾病データデータベース80又は疾病情報出力部50内のメモリに保存するようにしてもよい。疾病情報出力部50は、外部の疾病データデータベース80からを疾病名又は疾病ID抽出し、疾病レベル予測部20で予測した疾病レベルと抽出した疾病名又は疾病IDとを対応付けた情報を疾病情報としてユーザ端末60に出力するようにしてもよい。
【0065】
また、疾病情報出力部50は、疾病名又は疾病IDに対応する少なくとも1つ以上の症状を外部の疾病データデータベース80から抽出し、疾病レベル予測部20で予測した疾病レベルと抽出した少なくとも1つ以上の症状とを対応付けて、予め外部の疾病データデータベース80又は疾病情報出力部50内のメモリに保存するようにしてもよい。疾病情報出力部50は、疾病名又は疾病IDに対応する少なくとも1つ以上の症状を外部の疾病データデータベース80から抽出し、疾病レベル予測部20で予測した疾病レベルと抽出した少なくとも1つ以上の症状とを対応付けた情報を疾病情報としてユーザ端末60に出力するようにしてもよい。
【0066】
例えば、疾病名が緑内障の場合又は疾病IDが緑内障を示すIDである場合、疾病情報出力部50は、外部の疾病データデータベース80から緑内障の症状を抽出し、緑内障の症状として抽出された「視神経乳頭陥凹の拡大」、「網膜神経線維層欠損」、「視神経乳頭出血」、「緑内障性乳頭変化の疑い」等を疾病情報としてユーザ端末60に出力するようにしてもよい。
【0067】
同様に、例えば、疾病名が加齢黄斑変性の場合又は疾病IDが加齢黄斑変性を示すIDである場合、疾病情報出力部50は、外部の疾病データデータベース80から加齢黄斑変性を抽出し、加齢黄斑変性の症状として抽出された「加齢黄斑変性前駆病変(ドルーゼン)」、「加齢黄斑変性前駆病変(網膜色素上皮の異常)」、「加齢黄斑変性(滲出型)」、「加齢黄斑変性(萎縮型)」等を疾病情報としてユーザ端末60に出力するようにしてもよい。
【0068】
同様に、例えば、疾病名が糖尿病性網膜症の場合又は疾病IDが糖尿病性網膜症を示すIDである場合、疾病情報出力部50は、外部の疾病データデータベース80から糖尿病性網膜症を抽出し、糖尿病性網膜症の症状として抽出された「軟性白斑」、「硬性白斑」、「網膜出血(点状)」、「網膜出血(しみ状)」、「点状出血」等を疾病情報としてユーザ端末60に出力するようにしてもよい。
【0069】
同様に、例えば、疾病名が動脈硬化の場合又は疾病IDが動脈硬化を示すIDである場合、疾病情報出力部50は、外部の疾病データデータベース80から動脈硬化を抽出し、動脈硬化の症状として抽出された「動脈血柱反射が増強」、「動静脈交叉現象」、「銅線動脈」、「銀線動脈」及び「白線動脈」等の「硬化性変化」、又は「びまん性狭細化」、「びまん性狭窄」、「限局性狭細」、「動脈の狭細」、「網膜面に出血」、「白斑」及び「乳頭浮腫」等の「高血圧性変化」等を疾病情報としてユーザ端末60に出力するようにしてもよい。
【0070】
また、疾病情報出力部50は、判定対象の眼底画像に現れた所見が、抽出された症状のそれぞれに該当する確率を、第2の学習済モデルM2により算出した結果を疾病情報としてユーザ端末60に出力するようにしてもよい。
【0071】
また、疾病情報出力部50は、第1の学習済モデルM1による予測時に、第1の学習済モデルM1が着目した画素及び/又はパラメータを疾病情報としてユーザ端末60に出力するようにしてもよい。
【0072】
表1は、疾病の種類とその疾病について眼底画像に現れる症状の例を示している。疾病レベル予測部20で第1の学習済モデルM1を用いて予測された疾病レベル予測スコアに対応する疾病名が特定され、症状予測部40で第2の学習済モデルM2を用いて、判定対象の眼底画像に現れた所見が、抽出された症状のそれぞれに該当する確率が算出される。疾病情報出力部50は、表1のような表をユーザ端末60に出力するようにしてもよい。疾病リスク評価装置10は、このような疾病情報をユーザ端末60に出力するところまでを行い、出力された疾病情報を参照して実際の診断を行うのは医師等である。本発明の疾病リスク評価装置10によれば、AIによる予測結果を医師等にも理解しやすい形で示すことができる。これにより、眼底画像に現れる所見の見落としを防止する効果も期待できる。
【表1】
【0073】
また、疾病情報出力部50は、疾病名又は疾病IDに対応する少なくとも1つ以上の症状を外部の疾病データデータベース80から抽出し、予測理由解析部30で予測した疾病レベル予測理由と抽出した少なくとも1つ以上の症状とを対応付けて、外部の疾病データデータベース80又は疾病情報出力部50内のメモリに保存するようにしてもよい。疾病情報出力部50は、疾病名又は疾病IDに対応する少なくとも1つ以上の症状を外部の疾病データデータベース80から抽出し、予測理由解析部30で予測した疾病レベル予測理由と抽出した少なくとも1つ以上の症状とを対応付けた情報を疾病情報としてユーザ端末60に出力するようにしてもよい。
【0074】
図6Aの例では、疾病情報出力部50は、少なくとも予測理由解析部30で予測された疾病レベル予測理由に対応する疾病名又は疾病IDを含む疾病情報を出力するようにしてもよい。
【0075】
図6Bの例で示されるように、疾病情報出力部50は、少なくとも症状予測部40で予測された症状に対応する疾病名又は疾病IDを含む疾病情報を出力するようにしてもよい。
【0076】
図6Cの例で示されるように、疾病情報出力部50は、少なくとも疾病レベル予測部20で予測された疾病レベル予測スコアに対応する疾病名又は疾病IDを含む疾病情報を出力するようにしてもよい。
【0077】
図6A~
図6Cの例において、疾病情報出力部50がユーザ端末60に出力する疾病情報は上記で説明したものに限られず、疾病情報出力部50で抽出した疾病情報に関連する情報を外部のデータベースや検索サイト等から得てユーザ端末60に出力するようにしてもよい。例えば、疾病情報出力部50で抽出した疾病名若しくは疾病IDに対応する疾病に関する論文、症例の画像、ICD10コード、治療法、発生地域、若しくは患者数又はこれらの情報へのリンクのうちの少なくとも1つをユーザ端末60に出力するようにしてもよい。
【0078】
疾病データデータベース80は、疾病リスク評価装置10の外部のシステム又は外部のサーバー内に構築されるようにしてもよい。また、インターネット(登録商標)の検索エンジンを使用する検索サイトを介して、疾病データデータベース80の内部の情報を検索できるようにしてもよい。また、疾病情報出力部50が、インターネットの検索エンジンに接続して、疾病データデータベース80の内部の情報又はインターネット上のWEBサイトから入手可能な情報を検索し、ユーザ端末60へ出力するようにしてもよい。
【0079】
特定の疾病が、うつ病であり、第1の学習済モデルM1は、ユーザの眼底画像及びOCT計測値を学習用健診データとして入力し、うつ病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。
【0080】
疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像及びOCT計測値を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。
【0081】
予測理由解析部30は、第1の学習済モデルM1と、第1の学習済モデルに前記診断データとして入力されたユーザの眼底画像及びOCT計測値とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくともユーザの眼底画像に対応する貢献度マップを出力する。
【0082】
特定の疾病が、糖尿病である場合、第1の学習済モデルM1は、少なくとも基本バイオ数値を学習用健診データとして入力し、糖尿病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。
【0083】
疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データとして少なくとも基本バイオ数値を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。
【0084】
予測理由解析部30は、第1の学習済モデルM1と、第1の学習済モデルM1に診断データとして入力された前記基本バイオ数値とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも関連する基本バイオ数値を出力する。
【0085】
特定の疾病が、HbA1C値に関する疾病である場合、第1の学習済モデルM1は、少なくともユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別を学習用健診データとして入力し、HbA1C値を学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。
【0086】
疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別を入力として、第1の学習済モデルM1により疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアとしてHbA1C値を出力する。
【0087】
予測理由解析部30は、第1の学習済モデルM1と、第1の学習済モデルM1に診断データとして入力されたユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも関連するパラメータを出力する。
【0088】
特定の疾病が、心疾患に関する疾病である場合、第1の学習済モデルM1は、ユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上を学習用健診データとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。
【0089】
疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データとしてユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上を入力として、第1の学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。
【0090】
予測理由解析部30は、第1の学習済モデルM1と、第1の学習済モデルに診断データとして入力されたユーザの眼底画像、心電図、OCT計測値、BMI、年齢、性別のうちの少なくとも1つ以上とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも関連するパラメータを出力する。
【0091】
特定の疾病が、糖尿病性網膜症である場合、第1の学習済モデルM1は、少なくとも眼底画像を学習用健診データとして入力し、糖尿病性網膜症に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。
【0092】
疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データとして少なくとも眼底画像を入力として、第1の学習済モデルM1により疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。
【0093】
予測理由解析部30は、第1の学習済モデルM1と、第1の学習済モデルM1に診断データとして入力された眼底画像とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも前記眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像を出力する。
【0094】
特定の疾病が、動脈硬化である場合、第1の学習済モデルM1は、少なくとも眼底画像を学習用健診データとして入力し、動脈硬化に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。
【0095】
疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データとして少なくとも眼底画像を入力として、第1の学習済モデルM1により疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。
【0096】
予測理由解析部30は、第1の学習済モデルM1と、第1の学習済モデルM1に診断データとして入力された眼底画像とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも前記眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像を出力する。
【0097】
以下、本発明による健康サービス紹介方法について説明する。
図7は、本発明の一実施の形態による疾病リスク評価処理の流れを示す図である。
本発明による疾病リスク評価方法は、ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルM1により疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力するステップ(ステップS701)と、疾病レベル予測スコアと、第1の学習済モデルM1と、第1の学習済モデルに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由を出力するステップ(ステップS702)と、出力された疾病レベル予測理由のデータを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力するステップ(ステップS703)と、出力された症状に基づいて症状に対応する疾病の疾病情報を出力するステップ(ステップS704)とを含む。
【0098】
また、本発明では、コンピュータに、上記疾病リスク評価方法の各ステップを実行させることを特徴とするプログラムを提供する。
【0099】
また、本発明では、コンピュータに、本発明による疾病リスク評価方法の各ステップを実行させるプログラムを提供する。プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されるようにしてもよい。また、プログラムはサーバー内に格納され、サーバー上で実行され、及び/又はネットワークを介してその機能を提供するようにしてもよい。
疾病リスク評価装置10’は、ユーザの診断データを入力として、第1の学習済モデルM1により疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部20と、前記ユーザの診断データを入力として、第2の学習済モデルにより症状を予測し、予測された症状を出力する、症状予測部40と、症状予測部から出力された症状に基づいて症状に対応する疾病の疾病情報を出力する、疾病情報出力部50とを備える。
実施例2において、症状予測部40は、少なくともユーザの眼底画像を入力として、第2の学習済モデルM2により症状を予測し、予測された症状を出力する。実施例2において、症状予測部40は、ユーザの眼底画像と健康診断パラメータとを入力として、第2の学習済モデルM2により症状を予測し、予測された症状を出力するようにしてもよい。
以上により説明した本発明による疾病リスク評価システム1によれば、健康段階での特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定する疾病リスク評価システムにおいて、AIによる機械学習済モデルから出力された予測結果がどのような理由に基づいて判定されたものであるかについて予測理由のデータを得るとともに、得られた予測理由のデータから症状を判断し、疾病の候補を提案することができる。
また、実施例2の本発明による疾病リスク評価システム1’によれば、健康段階での特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定するとともに、ユーザの診断データから症状を判断し、疾病の候補を提案することが可能となる。
上記記載は実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の原理と添付の請求の範囲の範囲内で種々の変更および修正をすることができることは当業者に明らかである。