(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028770
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】産業用機械もしくはプラントの緊急停止のためのデバイス
(51)【国際特許分類】
H01H 13/02 20060101AFI20250221BHJP
H01H 13/56 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
H01H13/02 A
H01H13/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024133745
(22)【出願日】2024-08-09
(31)【優先権主張番号】102023000017382
(32)【優先日】2023-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】515332229
【氏名又は名称】ピザト エレットリカ エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】PIZZATO ELETTRICA S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ ゾンタ
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS35Q
5G206AS45Q
5G206HU04
5G206KS03
5G206QS13
5G206QS15
5G206RS12
5G206RS17
5G206RS21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】緊急の場合に作業者が容易に位置を特定できる緊急デバイスを提供する。
【解決手段】機械もしくは産業用プラントの緊急停止デバイスであって、緊急ボタンと、前記緊急ボタン近傍の硬質保護要素と、光信号を生成するように設計され前記保護要素に関連付けられた光信号伝達手段と、を備え、前記保護要素は、前記光信号に対して透明または半透明な少なくとも1つの信号伝達部分を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械もしくは産業用プラントの緊急停止のためのデバイス(1)であって、
前記機械もしくは産業用プラントの動作を許容する非動作状態と、前記機械もしくは産業用プラントの動作を停止させるか許容しない動作状態と、を経るように設計されており、作動要素(14)を有する、緊急ボタン(12)であって、前記作動要素(14)が、作動軸(X)を画定し、前記作動軸(X)に沿って押されるのに適しており、前記機械もしくは産業用プラントの外部回路に接続されるのに適した切換部材(15)を作動させるように設計されている、緊急ボタン(12)と、
前記作動要素(14)近傍の硬質保護要素(13)と、
を備えており、
光信号伝達手段(17)であって、光信号(L)を生成するように設計され、前記保護要素(13)に関連付けられている、光信号伝達手段(17)を備え、
前記保護要素(13)は、前記光信号(L)に対して少なくとも部分的に透明または半透明な少なくとも1つの信号伝達部分(18)を備えている、デバイス(1)。
【請求項2】
ケース(11)であって、前記作動要素(14)が固定される壁(16)が設けられている、ケース(11)を備えている、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
前記ケース(11)は、前記保護要素(13)も備えており、前記光信号伝達手段(17)および前記切換部材(15)を収容している、請求項2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記保護要素(13)は、前記壁(16)に固定されるか、一体に形成されており、前記光信号伝達手段(17)は、前記ケース(11)内部に収容されている、請求項3に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
前記保護要素(13)は、前記作動軸(X)に略平行に伸びており、前記作動軸(X)の一点を中心として有する少なくとも1つの半径方向(R)に沿って少なくとも部分的に前記駆動要素(14)と重なっている、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記光信号伝達手段(17)の電源および制御回路(20)であって、前記緊急ボタン(12)の状態または前記機械の状態に応じて前記光信号(L)の特性を変更するように設計されているか、設計されるように適合されている、電源および制御回路(20)を備えている、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
前記光信号(L)の前記特性は、前記光信号(L)の点滅周波数、色、および光強度を含む群から選択される、請求項6に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
前記保護要素(13)は、前記壁(16)と一体に形成されており、前記光信号伝達手段(17)は、前記ケース(11)内部に収容されている、請求項2に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
前記壁(16)もまた、前記光信号(L)に対して透明または半透明である、請求項2に記載のデバイス(1)。
【請求項10】
前記光信号伝達手段(17)は、前記ケース(11)内部に収容されており、前記保護要素(13)は、前記壁(16)に形成された開口(19)において前記壁(16)に固定され、前記光信号伝達手段(17)と位置合わせされている、請求項2に記載のデバイス(1)。
【請求項11】
前記保護要素(13)は、前記壁(16)に固定されており、前記光信号伝達手段(17)は、前記保護要素(13)に組み込まれている、請求項2に記載のデバイス(1)。
【請求項12】
前記電源および制御回路(20)は、
少なくとも2つの異なる部分(21,22)であって、各々が、電力供給されると前記光信号伝達手段(17)にそれぞれの特性を備えたそれぞれの光信号(L)を生成させるのに適した、2つの異なる部分(21,22)と、
1つまたは複数の補助切換部材(23,24)であって、各々が、作動要素(14)によって作動されるように関連付けられており、電源(25)および前記2つの異なる部分(21,22)のうちの1つに接続されて前記緊急ボタン(12)の状態に応じて電力供給するか電力供給しないように設計されている、補助切換部材(23,24)と、
を備えている、請求項5に記載のデバイス(1)。
【請求項13】
前記電源および制御回路(20)は、デジタル型であり、前記緊急ボタン(12)の状態のセンサと、前記センサおよび前記光信号伝達手段(17)に接続されて前記緊急ボタン(12)の状態に応じて前記光信号伝達手段(17)の動作を制御するように設計されている電子制御ユニットと、を備えている、請求項5に記載のデバイス(1)。
【請求項14】
音声信号伝達手段(30)であって、前記ケース(11)内部に配置されており、前記電源および制御回路(20)に接続されて音声信号(S)を生成する、音声信号伝達手段(30)をさらに備え、前記電源および制御回路(20)は、前記緊急ボタン(12)の状態に応じて前記音声信号(S)の特性も変更するように設計されているか、設計されるように適合されている、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項15】
電子制御ユニットであって、前記光信号伝達手段(17)に接続されており、外部デバイスに接続されて外部信号を受信し、前記外部信号に応じて前記光信号(L)の特性を変更するのに適している、電子制御ユニットを備えている、請求項1に記載のデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業自動化分野に用途を見出すように適合された緊急デバイスに関し、特に機械もしくは産業用プラントの危険動作の緊急停止のための緊急デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
産業自動化分野では、機械もしくはプラントの近傍に緊急ボタンを設け、緊急状況下で作業員が機械もしくはプラントの危険な動作を停止できるようにすることが知られている。
【0003】
場合により、例えば、鉄鋼、アルミニウム、食品、ゴムなどを製造するプロセスラインのような大規模な産業プラントにおいて、または大型の車両や機械などにおいては、作業員があらゆる位置からプラントもしくは機械を迅速に停止できるように、産業用プラントもしくは機械の延長方向に沿って複数の緊急ボタンを設けることが知られている。
【0004】
これに関連し、既知の緊急ボタンは、幾つかの欠点および不都合を有している。
【0005】
第1の欠点は、特にプラントもしくは機械が非常に大きく複雑であったり、および/または動作している環境が視界不良や障害物などで特徴付けられたりすると、緊急の場合に、作業員が最も近い緊急ボタンを迅速に見付けるのが難しい場合があることである。
【0006】
例えば独国特許第4341501号に記載されているような型式の緊急デバイスもまた知られており、この緊急デバイスは、緑色部分と、緑色部分に対して移動可能な赤色部分と、を有するキノコ形状の緊急ボタンを備えている。緊急ボタンが押されていないときは、緑色部分と赤色部分の両方が見えており、緊急ボタンが押されたときは、赤色部分が緑色部分を覆ってボタンが押された状態を視認可能となる。また、独国特許第4341501号には緊急ボタンを保護するための保護ガードについても説明されているが、この緊急デバイスは透明部分を備えており、この透明部分から緊急ボタンの緑色部分および/または赤色部分を見て緊急ボタンが押されたかどうか判別することが可能になっている。
【0007】
独国特許第4341501号にはまた、緊急ボタンを2つのランプで緑色または赤色に照射して押されているかどうか判別するようにできることも記載されている。
【0008】
第2の欠点は、部分的に第1の欠点の逆で、一緊急ボタンが押された後に機械もしくはプラントを再起動する際に、前にどの緊急ボタンが押されたかを特定するのが難しいためにリセットすることが難しい場合がある、という事実にある。この欠点は、機械もしくはプラントが多数の緊急ボタンを備えていたり、および/またはプラントもしくは機械が非常に大きく複雑であったり、および/または動作環境が視界不良や障害物などで特徴付けられたりする場合にも典型的である。
【0009】
従って、既知の技術の欠点を克服できる緊急ボタンの創出が希求されている。
【発明の範囲】
【0010】
特に、本発明の一目的は、緊急の場合に作業員が容易に位置を特定できる緊急デバイスを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、緊急状況下で押された後に容易に位置を特定できる緊急デバイスを提供することにある。
【0012】
本発明のさらなる目的は、偶発的または意図しないアクティブ化を防止できる緊急デバイスを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、経済的で産業的製造が簡易な緊急デバイスを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に従った安全デバイスの概略軸測図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に従った安全デバイスの概略軸測図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に従った安全デバイスの概略軸測図である。
【
図8】
図8は、本発明の安全デバイスの簡易電気回路図である。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、機械もしくは産業用プラントの緊急停止のためのデバイスであって、
前記機械もしくは産業用プラントの動作を許容する非動作状態と、前記機械もしくは産業用プラントの動作を停止させるか許容しない動作状態と、を経るように設計されており、作動要素(14)を有する、緊急ボタン(12)であって、前記作動要素(14)が、作動軸(X)を画定し、前記作動軸(X)に沿って押されるのに適しており、前記機械もしくは産業用プラントの外部回路に接続されるのに適した切換部材(15)を作動させるように設計されている、緊急ボタン(12)と、
前記作動要素の近傍の硬質保護要素と、
を備える、デバイスに関する。
【0016】
本発明の一態様によれば、緊急デバイスは、光信号伝達手段であって、光信号を生成するように設計されており、保護要素に関連付けられている、光信号伝達手段も備える。さらに、保護要素は、光信号に対して少なくとも部分的に透明または半透明な少なくとも1つの信号伝達部分を備える。
【0017】
他の実施形態によれば、安全デバイスは、光信号伝達手段用の電源および制御回路であって、緊急ボタンの状態または機械の状態に応じて光信号の特性を変更するように設計されるか、設計されるように適合されている、電源および制御回路を備える。
【0018】
光信号の特性は、光信号の点滅周波数、色、および光強度を含む群から選択される。
【0019】
他の実施形態によれば、デバイスは、ケースであって、切換部材を収容しており、作動要素が固定される壁を備える、ケースを、さらに備える。
【0020】
他の実施形態によれば、保護要素は壁と一体に形成されており、光信号伝達手段はケースの内部に収容されている。
【0021】
他の実施形態によれば、ケースの壁もまた、光信号に対して透明または半透明である。
【0022】
他の実施形態によれば、光信号伝達手段はケースの内部に収容されており、保護要素は、壁に形成された開口において壁に固定され、光信号伝達手段と位置合わせされている。
【0023】
他の実施形態によれば、保護要素は壁に固定されており、光信号伝達手段は保護要素に組み込まれている。
【0024】
他の実施形態によれば、電源および制御回路は、少なくとも2つの異なる部分であって、各々が、電力供給されると光信号伝達手段にそれぞれの特性を備えたそれぞれの光信号を生成させるように設計されている、2つの異なる部分と、1つまたは複数の補助切換要素であって、各々が、作動要素によって作動されるように関連付けられており、電源および2つの部分のうちの1つに接続されて、緊急ボタンの状態に応じて電力供給するか電力供給しないように設計されている。
【0025】
他の実施形態によれば、電源および制御回路は、デジタル型であり、緊急ボタンの状態のセンサと、センサおよび前記光信号伝達手段とに接続されて前記緊急ボタンの状態に応じてその動作を制御するように設計されている電子制御ユニットと、を備える。
【0026】
他の実施形態によれば、デバイスは、音声信号伝達手段であって、ケース内部に配置されており、前記電源および制御回路に接続されている、音声信号伝達手段も備える。電源および制御回路は、緊急ボタンの状態に応じて音声信号の特性も変更するように設計されているか、または設計されるように適合されている。
【0027】
他の実施形態によれば、デバイスは、電子制御ユニットであって、光信号伝達手段に接続されており、外部デバイスに接続されて外部信号を受信し、外部信号に応じて光信号の特性を変更するのに適している、電子制御ユニットを備える。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1を参照すると、本発明に係る、産業用機械もしくはプラントの緊急停止のためのデバイス(以下、単に緊急デバイス1と称する)は、ケース11と、ケース11に固定された緊急ボタン12と、緊急ボタン12に関連付けられた保護要素13と、を備える。
【0029】
ケース11は、保護要素13と、少なくとも1つの壁16と、を備える。
【0030】
緊急ボタン12は、ケース11の壁16に固定された作動要素14であって、作業員に押されると作動軸Xに沿って移動可能な、作動要素14を備える。さらに、緊急ボタン12は、切換部材15(
図3)であって、ケース11内に収容され、作動要素14に機械的に接続されている、切換部材15も備えている。特に、切換部材15は、産業用機械もしくはプラントの外部回路に接続されるように設計されており、作業員による作動要素14への圧力に応答して後者を切り替える。外部回路は、例えば、機械もしくは産業用プラントの電源に接続された接触器、安全モジュール、または安全PLCに接続できる。さらに、必ずしも必要ではないが好ましくは、切換要素15は、2つの機械的接点ユニットを含むデュアルチャネル型である。或いは、切換要素15は、2つのOSSD(Output Signal Switching Devices、出力信号切換デバイス)を含むデュアルチャネル電子型である。次に、切換要素15が産業用通信バスに接続されて、緊急デバイス1を機械または他の外部デバイスのPLCに接続してもよい。
【0031】
緊急ボタン12は、非動作状態を経てもよく、非動作状態では、作動要素14は押されておらず静止位置にあり、切換要素15は機械もしくは産業用プラントの動作を許容する。さらに、緊急ボタン12は、動作状態を経てもよく、動作状態では、作動要素14は緊急位置まで押され、切換要素15は機械もしくは産業用プラントの動作を許可しないか停止させる。
【0032】
非動作状態から動作状態への移行は、作業員が作動要素14を押すことによって起こり、一方、動作状態からの非動作状態への回帰は、作業員が作動要素14を静止位置に復帰させることによって起こる。例えば、作動要素14は、作業員が作動要素14を回転させるか引っ張ることによって静止位置に復帰する。
【0033】
しかしながら、作動要素14および切換要素15は、他のあらゆる公知の型式であってよく、これによって本発明の保護範囲から逸脱することはない。
【0034】
保護要素13は、作業員もしくは移動物体による意図しない衝撃または衝突によって引き起こされる圧力や偶発的な作動から、緊急ボタン12の作動要素14を保護するのに適している。
【0035】
好ましくは、保護要素13は、前記作動軸Xに略平行に伸びており、前記作動軸Xの一点に中心を有する少なくとも1つの半径方向Rに沿って少なくとも部分的に作動要素14と重なっている。
【0036】
言い換えれば、保護要素13は、駆動要素14を少なくとも部分的に取り囲んでいる。
【0037】
この場合、保護要素13は、作動要素14近傍の硬質体、例えば、作動軸Xの周りで作動要素14を少なくとも部分的に取り囲み、少なくとも部分的に作動軸Xに略平行な方向にケース11の外側に向かって延びる、硬質体を備える。このようにすれば、保護要素13は、作動軸Xに含まれる一点を中心とする少なくとも1つの半径方向Rにおいて作動要素14と重なる。
【0038】
なお、保護要素13は、作動要素14を保護するのに適した任意の形状を有し得る。例えば、円形、部分的に円形、正方形平面形状を有していてもよく、或いは、直線部分および/または曲線部分の任意の組み合わせによって画定されてもよい。
【0039】
作動要素14は、非動作状態にあるとき、壁16からケース11の外側に向かって第1高さH1だけ突出しており、保護要素13は、壁16からケース11の外側に向かって第2高さH2だけ突出している。第2高さH2は、第1高さH1の50%以上であることが好ましい。第2高さH2は、第1高さH1の80%以上であることが、さらに好ましい。添付の図面に示す実施形態では、第2高さH2は、第1高さH1よりも大きい。
【0040】
本発明の一態様によれば、緊急デバイス1は、光信号伝達手段17(
図2~
図5)であって、保護要素13に関連付けられ、光信号L(
図8)を生成するように設計された、光信号伝達手段17も備える。さらに、保護要素13は、光信号Lに対して少なくとも部分的に透明または半透明な少なくとも1つの信号伝達部分18(
図1)を備える。信号伝達部分18は、少なくとも部分的に自然光に対して透明または半透明であることが好ましい。
【0041】
ケース11には、光信号伝達手段17が収容されている。
【0042】
光信号伝達手段17は、光信号Lが信号伝達部分18を通過して外部から視認できるように、保護要素13に少なくとも部分的に重ね合わされている。
【0043】
この場合、光信号伝達手段17は、保護要素13の信号伝達部分18の下方にケース11の内側に向けて配置された複数のLEDを備えている。
【0044】
信号伝達部分18の表面は、保護要素13の外面全体の少なくとも50%であることが好ましい。信号伝達部分18は、保護要素13全体に相当することが、さらに好ましい。この場合、保護要素13の全体が、光信号Lに対して透明または半透明である。
【0045】
図4に概略的に表されている一実施形態では、光信号伝達手段17はケース11に収容され、保護要素13は壁16に固定されている。この実施形態では、壁16は光信号Lに対して不透明であって、光信号伝達手段17と保護要素13との間に介在する開口19を備えている。
【0046】
図5に概略的に表されている別の実施形態では、保護要素13が壁16に固定され、光信号伝達手段17は保護要素13の内部に収容されている。
【0047】
図1および
図3に概略的に表されているさらに好ましい実施形態では、光信号伝達手段17はケース11に収容され、保護要素13は、壁16と切れ目なく一体に形成されている。この実施形態では、保護要素13および壁面16は、光信号Lに対して完全に透明または半透明であることが好ましい。
【0048】
光信号伝達手段17は、電源および制御回路20に接続され、緊急ボタン12の状態に応じて、光信号Lをアクティブ化または非アクティブ化し、光信号Lの特性を変更するように設計されているか、設計されるように適合されている。代替的に、または付加的に、電源および制御回路20は、機械またはその構成部品の状態に応じて、光信号Lをアクティブ化または非アクティブ化し、光信号Lの特性を変更するように設計されているか、設計されるように適合されている。
【0049】
例示として、光信号Lの変更可能な特性は、点滅周波数、色、光強度その他の間から選択されてもよい。
【0050】
例えば、緊急ボタン12が非動作状態にあるとき、すなわち作動要素14が押されていないときに、光信号伝達手段17が連続光信号Lを発出し、緊急ボタン12が動作状態に切り換わったとき、すなわち作動要素14が押されたときに、光信号伝達手段17が間欠光信号Lを生成してもよく、その逆であってもよい。或いは、緊急ボタン12が非動作状態にあるときに、光信号伝達手段17が連続光信号または間欠光信号Lを発出し、緊急ボタン12が動作状態に切り換わったときに、光信号伝達手段17は光信号Lを全く生成せずにオフのままであってもよく、その逆であってもよい。或いは、光信号Lの第1色または第1レベルの光強度を、緊急ボタン12の1つの状態に関連付け、光信号Lの、第1色または第1レベルの光強度とはそれぞれ異なる第2色または第2レベルの光強度を、緊急ボタン12の他の状態に割り当ててもよい。
【0051】
このようにすれば、緊急状況下で作業員が最も近い緊急デバイス1を見つけることが容易となる一方、他方では、停止した機械もしくはプラントを再起動するのに必要であるときに、動作した特定の緊急デバイス1の探索を容易にして迅速化する。これは、特に複数の緊急デバイス1が存在している産業機械やプラントにとって、非常に有利である。
【0052】
別の実施形態では、光信号Lは、機械がオンのときにアクティブ化され機械がオフのときに消灯するか、またはその逆であってもよく、或いは、機械の他の任意の状態または動作サイクルを示す。
【0053】
場合によっては、緊急デバイス1は、ケース11の内部に配置され、緊急ボタン12の状態に応じて音声信号Sを生成するように設計されている、または設計されるように適合されている、音声信号伝達手段30(
図2および
図8)も備えている。例示として、音声信号伝達手段30は、ブザー、拡声器または任意の他の音源を含む。
【0054】
音声信号伝達手段30はまた、電源および制御回路20であって、緊急ボタン12または機械の状態に応じて音声信号Sをアクティブまたは非アクティブにし、音声信号Sのプロパティを変更するように設計されている、または設計されるように適合されている、電源および制御回路20に接続される。
【0055】
例示として、音声信号Sの変更可能な特性は、周波数、音量その他の間で選択され得る。
【0056】
例えば、緊急ボタン12が非動作状態にあるとき、音声信号伝達手段30は音声信号Sを生成せずオフのままであって、緊急ボタン12が動作状態に切り換わると、音声信号伝達手段30は連続音声信号または間欠音声信号Sを生成するか、またはその逆であってもよい。
【0057】
代替的に、或いは付加的に、電源および制御回路20は、機械またはその構成部品の状態に応じて、音声信号Sをアクティブ化または非アクティブ化し、音声信号Sの特性を変更するように設計されているか、または設計されるように適合されている。
【0058】
一実施形態では、電源および制御回路20は、アナログ型であって、少なくとも2つの異なる部分21,22(
図8)を備えており、各々が、電力供給されたときに光信号伝達手段17にそれぞれの特性を有するそれぞれの光信号Lを生成させるのに適している。さらに、電源および制御回路20は、1つまたは複数の補助切換部材23,24であって、作動要素14によって動作するように関連付けられ、電源25および前記2つの部分21,22の少なくとも1つに接続され、前記緊急ボタン12の状態に応じて一方または他方に電力を供給するのに適した、1つまたは複数の補助切換部材23,24を備える。
【0059】
例えば、電源および制御回路20は、第1部分21を備えており、この第1部分21は、電力供給されたときに光信号伝達手段17に連続光信号Lを生成させるのに適している。さらに、電源および制御回路20は、第2部分22も備えており、この第2部分22は、電力供給されたときに光信号伝達手段17に間欠光信号Lを生成させるのに適している。
【0060】
補助切換デバイス23,24は、常時オープン型または常時クローズ型であってよく、連続光信号部分21および/または間欠光信号部分22に接続されて、緊急デバイス1の特定の所望の挙動を得るようにしてもよい。
【0061】
各部分21,22は、各部分21,22の補助切換デバイス23,24への反転接続手段(図示しない、端子台など)に関連付けられることが好ましい。これは、本発明の緊急デバイス1を設置する作業員が所望の光信号伝達効果を設定することを可能にするため、有利である。
【0062】
例示として、常時クローズ型補助切換部材23を連続光信号部分21に接続し、常時オープン型補助切換部材24を間欠光信号部分22に接続して、光信号伝達手段17が、緊急ボタン12が非動作状態にあるときに連続光信号Lを発出し、緊急ボタン12が動作状態にあるときに間欠光信号を発出するようにしてもよい。当業者は、補助切換部材23,24が、任意の既知の型式または組み合わせであってよく、所望の光信号効果を得るために、連続光信号部分21および/または間欠光信号部分22、或いはそれらの1つだけに任意に接続可能であり得ることを、容易に理解するであろう。
【0063】
場合によっては、電源および制御回路20は、第3部分26を備えており、この第3部分26は、電力供給されたときに音声信号伝達手段30に連続音声信号Sを生成させるのに適している。さらに、電源および制御回路20は、第4部分27も備えており、この第4部分27は、電力供給されたときに音声信号伝達手段30に間欠音声信号Sを発生させるのに適している。
【0064】
この場合、補助切換部材23,24は、連続音声信号部分26および/または間欠音声信号部分27にも接続されるように設計されている。
【0065】
例示として、常時オープン型補助切換部材24を間欠音声信号部分27または連続音声信号部分26に接続し、緊急ボタン12が動作状態にあるときに音声信号伝達手段20が連続信号または間欠信号を発出するようにしてもよい。さらに、当業者は、補助切換デバイス23,24が任意の既知の型式または組み合わせであってよく、所望の音声信号効果を得るために、連続音声信号部分26および/または間欠音声信号部分27、或いはそれらの1つだけに任意に接続され得ることを、容易に理解するであろう。
【0066】
別の実施形態では、添付の図面には示されていないが、電源および制御回路20は、デジタル型であってもよく、作動要素14が非動作状態にあるか動作状態にあるかを検出するセンサと、センサおよび光信号伝達手段17に接続されて作動要素14の状態に応じてこれらを制御するプログラム可能な電子制御ユニットと、を備える。場合によっては、これらの実施形態において、制御ユニットは、音声信号伝達手段30にも接続されて作動要素14の状態に応じてこれらを制御してもよい。
【0067】
場合によっては、これらの実施形態において、制御ユニットは、産業用通信プロトコルまたはBUS(IO-Link、ProfiNET、ProfiSafe、またはその他)により外部デバイスに接続されて、光信号Lおよび/または音声信号Sの所望の特性を符号化する外部信号を受信してもよい。この場合、制御ユニットは、光信号Lおよび/または音声信号Sの所望の特性を符号化する前記外部信号に応じて、光信号伝達手段17および/または音声信号伝達手段30を制御するように設計される。
【0068】
代替的に、或いは付加的に、制御ユニットは、前記外部信号に応じて光信号伝達手段17および/または音声信号伝達手段30の動作を制御してもよい。
【0069】
例えば、前記外部信号は、機械もしくは産業用プラントまたは何か他のものの動作状態に応じて光信号Lおよび/または音声信号Sの特性を変更してもよい。或いは、切換部材15を、外部デバイス、すなわち機械に接続し、後者が、緊急ボタン12の状態に応じて光信号Lおよび/または音声信号Sの特性を変更するための外部信号を送信してもよい。
【0070】
本発明の緊急デバイス1は、任意の公知の産業用自動化デバイスに組み込まれてもよく、これらの場合、ケース11は、緊急デバイス1が組み込まれる産業用自動化デバイスの要素を含んでいてもよい。
【0071】
例えば、
図6に一実施例として示される一実施形態では、本発明の緊急デバイス1は、可動ガード用の安全スイッチに組み込まれている。或いは、
図7に一実施例として示される別の実施形態では、本発明の緊急デバイス1は、他のボタン、例えば2つの他のボタンと共にボタンパネルに組み込まれている。
【外国語明細書】