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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028771
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】レール・ツー・レールnMOS増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/32 20060101AFI20250221BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20250221BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20250221BHJP
   H03F 3/34 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
H03F1/32
H03F3/45
H03F3/68
H03F3/34 210
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024134009
(22)【出願日】2024-08-09
(31)【優先権主張番号】18/452,265
(32)【優先日】2023-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523032401
【氏名又は名称】ルネサス デザイン (ユーケー) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Renesas Design (UK) Limited
【住所又は居所原語表記】Dukes Meadow, Millboard Road, Bourne End SL8 5FH, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 大樹
(72)【発明者】
【氏名】大倉 鉄郎
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA21
5J500AC02
5J500AC13
5J500AC21
5J500AC32
5J500AC36
5J500AC86
5J500AC87
5J500AC92
5J500AF15
5J500AH10
5J500AH25
5J500AK02
5J500AK09
5J500AK21
5J500AM05
5J500AT01
5J500DN04
5J500NG01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】完全/大きなレール・ツー・レール範囲内で高い線形性を有するレール・ツー・レール増幅器アセンブリを提供する。
【解決手段】増幅器アセンブリ10は、第1の入力レベル範囲のための第1の信号入力ノード12に接続された第1の入力回路20と、第2の入力レベル範囲のための第2の信号入力ノード14に接続された第2の入力回路30と、第1の入力回路、第2の入力回路及び増幅器アセンブリの出力ノード16に結合された負荷回路と、を含む。ここで、第1の入力回路は、第1の補助制御トランジスタ要素26と、第1の制御トランジスタ要素24と、を含む。第1の信号入力ノードは、第1の制御トランジスタ要素の制御端子および第1の補助制御トランジスタ要素の制御端子に結合される。第1の制御トランジスタ要素に並列に接続された経路は、第1の補助制御トランジスタ要素を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール・ツー・レール増幅器として使用するのに適した増幅器アセンブリであって、
第1の入力レベル範囲のための第1の信号入力ノードに接続された第1の入力回路と、
第2の入力レベル範囲のための第2の信号入力ノードに接続された第2の入力回路と、
前記第1の入力回路、前記第2の入力回路、および前記増幅器アセンブリの出力ノードに結合された負荷回路と、
を含み、
前記第1の入力回路は、第1の補助制御トランジスタ要素と、第1の制御トランジスタ要素と、を含み、
前記第1の信号入力ノードは、前記第1の制御トランジスタ要素の制御端子および前記第1の補助制御トランジスタ要素の制御端子に結合され、
前記第1の制御トランジスタ要素に並列に接続された経路は、前記第1の補助制御トランジスタ要素を含む、
増幅器アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の入力回路は、第1のクランプ回路を含み、
前記第1の制御トランジスタ要素に並列に接続された前記経路は、直列に接続された前記第1のクランプ回路を含む、
請求項1に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のクランプ回路は、第1のクランプトランジスタ要素を含み、前記第1のクランプトランジスタ要素の制御端子は、バイアス入力ノードにおける電気量によって制御される、請求項2に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項4】
前記第2の入力回路は、第2の補助制御トランジスタ要素と、第2の制御トランジスタ要素と、を含み、
前記第2の信号入力ノードは、前記第2の制御トランジスタ要素の制御端子および前記第2の補助制御トランジスタ要素の制御端子に結合され、
前記第2の制御トランジスタ要素に並列に接続された経路は、前記第2の補助制御トランジスタ要素を含む、
請求項1に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項5】
前記第2の入力回路は、第2のクランプ回路を含み、
前記第2の制御トランジスタ要素に並列に接続された前記経路は、直列に接続された前記第2のクランプ回路を含む、
請求項4に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項6】
前記第2のクランプ回路は、第2のクランプトランジスタ要素を含み、前記第2のクランプトランジスタ要素の制御端子は、バイアス入力ノードにおける電気量によって制御される、請求項5に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項7】
前記第1のクランプトランジスタ要素、前記第1の補助制御トランジスタ要素、前記第1の制御トランジスタ要素、前記第2のクランプトランジスタ要素、前記第2の補助制御トランジスタ要素、および/または前記第2の制御トランジスタ要素は、nMOSトランジスタ要素であり、且つ/または
前記第1の入力回路および/または前記第2の入力回路のすべてのトランジスタ要素は、nMOSトランジスタ要素である、
請求項1に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項8】
前記第1のクランプトランジスタ要素、前記第1の補助制御トランジスタ要素、前記第2のクランプトランジスタ要素、および/または前記第2の補助制御トランジスタ要素は、ネイティブMOSトランジスタ要素であり、且つ/または
前記第1の制御トランジスタ要素および/または前記第2の制御トランジスタ要素は、標準MOSトランジスタ要素である、
請求項1に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項9】
前記負荷回路は、前記第1の入力回路の出力電気量および前記第2の入力回路の出力電気量に基づいて前記増幅器アセンブリの出力を制御するための出力トランジスタ要素を含む、請求項1に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項10】
前記負荷回路は、出力トランジスタ要素を含み、前記第1の入力回路および前記第2の入力回路は、前記出力トランジスタ要素の制御端子における電気量に影響を与える、請求項1に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項11】
前記負荷回路は、電流ミラー回路と、出力トランジスタ要素と、を含み、
前記電流ミラー回路は、前記第1の入力回路、前記第2の入力回路、および前記出力トランジスタ要素に結合され、
前記出力トランジスタ要素は、前記増幅器アセンブリの出力を制御する、
請求項1に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項12】
前記負荷回路は、出力トランジスタ要素と、第1の負荷トランジスタ要素と、第2の負荷トランジスタ要素と、を含み、
前記第1の入力回路は、前記第1の負荷トランジスタ要素の制御端子、前記第2の負荷トランジスタ要素の制御端子、および前記第1の負荷トランジスタ要素のチャネルに結合され、
前記第2の入力回路は、前記第2の負荷トランジスタ要素のチャネルおよび前記出力トランジスタ要素の制御端子に結合され、
前記出力トランジスタ要素のチャネルは、前記増幅器アセンブリの出力に結合される、
請求項1に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項13】
前記出力トランジスタ要素、前記第1の負荷トランジスタ要素、および/または前記第2の負荷トランジスタ要素は、pMOSトランジスタ要素であり、且つ/または
前記負荷回路のすべてのトランジスタ要素は、pMOSトランジスタ要素である、
請求項12に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項14】
前記出力トランジスタ要素、前記第1の負荷トランジスタ要素、および/または前記第2の負荷トランジスタ要素は、標準MOSトランジスタ要素であり、且つ/または
前記負荷回路のすべてのトランジスタ要素は、標準MOSトランジスタ要素である、
請求項12に記載の増幅器アセンブリ。
【請求項15】
前記増幅器アセンブリの出力は、前記第1の信号入力ノードまたは前記第2の信号入力ノードに結合される、請求項1に記載の増幅器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号バッファに関する。信号バッファは、アナログフロントエンドに広く採用されている。ここでは、入力信号は、信号バッファを介してアナログフロントエンドに供給される。広範囲の入力信号電圧を扱うために、信号バッファは、通常、レール・ツー・レールで動作することが要求されている。
【背景技術】
【0002】
Phillip E.Allen,Douglas R.Holbergらによる「CMOS Analog Circuit Design」(Oxford University Press,2011年)では、単一のpMOS、単一のnMOS、およびnMOSとpMOSトランジスタを組み合わせた信号バッファの例が入力段として使用されている。しかしながら、入力段としてのpMOSまたはnMOSトランジスタは、電圧範囲が限られているため、必ずしもシステム要件を満たしていない。その一方で、pMOSとnMOSの組み合わせは、レール・ツー・レールの入力段トポロジーに適していることがよく知られている。しかしながら、このセットアップでは定トランスコンダクタンスgm回路と負荷段としての折り畳みカスケードが必要なため、定トランスコンダクタンスgmと折り畳みカスケード段の両方を使用すると、信号の静止電流Iqと実装面積が増大する。また、回路全体の構造が複雑になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した問題に対処するために、レール・ツー・レール動作、低電力動作、および最小ダイ面積を実現する増幅器アセンブリが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した問題を解決するために、本開示は、レール・ツー・レール増幅器として使用するのに適した増幅器アセンブリを提供する。
【0005】
増幅器アセンブリは、第1の信号入力ノードに接続された第1の入力回路と、第2の信号入力ノードに接続された第2の入力回路と、第1の入力回路、第2の入力回路、および増幅器アセンブリの出力ノードに結合された負荷回路と、を含む。第1の入力回路は、第1の補助制御トランジスタ要素と、第1の制御トランジスタ要素と、を含み、第1の信号入力ノードは、第1の制御トランジスタ要素の制御端子および第1の補助制御トランジスタ要素の制御端子に結合される。第1の制御トランジスタ要素に並列に接続された経路は、第1の補助制御トランジスタ要素を含む。第1の信号入力ノードにより、第1の入力信号が増幅器アセンブリに供給されてもよい。第2の信号入力ノードにより、第2の入力信号が供給されてもよい。第1の信号入力ノードにおいて、第1の入力レベル範囲を有する信号が供給されてもよい。第2の信号入力ノードにおいて、第2の入力レベル範囲を有する信号が供給されてもよい。一部の実施形態において、第1の入力レベル範囲および第2の入力レベル範囲は、同一であってもよく、重なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、完全に異なっていてもよい。
【0006】
「並列に接続」とういう表現は、回路接続の種類を指定する場合がある。一部の実施形態において、「並列に接続」という表現は、レイアウトの順序を指定しない場合がある。
【0007】
増幅器アセンブリのこの構成により、特に第1の入力ノードにおける低入力電圧に対して、第1の補助制御トランジスタ要素による増幅器アセンブリの線形性が高くなる。その結果、小さなダイ面積を有する、低電力動作の増幅器アセンブリが提供される。さらに、第1の補助制御トランジスタ要素による線形補償により、入力電圧オフセットが低減される可能性がある。このように、小さな入力電圧であっても、小さな実装面積で良好な精度を達成することができる。また、小さな面積における小さな入力オフセット電圧は、複雑な回路を必要とせず、レール・ツー・レール入力電圧範囲を増大させるためのコスト削減にも貢献する。
【0008】
一部の実施形態において、第1の入力回路は、第1のクランプ回路を含んでもよい。ここで、第1の制御トランジスタ要素に並列に接続された経路は、直列に接続された第1のクランプ回路を含んでもよい。第1のクランプ回路によって、第1の補助制御トランジスタ要素の動作点が画定されてもよい。このように、第1の信号入力ノードでの高入力電圧における第1の制御トランジスタの動作に対する第1の補助制御トランジスタ要素の悪影響を回避することができる。要約すると、完全/大きなレール・ツー・レール範囲内で高い線形性を有するレール・ツー・レール増幅器アセンブリを提供することができる。
【0009】
一部の実施形態において、第1のクランプ回路は、第1のクランプトランジスタ要素を含んでもよい。ここで、第1のクランプトランジスタ要素の制御端子は、バイアス入力ノードにおける電気量によって制御される。このように、第1の補助制御トランジスタ要素にかかるバイアスは、非常に柔軟で正確であるように適応されてもよい。そのため、伝達関数の精度を向上させることができる。さらに、第1の補助制御トランジスタ要素および第1の制御トランジスタ要素の不一致、ならびにその他の不一致を、少ない労力で効率よく調整することができる。
【0010】
一部の実施形態において、第2の入力回路は、第2の補助制御トランジスタ要素と、第2の制御トランジスタ要素と、を含んでもよい。ここで、第2の信号入力ノードは、第2の制御トランジスタ要素の制御端子および第2の補助制御トランジスタ要素の制御端子に結合されてもよい。第2の制御トランジスタ要素に並列に接続された経路は、第2の補助制御トランジスタ要素を含んでもよい。
【0011】
このように、第1および第2の補助制御トランジスタ要素によって、第1および第2の信号入力ノードの両方に対して増幅器アセンブリの高い線形性、特に低入力電圧が供給される増幅器アセンブリが提供されてもよい。その結果、小さなダイ面積を有する、低電力動作の増幅器アセンブリが提供される。さらに、第2の補助制御トランジスタ要素による線形補償により、入力電圧オフセットが低減される可能性がある。このように、小さな入力電圧であっても、小さな実装面積で良好な精度を達成することができる。また、小さな面積における小さな入力オフセット電圧は、複雑な回路を必要とせず、レール・ツー・レール入力電圧範囲を増大させるためのコスト削減にも貢献する。
【0012】
一部の実施形態において、第2の入力回路は、第2のクランプ回路を含んでもよい。ここで、第2の制御トランジスタ要素に並列に接続された経路は、直列に接続された第2のクランプ回路を含んでもよい。このように、第2の信号入力ノードでの高入力電圧における第1の制御トランジスタの動作に対する第2の補助制御トランジスタ要素の悪影響を回避することができる。要約すると、完全/大きなレール・ツー・レール範囲内で高い線形性を有するレール・ツー・レール増幅器アセンブリを提供することができる。
【0013】
一部の実施形態において、第2のクランプ回路は、第2のクランプトランジスタ要素を含んでもよい。ここで、第2のクランプトランジスタ要素の制御端子は、バイアス入力ノードにおける電気量によって制御されてもよい。このように、第2の補助制御トランジスタ要素のバイアスは、非常に柔軟で正確であるように適応されてもよい。そのため、伝達関数の精度を向上させることができる。さらに、第2の補助制御トランジスタ要素および第2の制御トランジスタ要素の不一致、ならびにその他の不一致を、少ない労力で効率よく調整することができる。
【0014】
一部の実施形態において、第1のクランプトランジスタ要素に結合されたバイアス入力ノードは、第2のクランプトランジスタ要素に結合されたバイアス入力ノードに結合されてもよい。したがって、バイアスは簡素化され、非常に高速に実行される。
【0015】
一部の実施形態において、第1のクランプトランジスタ要素に結合されたバイアス入力ノードは、第2のクランプトランジスタ要素に結合されたバイアス入力ノードから部分的にまたは完全に切り離されてもよい。したがって、特に第1の入力回路と第2の入力回路との間に不一致がある場合に、バイアスをより正確にかけることができ、増幅器アセンブリの全体的な線形性を改善することができる。
【0016】
一部の実施形態において、第1のクランプトランジスタ要素、第1の補助制御トランジスタ要素、第1の制御トランジスタ要素、第2のクランプトランジスタ要素、第2の補助制御トランジスタ要素、および/または第2の制御トランジスタ要素は、nMOSトランジスタ要素であってもよい。一部の実施形態において、第1の入力回路および/または第2の入力回路のすべてのトランジスタ要素は、nMOSトランジスタ要素であってもよい。第1および第2の入力回路としてnMOSトランジスタ要素を使用することで、第1および/または第2の信号入力ノードに印加される高入力電圧の取り扱いを改善することができる。
【0017】
一部の実施形態において、第1のクランプトランジスタ要素、第1の補助制御トランジスタ要素、第2のクランプトランジスタ要素、および/または第2の補助制御トランジスタ要素は、ネイティブMOSトランジスタ要素であってもよい。第1および/または第2の補助制御トランジスタ要素の閾値電圧を低減することで、第1および/または第2の信号入力ノードにおける低電圧に関する感度を改善することができる。これにより、第1および/または第2の制御トランジスタ要素におけるオフセット電圧を改善することができ、低入力電圧における増幅器アセンブリの線形性を増大させることができる。さらに、第1の補助制御トランジスタ要素、第2の補助制御トランジスタ要素、第1のクランプトランジスタ要素、および第2のクランプトランジスタ要素のうちの1つまたは複数を含むネイティブ入力段は、増幅器の入力電圧範囲を拡大するのに役立ち、低入力電圧における入力オフセット電圧を低減することができる。また、ネイティブトランジスタ要素をクランプトランジスタ要素として使用することで、アナログ動作としてネイティブMOSの第1/第2の補助制御トランジスタ要素を標準MOSの第1/第2の制御トランジスタ要素に切り替えるのに役立つことができる。したがって、ネイティブMOSから標準MOSへの移行をスムーズに行うことができる。
【0018】
一部の実施形態において、第1の制御トランジスタ要素および/または第2の制御トランジスタ要素は、標準MOSトランジスタ要素であってもよい。これにより、中電圧および高入力電圧に対する増幅器アセンブリの伝達関数が線形になる可能性がある。
【0019】
一部の実施形態において、負荷回路は、第1の入力回路の出力電気量および第2の入力回路の出力電気量に基づいて増幅器アセンブリの出力を制御するための出力トランジスタ要素を含んでもよい。これは、増幅器アセンブリの電源電圧に近い高出力電圧が可能であるという利点を有する場合がある(レール・ツー・レール出力)。
【0020】
一部の実施形態において、負荷回路は、出力トランジスタ要素を含んでもよい。ここで、第1の入力回路および第2の入力回路は、出力トランジスタ要素の制御端子における電気量に影響を与えてもよい。これは、増幅器アセンブリの電源電圧に近い高出力電圧が可能であるという利点を有する場合がある(レール・ツー・レール出力)。
【0021】
一部の実施形態において、負荷回路は、電流ミラー回路と、出力トランジスタ要素と、を含んでもよい。ここで、電流ミラー回路は、第1の入力回路、第2の入力回路、および出力トランジスタ要素に結合されてもよく、出力トランジスタ要素は、増幅器アセンブリの出力を制御してもよい。これにより、増幅器アセンブリの出力を制御するために、第1の入力回路と第2の入力回路とを簡単且つ効率的に結合することができる。
【0022】
一部の実施形態において、負荷回路は、出力トランジスタ要素と、第1の負荷トランジスタ要素と、第2の負荷トランジスタ要素と、を含んでもよい。ここで、第1の入力回路は、第1の負荷トランジスタ要素の制御端子、第2の負荷トランジスタ要素の制御端子、および第1の負荷トランジスタ要素のチャネルに結合されてもよい。第2の入力回路は、第2の負荷トランジスタ要素のチャネルおよび出力トランジスタ要素の制御端子に結合されてもよく、出力トランジスタ要素のチャネルは、増幅器アセンブリの出力に結合されてもよい。これにより、増幅器アセンブリの出力を制御するために、第1の入力回路と第2の入力回路とを簡単且つ効率的に結合することができる。
【0023】
一部の実施形態において、出力トランジスタ要素、第1の負荷トランジスタ要素、および/または第2の負荷トランジスタ要素は、pMOSトランジスタ要素であってもよい。一部の実施形態において、負荷回路のすべてのトランジスタ要素は、pMOSトランジスタ要素であってもよい。これは、特に電源電圧に近い高出力電圧範囲を出力できるという利点を有する場合がある。さらに、全体的なリーク電流を低減することができる。
【0024】
一部の実施形態において、出力トランジスタ要素、第1の負荷トランジスタ要素、および/または第2の負荷トランジスタ要素は、標準MOSトランジスタ要素であってもよい。一部の実施形態において、負荷回路のすべてのトランジスタ要素は、標準MOSトランジスタ要素であってもよい。このように、増幅器アセンブリの全体的なサイズを低減し、トランスコンダクタンスを改善することができる。したがって、増幅器アセンブリの効率を増大させることができる。
【0025】
一部の実施形態において、増幅器アセンブリの出力は、第1の信号入力ノードまたは第2の信号入力ノードに結合されてもよい。このように、大きな電圧範囲と低損失を有する簡単で効率的な電圧フォロワを提供することができる。
【0026】
要約すると、補助制御トランジスタ要素が、入力ノードに接続された入力回路の制御トランジスタ要素に並列に接続されることで、レール・ツー・レール範囲が改善され、回路が簡素化された増幅器アセンブリが提供され得る。補助制御トランジスタ要素のドレイン/ソース間電圧は、低入力電圧においてそれぞれの入力回路の出力に関する制御トランジスタ要素のドレイン/ソース間電圧と比較して優位であってもよい。その一方で、補助制御トランジスタ要素は、高入力電圧においてクランプ回路、特にクランプトランジスタによって切り離されてもよい。このように、制御トランジスタ要素のドレイン/ソース間電圧は、高入力電圧においてそれぞれの入力回路の出力に関する補助制御トランジスタ要素のドレイン/ソース間電圧と比較して優位であってもよい。
【0027】
したがって、高い線形性をもつ伝達関数、小さな入力オフセット電圧、小さなダイ面積、および大きなレール・ツー・レール範囲を有する増幅器アセンブリが提供される。より詳細には、小さな面積をもつ小さな入力オフセット電圧は、良好な精度を達成するのに役立つ。また、小さな面積をもつ小さな入力オフセット電圧は、トリミングコストの削減にも役立つ。さらに、複雑な回路を使用することなくレール・ツー・レール入力電圧範囲を拡大することができるので、省エネルギー、ひいては放熱の低減につながる。また、大きなレール・ツー・レール増幅器アセンブリが簡素化されるので、小さな実装面積のみが必要となる。ネイティブnMOSをクランプトランジスタ要素として使用することで、ネイティブnMOS入力段(ネイティブnMOS補助制御トランジスタ要素)から標準nMOS入力段(標準nMOS制御トランジスタ要素)への移行をスムーズに行うことができる。最後に、定トランスコンダクタンスgm回路のないレール・ツー・レール動作により、低信号の静止電流動作(Iq電流動作)を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態による増幅器アセンブリの一例を模式的に示す図である。
図2】別の実施形態による増幅器アセンブリの一例を模式的に示す図である。
図3】一実施形態による増幅器アセンブリの一例を模式的に示す図である。
図4】一実施形態による、増幅器アセンブリが電圧フォロワとして使用される一例を模式的に示す図である。
図5図4に示すように接続された実施形態による増幅器アセンブリの伝達関数の一例を模式的に示す図である。
図6a】一実施形態による、増幅器アセンブリにおける伝達関数の温度依存性の一例を模式的に示す図である。ここで、第1の補助制御トランジスタ要素、第2の補助制御トランジスタ要素、第1のクランプトランジスタ要素、および第2のクランプトランジスタ要素は、標準トランジスタ要素である。
図6b】一実施形態による、増幅器アセンブリにおける伝達関数の温度依存性の一例を模式的に示す図である。ここで、第1の補助制御トランジスタ要素、第2の補助制御トランジスタ要素、第1のクランプトランジスタ要素、および第2のクランプトランジスタ要素は、ネイティブトランジスタ要素である。
図7a図6aに示す伝達関数と、理想的な線形レール・ツー・レール伝達関数との誤差の一例を模式的に示す図である。
図7b図6bに示す伝達関数と、理想的な線形レール・ツー・レール伝達関数との誤差の一例を模式的に示す図である。
図8a】一実施形態による、増幅器アセンブリの温度にわたるモンテカルロシミュレーションの結果の一例を示す図である。ここで、補助制御トランジスタ要素は、標準MOSトランジスタ要素である。
図8b】一実施形態による、増幅器アセンブリの温度にわたるモンテカルロシミュレーションの結果の一例を示す図である。ここで、補助制御トランジスタ要素は、ネイティブMOSトランジスタ要素である。
図9】電源電圧および温度に対するPWMコンバータの測定結果の一例を模式的に示す図である。ここで、図1図3のいずれかに示す増幅器アセンブリが使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本開示の一実施形態による増幅器アセンブリ10の一例を模式的に示す図である。増幅器アセンブリ10は、レール・ツー・レール増幅器として使用するのに適しており、第1の入力レベル範囲のための第1の信号入力ノード12に接続された第1の入力回路20と、第2の入力レベル範囲のための第2の信号入力ノード14に接続された第2の入力回路30と、第1の入力回路20、第2の入力回路30、および増幅器アセンブリ10の出力ノード16に結合された負荷回路40と、を含む。第1の入力回路20は、第1の補助制御トランジスタ要素26と、第1の制御トランジスタ要素24と、を含む。ここで、第1の信号入力ノード12は、第1の制御トランジスタ要素24の制御端子および第1の補助制御トランジスタ要素26の制御端子に結合される。第1の制御トランジスタ要素24に並列に接続された経路は、第1の補助制御トランジスタ要素26を含む。
【0030】
「第1の制御トランジスタ要素に並列に接続された経路」とういう表現は、幾何学的なレイアウト上の制限はなく、増幅器アセンブリ要素/ユニットの接続の有無を決定する。
【0031】
図1に示すように、第1の入力回路20は、第1のクランプ回路28を含んでもよい。ここで、第1の制御トランジスタ要素26に並列に接続された経路は、直列に接続された第1のクランプ回路28を含んでもよい。
【0032】
また、図1に示すように、第2の入力回路30は、第2の補助制御トランジスタ要素36と、第2の制御トランジスタ要素34と、を含んでもよい。ここで、第2の信号入力ノード14は、第2の制御トランジスタ要素34の制御端子および第2の補助制御トランジスタ要素36の制御端子に結合されてもよい。第2の制御トランジスタ要素34に並列に接続された経路は、第2の補助制御トランジスタ要素36を含んでもよい。
【0033】
図1に示すように、第2の入力回路30は、第2のクランプ回路38を含んでもよい。ここで、第2の制御トランジスタ要素34に並列に接続された経路は、直列に接続された第2のクランプ回路38を含んでもよい。
【0034】
第1の信号入力ノード12における入力電圧が増大すると、第1のクランプ回路28は、第1の制御トランジスタ要素24に並列に接続された経路をクランプしてもよい。特に、第1の補助制御トランジスタ要素は、第1の入力回路20の出力の制御からクランプされてもよい。その結果、第1の補助制御トランジスタ要素26が切り離されて、第1の制御トランジスタ要素24が引き継いでもよい。
【0035】
第2の信号入力ノード14における入力電圧が増大すると、第2のクランプ回路38は、第2の制御トランジスタ要素34に並列に接続された経路をクランプしてもよい。特に、第2の補助制御トランジスタ要素は、第2の入力回路30の出力の制御からクランプされてもよい。その結果、第2の補助制御トランジスタ要素36が切り離されて、第1の制御トランジスタ要素34が引き継いでもよい。
【0036】
その一方で、第1の補助制御トランジスタ要素26および/または第2の補助制御トランジスタ要素36が線形領域にあるときに、第1の入力回路20および/または第2の入力回路30の出力電圧は、第1および/または第2の補助制御トランジスタ要素のソースノードにそれぞれ達してもよい。そのため、第1および/または第2の入力信号がそれぞれ電源電圧Vdd程度のときは、第1の制御トランジスタ要素24および/または第2の制御トランジスタ要素34がそれぞれ動作しない場合がある。
【0037】
一部の実施形態において、増幅器アセンブリは、第1の制御トランジスタ要素24および/または第2の制御トランジスタ要素34にバイアスをかけるためのバイアス電流源18を備えてもよい。したがって、バイアス電流源18は、第1の制御トランジスタ要素24および/または第2の制御トランジスタ要素34に直列に接続されてもよい。
【0038】
図2は、別の実施形態による増幅器アセンブリ10の一例を模式的に示す図である。図2は、図1に基づいている。図1は、負荷回路40が電源電圧VDDに結合され、第1の入力回路20および第2の入力回路30が負荷回路40から接地であり得る第2の電位VSSまでの経路を形成する増幅器アセンブリ10の構成を示す。図2は、第1の入力回路20および第2の入力回路30が電源電圧VDDに接続され、負荷回路40が第1の入力回路20および第2の入力回路30から接地であり得る第2の電位VSSまでの経路を形成する代替的な構成を示す。これに関連して、第1の入力回路20、第2の入力回路40、および負荷回路40の回路構成は、このような再構成に応じて適応されてもよい。
【0039】
図3は、別の実施形態による増幅器アセンブリ10の一例を模式的に示す図である。図3は、図1に示す実施形態に基づいている。さらに、図3に示す増幅器アセンブリは、図1に示す実施形態と同様に、図2に示す実施形態と一致するように適応されてもよい。そのため、同一または類似の回路要素の説明を省略する。
【0040】
図3に示すように、第1のクランプ回路28は、第1のクランプトランジスタ要素25を含んでもよい。ここで、第1のクランプトランジスタ要素25の制御端子は、バイアス入力ノード29における電気量によって制御されてもよい。
【0041】
第1の信号入力ノード12における入力電圧が増加してバイアス入力ノード29における入力電圧に達すると、第1のクランプトランジスタ要素25は、第1の補助制御トランジスタ要素26をクランプするか、第1の補助制御トランジスタ要素26をクランプし始めてもよい。その結果、第1の補助制御トランジスタ要素26は切り離され、したがってオフとなり、第1の制御トランジスタ要素24が引き継ぐ。これは、負荷回路40に供給される第1の入力回路20の出力vd1が、第1の入力ノード12における低入力電圧では第1の補助制御トランジスタ要素26によって基本的に制御され、第1の入力ノード12における高入力電圧では第1の制御トランジスタ要素24によって基本的に制御されることを意味する。
【0042】
さらに、図3に示すように、第2のクランプ回路38は、第2のクランプトランジスタ要素35を含んでもよい。ここで、第2のクランプトランジスタ要素35の制御端子は、バイアス入力ノード39における電気量によって制御されてもよい。
【0043】
第2の信号入力ノード14における入力電圧が増加してバイアス入力ノード39における入力電圧に達すると、第2のクランプトランジスタ要素35は、第2の補助制御トランジスタ要素36をクランプするか、第2の補助制御トランジスタ要素36をクランプし始めてもよい。その結果、第2の補助制御トランジスタ要素36は切り離され、したがってオフとなり、第2の制御トランジスタ要素34が引き継ぐ。これは、負荷回路40に供給される第2の入力回路30の出力vd2が、第2の入力ノード14における低入力電圧では第2の補助制御トランジスタ要素36によって基本的に制御され、第2の入力ノード14における高入力電圧では第2の制御トランジスタ要素34によって基本的に制御されることを意味する。
【0044】
一部の実施形態において、バイアス入力ノード29は、バイアス入力ノード39に結合されてもよい。一部の実施形態において、バイアス入力ノード29は、バイアス入力ノード39から切り離されてもよい。
【0045】
第1のクランプ回路は、第1のクランプトランジスタ要素25に直列に接続されたバイアス抵抗27を備えてもよく、且つ/または第2のクランプ回路は、第2のクランプトランジスタ要素35に直列に接続されたバイアス抵抗37を備えてもよい。図3に示すように、第1のバイアス抵抗27および第2のバイアス抵抗37は、第1のクランプ回路28および第2のクランプ回路38によって互いに共有されてもよい。
【0046】
一部の実施形態において、第1のクランプトランジスタ要素25、第1の補助制御トランジスタ要素26、第1の制御トランジスタ要素24、第2のクランプトランジスタ要素35、第2の補助制御トランジスタ要素36、および/または第2の制御トランジスタ要素34は、nMOSトランジスタ要素であってもよい。一部の構成において、第1の入力回路20および/または第2の入力回路30のすべてのトランジスタ要素は、nMOSトランジスタ要素であってもよい。
【0047】
一部の実施形態において、第1のクランプトランジスタ要素25、第1の補助制御トランジスタ要素26、第2のクランプトランジスタ要素35、および/または第2の補助制御トランジスタ要素36は、ネイティブMOSトランジスタ要素であってもよい。一部の構成において、第1の制御トランジスタ要素24および/または第2の制御トランジスタ要素34は、標準MOSトランジスタ要素であってもよい。
【0048】
図3に示すように、負荷回路40は、第1の入力回路20の出力電気量vd1および第2の入力回路30の出力電気量vd2に基づいて、増幅器アセンブリ10の出力16を制御するための出力トランジスタ要素46を含んでもよい。一部の構成において、第1の入力回路20および第2の入力回路30は、出力トランジスタ要素46の制御端子における電気量に影響を与える。
【0049】
一部の代替的な実施形態において、負荷回路は、出力トランジスタ要素46に供給される制御信号を直接出力することによって、出力トランジスタ要素46を介することなく、第1の入力回路20の出力電気量vd1および第2の入力回路30の出力電気量vd2に基づいて、増幅器アセンブリ10の出力16を制御してもよい。
【0050】
図3に示すように、負荷回路は、電流ミラー回路42、44と、出力トランジスタ要素46と、を含んでもよい。ここで、電流ミラー回路42、44は、第1の入力回路20および第2の入力回路30に結合されてもよい。一部の実施形態において、電流ミラー回路の出力は、出力ノード16において直接出力されてもよい。一部の代替的な構成において、電流ミラー回路は、第1の入力回路20、第2の入力回路30、および出力トランジスタ要素46に結合されてもよく、出力トランジスタ要素46は、増幅器アセンブリ10の出力16を制御する。
【0051】
図3に示すように、負荷回路は、出力トランジスタ要素46と、第1の負荷トランジスタ要素42と、第2の負荷トランジスタ要素44と、を含んでもよい。ここで、第1の入力回路20は、第1の負荷トランジスタ要素の制御端子42、第2の負荷トランジスタ要素の制御端子44、および第1の負荷トランジスタ要素42のチャネルに結合されてもよく、第2の入力回路30は、第2の負荷トランジスタ要素44のチャネルおよび出力トランジスタ要素46の制御端子に結合されてもよく、出力トランジスタ要素46のチャネルは、増幅器アセンブリ10の出力16に結合される。一部の実施形態において、出力トランジスタ要素46は、省略されてもよく、出力トランジスタ要素46の制御端子に供給される信号は、増幅器アセンブリの出力16に直接供給されてもよい。
【0052】
一部の構成において、出力トランジスタ要素46、第1の負荷トランジスタ要素42、および/または第2の負荷トランジスタ要素44は、pMOSトランジスタ要素であってもよい。一部の実施形態において、負荷回路40のすべてのトランジスタ要素は、pMOSトランジスタ要素であってもよい。
【0053】
一部の構成において、出力トランジスタ要素46、第1の負荷トランジスタ要素42、および/または第2の負荷トランジスタ要素44は、標準MOSトランジスタ要素であってもよい。一部の実施形態において、負荷回路40のすべてのトランジスタ要素は、標準MOSトランジスタ要素であってもよい。
【0054】
一部の構成において、増幅器アセンブリ10の出力16は、第1の信号入力ノード12または第2の信号入力ノード14に結合されてもよい。このような構成は、特に広範囲電圧フォロワなどの電圧フォロワを得るために使用されてもよい。
【0055】
一部の実施形態において、増幅器アセンブリは、出力ノード16に結合された負荷抵抗R48を備えてもよい。
【0056】
レール・ツー・レール動作に加えて、開示された増幅器アセンブリは、入力オフセット電圧を最適化してもよい。低電圧入力範囲において、ネイティブnMOSトランジスタ要素25、26、35、36は動作するが、ネイティブnMOSは閾値電圧調整プロセスをもたないので、その閾値電圧は小さい。このように、ネイティブnMOSトランジスタ要素25、26、35、36は、電圧精度の向上をもたらす。
【0057】
図4は、一実施形態による、増幅器アセンブリが電圧フォロワとして使用される一例を模式的に示す図である。図4に示すように、バイアス入力ノード29およびバイアス入力ノード39は、単一のバイアス入力ノードとして合計される。さらに、増幅器アセンブリの出力は、増幅器アセンブリの負の入力を形成する第1の信号入力ノード12に結合される。
【0058】
図5は、図4に示すように接続された実施形態による増幅器アセンブリの伝達関数の例を模式的に示す図である。x軸には入力信号がボルト単位で示され、y軸には出力信号がボルト単位で示されている。
【0059】
図5のグラフ51は、第1の制御トランジスタ要素24および第2の制御トランジスタ要素34に並列に接続された経路を除いた、図3に示す増幅器アセンブリの伝達関数を示す。図5に示すグラフ52は、図3に示す増幅器アセンブリの伝達関数を、クランプトランジスタ要素25、35なしで示したものである(クランプトランジスタ要素25および35はそれぞれの伝送線に置き換えられている)。図5のグラフ53は、図3を参照して上述した増幅器アセンブリの伝達関数を示すものである。
【0060】
グラフ51および52を見ると、第1の補助制御トランジスタ要素26および第2の補助制御トランジスタ要素36が、低入力電圧に対する増幅器アセンブリの精度を向上させていることがわかる。しかしながら、このような適応は、高入力電圧に対する伝達関数のオーバーシュートを引き起こす。第1のクランプトランジスタ要素25および第2のクランプトランジスタ要素35を実装することにより、第1のクランプトランジスタ要素25および第2のクランプトランジスタ要素35が、第1の制御トランジスタ要素24および第2の制御トランジスタ要素34に並列に接続された経路をそれぞれクランプすることで第1の補助制御トランジスタ要素26および第2の補助制御トランジスタ要素36を切り離すので、高入力電圧に対する上記のようなオーバーシュートを少ない労力で回避することができる。このように、第1の補助制御トランジスタ要素26および/または第2の補助制御トランジスタ要素36をそれぞれオフにすることができる。
【0061】
図5に示す伝達関数は、以下の増幅器アセンブリの構成でのシミュレーションに基づいている。
【0062】
【表1】
【0063】
図6aは、補助制御トランジスタ要素およびクランプトランジスタ要素を有さない、増幅器アセンブリにおける伝達関数の温度依存性の一例を模式的に示す図である。
【0064】
図6bは、一実施形態による、増幅器アセンブリにおける伝達関数の温度依存性の一例を模式的に示す図である。ここで、第1の補助制御トランジスタ要素26、第2の補助制御トランジスタ要素36、第1のクランプトランジスタ要素25、および第2のクランプトランジスタ要素35は、ネイティブトランジスタ要素である。
【0065】
図6aおよび図6bにおいて、増幅器アセンブリは、図4に示すように接続される。x軸には信号入力ノード14で供給される入力電圧が示され、y軸には出力ノード16で供給される出力電圧が示されている。
【0066】
図において、いくつかのプロセスおよび温度(-40℃、25℃、および150℃)のグラフが示されている。図6aおよび図6bに示すように、第1の補助制御トランジスタ要素26、第2の補助制御トランジスタ要素36、第1のクランプトランジスタ要素25、および第2のクランプトランジスタ要素35を設けた場合、低入力電圧での精度が高くなる。これらの結果に基づいて、第1の補助制御トランジスタ要素26、第2の補助制御トランジスタ要素36、第1のクランプトランジスタ要素25、および第2のクランプトランジスタ要素35が設けられた場合に入力電圧範囲を増大させることができるので、全体的なレール・ツー・レール範囲を向上させることができる。
【0067】
図7aおよび図7bは、図6aおよび図6bに示す伝達関数と、理想的な線形レール・ツー・レール伝達関数との誤差の例をそれぞれ模式的に示す図である。x軸には第2の信号入力ノード14に供給される電圧が示されている。y軸には図6aおよび図6bに示す出力電圧と、理想的な線形レール・ツー・レール伝達関数との誤差が示されている。誤差の単位はmVである。
【0068】
図8aは、図3に示す実施形態による、増幅器アセンブリの温度にわたるモンテカルロシミュレーションの結果の一例を示す図である。ここで、補助制御トランジスタ要素は、標準MOSトランジスタ要素である。図8bは、図3に示す実施形態による、増幅器アセンブリの温度にわたるモンテカルロシミュレーションの結果の一例を示す図である。ここで、補助制御トランジスタ要素は、ネイティブMOSトランジスタ要素である。図8aおよび図8bは、第2の信号入力ノード14に1Vの所定の電圧を印加した状態で、40℃、25℃、150℃の温度値にわたってそれぞれ300回実行したモンテカルロシミュレーションの結果を示している。
【0069】
モンテカルロシミュレーションによる性能の概要を以下に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
シミュレーションポイント81aは、シミュレーション温度-40℃を示している。シミュレーションポイント81bは、シミュレーション温度+25℃を示しており、シミュレーションポイント81cはシミュレーション温度+150℃を示している。
【0072】
したがって、ネイティブトランジスタ要素であるトランジスタ要素25、26、35、36が、標準トランジスタ要素であるトランジスタ要素25、26、35、36と比較して異なるアスペクト比を採用していても、ネイティブ構成をもつ増幅器アセンブリのバラツキは、標準構成をもつ増幅器アセンブリよりも0.5mV(1σの場合)小さくなる。このように、1σでの出力電圧のバラツキを0.5mV小さくすることで、全体的な精度を向上させることができる。したがって、トランジスタ要素25、26、35、36に対してネイティブトランジスタ要素を使用することで、入力オフセット電圧およびレール・ツー・レール動作を改善することができる。これらの工夫は、特に車載製品に関連する場合がある。
【0073】
図9は、電源電圧および温度に対するPWM(パルス幅変調)コンバータの測定結果の一例を模式的に示す図である。ここで、図1図3のいずれかに示す増幅器アセンブリが使用されている。x軸には入力電圧が示され、y軸には発生したデューティ比が示されている。点線は理想的な結果から±3%の誤差が示されている。電源電圧の測定ポイントは、Vdd=4.5V、Vdd=5V、およびVdd=5.5Vである。これらの電源電圧の各々について、-40℃、-20℃、0℃、25℃、50℃、75℃、100℃、125℃、および150℃の温度で測定を行った。
【0074】
図9に示すように、測定グラフは理想曲線に非常に近く、すべて±3%の誤差範囲内である。したがって、開示された増幅器アセンブリは、PWM入力範囲と精度を向上させ、回路構成が簡素化される。このように、開示された増幅器アセンブリは、回路性能だけでなく、コスト削減にも貢献する。
【0075】
本開示全体において、トランジスタ要素の電圧とは、ゲート/ソース間電圧やドレイン/ソース間電圧など、トランジスタ要素を特徴づける一般的に知られた電圧を指す場合がある。
【0076】
本開示において基準電位なしで示されているノードの電圧は、例えば接地などの共通の基準電位を指す場合がある。
【0077】
また、添付の図面および上述した説明によって示される実施形態は、互いに組み合わされてもよいことに留意されたい。
【0078】
一部の実施形態において、本開示の教示に影響を与えることなく、回路要素を追加、分割、合体、および省略することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9