(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028772
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】クラッパーアーム揺動機構及びこれを備える練習用ベル
(51)【国際特許分類】
G10D 13/08 20200101AFI20250221BHJP
G10D 99/00 20200101ALI20250221BHJP
【FI】
G10D13/08
G10D99/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024134711
(22)【出願日】2024-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2023133710
(32)【優先日】2023-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523317135
【氏名又は名称】株式会社奏音楽企画
(74)【代理人】
【識別番号】100181490
【弁理士】
【氏名又は名称】金森 靖宏
(72)【発明者】
【氏名】福▲崎▼ 昌宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ハンドベルの価格より遥かに低価格で、実際のハンドベルにできるだけ近い感覚で練習が可能なクラッパーアーム揺動機構及びこれを備える練習用ベルを提供する。
【解決手段】練習用ベルのクラッパーアーム揺動機構において、クラッパーアームは、第1アーム板13
R及び第2アーム板13
Lの上部略中央に相対向するように設けられる孔部13
Hに、ベース部11内を幅方向に貫通する貫通孔11
BT内に回転可能に挿入される棒状の揺動軸21
Sの両端が嵌合されることで、揺動軸を中心軸とした仮想円の周方向に揺動可能に取付けられている。複数の揺動制御板14
L、14
Rは夫々、2つの孔14
Hが設けられているベース接続部、略矩形状の揺動制御部及びアーム当接部を有し、各揺動制御板が第1アーム板及び第2アーム板の幅方向外側にそれぞれオフセット配置されており、一方の揺動制御板の長さが他方の揺動制御板の長さより短い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスティングにクラッパーを当接させることで打音を発生させる練習用ベルに用いられるクラッパーアーム揺動機構であって、
直方体形状のベース部と、
前記ベース部の幅方向に位置する左右側面を介して前記ベース部から垂下するように取付けられるクラッパーアームと、
前記ベース部の前後方向に位置する前後側面を介して前記ベース部から垂下するように取付けられる一対の揺動制御板と、を備え、
前記クラッパーアームは、クラッパーが固定される略矩形状のクラッパー固定面、該クラッパー固定面の幅方向に位置する左右辺に連続し、該左右辺から鉛直方向にそれぞれ延びる第1アーム板および第2アーム板を有し、
前記クラッパーアームは、前記第1アーム板および前記第2アーム板の上部略中央に相対向するように設けられる各孔部に、前記ベース部内を幅方向に貫通する貫通孔内に回転可能に挿入される棒状の揺動軸の両端が嵌合されることで、該揺動軸を中心軸とした仮想円の周方向に揺動可能に取付けられており、
前記各揺動制御板は、前記ベース部の前記前後側面と略同一の面積をもつ略矩形状のベース接続部、該ベース接続部に連続する略矩形状の揺動制御部、及び該揺動制御部に連続し、該揺動制御部の横幅に対して幅広でかつ該揺動制御部の左右端から外側にそれぞれ突出する突出部を含むアーム当接部を有し、
前記各揺動制御板が前記第1アーム板及び前記第2アーム板の幅方向外側にそれぞれオフセット配置されており、
一方の前記揺動制御板の長さが他方の前記揺動制御板の長さより短い
クラッパーアーム揺動機構。
【請求項2】
前記揺動制御板は、オーステナイト系ステンレス鋼板を主材として構成されている
請求項1に記載のクラッパーアーム揺動機構。
【請求項3】
請求項1に記載のクラッパーアーム揺動機構と、
前記ベース部の下面から鉛直方向に延びるネジ部を介して設けられるハンドル部と、
前記ベース部と前記ハンドル部との間に介在するようにして設けられるキャスティング部と、
前記クラッパーアームの前記クラッパー固定面に取り付けられるクラッパーと
を備える練習用ベル。
【請求項4】
前記揺動制御板は、オーステナイト系ステンレス鋼板を主材として構成されている
請求項3に記載の練習用ベル。
【請求項5】
前記キャスティングの材質は、真鍮(黄銅)である
請求項3又は4に記載の練習用ベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッパーアーム揺動機構及びこれを備える練習用ベルに関する。
【背景技術】
【0002】
イングリッシュハンドベル(以下「ハンドベル」という。)の練習用のベルとして、ミュージックベルが知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
ハンドベルは、例えば3オクターブ(計37本)のセットの場合、価格が約250万円と非常に高額であるのに対し、ミュージックベルは、最も高価なモデルであっても、ハンドベルの1/10程度の価格で入手することができる。また、ハンドベルは、高音域が2~300g、低音域が7~8kgと幅広い重量を備えた楽器であるため、まとめて持ち運ぶことが困難であるのに対し、ミュージックベルは、例えば23音のセットでも合計3kgの重量であり、ハンドベルに比べてはるかに軽いことから、持ち運びがとても簡単である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ハンドベルのベルミント「ハンドベルとミュージックベルの違い」 https://bellmint.com/handbelltype(2023年8月17日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ミュージックベルは音を鳴らしやすい構造であることから、誰でも簡単に演奏できるという利点はある。しかしながら、ミュージックベルは、クラッパーが一方向に揺動するように揺動方向が規制された構造をもつハンドベルと異なり、あらゆる方向にクラッパーが揺動する構造であるため、例えば4インハンド等のハンドベル特有の演奏法を再現するように練習することが物理的に不可能である。
【0006】
また、ハンドベルは、上述のような幅広い重量を有することや、その大きさも、高音域が比較的小さいサイズで、低音域が比較的大きいサイズであるのに対し、ミュージックベルは、高音域から低音域まで全てのベルの大きさや重さがほぼ同一サイズで作られている。
【0007】
ミュージックベルは、そのサイズが小さいことで、演奏がしやすく、子どもにも扱いやすいというメリットはあるが、ベルの大きさや重さが高音域と低音域とで異なっているというハンドベル特有の事情もハンドベルの練習には欠かせない要素であり、この点においても、高音域から低音域までほぼ全てのベルの大きさが略同一のミュージックベルでは、ハンドベルの練習器具として十分とは言えない。
【0008】
さすれば、結局のところ、ハンドベルの練習にはハンドベルそのものを使用するのが究極的には望ましいところ、上述のとおりハンドベルの価格は高額であるため、そのような高額なハンドベルを個人で自ら練習用として購入するのは現実的ではない。
【0009】
ハンドベルの価格が高額である理由としては様々な理由が考えられる。最も大きな理由としては、製造元が少なく、いわゆる海外の老舗メーカーが主な製造元であることが考えられる。需給バランスの観点から需要が供給より高ければ製品の価格が高額になることは至極当然であり、特にハンドベルの場合、供給元が圧倒的に少ない。また、ハンドベルが採用するキャスティングの素材は青銅製であり、鋳造によるものであるが、鋳造後に職人の手により表面が磨き上げられることによって所望の打音を発生させるという工程が必要であることや、鋳造後の仕上がりが十分でない場合は廃棄しなければならないなど歩留まりも非常に悪いことや、完成後のキャスティングは、その表面に人の手が触れることによって手汗や手の油などの付着が原因ですぐに錆びてしまうことから演奏時に専用の手袋をはめたり、使用後の手入れも念入りに行なう必要があったり、と極めてデリケートな部品であること、などもハンドベルの価格を高額にしている理由であると考えられる。さらに、ハンドベルは、キャスティングにクラッパーを当てて所望の音を鳴らすために備わる機構が複雑で、複数回の使用により消耗する消耗部品を有する。このことは、ハンドベルの製造元のほとんどが海外の老舗メーカーであることも相俟って、ハンドベルの修理やメンテナンスのための費用も高額にさせているものと考えられる。
【0010】
ミュージックベルはそもそも、上記ハンドベルの問題点(価格が高額であること。)を解決するために開発された練習用のベルであるが、上記の問題点を解決できても、上述のようなハンドベル本来の演奏法を習得したり、実際のハンドベルにできるだけ近い感覚での練習を可能にしたりするベルとしては十分ではない。
【0011】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、ハンドベルの価格より遥かに低価格で提供できるとともに、実際のハンドベルにできるだけ近い感覚での練習を可能にするクラッパーアーム揺動機構及びこれを備える練習用ベル提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係るクラッパーアーム揺動機構は、キャスティングにクラッパーを当接させることで打音を発生させる練習用ベルに用いられるクラッパーアーム揺動機構であって、直方体形状のベース部と、前記ベース部の幅方向に位置する左右側面を介して前記ベース部から垂下するように取付けられるクラッパーアームと、前記ベース部の前後方向に位置する前後側面を介して前記ベース部から垂下するように取付けられる一対の揺動制御板とを備え、前記クラッパーアームは、クラッパーが固定される略矩形状のクラッパー固定面、該クラッパー固定面の幅方向に位置する左右辺に連続し、該左右辺から鉛直方向にそれぞれ延びる第1アーム板および第2アーム板を有し、前記クラッパーアームは、前記第1アーム板および前記第2アーム板の上部略中央に相対向するように設けられる各孔部に、前記ベース部内を幅方向に貫通する貫通孔内に回転可能に挿入される棒状の揺動軸の両端が嵌合されることで、該揺動軸を中心軸とした仮想円の周方向に揺動可能に取付けられており、前記各揺動制御板は、前記ベース部の前記前後側面と略同一の面積をもつ略矩形状のベース接続部、該ベース接続部に連続する略矩形状の揺動制御部、及び該揺動制御部に連続し、該揺動制御部の横幅に対して幅広でかつ該揺動制御部の左右端から外側にそれぞれ突出する突出部を含むアーム当接部を有し、前記各揺動制御板が前記第1アーム板及び前記第2アーム板の幅方向外側にそれぞれオフセット配置されており、一方の前記揺動制御板の長さが他方の前記揺動制御板の長さより短いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ハンドベルの価格より遥かに低価格で提供できるとともに、実際のハンドベルにできるだけ近い感覚での練習を可能にする練習用ベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構を備える練習用ベルの正面図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構を備える練習用ベルの側面図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係る練習用ベル及びクラッパーアーム揺動機構の組立て前分解図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構を構成するベース部を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構を構成するクラッパーアームを示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構を構成する揺動制御部を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構の動作概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。また、本明細書に添付した図面においては、理解を容易にするために、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更したり、誇張したりしている場合がある。
【0016】
また、本実施形態に係る練習用ベル1は、ハンドベル同様に、音階によって異なるサイズが用意され、それによって練習用ベル1を構成する後述する各部品のサイズも異なるサイズが用意されるところ、本明細書においては、明細書中で特にことわらない限り、1つの音階(具体的には「C5(ド)」)の打音を発する一の練習用ベル1を事例として用いて説明する。しかしながら、本発明の練習用ベル及びクラッパーアーム揺動機構が上記のサイズに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0017】
[クラッパーアーム揺動機構を備える練習用ベルについて]
本実施形態に係る練習用ベル1およびこの練習用ベル1に用いられるクラッパーアーム揺動機構10について以下に説明する。
図1は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構10を備える練習用ベル1の正面図である。
図2は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構10を備える練習用ベル1の側面図である。
図3は、本開示の実施形態に係る練習用ベル1及びクラッパーアーム揺動機構10の組立て前分解図である。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る練習用ベル1は、持ち手となるハンドル5と、クラッパーアーム揺動機構10と、グリップガード12と、クラッパー15、キャスティング16とにより構成されている。
【0019】
ハンドル5は、練習用ベル1を演奏者が使用する際に演奏者の持ち手となる部品であり、断面視円形で棒状の形態を有している。ハンドル5は演奏者が練習用ベル1を振って打音を奏でるために用いられる。本実施形態に係るハンドル5は、長手方向における一方の端部から、ハンドル5の長手方向略中央まで、ハンドル5の外周円と同心円のネジ孔5
Hが設けられており(
図3参照)、ネジ孔5
Hの内周壁面に雌ネジが形成されている。ハンドル5のサイズは特に限定されるものではないが、長手方向の長さが120mmで直径が25mmのハンドル5の場合、上記孔の直径が8mm~10mm(M8サイズの雄ネジを使用する場合)で深さが50mmのサイズが適用され得る。ネジ孔5
Hは後述するクラッパーアーム揺動機構10のベース部11(に設けられる雄ネジ11
S)とハンドル5とをネジ締結により連結させるために設けられる。また、本実施形態の練習用ベル1に用いられるハンドル5の材質としてはポリプロピレン(PP)が好適に用いられるところ、この材質に限定されるものではなく、ハンドル5としての剛性を担保できる材質であればよい。例えば、ハンドル5の材質としてはアクリロニトリル-ブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、フェノール樹脂(ベークライト PF)などであってもよい。なお、ハンドル5として、上記に代えてハンドベルに用いられるようなリング状の形態を有する持ち手を採用してもよい。
【0020】
グリップガード12は、ハンドベルにも採用される部品で、ハンドガードとも呼ばれる。グリップガード12は、直径60mmの円形で厚み5mmを有する。グリップガード12には、その外周円と同心円の孔12
Hが設けられている(
図3参照)。孔12
Hは後述するクラッパーアーム揺動機構10の軸部に設けられる雄ネジ11
Sを挿通させるために設けられている。グリップガード12は、ハンドル5を握る演奏者の手がキャスティングに触れないように保護するための部品である。ハンドベルの場合、キャスティングの材質として青銅が採用されており、人の手が触れることによって触れた箇所から錆が発生してしまうなどキャスティングがデリケートな部品であるため、グリップガード(ハンドガード)は必須の構成であるが、本発明においては、後述するキャスティング16の材質として真鍮(黄銅)を採用していることもあり、グリップガードは必須の構成ではない。また、ここでのグリップガード12の材質としてはアクリルが好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、グリップガードとしての上記役割を担保する限り、他の材質であってもよく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)などであってもよい。
【0021】
クラッパー15は、後述するクラッパーアーム揺動機構10を構成するクラッパーアームの先端に取り付けられる部品である。クラッパー15は、直径45mmの円形で厚み8mmを有する。クラッパー15には、その中心から左右方向両側に並置される2つの孔15
Hが設けられている。孔15
Hの直径は4mmで、孔15
Hのピッチは12mmである。孔15
Hは、クラッパー15をクラッパーアーム13にネジ23とナット24による締結にて取り付けるために設けられる(
図3参照)。クラッパー15の材質としては、ポリプロピレン(PP)が好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、キャスティング16にクラッパー15が当接したときに所望の打音を発生させることができ得る材質であればよく、例えばアクリロニトリル-ブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、フェノール樹脂(ベークライト PF)などであってもよい。
【0022】
キャスティング16は、クラッパー15がキャスティング16の内壁面に当接したときに、所望の打音を発生させるための部品であり、練習用ベル1を構成する重要な部品である。キャスティング16は、略円形の上面部と、該上面部の外周に連続し、稜線のようにゆるやかな傾斜面を全方位に有する肩部と、肩部の下端外周に連続し、肩部の傾斜面に対して急激な傾斜面を全方位に有する胴部とからなる。キャスティング16の上面部にはキャスティング16をハンドル5及びグリップガード12とクラッパーアーム揺動機構10との間に介在させるためにベース部11の雄ネジ11
Sを挿通させる挿通孔16
Hが形成されている(
図3参照)。本実施形態に係る練習用ベル1に用いられるキャスティング16の材質としては、加工のしやすさ並びに加工費を抑える観点から真鍮(黄銅)が好適に用いられ得る。本発明に係る練習用ベルの存在意義として、ハンドベルが奏でる打音に近い打音を再現できるとともに、ハンドベル特有の演奏方法を再現でき、かつ、これを低価格で実現させるという目的がある。かかる目的に鑑み、キャスティング16の材質として、現時点において真鍮(黄銅)が最適であると考えられる。また、キャスティング16の成形加工については、職人の手によるへら絞り加工を採用した。これにより初期投資を大幅に抑えることができる。また、へら絞り加工によりなるキャスティングは品質が安定しており、強度が強いため、耐久性を高めることに寄与し得る。キャスティング16の材質を真鍮(黄銅)とすることにより、練習用ベル1の価格を大幅に抑えることができる。なお、今後の技術革新において真鍮(黄銅)と同等か又はそれ以上に加工しやすい材料が開発された場合は、そのような新材料を採用してもよい。
【0023】
キャスティング16のサイズは、ハンドベル同様に、所望する音階によって大きさが異なるため、ここでは詳細については割愛するが、後述するクラッパーアーム揺動機構10を収容可能で、かつ、所望する打音が奏でられるように静止状態のクラッパー15がキャスティング16に向かって適度な力(練習用ベル1を振ることによってクラッパーアームにかけられる荷重)で当接可能なストロークが確保され得るサイズであればよい。
【0024】
[クラッパーアーム揺動機構について]
本実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構10は、キャスティング16にクラッパー15を当接させることで打音を発生させる部品であり、本実施形態に係る練習用ベル1の根幹をなす基幹部品である。クラッパーアーム揺動機構10は、直方体状のベース部11と、ベース部11の幅方向に位置する左右側面を介してベース部11から垂下するように取り付けられるクラッパーアーム13と、ベース部11の前後方向に位置する前後側面を介してベース部11から垂下するように取り付けられる一対の揺動制御板14(14
R、14
L)とにより構成されている(
図3参照)。クラッパーアーム揺動機構10は、以下に説明するように極めて簡易な構造で、所望の打音を実現する新規で画期的な機構を採用し、かつ、メンテナンスフリーな部品や比較的入手しやすい材料を採用することにより、組み立てやメンテナンスが簡単に行なえ、練習用ベルとしての価格を大幅に抑えることに寄与している。
【0025】
[クラッパーアーム揺動機構を構成するベース部について]
図4(A)は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構10を構成するベース部11を示す正面図であり、
図4(B)はその側面図である。ベース部11は、略直方体状の主部11
Bと、主部11
Bの上面略中央から主部11
Bに積み重ねられるように連続する略円柱状の連続部11
Cと、連続部11
Cの上面略中央から鉛直方向に延びるように設けられる雄ネジ11
Sとを含み構成されている。なお、ベース部11において本発明の効果を奏するための要部は基部11
Bであることから、基部11
Bは実質的には本発明のベース部11であるものとして以下に説明する。
【0026】
主部11
Bの幅方向に位置する左側面の略中央から右側面の略中央にかけて主部11
Bを貫通する貫通孔11
BTが設けられており、主部11
Bの前後方向に位置する前側面および後側面の各略中央部にネジ孔11
BHがそれぞれ設けられている(
図4(A)および(B)参照)。貫通孔11
BTには後述するピン21
S(揺動軸)が挿入される(
図3参照)。ネジ孔11
BHの内壁面には、後述する揺動制御板14をネジ締結によって取り付けるための雌ネジが形成されている。貫通孔11
BTの直径は、ピン21
S(直径4mm)を挿入可能な4.2mmに設定されている。また、ネジ孔11
BHの直径は、3mmの直径を有する雄ネジ(M3)に対応するサイズであればよい。なお、ベース部11の材質としてはオーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304)が好適に用いられるが、これは加工のしやすさや耐久性を考慮したものである。この点を担保する限りにおいてベース部11の材質は特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム合金、真鍮などであってもよい。
【0027】
[クラッパーアーム揺動機構を構成するクラッパーアームについて]
図5(A)は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構10を構成するクラッパーアーム13の正面図であり、
図5(B)は、その側面図であり、
図5(C)は、その底面図である。
図5(D)は、クラッパーアーム13をベース部11に揺動可能に接続するための揺動軸として機能するピン21
Sの正面図である。
【0028】
クラッパーアーム13は、クラッパー15が固定される略矩形状のクラッパー固定面13
Bと、クラッパー固定面13
Bの幅方向に位置する左辺に連続し、該左辺から鉛直方向に延びる第1アーム板13
Rと、クラッパー固定面13
Bの幅方向に位置する右辺に連続し、該右辺から鉛直方向に延びる第2アーム板13
Lとを含み構成されている(
図5(A)及び
図5(B)参照)。また、クラッパーアーム13は、1mmの板厚を有するものが好適に採用され得る。
【0029】
第1アーム板13
R及び第2アーム板13
Lの上部略中央、具体的にはこれらの上端から6mm程度下方に4mm程度の直径を有する挿通孔13
Hがそれぞれ設けられている。この挿通孔13
Hに、後述するピン21
Sの両端が嵌合される(
図3参照)。
【0030】
クラッパー固定面13
Bには、クラッパー15をネジ締結により固定するための2つの孔13
BHがクラッパー固定面13
Bの仮想対角線上に斜めに並置されるように設けられている(
図5(C)参照)。
【0031】
ピン21
Sは、ベース部11(基部11
B)内を幅方向に貫通する貫通孔11
BT内に回転可能に挿入される棒状の揺動軸である。ピン21
Sの直径を4mmとし、貫通孔11
BTの直径を4.2mmに設定することにより、ピン21
Sが貫通孔11
BT内で回転可能に収容され得る。貫通孔11
BT内に挿入されたときのピン21
Sの両端部は、貫通孔11
BTの外側に所定長突出している。これにより、第1アーム板13
R及び第2アーム板13
Lの各挿通孔13
H(ピン21
S)を介してクラッパーアーム13とベース部11とが一体的に構成され得る。ピン21
Sの各両端21
SSから2mm内側に、幅0.8mmで直径が3mmの溝21
SRが形成されている(
図5(D)参照)。かかる溝21
SRは、Eリング(E形止め輪)21
Rが挿入または嵌合され得る。Eリング21
Rは、ピン21
Sがベース部11(基部11
B)から脱落せず、かつ、クラッパーアーム13がベース部11(基部11
B)に揺動可能に保持されるように抜け止めとして機能する。なお、ここで用いられるEリング21
Rの各部のサイズとしては、上記溝21
SRの直径に対応するサイズのものが好適に用いられる。具体的には、少なくとも3mmの内径を有するEリング21
Rを用いるのが好ましい。
【0032】
[クラッパーアーム揺動機構を構成する揺動制御部について]
図6(A)は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構10を構成する揺動制御板14
Rを示す正面図であり、
図6(B)は、揺動制御板14
Rを示す側面図である。また、
図6(C)は、クラッパーアーム揺動機構10を構成する揺動制御板14
Lを示す正面図であり、
図6(D)は、揺動制御板14
Lを示す側面図である。
【0033】
揺動制御板14
R及び揺動制御板14
Lは、基部11
B(ベース部)の前後側面と略同一の面積をもつ略矩形状のベース接続部14
Bと、ベース接続部14
Bに連続する略矩形状の揺動制御部14
Cと、揺動制御部14
Cに連続し、揺動制御部14
Cの横幅に対して幅広でかつ揺動制御部14
Cの左右端から外側にそれぞれ突出する突出部を含むアーム当接部14
Tとを含み構成されている(
図6(A)及び
図6(C)参照)。揺動制御板14
R及び揺動制御板14
Lは、第1アーム板13
R及び第2アーム板13
Lの幅方向外側にそれぞれ7.5mmオフセットして配置され得る(
図1参照)。揺動制御板14
R及び揺動制御板14
Lの材質としては、オーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304)が好適に用いられ得る。揺動制御板14
R及び揺動制御板14
Lの材質としてSUS304を採用する理由としては、各揺動制御板の加工のしやすさや耐久性を担保することはもちろん、クラッパーアーム13の揺動の程度を適切に制御するための所望の弾性力ないし撓み量を発揮させる素材として最も適しているからである。また、揺動制御板14
R及び揺動制御板14
Lは、それぞれ0.5mmの板厚を有するものが好適に採用され得る。
【0034】
ベース接続部14
Bには、幅方向に並置されるように2つの孔14
Hが設けられている(
図6(A)及び
図6(C)参照)。各孔14
Hの直径は3mmであり、互いのピッチが10mmで配置されている。各孔14
Hの直径及び両者の間のピッチは基部11
B(ベース部)の前後側面に設けられる各ネジ孔11
BHの直径および両者のピッチに対応する寸法が採用されている。ベース接続部14
Bを基部11
B(ベース部)の前後側面に孔14
Hとネジ孔11
BHとが対応するように重ね、各孔14
Hを介して、基部11
B(ベース部)の各ネジ孔11
BHにネジ22
R及びネジ22
Lが締め付けられることで、ベース部11に揺動制御板14
R及び揺動制御板14
Lが固定され得る(
図1及び
図3参照)。
【0035】
揺動制御板14R及び揺動制御板14Lは、オーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304)が好適に採用され得る。これは、上述のとおり加工のしやすさや耐久性を担保する目的に加え、SUS304の機械的特性のうちの好適なヤング率(弾性係数)を利用することで、揺動制御板14R及び揺動制御板14Lの撓み量を好適に調整し、これによりクラッパーアーム13を介したクラッパー15のキャスティング16への当たり易さ(又は当たり難さ)を好適に実現し易くする目的からである。
【0036】
一方で、揺動制御板14R及び揺動制御板14Lの材質として単にSUS304を採用すれば所望の撓み量を実現できるというわけではなく、揺動制御板14R及び揺動制御板14Lの形状を実現し得る長さや幅や厚みにSUS304が加工されることが重要である。加えて、本発明の目的の一つである低価格でかつメンテナンスフリーな練習用ベル1を実現すべく、上述のとおり、加工しやすく(つまり加工費が抑えられ)、市場において入手しやすく、かつ耐久性に優れた材料としてSUS304を採用する意義は極めて高い。
【0037】
そこで本発明の発明者は、鋭意研究開発の上、所望の撓み量を実現可能な揺動制御版14
R(14
L)として上述および以下の形状のもの(
図6参照)が、ハンドベルの音色に近い打音を奏でることができることを見い出した。
【0038】
揺動制御部14Cの上下の長さは揺動制御板14R及び揺動制御板14Lそれぞれの全体の長さを決定するところ、本実施形態においては、揺動制御板14Rをなす揺動制御部14Cの長さが揺動制御板14Lをなす揺動制御部14Cの長さより短い構成となっている。かかる構成により、クラッパーアーム13の第1アーム板13R及び第2アーム板13Lが、揺動制御板14R側に当接したときに、クラッパー15がキャスティング16に当接し易く、クラッパーアーム13の第1アーム板13R及び第2アーム板13Lが揺動制御板14L側に当接したときには、クラッパー15がキャスティング16に当接し難くなるという作用が奏され得る。
【0039】
また、SUS304の機械特性(ヤング率など)を考慮すれば、通常、揺動制御板14の長さが長くなれば撓みやすく、短くなれば撓みにくい。そして、揺動制御板14の幅が広くなれば撓みにくく、狭くなれば撓みやすい。これらの特性を利用することで、以下の作用が奏され得る。
【0040】
本実施形態に係る揺動制御板14R及び揺動制御板14Lの役割としては、クラッパー15をキャスティング16に当接させることで所望の打音をキャスティング16が奏でられるように撓み量が好適に調整される役割だけにとどまらず、逆に、打音を鳴らす必要のないときにクラッパー15がキャスティング16に当接しないようにする役割も担保する必要がある。
【0041】
そこで、本実施形態に係る揺動制御板14R及び揺動制御板14Lのサイズとして、例えばC5(ド)の音色を再現する練習用ベル1に用いる場合、次のサイズの組合せが最適であることが他のサイズのものとの比較の上で明らかとなった。
《本実施形態に係る揺動制御板の好適なサイズ》
(1)揺動制御板14Rの長さ:40mm
・ベース接続部14Bの長さ:15mm
・ベース接続部14Bの幅:18mm
・揺動制御部14Cの長さ:15mm
・揺動制御部14Cの幅:18mm
・アーム当接部14Tの長さ:10mm
・アーム当接部14Tの幅:30mm
(2)揺動制御板14Lの長さ:35mm
・揺動制御部14Cの長さ:10mm
※(1)と異なるサイズのみ記載
※クラッパーアームの長さ:75mm
【0042】
以上の部品を、上述した通りに組立てることで本実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構10及びこれを備える練習用ベル1が完成され得る(
図3参照)。上述した各部品のうち、ベース部11、クラッパーアーム13及び揺動制御部14について多少の加工を要するものの、それぞれの加工方法として周知な技術を用いた簡易な製法であり、さらにキャスティング16の材質として真鍮を採用することで、加工費を著しく抑えることができる。そして、各部品の組立てについても、基本的にはネジ締結によるものがほとんどであり、溶接等の加工コストがかかり、かつ手間のかかる製法を採用していないため、組立ては簡単で、よって組立てコストも大幅に抑えられる。それは当然に完成品としての練習用ベル1を低価格で実現させ得る根拠となる。結果的に本発明の練習用ベル及びクラッパーアーム揺動機構の構成を採用した製品の価格もハンドベルの価格の1/10程度にまで抑えることに成功している。また、本実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構10の上述した構造はこれまでのハンドベルにおける揺動機構には見られない新規な構造であり、当然にミュージックベルやトーンチャイムにも見られない画期的な構造である。このような新規かつ画期的な構造であるにもかかわらず、揺動制御版14
R及び揺動制御版14
Lをバネとして機能させ、しかも極めて少ない部品点数で実現させるアイデアは、本発明の発明者の鋭意研究開発の賜物であり、決して公知技術の寄せ集めによってなし得るものではない。
【0043】
[本開示のクラッパーアーム揺動機構の動作について]
図7は、本開示の実施形態に係るクラッパーアーム揺動機構の動作概念図である。
図7(A)はクラッパーアーム13が静止状態のときの概念図である。
図7(A)に示されるように、例えば演奏台の上にキャスティング16側を下向きにして置かれてある場合など、練習用ベル1が演奏者によって操作されないときは、クラッパーアーム13は、ベース部11から鉛直方向にぶら下がるように静止され得る。
【0044】
図7(B)は、(1)練習用ベル1が矢印方向に比較的弱い力Xで振られたとき、(2)クラッパーアーム13が揺動制御板14
Rに当接するも揺動制御板14
Rは撓まず、(3)よってクラッパー15がキャスティング16に当たらず、打音が奏でられない様子を示している。
【0045】
図7(C)は、(1)練習用ベル1が矢印方向に比較的強い力Yで振られたとき、(2)クラッパーアーム13が揺動制御板14
Rに当接する勢いで揺動制御板14
Rが撓み、(3)よってクラッパー15がキャスティング16に当たり、打音が奏でられる様子を示している。
【0046】
図7(D)は、(1)練習用ベル1が矢印方向に比較的弱い力Zで振られたとき、(2)クラッパーアーム13が揺動制御板14
Lに当接するも揺動制御板14
Lは撓まず、(3)よってクラッパー15がキャスティング16に当たらず、打音が奏でられない様子を示している。なお、通常の演奏の際に揺動制御板14
L側に位置するキャスティング16にクラッパー15を当接させないために揺動制御板14
Lの長さが上記のとおり揺動制御板14
Rにより長く形成されている。これにより、仮に
図7(C)の(2)のときの矢印方向で示されるような勢い(力Y)と同じ勢いで矢印方向(力Zで示される方向)に練習用ベル1が振られた場合でも、クラッパー15がキャスティング16に当たらないようにすることができる。
【0047】
図7(E)は、(1)練習用ベル1が矢印方向に比較的強い力Z’(上記Y方向で示されるときの力よりさらに大きい力)で振られたとき、(2)クラッパーアーム13が揺動制御板14
Lに当接する勢いで揺動制御板14
Lが撓み、(3)よってクラッパー15がキャスティング16に当たり、打音が奏でられる様子を示している。揺動制御板14
Lの役割としては、上述のとおり、通常の演奏時に揺動制御板14
L側に位置するキャスティング16にクラッパー15を当接させないことであるが、ハンドベル同様に、例えばあえて揺動制御板14
L側に位置するキャスティング16にクラッパー5を当接させる必要がある、例えばシェイクのような特殊な演奏法を実現するため、上記の構成が採られ得る。なお、上述した力X、Y、Z、Z’の大きさの関係を数式で表すと、次の式1のようになる。
力Z’>力Z=力Y>力X…(式1)
【0048】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0049】
上記実施形態においては、揺動制御板14R及び揺動制御板14Lのサイズとして、C5(ド)の音色を再現する練習用ベル1に用いる場合の最適なサイズの組合せを例として説明したが、他の音色を再現する練習用ベル1においても本発明にかかる基本的な構成が担保されるように最適なサイズが設定され得る。以下の表1に、各音に対応する揺動制御板14R及び揺動制御板14Lのサイズを示す。また、次の表2に、各音を奏でる練習用ベル1の各キャスティング(ベル部分)のサイズを一覧表で示す。
【0050】
【0051】
上部各欄に示した記号の意味は以下の通りである。
・15D:クラッパーの直径
・13L:クラッパーアームの長さ
・14RL:揺動制御板14Rの長さ
・14BL:ベース接続部14Bの長さ
・14BW:ベース接続部14Bの幅
・14CL(R):揺動制御部14C(揺動制御版14R側の)の長さ
・14CW:揺動制御部14Cの幅
・14LL:揺動制御板14Lの長さ
・14CL(L):揺動制御部14C(揺動制御版14L側の)の長さ
【0052】
表1を参照すると明らかなように、各音に対応する揺動制御板14Rと揺動制御板14Lとの長さの関係においては、いずれも揺動制御板14R(一方の揺動制御板)を構成する揺動制御部14Cの長さ14CL(R)が揺動制御板14L(他方の揺動制御板)を構成する揺動制御部14Cの長さ14CL(L)より短くなっていることが明らかである。また、各揺動制御板(14R、14L)の長さ(14RL、14LL)がクラッパーアームの長さ13Lに対して略1/3~略2/3として構成されている。かかる構成により、上述した本実施形態と同様に、クラッパーアーム13の第1アーム板13R及び第2アーム板13Lが、揺動制御板14R側に当接したときに、クラッパー15がキャスティング16に当接し易く、揺動制御板14L側に当接したときにクラッパー15がキャスティング16に当接し難くなるという作用が奏され得る。さらに、揺動制御板14R及び揺動制御板14Lの上記構成は、本実施形態におけるクラッパーアーム揺動機構を構成する他の構成要素による作用とも相俟って各音を奏でるために寄与することはもちろん、実際のハンドベルにできるだけ近い感覚での練習を可能にする練習用ベルの提供に寄与している。
【0053】
【0054】
上部各欄に示した記号はそれぞれ以下のサイズを示す(
図1参照)。
・H:キャスティング16の高さ
・IH:キャスティング16の内側の有効高さ
・ID(N):キャスティング16の直径(上部)
・ID(W):キャスティング16の直径(下部)
【0055】
表2は、各音を奏でるための主要なパーツの一つであるキャスティング16のサイズを一覧表で示したものである。各キャスティング16のサイズは、既存のハンドベルのサイズと略同サイズで設計されている。このうち、キャスティング16の有効高さIHのサイズに対応するようにクラッパーアーム13の長さが設計されていることがわかる(表1参照)。上記の対応関係はある意味で当然であるかの如く解されるが、本実施形態における練習用ベル1は、本発明の発明者の鋭意研究の結果なされたものであり、クラッパーアーム13についても所望の音を奏でるための主要部品として新たに開発されたものであり、単純にその長さが決められたものではない。とりわけ、クラッパーアーム13はその揺動方向から見た側面視がコの字形状で構成されており(
図2参照)、かかる構成によりクラッパーアーム13の軽量化が図られるとともに強度が高められている。また、クラッパーアーム13の揺動範囲についても、揺動制御板による上述の揺動制御作用とも相俟って、キャスティングのサイズに応じて設計されている。すなわち、クラッパーアーム13の上記構成をも含めたクラッパーアーム揺動機構10の構成により、練習用ベル1を所望の力で振ったときに所望の音を奏でることはもちろん、既存のハンドベル特有の演奏方法の実現に寄与し得る。
【符号の説明】
【0056】
1…練習用ベル
5…ハンドル
10…クラッパーアーム揺動機構
11…ベース部
11BT…貫通孔
13…クラッパーアーム
13R…第1アーム板
13L…第2アーム板
13H…孔部
14R、14L…揺動制御板
14B…ベース接続部
14C…揺動制御部
14T…アーム当接部
12…グリップガード
15…クラッパー
16…キャスティング
21…ピン(揺動軸)