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▶ 高村 幸宏の特許一覧

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  • 特開-ベルトテンショナ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028794
(43)【公開日】2025-03-04
(54)【発明の名称】ベルトテンショナ
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/12 20060101AFI20250225BHJP
【FI】
F16H7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133720
(22)【出願日】2023-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】523317272
【氏名又は名称】高村 幸宏
(74)【代理人】
【識別番号】100149836
【弁理士】
【氏名又は名称】森定 勇二
(72)【発明者】
【氏名】高村 幸宏
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049BB05
3J049BB15
3J049BB23
3J049BH01
3J049CA02
(57)【要約】
【課題】長期間の使用が可能でその交換周期を延ばし得るベルトテンショナを提供すること。
【解決手段】ベルトテンショナ1は、自動車のタイミングベルトと摺動しそのベルトに張力を付与する揺動体20と、揺動体20を軸支する支軸部11を包含する基礎体10と、基礎体10と揺動体20との間に挟設するコイルバネ30と、基礎体10とコイルバネ30との間に挟設するドーナツ形状かつ金属製のコイルバネ押圧体40とを備える。なお、仮組されたベルトテンショナ1が分離しないように、揺動体20の上方から支軸部11の内部に螺合して固定する仮固定ネジ50を付設している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎体を構成する支軸部に軸支されコイルバネの弾性範囲で揺動する揺動体を包含するベルトテンショナであって、
前記基礎体(10)と前記コイルバネ(30)との間に、ドーナツ形状かつ金属製のコイルバネ押圧体(40)が挟設され、
前記コイルバネ押圧体の外周面に前記コイルバネの端部が貫通する係止溝(41)を設けたベルトテンショナ。
【請求項2】
前記コイルバネ押圧体外周面の係止溝(41)の根元側端部の両側に傾斜部を設けた請求項1のベルトテンショナ。
【請求項3】
前記コイルバネ押圧体外周面の係止溝(41)を、1つとした請求項1又は請求項2のベルトテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は自動車のタイミングベルトなどに張力を付与するベルトテンショナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車で使用されるベルトテンショナは、摺動面の摩耗が局所的に進行してしまうことや経年による劣化などによりその機能が低下することから、定期的な交換が求められている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-100542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車で使用されるベルトテンショナの交換作業には、大がかりな分解・組立が伴う車種(例えば、アルファロメオ(登録商標)のTB1750i型式エンジンを搭載した車種。)も存在し、その場合には当該交換作業に要するコストが増加してしまう。
【0005】
前述の様な事情もあり、長期間の使用が可能でその交換周期を延ばし得るベルトテンショナが要望されている。
【0006】
そこで、摺動する箇所の摩耗を抑制することで、長期間の使用が可能なベルトテンショナを提供することを課題とした。
【0007】
なお、前述した特許文献1のオートテンショナは、テンショナ内への異物の侵入を抑制することによりその耐久性を確保することを目的とするテンショナであり、本願のベルトテンショナとは課題解決のアプローチの仕方が異なるものと考える。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、上述の課題を解決するために、基礎体を構成する支軸部に軸支されコイルバネの弾性範囲で揺動する揺動体を包含するベルトテンショナであって、前記基礎体と前記コイルバネとの間に、ドーナツ形状かつ金属製(加水分解の無い金属を用いることが好ましい。)のコイルバネ押圧体が挟設され、前記コイルバネ押圧体の外周面に前記コイルバネの端部が貫通する係止溝を設けたベルトテンショナを提供する。
【0009】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、さらに、前記コイルバネ押圧体外周面の係止溝の根元側端部の両側に傾斜部を設けたベルトテンショナを提供する。
【0010】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、さらに、前記コイルバネ押圧体外周面の係止溝を、1つとしたベルトテンショナを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本願発明のベルトテンショナは、基礎体を構成する支軸部に軸支されコイルバネの弾性範囲で揺動する揺動体を包含するベルトテンショナであって、前記基礎体と前記コイルバネとの間に、ドーナツ形状かつ金属製のコイルバネ押圧体が挟設され、前記コイルバネ押圧体の外周面に前記コイルバネの端部が貫通する係止溝を設けたため、コイルバネ端部と摺動する箇所の摩耗を抑制することができ、従来のベルトテンショナに比べて長期間の使用を可能とする。
【0012】
本願発明のベルトテンショナは、さらに、前記コイルバネ押圧体外周面の係止溝の根元側端部の両側に傾斜部を設けたため、前記コイルバネ押圧体と前記コイルバネとの接触及び摺動が減り、コイルバネ端部と摺動する箇所の摩耗をより抑制することが期待できる。
【0013】
本願発明のベルトテンショナは、さらに、前記コイルバネ押圧体外周面の係止溝を、1つとしたため、加工及び製造コストを抑えることができ、より低価格での提供をすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1はベルトテンショナの全体構成を示す外観図である。
図2図2はベルトテンショナの全体構成を示す分解図である。
図3図3は基礎体、軸支部及びコイルバネの分解図である。
図4図4は揺動部の分解図である。
図5図5はコイルバネ押圧体の正面図である。
図6図6はコイルバネ押圧体の切断断面図である。
図7図7はコイルバネ押圧体の係止溝を示す右側面である。
図8図8はベルトテンショナが自動車に配置された状態を示す使用状態図である。
図9図9はベルトテンショナの作動イメージをあらわした図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
自動車のタイミングベルト(駆動ベルト)に張力を付与するベルトテンショナとして実施する。
【実施例0016】
ベルトテンショナ(1)は、底部に配置する所定の基礎体(10)と、前記基礎体の底面から上方側に突出する支軸部(11)と、前記支軸部に軸支され、タイミグベルトと摺動しその荷重によって揺動する揺動体(20)と、前記基礎体と前記揺動体との間に挟設するコイルバネ(30)と、前記基礎体と前記コイルバネとの間に挟設するドーナツ形状かつ金属製のコイルバネ押圧体(40)と、で構成する(図1及び図2)。
【0017】
前記基礎体(10)は、前記揺動体(20)を軸支する前記支軸部(11)を包含する(図2)。
【0018】
なお、前記支軸部(11)は、前記基礎体(10)と一体的に設けているが、前記揺動体(20)とともに移動しなければ前記基礎体に固着されている構造でも良いものとする。
【0019】
前記揺動体(20)の外周面について、当該揺動体の外周面に接するタイミングベルトの滑りを抑制するために当該タイミングベルトに対応した凹凸を施している(図1及び図4)。
【0020】
前記コイルバネ(30)について、前記コイルバネ押圧体(40)の外径よりも小さい外径とする(図2及び図3)。
【0021】
前記コイルバネ(30)の一端(31)は、前記揺動体(20)に係合固定され(図示せず)、前記コイルバネ(30)の他端(32)は、前記コイルバネ押圧体(40)の係止溝(41)を貫通し前記基礎体に止めかけて使用する(図3)。
【0022】
したがって、前記揺動体(20)は、前記支軸部(11)に軸支されながら前記コイルバネ(30)の弾性範囲で揺動作動をする。
【0023】
なお、前記コイルバネ(30)の材質について、金属を使用している。
【0024】
前記コイルバネ押圧体(40)のドーナツ形状について、内径が前記支軸部の外径よりも僅かに大きく、かつ、外径が前記コイルバネ(30)の外径よりも僅かに大きいドーナツ形状をしている(図2図3図5及び図6)。
【0025】
なお、図6は、図5のコイルバネ押圧体(40)の中心を通過する垂直線で縦方向に切断した際の切断面を示す切断断面図である(図6)。
【0026】
前記コイルバネ押圧体(40)の外周面には、前記コイルバネ(30)の端部が貫通する係止溝(41)を1ケ所に設けている(図7)。
【0027】
前記コイルバネ押圧体(40)の係止溝(41)の根元側端部の両側には、前記コイルバネ押圧体と前記コイルバネ(30)の端部との接触及び摺動が減らすための傾斜部を設けている(図7)。
【0028】
前記コイルバネ押圧体(40)の材質について、前記揺動体(20)の揺動とともに弾性変形する前記コイルバネ(30)の作動によって当該コイルバネ押圧体が磨耗することを抑制するため、加水分解の無いアルミ系の金属を使用している。
【0029】
アルミ系以外の金属を使用することも許容し得るが、前記コイルバネよりも硬質の金属を選択する方が好ましいものと考える。また、長期間の使用を可能とするためには、少なくとも加水分解の無い金属を使用する方が好ましい。
【0030】
前記コイルバネ押圧体(40)は、前記揺動体(20)とともに、前記支軸部(11)に揺動自在に軸支される(図2及び図3)。
【0031】
なお、当該ベルトテンショナ(1)の輸送中及び取り付け前に前記コイルバネ(30)の弾性力で仮組されたベルトテンショナが分離しないように、前記揺動体(20)の上方から前記支軸部(11)の内部に螺合して固定する仮固定ネジ(50)を付設している(図2)。
【0032】
次に、ベルトテンショナの作動イメージを図1図2及び図9に従い説明する。
【0033】
自動車のエンジン出力軸(61)が作動すると、前記エンジン出力軸に取り付けられた駆動プーリ(62)が一定方向に回転する(図9)。
【0034】
前記駆動プーリ(62)が回転を始めると、前記駆動プーリに懸架された駆動ベルト(63)も従動的に作動を始める(図9)。
【0035】
また、前記駆動ベルト(63)が巻回された複数の従動プーリ(64)及び前記駆動ベルトに張力を付与するベルトテンショナ(1)も作動を始める(図9)。
【0036】
前記エンジン出力軸及び前記駆動プーリの駆動力の変化、作動速度の変化、回転方向の変化あるいは前記駆動ベルトの滑りなどの要因により、前記駆動ベルトを介して前記ベルトテンショナ(1)に負荷が生じると前記コイルバネ(30)の弾性範囲で前記揺動体(20)が揺動する(図1及び図2)。
【0037】
前記揺動体(20)の揺動に伴って、前記ベルトテンショナの摺動箇所で一定の磨耗が生じ得るものの、ドーナツ形状かつ金属製の所定のコイルバネ押圧体を設けたことにより、従来のベルトテンショナに比して磨耗の程度を抑制しており、摺動面の摩耗が局所的に進行してしまうことを抑制している。
【0038】
よって、本願のベルトテンショナは、長期間の使用が可能でその交換周期を延ばし得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本願発明は、長期間の使用が可能でその交換周期を延ばし得る優れたベルトテンショナであるので、産業上の利用性可能性を有する。
【符号の説明】
【0040】
1 ベルトテンショナ
10 基礎体
11 支軸部
20 揺動体
30 コイルバネ
31 コイルバネの一端
32 コイルバネの他端
40 コイルバネ押圧体
41 係止溝
50 仮固定ネジ
61 エンジンの出力軸
62 エンジンの出力軸に取り付けられたプーリ
63 駆動ベルト
64 従動側のプーリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9