(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025029105
(43)【公開日】2025-03-05
(54)【発明の名称】RC発振回路
(51)【国際特許分類】
H03K 3/0231 20060101AFI20250226BHJP
H03K 3/354 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
H03K3/0231
H03K3/354 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024210762
(22)【出願日】2024-12-03
(31)【優先権主張番号】202410510806.9
(32)【優先日】2024-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522499955
【氏名又は名称】四川和芯微電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】IPGoal Microelectronics (Sichuan) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Rooms 801, 901 and 902, Building 1, No. 33, Jitai Road, High Tech Zone, Chengdu, Sichuan, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】呂 亜蘭
(72)【発明者】
【氏名】郭 向陽
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性及び安定性が向上したRC発振回路を提供する。
【解決手段】第1電流Irefを出力する第1電流源ユニット、第2電流Icharge1、2を生成する第2電流源ユニット、発振抵抗Rref、第1発振コンデンサCint1、第2発振コンデンサCint2、2つの発振MOS管Mn1、2、2つのコンパレータCOMP1、2及びRSラッチを含むRC発振回路であって、第1、第2電流源ユニットの入力端子は外部電源VDDに接続され、第1電流源ユニットの出力端子は発振抵抗の一端と、2つのコンパレータの正相入力端子に接続され、発振抵抗の他端は接地され、第2電流源ユニットの1つの出力端子は、第1発振コンデンサの一端と1つのコンパレータの逆相入力端子に接続され、第1発振コンデンサの他端は接地され、第2電流源ユニットのもう1つの出力端子は、第2発振コンデンサの一端と、もう1つのコンパレータの逆相入力端子に接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電流源ユニット、第2電流源ユニット、発振抵抗、第1発振コンデンサ、第2発振コンデンサ、2つの発振MOS管、2つのコンパレータ及びRSラッチを含むRC発振回路であって、
前記第1電流源ユニット及び第2電流源ユニットの入力端子は、いずれも外部電源に接続され、前記第1電流源ユニットは、第1電流を生成し、前記第1電流源ユニットの出力端子は前記発振抵抗の一端と、2つのコンパレータの正相入力端子に接続され、前記発振抵抗の他端は接地され、前記第2電流源ユニットは、第2電流を生成しかつ2つの出力端子を有し、前記第2電流源ユニットの1つの出力端子は、前記第1発振コンデンサの一端と、1つの前記コンパレータの逆相入力端子に接続され、前記第1発振コンデンサの他端は、接地され、前記第2電流源ユニットのもう1つの出力端子は、前記第2発振コンデンサの一端と、もう1つの前記コンパレータの逆相入力端子に接続され、前記第2発振コンデンサの他端は、接地され、2つの発振MOS管のソースは、いずれも接地され、2つの前記発振MOS管のドレインは、対応する発振コンデンサの一端に接続され、2つの前記発振MOS管のゲートは、RSラッチ出力に接続され、2つのコンパレータの出力端子は、それぞれRSラッチの入力端子に接続され、前記ラッチは、クロック信号を出力し、
前記第1電流源ユニットは、第1MOS管、第2MOS管、第3MOS管、第4MOS管及び第1抵抗を含み、前記第1MOS管、第2MOS管のソースは、いずれも接地され、前記第1MOS管のドレイン及び第2MOS管のゲートは、共通に接続されるとともに前記第1抵抗の一端に接続され、前記第1抵抗の他端は、それぞれ第1MOS管のゲート、第3MOS管のドレインに接続され、前記第3MOS管及び第4MOS管のドレインは、いずれも外部電源に接続され、前記第4MOS管のドレイン、ゲートは、共通に接続されるとともに、第3MOS管のゲート、第2MOS管のドレインに接続されることを特徴とする、RC発振回路。
【請求項2】
前記第2電流源ユニットは、第5MOS管、第6MOS管、第7MOS管、第8MOS管及び第2抵抗を含み、前記第5MOS管、第6MOS管のソースは、いずれも接地され、前記第5MOS管のドレイン及び第7MOS管のドレインは、共通に接続されるとともに前記第7MOS管、第8MOS管のゲートに接続され、前記第7MOS管のソース及び第2抵抗の一端は、いずれも外部電源に接続され、前記第2抵抗の他端は、第8MOS管のソースに接続され、前記第6MOS管のドレイン、ゲートは、共通に接続されるとともに第5MOS管のゲート、第8MOS管のドレインに接続されることを特徴とする、請求項1に記載のRC発振回路。
【請求項3】
前記第3MOS管及び前記第4MOS管は、アスペクト比が同じであることを特徴とする、請求項2に記載のRC発振回路。
【請求項4】
第1MOS管のゲートソース間電圧をV
GS1とし、第1電流源ユニットが生成する電流をI
refとし、第1抵抗の抵抗値をRsとし、第2MOS管のゲートソース間電圧をV
GS2とし、第2MOS管のドレイン電流をI
outとすると、KVL式により、
が得られ、
式中、
は、第2MOS管及び第1MOS管のアスペクト比であり、第2MOS管のアスペクト比と第1MOS管のアスペクト比の値をN1とし、V
TH1及びV
TH2は第1MOS管及び第2MOS管の閾値電圧であり、μ
nはチャネル移動度であり、C
oxは単位面積のゲート酸化層コンデンサであり、I
out=I
refの場合、第1電流源ユニットが生成する電流I
ref:
であることを特徴とする、請求項3に記載のRC発振回路。
【請求項5】
第8MOS管と第7MOS管とのアスペクト比の値をN2とし、第2電流源ユニットが生成する電流をIchargeとし、第2抵抗の抵抗値をRrとすると、
であり、ここで、V
Tは熱電圧であることを特徴とする、請求項4に記載のRC発振回路。
【請求項6】
前記第1電流源ユニットが生成する電流及び第2電流源ユニットが生成する電流を等しい割合で複製し、前記第2電流源ユニットが生成する電流に2つの同じ複製電流を持たせ、複製した後の電流を対応するデバイスに入力することを特徴とする、請求項5に記載のRC発振回路。
【請求項7】
式(1)及び式(2)を組み合わせることで、RC発振器の出力クロック信号の周波数Fが
であることが得られ、ここで、R
refは発振抵抗の抵抗値であることを特徴とする、請求項6に記載のRC発振回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路の分野に関し、より具体的には、RC発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
RC発振器は、安定した交流信号を生成するための一般的な電子発振器である。それは、抵抗(R)とコンデンサ(C)から構成され、RCネットワークの特性を利用して発振機能を実現する。したがって、RC発振器は、通信、コンピュータ、オーディオなどの分野で幅広く使用されている。
【0003】
RC発振器のコア素子は、抵抗とコンデンサから構成されるRCネットワークであり、連続した充放電プロセスにおける正帰還効果により回路に自励発振動作を生成する。その回路構造を
図1に示す。
図1に示すRC発振器の動作過程において、電流Icharge1はコンデンサCint1を充電し、Tint時間内にVrefまで充電するとコンパレータCOMP1が反転し、コンデンサCint1の電荷がリセットされた後、コンパレータCOMP1が再度反転し、さらにコンデンサCint2を充電し、Tint時間内にVrefまで充電するとコンパレータCOMP2が反転し、コンデンサCint2の電荷がリセットされた後、コンパレータCOMP2がさらに反転する。これにより、RC発振回路が発振し始め、発振周期は2Tintになる。
【0004】
前記RC発振回路において、コンパレータ及びパスの論理部分における遅延、コンパレータのマイナス端の寄生容量を無視し、電流Icharge及び電流Irefが同一のバイアス回路に由来しかつ電流値の比がKであると仮定すると、
かつIcharge1=Icharge2=Icharge、Cint1=Cint2=Cintとなる。
さらに、電荷計算式:
により、充放電時間:
が得られる。
計算式(2)により出力周波数:
が得られる。
上記から分かるように、Icharge及びIrefは同一のバイアス回路に由来しかつ比がKであり、出力周波数:
が得られる。
【0005】
上記から分かるように、RC発振器の周波数Fは、抵抗Rref及びコンデンサCintの値に反比例する。また、抵抗及びコンデンサにプロセスのばらつきが存在し、特にプロセス温度が高くなると抵抗が増加し、電流Ichargeと電流Irefを生成する際の基板バイアス効果も無視されるため、出力周波数Fが非常に不安定になり、製品の信頼性が低下する。
【0006】
そのため、改良されたRC発振回路を提供して上記の欠陥を克服する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、RC発振回路を提供することを目的とする。本発明のRC発振回路は、出力クロック信号の周波数がMOS管の基板バイアス効果及び抵抗変化により影響されることがなく、出力クロック信号の周波数が安定しかつばらつきが小さく、RC発振回路の信頼性及び安定性が大幅に向上する。
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、第1電流源ユニット、第2電流源ユニット、発振抵抗、第1発振コンデンサ、第2発振コンデンサ、2つの発振MOS管、2つのコンパレータ及びRSラッチを含むRC発振回路であって、前記第1電流源ユニット及び第2電流源ユニットの入力端子は、いずれも外部電源に接続され、前記第1電流源ユニットは、第1電流を生成し、その出力端子は前記発振抵抗の一端と、2つのコンパレータの正相入力端子に接続され、前記発振抵抗の他端は接地され、前記第2電流源ユニットは、第2電流を生成しかつ2つの出力端子を有し、前記第2電流源ユニットの1つの出力端子は、前記第1発振コンデンサの一端と、1つの前記コンパレータの逆相入力端子に接続され、前記第1発振コンデンサの他端は、接地され、前記第2電流源ユニットのもう1つの出力端子は、前記第2発振コンデンサの一端と、もう1つの前記コンパレータの逆相入力端子に接続され、前記第2発振コンデンサの他端は、接地され、2つの発振MOS管のソースは、いずれも接地され、2つの前記発振MOS管のドレインは、対応する発振コンデンサの一端に接続され、2つの前記発振MOS管のゲートは、RSラッチ出力に接続され、2つのコンパレータの出力端子は、それぞれRSラッチの入力端子に接続され、前記ラッチは、クロック信号を出力し、前記第1電流源ユニットは、第1MOS管、第2MOS管、第3MOS管、第4MOS管及び第1抵抗を含み、前記第1MOS管、第2MOS管のソースは、いずれも接地され、前記第1MOS管のドレイン及び第2MOS管のゲートは、共通に接続されるとともに前記第1抵抗の一端に接続され、前記第1抵抗の他端は、それぞれ第1MOS管のゲート、第3MOS管のドレインに接続され、前記第3MOS管及び第4MOS管のドレインは、いずれも外部電源に接続され、前記第4MOS管のドレイン、ゲートは、共通に接続されるとともに、第3MOS管のゲート、第2MOS管のドレインに接続されるRC発振回路が提供される。
【0009】
好ましくは、前記第2電流源ユニットは、第5MOS管、第6MOS管、第7MOS管、第8MOS管及び第2抵抗を含み、前記第5MOS管、第6MOS管のソースは、いずれも接地され、前記第5MOS管のドレイン及び第7MOS管のドレインは、共通に接続されるとともに前記第7MOS管、第8MOS管のゲートに接続され、前記第7MOS管のソース及び第2抵抗の一端は、いずれも外部電源に接続され、前記第2抵抗の他端は、第8MOS管のソースに接続され、前記第6MOS管のドレイン、ゲートは、共通に接続されるとともに第5MOS管のゲート、第8MOS管のドレインに接続される。
【0010】
好ましくは、前記第3MOS管及び前記第4MOS管は、アスペクト比が同じである。
【0011】
好ましくは、第1MOS管のゲートソース間電圧をV
GS1とし、第1電流源ユニットが生成する電流をI
refとし、第1抵抗の抵抗値をRsとし、第2MOS管のゲートソース間電圧をV
GS2とし、第2MOS管のドレイン電流をI
outとすると、KVL式により、
が得られ、
式中、
は、第2MOS管及び第1MOS管のアスペクト比であり、それらの比の値をN1とし、V
TH1及びV
TH2は第1MOS管及び第2MOS管の閾値電圧であり、μ
nはチャネル移動度であり、C
oxは単位面積のゲート酸化層コンデンサであり、I
out=I
refの場合、第1電流源ユニットが生成する電流I
ref:
である
【0012】
好ましくは、第8MOS管と第7MOS管とのアスペクト比の値をN2とし、第2電流源ユニットが生成する電流をIchargeとし、第2抵抗の抵抗値をRrとすると、
であり、ここで、V
Tは熱電圧である。
【0013】
好ましくは、前記第1電流源ユニットが生成する電流及び第2電流源ユニットが生成する電流を等しい割合で複製し、前記第2電流源ユニットが生成する電流に2つの同じ複製電流を持たせ、複製した後の電流を対応するデバイスに入力する。
【0014】
好ましくは、式(1)及び式(2)を組み合わせることで、RC発振器の出力クロック信号の周波数Fが
であることが得られ、ここで、R
refは発振抵抗の抵抗値である。
【0015】
従来技術と比較して、本発明のRC発振回路は、第1電流源ユニット及び第2電流源ユニットにおける第1MOS管、第2MOS管、第5MOS管及びMOS管のソースがいずれも接地されることで、これらのMOS管の基板も直接接地され、これによって、これらのMOS管による電流は基板バイアス効果を引き起こすことがない。また、出力クロック信号の周波数を計算するときに、抵抗によるプロセス温度のばらつきも相殺される。したがって、本発明のRC発振回路の出力クロック信号の周波数は、MOS管の基板バイアス効果及び抵抗の変化により影響されることがなく、出力クロック信号の周波数が安定しかつばらつきが非常に小さく、RC発振回路の信頼性と安定性を大幅に向上させる。
【0016】
以下の説明及び図面により、本発明はより明確になる。これらの図面は、本発明の実施例を解釈するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】従来技術におけるRC発振回路の構造模式図である。
【
図3】本発明のRC発振回路の第1電流源ユニットの構造模式図である。
【
図4】本発明のRC発振回路の第2電流源ユニットの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び本発明の実施例を参照しながら詳しく説明する。図面における類似の符号は、類似の素子を示す。上記のように、本発明は、RC発振回路を提供する。本発明のRC発振回路の出力クロック信号の周波数は、MOS管の基板バイアス効果及び抵抗の変化により影響されることがなく、出力クロック信号の周波数が安定しかつばらつきが非常に小さく、RC発振回路の信頼性と安定性を大幅に向上させる。
【0019】
図2に示すように、本発明のRC発振回路は、第1電流源ユニット、第2電流源ユニット、発振抵抗Rref、第1発振コンデンサCint1、第2発振コンデンサCint2、2つの発振MOS管(Mn1、Mn2)、2つのコンパレータ(COMP1、COMP2)、及びRSラッチD1を含む。前記第1電流源ユニット及び第2電流源ユニットの入力端子は、いずれも外部電源VDDに接続される。前記第1電流源ユニットは、第1電流Irefを出力し、かつ前記第1電流源ユニットの出力端子は、前記発振抵抗Rrefの一端と、2つのコンパレータ(COMP1、COMP2)の正相入力端子に接続され、これによって、前記第1電流Irefを前記発振抵抗Rref及び2つのコンパレータ(COMP1、COMP2)の正相入力端子に出力する。前記発振抵抗Rrefの他端は接地される。前記第2電流源ユニットは第2電流Ichargeを生成しかつ2つの出力端子を有し、これによって、完全に同じである2つの電流Icharge1、Icharge2を出力する。前記第2電流源ユニットの1つの出力端子は、前記第1発振コンデンサCint1の一端と、1つの前記コンパレータCOMP1の逆相入力端子に接続され、これによって、前記第2電流Icharge1を前記第1発振コンデンサCint1及び前記コンパレータCOMP1の逆相入力端子に入力する。前記第1発振コンデンサCint1の他端は接地され、前記第2電流源ユニットのもう1つの出力端子は前記第2発振コンデンサCint2の一端と、もう1つの前記コンパレータCOMP2の逆相入力端子に接続される。前記第2発振コンデンサの他端は接地され、これによって、前記第2電流Icharge2を前記第2発振コンデンサCint2及び前記コンパレータCOMP2の逆相入力端子に入力する。2つの発振MOS管(Mn1、Mn2)のソースはいずれも接地される。2つの前記発振MOS管(Mn1、Mn2)のドレインは、対応する発振コンデンサの一端に接続される。具体的には、発振MOS管Mn1のドレインは、第1発振コンデンサCint1の一端に接続され、発振MOS管Mn2のドレインは、第2発振コンデンサCint2の一端に接続され、2つの前記発振MOS管(Mn1、Mn2)のゲートは、いずれもRSラッチ出力に接続され、2つのコンパレータの出力端子(COMP1、COMP2)は、それぞれRSラッチの入力端子に接続される。前記ラッチはクロック信号OUT1を出力する。前記クロック信号OUT1は、2つのインバータINV1、INV2によって整形された後に最終クロック信号OUT0として出力される。具体的には、
図2に示すように、本発明のRC発振回路において第2電流Icharge1は第1発振コンデンサCint1を充電し、Tint時間内に所定の基準電圧Vrefまで充電した後、コンパレータCOMP1は反転し、第1発振コンデンサCint1の電荷がリセットされた後、コンパレータCOMP1は再度反転し、さらに第2発振コンデンサCint2を充電し、Tint時間内に電圧Vrefまで充電した後、コンパレータCOMP2は反転し、第2発振コンデンサCint2の電荷がリセットされた後、コンパレータCOMP2は再度反転する。このように、RC発振回路全体は発振し始め、発振周期が2Tintであり、最終的にクロック信号OUT0を出力する。
【0020】
具体的には、
図3及び
図4に示すように、本発明において、前記第1電流源ユニットは、第1MOS管M1、第2MOS管M2、第3MOS管M3、第4MOS管M4及び第1抵抗Rsを含む。前記第1MOS管M1、第2MOS管M2のソースはいずれも接地され、これによって、前記第1MOS管M1、第2MOS管M2の基板も接地される。前記第1MOS管M1のドレイン及び第2MOS管M2のゲートは、共通に接続されるとともに前記第1抵抗Rsの一端に接続される。前記第1抵抗Rsのは、それぞれ第1MOS管M1のゲート、第3MOS管M3のドレインに接続される。前記第3MOS管M3及び第4MOS管M4のドレインは、いずれも外部電源VDDに接続される。前記第4MOS管M4のドレイン及びゲートは、共通に接続され、第3MOS管M3のゲート、第2MOS管M2のドレインに接続される。本発明の好ましい実施形態として、前記第3MOS管M3及び前記第4MOS管M4は、アスペクト比が同じである。例えば、第3MOS管M3のアスペクト比を
とし、第4MOS管M4のアスペクト比を
とすると、
である。また、外部電源VDDの電圧値を設定することによって、前記第1MOS管M1、第2MOS管M2、第3MOS管M3、第4MOS管M4はいずれも飽和領域で動作する。
図3に示すように、第1電流源ユニットが生成する電流を計算する場合、第1MOS管のゲートソース間電圧をVGS1とし、第1電流源ユニットが生成する電流を第1電流I
refとし、第1抵抗の抵抗値をRsとし、第2MOS管のゲートソース間電圧をVGS2とし、第2MOS管のドレイン電流をI
outとすると、
であるため、I
out=I
refとなる。さらに、KVL(Kirchhoff’s Voltage Law)式により、
が得られる。これによって、
が得られる。ここで、
は、第2MOS管M2及び第1MOS管M1のアスペクト比であり、第2MOS管M2のアスペクト比と第1MOS管M1のアスペクト比との比の値をN1、即ち、
とする。V
TH1及びV
TH2は、第1MOS管M1及び第2MOS管M2の閾値電圧であり、μ
nは、チャネル移動度であり、C
oxは、単位面積のゲート酸化層コンデンサであり、μ
n及びC
oxは、いずれもプロセスに関連するパラメータであって定数であり、プロセスによって違いがあるが、デバイスに関係がない。また、I
out=I
refであることで、第1電流源ユニットが生成する第1電流I
refは、
である。
【0021】
上記から分かるように、前記第1MOS管M1、第2MOS管M2の基板が接地され、第3MOS管M3、第4MOS管M4の基板が電源に接続されることで、前記第1電流源ユニットが生成する第1電流Irefには基板バイアス効果がない。
【0022】
さらに、
図4に示すように、前記第2電流源ユニットは、第5MOS管M5、第6MOS管M6、第7MOS管M7、第8MOS管M8及び第2抵抗Rrを含む。前記第5MOS管M5、第6MOS管M6のソースはいずれも接地され、これによって、前記第5MOS管M5、第6MOS管M6の基板も接地される。前記第5MOS管M5のドレイン及び第7MOS管M7のドレインは、共通に接続されるとともに前記第7MOS管M7、第8MOS管M8のゲートに接続され、前記第7MOS管M7のソース及び第2抵抗Rrの一端は、いずれも外部電源VDDに接続され、前記第2抵抗Rrの他端は、第8MOS管M8のソースに接続される。前記第6MOS管M6のドレイン及びゲートは、共通に接続されるとともに第5MOS管M5のゲート、第8MOS管M8のドレインに接続される。
図4に示すように、第2電流源ユニットが生成する電流を計算する場合、第8MOS管M8のアスペクト比と第7MOS管M7のアスペクト比との比の値をN2、即ち、
とし、ここで、
は、それぞれ第8MOS管M8及び第7MOS管M7のアスペクト比であり、第2電流源ユニットが生成する電流を第2電流I
chargeとし、第2抵抗の抵抗値をRrとすると、
である。ここで、V
Tは熱電圧であり、プロセスに関連するパラメータであって定数であり、プロセスによって違いがあるが、デバイスに関係がない。上記から分かるように、前記第5MOS管M5、第6MOS管M6の基板が接地され、第7MOS管M7の基板が電源に接続され、第8MOS管M8の基板がM8の電源端に接続されるため、前記第2電流源ユニットが生成する第2電流Ichargeにも基板バイアス効果がない。
【0023】
上記から分かるように、基板バイアス効果がない第1電流I
ref及び第2電流I
chargeは、それぞれ前記第1電流源ユニット及び第2電流源ユニットによって生成されるが、この2つの電流を前記RC発振回路に入力する必要がある。そのため、本発明において、前記第1電流源ユニットが生成する第1電流I
refと第2電流源ユニットが生成する第2電流I
chargeを等しい割合で複製し、前記第2電流源ユニットが生成する電流を2つの同じ複製電流I
charge1、I
charge2を持たせ、複製後の電流を対応するデバイスに入力する。具体的には、
図2に示すように、MOS管M0は第4MOS管M4上の電流をミラーする。第4MOS管M4とMOS管M0のアスペクト比を同じにするだけで、第4MOS管M4上の電流を等しい割合でミラーすることができる。また、MOS管M9は、第6MOS管M6上の電流をミラーする。第6MOS管M6とMOS管M9のアスペクト比を同じにすることで第6MOS管M6上の電流を等しい割合でミラーすることができる。MOS管M9及びMOS管M10のアスペクト比を設定することにより、MOS管M9とMOS管M10上の電流を同じにすることができ、即ち、MOS管M10上の電流と第6MOS管M6上の電流は同じである。MOS管M11及びMOS管M12はMOS管M10の電流をミラーする。MOS管M10とMOS管M11及びMOS管M12のアスペクト比を同じにすることで、MOS管M10上の電流を等しい割合でミラーすることができる。如何に既存の電流を等しい割合で複製するかは、当業者の常套手段であるため、ここで説明を省略する。MOS管M0が第4MOS管M4上の電流(第1電流I
ref)がミラーした後、第1電流I
refを2つのコンパレータの正相入力端子に入力し、MOS管M11及びMOS管M12はそれぞれMOS管M10の電流(第2電流I
charge)をミラーしてそれぞれ第2電流I
charge1及び第2電流I
charge2を形成する。即ち、MOS管M11及びMOS管M12のソースは、それぞれ第2電流ユニットの2つの出力端子を形成し、かつ第2電流I
charge1はそれぞれ第1発振コンデンサCint1、発振MOS管Mn1及びコンパレータCOMP1の逆相入力端子に入力され、対応して第2電流I
charge2は、それぞれ第2発振コンデンサCint2、発振MOS管Mn2及びコンパレータCOMP2の逆相入力端子に入力される。
【0024】
上記のように、複製後の第1電流I
ref及び第2電流I
chargeを対応するデバイスに入力した後、(1)式、(2)式及び背景技術に記載の
(ここで、R
refは発振抵抗Rrefの抵抗値である。)を組み合わせることで、RC発振回路の出力クロック信号OUT1の周波数Fが
であることが得られる。
【0025】
また、上記から分かるように、前記クロック信号OUT1は、2つのインバータINV1、INV2によって整形された後、最終クロック信号OUT0として出力されるため、クロック信号OUT0の周波数F0とクロック信号OUT1の周波数Fは完全に同じである。さらに、計算式(3)から分かるように、本発明で最終的に得られたクロック信号OUT1の周波数F(即ち、クロック信号OUT0の周波数F0)は、基板バイアス効果が解消されるだけでなく、抵抗(発振抵抗Rref、第1抵抗Rs、第2抵抗Rr)が相殺されるため、各抵抗によるプロセス温度のばらつきも相殺される。ここで、VTは正の温度係数であり、μnは負の温度係数であり、温度特性も補償される。したがって、本発明のRC発振回路の出力周波数F0は、基板バイアス効果及び抵抗の変化により影響されることがなく、出力クロック信号の周波数が安定しかつばらつきが非常に小さく、RC発振回路の信頼性と安定性を大幅に向上させる。
【0026】
以上、最適な実施例により本発明を説明したが、本発明は、上記の実施例に制限されず、本発明の本質に基づく修正及び同等組み合わせを含むべきである。