(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002929
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】剥離紙原紙
(51)【国際特許分類】
D21H 27/00 20060101AFI20241226BHJP
D21H 19/60 20060101ALI20241226BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20241226BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20241226BHJP
B32B 29/00 20060101ALI20241226BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241226BHJP
D21H 19/40 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
D21H27/00 A
D21H19/60
B32B27/10
B32B27/20 Z
B32B29/00
B32B27/30 102
D21H19/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103324
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 翔
【テーマコード(参考)】
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
4F100AC03B
4F100AJ07B
4F100AK21B
4F100BA02
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100DE01B
4F100DG10A
4F100JA07
4F100JB09B
4F100JL14
4F100YY00A
4F100YY00B
4L055AA02
4L055AA03
4L055AC06
4L055AG27
4L055AG48
4L055AG64
4L055AJ04
4L055BE08
4L055CD01
4L055CH02
4L055EA05
4L055EA08
4L055EA32
4L055FA11
4L055FA30
4L055GA43
(57)【要約】
【課題】再利用しやすい剥離紙原紙を提供する。
【解決手段】本発明は、紙基材11と、紙基材11の一方の面11aに設けられたコート層12とを備え、紙基材11に使用されるパルプの叩解度が、45°SR以下であり、コート層12が、水不溶性樹脂を含有せず、クレーと水溶性樹脂とを含有し、クレーと水溶性樹脂との質量比が、3:7以上7:3以下であり、緊度が、0.95g/m
3以下である剥離紙原紙10である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材と、該紙基材の一方の面に設けられたコート層とを備え、
前記紙基材に使用されるパルプの叩解度が、45°SR以下であり、
前記コート層が、水不溶性樹脂を含有せず、クレーと水溶性樹脂とを含有し、前記クレーと前記水溶性樹脂との質量比が、3:7以上7:3以下であり、
緊度が、0.95g/m3以下である剥離紙原紙。
【請求項2】
前記クレーが、カオリンである請求項1記載の剥離紙原紙。
【請求項3】
前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールである請求項1記載の剥離紙原紙。
【請求項4】
米坪が、55g/m2以下である請求項1記載の剥離紙原紙。
【請求項5】
緊度が、0.89g/m3以上0.95g/m3以下である請求項1記載の剥離紙原紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離紙原紙に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な物に貼付するラベルとして、剥離紙と、その上に形成される粘着剤層とから構成される粘着ラベルがある。通常、剥離紙は、剥離紙原紙の片面又は両面に、粘着剤層の剥離を容易にするため、シリコーン樹脂等からなる剥離剤が塗工されており、コート層、剥離剤層等と称されている。
【0003】
剥離紙原紙として、例えば、特許文献1には、叩解度が20~44°SRのパルプを使用した原紙の少なくとも一方の表面上に、水溶性樹脂の目止め層と、水溶性樹脂による中間層と、剥離層とを順次設けた剥離紙が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、基材、コート層1、及びコート層2がこの順に配置され、基材に使用されるパルプにおける広葉樹パルプの含有質量割合が50質量%以上であり、基材に使用されるパルプの叩解度が30°SR以上であり、コート層1が樹脂を含有し、コート層2がクレー及びバインダー樹脂を含有する剥離紙原紙が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、普通紙の表面に少なくとも透明化層と剥離層とを順次積層してなる粘着ラベル用剥離紙において、普通紙がフリーネス350~500mlCSFの木材パルプを原料とし、且つ剥離紙の940~960nmにおける光透過率が10~20%であり、緊度が、0.90~1.15g/cm3である粘着ラベル用剥離紙が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-166504号公報
【特許文献2】特開2023-23121号公報
【特許文献3】特開2003-253600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
粘着ラベルの剥離紙は、粘着剤層を剥離した後、廃棄される。近年、環境保全の観点から、剥離紙の再利用が望まれている。剥離紙原紙の表面に剥離剤となるシリコーン樹脂を塗布する場合、そのシリコーン樹脂を良好に担持してバリア性を保つため、剥離紙原紙の基材として高叩解のパルプが使用される。
一方で、剥離紙を回収して古紙パルプを製造するには、叩解工程が必要となるが、高叩解のパルプを使用した剥離紙原紙は、叩解工程でパルプの繊維が細く、かつ短くなり過ぎる場合がある。そのため、古紙パルプを用いて製造された再生剥離紙を、再び回収して古紙パルプを製造する場合、再生紙を製造しにくいという問題がある。
また、目止め処理のバインダー樹脂として使用されるラテックスは、水不溶性であるため、再生処理において離解を阻害する要因となる。
【0008】
上記特許文献に記載の発明では、剥離紙原紙のバリア性及び離解性については満足できるものの、古紙パルプを用いて製造された再生剥離紙の再利用のし易さという観点からは、改良の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、再利用しやすい剥離紙原紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、低叩解度の紙基材を用いながらも、コート層の樹脂が良好に担持でき、かつ再利用しやすい剥離紙原紙を得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、紙基材と、紙基材の一方の面に設けられたコート層とを備え、紙基材に使用されるパルプの叩解度が、45°SR以下であり、コート層が、水不溶性樹脂を含有せず、クレーと水溶性樹脂とを含有し、クレーと水溶性樹脂との質量比が、3:7以上7:3以下であり、緊度が、0.95g/m3以下である剥離紙原紙である。
【0010】
クレーは、カオリンであることが好ましい。
【0011】
水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールであることが好ましい。
【0012】
剥離紙原紙は、米坪が、55g/m2以下であることが好ましい。
【0013】
剥離紙原紙は、緊度が、0.89g/m3以上0.95g/m3以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、再利用しやすい剥離紙原紙を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態である剥離紙原紙の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[剥離紙原紙]
本発明の一実施形態の剥離紙原紙10について、
図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の剥離紙原紙10は、紙基材11と、紙基材11の一方の面11aに設けられたコート層12とを備える。
【0017】
(緊度)
本発明の剥離紙原紙10の緊度は、0.95g/m3以下である。
本発明における緊度は、紙基材11上にコート層12が設けられた剥離紙原紙10全体で測定したものである。紙基材の緊度は、JIS P 8118:1998に準じて、全幅2000mm~2500mmを幅方向に8点、米坪と厚みを測定して規格化して求めた値である。
剥離紙原紙10の緊度が、0.95g/m3以下であることにより、剥離紙を回収して古紙パルプを製造する時の離解性が良好となる。
剥離紙原紙10の緊度は、0.89g/m3以上0.95g/m3以下であることが好ましい。離紙原紙10の緊度が、0.89g/m2以上であることにより、コート層12として樹脂を剥離紙原紙10の紙基材11上に塗工した場合、その樹脂が紙基材11に浸み込むのを防ぎ、良好にコート層12を形成することができる。
【0018】
(米坪)
剥離紙原紙10の米坪は、55g/m2以下であることが好ましく、45g/m2以下であることがより好ましい。米坪が55g/m2以下であることにより、廃棄量を少なくすることができるので、環境に配慮した製品となる。なお、本発明における剥離紙原紙10の米坪は、紙基材11上にコート層12が設けられた剥離紙原紙10全体で測定したものである。剥離紙原紙10の米坪は、JIS P 8124:2011の坪量の試験方法に基づいて測定した数値である。
【0019】
<紙基材>
紙基材11としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙等が好ましい。
紙基材11に使用されるパルプにおける広葉樹パルプの含有質量割合は50質量%以上である。広葉樹パルプの含有質量割合が50質量%以上であることで、剥離紙原紙表面の平滑性が向上する。広葉樹パルプの含有質量割合は、50質量%を超えることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらにより好ましく、80質量%を超えることが特に好ましく、最も好ましくは100質量%である。
【0020】
また、紙基材11における、広葉樹パルプと針葉樹パルプとの合計量に対する広葉樹パルプの含有質量割合は、平滑性の観点から、50質量%を超えることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらにより好ましく、80質量%を超えることが特に好ましく、最も好ましくは100質量%である。
【0021】
紙基材11に使用される広葉樹パルプとしては、特に限定されるものではなく、バージンパルプ及び古紙パルプを使用することができる。バージンパルプとしては、木材パルプを用いることが好ましい。広葉樹パルプのバージンパルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプや、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ等の公知の種々のパルプを使用することができる。これらの中でも、表面平滑性の点で、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプであることが好ましく、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)であることがより好ましい。
【0022】
紙基材11に使用できる針葉樹パルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプや、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ等の公知の種々のパルプが挙げられる。
【0023】
紙基材11のパルプ含有率は、特に限定されないが、60質量%以上100質量%以下であることが好ましい。この含有量の下限は、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。また、この含有量の上限は、98質量%以下であることがより好ましく、97質量%以下であることが更に好ましい。
【0024】
紙基材11の製造方法は、公知の方法を用いればよい。例えば、針葉樹パルプと広葉樹パルプを所定の質量比で水に分散し、これを叩解機で所定の叩解度に叩解したパルプスラリーを得る。次いで、得られたパルプスラリーに、所望により添加剤等を添加する。調製したスラリーを長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の公知の抄紙機を使用して抄紙し、紙基材を得ることができる。また、抄紙方式は、特に限定されず、酸性抄紙又は中性抄紙のいずれも選択できる。
【0025】
-叩解度-
本発明において、紙基材11に使用されるパルプの叩解度は45°SR以下である。パルプの叩解度が45°SR以下であることにより、剥離紙原紙10を使用後に回収して再生紙を製造する際、叩解工程を繰り返しても、パルプの繊維が細く、短くなり過ぎないため、良好に再生紙を製造することができる。紙基材11に使用されるパルプの叩解度は、38°SR以下であることが好ましい。
【0026】
-厚さ-
紙基材11の厚みは、40μm以上300μm以下であることが好ましい。厚みを40μm以上とすることにより、剥離紙原紙10の製造時におけるしわの発生を抑制でき、粘着ラベル製造時におけるラベル加工の抜き加工適性が向上させることができる。また、この厚みを300μm以下とすることにより、剛性が高くなりすぎることがなく、取り扱い性が低下しない。なお、この厚みは、JIS P 8118:2014に準拠して測定することができる。
【0027】
-坪量-
紙基材11の坪量は、35g/m2以上120g/m2以下であることが好ましく、50g/m2以上100g/m2以下であることがより好ましい。坪量をこのような範囲に制御することにより、抄造適性が一層向上する。紙基材11の坪量は、JIS P 8124:2011の坪量の試験方法に基づいて測定した数値である。
【0028】
<コート層>
コート層12は、クレーと水溶性樹脂とを含有するものであり、紙基材11の上に形成されて、剥離剤層との密着を良好する役割を有する。
【0029】
-クレー-
コート層12に含有させるクレーとしては、カオリン、タルク、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、ハロイサイト、マイカが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、カオリンがより好ましい。
【0030】
-水溶性樹脂-
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、デキストリン、澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、剥離剤との密着性の点で、樹脂は、ポリビニルアルコールを含むことが好ましく、ポリビニルアルコールのみであることが特に好ましい。
【0031】
ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、変性ポリビニルアルコールも含まれる。変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコールが挙げられる。中でもポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールであることが好ましい。
【0032】
ポリビニルアルコールの鹸化度は、80%以上100モル%以下であることが好ましく、85%以上100モル%以下であることがより好ましい。また、ポリビニルアルコールの分子量は、通常、約5000~150000であり、約10000~100000であることが好ましい。
【0033】
-クレーと水溶性樹脂との質量比-
コート層12においては、クレーと水溶性樹脂との質量比は、3:7以上7:3以下である。上記質量比が、3:7以上7:3以下であることにより、剥離紙原紙10の離解性が良いため、良好に再生紙を製造することができる。クレーと水溶性樹脂との質量比は、4:6以上、6:4以下であることが好ましい。
【0034】
-水不溶性樹脂-
本発明におけるコート層12は、水不溶性樹脂を含有しない。従来のコート層には、クレーと水溶性樹脂とのバインダーとして、水不溶性樹脂が添加されている。このため、剥離紙原紙の離解を阻害するという問題がある。本発明におけるコート層12は、水不溶性樹脂を含有しないため、再生紙の製造工程において、良好に離解が進む。
ここで、「水不溶性樹脂」とは、乾燥し造膜後、水で再溶解しない物質を意味する。
水不溶性樹脂としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリル共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の共重合体が挙げられる。
【0035】
コート層12は、コート層形成用組成物を基材上に塗布及び乾燥させることで形成することができる。塗布方法としては特に限定されるものではないが、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーブレードコーター、グラビアコーター、バーコーター、多段ロールコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ゲートロールコーター、サイズプレスコーター、シムサイザー等の各種塗工装置を適宜選択して塗布する方法を採用することができる。
コート層形成用組成物は、樹脂、必要に応じて添加剤、溶媒が混合される。添加剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等のフィラー、分散剤、増粘剤、消泡剤、発泡防止剤、粘度調整剤、潤滑剤、耐水化剤、保水剤、色材等が挙げられる。溶媒は、樹脂の形態によって適宜選択され、樹脂がポリビニルアルコールである場合には、溶媒は、例えば、水である。
【0036】
コート層12を塗布した塗布面にはスーパーカレンダー処理を行って、表面を平滑にしてもよい。スーパーカレンダー処理を行うことにより目止めの効果や剛性化の効果が向上する。
【0037】
剥離紙原紙10のコート層12の表面粗さは、その好適な態様として、JIS B 0601:2013に準拠した算術平均粗さ(Ra)で好ましくは0.70μm以下、より好ましくは0.50μm未満とすることができる。コート層12の算術平均粗さ(Ra)の下限は、小さければ小さいほど好ましいが、通常0.10μm以上となる。
【0038】
(その他の構成)
コート層12上に剥離剤層を設けてもよい。剥離剤層を形成する剥離剤としては、例えば、シリコーン系剥離剤、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、長鎖アルキルアクリレート系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。これらの中では、シリコーン系剥離剤が好ましい。剥離剤層の厚みは、通常、約0.01μm以上5μm以下である。
【0039】
本発明の剥離紙原紙は、低叩解のパルプを用いながらも、コート層の樹脂を良好に担持できるためバリア性が良く、かつ再利用しやすいという利点がある。
【実施例0040】
以下、本発明について、実施例及び比較例を用いて説明する。実施例において「部」又は「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」又は「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
【0041】
[剥離紙原紙]
以下に、実施例及び比較例で用いる剥離紙原紙について説明する。
【0042】
[実施例1]
実施例1の剥離紙原紙を以下のように作製した。
(紙基材)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)25質量%及び広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)75質量%を混合し、水中でショッパーリグラー法により叩解度が38°SRとなるように叩解処理し、これを水に分散して濃度約1質量%のパルプスラリーを得た。
次いで、このパルプスラリーを、長網多筒式抄紙機を用いて抄紙し、坪量55g/m2の紙基材を得た。紙基材の厚さは62μmであった。
【0043】
(コート層)
続いて、扁平板状のカオリン(平均粒径4.3μm)、酸化澱粉、ポリビニルアルコール(鹸化度98モル%、分子量75000)を、表1に記載の割合(固形分)で含み、溶媒として水を所定割合で含む塗工液を作製した。次に、塗工液を、塗布量が3.0g/m2となるようにコート層上に塗布し、乾燥させ、更にスーパーカレンダーロールを通すことにより、コート層を形成し、剥離紙原紙を得た。形成されたコート層の厚さは、3μmであった。
【0044】
[実施例2、3、比較例1、及び2]
表1に示す配合比で、実施例1と同様に、剥離紙原紙を作製した。
【0045】
[評価]
上記実施例及び比較例について、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0046】
(緊度)
緊度は、JIS P 8118:1998に準じて、全幅2000mm~2500mmを幅方向に8点、米坪と厚みを測定して規格化して求めた。
【0047】
(離解性)
得られた剥離紙原紙50gを5cm×5cm角に切断し、水(20℃)1200mlに加え、JISP8209の標準離解機によって2分間撹拌した。
次に、離解後のスラリー(固形分=6.25g)を用い、角形手漉きシートマシンによって手漉きシート(25cm×25cm)を作成し、脱水用濾紙に挟んで20kgのプレスロールで2往復させ、プレス機により3.5kg/cm2の圧力でプレスした。次に、濾紙に挟まれた状態のままで、送風乾燥機で2時間乾燥した後、濾紙から手漉きシートを剥がした。剥がした手漉きシートに含まれる未離解物を観察し、剥離紙原紙の離解性を、以下の3段階で評価した。
なお、未離解物とは剥離紙の一部が離解されず小さく残っている状態で、散光板(例えば、発光体を内側に有するすりガラス)に手漉きシートを乗せると黒い斑点として観察することができる。
<評価基準>
◎・・・未離解物が観察されない
△・・・未離解物が少し観察された
×・・・未離解物が多く観察された
【0048】
(マジックバリア性)
ZEBRA社製の商品名:油性マッキー黒で、コート層上に、幅1~3mm、長さ20cmの直線を描き、剥離紙原紙の裏面(コート層とは反対側の表面)から観察した際に、その直線が見えるかどうかを下記の評価基準で評価した。
<評価基準>
◎・・・全くマジック痕がみえない
△・・・マジック痕がややみえる
×・・・マジック痕がはっきりと見え、表裏差がわからない
【0049】
【0050】
表1に示すように、実施例1から3は、離解性及びマジックバリア性の両方で良好な結果を得ることができた。