(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025029311
(43)【公開日】2025-03-06
(54)【発明の名称】光学系およびそれを有する撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20250227BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133858
(22)【出願日】2023-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】原野 康憲
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087NA14
2H087PA04
2H087PA05
2H087PA17
2H087PA18
2H087PA19
2H087PB05
2H087PB06
2H087QA03
2H087QA07
2H087QA19
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087UA01
(57)【要約】
【課題】 高い光学性能を有する小型な光学系を提供する。
【解決手段】 物体側から像側へ順に配置された前群La、開口絞りSP、後群Lbからなり、最も物体側に配置された負の屈折力の第1レンズL1と、最も像側に配置された正の屈折力の最終レンズLpとを備え、前群Laは、物体側のレンズ面が凹面である第1負レンズと、像側のレンズ面が凹面である第1正レンズとを含み、全系の焦点距離をf、最も物体側のレンズ面から前記最終レンズLpの像側のレンズ面までの距離をD、バックフォーカスをsk、前群の焦点距離をfLaとするとき、
1.00<sk/D<1.80
0.00<f/fLa<0.50
なる条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された前群、開口絞り、後群からなり、
最も物体側に配置された負の屈折力の第1レンズと、最も像側に配置された正の屈折力の最終レンズとを備え、
前記前群は、物体側のレンズ面が凹面である第1負レンズと、像側のレンズ面が凹面である第1正レンズとを含み、
全系の焦点距離をf、最も物体側のレンズ面から前記最終レンズの像側のレンズ面までの距離をD、バックフォーカスをsk、前記前群の焦点距離をfLaとするとき、
1.00<sk/D<1.80
0.00<f/fLa<0.50
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記第1負レンズの材料のアッベ数をνn、前記第1正レンズの材料のアッベ数をνpとするとき、
0.83<νn/νp<0.95
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第1負レンズが最も物体側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
前記前群を構成するレンズの屈折率の平均値をN1aveとするとき、
1.65<N1ave<1.80
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記後群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、負レンズ、正レンズからなることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記後群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、正レンズ、負レンズ、正レンズからなることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
前記最終レンズの像側のレンズ面が凸面であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
前記後群の負の屈折力のレンズの中で、最も像側に配置された負レンズは非球面形状のレンズ面を有するレンズであることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
前記非球面形状のレンズ面を有するレンズは材料に樹脂を含むレンズであることを特徴とする請求項8に記載の光学系。
【請求項10】
前記第1レンズの焦点距離をfL1とするとき、
-4.10<f/fL1<-2.50
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項11】
前記最終レンズの焦点距離をfLpとするとき、
0.20<f/fLp<0.45
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項12】
前記前群の焦点距離をfLa、前記後群の焦点距離をfLbとするとき、
0.20<fLa/fLb<4.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項13】
前記開口絞りから像面までの距離をPDとするとき、
0.70<PD/(D+sk)<1.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項14】
前記光学系は、5つまたは6つのレンズからなることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項15】
前記第1負レンズの材料のアッベ数をνn、前記第1正レンズの材料のアッベ数をνpとするとき、
0.83<νn/νp<0.95
なる条件式を満足することを特徴とする請求項3乃至14のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項16】
前記第1負レンズが最も物体側に配置されていることを特徴とする請求項4乃至14のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項17】
前記第1負レンズの材料のアッベ数をνn、前記第1正レンズの材料のアッベ数をνpとするとき、
0.83<νn/νp<0.95
なる条件式を満足することを特徴とする請求項16に記載の光学系。
【請求項18】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光学系と、
前記光学系により形成される光学像を光電変換する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系に関し、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置に用いられる光学系において、小型でありながら画面中心から周辺まで良好な光学性能を有するレンズが要求されている。
【0003】
特許文献1には、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力のレンズ群、絞り、正の屈折力のレンズ群、負の屈折力のレンズ群からなり、非球面形状のレンズ面を有するレンズを用いることで全長を小型化しつつ諸収差を補正可能な光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、糸巻型の歪曲を含む諸収差によって特許文献1の光学系の画面周辺における光学性能は十分ではなく、より高い光学性能を有する小型な光学系が望まれている。
【0006】
そこで本発明は、高い光学性能を有する小型な光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学系は、物体側から像側へ順に配置された前群、開口絞り、後群からなり、最も物体側に配置された負の屈折力の第1レンズと、最も像側に配置された正の屈折力の最終レンズとを備え、前記前群は、物体側のレンズ面が凹面である第1負レンズと、像側のレンズ面が凹面である第1正レンズとを含み、全系の焦点距離をf、最も物体側のレンズ面から前記最終レンズの像側のレンズ面までの距離をD、バックフォーカスをsk、前記前群の焦点距離をfLaとするとき、
1.00<sk/D<1.80
0.00<f/fLa<0.50
なる条件を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い光学性能を有する小型な光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面は、便宜的に実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。また、各図面において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1、3、5、7、及び9はそれぞれ、実施例1乃至5の光学系L0の断面図である。各図において、左側が物体側(前側)であり、右側が像側(後側)である。各実施例の光学系L0は、複数のレンズを有して構成されている。
【0012】
各図において、Laは開口絞りよりも物体側の前群、Lbは開口絞りよりも像側の後群を表す。Lpは最も像側に配置された正の屈折力の最終レンズを表し、Lnは後群に含まれる負レンズのうち、最も像側に配置された負レンズを表す。
【0013】
また、各図において、SPは開口絞りを表し、IPは像面を表す。各実施例の光学系L0をデジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ用の撮像光学系として用いる際には像面IPに固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。固体撮像素子としてCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等を用いることができる。各実施例の光学系L0を銀塩フィルム用カメラ用の撮像光学系として用いる際には像面IPにはフィルムの感光面が配置される。
【0014】
なお、各実施例の光学系L0においては、一または複数のレンズを像ぶれ補正に際して光軸に対して垂直な成分を含むように偏心させることにより、防振光学系としての機能を有するようにしても良い。また、最も像側に配置されたレンズと像面との間に、ローパスフィルターや赤外カットフィルター等の実質的に屈折力のない平行平板を配置してもよい。
【0015】
図2、4、6、8、及び10は、それぞれ実施例1乃至5の光学系の無限遠合焦時の収差図である。
【0016】
各図においてFnoはFナンバーであり、ωは近軸計算により求められる撮像半画角(°)を示す。球面収差図において、d線(波長587.6nm)における球面収差、g線(波長435.8nm)における球面収差を示す。非点収差図において、dSはサジタル像面でのd線における非点収差、dMはメリディオナル像面でのd線における非点収差を示す。歪曲図はd線における歪曲を示す。色収差図はg線における倍率色収差を示す。
【0017】
各実施例の光学系における特徴的な構成について述べる。本実施形態の光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された前群La、開口絞りSP、後群Lbからなり、最も物体側に配置された負の屈折力の第1レンズL1と、最も像側に配置された正の屈折力の最終レンズLpとを備える。前群Laは、物体側のレンズ面が凹面である負レンズ(第1負レンズ)と、像側のレンズ面が凹面である正レンズ(第1正レンズ)とを含む。各実施例の光学系L0は、レトロフォーカス型のパワー配置によって高い光学性能を維持しつつ軸外光束の像面入射角を抑制している。このような構成とすることで、高い光学性能を有する小型な光学系を提供することができる。
【0018】
次に、各実施例の光学系L0が、満足する条件について述べる。各実施例の光学系L0は、光学系L0の最も物体側のレンズ面から最終レンズLpの像側のレンズ面までの距離をD、光学系のバックフォーカスをsk、光学系L0の焦点距離をf、前群の焦点距離をfLaとするとき、以下の条件式(1)及び(2)を満足する。
1.00<sk/D<1.80 (1)
0.00<f/fLa<0.50 (2)
【0019】
条件式(1)の上限値を上回ると、レトロフォーカス型のパワー配置が強くなることで、歪曲の補正が困難となるため、好ましくない。一方で、条件式(1)の下限値を下回ると、バックフォーカスが短くなり過ぎることで像側に配置されたレンズLpの有効径が大きくなる。結果として光学系が径方向に大型化するため、好ましくない。
【0020】
条件式(2)の上限値を上回ると、前群の屈折力が強すぎることで糸巻型の歪曲が大きくなる。結果として像面湾曲と歪曲との補正を両立することが困難となるため好ましくない。一方で、条件式(2)の下限値を下回ると、前群の屈折力が弱すぎることで、光学全長が長くなるため、好ましくない。
【0021】
また、条件式(1)及び(2)の数値範囲を以下の条件式(1a)及び(2a)の数値範囲とすることがより好ましい。
1.05<sk/D<1.75 (1a)
0.10<f/fLa<0.47 (2a)
【0022】
また、条件式(1a)及び(2a)の数値範囲を以下の条件式(1b)及び(2b)の数値範囲とすることがさらに好ましい。
1.10<sk/D<1.70 (1b)
0.20<f/fLa<0.45 (2b)
【0023】
次に、各実施例の光学系L0が満足することが好ましい条件について説明する。
【0024】
光学系L0における前群Laは、物体側のレンズ面が凹面である負レンズと、像側のレンズ面が凹面である正レンズからなることが好ましい。なお、物体側のレンズ面が凹面である負レンズと、像側のレンズ面が凹面である正レンズは、接合された接合レンズとして構成されてもよい。本実施形態の接合レンズは2つ以上のレンズの間に接着剤等を塗布することで接着されている。
【0025】
光学系L0における後群Lbは、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、負レンズ、正レンズからなることが好ましい。このような構成とすることで、少ないレンズ枚数で構成される後群Lbによって、開口絞りSPよりも物体側で発生した収差を良好に補正することができる。
【0026】
後群Lbにおける負の屈折力のレンズの中で最も像側に配置された負レンズLnは非球面形状のレンズ面を有するレンズであることが好ましい。負レンズLnが球面のみのレンズである場合、軸外光線を軸上に曲げるための屈折力が不足することで、像面への入射角度の増加と像面湾曲の発生とを抑制することが困難となるため好ましくない。
【0027】
光学系L0における後群Lbの負の屈折力のレンズの中で最も像側に配置された負レンズLnは材料に樹脂を含むレンズであることが好ましい。一般的に像側のレンズほどレンズの径が大きくなりやすい。負レンズLnを軽量な材料に樹脂を含むレンズ(例えば、プラスチックレンズ)とすることで、光学系を軽量化することができる。
【0028】
光学系L0における最終レンズLpの像側のレンズ面は凸面であることが好ましい。このような構成とすることで、歪曲収差を抑制することができる。
【0029】
光学系L0は、5つまたは6つのレンズから構成されることが好ましい。6つより多いレンズ構成である場合、レンズ全長が長くなるため、好ましくない。一方で、5つよりも少ないレンズ構成である場合、諸収差を良好に補正することが困難となるため好ましくない。
【0030】
各実施例の光学系L0における前群Laは、物体側のレンズ面が凹面である負レンズと、像側のレンズ面が凹面である正レンズとを備えている。物体側のレンズ面が凹面である負レンズの材料のアッベ数をνn、像側のレンズ面が凹面である正レンズの材料のアッベ数をνpとするとき、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
0.83<νn/νp<0.95 (3)
【0031】
条件式(3)の上限値を上回ると、色収差の補正が困難となるため、好ましくない。一方で、条件式(3)の下限値を下回ると、正レンズの材料が低屈折率となる。結果として球面収差の抑制が困難となるため、好ましくない。
【0032】
各実施例の光学系L0における前群Laを構成するレンズの屈折率の平均値をN1aveとするとき、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
1.65<N1ave<1.80 (4)
【0033】
条件式(4)の上限値を上回ると、前群Laを構成するレンズの屈折率が高くなり過ぎて色の分散が大きくなる。結果として、軸上色収差の補正が困難となるため好ましくない。条件式(4)の下限値を下回ると、前群Laを構成するレンズの屈折率が低くなり過ぎて全系のペッツバール和が大きくなる。結果として、像面湾曲補正が困難となるため、好ましくない。
【0034】
各実施例の光学系L0において、最も物体側に配置された第1レンズL1の焦点距離をfL1とするとき、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
-4.10<f/fL1<-2.50 (5)
【0035】
条件式(5)の上限値を上回ると、第1レンズL1の負の屈折力が強くなり過ぎることで、光学全長が長くなるため、好ましくない。一方で、条件式(5)の下限値を下回ると、前群Laの屈折力が強くなり過ぎることで、糸巻型の歪曲が大きく発生するため、好ましくない。
【0036】
各実施例の光学系L0における最終レンズLpの焦点距離をfLpとするとき、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
0.20<f/fLp<0.45 (6)
【0037】
条件式(6)の上限値を上回ると、最終レンズLpの屈折力が強くなり過ぎることで、樽型の歪曲が大きくなる。結果として、像面湾曲と歪曲との補正を両立することが困難となるため、好ましくない。条件式(6)の下限値を下回ると、最終レンズLpの屈折力が弱くなり過ぎることで、像面入射角の抑制が困難となるため、好ましくない。
【0038】
各実施例の光学系L0において、前群Laの焦点距離をfLa、後群Lbの焦点距離をfLbとするとき、以下の条件式(7)を満足することが好ましい。
0.20<fLa/fLb<4.20 (7)
【0039】
条件式(7)の上限値を上回ると、前群Laの屈折力が強くなり過ぎることで、糸巻型の歪曲が大きくなり、像面湾曲と歪曲との補正を両立することが困難となるため、好ましくない。一方で、条件式(7)の下限値を下回ると、後群Lbの屈折力が強くなり過ぎることで、光学全長が長くなるため、好ましくない。
【0040】
各実施例の光学系は、開口絞りSPから像面までの距離をPDとするとき、以下の条件式(8)を満足することが好ましい。
0.70<PD/(D+sk)<1.00 (8)
【0041】
条件式(7)の上限値を上回ると、後群Lbが大型化することで、径が大型化するおそれがある。一方で、条件式(8)の下限値を下回ると、前群Laが大型化するため、好ましくない。
【0042】
なお、以下の条件式(3a)乃至(8a)を満足することが好ましい。
0.86<νn/νp<0.94 (3a)
1.68<N1ave<1.78 (4a)
-3.90<f/fL1<-2.80 (5a)
0.22<f/fLp<0.40 (6a)
0.50<fLa/fLb<3.60 (7a)
0.75<PD/(D+sk)<0.95 (8a)
【0043】
また、以下の条件式(3b)乃至(8b)を満足することがより好ましい。
0.88<νn/νp<0.92 (3b)
1.72<N1ave<1.75 (4b)
-3.70<f/fL1<-3.00 (5b)
0.25<f/fLp<0.37 (6b)
0.80<fLa/fLb<2.50 (7b)
0.80<PD/(D+sk)<0.92 (8b)
【0044】
以下、各実施例の光学系L0についてより具体的に説明する。
【0045】
[実施例1]
図1を参照して実施例1に係る光学系L0について説明する。
【0046】
本実施例における前群Laは、負の屈折力の第1レンズL1、正の屈折力の第2レンズL2からなり、第1レンズL1と第2レンズL2とは接合レンズを構成している。また、第1レンズL1における物体側のレンズ面は凹面であり、第2レンズL2における像側のレンズ面は凹面である。後群Lbは、正の屈折力の第3レンズL3、負の屈折力の第4レンズL4、正の屈折力の第5レンズL5からなる。
【0047】
本実施例における後群Lbの負の屈折力のレンズの中で最も像側に配置された負レンズLnは第4レンズL4であり、第4レンズL4は非球面形状のレンズ面を有している。最終レンズLpは、第5レンズL5であり、第5レンズL5の像側のレンズ面は凸面である。
【0048】
[実施例2]
図3を参照して実施例2に係る光学系L0について説明する。
【0049】
本実施例における前群Laは、負の屈折力の第1レンズL1、正の屈折力の第2レンズL2からなる。また、第1レンズL1における物体側のレンズ面は凹面であり、第2レンズL2における像側のレンズ面は凹面である。本実施例における後群Lbの構成は実施例1と同様である。
【0050】
[実施例3]
図5を参照して実施例3に係る光学系L0について説明する。本実施例における光学系L0の構成は実施例1と同様である。
【0051】
[実施例4]
図7を参照して実施例4に係る光学系L0について説明する。本実施例における光学系L0の構成は実施例1と同様である。
【0052】
[実施例5]
図9を参照して実施例5に係る光学系L0について説明する。
【0053】
本実施例における前群Laの構成は実施例1と同様である。本実施例における後群Lbは、正の屈折力の第3レンズL3と正の屈折力の第4レンズL4とからなる全体で正の屈折力の接合レンズ、負の屈折力の第5レンズL5、正の屈折力の第6レンズL6からなる。後群Lbの負の屈折力のレンズの中で最も像側に配置された負レンズLnは、第5レンズL5である。
【0054】
以下に、実施例1乃至5にそれぞれ対応する数値実施例1乃至5を示す。
【0055】
各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上での距離)を表わしている。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のアッベ数を表わしている。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)、g線(波長435.8nm)における屈折率をNd、NF、NC、Ngとするとき、以下の式で定義される値である。
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
【0056】
なお、各数値実施例において、焦点距離(mm)、Fナンバー、半画角(°)は全て各実施例の光学系L0が無限遠物体に焦点を合わせた時の値である。バックフォーカスBFは最終レンズの像側のレンズ面から像面までの距離である。光学全長(レンズ全長)は第1レンズ面から最終レンズの像側のレンズ面までの距離にバックフォーカスを加えた値である。
【0057】
また、光学面が非球面の場合は、面番号の右側に、*の符号を付している。非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、Kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、及びA12を各次数の非球面係数とするとき、以下の式で表すことができる。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。
x=(h2/R)/[1+{1-(1+K)(h/R)2}1/2]+A4×h4+A6×h6+A8×h8+A10×h10+A12×h12
【0058】
[数値実施例1]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd
1 -27.121 1.50 1.62004 36.3
2 4.261 1.67 1.85150 40.8
3 58.540 (可変)
4(絞り) ∞ 0.99
5 10.332 1.16 1.89190 37.1
6 25.198 1.11
7* -8.009 1.80 1.63540 23.9
8* -16.905 (可変)
9 208.243 1.62 1.51633 64.1
10 -40.135 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第7面
K=0.00000e+00, A 4= 4.94284e-04, A 6=-3.88686e-05, A 8= 2.29406e-06
第8面
K=0.00000e+00, A4=1.22034e-03, A 6=-8.89798e-06, A8=5.38393e-07, A10=-1.47677e-08, A12=-4.87074e-11
焦点距離 21.45
Fナンバー 8.00
画角 45.25
像高 21.64
レンズ全長 27.17
BF 16.13
【0059】
[数値実施例2]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd
1 -39.352 2.18 1.63980 34.5
2 4.638 0.36
3 5.037 3.01 1.85150 40.8
4 60.596 (可変)
5(絞り) ∞ 0.94
6 11.126 2.96 1.89190 37.1
7 24.570 1.15
8* -11.328 1.33 1.67070 19.3
9* -23.890 (可変)
10 44.002 1.74 1.51633 64.1
11 -81.936 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第8面
K=0.00000e+00, A4=-1.71914e-04, A6=-9.52207e-05, A8=3.48209e-06
第9面
K=0.00000e+00, A4=6.83439e-04, A6=-1.48459e-05, A8=-2.69727e-07, A10=7.39023e-08, A12=-1.83431e-09
焦点距離 20.39
Fナンバー 8.00
画角 46.70
像高 21.64
レンズ全長 29.41
BF 14.99
【0060】
[数値実施例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd
1 -23.183 1.50 1.60342 38.0
2 4.955 1.94 1.85150 40.8
3 241.544 (可変)
4(絞り) ∞ 0.98
5 12.197 1.19 1.89190 37.1
6 96.724 0.99
7* -6.609 2.51 1.63540 23.9
8* -16.188 (可変)
9 208.243 2.17 1.51633 64.1
10 -38.757 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第7面
K=0.00000e+00, A4=1.45769e-03, A6=-1.60101e-05, A8=-3.69892e-07
第8面
K=0.00000e+00, A4=1.38395e-03, A6=2.59517e-06, A8=-4.11108e-07, A10=-5.30869e-09, A12=2.06322e-10
焦点距離 20.65
Fナンバー 8.00
画角 46.33
像高 21.64
レンズ全長 27.64
BF 14.84
【0061】
[数値実施例4]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd
1 -23.361 0.74 1.60342 38.0
2 5.361 1.25 1.85150 40.8
3 196.224 (可変)
4(絞り) ∞ 0.99
5 14.467 1.17 1.89190 37.1
6 243.323 0.90
7* -8.075 3.00 1.63540 23.9
8* -20.896 (可変)
9 208.243 1.33 1.51633 64.1
10 -83.510 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第7面
K=0.00000e+00, A4= 6.52014e-04, A6=-1.17583e-05, A8=7.61621e-07
第8面
K=0.00000e+00, A4=7.65764e-04, A6=-1.89814e-06, A8=-7.47075e-08, A10=5.32094e-09, A12=-1.85159e-10
焦点距離 26.25
Fナンバー 8.00
画角 39.49
像高 21.64
レンズ全長 31.98
BF 20.42
【0062】
[数値実施例5]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd
1 -28.100 1.03 1.62004 36.3
2 4.376 1.07 1.85150 40.8
3 63.362 (可変)
4(絞り) ∞ 0.99
5 10.751 1.07 1.89190 37.1
6 16.330 1.03 1.74077 27.8
7 26.169 1.05
8* -8.840 2.28 1.67070 19.3
9* -18.648 0.85
10 208.243 2.50 1.51633 64.1
11 -30.885 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第8面
K=0.00000e+00, A4=-2.55883e-04, A6=-3.14185e-05, A8=1.37367e-06
第9面
K=0.00000e+00, A4=5.64074e-04, A6=-2.19562e-06, A8=3.62209e-07, A10=-8.27749e-09, A12=3.95720e-11
焦点距離 21.04
Fナンバー 8.00
画角 45.80
像高 21.64
レンズ全長 26.85
BF 14.68
【0063】
各数値実施例における種々の値を、以下の表1にまとめて示す。
【0064】
【0065】
[撮像装置]
次に、本発明の光学系L0を撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)の実施例について、
図11を用いて説明する。
図11において、10はカメラ本体、11は実施例1乃至5のいずれかの光学系L0によって構成された撮影光学系である。12はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系11によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。カメラ本体10はクイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでも良いし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでも良い。
【0066】
このように本発明の光学系L0をデジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用することにより、光学系が小型である撮像装置を得ることができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【0069】
本発明の実施形態は以下の構成を含む。
【0070】
[構成1]
物体側から像側へ順に配置された前群、開口絞り、後群からなり、
最も物体側に配置された負の屈折力の第1レンズと、最も像側に配置された正の屈折力の最終レンズとを備え、
前記前群は、物体側のレンズ面が凹面である第1負レンズと、像側のレンズ面が凹面である第1正レンズとを含み、
全系の焦点距離をf、最も物体側のレンズ面から前記最終レンズの像側のレンズ面までの距離をD、バックフォーカスをsk、前記前群の焦点距離をfLaとするとき、
1.00<sk/D<1.80
0.00<f/fLa<0.50
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【0071】
[構成2]
前記第1負レンズの材料のアッベ数をνn、前記第1正レンズの材料のアッベ数をνpとするとき、
0.83<νn/νp<0.95
なる条件式を満足することを特徴とする構成1に記載の光学系。
【0072】
[構成3]
前記第1負レンズが最も物体側に配置されていることを特徴とする構成1又は2に記載の光学系。
【0073】
[構成4]
前記前群を構成するレンズの屈折率の平均値をN1aveとするとき、
1.65<N1ave<1.80
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至3のいずれかいずれか一項に記載の光学系。
【0074】
[構成5]
前記後群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、負レンズ、正レンズからなることを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載の光学系。
【0075】
[構成6]
前記後群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、正レンズ、負レンズ、正レンズからなることを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載の光学系。
【0076】
[構成7]
前記最終レンズの像側のレンズ面が凸面であることを特徴とする構成1乃至6のいずれか一項に記載の光学系。
【0077】
[構成8]
前記後群の負の屈折力のレンズの中で、最も像側に配置された負レンズは非球面形状のレンズ面を有するレンズであることを特徴とする構成1乃至7のいずれか一項に記載の光学系。
【0078】
[構成9]
前記非球面形状のレンズ面を有するレンズは材料に樹脂を含むレンズであることを特徴とする構成8に記載の光学系。
【0079】
[構成10]
前記第1レンズの焦点距離をfL1とするとき、
-4.10<f/fL1<-2.50
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至9のいずれか一項に記載の光学系。
【0080】
[構成11]
前記最終レンズの焦点距離をfLpとするとき、
0.20<f/fLp<0.45
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至10のいずれか一項に記載の光学系。
【0081】
[構成12]
前記前群の焦点距離をfLa、前記後群の焦点距離をfLbとするとき、
0.20<fLa/fLb<4.20
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至11のいずれか一項に記載の光学系。
【0082】
[構成13]
前記開口絞りから像面までの距離をPDとするとき、
0.70<PD/(D+sk)<1.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至12のいずれか一項に記載の光学系。
【0083】
[構成14]
前記光学系は、5つまたは6つのレンズからなることを特徴とする構成1乃至13のいずれか一項に記載の光学系。
【0084】
[構成15]
構成1乃至14のいずれか1項に記載の光学系と、
前記光学系により形成される光学像を光電変換する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
【符号の説明】
【0085】
La 前群
SP 開口絞り
Lb 後群
L1 第1レンズ
Lp 最終レンズ