(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025029326
(43)【公開日】2025-03-06
(54)【発明の名称】ボイラ燃焼制御システム、ボイラ燃焼制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
F22B 35/00 20060101AFI20250227BHJP
F22B 35/18 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
F22B35/00 J
F22B35/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133876
(22)【出願日】2023-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】521308171
【氏名又は名称】郵船出光グリーンソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 雄治
(72)【発明者】
【氏名】福濱 謙二
(72)【発明者】
【氏名】大田 祐二
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021CA06
3L021DA04
3L021FA12
(57)【要約】
【課題】ボイラ燃焼制御において更なる精度の向上を図る。
【解決手段】ボイラ燃焼制御システムは、負荷要求量に対して燃料関数を基に算出されたボイラへの燃料投入量に係る燃料をボイラに供給し、測定主蒸気圧と、設定主蒸気圧とに基づきPID制御によるフィードバック(FB)補正量を求め、FB補正量に基づき負荷要求量もしくは燃料投入量を補正するプラントに対して、FB補正後の負荷要求量もしくは燃料投入量を補正する燃料補正係数を出力する。ボイラ燃焼制御システムは、ボイラ入力指令値、負荷要求量もしくは燃料投入量、および測定主蒸気圧に基づき、FB補正量のうちPID制御での比例項および積分項の補正量を求め、これらの補正量に基づき、ボイラについて負荷要求量と燃料投入量との関係を規定した基準曲線を補正する補正部と、補正された基準曲線に基づいて燃料補正係数を算出する演算部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷要求量に対して所定の燃料関数に基づいて算出されたボイラへの燃料投入量に係る燃料を前記ボイラに供給し、測定された前記ボイラの主蒸気圧力である測定主蒸気圧と、予め設定された前記ボイラの主蒸気圧力である設定主蒸気圧とに基づいてPID制御によるフィードバック補正量を求め、前記フィードバック補正量に基づいて前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正するプラントに対して、前記フィードバック補正後の前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正する燃料補正係数を出力するボイラ燃焼制御システムであって、
ボイラ入力指令値、前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量、および前記測定主蒸気圧に基づいて、前記フィードバック補正量のうち前記PID制御での比例項および積分項の補正量を求め、前記求められた比例項および積分項の補正量に基づいて、前記ボイラについて前記負荷要求量と前記燃料投入量との関係を規定した基準曲線を補正する基準曲線補正部と、
前記補正された基準曲線に基づいて前記燃料補正係数を算出する燃料補正係数演算部と、を備える、
ボイラ燃焼制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のボイラ燃焼制御システムにおいて、
前記基準曲線補正部は、
前記比例項の補正量の変動における振幅と前記測定主蒸気圧の変動における振幅との比較結果に基づいて、前記基準曲線の補正に用いる関数である基準曲線補正関数を補正するための比例項修正係数を決定する比例項修正係数決定部と、
前記積分項の補正量の変動が前記測定主蒸気圧の変動に反映されるまでの遅延時間に基づいて、前記基準曲線補正関数を補正するための積分項修正係数を決定する積分項修正係数決定部と、を有し、
前記決定された比例項修正係数および積分項修正係数に基づいて、前記基準曲線補正関数を補正する、
ボイラ燃焼制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載のボイラ燃焼制御システムにおいて、
前記基準曲線補正部は、
灰中未燃分計測器により計測された前記ボイラの燃焼中における灰中未燃分に基づいて、前記基準曲線補正関数を補正する、
ボイラ燃焼制御システム。
【請求項4】
負荷要求量に対して所定の燃料関数に基づいて算出されたボイラへの燃料投入量に係る燃料を前記ボイラに供給し、測定された前記ボイラの主蒸気圧力である測定主蒸気圧と、予め設定された前記ボイラの主蒸気圧力である設定主蒸気圧とに基づいてPID制御によるフィードバック補正量を求め、前記フィードバック補正量に基づいて前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正するプラントに対して、前記フィードバック補正後の前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正する燃料補正係数を出力するボイラ燃焼制御システムにおけるボイラ燃焼制御方法であって、
ボイラ入力指令値、前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量、および前記測定主蒸気圧に基づいて、前記フィードバック補正量のうち前記PID制御での比例項および積分項の補正量を求める工程と、
前記求められた比例項および積分項の補正量に基づいて、前記ボイラについて前記負荷要求量と前記燃料投入量との関係を規定した基準曲線を補正する工程と、
前記補正された基準曲線に基づいて前記燃料補正係数を算出する工程と、を備える、
ボイラ燃焼制御方法。
【請求項5】
負荷要求量に対して所定の燃料関数に基づいて算出されたボイラへの燃料投入量に係る燃料を前記ボイラに供給し、測定された前記ボイラの主蒸気圧力である測定主蒸気圧と、予め設定された前記ボイラの主蒸気圧力である設定主蒸気圧とに基づいてPID制御によるフィードバック補正量を求め、前記フィードバック補正量に基づいて前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正するプラントに対して、前記フィードバック補正後の前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正する燃料補正係数を出力するボイラ燃焼制御システムに用いられるプログラムであって、
前記ボイラ燃焼制御システムが備えるプロセッサに、
ボイラ入力指令値、前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量、および前記測定主蒸気圧に基づいて、前記フィードバック補正量のうち前記PID制御での比例項および積分項の補正量を求める工程と、
前記求められた比例項および積分項の補正量に基づいて、前記ボイラについて前記負荷要求量と前記燃料投入量との関係を規定した基準曲線を補正する工程と、
前記補正された基準曲線に基づいて前記燃料補正係数を算出する工程と、を実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ燃焼制御システム、ボイラ燃焼制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラの負荷要求量に基づいてボイラへの燃料投入量を決定するボイラ燃焼制御システムが知られている。特許文献1には、主蒸気圧力の挙動における燃料関数FXが想定する最適値からの乖離を検知し、燃料関数FXを自律的・自己完結的に修正することを可能とするボイラ燃焼制御システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のボイラ燃焼制御システムをもってしても、ボイラの燃焼制御の精度を向上させる余地が未だ残されている。
【0005】
本発明の目的は、ボイラ燃焼制御において更なる精度の向上を図ることである。
【0006】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0008】
本発明の代表的な実施の形態によるボイラ燃焼制御システムは、負荷要求量に対して所定の燃料関数に基づいて算出されたボイラへの燃料投入量に係る燃料を前記ボイラに供給し、測定された前記ボイラの主蒸気圧力である測定主蒸気圧と、予め設定された前記ボイラの主蒸気圧力である設定主蒸気圧とに基づいてPID制御によるフィードバック補正量を求め、前記フィードバック補正量に基づいて前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正するプラントに対して、前記フィードバック補正後の前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正する燃料補正係数を出力するボイラ燃焼制御システムであって、ボイラ入力指令値、前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量、および前記測定主蒸気圧に基づいて、前記フィードバック補正量のうち前記PID制御での比例項および積分項の補正量を求め、前記求められた比例項および積分項の補正量に基づいて、前記ボイラについて前記負荷要求量と前記燃料投入量との関係を規定した基準曲線を補正する基準曲線補正部と、前記補正された基準曲線に基づいて前記燃料補正係数を算出する燃料補正係数演算部と、を備えるものである。
【0009】
また、本発明の代表的な実施の形態によるボイラ燃焼制御方法は、負荷要求量に対して所定の燃料関数に基づいて算出されたボイラへの燃料投入量に係る燃料を前記ボイラに供給し、測定された前記ボイラの主蒸気圧力である測定主蒸気圧と、予め設定された前記ボイラの主蒸気圧力である設定主蒸気圧とに基づいてPID制御によるフィードバック補正量を求め、前記フィードバック補正量に基づいて前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正するプラントに対して、前記フィードバック補正後の前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正する燃料補正係数を出力するボイラ燃焼制御システムにおけるボイラ燃焼制御方法であって、ボイラ入力指令値、前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量、および前記測定主蒸気圧に基づいて、前記フィードバック補正量のうち前記PID制御での比例項および積分項の補正量を求める工程と、前記求められた比例項および積分項の補正量に基づいて、前記ボイラについて前記負荷要求量と前記燃料投入量との関係を規定した基準曲線を補正する工程と、前記補正された基準曲線に基づいて前記燃料補正係数を算出する工程と、を備えるものである。
【0010】
また、本発明の代表的な実施の形態によるプログラムは、負荷要求量に対して所定の燃料関数に基づいて算出されたボイラへの燃料投入量に係る燃料を前記ボイラに供給し、測定された前記ボイラの主蒸気圧力である測定主蒸気圧と、予め設定された前記ボイラの主蒸気圧力である設定主蒸気圧とに基づいてPID制御によるフィードバック補正量を求め、前記フィードバック補正量に基づいて前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正するプラントに対して、前記フィードバック補正後の前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量を補正する燃料補正係数を出力するボイラ燃焼制御システムに用いられるプログラムであって、前記ボイラ燃焼制御システムが備えるプロセッサに、ボイラ入力指令値、前記負荷要求量もしくは前記燃料投入量、および前記測定主蒸気圧に基づいて、前記フィードバック補正量のうち前記PID制御での比例項および積分項の補正量を求める工程と、前記求められた比例項および積分項の補正量に基づいて、前記ボイラについて前記負荷要求量と前記燃料投入量との関係を規定した基準曲線を補正する工程と、前記補正された基準曲線に基づいて前記燃料補正係数を算出する工程と、を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0012】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、ボイラ燃焼制御において更なる精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係るボイラ燃焼制御システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】実施の形態1に係るボイラ燃焼制御システムのハードウェアとソフトウェアの実装による構成の一例を示す図である。
【
図3】主蒸気圧力の挙動の例について概要を示す図である。
【
図4】実施の形態1における基準曲線補正部の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図5】実施の形態1における基準曲線の補正を行う処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図6】実施の形態1における基準曲線補正関数の第1補正処理の流れの一例を示す図である。
【
図7】PID比例項修正係数K1を決定する処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図8】PID比例項修正係数K1を決定する処理を説明するための図である。
【
図9】PID積分項修正係数K2を決定する処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図10】PID積分項修正係数K2を決定する処理を説明するための図である。
【
図11】実施の形態1における基準曲線補正関数の第2補正処理の流れの一例を示す図である。
【
図12】実施の形態2に係るボイラ燃焼制御システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図13】実施の形態2における基準曲線補正部の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図14】実施の形態2における基準曲線補正部での処理の流れの一例を示す図である。
【
図15】実施の形態2における基準曲線補正関数の第2補正処理の流れの一例を示す図である。
【
図16】実施の形態2における重み関数の例を示す図である。
【
図17】実施の形態2における重みテーブルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明者らによる検討の経緯>
ボイラ設備を使用してエネルギーを取得する場合、ボイラに燃料を供給して燃焼させ、その熱を熱交換器で吸収し、蒸気を発生させて熱エネルギーを得る。発生した蒸気は、例えば、蒸気タービンへ供給することで熱エネルギーから回転運動に変換され、発電機による発電等に用いられる。ボイラへの燃料投入量は、負荷要求量(例えば、発電要求量MWD(Mega Watt Demand)であり、以下では、負荷要求量MWDと記載する場合がある)と、ボイラへの燃料投入量(以下では、ボイラ入力指令値BID(Boiler Input Demand)と記載する場合がある)との間の関係式である燃料関数FXにより決定される。
【0015】
なお、ボイラは、火炉とも呼ばれる。また、燃料は、例えば、固体燃料、液体燃料、気体燃料、あるいはこれらの混合燃料である。
【0016】
ここで、ボイラ設備に係る諸因子、例えば、燃料性状や発熱量、火炉汚れ、スーツブロワ、気水温等による影響により、ボイラの運転状態、特に、主蒸気圧力に変動が生じる場合がある。そこで、燃料関数FXにより求められた燃料投入量に係る燃料をボイラに供給し、発生した主蒸気圧力を測定して、これと予め設定された主蒸気圧力との差分に基づいてPID(Proportional-Integral-Differential)制御によってフィードバック補正量を求め、これを負荷要求量に加算してボイラへの燃料投入量を補正するという制御が一般的に行われていた。
【0017】
これに対し、特許第4522326号公報(第1文献)、特許第4791269号公報(第2文献)等に記載された技術では、さらに制御の精度を向上させるため、フィードバック補正を行う前後の負荷要求量MWDの比、すなわち主蒸気圧力のフィードバック補正の操作度合いを示す指標に基づいて燃料補正係数を自己学習により求め、この燃料補正係数により負荷要求量MWDもしくはボイラ入力指令値BIDをさらに補正する仕組みを有している。この補正は、実質的には燃料関数FXを補正することと等価であるといえる。
【0018】
より具体的には、上記第1文献には、フィードバック補正を行う前と後の値の比または差を逐次更新しつつ複数記憶し、記憶した複数の値から燃料補正係数を求め、この補正係数によりフィードバック補正後の値を補正する旨が記載されている。これにより、諸因子の影響によるボイラの熱効率の変化を考慮して適正な燃料投入量に補正することが可能であるとされる。
【0019】
また、上記第2文献には、複数種類燃料混合燃焼ボイラにおいて、フィードバック補正後の値を補正するための燃料補正係数を3要素に細分化することで、燃料の単位熱量の差異および混焼率の変化に伴うボイラ熱効率の差異に対応して、ボイラへの燃料投入量を補正する旨が記載されている。
【0020】
このような上記の第1文献および第2文献に記載された技術によれば、諸因子の影響によるボイラの熱効率の変化に対して、フィードバック補正の前後の負荷要求量MWDの値もしくは他の制御値を随時比較計測することでこれを判定し、判定結果に基づいてフィードバック補正後の値をさらに補正して最適化するための補正係数の値を自己学習により取得することが可能である。
【0021】
一方で、負荷要求量MWDとこれに対応するボイラ入力指令値BIDとの関係を、関数すなわち曲線として規定した燃料関数FXは、ボイラの特性を反映して設定されるものであり、上記第1文献および第2文献等に記載の技術では、過去の実測データの蓄積等に基づいて予め算出した固定値として設定されている。しかし、ボイラの特性に基づく主蒸気圧力の挙動は、個々のボイラで異なるものであり、さらに、1つのボイラにおいてもボイラ設備の更新等により変化し得る。すなわち、主蒸気圧力の実際の挙動と、燃料関数FXにおいて想定している、あるべき値、すなわち最適値との間に、ごく僅かながら乖離が生じる場合がある。この乖離は、燃料投入量の最適値からの乖離となってボイラの燃焼制御プロセスを不安定化し、結果としてエネルギーの損失を生じさせる。
【0022】
そこで、例えば、国際公開第2018/212224号(特許文献1)では、さらに制御の精度を向上させるため、ボイラ燃焼制御システムにおいて、主蒸気圧力の挙動における燃料関数FXが想定する最適値からの乖離を検知し、燃料関数FXを自律的・自己完結的に修正する旨が記載されている。すなわち、当該技術は、自己学習の基礎・起点となる基準曲線をAI(Artificial Intelligence:人工知能)により補正するものである。この基準曲線は、対象のボイラについて規定された負荷要求量MWDとボイラ入力指令値BIDとの関係の初期値を示したものである。
【0023】
上記第1文献および第2文献に記載の技術では、この基準曲線は、燃料関数FXと同様に、過去の実測データの蓄積に基づいて予め算出した固定値として設定されていた。この場合、ボイラの設備更新やその他の状態の変化によっては、主蒸気圧力の挙動が、燃料補正係数による補正後の燃料関数FXにおいて想定している最適値から僅かに乖離してボイラの燃焼制御プロセスが不安定となり効率が低下する場合がある。
【0024】
これに対し、特許文献1に記載のボイラ燃焼制御システムでは、ボイラの主蒸気圧力の挙動・状態変化を、過去のデータに基づいて常時分析・判定し、判定結果に基づいて上記の基準曲線を調整することで、燃料関数FXに生じる僅かなズレを補正する。そして、当該ボイラ燃料制御システムでは、この一連の処理を自己完結型の処理ループによって自律的に、かつリアルタイムで行う。
【0025】
より具体的には、特許文献1に記載のボイラ燃焼制御システムは、フィードバック補正の前後の負荷要求量の比と、負荷要求量と燃料投入量との関係の初期値を規定した基準曲線とに基づいて燃料補正係数を算出する燃料補正係数演算部と、基準曲線を補正する基準曲線補正係数を出力する基準曲線補正部と、を有する。上記の基準曲線補正部は、設定主蒸気圧と測定主蒸気圧との偏差を算出し、この偏差の周期および振幅を取得する判定部と、基準曲線補正関数に基づいて基準曲線補正係数を算出し出力する基準曲線補正係数出力部と、上記の周期および振幅が所定の条件を満たす場合に、基準曲線補正関数を補正する基準曲線補正判定部と、を有する。
【0026】
しかしながら、特許文献1に記載のボイラ燃焼制御システムをもってしても、ボイラの燃焼制御の精度を向上させる余地が未だ残されている。
【0027】
本発明者らは、上記事情に鑑みて鋭意検討を行い、その結果として本発明を成すに至った。すなわち、本発明の実施の形態1に係るボイラ燃焼制御システムは、特許文献1に記載の技術に対して、さらにボイラ燃焼制御の精度を向上させるため、ボイラ設備側においてPID制御によって求められる燃料投入量のフィードバック補正量のうち、PID制御上の比例項と積分項とを、既知のパラメータから導出し、導出された比例項および積分項に基づいて基準曲線補正関数を補正するものである。
【0028】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一のまたは互いに対応する部、回路、あるいは機能ブロックには、原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部等について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
【0029】
<システム構成>
図1は、実施の形態1に係るボイラ燃焼制御システムの構成の一例を概略的に示す図である。ボイラ燃焼制御システム1は、上述したように、プラントにおけるボイラ2に対する燃料投入量が最適となるように初期値および微調整関数FXAIを用いて基準曲線を調整することで燃料補正係数Kを決定し、制御情報としてボイラ2への燃料投入等を行う既設の回路等に出力する装置である。すなわち、ボイラ燃焼制御システム1は、燃料関数FXを実質的に補正することでボイラ2の燃焼を制御する装置である。
【0030】
ボイラ燃焼制御システム1は、例えば、後述する各機能に係る処理を実行する図示しない半導体回路やマイコン等からなるハードウェアにより実装された装置として構成されてもよい。もしくは、汎用的なサーバ機器やクラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバ等により構成され、図示しないCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ(Processor)により、HDD(Hard Disk Drive)等の記録装置からメモリ上に展開したOS(Operating System)等のミドルウェアや、その上で稼働するソフトウェアを実行することで、後述する各機能に係る処理を実行するものとしてもよい。
【0031】
また、これらのハードウェアによる実装とソフトウェアによる実装とを適宜組み合わせて構成するようにしてもよい。また、全体を1つの筐体で実装する構成に限らず、一部の機能を別の筐体で実装し、これらの筐体間を通信ケーブル等により相互に接続する構成であってもよい。すなわち、ボイラ燃焼制御システム1の実装形態は特に限定されず、プラントの環境等に応じて適宜柔軟に構成することが可能である。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態1に係るボイラ燃焼制御システムのハードウェアとソフトウェアの実装による構成の一例を示す図である。
図2に示すように、ボイラ燃焼制御システム1は、プロセッサ151、メモリ152、ストレージ153、操作部154、表示部155、インタフェース156、および通信バス157を有している。プロセッサ151、メモリ152、ストレージ153、操作部154、表示部155、およびインタフェース156は、通信バス157に通信可能に接続されている。ストレージ153には、プログラムPGが記録されている。プロセッサ151は、プログラムPGを読み出して実行することにより、ボイラ燃焼制御システム1を構成する各機能ブロックとして機能する。なお、操作部154は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウスなどで構成される。表示部155は、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどで構成される。
【0033】
図1に戻り、ボイラ燃焼制御システム1の構成について説明を続ける。ボイラ燃焼制御システム1は、
図1に示すように、例えば、ハードウェアもしくはソフトウェアにより実装された除算部11、基準曲線補正部12、乗算部13、および燃料補正係数演算部14等の各部を有する。また、メモリやHDD等に記録されたファイルやテーブルとして実装された初期値および微調整関数FXAI等のデータを有する。
【0034】
プラントにおいて、燃料投入量(図中ではボイラ入力指令値BID)の情報に基づいてボイラ2で燃料を燃焼させることで発生した主蒸気は、例えば、蒸気タービン3に供給され、図示しない発電機による発電等に用いられる。発電機での出力に対応するボイラ2の負荷要求量MWD(入力蒸気要求量)は、例えば、ボイラ2における図示しない操作パネル等によって入力されるとともに、ボイラ燃焼制御システム1にも入力される。
【0035】
一方、例えば、ボイラ2に設けられた図示しない圧力計により、ボイラ2で発生した主蒸気の圧力が測定され、測定値が主蒸気圧発信器PXに入力される。主蒸気圧発信器PXから発信された測定主蒸気圧PVは、PID制御部4に入力され、PID制御部4において本来あるべき主蒸気圧力である設定主蒸気圧SVとの間で比較が行われる。このとき、例えば、ボイラ2の状態(火炉の汚れ等)、燃料性状、その他の諸因子が維持された条件で得られる燃料関数FXを用いて燃料投入量を決定しているのであれば、測定主蒸気圧PVと設定主蒸気圧SVとの差はほとんど生じず、燃料関数FXによって所望の負荷(発電機出力)が得られる。しかし、上述したように、例えば、ボイラ2の状態変化や、燃料性状、その他の諸因子の変化に伴って、測定主蒸気圧PVと設定主蒸気圧SVとの間で圧力差が生じる場合がある。
【0036】
PID制御部4では、測定主蒸気圧PVと設定主蒸気圧SVとの間の圧力差を検知した場合、公知のPID制御の手法によりフィードバック補正量、すなわち、燃料不足(もしくは過剰)により発生した主蒸気圧力の偏差(誤差量)を算出してこれを加算部5に送る。加算部5では、PID制御部4から送られたフィードバック補正量を、ボイラ燃焼制御システム1にも入力される負荷要求量MWDに加算することで、フィードバック補正後の負荷要求量MWD’(ボイラ入力指令値BID’)を出力する(PID制御部4および加算部5をフィードバック制御部と記載する場合がある)。
【0037】
本実施の形態のボイラ燃焼制御システム1では、上述したように、特許文献1等に記載の技術と同様に、ボイラ2の効率等の特性の変化に伴う最適値からの乖離に追従するため、フィードバック制御部(PID制御部4および加算部5)によるフィードバック補正の操作度合いを示す指標、すなわち、フィードバック補正の前後の指令値である負荷要求量MWDと負荷要求量MWD’(ボイラ入力指令値BID’)の比を除算部11により求める。そして、これを入力として、燃料補正係数演算部14により燃料補正係数Kを自己学習により算出し、出力する。
【0038】
出力された燃料補正係数Kは、乗算部6によって負荷要求量MWD’(ボイラ入力指令値BID’)に乗算される。この補正後の負荷要求量MWD”(ボイラ入力指令値BID”)を入力として、燃料投入量演算部7が燃料関数FXによってこれをボイラ入力指令値BIDに変換する。このボイラ入力指令値BIDに基づいてボイラ2への燃料の投入が制御される。
【0039】
なお、ボイラ燃焼制御システム1の燃料補正係数演算部14における燃料補正係数Kの算出手法については、例えば、特許文献1、2等に記載されたものと同様の手法を適宜用いることができるため、ここでの再度の詳細な説明は省略する。また、特許文献1、2等に記載されているように、ボイラ燃焼制御システム1を含むプラント各部の接続関係や処理順序等は、
図1に示したものに限られず、同様の思想の範囲内で各種のバリエーションの構成を適宜採用することができる。例えば、
図1の例では、燃料補正係数Kをフィードバック補正後の負荷要求量MWD’に乗算して補正しているが、燃料投入量演算部7によって求められたボイラ入力指令値BIDに乗算して補正する構成としてもよい。また、燃料関数FXを直接補正する構成としてもよい。
【0040】
上述したように、燃料補正係数Kの決定においては、基準曲線を起点として自己学習が行われるが、従来技術では、基準曲線には予め設定された固定値が用いられていた。この場合、ボイラ2の効率等の特性の変化に伴い、この基準曲線についても最適値から僅かに乖離し、ボイラ2の燃焼制御プロセスが不安定となり効率が低下する場合が生じ得る。そこで、本実施の形態では、基準曲線補正部12により、ボイラ2の測定主蒸気圧PVと、本来あるべき設定値である設定主蒸気圧SVとの比較計測を常時行って、ボイラ2の主蒸気圧力の挙動の変化を分析・判定し、判定結果に基づいて基準曲線補正係数KPを設定する。そして、これを乗算部13により初期値および微調整関数FXAIに乗算することで、初期値および微調整関数FXAIに規定された基準曲線の初期値をリアルタイムで補正する。
【0041】
図3は、主蒸気圧力の挙動の例について概要を示した図である。各段の図は、それぞれ、時間経過に伴う測定主蒸気圧PVの変動の例を曲線で示しており、併せて設定主蒸気圧SVについても直線で示している。上段の図は、補正(燃料補正係数Kによる補正、およびPID制御による積分補正)の程度を強く設定した場合を示しており、測定主蒸気圧PVが設定主蒸気圧SVを跨いで大きく変動していることを示している。これに対し、中段の図は、補正の程度が最適である場合を示しており、測定主蒸気圧PVは設定主蒸気圧SVの付近で変動していることを示している。一方、下段の図は、補正の程度を弱く設定した場合を示しており、測定主蒸気圧PVは、小さな変動を繰り返しながら、全体として設定主蒸気圧SVを跨いで大きくゆっくりと変動していることを示している。
【0042】
ここで、本実施の形態のボイラ燃焼制御システム1では、主蒸気圧力の挙動を、設定主蒸気圧SVを基準とした測定主蒸気圧PVの振動、すなわち、設定主蒸気圧SVを中心とした振幅と周期(測定主蒸気圧PVが設定主蒸気圧SVと交差するタイミングの間隔)によって把握する。主蒸気圧力(測定主蒸気圧PV)が最適な状態とは、基本的に、中段の図に示すように、振幅が小さく、かつ周期が短い状態を指す。なお、周期が長い状態とは、下段の図に示すように、測定主蒸気圧PVが設定主蒸気圧SVから離れた状態が長期間続くことを意味する。
【0043】
上述したように、例えば、ボイラ2の状態や燃料性状、その他の諸因子が維持された条件で得られる燃料関数FXを用いて燃料投入量を決定しているのであれば、測定主蒸気圧PVと設定主蒸気圧SVとの差はほとんど生じない。実際には、例えば、
図4の中段の図に示すように、測定主蒸気圧PVは、設定主蒸気圧SVを中心として小さい振幅で振動する形となる。しかし、ボイラ2の状態変化や、燃料性状、その他の諸因子の変化に伴って、測定主蒸気圧PVと設定主蒸気圧SVとの間で圧力差(偏差)が生じ得る。本実施の形態では、この偏差を計測して、測定主蒸気圧PVが最適な状態、すなわち、振幅および周期の値が小さい状態となったタイミングを検知し、そのときの状態に基づいて燃料関数FXに対する補正係数(本実施の形態では、初期値および微調整関数FXAIに対する基準曲線補正係数KP)を算出する。
【0044】
図4は、実施の形態1における基準曲線補正部12の構成の一例を概略的に示す図である。基準曲線補正部12は、例えば、その構成としてさらに、ハードウェアもしくはソフトウェアにより実装された偏差判定部121、周期・振幅判定部122、基準曲線補正判定部124、および基準曲線補正係数出力部125、PID比例項修正係数決定部1201、PID積分項修正係数決定部1202等の各部を有する。また、メモリやHDD等に記録されたファイルやテーブルとして実装された周期履歴126、振幅履歴127、最適値情報128、および基準曲線補正関数VFX等の各データを有する。
【0045】
基準曲線補正部12に入力された測定主蒸気圧PVおよび設定主蒸気圧SVは、偏差判定部121に入力され、その差分(偏差)が算出される。算出された差分は、周期・振幅判定部122に入力され、測定主蒸気圧PVの挙動を特徴付ける情報としてその変動の周期および振幅を算出する。なお、上述したように、測定主蒸気圧PVの挙動は一定ではなく時々刻々と変化する。したがって、周期および振幅は、長時間(例えば、30分間)での移動平均として算出するものとする。このため、算出した周期および振幅の情報は、それぞれ、周期履歴126および振幅履歴127としてメモリやHDD等に記録しておく。
【0046】
算出された周期および振幅の値は、基準曲線補正判定部124に入力される。基準曲線補正判定部124では、周期および振幅の値が最適値(これに準ずる一定範囲の好適な値も含むものとする)であるか否かを判定する。最適値に係る情報は、例えば、最適値情報128としてメモリやHDD等に記録しておく。そして、周期および振幅が最適な状態であると判定した場合に、最適な状態から外れるまでの間、可変関数として設定された基準曲線補正関数VFXの値を移動させ、基準曲線補正関数VFXを補正する。
【0047】
一方で、基準曲線補正部12に入力された測定主蒸気圧PV、負荷要求量MWD、およびボイラ入力指令値BIDは、PID比例項修正係数決定部1201およびPID積分項修正係数決定部1202のそれぞれに入力される。
【0048】
PID比例項修正係数決定部1201は、入力された測定主蒸気圧PV、負荷要求量MWD、およびボイラ入力指令値BIDに基づいて、所定の演算により、PID制御部4にて求められる燃料投入量のフィードバック補正量のうち、PID制御での比例項に係る適補正量について、適正な補正量からのズレを求める。そして、PID比例項修正係数決定部1201は、比例項に係る補正量における求めたズレを修正するために、基準曲線補正関数VFXを補正する修正係数K1を決定する。
【0049】
また、PID積分項修正係数決定部1202は、入力された測定主蒸気圧PV、負荷要求量MWD、およびボイラ入力指令値BIDに基づいて、所定の演算により、PID制御部4にて求められる燃料投入量のフィードバック補正量のうち、PID制御での積分項に係る補正量について、適正な補正量からのズレを求める。そして、PID積分項修正係数決定部1202は、積分項に係る補正量における求めたズレを修正するために、基準曲線補正関数VFXを補正する修正係数K2を決定する。
【0050】
基準曲線補正判定部124は、決定された修正係数K1,K2に基づいて、基準曲線補正関数VFXを補正する。なお、この修正係数に基づく補正は、上述した測定主蒸気圧PVと設定主蒸気圧SVとの偏差の変動の周期および振幅に基づく補正とは独立して実行される。また、基準曲線補正関数VFXに対するこれら両方の補正を行うための処理は、ボイラ入力指令値BIDあるいは測定主蒸気圧PVが時々刻々と変化する中、繰り返し行われる。
【0051】
基準曲線補正係数出力部125は、この基準曲線補正関数VFXに基づいて、負荷要求量MWDに対応する基準曲線補正係数KPを取得して出力する。この基準曲線補正係数KPは、初期値および微調整関数FXAIに対して乗算されることで初期値および微調整関数FXAIを補正する。
【0052】
<基準曲線(初期値および微調整関数FXAI)の補正処理>
図5は、実施の形態1における基準曲線の補正を行う処理の流れの一例を示すフロー図である。基準曲線は、上述の通り、初期値および微調整関数FXAIに相当する。ここでは、基準曲線補正部12の基準曲線補正判定部124において基準曲線補正関数VFXを設定する部分までの処理の流れを示す。以降は、基準曲線補正部12の基準曲線補正係数出力部125が、設定された基準曲線補正関数VFXに基づいて負荷要求量MWDに対応する基準曲線補正係数KPを取得して出力する。なお、基準曲線の補正を行う処理は、基準曲線第1補正処理と、基準曲線第2補正処理の2種類があり、それぞれ独立して行われる。これより、基準曲線第1補正処理について説明し、その後、基準曲線第2補正処理について説明する。
【0053】
<<基準曲線第1補正処理>>
図5に示すように、まず、偏差判定部121が、設定主蒸気圧SVを取得する(S01)。設定主蒸気圧SVは、
図1に示すように定数としてシステム内部に予め設定しておいてもよいし、ボイラ2等からの外部入力として取得してもよい。その後、主蒸気圧発信器PXから発信される測定主蒸気圧PVを取得する(S02)。上記の処理順は一例であり、逆の順序で実行してもよいし並行的に行ってもよい。設定主蒸気圧SVと測定主蒸気圧PVを取得すると、これらの間の差分を求める偏差処理を行う(S03)。偏差判定部121は、算出した差分の情報を周期・振幅判定部122および振幅判定部123にそれぞれ入力するとともに、ステップS01に戻って処理を継続する。
【0054】
周期・振幅判定部122では、偏差判定部121から取得した主蒸気圧力の差分の情報に基づいて、設定主蒸気圧SVを基準とした測定主蒸気圧PVの変動の周期を計測する(S11)。例えば、図示しないメモリ等に蓄積した過去の差分の履歴情報に基づいて、差分の符合が反転するタイミングを把握し、その時間間隔を周期とする。上述したように、測定主蒸気圧PVの挙動は一定ではなく時々刻々と変化する。したがって、周期は、過去の長時間(例えば、30分間)の履歴に基づく移動平均として算出する。その後、計測した周期が正常か否か(マイナス等の異常値ではないか)を判定する。正常ではない(異常値である)場合は、ステップS11に戻って周期計測の処理を継続する。
【0055】
また、周期・振幅判定部122では、周期の場合と同様に、偏差判定部121から取得した主蒸気圧力の差分の情報に基づいて、設定主蒸気圧SVを基準とした測定主蒸気圧PVの変動の振幅を計測する(S11)。例えば、差分の絶対値を振幅として把握する。振幅についても、過去の長時間(例えば、30分間)の履歴情報の移動平均として算出する。その後、計測した振幅が正常か否かを判定する。正常ではない場合は、ステップS11に戻って振幅計測の処理を継続する。
【0056】
周期および振幅の値がいずれも正常である場合は、算出された周期および振幅の値が基準曲線補正判定部124に入力される。そして、基準曲線補正判定部124において、基準曲線補正関数VFXの第1補正処理(S20)が行われる。
【0057】
ここで、基準曲線補正判定部124による基準曲線補正関数の第1補正処理(S20)の詳細について説明する。
【0058】
図6は、実施の形態1における基準曲線補正関数の第1補正処理の流れの一例を示す図である。
図6に示すように、まず、基準曲線補正判定部124では、過去の一定時間範囲内(例えば、5分間)での周期の遷移を取得し(S21)、各周期が所定の範囲内に収まっているか否かを判定する(S22)。所定の範囲内に収まっていない場合は(S22:N)、何もしない、もしくは基準曲線補正関数VFXに対する補正処理を既に行っている場合はこれを終了する(S28)。
【0059】
一方、過去の一定時間範囲内の周期が所定の範囲内に収まっている場合は(S22:Y)、計測した周期および振幅がそれぞれ過去の変動の履歴においてこれまでの最小値であるか否かを判定する(S23)。これまでの最小値の情報は、例えば、最適値情報128に記録しておくようにしてもよい。なお、周期については、ステップS32における所定の範囲内にある上で、最小値であるか否かを判定する。周期および振幅の少なくとも一方が最小値ではない場合は(S23:N)、何もしない、もしくは基準曲線補正関数VFXに対する補正処理を既に行っている場合はこれを終了する(S28)。
【0060】
一方、計測した周期および振幅のいずれも最小値である場合は(S23:N)、最適値情報128からこれまでの最適値に係る周期および振幅の情報を取得し(S24)、これとの比較において、計測した周期および振幅の組み合わせの方が最適値であるといえるかを判定する(S25)。いずれが最適値かの判定手法は、例えば、振幅の値が所定の範囲内に入っている上で、周期がより小さい方が最適であるとする等、適当な手法を用いることができる。計測した周期および振幅の組み合わせが最適値ではない場合は(S25:N)、何もしない、もしくは基準曲線補正関数VFXに対する補正処理を既に行っている場合はこれを終了する(S28)。
【0061】
一方、計測した周期および振幅の組み合わせの方が最適値である場合は(S25:Y)、この組み合わせにより最適値情報128の内容を更新し(S26)、基準曲線補正関数VFXに対する補正処理を開始する(S27)。基準曲線補正関数VFXは、負荷要求量MWDと、初期値および微調整関数FXAIに対する補正係数である基準曲線補正係数KPとの対応関係の曲線を規定する可変関数として設定されており、この曲線を所定量移動させることによって補正する。この補正は、例えば、計測された周期および振幅が最適な状態から外れるまで継続する。なお、このような補正手法は一例であり、例えば、計測した周期および振幅の組み合わせが最適値であるときの制御状態におけるボイラ入力指令値BID等の他の指標を用いて、基準曲線補正関数VFX(もしくは初期値および微調整関数FXAI)を補正する手法を用いてもよい。
【0062】
<<基準曲線補正関数の第2補正処理>>
図5に示すように、PID比例項修正係数決定部1201は、負荷要求量MWDと、測定主蒸気圧PVと、ボイラ入力指令値BIDとを取得する(S31,S32,S33)。なお、これらの情報を取得する順番が特に限定されず、並行に取得されてもよい。PID比例項修正係数決定部1201は、取得したこれらの情報に基づいて、PID比例項修正係数K1を決定する(S34)。PID積分項修正係数K2を決定する処理(S34)の詳細については後述する。PID比例項修正係数決定部1201は、決定したPID比例項修正係数K1の情報を基準曲線補正判定部124に入力するとともに、ステップS31に戻って処理を継続する。
【0063】
同様に、PID積分項修正係数決定部1202は、負荷要求量MWDと、測定主蒸気圧PVと、ボイラ入力指令値BIDとを取得する(S41,S42,S43)。なお、これらの情報を取得する順番が特に限定されず、並行に取得されてもよい。PID積分項修正係数決定部1202は、取得したこれらの情報に基づいて、PID積分項修正係数K2を決定する(S44)。PID積分項修正係数K2を決定する処理(S44)の詳細については後述する。PID積分項修正係数決定部1202は、決定したPID積分項修正係数K2の情報を基準曲線補正判定部124に入力するとともに、ステップS41に戻って処理を継続する。
【0064】
基準曲線補正判定部124は、取得したPID比例項修正係数K1とPID積分項修正係数K2とに基づいて、基準曲線補正関数VFXを補正する(S50)。PID比例項修正係数K1とPID積分項修正係数K2とに基づいて基準曲線補正関数VFXを補正する処理(S50)の詳細については後述する。
【0065】
<<<PID比例項修正係数K1を決定する処理>>>
ここで、PID比例項修正係数決定部1201によるPID比例項修正係数K1を決定する処理の詳細について説明する。
【0066】
図7は、PID比例項修正係数K1を決定する処理の流れの一例を示すフロー図である。また、
図8は、PID比例項修正係数K1を決定する処理を説明するための図である。
図7に示すように、PID比例項修正係数決定部1201は、主蒸気圧力補正量ΔPTMVを算出する(S341)。ボイラ入力指令値BID=負荷要求量MWD+主蒸気圧力補正量ΔPTMVが成り立つので、ボイラ入力指令値BIDから負荷要求量MWDを減算することにより、主蒸気圧力補正量ΔPTMVが算出される。
【0067】
次に、PID比例項修正係数決定部1201は、算出した主蒸気圧力補正量ΔPTMVに実燃料量(水燃比分を減算したもの)を乗算することにより、実際の主蒸気圧力補正量ΔPTMVに必要な相対燃料量(工学値)ΔFFRCを算出する(S342)。相対燃料量とは、主蒸気圧力の補正分に対応した相対的な燃料流量である。
【0068】
次いで、PID比例項修正係数決定部1201は、算出された相対燃料量ΔFFRCの所定時間内における移動平均である相対燃料量移動平均ΔFFRC-MAVを算出する(S343)。相対燃料量移動平均ΔFFRC-MAVは、例えば、20分間分の相対燃料量ΔFFRCの移動平均とする。これにより、相対燃料量ΔFFRCの変動分がキャンセルされた、実態に近い相対燃料量が算出される。なお、この相対燃料量移動平均ΔFFRC-MAVを算出することは、主蒸気圧力補正量ΔPTMVの中点を求めることに等しい。
【0069】
次いで、PID比例項修正係数決定部1201は、測定主蒸気圧PVの所定時間内における移動平均である測定主蒸気圧移動平均PV-MAVを算出する(S344)。なお、この測定主蒸気圧移動平均PV-MAVは、ステップS343で算出された相対燃料量移動平均ΔFFRC-MAVに対する主蒸気圧力の影響度を表すものと言える。
【0070】
次いで、PID比例項修正係数決定部1201は、相対燃料量移動平均ΔFFRC-MAVを測定主蒸気圧移動平均PV-MAVで除算することにより、測定主蒸気圧PVに対する相対燃料量ΔFFRCの比を重みW1として算出する(S345)。
【0071】
次いで、PID比例項修正係数決定部1201は、相対燃料量ΔFFRCの変動部分が測定主蒸気圧PVの変動部分として出現するのに要する時間である遅延時間Δt1を取得する。遅延時間Δt1は、例えば、後述するPID積分項修正係数を決定する処理において算出されたものである。
図8に示すように、PID比例項修正係数決定部1201は、測定主蒸気圧PVの変動部分を表す曲線を遅延時間Δt1分だけ時間軸の逆方向にシフトして遅延時間Δt1をキャンセルした上で、測定主蒸気圧PVの変動部分における振幅を、相対燃料量ΔFFRCの変動部分における振幅で除算する。これにより、主蒸気圧力補正量ΔPTMVにおけるPID制御での比例項に係る補正分の補正強度J1が求められる(S346)。
【0072】
次いで、PID比例項修正係数決定部1201は、ステップS346で求めた補正強度J1を、ステップS345で求めた重みW1で除算して、PID制御での比例項に係る補正の修正係数、すなわちPID比例項修正係数K1を算出する(S347)。
【0073】
<<<PID積分項修正係数K2を決定する処理>>>
次に、PID積分項修正係数決定部1202によるPID積分項修正係数K2を決定する処理の詳細について説明する。
【0074】
図9は、PID積分項修正係数K2を決定する処理の流れの一例を示すフロー図である。また、
図10は、PID積分項修正係数K2を決定する処理を説明するための図である。
図9に示すように、PID積分項修正係数決定部1202は、相対燃料量ΔFFRCがその中点を所定の向きに横切る時点で、時間計測を開始する(S441)。例えば、
図10に示すように、相対燃料量ΔFFRCが上(正側)から下(負側)に向かって中点を横切る時点で、時間計測を開始する。
【0075】
次に、PID積分項修正係数決定部1202は、PID積分項修正係数決定部1202は、測定主蒸気圧PVがその中点を上記所定の向きに横切る時点で、時間計測を終了する(S442)。例えば、
図10に示すように、測定主蒸気圧PVが上(正側)から下(負側)に向かって横切る時点で、時間計測を終了する。
【0076】
次いで、PID積分項修正係数決定部1202は、時間計測の計測開始から計測終了までの時間を、遅延時間Δt1として算出する(S443)。
【0077】
次いで、PID積分項修正係数決定部1202は、既存の主蒸気圧力補正量ΔPTMVのPID制御における積分項の値と、ステップS443で算出した遅延時間Δt1との時間ズレ度T1を算出する(S444)。
【0078】
次いで、PID積分項修正係数決定部1202は、ステップS444で算出した時間ズレ度T1と、ステップS443で算出した遅延時間Δt1との比較により、PID制御での積分項に係る補正の修正係数、すなわちPID積分項修正係数K2を算出する(S445)。
【0079】
<<<基準曲線補正関数の第2補正処理>>>
ここで、基準曲線補正判定部124による基準曲線補正関数の第2補正処理(S50)の詳細について説明する。
【0080】
図11は、基準曲線補正関数の第2補正処理の流れの一例を示す図である。
図11に示すように、基準曲線補正判定部124は、まず、PID比例項修正係数K1およびPID積分項修正係数K2を取得する(S51)。次に、基準曲線補正判定部124は、PID比例項修正係数K1とPID積分項修正係数K2とを加算処理して修正係数K12を得る(S52)。次に、基準曲線補正判定部124は、修正係数K12と調整係数Kaとの乗算処理により、修正係数K3を得る(S53)。その後、基準曲線補正判定部124は、修正係数K3と基準曲線補正関数VFXとの乗算処理により、補正された新たな基準曲線補正関数VFXを得る(S54)。
【0081】
以上の処理により、基準曲線補正関数VFXが補正された後、後段の基準曲線補正係数出力部125は、この時点での基準曲線補正関数VFXに基づいて基準曲線補正係数KPを取得して出力することになる。
【0082】
このような実施の形態1によれば、ボイラ燃焼制御システムにおいて、PID制御による主蒸気圧力補正量ΔPTMVのうち比例項および積分項に係る補正量の適正値からのズレを定量化し、そのズレが少なくなるように基準曲線補正関数を補正する。その結果、主蒸気圧力の補正の根幹に係る状況をほぼリアルタイムに把握して、主蒸気圧力の補正量をより適正化することができ、燃焼制御の更なる向上を図ることができる。
【0083】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るボイラ燃焼制御システムについて説明する。本実施の形態に係るボイラ燃焼制御システムは、実施の形態1に係るボイラ燃焼制御システムをベースとして、ボイラの燃焼中に計測されたボイラの灰中未燃分に基づいて基準曲線補正関数の補正強度に重み付けを行う機能をさらに有するものである。灰中未燃分とは、ボイラの中で燃料を燃焼して残った灰の中にどれくらいの割合で未燃物、すなわち燃えずに残ったものが含まれているかを表す指標値である。灰中未燃分は、ボイラの燃焼状態を知ることができる重要な情報である。この灰中未燃分をほぼリアルタイムで取得し、その値に応じて、基準曲線の補正強度を変化させることにより、ボイラの燃焼制御システムにおける燃焼制御の精度の更なる向上を図ることが可能となる。
【0084】
図12は、実施の形態2に係るボイラ燃焼制御システムの構成の一例を概略的に示す図である。
図12に示すように、ボイラ燃焼制御システム1は、灰中未燃分計測器8により計測されたボイラ2の灰中未燃分Zを取得する。灰中未燃分計測器8は、ボイラ2の燃焼中において灰中未燃分Zをほぼリアルタイムに繰り返し計測し、基準曲線補正部12に入力する。基準曲線補正部12は、取得した灰中未燃分Zに基づいて、基準曲線の補正強度を実質的に重み付けし、重み付け後の補正強度で補正された基準曲線補正関数VFXを用いて基準曲線補正係数KPを出力する。
【0085】
図13は、実施の形態2における基準曲線補正部12の構成の一例を概略的に示す図である。また、
図14は、実施の形態2における基準曲線補正部12での処理の流れの一例を示す図である。
【0086】
図13に示すように、基準曲線補正部12は、決定されたPID比例項修正係数K1およびPID積分項修正係数K2に加え、入力された灰中未燃分Zを取得する。また、
図14に示すように、基準曲線補正部12の基準曲線補正判定部124は、取得された灰中未燃分Zの値の大きさを考慮して、基準曲線補正関数VFXの第2補正処理を行う(S60)。以下、実施の形態2における基準曲線補正関数VFXの第2補正処理(S60)の詳細について説明する。
【0087】
図15は、実施の形態2における基準曲線補正関数VFXの第2補正処理の流れの一例を示す図である。
図15に示すように、基準曲線補正判定部124は、PID比例項修正係数K1、PID積分項修正係数K2、および灰中未燃分Zを取得する(S61)。次に、基準曲線補正判定部124は、PID比例項修正係数K1とPID積分項修正係数K2とを加算処理して修正係数K12を得る(S62)。次に、灰中未燃分Zの値に応じた重み係数KWを決定する(S63)。重み係数KWを決定するには、例えば、予め設定されている重み関数を用いたり、予め記憶されている重みテーブルを参照したりする。
【0088】
図16は、実施の形態2における重み関数の例を示す図である。
図16に示すように、重み関数FWは、灰中未燃分Zと重み係数KWとの関係を直線あるいは曲線で示す関数である。重み関数FWでは、灰中未燃分Zを入力パラメータとして、重み係数KWが一意的に定まる。本例では、灰中未燃分Zの値が5.0(%)である場合に、重み係数KWは1.00となり、灰中未燃分Zの値が10.0(%)のである場合には、重み係数KWは1.50となる。
【0089】
図17は、実施の形態2における重みテーブルの例を示す図である。
図17に示すように、重みテーブルTBは、離散的な灰中未燃分Zの各値に対して、重み係数KWの値が対応付けされたテーブルである。重みテーブルTBにおける灰中未燃分Zの離散的な値は、灰中未燃分計測器8の計測分解能に合わせて設定してもよいし、灰中未燃分計測器8から得られる灰中未燃分Zを少数の所定桁の値を四捨五入、切り捨て、あるいは切り上げして得られる値に合わせて設定してもよい。
【0090】
次に、基準曲線補正判定部124は、修正係数K12と調整係数Kaと重み係数KWとの乗算処理により、修正係数K3を得る(S64)。その後、基準曲線補正判定部124は、修正係数K3と基準曲線補正関数VFXとの乗算処理により、補正された新たな基準曲線補正関数VFXを得る(S65)。
【0091】
このような実施の形態2によれば、ボイラの燃焼中における灰中未燃分に基づいて補正係数に重み付けを行い、重み付けされた補正係数を用いて基準曲線補正関数を補正するので、ボイラの燃焼状態をほぼリアルタイムに補正に反映させることができ、ボイラの燃焼制御の精度の更なる向上を図ることができる。
【0092】
以上に説明したように、本発明の実施の形態1に係るボイラ燃焼制御システム1によれば、測定主蒸気圧PVの変動の設定主蒸気圧SVに対する偏差を周期および振幅として測定し、その長時間の遷移に基づいて周期および振幅が最適な状態であるタイミングを特定する。そして、周期および振幅が最適であるときの状態に基づいて燃料関数FX(本実施の形態では具体的には初期値および微調整関数FXAI)を補正するための基準曲線補正係数KPを出力する。すなわち、実質的には燃料関数FXに生じる僅かなズレを自律的・自己完結的にリアルタイムで修正することが可能である。
【0093】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。なお、以下では、前述の実施の形態と重複する箇所については、原則としてその説明を省略する。
【0094】
本実施の形態では、超臨界圧貫流ボイラや超々臨界圧貫流ボイラに適用可能なボイラ燃焼制御システムについて説明する。超臨界圧貫流ボイラや超々臨界圧貫流ボイラにおける燃料投入量や給水量は、主蒸気圧力及び水燃比に依存する。水燃比とは、ボイラへの給水量と燃料との重量比で規定される値である。この水燃比は、ボイラ燃焼制御システム外に設けられた水燃比マスタで制御される。水燃比マスタは、熱量(主蒸気圧力)に応じた積分処理を行いながら燃料投入量を調整しているが、従来は、燃料投入量を適切に制御することができず、燃焼を安定させることができなかった。
【0095】
そこで、本実施の形態では、超臨界圧貫流ボイラや超々臨界圧貫流ボイラにおいて、燃料投入量を適切に制御することが可能なボイラ燃焼制御システム等を提供することを目的とする。
【0096】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0097】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、またはICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0098】
また、上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、ボイラの負荷要求量に基づいてボイラへの燃料投入量を決定するボイラ燃焼制御システム、ボイラ燃焼制御方法、そのためのプログラム、およびそのプログラムを非一時的に記録した有体のコンピュータ読み取り可能な記録媒体等に利用可能である。
【符号の説明】
【0100】
1,201…ボイラ燃焼制御システム、2…ボイラ、3…蒸気タービン、4…PID制御部、5…加算部、6…乗算部、7…燃料投入量演算部、8…灰中未燃分計測器、11…除算部、12…基準曲線補正部、13…乗算部、14…燃料補正係数演算部、121…偏差判定部、122…周期・振幅判定部、124…基準曲線補正判定部、125…基準曲線補正係数出力部、126…周期履歴、127…振幅履歴、128…最適値情報、151…プロセッサ、152…メモリ、153…ストレージ、154…操作部、155…表示部、156…インタフェース、157…通信バス、1201…PID比例項修正係数決定部、1202…PID積分項修正係数決定部、SV…設定主蒸気圧、PV…測定主蒸気圧、PV-MAV…測定主蒸気圧の移動平均、PX…主蒸気圧発信器、MWD、MWD’、MWD”…負荷要求量、BID、BID’、BID”…ボイラ入力指令値、J1…PID比例項の補正強度、K…燃料補正係数、K1…PID比例項修正係数、K2…PID積分項修正係数、KP…基準曲線補正係数、FX…燃料関数、FXAI…初期値および微調整関数、T1…時間ズレ度、VFX…基準曲線補正関数、W1…重み、Z…灰中未燃分、ΔFFRC…相対燃料量、ΔPTMV…主蒸気圧力補正量、Δt1…遅延時間