IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図1
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図2
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図3
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図4
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図5
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図6
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図7
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図8
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図9
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図10
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図11
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図12
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図13
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図14
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図15
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図16
  • 特開-画像形成装置、方法およびプログラム 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025029328
(43)【公開日】2025-03-06
(54)【発明の名称】画像形成装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/407 20060101AFI20250227BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20250227BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
H04N1/407
G03G15/00 303
H04N1/00 127B
H04N1/00 002Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133878
(22)【出願日】2023-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
【テーマコード(参考)】
2H270
5C062
5C077
【Fターム(参考)】
2H270KA54
2H270KA55
2H270LB17
2H270LD03
2H270MA07
2H270MA08
2H270MB13
2H270MB14
2H270MB15
2H270MB28
2H270MB36
2H270ZC02
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA14
5C062AB05
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AC61
5C062AE03
5C062AE15
5C062BA00
5C077LL19
5C077MM27
5C077MP08
5C077PP15
5C077PP32
5C077PP33
5C077PQ23
(57)【要約】
【課題】自動原稿搬送部を用いて読取位置に搬送される原稿の坪量によらず、原稿画像に対するプリント画像の階調再現性を確保するための技術を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、所定の読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取って画像信号を取得する画像読取手段と、原稿の坪量を示す坪量情報を取得する取得手段と、坪量情報に基づいて原稿の坪量に応じた階調補正情報を取得し、取得した階調補正情報を用いて画像信号を補正する補正手段と、補正された画像信号に基づいて、シート上に画像を形成する形成手段とを備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取って画像信号を取得する画像読取手段と、
前記原稿の坪量を示す坪量情報を取得する取得手段と、
前記坪量情報に基づいて前記原稿の坪量に応じた階調補正情報を取得し、取得した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正する補正手段と、
補正された前記画像信号に基づいて、シート上に画像を形成する形成手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
坪量毎に作成された複数の階調補正情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記補正手段は、
前記坪量情報に基づいて、前記記憶手段に記憶される前記複数の階調補正情報の中から、前記原稿の坪量に応じた階調補正情報を選択し、
選択した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の階調補正情報を作成する作成手段をさらに備え、
前記複数の階調補正情報を作成するとき、
前記形成手段は、坪量が互いに異なる複数のテストパターンを形成し、
前記画像読取手段は、前記読取位置上を搬送される各前記複数のテストパターンの画像を読み取ってテストパターン信号を取得し、
前記作成手段は、テストパターン毎に、前記画像読取手段によって取得された前記テストパターン信号の濃度と、当該テストパターンの画像の濃度とに基づいて前記階調補正情報を作成する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置が外部装置と通信する通信手段をさらに備え、
前記補正手段は、
坪量毎に作成された複数の階調補正情報を、前記通信手段を介して前記外部装置から受信し、
前記坪量情報に基づいて、受信した前記複数の階調補正情報の中から、前記原稿の坪量に応じた階調補正情報を選択し、
選択した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記階調補正情報は、前記原稿から取得される前記画像信号の濃度と前記シートに形成される画像の濃度との対応関係を示す階調補正テーブルを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記読取位置に搬送される前記原稿の坪量を検出する検出手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記取得手段は、ユーザーから前記原稿の坪量の設定を受け付ける設定手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像読取手段により取得された前記画像信号を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記画像読取手段は、前記取得手段により取得された前記坪量情報を、前記画像信号に紐付けて前記記憶手段に記憶する、請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補正手段は、前記複数の階調補正情報の中に、前記原稿の坪量に対応する前記階調補正情報がない場合には、前記原稿の坪量に最も近い坪量に対応する階調補正情報を選択し、選択した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正する、請求項2または4に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記補正手段は、前記複数の階調補正情報の中に、前記原稿の坪量に対応する前記階調補正情報がない場合には、前記原稿の坪量よりも大きい坪量に対応する階調補正情報と、前記原稿の坪量よりも小さい坪量に対応する階調補正情報とを補間することにより、前記原稿の坪量に対応する階調補正情報を作成し、作成した階調補正情報を用いて前記画像信号を補正する、請求項2または4に記載の画像形成装置。
【請求項11】
コンピュータが実施する方法であって、
画像形成装置の所定の読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取って画像信号を取得するステップと、
前記原稿の坪量を示す坪量情報を取得するステップと、
前記坪量情報に基づいて前記原稿の坪量に応じた階調補正情報を取得し、取得した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正するステップと、
補正された前記画像信号に基づいて、シート上に画像を形成するステップとを備える、方法。
【請求項12】
コンピューターによって実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピューターに、
画像形成装置の所定の読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取って画像信号を取得するステップと、
前記原稿の坪量を示す坪量情報を取得するステップと、
前記坪量情報に基づいて前記原稿の坪量に応じた階調補正情報を取得し、取得した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正するステップと、
補正された前記画像信号に基づいて、シート上に画像を形成するステップとを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動原稿搬送部を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷、コピー、ファクシミリ等の複数の機能を有したMFP(Multi-Functional Peripheral)等の画像形成装置においては、紙に形成される画像の品質を安定させるために、画像形成装置の階調特性を補正する階調補正処理が行われる(例えば、特開2007-272112号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
この階調補正処理では、階調パターンを組み合わせたテスト画像を紙上に形成してテストパターンが作成される。そして、このテストパターンを画像形成装置に付属する画像読取部で読み取り、その読み取り結果に基づいて、画像信号に対する階調補正に用いられる階調補正データが生成される。
【0004】
そして、印刷時には、原稿の画像を読み取って生成された画像信号に対して、上記の階調補正データを用いた階調補正を含む画像処理が施されることによって、トナー画像の基となる画像データが生成される。この生成された画像データに基づいてプリント画像が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-272112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、自動原稿搬送部によって所定の読取位置に搬送された原稿を画像読取部が読み取って画像形成を行う場合において、原稿の坪量に応じて、原稿の画像に対応する画像信号の階調特性が変動することがある。ある局面では、原稿の坪量が小さいときには原稿画像の濃度よりも画像信号の濃度が濃くなる傾向が見られる。反対に、原稿の坪量が大きいときには、原稿画像の濃度よりも画像信号の濃度が薄くなる傾向が見られる。このように原稿の坪量に応じて画像信号の階調特性が変動することの一因には、読取位置に搬送された原稿を読み取るときに、原稿の坪量によって、原稿の読取位置に照射された光の反射光量に違いが生じることが考えられる。
【0007】
このように画像信号の階調特性が変動することによって、画像信号を画像処理して生成された画像データに基づいて形成されるプリント画像においても、その階調特性に変動が現れる。そのため、原稿の坪量によっては、原稿画像に対するプリント画像の階調再現性が低下してしまう可能性がある。
【0008】
本開示は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、自動原稿搬送部を用いて読取位置に搬送される原稿の坪量によらず、原稿画像に対するプリント画像の階調再現性を確保するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る画像形成装置は、所定の読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取って画像信号を取得する画像読取手段と、原稿の坪量を示す坪量情報を取得する取得手段と、坪量情報に基づいて原稿の坪量に応じた階調補正情報を取得し、取得した階調補正情報を用いて画像信号を補正する補正手段と、補正された画像信号に基づいて、シート上に画像を形成する形成手段とを備える。
【0010】
上述の開示において、画像形成装置は、坪量毎に作成された複数の階調補正情報を記憶する記憶手段をさらに備える。補正手段は、記憶手段に記憶される複数の階調補正情報の中から、原稿の坪量に応じた階調補正情報を選択する。補正手段は、選択した階調補正情報を用いて画像信号を補正する。
【0011】
上述の開示において、画像形成装置は、複数の階調補正情報を作成する作成手段をさらに備える。複数の階調補正情報を作成するとき、形成手段は、坪量が互いに異なる複数のテストパターンを形成する。画像読取手段は、読取位置上を搬送される各テストパターンの画像を読み取ってテストパターン信号を取得する。作成手段は、テストパターン毎に、画像読取手段によって取得されたテストパターン信号の濃度と、当該テストパターンの画像の濃度とに基づいて階調補正情報を作成する。
【0012】
上述の開示において、画像形成装置は、画像形成装置が外部装置と通信する通信手段をさらに備える。補正手段は、坪量毎に作成された複数の階調補正情報を、通信手段を介して外部装置から受信する。補正手段は、受信した複数の階調補正情報の中から、原稿の坪量に応じた階調補正情報を選択する。補正手段は、選択した階調補正情報を用いて画像信号を補正する。
【0013】
上述の開示において、階調補正情報は、原稿から取得される画像信号の濃度とシートに形成される画像の濃度との対応関係を示す階調補正テーブルを含む。
【0014】
上述の開示において、取得手段は、読取位置に搬送される原稿の坪量を検出する検出手段を含む。
【0015】
上述の開示において、取得手段は、ユーザーから原稿の坪量の設定を受け付ける設定手段を含む。
【0016】
上述の開示において、画像形成装置は、画像読取手段により取得された画像信号を記憶する記憶手段をさらに備える。画像読取手段は、取得手段により取得された坪量情報を、画像信号に紐付けて記憶手段に記憶する。
【0017】
上述の開示において、補正手段は、複数の階調補正情報の中に、原稿の坪量に対応する階調補正情報がない場合には、原稿の坪量に最も近い坪量に対応する階調補正情報を選択する。補正手段は、選択した階調補正情報を用いて画像信号を補正する。
【0018】
上述の開示において、補正手段は、複数の階調補正情報の中に、原稿の坪量に対応する階調補正情報がない場合には、原稿の坪量よりも大きい坪量に対応する階調補正情報と、原稿の坪量よりも小さい坪量に対応する階調補正情報とを補間することにより、原稿の坪量に対応する階調補正情報を作成する。補正手段は、作成した階調補正情報を用いて画像信号を補正する。
【0019】
本開示に係る方法は、コンピュータが実施する方法であって、画像形成装置の所定の読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取って画像信号を取得するステップと、原稿の坪量を示す坪量情報を取得するステップと、坪量情報に基づいて原稿の坪量に応じた階調補正情報を取得し、取得した階調補正情報を用いて画像信号を補正するステップと、補正された画像信号に基づいて、シート上に画像を形成するステップとを備える。
【0020】
本開示に係るプログラムは、コンピューターによって実行されるプログラムは、コンピューターに、画像形成装置の所定の読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取って画像信号を取得するステップと、原稿の坪量を示す坪量情報を取得するステップと、坪量情報に基づいて原稿の坪量に応じた階調補正情報を取得し、取得した階調補正情報を用いて画像信号を補正するステップと、補正された画像信号に基づいて、シート上に画像を形成するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、所定の読取位置に搬送される原稿の坪量に応じた階調補正情報を用いて原稿の画像から読み取った画像信号を補正することにより、原稿の坪量に起因して画像信号の階調特性に変動が生じた場合であっても、原稿画像に対するプリント画像の階調再現性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示に従う画像形成装置の一実施の形態であるMPFの外観を示す斜視図である。
図2】MPFの内部構成を模式的に示す図である。
図3】MFPのハードウェア構成を示す図である。
図4】画像処理部における画像データの生成処理の流れを説明するための図である。
図5】階調補正テーブルの一例を示す図である。
図6】テストパターンの一例を示す図である。
図7】一般的な階調補正処理の手順を示したフローチャートである。
図8】一般的な画像形成装置における印刷動作を説明する図である。
図9】本実施の形態に従う階調補正処理の手順を示したフローチャートである。
図10】本実施の形態に従う階調補正処理を説明する図である。
図11】階調補正テーブルの作成手順を説明する図である。
図12】本実施の形態に従う画像形成装置における印刷動作を説明する図である。
図13】本実施の形態に従う印刷動作の手順を示したフローチャートである。
図14】操作パネルのディスプレイの一例を示す図である。
図15】階調補正テーブルの取得方法を説明する図である。
図16】本実施の形態の第1変形例に従う印刷動作の手順を示したフローチャートである。
図17】本実施の形態の第2変形例に従う印刷動作の手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照しつつ、画像形成装置の一実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0024】
本実施の形態では、画像形成装置としてMFP(Multi-Functional Peripheral)を例示するが、このような複合機に限定されず、例えばプリンター機、コピー機などにも本実施の形態を適用することができる。
【0025】
本実施の形態では、画像が形成される素材からなるシート状の記録媒体を「シート」と総称する。本実施の形態では、シートの素材が「紙」の場合を説明するが、紙以外の素材であってもよい。例えば、シートは、樹脂素材またはテキスタイル素材からなる記録媒体も含み得る。
【0026】
[1.MFPの概略的な構成]
図1は、本開示に従う画像形成装置の一実施の形態であるMPF1の外観を示す斜視図である。図2は、MPF1の内部構成を模式的に示す図である。以下では、MPF1の印刷による画像形成に係る構成を主体に説明する。
【0027】
図1および図2に示すように、MPF1は、画像読取部3と、給紙トレイ4A~4Dと、転写部5と、定着部6と、排紙トレイ7と、搬送装置8と、操作パネル9とを備える。
【0028】
画像読取部3は、原稿P1から画像を読み取る。画像読取部3は、MFP1の装置本体2の上部に設けられる。画像読取部3は、スキャナー部31と、スキャナー部31の上部に設けられる自動原稿搬送部(ADF:Auto Document Feeder)32とを含む。スキャナー部31は、原稿P1から画像を読み取る。ADF32は、スキャナー部31に原稿P1を1枚ずつ搬送させる。画像読取部3については後ほど詳しく説明する。
【0029】
給紙トレイ4A~4Dは、シートである紙P2を収納する。給紙トレイ4A~4Dの各々は、紙P2を搬送路に供給可能に構成される。MFP1が有する給紙トレイの個数は単数であっても複数であってもよい。以下の説明では、給紙トレイ4A~4Dを「給紙トレイ4」と総称する場合がある。
【0030】
転写部5は、紙P2にトナー画像を転写する。定着部6は、転写部5で転写されたトナー画像を紙P2に定着させる。排紙トレイ7は、定着部6で定着されて画像が形成された紙P2を受ける。
【0031】
排紙トレイ7は、転写部5の上側に設けられる。給紙トレイ4は、転写部5の下側に設けられる。給紙トレイ4から供給された紙P2は、上方へと搬送されることによって転写部5に送られ、転写部5により画像が転写される。さらに、紙P2は、定着部6により画像が定着された後、排紙トレイ7に排出される。
【0032】
操作パネル9は、MFP1に対するユーザー操作を受け付ける。操作パネル9は、装置本体2の前面に設けられる。操作パネル9は、例えば、タッチセンサーとディスプレイ9Aとが一体的に構成されたタッチパネルディスプレイである。操作パネル9は、ハードウェアボタンを配置して構成されてもよい。ユーザーは、操作パネル9の表示画面等を見ながらキー操作をすることで、MFP1の各種機能の中から選択した機能について設定操作を行うとともに、選択した機能の実行をMFP1に指示することができる。
【0033】
次に、図2を参照して、装置本体2の内部構造について説明する。
【0034】
画像読取部3において、スキャナー部31は、原稿台33と、光源部34と、イメージセンサー35A,35Bと、結像レンズ36と、ミラー群37とを含む。
【0035】
原稿台33は、上面側にプラテンガラス(図示せず)を有する。光源部34は、原稿P1に対して光を照射する。イメージセンサー35Aは、原稿P1からの反射光を画像データに光電変換する。結像レンズ36は、反射光をイメージセンサー35A上に結像させる。ミラー群37は、原稿P1からの反射光を順次反射させて結像レンズ36に入射させる。光源部34、イメージセンサー35A、結像レンズ36、およびミラー群37は、原稿台33の内部に設けられる。光源部34およびミラー群37は、原稿台33に対して左右方向に移動可能に構成される。
【0036】
スキャナー部31の上面側には、ADF32が設けられる。ADF32は、原稿台33に対して開閉可能であり、原稿載置トレイ38と、原稿排出トレイ39と、原稿搬送機構40とを有する。ADF32は、原稿台33のプラテンガラス上の原稿P1に覆い被さることによって、原稿P1をプラテンガラスに密着させることができる。
【0037】
画像読取部3において、原稿台33のプラテンガラス上の原稿P1を読み取る場合、右方向(副走査方向)に移動する光源部34から原稿P1に光が照射される。原稿P1から反射した反射光は、光源部34と同じく右方向に移動するミラー群37で順次反射されて結像レンズ36に入射し、イメージセンサー35A上に結像される。イメージセンサー35Aは、入射光の強さに応じて画素毎に光電変換を実行して、原稿P1の画像に対応した画像信号(RGB信号)を生成する。この画像信号は、R(Red),G(Green),B(Blue)の3色の反射率のアナログデータである。
【0038】
一方、イメージセンサー35Aが原稿載置トレイ38に載置された原稿P1を読み取る場合、原稿P1は、複数のローラー等で構成される原稿搬送機構40によって読取位置に搬送される。スキャナー部31の光源部34およびミラー群37は、原稿台33内部の所定位置に固定される。光源部34により原稿P1の読取位置部分に光が照射され、その反射光がミラー群37および結像レンズ36を介してイメージセンサー35A上に結像される。その後、イメージセンサー35Aは、反射光を原稿P1の画像に対応した画像信号(RGB信号)に変換する。その後、原稿P1は原稿排出トレイ39に排出される。
【0039】
ADF32の内部には、イメージセンサー35Bおよび坪量センサー30が設けられる。イメージセンサー35Bは、原稿載置トレイ38に載置された原稿P1の裏面を読み取るように構成される。イメージセンサー35Bは、例えば、コンタクトイメージセンサー(CIS:Contact Image Sensor)である。イメージセンサー35Bは、原稿P1の裏面に対して光を照射し、裏面からの反射光を画像データの光電変換を実行して、原稿P1の裏面の画像に対応した画像信号を生成する。
【0040】
イメージセンサー35Bは、原稿P1の搬送方向において、光源部34およびミラー群37の配置位置の下流側に配置されている。これにより、イメージセンサー35Aによって原稿P1の表面が読み取られた後、イメージセンサー35Bによって原稿P1の裏面が読み取られる。
【0041】
坪量センサー30は、原稿搬送機構40によって搬送される原稿P1の坪量(g/m)を検出するように構成される。坪量センサー30は、例えば光学センサーであり、原稿P1に光を当てたときの透過率から原稿P1の坪量を検出する。坪量センサー30は「検出手段」の一実施例に対応する。
【0042】
転写部5は、トナー画像を紙P2に転写する。転写部5は、複数の作像部51と、露光部52と、中間転写ベルト53と、複数の一次転写ローラー54と、駆動ローラー55と、従動ローラー56と、二次転写ローラー57と、クリーナー部58とを含む。複数の作像部51は、C(Cyan)、M(Magenta)、Y(Yellow)、K(Black)各色のトナー画像を生成する。露光部52は、複数の作像部51の下方に設けられる。中間転写ベルト53は、水平方向に並んだ複数の作像部51と当接することで作像部51から各色のトナー画像が転写される。複数の一次転写ローラー54の各々は、各色の作像部51と中間転写ベルト53とを挟持するように、対応する色の作像部51に対して上側に対向する位置に設けられる。駆動ローラー55は、中間転写ベルト53を回動させる。従動ローラー56は、駆動ローラー55の回転が中間転写ベルト53を通じて伝達することで回転する。二次転写ローラー57は、中間転写ベルト53を挟んで駆動ローラー55と対向する位置に設置される。クリーナー部58は、中間転写ベルト53を挟んで従動ローラー56と対向する位置に設置される。
【0043】
作像部51は、感光体ドラム61と、帯電器62と、現像器63と、クリーナー部64とを含む。感光体ドラム61は、中間転写ベルト53の外周面と当接する。帯電器62は、感光体ドラム61の外周面をコロナ放電により帯電させる。現像器63は、攪拌して帯電させたトナーを感光体ドラム61の外周面に付着させる。クリーナー部64は、トナー画像を中間転写ベルト53に転写した後に感光体ドラム61の外周面に残留するトナーを除去する。感光体ドラム61は、中間転写ベルト53を挟んで一次転写ローラー54と対向する位置に設置されるとともに、図2における時計回りの方向に回転する。感光体ドラム61の周囲には、一次転写ローラー54、クリーナー部64、帯電器62、および現像器63が、感光体ドラム61の回転方向に沿って順番に配置されている。
【0044】
中間転写ベルト53は、例えば導電性を有する無端状のベルト部材から構成される。中間転写ベルト53は、駆動ローラー55および従動ローラー56に緩みの無い状態で巻き掛けられることで、駆動ローラー55の回転に従って、図2の反時計回りの方向に回動する。中間転写ベルト53の周囲には、中間転写ベルト53の回動方向に沿って、二次転写ローラー57、クリーナー部58、CMYK各色の作像部51それぞれが順番に配置されている。
【0045】
定着部6は、紙P2に転写されたトナー画像を定着させる。定着部6は、加熱ローラー59と、加圧ローラー60とを含む。加熱ローラー59は、紙P2上のトナー画像を定着させるために加熱するハロゲンランプ等を有する。加圧ローラー60は、紙P2を加熱ローラー59と共に挟持して紙P2を加圧する。加熱ローラー59は、電磁誘導によりその表面に渦電流を生じさせることによって、その表面が加熱されるものであってもよい。
【0046】
給紙トレイ4A~4Dの各々は、給紙路R1に接続されている。紙P2を搬送させる搬送装置8は、繰り出しローラー81と、給紙ローラー対82と、搬送ローラー対83と、スキュー補正ローラー84とを含む。繰り出しローラー81は、給紙トレイ4に収納された紙P2を最上層から給紙路R1に繰り出す。給紙ローラー対82は、繰り出された紙P2を給紙路R1に更に送り出す。搬送ローラー対83は、給紙ローラー対82により給紙された紙P2を主搬送路R0で縦搬送させる。スキュー補正ローラー84は、主搬送路R0における搬送ローラー対83の下流側に配置されて紙P2を転写部5に向かって搬送させる。給紙トレイ4には、給紙トレイ4から繰り出された紙P2を検出するための給紙センサー80が設けられている。
【0047】
主搬送路R0は、画像形成(印刷)工程にある紙P2の主な搬送経路である。給紙路R1は、各給紙トレイ4に対して設けられ、主搬送路R0に合流する。給紙トレイ4に収納された紙P2は、給紙トレイ4に対応する繰り出しローラー81の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、給紙路R1に送り出された後、給紙ローラー対82により主搬送路R0に向けて送り出される。
【0048】
主搬送路R0では、給紙ローラー対82から搬送された紙P2が、搬送ローラー対83の回転駆動により、スキュー補正ローラー84に向けて搬送される。スキュー補正ローラー84は、転写部5でトナー画像を紙P2に正常に転写させるため、転写部5でのトナー画像の形成タイミングに同期させて、紙P2を転写部5へ搬送する。
【0049】
主搬送路R0の最下流となる終端部分には、排紙ローラー対91が配置される。排紙ローラー対91の回転駆動によって、印刷済みの紙P2が排紙トレイ7に排出される。主搬送路R0において、排紙ローラー対91の下方(搬送方向上流側)には、紙P2が排紙トレイ7に正常に排出されたことを確認するために、紙P2の終端を検出する排紙センサー90が設けられている。
【0050】
[2.ハードウェア構成]
図3は、MFP1のハードウェア構成を示す図である。図3に示すように、MFP1は、本体制御部10を備える。本体制御部10は、MFP1の各部を制御する。これにより、MFP1における各種動作(紙P2への印刷動作、および、原稿P1からの画像読取動作等)が実行される。
【0051】
本体制御部10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、画像処理部104と、画像メモリ105と、通信I/F(Interface)106と、HDD(Hard Disc Drive)107とを有する。
【0052】
CPU101は、各種演算処理および制御を実行する。ROM102は、制御プログラム等を記憶する。RAM103は、演算データを一時的に記憶する。画像処理部104は、転写部5で形成させるトナー画像の基となる画像データを生成する。画像メモリ105は、画像読取部3により生成された画像信号、および画像処理部104で得られた画像データを一時的に記憶する。画像処理部104は、画像処理エンジンを構成する専用のプロセッサ回路で構成されてもよく、または、CPU101が実行する画像処理プログラムと回路との組み合わせで構成されてもよい。
【0053】
通信I/F106は、無線通信I/F108、およびMFP1と外部装置との通信を制御するために、NIC(Network Interface Card)等の回路を含んで構成される。通信I/F106は、外部のネットワーク110を介した、MFP1とパーソナルコンピュータ等のユーザーが操作可能な端末200との間の通信を制御する。ネットワーク110は、LAN(Local Area Network)、インターネット等の各種ネットワークを含む。無線通信I/F108は、MFP1とユーザーが操作可能な携帯型の端末300との間の無線通信を制御する。
【0054】
MFP1は、画像読取制御部113、露光制御部114、転写制御部115、定着制御部116、および搬送制御部118をさらに備える。画像読取制御部113は、本体制御部10から与えられる信号に従って、画像読取部3を制御する。露光制御部114は、本体制御部10から与えられる信号に従って、露光部52を制御する。定着制御部116は、本体制御部10から与えられる信号に従って、定着部6を制御する。搬送制御部118は、本体制御部10から与えられる信号に従って、搬送装置8における繰り出しローラー81、ローラー対82,83,91、およびスキュー補正ローラー84を回転駆動させる。
【0055】
露光部52、転写部5、定着部6、搬送装置8およびこれらを制御する露光制御部114、転写制御部115、定着制御部116、搬送制御部118は、紙P2に画像(プリント画像)を形成するイメージングユニット117を構成する。本体制御部10には、MFP1が有する各種センサーを含むセンサーユニット900が接続されている。CPU101は、センサーユニット900からの信号に基づいてMFP1の各部の状態を検出する。
【0056】
[3.印刷動作]
次に、MFP1による印刷動作について説明する。
【0057】
MFP1は、操作パネル9によって印刷動作を行うように指示を受けると、本体制御部10において、CPU101が印刷動作のための制御プログラムをROM102から読み出して実行することにより、印刷動作のための制御動作を開始する。
【0058】
具体的には、CPU101は、画像読取制御部113を通じて画像読取部3を制御することにより、原稿台33のプラテンガラス上の原稿P1、または、原稿載置トレイ38に載置された原稿P1を読み取る。CPU101は、画像読取部3にて原稿P1から読み取られた画像信号を画像メモリ105に保存する。
【0059】
画像処理部104は、画像メモリ105に保存された画像信号に基づいて、C,M,Y,K各色のトナー画像を形成するための画像データを生成する。CPU101は、生成された画像データをイメージングユニット117に出力する。画像処理部104については後ほど詳しく説明する。
【0060】
CPU101は、搬送制御部118を通じて搬送装置8を駆動制御することで、給紙トレイ4から最上層の紙P2を繰り出して、主搬送路R0へ送り出す。さらに、CPU101は、主搬送路R0へ送り出された紙P2へトナー画像を転写すべく、露光制御部114および転写制御部115に制御信号を与え、露光部52および転写部5を駆動制御する。
【0061】
露光制御部114は、C,M,Y,K各色の画像データに基づいて、露光部52内の発光素子を駆動させることにより、C,M,Y,K各色の感光体ドラム61に静電潜像を形成する。すなわち、転写制御部115が転写部5を駆動させることにより、C,M,Y,K各色の作像部51において、帯電器62によって帯電させた感光体ドラム61の表面に露光部52からレーザー光が照射され、C,M,Y,K各色の画像データに対応した静電潜像が形成される。
【0062】
この静電潜像が形成された感光体ドラム61の表面に、現像器63で帯電したトナーが移り、第1の像担持体となる感光体ドラム61にトナー画像が形成される。そして、感光体ドラム61の表面に担持されたトナー画像が、一次転写ローラー54の静電気力によって中間転写ベルト53に転写されるため、第2の像担持体となる中間転写ベルト53の表面に、C,M,Y,K各色が重なったトナー画像が形成される。このとき、トナー画像を中間転写ベルト53に転写した感光体ドラム61に残った未転写トナーは、クリーナー部64にて掻き取られ、感光体ドラム61上から取り除かれる。
【0063】
転写制御部115は、中間転写ベルト53にトナー画像が転写されるタイミングに合わせて、スキュー補正ローラー84を動作させる。このとき、中間転写ベルト53に転写されたトナー画像は、駆動ローラー55および従動ローラー56によって中間転写ベルト53が回動することによって、二次転写ローラー57と当接する転写位置まで移動し、主搬送路R0上の転写位置まで搬送された紙P2に転写される。トナー画像を紙P2に転写した中間転写ベルト53に残った未転写トナーが、クリーナー部58にて掻き取られ、中間転写ベルト53上から取り除かれる。
【0064】
二次転写ローラー57との当接位置でトナー画像が転写された紙P2は、加熱ローラー59および加圧ローラー60による加圧が施されて、未定着トナー像が紙面に定着される。そして、トナー像定着後(片面印刷後)の紙P2は、排紙ローラー対91まで搬送されて、排紙ローラー対91により排紙トレイ7に排出される。このとき、排紙センサー90は、紙P2の後端を検出し、検出結果を本体制御部10に与えられる。これにより、本体制御部10は、排紙トレイ7に正常に紙P2が排出されたことを確認する。
【0065】
[4.画像データ生成処理]
図4は、図3に示した画像処理部104における画像データの生成処理の流れを説明するための図である。図4に示すように、画像処理部104は、A/D変換部140と、シェーディング補正部142と、LOG(Laplacian Of Gaussian)変換部144と、色変換部146と、ガンマ補正部148とを含んで構成される。
【0066】
A/D変換部140は、画像読取部3にて原稿P1から読み取られた画像信号(RGB信号)を受ける。画像信号は、R,G,Bの3色の反射率のアナログデータである。A/D変換部140は、画像信号を多値デジタル画像信号に変換する。
【0067】
シェーディング補正部142は、A/D変換された画像信号に対して所定のシェーディング補正を施す。このシェーディング補正は、スキャナー部31における光源部34の照射むらやイメージセンサー35A,35Bの感度むらを解消するための処理である。
【0068】
LOG変換部144は、シェーディング補正が施された画像信号を濃度データに変換する。色変換部146は、濃度データに変換された画像信号をCMYK信号からなる画像信号に変換する。
【0069】
ガンマ補正部148は、CMYK信号からなる画像信号に対してガンマ補正(階調補正)を行う。ガンマ補正とは、MFP1の階調特性が理想的な特性となるように、画像信号を変換する処理である。ガンマ補正には、予め用意された階調補正テーブルが用いられる。階調補正テーブルは「ガンマルックアップテーブル」とも呼ばれる。ガンマ補正された画像信号を含む画像データは、CPU101によってイメージングユニット117に出力されて、イメージングユニット117における印刷動作が実行される。
【0070】
図5は、階調補正テーブルの一例を示す図である。図5の横軸は画像形成に用いられる画像信号の濃度(入力信号)を示し、図5の縦軸は紙P2に形成されるプリント画像の濃度(出力信号)を示す。縦軸は、紙P2に印刷されるべき画像の濃度に相当する。
【0071】
階調補正テーブルは、画像処理部104に入力される画像信号の濃度と、画像処理部104から出力されて画像形成に使用される画像データの濃度との対応関係を示す「階調補正情報」の一実施例に対応する。階調補正テーブルは、C,M,Y,K各色の階調補正曲線201~204により構成される。
【0072】
階調補正テーブルは、ガンマ補正が適用されていないオリジナルの階調特性と、理想的な階調特性とに基づいて作成される。理想的な階調特性では、入力される画像信号の濃度と出力される画像データの濃度とは線形な関係を有している。この線形な関係が維持されれば、理想的な階調再現性を得ることができる。しかし、実際には、トナーの帯電特性、感光体ドラムの感光特性、および温湿度等の変動要因により、入力される画像信号の濃度と出力される画像データの濃度とは、非線形な関係となる。そのため、紙P2に印刷されるプリンタ画像の濃度は、入力される画像信号の濃度に対して、濃度(階調値)毎に大きく変化してしまう。
【0073】
そこで、入力される画像信号の濃度と出力される画像データの濃度との関係が理想的な階調特性となるようにオリジナルの階調特性を補正することにより、階調補正テーブルが作成される。図5に示されるように、階調補正テーブルにおいて、入力される画像信号の濃度と画像データの濃度とは非線形な関係となる。
【0074】
ある画像信号が画像処理部104に入力信号として与えられた場合に、ガンマ補正部148が階調補正テーブルを利用して当該画像信号を補正することにより、オリジナルの階調特性は理想的な階調特性に変換される。これによると、入力される画像信号に基づいて紙P2に形成される画像の濃度を目標値に保つことができる。
【0075】
しかしながら、MFP1の階調特性は経年劣化や使用環境に応じて変動するため、形成する画像の品質(画質)が不安定になりやすい。画質を安定させるためには、MFP1の階調特性の変動に応じて階調補正テーブルを更新する必要がある。そこで、MFP1では、MFP1の階調特性を補正する階調補正処理が実行される。ある局面では、CPU101は、操作パネル9によって、階調補正処理を行うように指示を受け付けると、階調補正処理を開始する。
【0076】
[5.階調補正処理]
階調補正処理には、テストパターンが用いられる。図6は、テストパターンの一例を示す図である。図6に示すように、テストパターンは、C,M,Y,Kの各色の階調パターンを有している。各色の階調パターンは、異なる濃度を有する複数(例えば9個)のパッチにより構成される。例えば、Cの階調パターンにおいて、パッチ番号1のパッチが最も低濃度であり、段階的に濃度が高くなっていき、パッチ番号9のパッチが最も高濃度である。M,Y,K各色の階調パターンも同様である。テストパターンは、C,M,Y,K各色の階調パターンが紙P2に印刷されることにより形成される。
【0077】
図7は、一般的な階調補正処理の手順を示したフローチャートである。図7に示すように、最初に工程ST100により、図6に示したテストパターンが作成される。工程ST100では、画像処理部104は、テストパターンを形成するための画像信号であるテストパターン信号に基づいて、画像データを生成する。このとき、画像処理部104のガンマ補正部148は、CPU101から与えられるテストパターン信号に対して、図5に示した階調補正テーブルを用いてガンマ補正を行う。ガンマ補正されたテストパターン信号は、画像メモリ105に記憶される。
【0078】
画像メモリ105に記憶されたテストパターン信号は、CPU101により読み出されてイメージングユニット117に与えられる。イメージングユニット117において上述した印刷動作が実行されることにより、搬送路に搬送される紙P2にC,M,Y,K各色の階調パターンが印刷されて、図6に示すテストパターンが形成される。
【0079】
テストパターンが作成されると、工程ST200により、画像読取部3によってテストパターンが読み取られる。工程ST200では、CPU101は、ユーザーに対して、原稿台33のプラテンガラス上にテストパターンを載置するように指示する。ある局面では、CPU101は、操作パネル9のディスプレイ9Aに、テストパターンを原稿台33のプラテンガラス上に載置することを指示するメッセージを表示させる。
【0080】
ユーザーは、当該メッセージに従って原稿台33のプラテンガラス上にテストパターンを載置した後に、操作パネル9によりテストパターンの読み取りを指示する。この読み取り指示を受け付けると、画像読取部3のスキャナー部31は、プラテンガラス上のテストパターンを読み取り、読み取り結果である読取信号を生成する。
【0081】
テストパターンの読取信号が生成されると、工程ST300により、当該読取信号を用いて階調補正テーブルが作成される。工程ST300では、CPU101は最初に、読取信号から得られるテストパターンの画像濃度と、画像メモリ105から読み出したテストパターン信号の画像濃度との関係に基づいて、C,M,Y,K各色の階調曲線を作成する。次に、CPU101は、作成した階調曲線に基づいて、理想的な階調曲線とのずれを補正するための階調補正曲線201~204(図5)を求めることにより、階調補正テーブルを作成する。CPU101は、作成した階調補正テーブルをガンマ補正部148に設定することにより、階調補正テーブルを更新する。
【0082】
[6.一般的な画像形成装置における課題]
次に、図8を参照して、一般的な画像形成装置における課題について説明する。
【0083】
図8には、一般的な画像形成装置における印刷動作が示されている。図8では、3種類の原稿P1A~P1Cの各々について印刷動作が実行される。原稿P1A~P1Cは、同一の画像が形成されているが、坪量が互いに異なる。原稿P1Aの坪量は50(g/m)であり、原稿P1Bの坪量は80(g/m)であり、原稿P1Cの坪量は150(g/m)である。原稿P1Aの坪量が最も小さく、原稿P1Cの坪量が最も大きい。
【0084】
原稿P1A~P1Cは、ADF32の原稿載置トレイ38に載置される。原稿P1A~P1Cの各々は、ADF32によってスキャナー部31に搬送される。スキャナー部31のイメージセンサー35Aは、原稿P1A~P1Cの各々から画像を読み取る。イメージセンサー35Aは、原稿P1A~P1Cの各々に対応した画像信号を生成する。
【0085】
図8には、スキャナー部31により生成された画像信号に基づいた読取画像I1A~I1Bが示される。読取画像I1Aは、原稿P1Aを読み取って生成された読取画像である。読取画像I1Bは、原稿P1Bを読み取って生成された読取画像である。読取画像I1Cは、原稿P1Cを読み取って生成された読取画像である。
【0086】
読取画像I1A~I1Cを比較すると、同一の画像を読み取ったにもかかわらず、読取画像の階調特性に違いが生じている。図8の例では、読取画像I1Aが最も高濃度であり、読取画像I1Cが最も低濃度である。このように原稿の坪量の違いにより、原稿を読み取って生成された読取画像の階調特性に変動が生じている。
【0087】
なお、原稿の坪量に応じて読取画像の階調特性が変動することの一因には、ADF32によって所定の読取位置に搬送された原稿をスキャナー部31が読み取るときに、原稿の坪量によって、原稿からの反射光量に違いが生じることが考えられる。
【0088】
画像処理部104は、読取画像I1A~I1Cの各々に対応する画像信号に基づいて画像データを生成する。このとき、ガンマ補正部148は、図5に示した階調補正テーブルを用いて、各画像信号に対してガンマ補正を行う。イメージングユニット117は、生成された画像データに基づいて印刷動作を実行することにより、紙P2にプリント画像を形成する。
【0089】
図8において、プリント画像I2Aは、読取画像I1Aに基づいて形成されたプリント画像である。プリント画像I2Bは、読取画像I1Bに基づいて形成されたプリント画像である。プリント画像I2Cは、読取画像I1Cに基づいて形成されたプリント画像である。画像処理部104において読取画像I1A~I1Cに対するガンマ補正を行ったことにより、プリント画像I2A~I2Cの各々において、読取画像に対する良好な階調再現性が得られている。
【0090】
その一方で、原稿P1A~P1Cとプリント画像I2C~I2Cとをそれぞれ比較すると、原稿の階調特性とプリント画像の階調特性との整合性がとれていないことが分かる。詳細には、坪量が最も小さい原稿P1Aでは、読取画像I1Aが高濃度であるため、プリント画像I2Aも高濃度となっている。プリント画像I2Aは、原稿P1Aよりも高濃度であるために、色つぶれが発生し、濃度が高い領域での濃度差を再現することが困難となる。反対に、坪量が最も大きい原稿P1Cでは、読取画像I1Cが低濃度であるため、プリント画像I2Cも低濃度となっている。プリント画像I2Cは、原稿P1Cよりも低濃度であるために、色飛びが発生し、濃度が低い画像の再現性が低下している。
【0091】
このようにADF32を用いて原稿P1を読み取る場合には、原稿の坪量に応じて読取画像の階調特性が変動することに起因して、読取画像のガンマ補正を経て形成されるプリント画像の階調特性も変動するという問題が発生し得る。
【0092】
このような問題を解決するために、本開示に従う画像形成装置は、原稿の坪量に応じた階調補正テーブルを用いて、当該原稿から読み取られた画像信号に対するガンマ補正(階調補正)を行うことを技術思想とする。以下、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。
【0093】
[7.本実施の形態に従う階調補正処理]
図9は、本実施の形態に従う階調補正処理の手順を示したフローチャートである。図10は、本実施の形態に従う階調補正処理を説明する図である。
【0094】
図9に示すように、最初に工程ST10により、原稿の坪量毎に図6に示したテストパターンが作成される。工程ST10では、坪量が互いに異なる複数の紙P2を用いて複数のテストパターンが形成される。紙P2の坪量の種類は、原稿の坪量の種類を考慮して設定することができる。
【0095】
工程ST10では、図7の工程ST100と同様に、画像処理部104は、最初に、テストパターンを形成するための画像信号であるテストパターン信号に基づいて画像データを生成する。このとき、ガンマ補正部148は、CPU101から与えられるテストパターン信号に対して、予め有している階調補正テーブルを用いてガンマ補正を行う。この階調補正テーブルには、図7に示した階調補正処理で作成された階調補正テーブル(図5)を用いることができる。階調補正テーブルを更新する場合には、更新前の階調補正テーブルを用いることができる。
【0096】
ガンマ補正されたテストパターン信号は、CPU101によりイメージングユニット117に与えられる。イメージングユニット117により、坪量が互いに異なる複数の紙P2の各々にC,M,Y,K各色の階調パターン(図6)が印刷されて、複数のテストパターンが形成される。
【0097】
複数のテストパターンは、坪量が互いに異なる。図10には、坪量が50(g/m)の紙P2を用いたテストパターンTPA、坪量が80(g/m)の紙P2を用いたテストパターンTPB、坪量が150(g/m)の紙P2を用いたテストパターンTPCが示されている。いずれのテストパターンも図6に示したC,M,Y,Kの各色の階調パターンを有している。
【0098】
次に、工程ST20により、画像読取部3によって複数のテストパターンが読み取られる。工程ST20では、CPU101は、ユーザーに対して、ADF32の原稿載置トレイ38に複数のテストパターンを載置するように指示する。ある局面では、CPU101は、操作パネル9のディスプレイ9Aに、テストパターンを原稿載置トレイ38に載置することを指示するメッセージを表示させる。
【0099】
ユーザーは、当該メッセージに従って原稿載置トレイ38に複数のテストパターンを載置した後に、操作パネル9により複数のテストパターンの読み取りを指示する。この読み取り指示を受け付けると、ADF32は、複数のテストパターンを1枚ずつスキャナー部31に搬送する。スキャナー部31は、複数のテストパターンを順次読み取り、各テストパターンの読取信号を生成する。
【0100】
工程ST30では、工程ST20による複数のテストパターンの読取動作に合わせて、坪量センサー30により、原稿搬送機構40によって搬送される各テストパターンの坪量を検出する。検出された坪量を示す坪量情報は、テストパターン毎に、読取信号に紐付けられる。
【0101】
図10には、スキャナー部31により生成されたテストパターンの読取信号に基づいた読取画像I11A~I11Cが示される。読取画像I11Aは、テストパターンTPA(坪量50g/m)を読み取って生成された読取画像である。読取画像I11Bは、テストパターンTPB(坪量80g/m)を読み取って生成された読取画像である。読取画像I11Cは、テストパターンTPC(坪量150g/m)を読み取って生成された読取画像である。上述したように、ADF32を用いてテストパターンを読み取ることにより、テストパターンの坪量に応じて読取画像の階調特性が変動している。
【0102】
次に、工程ST40により、階調補正テーブルが作成される。工程ST40では、テストパターン毎(すなわち、坪量毎)に、階調補正テーブルが作成される。図11は、階調補正テーブルの作成手順を説明する図である。図11には、テストパターンTPAに対応する階調補正テーブルの作成手順が代表的に示されている。
【0103】
図11(a)~(d)には、テストパターンTPAの読取信号であるR,G,Bの3色の反射率およびR,G,B3色の共通部分の反射率のデータが示される。図11(a)は、C(Cyan)の階調パターンの濃度とR(Red)の反射率との関係を示したグラフである。グラフの横軸は、Cの階調パターンにおけるパッチ番号であり、縦軸はRの反射率である。パッチ番号が増えるに従ってCの濃度が大きくなる。そして、Cの濃度が大きくなるに従ってRの反射率が低下している。
【0104】
図11(b)は、M(Magenta)の階調パターンの濃度とG(Green)の反射率との関係を示したグラフである。グラフの横軸は、Mの階調パターンにおけるパッチ番号であり、縦軸はGの反射率である。図11(c)は、Y(Yellow)の階調パターンの濃度とB(Blue)の反射率との関係を示したグラフである。グラフの横軸は、Yの階調パターンにおけるパッチ番号であり、縦軸はBの反射率である。図11(d)は、K(Black)の階調パターンの濃度とRGBの共通部分の反射率との関係を示したグラフである。グラフの横軸は、Kの階調パターンにおけるパッチ番号であり、縦軸はRGBの共通部分の反射率である。
【0105】
CPU101は、図11(a)~(d)に示される反射率のデータを濃度データに変換することにより、C,M,Y,K各色の階調曲線を作成する。各色の階調曲線は、テストパターンTPAの読取信号から得られるテストパターンTPAの画像濃度と、画像メモリ105から読み出したテストパターン信号の画像濃度との関係を表している。CPU101は、作成した階調曲線に基づいて、理想的な階調曲線とのずれを補正するための階調補正曲線201~204を算出する。図11(e)はCの階調補正曲線201を示し、図11(f)はMの階調補正曲線202を示し、図11(g)はYの階調補正曲線203を示し、図11(h)はKの階調補正曲線204を示す。このようにしてテストパターンTPA(坪量50g/m)に対応する階調補正テーブルLUTAが作成される。
【0106】
工程ST40では、さらに、テストパターンTPB(坪量80g/m)に対応して階調補正テーブルLUTBが作成され、テストパターンTPC(坪量150g/m)に対応して階調補正テーブルLUTCが作成される。作成された階調補正テーブルLUTA~LUTCは、対応するテストパターンの坪量情報と紐付けられてHDD107に保存される。階調補正テーブルLUTA~LUTCの各々は、階調補正曲線201~204を表すグラフおよび/または多項式関数を含んでいる。
【0107】
[8.本実施の形態に従う印刷動作]
図12は、本実施の形態に従う画像形成装置における印刷動作を説明する図である。図12では、図8と同じ3種類の原稿P1A~P1Cの各々について印刷動作が実行される。すなわち、原稿P1A~P1Cは、同一の画像が形成されているが、坪量が互いに異なる。原稿P1Aの坪量は50(g/m)であり、原稿P1Bの坪量は80(g/m)であり、原稿P1Cの坪量は150(g/m)である。
【0108】
原稿P1A~P1Cは、ADF32の原稿載置トレイ38に載置される。原稿P1A~P1Cの各々は、ADF32によってスキャナー部31に搬送される。スキャナー部31のイメージセンサー35Aは、原稿P1A~P1Cの各々から画像を読み取る。イメージセンサー35Aは、原稿P1A~P1Cの各々に対応した画像信号を生成する。坪量センサー30は、原稿搬送機構40によって搬送される各原稿の坪量を検出する。検出された坪量を示す坪量情報は、原稿毎に画像信号に紐付けられる。原稿P1A~P1Cに対応した画像信号は、画像メモリ105に保存される。
【0109】
図12には、スキャナー部31により生成された画像信号に基づいた読取画像I1A~I1Bが示される。読取画像I1Aは、原稿P1Aを読み取って生成された読取画像である。読取画像I1Bは、原稿P1Bを読み取って生成された読取画像である。読取画像I1Cは、原稿P1Cを読み取って生成された読取画像である。図8で説明したように、坪量が最も小さい原稿P1Aの読取画像I1Aが最も高濃度であり、坪量が最も大きい原稿P1Cの読取画像I1Cが最も低濃度である。
【0110】
画像処理部104は、読取画像I1A~I1Cの各々に対応する画像信号に基づいて画像データを生成する。このとき、ガンマ補正部148は、原稿毎に、画像信号に紐付けられている坪量情報に基づいて、原稿の坪量に応じた階調補正テーブルをHDD107から読み出す。そして、画像処理部104は、読み出した階調補正テーブルを用いて、画像信号に対してガンマ補正を行う。
【0111】
図12の例では、原稿P1Aは、坪量が50(g/m)であるため、HDD107から坪量50(g/m)のテストパターンTPAに対応する階調補正テーブルLUTAが読み出される。そして、階調補正テーブルLUTAを用いて、原稿P1Aに対応する画像信号に対してガンマ補正が行われる。
【0112】
原稿P1Bは、坪量が80(g/m)であるため、HDD107から坪量80(g/m)のテストパターンTPBに対応する階調補正テーブルLUTBが読み出される。そして、階調補正テーブルLUTBを用いて、原稿P1Bに対応する画像信号に対してガンマ補正が行われる。
【0113】
原稿P1Cは、坪量が150(g/m)であるため、HDD107から坪量150(g/m)のテストパターンTPCに対応する階調補正テーブルLUTCが読み出される。そして、階調補正テーブルLUTCを用いて、原稿P1Cに対応する画像信号に対してガンマ補正が行われる。
【0114】
イメージングユニット117は、原稿P1A~P1Cの各々について、生成された画像データに基づいて印刷動作を実行することにより、紙P2にプリント画像を形成する。図12において、プリント画像I2Aは、読取画像I1Aに基づいて形成されたプリント画像である。プリント画像I2Bは、読取画像I1Bに基づいて形成されたプリント画像である。プリント画像I2Cは、読取画像I1Cに基づいて形成されたプリント画像である。
【0115】
画像処理部104において原稿の坪量に合った階調補正テーブルを用いて当該原稿の読取画像に対するガンマ補正が行われたことにより、原稿の坪量に応じて読取画像の階調特性が変動するにもかかわらず、プリント画像I2A~I2Cにおいて原稿P1A~P1Cに対する良好な階調再現性を得ることができる。
【0116】
[9.印刷動作時のフローチャート]
図13は、本実施の形態に従う印刷動作の手順を示したフローチャートである。このフローチャートは、CPU101が印刷動作のための制御プログラムを実行することにより実現される。
【0117】
図13に示すように、CPU101は、最初に、センサーユニット900からの信号に基づいて、原稿P1がADF32の原稿載置トレイ38に載置されているか否かを判定する(ステップS01)。
【0118】
原稿P1が原稿載置トレイ38に載置されている場合(S01のYES判定時)、CPU101は、続いて、操作パネル9に設けられた印刷動作のスタートボタンがユーザーによってオンされたか否かを判定する(ステップS02)。なお、印刷動作の開始指示は、操作パネル9に設けられたスタートボタンの操作以外に、外部端末によっても行うことができる。
【0119】
スタートボタンがオンされると(S02のYES判定時)、CPU101は、画像読取制御部113に制御信号を与えることにより、画像読取部3による原稿P1の読み取りを開始する。読み取りが指示されると、最初に、ADF32は、原稿載置トレイ38に載置された原稿P1を1枚ずつスキャナー部31に搬送する(ステップS03)。原稿搬送機構40によって原稿P1が読取位置に搬送されるとき、坪量センサー30は、原稿P1の坪量を検出する。CPU101は、坪量センサー30からの信号に基づいて、原稿P1の坪量に関する坪量情報を取得する(ステップS04)。
【0120】
スキャナー部31は、所定の読取位置に搬送された原稿P1から画像を読み取る(ステップS05)。画像読取部3は、原稿P1の画像に対応した画像信号に、原稿P1の坪量情報を紐付けて画像メモリ105に保存する。
【0121】
1枚の原稿P1から画像を読み取る毎に、CPU101は、センサーユニット900からの信号に基づいて、原稿載置トレイ38に次の原稿P1があるか否かを判定する(ステップS07)。原稿載置トレイ38に次の原稿P1がある場合には、CPU101はステップS03に戻って、次の原稿P1を読み取るとともに、当該原稿P1の坪量情報を取得し、取得した坪量情報を画像信号に紐付けて画像メモリ105に保存する。
【0122】
原稿載置トレイ38に次の原稿P1がない場合、すなわち、スキャナー部31にて全ての原稿P1を読み取った場合(S07のYES判定時)には、CPU101は、画像メモリ105に保存された画像信号に基づいた画像を紙P2に形成するための印刷処理を実行する。
【0123】
印刷処理では、画像処理部104は、最初の原稿P1の画像信号を画像メモリ105から読み出す(ステップS08)。読み出した画像信号には、最初の原稿P1の坪量情報が紐付けられている。画像処理部104は、図4に示したように、読み出した画像信号に基づいて画像データを生成する。このとき、画像処理部104は、坪量情報に基づいて、HDD107に保存されている複数の階調補正テーブルの中から、最初の原稿P1の坪量に応じた階調補正テーブルを選択する(ステップS09)。
【0124】
画像処理部104は、選択した階調補正テーブルを用いて、画像信号に対してガンマ補正を行う。イメージングユニット117は、画像処理部104により生成された画像データに基づいて印刷動作を実行することにより、紙P2にプリント画像を形成する(ステップS10)。
【0125】
最初の原稿P1についてプリント画像が形成されると、CPU101は、センサーユニット900からの信号に基づいて、画像メモリ105に画像信号が残っているか否かを判定する(ステップS11)。画像メモリ105に画像信号が残っている場合(S11のYES判定時)には、ステップS08に戻り、次の原稿P1の画像信号が画像メモリ105から読み出される。そして、次の原稿P1の坪量に応じた階調補正テーブルを用いて画像信号に対してガンマ補正が行われることにより、画像データが生成される。画像データに基づいて印刷動作が実行されることにより、紙P2にプリント画像が形成される。
【0126】
画像メモリ105に保存されている全ての画像信号についてプリント画像が形成されたことにより、画像メモリ105に画像信号が残ってないと判定されると(S11のNO判定時)、CPU101は印刷処理を終了する。
【0127】
[10.原稿の坪量情報]
上述した実施の形態では、ADF32の内部に設けられた坪量センサー30によって原稿P1の坪量を検出することにより、原稿P1の坪量情報を取得する構成について説明したが、操作パネル9に対するユーザー操作または外部端末から原稿P1の坪量情報を取得する構成としてもよい。
【0128】
図14は、操作パネル9のディスプレイ9Aの一例を示す図である。CPU101は、ディスプレイ9Aに、原稿P1の坪量に関するユーザー設定を受け付けるためのUI(User Interface)画面を表示させ、当該画面に対するユーザー操作に基づいて原稿P1の坪量情報を取得する。
【0129】
図14の例では、ユーザーがメニュー画面500上のアイコン502を操作することで、原稿P1の坪量を設定するための設定画面504がディスプレイ9Aに表示される。設定画面504には、複数の坪量にそれぞれ対応する複数のアイコン506が設けられている。アイコン506の個数は、画像読取部3が読み取り可能な原稿の坪量の範囲内で任意の個数に設定することができる。
【0130】
ユーザーは、複数のアイコン506のうちのいずれか1つを操作することで、原稿P1の坪量を設定することができる。例えば、坪量80(g/m)に対応するアイコン506が操作された場合には、原稿P1の坪量が80g/mに設定される。CPU101は、この設定された坪量を坪量情報として取得し、原稿P1の画像信号に紐付けて画像メモリ105に保存する。
【0131】
[11.階調補正テーブル]
上述した実施の形態では、坪量が互いに異なる複数のテストパターンを用いて階調補正処理を行うことによって坪量毎の階調補正テーブルを作成する構成について説明したが、外部装置から坪量毎の階調補正テーブルを受信する構成としてもよい。
【0132】
例えば、図15に示すように、ネットワーク110を経由してMPF1とパーソナルコンピュータなどの端末200との間で通信を行うことにより、CPU101は、坪量毎の階調補正テーブルを取得することができる。あるいは、MPF1と携帯型の端末300との間で無線通信を行うことにより、CPU101は、坪量毎の階調補正テーブルを取得することができる。なお、複数の階調補正テーブルは、印刷動作を開始する前に予め受信し、HDD107に保存しておくことができる。あるいは、印刷動作時に端末200と通信を行い、原稿P1の坪量に対応する階調補正テーブルを端末200から受信することができる。
【0133】
[12.印刷動作の変形例]
(第1変形例)
図16は、本実施の形態の第1変形例に従う印刷動作の手順を示したフローチャートである。図16に示すフローチャートは、図13に示したフローチャートにステップS12~S14の処理を追加したものである。
【0134】
第1変形例では、図13と同じステップS09により、画像処理部104のガンマ補正部148は、原稿P1の坪量情報に基づいて、HDD107に保存されている複数の階調補正テーブルの中から、原稿P1の坪量に応じた階調補正テーブルを選択する。このとき、画像処理部104は、HDD107に保存されている複数の階調補正テーブルの中に、原稿P1の坪量に合う階調補正テーブルがあるか否かを判定する(ステップS12)。
【0135】
原稿P1の坪量に一致する坪量の階調補正テーブルがある場合には、S12はYES判定とされる。この場合、画像処理部104は、原稿P1の坪量に一致する坪量の階調補正テーブルを用いて、原稿P1の画像信号に対してガンマ補正を行う。イメージングユニット117は、画像処理部104により生成された画像データに基づいて印刷動作を実行することにより、紙P2にプリント画像を形成する(ステップS13)。
【0136】
一方、複数の階調補正テーブルの中に、原稿P1の坪量に一致する坪量の階調補正テーブルがない場合には、S12はNO判定とされる。この場合、画像処理部104は、ステップS14に進み、複数の階調補正テーブルの中から、原稿P1の坪量に最も近い坪量に対応する階調補正テーブルを選択する。そして、画像処理部104は、選択した階調補正テーブルを用いて、原稿P1の画像信号に対してガンマ補正を行う。イメージングユニット117は、画像処理部104により生成された画像データに基づいて印刷動作を実行することにより、紙P2にプリント画像を形成する(ステップS14)。
【0137】
第1変形例によれば、原稿P1の坪量に一致する階調補正テーブルがない場合であっても、原稿P1の坪量に応じた階調補正テーブルを用いて原稿P1の画像信号を補正することができる。
【0138】
(第2変形例)
図17は、本実施の形態の第2変形例に従う印刷動作の手順を示したフローチャートである。図17に示すフローチャートは、図13に示したフローチャートにステップS12~S17の処理を追加したものである。
【0139】
第2変形例では、図13と同じステップS09により、画像処理部104のガンマ補正部148は、原稿P1の坪量情報に基づいて、HDD107に保存されている複数の階調補正テーブルの中から、原稿P1の坪量に応じた階調補正テーブルを選択する。このとき、画像処理部104は、HDD107に保存されている複数の階調補正テーブルの中に、原稿P1の坪量に合う階調補正テーブルがあるか否かを判定する(ステップS12)。
【0140】
原稿P1の坪量に一致する坪量の階調補正テーブルがある場合には、S12はYES判定とされる。この場合、画像処理部104は、原稿P1の坪量に一致する坪量の階調補正テーブルを用いて、原稿P1の画像信号に対してガンマ補正を行う。イメージングユニット117は、画像処理部104により生成された画像データに基づいて印刷動作を実行することにより、紙P2にプリント画像を形成する(ステップS13)。
【0141】
一方、複数の階調補正テーブルの中に、原稿P1に坪量に一致する坪量の階調補正テーブルがない場合には、S12はNO判定とされる。この場合、画像処理部104は、ステップS15に進み、複数の階調補正テーブルの中から、原稿P1の坪量よりも上の坪量(すなわち、原稿P1の坪量より大きい坪量)に対応する階調補正テーブルを選択する。また、画像処理部104は、複数の階調補正テーブルの中から、原稿P1の坪量よりも下の坪量(すなわち、原稿P1の坪量より小さい坪量)に対応する階調補正テーブルを選択する。
【0142】
次に、画像処理部104は、S15にて選択された2つの階調補正テーブルに基づいて、原稿P1の坪量に対応する階調補正テーブルを作成する(ステップS16)。S16では、画像処理部104は、当該2つの階調補正テーブルの間を補間することにより、原稿P1の坪量に対応する階調補正テーブルを作成する。
【0143】
例えば、原稿P1の坪量がs(g/m)であって、当該坪量に合った階調補正テーブルがHDD107に保存されていない場合を想定する。この場合、画像処理部104は、複数の階調補正テーブルの中から、坪量m(g/m)に対応する第1の階調補正テーブルと、坪量n(g/m)に対応する第2の階調補正テーブルとを選択する。ただし、n<s<mである。
【0144】
ここで、第1の階調補正テーブルに含まれる各色の階調補正曲線において、画像形成に用いられる画像信号の濃度(x)に対するプリンタ画像の濃度をxの多項式関数f(x)で表すものとする。また、第2の階調補正テーブルに含まれる各色の階調補正曲線において、画像形成に用いられる画像信号の濃度(x)に対するプリンタ画像の濃度をxの多項式関数g(x)で表すものとする。
【0145】
原稿P1の坪量に対応する階調補正テーブルに含まれる各色の階調補正曲線において、画像形成に用いられる画像信号の濃度(x)に対するプリンタ画像の濃度をxの多項式関数h(x)で表すものとする。多項式関数h(x)は、多項式関数f(x)および多項式関数g(x)を線形補間することにより算出することができる。多項式関数h(x)は次式(1)で表すことができる。
h(x)={(s-n)f(x)+(m-s)×g(x)}/(m-n)・・・(1)
画像処理部104は、作成された階調補正テーブルを用いて、原稿P1の画像信号に対してガンマ補正を行う。イメージングユニット117は、画像処理部104により生成された画像データに基づいて印刷動作を実行することにより、紙P2にプリント画像を形成する(ステップS17)。
【0146】
第2変形例によれば、原稿P1の坪量に一致する階調補正テーブルがない場合であっても、原稿P1の坪量に応じた階調補正テーブルを用いて原稿P1の画像信号を補正することができる。
【0147】
[13.プログラム]
図13図16および図17に示した印刷動作を実行するプログラム等を含むアプリケーションプログラムは、プロセッサを備えるコンピューターとしてのMFP1に付属する外部記憶媒体120などのコンピューター読み取り可能な記憶媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピューターに内蔵するHDD107などの記録媒体に記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワーク110または無線通信を介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。プログラムは、CPU101などの1つ以上のプロセッサにより、またはプロセッサとASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの回路との組み合わせにより実行され得る。
【0148】
[14.利点]
本実施の形態によれば、画像読取部3における所定の読取位置上を搬送する原稿P1の画像を読み取った画像信号に基づいてシート上にプリント画像を形成する場合には、原稿P1の坪量に応じた階調補正情報(階調補正テーブル)を用いて画像信号に対するガンマ補正(階調補正)が行われる。これによると、原稿の坪量に応じて画像読取部3における読取画像の階調特性が変動する場合であっても、シート上に形成されたプリント画像において原稿に対する良好な階調再現性を得ることができる。
【0149】
[付記]
上述した実施の形態および変形例は、以下のような技術思想を含む。
【0150】
[構成1]
所定の読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取って画像信号を取得する画像読取手段と、
前記原稿の坪量を示す坪量情報を取得する取得手段と、
前記坪量情報に基づいて前記原稿の坪量に応じた階調補正情報を取得し、取得した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正する補正手段と、
補正された前記画像信号に基づいて、シート上に画像を形成する形成手段とを備える、画像形成装置。
【0151】
[構成2]
坪量毎に作成された複数の階調補正情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記補正手段は、
前記坪量情報に基づいて、前記記憶手段に記憶される前記複数の階調補正情報の中から、前記原稿の坪量に応じた階調補正情報を選択し、
選択した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正する、構成1に記載の画像形成装置。
【0152】
[構成3]
前記複数の階調補正情報を作成する作成手段をさらに備え、
前記複数の階調補正情報を作成するとき、
前記形成手段は、坪量が互いに異なる複数のテストパターンを形成し、
前記画像読取手段は、前記読取位置上を搬送される各前記複数のテストパターンの画像を読み取ってテストパターン信号を取得し、
前記作成手段は、テストパターン毎に、前記画像読取手段によって取得された前記テストパターン信号の濃度と、当該テストパターンの画像の濃度とに基づいて前記階調補正情報を作成する、構成2に記載の画像形成装置。
【0153】
[構成4]
前記画像形成装置が外部装置と通信する通信手段をさらに備え、
前記補正手段は、
坪量毎に作成された複数の階調補正情報を、前記通信手段を介して前記外部装置から受信し、
前記坪量情報に基づいて、受信した前記複数の階調補正情報の中から、前記原稿の坪量に応じた階調補正情報を選択し、
選択した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正する、構成1に記載の画像形成装置。
【0154】
[構成5]
前記階調補正情報は、前記原稿から取得される前記画像信号の濃度と前記シートに形成される画像の濃度との対応関係を示す階調補正テーブルを含む、構成1から3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0155】
[構成6]
前記取得手段は、前記読取位置に搬送される前記原稿の坪量を検出する検出手段を含む、構成1から5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0156】
[構成7]
前記取得手段は、ユーザーから前記原稿の坪量の設定を受け付ける設定手段を含む、構成1から5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0157】
[構成8]
前記画像読取手段により取得された前記画像信号を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記画像読取手段は、前記取得手段により取得された前記坪量情報を、前記画像信号に紐付けて前記記憶手段に記憶する、構成6または7に記載の画像形成装置。
【0158】
[構成9]
前記補正手段は、前記複数の階調補正情報の中に、前記原稿の坪量に対応する前記階調補正情報がない場合には、前記原稿の坪量に最も近い坪量に対応する階調補正情報を選択し、選択した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正する、構成2または4に記載の画像形成装置。
【0159】
[構成10]
前記補正手段は、前記複数の階調補正情報の中に、前記原稿の坪量に対応する前記階調補正情報がない場合には、前記原稿の坪量よりも大きい坪量に対応する階調補正情報と、前記原稿の坪量よりも小さい坪量に対応する階調補正情報とを補間することにより、前記原稿の坪量に対応する階調補正情報を作成し、作成した階調補正情報を用いて前記画像信号を補正する、構成2または4に記載の画像形成装置。
【0160】
[構成11]
コンピュータが実施する方法であって、
画像形成装置の所定の読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取って画像信号を取得するステップと、
前記原稿の坪量を示す坪量情報を取得するステップと、
前記坪量情報に基づいて前記原稿の坪量に応じた階調補正情報を取得し、取得した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正するステップと、
補正された前記画像信号に基づいて、シート上に画像を形成するステップとを備える、方法。
【0161】
[構成12]
コンピューターによって実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピューターに、
画像形成装置の所定の読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取って画像信号を取得するステップと、
前記原稿の坪量を示す坪量情報を取得するステップと、
前記坪量情報に基づいて前記原稿の坪量に応じた階調補正情報を取得し、取得した前記階調補正情報を用いて前記画像信号を補正するステップと、
補正された前記画像信号に基づいて、シート上に画像を形成するステップとを実行させる、プログラム。
【0162】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0163】
1 MFP、2 装置本体、3 画像読取部、4,4A~4D 給紙トレイ、5 転写部、6 定着部、7 排紙トレイ、8 搬送装置、9 操作パネル、9A ディスプレイ、10 本体制御部、30 坪量センサー、31 スキャナー部、32 ADF、33 原稿台、34 光源部、35A,35B イメージセンサー、36 結像レンズ、37 ミラー群、38 原稿載置トレイ、39 原稿排出トレイ、40 原稿搬送機構、51 作像部、52 露光部、53 中間転写ベルト、54 一次転写ローラー、55 駆動ローラー、56 従動ローラー、57 二次転写ローラー、58,64 クリーナー部、59 加熱ローラー、60 加圧ローラー、61 感光体ドラム、62 帯電器、63 現像器、80 給紙センサー、81 繰り出しローラー、82 給紙ローラー対、83 搬送ローラー対、84 スキュー補正ローラー、90 排紙センサー、91 排紙ローラー対、101 CPU、102 ROM、103 RAM、104 画像処理部、105 画像メモリ、106 通信I/F、107 HDD、108 無線通信I/F、110 インターネット、113 画像読取制御部、114 露光制御部、115 転写制御部、116 定着制御部、117 イメージングユニット、118 搬送制御部、119 メモリI/F、120 外部記憶媒体、140 A/D変換部、142 シェーディング補正部、144 LOG変換部、146 色変換部、148 ガンマ補正部、200,300 端末、201~204 階調補正曲線、500 メニュー画面、502,506 アイコン、504 原稿坪量設定画面、900 センサーユニット、P1,P1A~P1C 原稿、I1A~I1C,I11A~I11C 読取画像、I2A~I2C プリント画像、LUTA~LUTC 階調補正テーブル、TPA~TPC テストパターン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17