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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002937
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】空気調和機及び空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/36 20180101AFI20241226BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20241226BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20241226BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F24F11/36
F24F11/74
F24F11/79
F25B49/02 520Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103337
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】台坂 恒
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA52
3L260CA03
3L260CA22
3L260DA10
3L260FA07
3L260FA08
3L260FB12
3L260FC15
3L260FC16
3L260GA17
3L260JA18
(57)【要約】
【課題】冷媒漏洩を通知することを目的とする。
【解決手段】可燃性冷媒と接触することで可視状態が変化する変化部と、変化部を撮影する撮影部と、撮影部により撮影された変化部の画像が変化した場合に、冷媒漏洩を検知する検知部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性冷媒と接触することで可視状態が変化する変化部と、
前記変化部を撮影する撮影部と、
前記撮影部により撮影された前記変化部の画像が変化した場合に、冷媒漏洩を検知する検知部と、
を備える、空気調和機。
【請求項2】
前記撮影部は、室内機の前面に配置され、
前記変化部は、前記撮影部に対向する位置に配置される、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記変化部は、前記室内機に設けられた上下風向板の内側に配置される、請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記変化部は、前記室内機の前面とフィルタの間に配置される、請求項2に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記検知部により冷媒漏洩が検知された場合に、風量閾値以上の風量で送風する風調整部をさらに備える、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記撮影部は、被空調空間をさらに撮影し、
前記風調整部は、前記撮影部により撮影された前記被空調空間の状況に応じて、風向を調整する、請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記検知部により冷媒漏洩が検知された場合に、漏洩検知情報を出力部から出力させる出力処理部をさらに備える、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記撮影部は、被空調空間を撮影し、
前記出力処理部は、前記検知部により冷媒漏洩が検知された場合において、前記撮影部により撮影された前記被空調空間の撮影画像において、人間が検出された場合には、音声出力部に前記漏洩検知情報を音声出力させ、人間が検出されなかった場合には、前記漏洩検知情報を予め定められた通知先に送信する、請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
サーモカメラをさらに備え、
前記出力処理部は、前記サーモカメラにより、被空調空間において、予め設定された温度閾値以上の温度が検知された場合に、警告情報を出力させる、請求項7に記載の空気調和機。
【請求項10】
可燃性冷媒と接触することで可視状態が変化する変化部と、
前記変化部を撮影する撮影部と、
前記撮影部により撮影された前記変化部の画像が変化した場合に、冷媒漏洩を検知する検知部と、
を備える、空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機及び空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機で使用されているHFC冷媒は温暖化係数(GWPGlobal Warming Potentia)が高く、地球温暖化防止のため、段階的に削減することが決まっている。次世代冷媒としては、温暖化係数が低く、効率の高い冷媒としてプロパン冷媒が候補となっている。しかし、プロパンは、可燃性があるため、室内漏洩時の安全性に課題がある。冷媒漏洩に関し、特許文献1には、可燃性冷媒を使用した冷凍サイクル装置における冷媒漏れを目視で検出するために、冷媒と接触することによって変色する冷媒検知部材を有する冷凍サイクル装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-195707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空気調和機は、ユーザから離れた場所に設置されることが多く、空気調和機に冷媒検知部材を設けたとしても、ユーザが目視するのが難しく、冷媒漏洩を検知できないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、冷媒漏洩を検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、空気調和機であって、可燃性冷媒と接触することで可視状態が変化する変化部と、前記変化部を撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影された前記変化部の画像が変化した場合に、冷媒漏洩を検知する検知部と、を備える。
【0007】
本発明は、空気調和システムであって、可燃性冷媒と接触することで可視状態が変化する変化部と、前記変化部を撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影された前記変化部の画像が変化した場合に、冷媒漏洩を検知する検知部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷媒漏洩を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】空気調和機の外観構成図である。
図2】冷媒回路を示す図である。
図3】室内機の構造を示す図である。
図4A】撮影部及び変化部の拡大図である。
図4B】撮影部及び変化部の拡大図である。
図5A】変化部を示す図である。
図5B】変化部を示す図である。
図6】室内機の構成を示す図である。
図7】冷媒漏洩検知処理を示すフローチャートである。
図8】変化部の配置の変形例を示す図である。
図9】変化部の配置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施形態に係る空気調和機1を示す外観構成図である。空気調和機1は、冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)で冷媒を循環させることによって、空調を行う。図1に示すように、空気調和機1は、室内(被空調空間)に設置される室内機10と、屋外(室外)に設置される室外機20と、ユーザによって操作されるリモコン30と、を備えている。
【0011】
室内機10は、リモコン通信部11を備えている。リモコン通信部11は、赤外線通信等によって、リモコン30からの信号を受信する。また、リモコン通信部11は、リモコン30に所定の信号を送信する。例えば、リモコン通信部11は、運転/停止指令、設定温度の変更、運転モードの変更、タイマの設定等の信号をリモコン30から受信する。なお、図1では省略しているが、室内機10と室外機20とは、冷媒配管を介して接続されるとともに、通信線を介して接続されている。室内機10はさらに、撮影部12を備えている。撮影部12は、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサで、被空調空間を撮影する。撮影部12は、図1に示すように、室内機10の前面161の下側で、かつ横方向において略中央に配置される。
【0012】
図2は、実施形態に係る空気調和機1の冷媒回路Qを示す図である。なお、図2に示す実線矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示している。図2に示す破線矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示している。冷媒としては、例えばプロパン等低GWP冷媒が用いられる。
【0013】
室内機10は、リモコン通信部11及び撮影部12に加え、室内熱交換器14と、室内ファン15と、を備えている。室内熱交換器14において、その伝熱管を通流する冷媒と、室内ファン15から送り込まれる室内空気と、の間で熱交換が行われる。室内熱交換器14は、後述の四方弁25の切り替えにより凝縮器または蒸発器として動作する。室内ファン15は、室内熱交換器14の付近に設置されている。室内ファン15は、室内熱交換器14に室内空気を送り込む。
【0014】
室外機20は、圧縮機21と、室外熱交換器22と、室外ファン23と、膨張弁24と、四方弁25と、を備えている。圧縮機21は、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する。室外熱交換器22において、その伝熱管を通流する冷媒と、室外ファン23から送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる。室外熱交換器22は、四方弁25の切り替えにより凝縮器または蒸発器として動作する。
【0015】
室外ファン23は、図1に示すように、室外熱交換器22の付近に設置されている。室外ファン23は、室外熱交換器22に外気を送り込む。膨張弁24は、「凝縮器」(室外熱交換器22及び室内熱交換器14の一方)で凝縮した冷媒を減圧する機能を有している。なお、膨張弁24において減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器22及び室内熱交換器14の他方)に導かれる。四方弁25は、空気調和機1の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。
【0016】
図3は、室内機10の構造を示す図である。図3は、室内機10の背面18に垂直でかつ室内機10の上下方向に平行な断面図である。以下、図3に示すような3次元座標におけるx軸方向(紙面の奥行方向)を室内機10の横方向、y軸方向(紙面の縦方向)を室内機10の上下方向(紙面上側が上方向)、z軸方向(紙面の横方向)を室内機10の奥行き方向とする。また、横方向のうち、奥行方向に見て右方向(紙面手前方向)を右方向、奥行方向に見て左方向(紙面奥行方向)を左方向とする。
【0017】
室内機10は、背面18が壁Bに接するように、部屋の天井近くに設置される。図3においては、紙面の左側に空調空間としての部屋が広がっており、室内機10は、部屋の温度を調整するように風を流す構造となっている。
【0018】
室内機10は、空気吸込口を備えた前面161及び上面162を含む筐体16の内部に、室内ファン15を備える。前面161及び上面162と、室内ファン15の間には、室内熱交換器14が配置されている。室内熱交換器14においては、室内ファン15の駆動により発生する風との間で熱交換が行われる。室内機10には、さらに、前面161に設けられた前面フィルタ141a、上面162に設けられた上面フィルタ141b、上下風向板142及びケーシング143が設けられている。
【0019】
空気は、前面161及び上面162から室内機10に吸い込まれ、前面フィルタ141a、上面フィルタ141bによって大きな埃などが除去され、室内熱交換器14を通過する。室内ファン15は、駆動することで室内熱交換器14を通過する風の流れを発生させる。室内ファン15には、例えば、貫流ファンが用いられるものとする。ただし、室内ファン15は、風の流れを生じさせるものであればよく、貫流ファンに限定されるものではない。室内熱交換器14を通った空気は、室内ファン15によってケーシング143に導かれ、上下風向板142と不図示の左右風向板により吹き出し方向が制御され、被空調空間に吹き出す。
【0020】
さらに、前面161の下側には、撮影部12が配置されている。そして、撮影部12と前面161の間には変化部17が設けられている。変化部17は、シート状の部材であり、両面テープ等で上下風向板142に貼り付けられている。変化部17は、冷媒に反応してその模様が変化する。
【0021】
図4A及び図4Bは、撮影部12及び変化部17の拡大図である。撮影部12は、横方向に(xz面内を)360°回転することができる。さらに、撮影部12は、上下方向(y軸方向)にも回転することができる。また、変化部17は、横方向に回転移動することができ、図4Aに示すように、撮影部12に重ならない位置から、図4Bに示すように、撮影部12に重なる位置まで移動することができる。撮影部12に重なる位置において、変化部17は、撮影部12に対向する位置に配置される。したがって、撮影部12の可視領域(撮影範囲)に変化部17が含まれるようになり、変化部17の撮影画像を得ることができる。撮影部12は、定期的に撮影を行う。撮影部12は、空調運転の電源がオンされていない場合においても、待機電力により撮影を行う。さらに、撮影部12は、一定時間おきに変化部17の画像を撮影する。例えば、撮影部12は、第1の時間間隔で被空調空間の撮影を行い、第2の時間間隔で変化部17を撮影する。ここで、第2の時間間隔は、第1の時間間隔よりも長いものとする。また、この第2の時間間隔おきに、変化部17が、撮影部12に重なる位置に移動するものとする。
【0022】
図5A及び図5Bは、変化部17を示す図である。図5Aは、冷媒漏洩のないときの変化部17を示している。図5Bは、冷媒が漏洩しているときの変化部17を示している。上述の通り、冷媒には、プロパンが用いられるが、このような可燃性を示す冷媒ガスと接触して変色する物質を含浸させたシートが変化部17として配置される。冷媒ガスと接触して変色する物質としては、貴金属系化合物が挙げられる。特に白金族系化合物、その中でも酸化パラジウムが顕著な色変化を示す。一般に、白金族系の金属は標準電極電位が高く、その塩化物、硝酸化物、硫酸化物、酸化物などの化合物は、水素などの可燃性ガスと接触すると還元作用を受け単体金属へと容易に変化する。本実施形態においては、酸化パラジウムを用いるものとする。冷媒が漏洩し、変化部17に接触すると、変化部17のうち、貴金属系化合物が含浸した範囲が変色し、例えば、図5Bに示すように、一色から縞模様に変化部17の模様が変化する。図5A及び図5Bの例では、図5Bに示すように縞模様になるように、変化部17の一部の範囲に貴金属化合物が含浸している。
【0023】
なお、他の例としては、塗料に貴金属系化合物を混合し、変化部17とすべき範囲に塗装することで、変化部17を形成してもよい。また、他の例としては、貴金属系化合物をプラスチック材料に練り込んで変化部17を生成してもよい。
【0024】
このように、冷媒が漏洩した場合には、変化部17の模様が変化する。しかしながら、空気調和機1の室内機10は、室内の上方に設置される場合が多く、ユーザは、変化部17の変化に気がつき難い。そこで、本実施形態においては、撮影部12は、この変化部17を撮影し、撮影画像に基づいて、冷媒漏洩を検知することとした。
【0025】
図6は、冷媒漏洩検知のための室内機10の構成を示すブロック図である。室内機10は、制御部100と、通信部110と、記録媒体120と、スピーカ130と、撮影部12と、を備えている。制御部100は、図示しないCPU、RAM、ROM等を備えており、記録媒体120やROMに格納されたプログラムを実行する。通信部110は、ネットワークを介して外部の装置と通信を行うための装置である。制御部100は、通信部110を介して、例えば、ユーザが所持する携帯端末等と通信を行う。記録媒体120は、各種情報及び各種プログラムを記憶する。スピーカ130は、音声を出力する。スピーカ130は、音声出力部の一例である。
【0026】
制御部100は、記録媒体120やROM等に格納されたプログラムを実行することにより、検知部101、状況特定部102、風調整部103及び出力処理部104として機能する。すなわち、以下において、検知部101、状況特定部102、風調整部103及び出力処理部104が実行するものとして記載する処理は、制御部100が実行する処理である。
【0027】
検知部101は、撮影部12が撮影した変化部17の撮影画像(以下、変化部画像と称する)に基づいて、冷媒漏洩を検知する。検知部101は、撮影された変化部画像が前回撮影した変化部画像と異なる場合に冷媒漏洩が生じたと判断する。なお、検知部101は、例えば、前回の変化部画像との画像マッチングにより両者の一致度が閾値未満の場合に両画像が異なると判断する。また、他の例としては、検知部101は、画素値が変化した画素が一定以上になった場合に変化部画像が異なると判断してもよい。このように、変化部画像が前回撮影した変化部画像と異なる、と判断するための具体的な処理は実施形態に限定されるものではない。
【0028】
状況特定部102は、撮影部12により得られた被空調空間の撮影画像(以下、空間画像)に基づいて、被空調空間の状況を特定する。具体的には、状況特定部102は、非空調空間における家具などのオブジェクトや人間のサイズや位置を特定する。風調整部103は、被空調空間の状況に応じて、風量及び風向を調整する。出力処理部104は、冷媒漏洩が生じた際に、漏洩を検知したことを通知する漏洩検知情報を出力部から出力させるための処理を行う。なお、漏洩検知情報を出力する出力部は、スピーカ130及び通信部110である。
【0029】
図7は、室内機10の制御部100が実行する冷媒漏洩検知処理を示すフローチャートである。冷媒漏洩検知処理においては、まず、S100において、制御部100は、撮影部12による撮影を開始させる。次に、S102において、検知部101は、定期的に得られる変化部画像に基いて、冷媒漏洩の有無を検知する。検知部101は、上述の通り、変化部画像に画像変化があった場合に、冷媒漏洩が生じたと判断する。次に、S104において、状況特定部102は、撮影部12により撮影された空間画像に基づいて、被空調空間の状況を特定する。
【0030】
次に、S106において、風調整部103は、S104において特定された被空調空間の状況に応じて、風量及び風向を設定する。具体的には、風調整部103は、風向をオブジェクト及び人間が存在しない方向に設定する。また、風調整部103は、風量を予め設定された風量閾値以上に設定する。例えば、風量を弱、中、強の3段階に設定可能な場合において、風調整部103は、風量を強に設定する。これにより、漏洩冷媒は、オブジェクトや人間が存在しない方向に、比較的強い風量で流れる。したがって、漏洩冷媒は速やかに拡散され被空調空間における冷媒濃度を燃焼濃度以下にすることができる。さらに、漏洩冷媒が人間に向けて流れるのも避けることができる。
【0031】
次に、S108において、出力処理部104は、撮影部12により撮影された空間画像に基いて、被空調空間に人間が存在するか否かを確認する。人間が検出された場合には(S108でY)、出力処理部104は、スピーカ130から漏洩検知情報の音声を出力する(S110)。スピーカ130からは、漏洩検知情報として、例えば、「冷媒が漏洩しています。換気を行って下さい。」といった音声が出力される。
【0032】
また、人間が検出されなかった場合には(S108でN)、出力処理部104は、通信部110を介して、予め設定された通知先に漏洩検知情報を送信する(S112)。ここで、予め設定された通知先は、空気調和機1の利用者が所持する携帯端末等である。このように、冷媒漏洩を利用者に通知することができる。さらに、利用者が被空調空間に存在するか否かに応じて、その通知先を異ならせることができる。これにより、確実に利用者に冷媒漏洩を通知することができる。
【0033】
なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、例えばある実施形態の変形例を他の実施形態に適用するなど、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0034】
そうした第1の変形例としては、室内機10は、サーモカメラをさらに備えてもよい。サーモカメラは、室内機10の前面161に配置され、物体から放射される赤外線を検出することにより、被空調空間内の温度分布を示す熱画像を撮影する。そして、例えば、キッチンのコンロ等、予め設定された温度閾値以上の温度が検出された場合に、警告情報を出力するようにしてもよい。これにより、漏洩冷媒が発火するのを防ぐことができる。ここで、温度閾値は、冷媒の燃焼温度に基づいて設定されればよい。
【0035】
第2の変形例としては、撮影部12は、被空調空間と変化部17を含む画像を撮影してもよい。例えば、撮影範囲のうち、右下などその一部に変化部17が配置されるように、変化部17が配置されてもよい。これにより、変化部17を移動させることなく、被空調空間と共に変化部17を撮影することができる。
【0036】
第3の変形例としては、変化部17の配置位置は実施形態に限定されるものではない。変化部17は、撮影部12に対応する位置、より詳しくは、撮影部12の撮影可能範囲に配置されていればよい。例えば、図8に示すように、変化部17は、上下風向板142の内側に配置されてもよい。また、他の例としては、図9に示すように、変化部17は、撮影部12と室内熱交換器14の間、例えば、前面フィルタ141aに配置されてもよい。さらに、この場合には、撮影部12は回転し、前面フィルタ141aに配置された変化部17を撮影できるものとする。なお、このように変化部17は、室内機10の下側に設けられていることが好ましい。これにより、空気より重く、上方から流れてきた冷媒漏洩を検知することができる。
【0037】
第4の変形例としては、風調整部103は、被空調空間の状況に応じて風向を調整すればよく、そのための具体的な処理は実施形態に限定されるものではない。例えば、風調整部103は、被空調空間に示すオブジェクトの量が多くなるほど風量が強くなるように調整してもよい。
【0038】
第5の変形例としては、風調整部103は、被空調空間の状況によらず、冷媒漏洩検知から一定時間、風向きを下にし、その後、被空調空間全体に冷媒漏洩が拡散されるように、風向きをより上に向けてもよい。冷媒は空気よりも重いため、まず室内機10の直下に溜まっている可能性がある。本例によれば、このような室内機10の直下に溜まった漏洩冷媒を速やかに拡散させることができる。
【0039】
第6の変形例としては、出力処理部104は、被空調空間の状況に応じて、出力する情報を異ならせてもよい。例えば、出力処理部104は、撮影部12により撮影された空間画像において窓が検出された場合には、「窓を開けて下さい。」といった動作を促す情報をスピーカ130から出力させてもよい。
【0040】
第7の変形例としては、漏洩検知情報の出力先は、スピーカ130及び通知先の携帯端末の何れか一方のみであってもよい。また、他の例としては、スピーカ130及び通知先の携帯端末に替えて、またはこれらと共に、リモコンなどに設けられた表示部に漏洩検知情報が表示されてもよい。
【0041】
第8の変形例としては、図6に示す本実施形態の制御部100の各機能(室内機10の検知部101、状況特定部102、風調整部103及び出力処理部104)、スピーカ130、撮影部12及び変化部17の設置位置は、実施形態に限定されるものではない。例えば、空気調和機1が、当該空気調和機と別に設けられた中央管理装置(不図示)により管理されている場合には、中央管理装置が制御部100の各機能を備えてもよい。また、スピーカ130は、被空調空間に設置されていればよく、室内機10と一体に設けられていなくてもよい。変化部17は、室内機10と別に設けられてもよい。なお、変化部17は、例えば、室内機10の真下の壁など、漏洩冷媒が流れると予測される位置で、且つ撮影部12が撮影可能な位置に配置されるものとする。撮影部12は、被空調空間及び変化部17を撮影可能な位置に設置されていればよく、室内機10と一体に設けられていなくてもよい。
【0042】
さらに、他の例としては、変化部17及び撮影部12は、室外機20に設けられてもよい。この場合には、室外機20側の漏洩冷媒を検出することができる。
【0043】
第9の変形例としては、変化部は、可燃性冷媒と接触することで、その可視状態が変化するものであればよく、変化部は、例えば、その色が変化するものであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 空気調和機
10 室内機
11 リモコン通信部
12 撮影部
14 室内熱交換器
15 室内フン
16 筐体
17 変化部
18 背面
20 室外機
21 圧縮機
22 室外熱交換器
23 室外ファン
24 膨張弁
25 四方弁
100 制御部
101 検知部
102 状況特定部
103 風調整部
104 出力処理部
110 通信部
120 記録媒体
130 スピーカ
141a 前面フィルタ
141b 上面フィルタ
142 上下風向板
143 ケーシング
161 前面
162 上面
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9