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特開2025-29441ダンサーユニット及びフィルム搬送機構
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  • 特開-ダンサーユニット及びフィルム搬送機構 図1
  • 特開-ダンサーユニット及びフィルム搬送機構 図2
  • 特開-ダンサーユニット及びフィルム搬送機構 図3
  • 特開-ダンサーユニット及びフィルム搬送機構 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025029441
(43)【公開日】2025-03-06
(54)【発明の名称】ダンサーユニット及びフィルム搬送機構
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/188 20060101AFI20250227BHJP
   B65H 23/10 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
B65H23/188
B65H23/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134097
(22)【出願日】2023-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】522276242
【氏名又は名称】株式会社カーボンフライ
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】秋山 武則
【テーマコード(参考)】
3F104
3F105
【Fターム(参考)】
3F104AA03
3F104EA03
3F105AA04
3F105AB00
3F105BA02
3F105BA09
3F105CA15
3F105DA04
3F105DA09
3F105DB11
3F105DC11
(57)【要約】
【課題】簡便な構造でダンサーからフィルム状の基材に加わる張力を調整可能なダンサーユニット及びフィルム搬送機構を提供する。
【解決手段】フィルムを搬送する搬送機構用のダンサーユニットであって、一対のフィードロールと、前記フィルムを搬送する方向において、前記一対のフィードロールの間に設けられたダンサーと、前記ダンサーに吊り下げられたおもり部材と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを搬送する搬送機構用のダンサーユニットであって、
一対のフィードロールと、
前記フィルムを搬送する方向において、前記一対のフィードロールの間に設けられたダンサーと、
前記ダンサーに吊り下げられたおもり部材と、を備える、ダンサーユニット。
【請求項2】
前記おもり部材の鉛直方向に設けられた台座をさらに備え、
前記ダンサーと前記台座との距離により前記フィードロールから前記フィルムに加わる張力が調整される、請求項1に記載のダンサーユニット。
【請求項3】
前記おもり部材は、鉛直方向に並ぶ複数のおもりを有する、請求項1に記載のダンサーユニット。
【請求項4】
前記台座は、前記おもり部材の鉛直方向に駆動可能な上下駆動機構上に設けられている、請求項2に記載のダンサーユニット。
【請求項5】
前記ダンサーの位置を検出可能な位置検出用レーザセンサをさらに備える、請求項1に記載のダンサーユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のダンサーユニットを一又は複数備えるフィルム搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンサーユニット及びフィルム搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路基板等の薄型材料は、フィルム状の基材に対して成膜処理、露光処理等所定の処理を行うことで作製される。フィルム状の基材に対する処理は、ロールトゥロール方式の搬送機構が活用されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
ロールトゥロールの搬送機構では、フィルム状の基材が巻き掛けられた、フィルム状の基材を搬送する回転機構が設けられた一対のフィードロールと、フィルム状の基材を搬送する方向において一対のフィードロールの間に設けられたダンサーを有するダンサーユニットが用いられる場合がある。
【0004】
ロールトゥロール方式の搬送機構では、フィルム状の基材が巻かれた巻き出しロールから薄型材料が巻き取られる巻き取りロールに向かう方向に力が加えられ、フィルム状の基材が搬送される。フィルム状の基材の搬送方向において、巻き出しロール及び巻き取りロールの間に設けられたフィードロールは、回転機構による動力でフィルム状の基材の搬送を補助する。ダンサーは、自重によりフィルム状の基材に張力を加え、フィードロールによるフィルム状の基材の搬送を補助する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-185728号公報
【特許文献2】特開2015-51831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロールトゥロール方式の搬送機構において、フィルム状の基材の搬送速度は、ダンサーからフィルム状の基材に加わる張力の影響を受ける。そのため、フィルム状の基材の搬送速度を所望の速度に調整するためには、ダンサーからフィルム状の基材に加わる張力を最適な大きさに調整することが望ましいと考えられる。
【0007】
しかしながら、ロールトゥロール方式の搬送機構において、ダンサーからフィルム状の基材に加わる張力を調整するためには、他の部材の設計を考慮した複雑な設計が必要であり、実際の製造工程における張力調整が煩雑であった。そのため、簡便な構造等を用いることで、ダンサーからフィルム状の基材に加わる張力を容易に調整可能な機構が求められている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされた発明であって、簡便な構造でダンサーからフィルム状の基材に加わる張力を容易に調整可能なダンサーユニット及びフィルム搬送機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
【0010】
(1)本発明の一態様に係るダンサーユニットは、フィルムを搬送する搬送機構用のダンサーユニットであって、一対のフィードロールと、前記フィルムを搬送する方向において、前記一対のフィードロールの間に設けられたダンサーと、前記ダンサーに吊り下げられたおもり部材と、を備える。
【0011】
(2)上記(1)のダンサーユニットは、前記おもり部材の鉛直方向に設けられた台座をさらに備え、前記ダンサーと前記台座との距離により前記フィードロールから前記フィルムに加わる張力が調整されてもよい。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)のダンサーユニットにおいて、前記おもり部材は、鉛直方向に並ぶ複数のおもりを有していてもよい。
【0013】
(4)上記(1)~(3)のいずれかのダンサーユニットにおいて、前記台座は、前記おもり部材の鉛直方向に駆動可能な上下駆動機構上に設けられていてもよい。
【0014】
(5)上記(1)~(4)のいずれかのダンサーユニットは、前記ダンサーの位置を検出可能な位置検出用レーザセンサをさらに備えていてもよい。
【0015】
(6)本発明の一態様に係るフィルム搬送機構は、上記(1)~(5)のいずれか一項に記載のダンサーユニットを一又は複数備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡便な構造であって新たな構造により、ダンサーからフィルム状の基材に加わる張力を調整可能なダンサーユニット及びフィルム搬送機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るダンサーユニットが設けられた搬送機構の構成の一例を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るダンサーユニットの構成の一例を示す断面図である。
図3図3(a)~図3(d)は、図2に示すダンサーユニットの動作を説明するための図である。
図4図4(a)~図4(d)は、図2に示すダンサーユニットの他の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合がある。このため、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっている場合がある。
【0019】
[搬送機構]
図1は、本発明の一実施形態に係るダンサーユニットが設けられたフィルム搬送機構の構成の一例を示す断面図である。図1に示される搬送機構100は、ロールトゥロール方式の搬送機構であって、ダンサーユニット10を備える。
【0020】
搬送機構100は、フィルム状の基材が巻かれた巻き出しロールR1、及び、フィルム状の基材に対して所定の処理が施された薄型材料を巻き取る巻き取りロールR2を備える。搬送機構100は、フィルムFに対して所定の処理を施す第1処理部S1,第2処理部S2,第3処理部S3、第4処理部S4及び第5処理部S5を備える。搬送機構100は、フィルムを送り出すフィードロール1、フィルムFに圧をかけて押し付けるニップロール5、及び、フィルムFが巻き掛けられたタッチロール6を複数備える。フィードロール1は、例えば、動力を有する回転体を備えており、回転可能に構成されている。搬送機構100に備えられたフィードロール1は、例えば、同一方向に回転することでフィルムFを搬送する。ニップロール5は、例えば、フィードロール1とともにフィルムFを挟む位置に設けられており、フィードロール1と協働してフィルムFを挟持しつつ、当該フィルムを下流側に搬送する。ニップロール5は、フィードロール1の回転に合わせてフィードロール1の回転方向と反対方向に回転するように構成されている。ニップロール5は、フィードロール1との間にフィルムFを挟むことでフィルムFに対して応力を与える。
【0021】
また、搬送機構100は、フィルムFに対して所定の大きさの張力を印加するダンサーユニット10を備える。図1には、説明の便宜上、フィルムFの搬送方向が矢印で示されている。例えば、搬送機構100は、フィルムFの搬送方向に関して、巻き出しロールR1の下流側であって第1処理部S1の上流側に、フィルムFに対して所定の大きさの張力を印加するダンサーユニット10を備えている。
【0022】
第1処理部S1は、例えば、フィルムFに対して所定の予備処理をする領域である。第1処理部S1は、例えば外部と仕切られた1又は複数の内部空間を有しており、該内部空間でフィルムFに対して1又は複数の予備処理を行う。
【0023】
第2処理部S2は、例えば、第1処理部S1の内部空間の圧力と大気との気圧差を緩和する領域である。第2処理部S2には、例えば、ダンサーユニット10が設けられている。気圧差が大きい領域においては、気圧差の小さい領域と比べ、フィルムFに伸びや縮みが生じやすく、ダンサーユニット10を設けることで、所定の張力をフィルムFに印加し、気圧差等に因って生じるフィルムFの伸縮を抑制できる。
【0024】
第3処理部S3は、例えば、連続的に巻き出されるフィルムF及びバッチ式で処理が行われる領域の間でフィルムFを蓄積するアキュムレータである。
【0025】
第4処理部S4は、例えば、フィルムFに対して加熱を伴う所定の処理を行う領域である。第4処理部S4の上流及び下流には、例えば、ダンサーユニット10を備えている。ダンサーユニット10がこのような位置に設けられていることで、加熱に伴いフィルムFに伸びが生じた箇所においても十分な張力をフィルムFに加えることができる。
【0026】
第5処理部S5は、例えば、フィルムFに対して仕上げ処理を行う領域である。
【0027】
搬送機構100において、ダンサーユニット10の近傍には、例えば、位置検出機材20が備えられている。位置検出機材20は、例えば、位置検出用レーザセンサである。位置検出機材20としてレーザセンサを用いる場合、ダンサーユニット10に対してレーザを照射し、ダンサー位置を検出可能なように構成されている。図1においては、位置検出機材20としてレーザセンサが、ダンサーユニット10の上方に設けられている例を示しているが、側方に設けられていてもよい。
【0028】
[ダンサーユニット]
図2は、本発明の一実施形態に係るダンサーユニットの構成の一例を示す断面図である。ダンサーユニット10は、フィルムFを搬送する搬送機構用のダンサーユニットであって、一対のフィードロール1a,1b、フィルムFの搬送方向において、一対のフィードロール1a,1bの間に設けられたダンサー2及びダンサー2に吊り下げられたおもり部材3を備える。ここで、本実施形態において特に言及がない場合、ダンサー2は、ダンサーロールを表す。ダンサーユニット10は、例えば、一対のフィードロール1a,1bとともにフィルムFを挟むニップロール5a,5b及びおもり部材3の鉛直方向に設けられた台座4をさらに備える。
【0029】
ダンサーユニット10において、一対のフィードロール1a,1bは、例えば、ダンサー2からの距離が等距離となるように設けられている。フィードロール1aは、ダンサー2に対してフィルムFの搬送方向上流側に位置する。フィードロール1bは、ダンサー2に対してフィルムFの搬送方向下流側に位置する。
【0030】
同様に、ダンサーユニット10において、一対のニップロール5a,5bは、ダンサー2からの距離が等距離となるように設けられている。ニップロール5aは、ダンサー2に対してフィルムFの搬送方向上流側に位置する。ニップロール5bは、ダンサー2に対してフィルムFの搬送方向下流側に位置する。
【0031】
ダンサーユニット10において、フィードロール1a,1bは、例えば、一対のニップロール5a,5bとともにフィルムFを挟むように構成されている。図2には、フィードロール1a,1b、ニップロール5a,5b及びダンサー2の回転方向が矢印で示されている。ダンサーユニット10において、一対のフィードロール1a,1bの回転速度は、それぞれ独立に調整可能に構成されている。
【0032】
ダンサー2には、おもり部材3が吊り下げられている。おもり部材3は、例えば、ダンサー2に取り付けられた紐状部材Lと、紐状部材Lに設けられた複数のおもり3a~3dとを備える。複数のおもり3a~3dは、例えば、それぞれの重さが既知のおもりである。複数のおもり3a~3dは、例えば、鉛直方向に一列に並ぶように設けられている。
【0033】
ダンサーユニット10は、ダンサー2からフィルムFに加わる張力を調整可能に構成されている。図3を参照しながらダンサーユニット10におけるダンサー2からフィルムFに加わる張力の調整方法について説明する。
【0034】
図3(a)~図3(d)は、図2に示すダンサーユニット10の動作を説明するための図である。
【0035】
図3(a)に示されるように、ダンサー2の台座4表面からの距離dが十分に大きいとき、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は最大となる。図3(a)に示される状態では、ダンサー2に吊り下げられたおもり部材3のうち、ダンサー2から最も離間したおもり3dは、台座4表面と離間している。従って、図3(a)に示される状態では、おもり部材3の総重量、すなわちおもり3a~3dの重量に対応する張力がダンサー2からフィルムFに加わる。ここで台座4表面とは、台座4の上面のうちおもり部材3に最近接している部分を意味する。
【0036】
図3(b)は、図3(a)に示される状態からダンサー2が矢印方向に移動した状態のダンサーユニット10を示している。例えば、搬送方向下流に位置するフィルムFに伸びが生じた場合や、所定の時間だけダンサーユニット10の上流及び下流との間で搬送速度に差を設けた場合、ダンサー2は、図3(b)中矢印方向に移動する。具体的には、搬送方向下流に位置するフィルムFが加熱等の処理をされた場合や、フィードロール1bの回転速度をフィードロール1aの回転速度よりも低くなるように調整した場合、図3(a)に示される状態から図3(b)に示される状態に変化する。
【0037】
図3(b)に示されるように、ダンサー2の台座4表面からの距離dが図3(a)に示される状態よりも小さいとき、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は、図3(a)の状態における張力以下の値となる。図3(b)に示される状態では、おもり部材3のうちダンサー2から最も離間したおもり3dが台座4表面と接しており、紐状部材Lのうちおもり3c及びおもり3dの間に位置する部分のみが弛んでいる。図3(b)に示される状態では、おもり部材3の総重量からおもり3dの重量を差し引いた重量、すなわちおもり3a~3cの重量に対応する張力がダンサー2からフィルムFに加わる。
【0038】
図3(c)は、図3(b)に示される状態からダンサー2が矢印方向に移動した状態のダンサーユニット10を示している。図3(c)に示される状態は、図3(a)から図3(b)に変化する状態を維持することで得られる。すなわち、図3(c)に示される状態は、フィードロール1bの回転速度がフィードロール1aの回転速度よりも低くなるように調整することにより得られる。
【0039】
図3(c)に示されるように、ダンサー2の台座4表面からの距離dが図3(b)に示される状態よりも小さいとき、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は、図3(b)の状態における張力以下の値をとる。図3(c)に示される状態では、おもり部材3のうちダンサー2から最も離間したおもり3dが台座4表面と接しており、紐状部材Lのうちおもり3b及びおもり3cの間に位置する部分が弛んでいる。図3(c)に示される状態では、おもり部材3の総重量からおもり3c、3dの重量を差し引いた重量、すなわちおもり3a、3bの重量に対応する張力がダンサー2からフィルムFに加わる。
【0040】
図3(d)は、図3(c)に示される状態からダンサー2が矢印方向に移動した状態のダンサーユニット10を示している。図3(d)に示されるように、ダンサー2の台座4表面からの距離dが図3(c)に示される状態よりも小さいとき、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は、図3(c)の状態における張力以下の値をとる。図3(d)に示される状態では、おもり部材3のうちダンサー2から最も離間したおもり3dが台座4表面と接しており、ダンサー2及びおもり3aの間に位置する紐状部材Lが弛んでいる。図3(d)に示される状態では、おもり部材3の総重量に対応する張力は、ダンサー2からフィルムFに加わっていない。図3(d)に示される状態は、図3(b)から図3(c)に変化する状態を維持することで得られる。すなわち、図3(d)に示される状態は、フィードロール1bの回転速度がフィードロール1aの回転速度よりも低くなるように調整することにより得られる。
【0041】
図3(a)~図3(d)に示すように、おもり部材3の一部又は全部が台座4に載置され、台座4におもり部材3による荷重がかかるとき、該荷重の大きさに対応してダンサー2からフィルムFに張力が加えられる。例えば台座4のおもり部材3による荷重が大きくなると、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は小さくなり、台座4のおもり部材3による荷重が小さくなると、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は大きくなる。
【0042】
図3(a)~図3(d)では、フィルムFの伸びやダンサーユニット10の上流及び下流における搬送速度の違いにより、鉛直方向におけるダンサー2の位置が変化し、ダンサー2及び台座4表面間の距離が調整される例を示したが、台座4の位置を調整することにより、ダンサー2及び台座4表面間の距離を調整してもよい。
【0043】
尚、上記例では、ダンサー2からフィルムFに加わる張力を小さくする形態について述べたが、逆の操作をすることにより、ダンサー2からのフィルムFに加わる張力を大きくすることも可能である。すなわち、図3(d)に示される状態においてフィードロール1bの回転速度がフィードロール1aの回転速度よりも大きくなるように調整することで、図3(c)、図3(b)、図3(a)に示される状態を順に得ることも可能である。
【0044】
図4(a)~図4(d)は、図2に示すダンサーユニットの他の動作を説明するための図である。ダンサーユニット10に設けられる台座4は、例えば、上下に駆動可能な上下駆動機構41上に設けられている。
【0045】
図4(a)に示されるように、ダンサー2の台座4表面からの距離dが十分に大きいとき、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は最大となる。図4(a)に示される状態では、ダンサー2に吊り下げられたおもり部材3のうち、ダンサー2から最も離間したおもり3dは、台座4表面と離間している。従って、図4(a)に示される状態では、おもり部材3の総重量、すなわちおもり3a~3dの重量に対応する張力がダンサー2からフィルムFに加わる。
【0046】
図4(b)は、図4(a)に示される状態から台座4が上下駆動機構41により矢印方向に移動した状態のダンサーユニット10を示している。図4(b)に示されるように、ダンサー2の台座4表面からの距離dが図4(a)に示される状態よりも小さいとき、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は、図4(a)の状態における張力以下の値となる。図4(b)に示される状態では、おもり部材3のうちダンサー2から最も離間したおもり3dが台座4表面と接しており、紐状部材Lのうちおもり3c及びおもり3dの間に位置する部分のみが弛んでいる。図4(b)に示される状態では、おもり部材3の総重量からおもり3dの重量を差し引いた重量、すなわちおもり3a~おもり3cの重量に対応する張力がダンサー2からフィルムFに加わる。
【0047】
図4(c)は、図4(b)に示される状態から台座4が上下駆動機構41により矢印方向に移動した状態のダンサーユニット10を示している。図4(c)に示されるように、ダンサー2の台座4表面からの距離dが図4(b)に示される状態よりも小さいとき、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は、図4(b)の状態における張力以下の値をとる。図4(c)に示される状態では、おもり部材3のうちダンサー2から最も離間したおもり3dが台座4表面と接しており、紐状部材Lのうちおもり3b及びおもり3cの間に位置する部分が弛んでいる。図4(c)に示される状態では、おもり部材3の総重量からおもり3c、3dの重量を差し引いた重量、すなわちおもり3a、3bの重量に対応する張力がダンサー2からフィルムFに加わる。
【0048】
図4(d)は、図4(c)に示される状態から台座4が上下駆動機構41により矢印方向に移動した状態のダンサーユニット10を示している。図4(d)に示されるように、ダンサー2の台座4表面からの距離dが図4(c)に示される状態よりも小さいとき、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は、図4(c)の状態における張力以下の値をとる。図4(d)に示される状態では、おもり部材3のうちダンサー2から最も離間したおもり3dが台座4表面と接しており、ダンサー2及びおもり3aの間に位置する紐状部材Lが弛んでいる。図4(d)に示される状態では、おもり部材3の総重量に対応する張力は、ダンサー2からフィルムFに加わっていない。
【0049】
図4(a)~図4(d)に示すように、おもり部材3の一部が台座4と接し、台座4におもり部材3による荷重がかかるとき、該荷重の大きさに対応してダンサー2からフィルムFに張力が加えられる。例えば、台座4のおもり部材3による荷重が大きくなると、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は小さくなり、台座4のおもり部材3による荷重が小さくなると、ダンサー2からフィルムFに加わる張力は大きくなる。
【0050】
ダンサー2の台座4表面からの距離dは、例えば、位置検出用のレーザセンサ等の位置検出機材20用いて測定可能である。位置検出機材20は、例えば、レーザセンサであり、カメラ及び定規等を用いてもよい。
【0051】
図1図4においては、おもり部材3が4つのおもり3a~3dを含む例を示したが、本実施形態に係るダンサーユニット10に備えられるおもり部材3は、この例に限定されず、一又は複数のおもりを含んでいればよい。おもりの数がいずれの場合においても、該おもりの位置を位置検出機材20により識別することで、おもりがフィルムFに及ぼす張力を識別可能に構成されていればよい。ただ一つのおもりを含む場合、おもり及び台座が接しているか否かにより、ダンサー2からフィルムFに加わる張力を調整可能である。
また、台座4は、おもり部材からの荷重を秤量可能な秤を含んでいてもよい。
【0052】
上述したように、本実施形態によれば、ダンサーユニット10が、一対のフィードロール1a,1bと、フィルムFを搬送する方向において、一対のフィードロール1a,1bの間に設けられたダンサー2と、ダンサー2に吊り下げられたおもり部材とを備えるので、位置検出機材20で測定されるダンサー2の台座4表面からの距離dに基づき、ダンサー2によりフィルムFに加わる張力を調整することができる。したがって簡便な構造でダンサーからフィルム状の基材に加わる張力を容易に調整可能なダンサーユニット、フィルム搬送機構及び該フィルム搬送機構を利用して、ダンサー2の台座4表面からの距離dに基づき、ダンサー2によりフィルムFに加わる張力を調整する工程を有するフィルム搬送方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
1,1a,1b:フィードロール、2:ダンサー、3:おもり部材、3a,3b,3c,3d:おもり、4:台座、5,5a,5b:ニップロール、10:ダンサーユニット、20:位置検出機材、100:搬送機構、L:紐状部材
図1
図2
図3
図4