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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002954
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】端子ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6477 20110101AFI20241226BHJP
【FI】
H01R13/6477
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103368
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利一
(72)【発明者】
【氏名】一尾 敏文
(72)【発明者】
【氏名】武富 勝彦
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB11
5E021FC23
5E021FC40
5E021LA10
5E021LA15
(57)【要約】
【課題】一対の端子金具間の短絡を抑制することを目的とする。
【解決手段】被覆電線からなる一対のコア線71をシース73で包囲した形態の電線70と、一対のコア線71のうちシース73から前方へ導出される導出部76の前端部に接続される一対の端子金具80と、一対のコア線71の導出部76に組み付けられる導電性を有するインピーダンス調整部材90と、を備えている。インピーダンス調整部材90は、一対の端子金具80の間を絶縁する絶縁部92を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆電線からなる一対のコア線をシースで包囲した形態の電線と、
一対の前記コア線のうち前記シースから前方へ導出される導出部の前端部に接続される一対の端子金具と、
一対の前記コア線の前記導出部に組み付けられる導電性を有するインピーダンス調整部材と、
を備え、
前記インピーダンス調整部材は、一対の前記端子金具の間を絶縁する絶縁部を有する端子ユニット。
【請求項2】
前記インピーダンス調整部材は、導電性を有する導電部を有し、
前記絶縁部は、前記導電部の全体を被覆する被膜である請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項3】
前記インピーダンス調整部材は、導電性を有する導電部を有し、
前記絶縁部は、前記導電部のうちの前端部のみを被覆する被膜である請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項4】
前記インピーダンス調整部材は、導電性を有する導電部を有し、
前記導電部は、絶縁性樹脂を含み、
前記インピーダンス調整部材は、前記導電部と、エラストマを含む前記絶縁部とによって構成される2色成形体である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の端子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される端子モジュールは、被覆電線と、被覆電線を覆うシース部と、を有するシールド電線を備えている。被覆電線の前端には、端子が接続されている。被覆電線の端子側の端部は、シースから露出する露出部とされている。露出部は、導電性を有するインピーダンス調整部材によって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-106168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、露出部の前端に端子金具が接続されているため、インピーダンス調整部材と端子金具が近接した状態では、インピーダンス調整部材を経由して一対の端子金具間が短絡する懸念がある。一対の端子金具間が短絡すると、伝送に支障を来たす懸念される。
本開示のコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、一対の端子金具間の短絡を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の端子ユニットは、
被覆電線からなる一対のコア線をシースで包囲した形態の電線と、
一対の前記コア線のうち前記シースから前方へ導出される導出部の前端部に接続される一対の端子金具と、
一対の前記コア線の前記導出部に組み付けられる導電性を有するインピーダンス調整部材と、
を備え、
前記インピーダンス調整部材は、一対の前記端子金具の間を絶縁する絶縁部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、一対の端子金具間の短絡を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施例1のコネクタの斜視図である。
図2図2は、図1に示すコネクタを構成するモジュールの分解斜視図である。
図3図3は、図2に示すモジュールを構成する端子ユニットの分解斜視図である。
図4図4は、図2に示すモジュールにおいて前後方向に直交する断面を前方側から見た一対のコア線及びインピーダンス調整部材の断面図である。
図5図5は、図1のコネクタにおいてモジュール以外の部材の断面を示す側断面図ある。
図6図6は、図5の一部拡大図ある。
図7図7は、図6において導出部及びインピーダンス調整部材も断面にして示す一部拡大図ある。
図8図8は、実施例2のコネクタを構成するインピーダンス調整部材の斜視図である。
図9図9は、実施例2のコネクタの図7相当図である。
図10図10は、実施例3のコネクタの図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の端子ユニットは、
(1)被覆電線からなる一対のコア線をシースで包囲した形態の電線と、
一対の前記コア線のうち前記シースから前方へ導出される導出部の前端部に接続される一対の端子金具と、
一対の前記コア線の前記導出部に組み付けられる導電性を有するインピーダンス調整部材と、
を備え、
前記インピーダンス調整部材は、一対の前記端子金具の間を絶縁する絶縁部を有する。
本開示の構成によれば、導電性を有するインピーダンス調整部材が一対のコア線のうちシースから前方へ導出される導出部に組み付けられる。この構成により、一対のコア線のうちシースに包囲されている部分と導出部との間におけるインピーダンスの変化を抑制できる。その上で、インピーダンス調整部材が一対の端子金具の間を絶縁する絶縁部を有するため、絶縁部によって一対の端子金具間の短絡を抑制できる。
【0009】
(2)(1)において、前記インピーダンス調整部材は、導電性を有する導電部を有し、前記絶縁部は、前記導電部の全体を被覆する被膜であることが好ましい。この構成によれば、絶縁部に覆われて導電部が露出しないため、端子金具と導電部との短絡をより効果的に抑制できる。
【0010】
(3)(1)において、前記インピーダンス調整部材は、導電性を有する導電部を有し、前記絶縁部は、前記導電部のうちの前端部のみを被覆する被膜であることが好ましい。この構成によれば、導電部と端子金具との間に絶縁部が介在し、導電部と端子金具との短絡を抑制できる。その上で、絶縁部が導電部のうちの前端部のみを被覆するため、絶縁部の材料を低減して、効率的に導電部と端子金具との短絡を抑制できる。
【0011】
(4)(1)から(3)のいずれかにおいて、前記インピーダンス調整部材は、導電性を有する導電部を有し、前記導電部は、導電性樹脂を含み、前記インピーダンス調整部材は、前記導電部と、エラストマを含む前記絶縁部とによって構成される2色成形体であることが好ましい。この構成によれば、インピーダンス調整部材の製造時に、導電部と絶縁部とを組み付ける工程を省くことができる。
【0012】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示を具体化した実施例1を、図1図7を参照して説明する。本実施例1において、前後の方向については、図1におけるF方向を前方と定義する。前方は、コネクタ10が相手コネクタ(図示略)に嵌合する方向である。上下の方向については、図1におけるH方向を上方と定義する。左右の方向については、図1におけるR方向を右方と定義する。
【0013】
本実施例1のコネクタ10を図1に示す。コネクタ10は、モジュール11と、ハウジング20と、を備えている。コネクタ10は、相手コネクタ(図示略)に嵌合される。
【0014】
ハウジング20は、例えば合成樹脂製である。ハウジング20は、図1に示すように、前後方向に貫通するモジュール収容部21を有している。モジュール収容部21には、モジュール11が収容されている。図5に示すように、モジュール収容部21の後部内壁の上面には、ランス22が前方に突出して形成されている。ランス22は上下方向に弾性変形可能である。図1に示すように、ハウジング20の上壁には、ロックアーム23が形成されている。
【0015】
モジュール11は、図2に示すように、端子ユニット30と、誘電体40と、外導体50と、外導体カバー60と、を有している。端子ユニット30は、図3に示すように、電線70と、端子金具80と、インピーダンス調整部材90と、を具備している。
【0016】
(電線)
電線70は、通信用の信号が伝送される。電線70は、図3に示すように、一対のコア線71と、シールド体72と、シース73と、を有している。一対のコア線71は、互いに撚り合わされたツイストペア線を構成している。一対のコア線71の前端(後述する導出部76)は、撚りが解かれて互いに平行に真っ直ぐに延びている。コア線71は、被覆電線からなり、絶縁被覆74によって包囲された導電性の芯線75を具備している。シールド体72は、一対のコア線71の外周を一括して覆う編組線等として構成されている。シース73は、一対のコア線71及びシールド体72を包囲している。
【0017】
電線70の端部では、シース73が除去され、一対のコア線71が露出している。シールド体72の端部は、シース73の端部から折り返されてシース73の外周側に露出している。
【0018】
コア線71は、シース73の前端部(シールド体72の折り返し部分)より前方へ導出される導出部76を具備している。導出部76は、外部に露出している。導出部76は、芯線導出部77と、被覆導出部78と、を含んでいる。芯線導出部77は、前端部において絶縁被覆74の除去によって露出する芯線75からなる。被覆導出部78は、芯線導出部77からシース73の前端部に至るまでの間において絶縁被覆74が露出した部分である。
【0019】
(端子金具)
図2図3に示すように、端子金具80は、コネクタ10において、2本のコア線71に対応して2つ設けられている。端子金具80は、導電性の金属板を曲げ加工等して形成されている。図3に示すように、端子金具80は、雌型端子であって、端子接続部81と、ワイヤバレル82と、インシュレーションバレル83と、を有している。端子接続部81は、角筒状である。端子接続部81は、コネクタ10と相手コネクタ(図示略)との嵌合時に、相手コネクタの相手端子金具(図示略)に電気的に接続される。
【0020】
端子金具80は、前後方向の全長に亘って延びる帯板状の基部84(図5参照)を有している。ワイヤバレル82は、図3に示すように、基部84の前後中間部の左右両側から立ち上がる一対のワイヤバレル片85を具備している。各ワイヤバレル片85は、前後方向に長い矩形板片状をなしている。各ワイヤバレル片85はコア線71の芯線導出部77に巻き付けられている。これにより、ワイヤバレル82は、芯線導出部77に圧着して電気的に接続されている。具体的には、各ワイヤバレル片85は、芯線導出部77の外周面に沿って変形させられ、左右中央部にて突き合わされている。なお、図3に示すワイヤバレル82は、便宜上、芯線導出部77に圧着した変形後の形態を示している。正確には、ワイヤバレル82は、変形前、オープンバレル状に形成されている。
【0021】
インシュレーションバレル83は、基部84(図5参照)の後端部の左右両側から立ち上がる一対のインシュレーションバレル片86を具備している。各インシュレーションバレル片86は、ワイヤバレル片85より立ち上げ寸法が大きい板片状をなしている。各インシュレーションバレル片86は、コア線71の被覆導出部78の前端に巻き付けられている。インシュレーションバレル83は、被覆導出部78に圧着して機械的に接続されている。具体的には、各インシュレーションバレル片86は、被覆導出部78を構成する絶縁被覆74の外周面に沿って変形させられ、先端部が前後方向にラップするように位置ずれして配置されている。なお、図3に示すインシュレーションバレル83は、便宜上、被覆導出部78に圧着した変形後の形態を示している。正確には、インシュレーションバレル83は、変形前、オープンバレル状に形成されている。
【0022】
(誘電体)
図2に示すように、誘電体40は、絶縁性の合成樹脂材によって前後方向に長い直方体状に形成されている。誘電体40は、ロア部材41とアッパ部材42とを上下方向に互いに組み合わせることによって形成されている。2つの端子金具80は、コア線71に接続された状態で、誘電体40内に左右方向に並んで収容されている。
【0023】
(外導体)
外導体50は、導電性の金属板を曲げ加工等して形成されている。図2に示すように、外導体50は、前後方向に長い角筒状の嵌合筒部51と、電線70のシールド体72に接続されるシールド接続部52と、を具備している。
【0024】
嵌合筒部51内には、後方から誘電体40が挿入されて収容される。嵌合筒部51内に誘電体40が収容されると、端子金具80が誘電体40によって嵌合筒部51から電気的に絶縁される。嵌合筒部51には、相手コネクタ(図示略)の相手外導体(図示略)と接触する弾性変形可能な弾性接触部53が形成されている。
【0025】
シールド接続部52は、嵌合筒部51の後端下縁から後方に延びる板状をなしている。図5に示すように、シールド接続部52は、シールド体72の下方に配置され、外導体カバー60の圧着力を受けてシールド体72に接続されている。
【0026】
(外導体カバー)
外導体カバー60は、導電性の金属板を曲げ加工等して形成されている。図5に示すように、嵌合筒部51の後部は、外導体カバー60の前部の内側に配置される。図2に示すように、外導体カバー60の前部の上壁には、方形の開口孔61と、開口孔61の前縁から上方に突出するハウジング係止部62と、が形成されている。
【0027】
外導体カバー60の後部には、シールドバレル部63が形成されている。図5に示すように、シールドバレル部63は、外導体50のシールド接続部52を内側に配置しつつ電線70のシールド体72に圧着して接続される。なお、図2に示すシールドバレル部63は、便宜上、電線70のシールド体72に圧着した変形後の形態を示している。正確には、シールドバレル部63は、変形前、オープンバレル状に形成されている。
【0028】
図5に示すように、ハウジング20のランス22が開口孔61に嵌まりつつハウジング係止部62に係止されることにより、モジュール11がモジュール収容部21に抜け止めされる。
【0029】
(インピーダンス調整部材)
インピーダンス調整部材90は、導電性を有し、図2に示すように、一対のコア線71の導出部76に組み付けられる。インピーダンス調整部材90は、図4図7に示すように、導電性を有する導電部91と、絶縁部92と、を有している。導電部91は、導電性の金属板を曲げ加工等して形成されている。図4に示すように、導電部91は、コア線71の被覆導出部78を構成する絶縁被覆74に装着される一対の調整本体部93と、一対の調整本体部93を連結する連結部94と、を具備している。
【0030】
調整本体部93は、被覆導出部78の絶縁被覆74におけるシース73寄りの外周面を周方向に覆う断面C字の円筒状をなしている。調整本体部93の前後方向の長さは、被覆導出部78の前後方向の長さよりも短くされている。
【0031】
図4に示すように、連結部94は、上方に向かって膨らむように湾曲した形状であって、一対の調整本体部93を左右方向に連結している。連結部94は、後部に比べて前部が左右方向に幅広となるように形成されている。このため、インピーダンス調整部材90は、後部に比べて前部が左右方向に幅広となっている。
【0032】
絶縁部92は、一対の端子金具80の間を絶縁する。絶縁部92は、導電部91の表面全体を被覆する被膜である。絶縁部92は、例えば導電部91の基となる部材を、絶縁部92となる材料の溶液に浸漬して形成される。また、絶縁部92は、導電部91の基となる部材の表面に、絶縁部92となる材料をスプレー式塗装によって付着させて形成されてもよい。絶縁部92は、導電部91の湾曲形状に沿って湾曲している。絶縁部92は、例えば絶縁性を有する樹脂材料(プリント基板に用いられるレジスト等と同様の材料)によって形成されている。
【0033】
絶縁部92は、調整本体部93及び連結部94を被覆している。具体的には、絶縁部92は、導電部91の内面95を覆っている。導電部91の内面95は、導電部91において被覆導出部78の外面に対向する面である。絶縁部92は、導電部91の外面96を覆っている。導電部91の外面96は、内面95と反対側の面である。
【0034】
絶縁部92は、図7に示すように、導電部91の前端面97を覆っている。導電部91の前端面97は、端子金具80のインシュレーションバレル83の後端面に対向する面である。絶縁部92は、導電部91の後端面98を覆っている。導電部91の後端面98は、シールド体72(図3図5参照)の折り返し部分(シース73の前端部)に対向する面である。
【0035】
(実施例1のコネクタの効果)
本実施例1のコネクタ10では、導電性を有するインピーダンス調整部材90が、一対のコア線71のうちシース73から前方へ導出される導出部76に組み付けられている。この構成により、一対のコア線71のうちシース73に包囲されている部分と導出部76との間におけるインピーダンスの変化を抑制できる。その上で、インピーダンス調整部材90が一対の端子金具80の間を絶縁する絶縁部92を有するため、絶縁部92によって一対の端子金具80間の短絡を抑制できる。
【0036】
また、インピーダンス調整部材90の絶縁部92によって一対の端子金具80間の短絡を抑制できるため、一対のコア線71による伝送性能を高く維持したまま、インピーダンス調整部材90を端子金具80に近接した状態で導出部76に組み付けることができる。これにより、一対のコア線71の撚り解き長、及び芯線75の絶縁被覆74からの露出長をより一層短くできる。
【0037】
本実施例1のコネクタ10において、インピーダンス調整部材90は、導電性を有する導電部91を有している。絶縁部92は、導電部91の全体を被覆する被膜である。この構成により、絶縁部92に覆われて導電部91が露出しないため、端子金具80と導電部91との短絡をより効果的に抑制できる。
【0038】
[実施例2]
実施例2のコネクタ210は、インピーダンス調整部材の構成が実施例1と異なり、その他の点では共通する。なお、実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0039】
(インピーダンス調整部材)
実施例2のコネクタ210は、図8に示すインピーダンス調整部材290を備えている。インピーダンス調整部材290は、導電部91と、絶縁部292と、を有している。絶縁部292は、一対の端子金具80の間を絶縁する。絶縁部292は、導電部91のうちの前端部299のみを被覆する被膜である。絶縁部292は、左右方向において導電部91の湾曲形状に沿って湾曲している。絶縁部292は、例えば絶縁性を有する樹脂材料(プリント基板に用いられるレジスト等と同様の材料)によって形成されている。
【0040】
絶縁部292は、調整本体部93の前端部、及び連結部94(図4参照)の前端部を被覆している。具体的には、絶縁部292は、導電部91の内面95の前端部を覆っている。絶縁部292は、導電部91の外面96の前端部を覆っている。
【0041】
絶縁部292は、図9に示すように、導電部91の前端面97を覆っている。導電部91の前端面97は、端子金具80のインシュレーションバレル83の後端面に対向する面である。
【0042】
(実施例2のコネクタの効果)
本実施例2のコネクタ210では、インピーダンス調整部材290の絶縁部292は、導電部91のうちの前端部299のみを被覆する被膜である。この構成により、絶縁部292が導電部91のうちの前端部299を被覆するため、導電部91と端子金具80との間に絶縁部292が介在し、導電部91と端子金具80との短絡を抑制できる。その上で、絶縁部292が導電部91のうちの前端部299のみを被覆するため、絶縁部292の材料を低減して、効率的に導電部91と端子金具80との短絡を抑制できる。
【0043】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記の実施形態も含まれる。
【0044】
上記実施例1のコネクタ10において、インピーダンス調整部材90が湾曲板状であったが、コア線71(被覆導出部78)に組み付けられる構成であればこれに限られない。例えば、図10に示すインピーダンス調整部材390のような構成であってもよい。インピーダンス調整部材390は、導電部391と、絶縁部392と、を有している。導電部391は、断面視C字状の一対の調整本体部393と、一対の調整本体部393を連結する連結部394と、を具備している。連結部394は、一対の調整本体部393を背中合わせに(開口が左右両側にそれぞれ向くように)連結している。絶縁部392は、導電部391の全体を被覆している。
【0045】
上記実施例1のインピーダンス調整部材90は、金属製の導電部91と、絶縁樹脂製の絶縁部92と、を有していたが、導電性樹脂を含む導電部と、エラストマを含む絶縁部とによって構成される2色成形体であってもよい。このような構成では、インピーダンス調整部材の製造時に、導電部と絶縁部とを組み付ける工程を省くことができる。なお、導電部及び絶縁部の形状は上記実施例1,2の導電部及び絶縁部の形状を採用できる。
【0046】
上記実施例1のインピーダンス調整部材90では、絶縁部92が、導電部91の全体を被覆していたが、導電部91の前端面97を覆っていれば、全体を被覆していなくてもいい。例えば、絶縁部92は、導電部91の前端面97とともに、導電部91の内面95及び外面96の一方のみを被覆する構成であってもよい。上記実施例2のインピーダンス調整部材290についても同様である。
【0047】
上記実施例1のインピーダンス調整部材90では、絶縁部92が、導電部91の前端面97の全体を覆っていたが、一対の調整本体部93の前端部のみや、一方の調整本体部93の前端部のみを覆っていてもよい。
【0048】
上記実施例1のインピーダンス調整部材90では、導電部91は、単一の部品から構成されていたが、複数の部品を組み付けて構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10: コネクタ
11: モジュール
20: ハウジング
21: モジュール収容部
22: ランス
23: ロックアーム
30: 端子ユニット
40: 誘電体
41: ロア部材
42: アッパ部材
50: 外導体
51: 嵌合筒部
52: シールド接続部
53: 弾性接触部
60: 外導体カバー
61: 開口孔
62: ハウジング係止部
63: シールドバレル部
70: 電線
71: コア線
72: シールド体
73: シース
74: 絶縁被覆
75: 芯線
76: 導出部
77: 芯線導出部
78: 被覆導出部
80: 端子金具
81: 端子接続部
82: ワイヤバレル
83: インシュレーションバレル
84: 基部
85: ワイヤバレル片
86: インシュレーションバレル片
90: インピーダンス調整部材
91: 導電部
92: 絶縁部
93: 調整本体部
94: 連結部
95: 内面
96: 外面
97: 前端面
98: 後端面
210: コネクタ
290: インピーダンス調整部材
292: 絶縁部
299: 前端部
390: インピーダンス調整部材
391: 導電部
392: 絶縁部
393: 調整本体部
394: 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10