IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 杉本 光弘の特許一覧

<>
  • 特開-均平作業用信号変換装置 図1
  • 特開-均平作業用信号変換装置 図2
  • 特開-均平作業用信号変換装置 図3
  • 特開-均平作業用信号変換装置 図4
  • 特開-均平作業用信号変換装置 図5
  • 特開-均平作業用信号変換装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025029543
(43)【公開日】2025-03-06
(54)【発明の名称】均平作業用信号変換装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/114 20060101AFI20250227BHJP
【FI】
A01B63/114
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134291
(22)【出願日】2023-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】523318800
【氏名又は名称】杉本 光弘
(74)【代理人】
【識別番号】100149696
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】杉本 光弘
【テーマコード(参考)】
2B304
【Fターム(参考)】
2B304KA20
2B304LA04
2B304LB05
2B304LB15
2B304LC05
2B304MA03
2B304MB02
2B304PB06
2B304PC02
2B304PC13
2B304PC15
2B304QA08
2B304QA10
2B304QA12
2B304QA15
2B304QB14
2B304QC12
2B304QC17
2B304QC19
2B304RA27
2B304RA28
(57)【要約】
【課題】GNSS均平制御技術の利用を安価に可能とする技術を提供する。
【解決手段】均平作業用信号変換装置は、当該測位制御装置の出力端子から出力される測位高さ信号を受ける信号入力端子と、作業機連結機構にロータリ耕耘作業機が連結されている状態ではそのロータリ耕耘作業機の耕耘深さに対応する信号が入力されるトラクタの連結機構制御端子に対して、作業機連結機構の動作を制御するための連結機構制御信号を出力する信号出力端子と、信号入力端子から入力される測位高さ信号を連結機構制御信号に変換する信号変換回路と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機連結機構を介して特定作業機としてのロータリ耕耘作業機又は均平作業機と連結可能であり作業機連結機構を動作させることで特定作業機を昇降させ得るトラクタが、均平作業機と連結される場合に、測位衛星を用いて計測される高さ情報に基づいて測位高さ信号を出力する測位制御装置とそのトラクタとの間に接続される均平作業用信号変換装置であって、
前記測位制御装置の出力端子から出力される前記測位高さ信号を受ける信号入力端子と、
前記作業機連結機構に前記ロータリ耕耘作業機が連結されている状態では前記ロータリ耕耘作業機の耕耘深さに対応する信号が入力される前記トラクタの連結機構制御端子に対して、前記作業機連結機構の動作を制御するための連結機構制御信号を出力する信号出力端子と、
前記信号入力端子から入力される前記測位高さ信号を前記連結機構制御信号に変換する信号変換回路と、
を備える均平作業用信号変換装置。
【請求項2】
前記トラクタの電力供給端子から供給電力を受ける電源端子と、
前記信号出力端子及び前記電源端子を少なくとも含むコンバータ側コネクタと、
を更に備え、
前記トラクタは、前記連結機構制御端子及び前記電力供給端子を少なくとも含むトラクタ側コネクタを有し、前記作業機連結機構に前記ロータリ耕耘作業機が連結される場合には、トラクタ側コネクタに接続されるロータリ側装置においてトラクタ側コネクタの前記電力供給端子から供給される電力を用いて生成された前記ロータリ耕耘作業機の耕耘深さに対応する信号がトラクタ側コネクタの前記連結機構制御端子から入力され、
前記信号変換回路は、前記コンバータ側コネクタと前記トラクタ側コネクタとが接続された状態で前記電源端子から入力される前記供給電力を用いて前記連結機構制御信号を生成する、
請求項1に記載の均平作業用信号変換装置。
【請求項3】
ユーザ操作により前記信号変換回路の動作モードの切替を可能とするモード切替操作部、
を更に備え、
前記トラクタは、前記作業機連結機構に対する制御モードとして前記特定作業機が昇降せず固定されるようにするセーフティモードを設定可能であり、前記特定作業機の昇降範囲に対応する前記作業機連結機構の可動域内の基準点及び中立点を設定可能であり、セーフティモードの解除を契機に前記連結機構制御端子から入力される信号に基づいて基準点を設定し、更にその基準点に基づいて中立点を設定し、設定された中立点に対応する信号が前記連結機構制御端子から入力された場合に前記特定作業機の昇降が或る高さ位置で固定されるよう前記作業機連結機構を制御し、
前記モード切替操作部は、前記セーフティモードの解除時には、前記信号変換回路の動作モードとして基準設定モードが設定された状態となるよう操作され、前記セーフティモードの解除の後のユーザ操作により、前記基準設定モードから通常動作モードへ切り替えられ、
前記信号変換回路は、前記基準設定モードが設定されている状態では、前記信号出力端子から前記基準点に対応する信号を出力し、前記通常動作モードが設定されている状態では、前記測位高さ信号に基づく前記連結機構制御信号を前記信号出力端子から出力する、
請求項2に記載の均平作業用信号変換装置。
【請求項4】
前記信号変換回路は、
前記電源端子に対してそれぞれ並列に接続され、前記電源端子から入力される電圧を分圧して取り出す分圧端子をそれぞれ有する第一、第二、第三及び第四の分圧抵抗を更に含み、
前記基準設定モードが設定された状態では、前記第四の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間の導通により前記第四の分圧抵抗により分圧された電圧が前記基準点に対応する信号として前記信号出力端子から出力され、
前記通常動作モードが設定された状態では、前記測位高さ信号に基づいて前記第一、前記第二若しくは前記第三の分圧抵抗の分圧端子のうちのいずれか一つ又は複数と前記信号出力端子との間の導通によりいずれか一つ又は複数の分圧抵抗により分圧された電圧が前記連結機構制御信号として前記信号出力端子から出力される、
請求項3に記載の均平作業用信号変換装置。
【請求項5】
前記信号変換回路は、
前記測位高さ信号に基づいて前記第一の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間を導通状態とする第一状態か遮断状態とする第二状態かのいずれか一方に切り替える第一スイッチ回路と、
前記測位高さ信号に基づいて、前記第二の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間を導通状態としかつ前記第三及び前記第四の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間を遮断状態とする第三状態か、前記第二の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間を遮断状態としかつ前記第三又は前記第四の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間を導通状態とする第四状態かのいずれか一方に切り替える第二スイッチ回路と、
前記第二スイッチ回路が第四状態となっている場合に、前記モード切替操作部に対するユーザ操作に伴い、前記第三の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間を導通状態とし前記第四の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間を遮断状態とする第五状態か、前記第三の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間を遮断状態とし前記第四の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間を導通状態とする第六状態かのいずれか一方に切り替える第三スイッチ回路と、
を更に含み、
前記基準設定モードが設定された状態では、前記第一スイッチ回路が前記第二状態となり、前記第二スイッチ回路が前記第四状態となり、前記第三スイッチ回路が前記第六状態となり、
前記通常動作モードが設定された状態では、前記測位高さ信号が均平作業機の下降に対応する場合に、前記第一スイッチ回路が前記第二状態となりかつ前記第二スイッチ回路が前記第三状態となり、前記測位高さ信号が均平作業機の上昇に対応する場合に、前記第一スイッチ回路が前記第一状態となりかつ前記第二スイッチ回路が前記第四状態となりかつ前記第三スイッチ回路が前記第五状態となり、前記測位高さ信号が中立を示す場合に、前記第一スイッチ回路が前記第二状態となり、前記第二スイッチ回路が前記第四状態となり、前記第三スイッチ回路が前記第五状態となる、
請求項4に記載の均平作業用信号変換装置。
【請求項6】
ユーザに前記中立点の調整操作を可能とする調整操作部、
を更に備え、
前記信号変換回路は、
前記中立点に対応する信号として前記信号出力端子から前記トラクタの前記連結機構制御端子へ出力されるコンバータ側中立信号の設定手段を含み、
前記調整操作部に対するユーザによる前記調整操作に伴い、前記コンバータ側中立信号が前記トラクタで設定されている前記中立点に対応するように、前記設定手段を調整可能である、
請求項3に記載の均平作業用信号変換装置。
【請求項7】
前記信号変換回路は、
前記電源端子に対してそれぞれ並列に接続され、前記電源端子から入力される電圧を分圧して取り出す分圧端子をそれぞれ有する第一、第二、第三及び第四の分圧抵抗を更に含み、
前記基準設定モードが設定された状態では、前記第四の分圧抵抗の前記分圧端子と前記信号出力端子との間の導通により前記第四の分圧抵抗により分圧された電圧が前記基準点に対応する信号として前記信号出力端子から出力され、
前記通常動作モードが設定された状態において前記測位高さ信号が中立点を示す場合には、前記第三の分圧抵抗の分圧端子と前記信号出力端子との間の導通により前記第三の分圧抵抗により分圧された電圧が前記連結機構制御信号として前記信号出力端子から出力され、
前記第三の分圧抵抗は、前記調整操作部に対するユーザによる調整操作に伴い摺動子が移動する可変抵抗器であり、
前記第三の分圧抵抗の前記分圧端子は、前記可変抵抗器の摺動子に電気的に接続されている、
請求項6に記載の均平作業用信号変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位システム(GNSS(Global Navigation Satellite System))により計測される高さ情報に基づいてトラクタに連結される均平作業機の昇降動作を制御する技術に関する。以降、この技術をGNSS均平制御技術と表記する。
【背景技術】
【0002】
農作物の生育を良くするために水田や畑等の圃場の均平作業が行われる。この均平作業には、トラクタに装着可能な均平作業機が利用される。そして、近年では、GNSS均平制御技術を用いたトラクタ或いは均平作業機が存在している。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、GNSS均平制御技術を用いた圃場用作業装置が開示されている。この装置では、GPS(Global Positioning System)の衛星から受信する電波によって作業機の高さ位置検出信号が取得され、その高さ位置検出信号が示す高さとトラクタに装備されたポジション選択手段(ポジションコントロールレバー)で設定された作業高さとの偏差が一定になるようにリフト機構を駆動して作業機の作業高さが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-8505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GNSS均平制御技術を利用する既存の装置は、上述の圃場用作業装置のように、トラクタにそれ専用の装備を新たに追加することを前提としている。例えば、トラクタは、衛星測位システムにて検出された高さ情報の信号を入力するための専用端子と、その専用端子から入力された信号に基づいて均平作業機の昇降動作を制御する機能とを新たに装備する必要がある。
【0006】
しかしながら、このような前提下では、トラクタの価格が更に跳ね上がることになり、逆にGNSS均平制御技術の普及が停滞してしまう可能性がある。本来、GNSS均平制御技術を用いることで、農作物の生育が向上し農作業効率の向上も見込めるところ、その普及が停滞してしまった場合には、そのような恩恵を得ることができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、GNSS均平制御技術の利用を安価に可能とする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、作業機連結機構を介して特定作業機としてのロータリ耕耘作業機又は均平作業機と連結可能であり作業機連結機構を動作させることで特定作業機を昇降させ得るトラクタが、均平作業機と連結される場合に、測位衛星を用いて計測される高さ情報に基づいて測位高さ信号を出力する測位制御装置とそのトラクタとの間に接続される均平作業用信号変換装置に関する。
当該均平作業用信号変換装置は、当該測位制御装置の出力端子から出力される測位高さ信号を受ける信号入力端子と、作業機連結機構にロータリ耕耘作業機が連結されている状態ではそのロータリ耕耘作業機の耕耘深さに対応する信号が入力されるトラクタの連結機構制御端子に対して、作業機連結機構の動作を制御するための連結機構制御信号を出力する信号出力端子と、信号入力端子から入力される測位高さ信号を連結機構制御信号に変換する信号変換回路と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、GNSS均平制御技術を安価に利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る均平作業用信号変換装置(本コンバータ)を用いるトラクタ及び均平作業機を示す図である。
図2】トラクタに連結されたロータリ耕耘作業機を示す図である。
図3】均平作業機が上げられた状態を示す図である。
図4】本実施形態に係る均平作業用信号変換装置(本コンバータ)の接続形態を示す模式図である。
図5】本実施形態に係る均平作業用信号変換装置(本コンバータ)の外観を示す図である。
図6】信号変換回路の具体例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下には、本実施形態の一例として均平作業用信号変換装置(以降、本コンバータと表記する場合もある)が例示される。なお、以下に挙げる実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態の構成に限定されない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る均平作業用信号変換装置(本コンバータ)を用いるトラクタ1及び均平作業機2を示す図であり、図2は、トラクタ1に連結されたロータリ耕耘作業機3を示す図であり、図3は、均平作業機2が上げられた状態を示す図である。
本明細書においては、各構成要素の相対的な位置関係を特定するために、前後方向、左右方向及び上下方向を次のように設定する。前方向はトラクタ1の直進時の進行方向とし、後ろ方向はその逆方向とする。右方向はトラクタ1の直進時の進行方向に向かって右側とし、左方向はその左側とする。重力方向を下方向とし、その逆方向を上方向とする。
即ち、図1図2及び図3には、トラクタ1、均平作業機2及びロータリ耕耘作業機3の右側面が示されている。
【0013】
トラクタ1は、作業者が乗って操縦することで走行可能であり、均平作業機2やロータリ耕耘作業機3のような特定作業機と連結可能であり、当該特定作業機を牽引して圃場等で各種作業を行う農業用作業車両である。但し、トラクタ1は、人によって操縦される車両に限定されず、自動走行可能な車両であってもよい。
本明細書では、説明を分かり易くするために、作業車両自体をトラクタ1と表記し、その作業車両に連結可能な作業機とトラクタ1とを区別して説明するが、作業機をトラクタ1の一構成として扱うことを排除するものではない。
【0014】
トラクタ1は、車体フレーム、車輪、原動機、クラッチ装置、トランスミッション装置等を備える。原動機はエンジン等のようなトラクタ1の駆動源である。原動機からの動力は、クラッチ装置及びトランスミッション装置を介して車輪に伝達され、車輪が駆動される。前輪又は後輪のいずれか一方が駆動輪とされてもよいし、その両方が駆動輪とされてもよい。
本実施形態は、このようなトラクタ1の走行に関わる構成を何ら制限せず、あらゆる構成を採用可能であるため、ここでは詳細説明を省略する。
【0015】
トラクタ1は、更に、作業機連結機構(以降、連結機構と略称する場合もある)5を備えている。トラクタ1は、この連結機構5を介して特定作業機と連結可能であり、連結機構5を動作させることで特定作業機を昇降させることができる。本実施形態では特定作業機として均平作業機2及びロータリ耕耘作業機3を例示するが、トラクタ1と連結可能な特定作業機は何ら限定されない。
【0016】
連結機構5は、ロアリンク51、リフトリンク52、リフトアーム53、トップリンク54を少なくとも含む。
ロアリンク51の長手方向(前後方向)の中間部にリフトリンク52の一端が回転自在に連結されており、リフトリンク52の他端がリフトアーム53の後端に回転自在に連結されている。このように連結されるロアリンク51、リフトリンク52及びリフトアーム53のセットが左右で2つ設けられており、左右のロアリンク51の各後端がトップリンク54の後端と共に特定作業機に連結される。即ち、左右のロアリンク51とトップリンク54とが特定作業機に対して3点リンク機構を形成している。
【0017】
トップリンク54及び左右のロアリンク51の各前端は、トラクタ1の後部に回転自在にそれぞれ連結されている。また、左右のリフトアーム53は、前方で回動可能にトラクタ1の後部に連結されており、その回動軸を中心に機構駆動装置15からの動力によって回動する。このような左右のリフトアーム53の回動に伴いリフトリンク52を介して左右のロアリンク51も前端の連結軸を中心に回動することになり、これにより特定作業機が昇降する。このようにリフトアーム53の回動角度により特定作業機の昇降位置が決まる。図3の例では、特定作業機としての均平作業機2が上昇するようにリフトアーム53が回動している。
【0018】
このように連結機構5を動作させる機構駆動装置15は、原動機から入力される動力を伝達し、アクチュエータを介して動力を出力して、上述のリフトアーム53の回動を実現する。このような機構駆動装置15は、例えば、油圧ポンプ、油圧バルブ、油圧アクチュエータなどの油圧機器から構成される油圧システムとして実現される。そして、機構駆動装置15によりリフトアーム53の回動角度が制御され、特定作業機の昇降位置が制御される。機構駆動装置15は、後述する図4で示されている。
【0019】
連結機構5は、連結される特定作業機に対して動力を伝達するためのPTO(Power Take-Off)ドライブシャフト(図示せず)を更に含んでいる。PTOドライブシャフトは、原動機から入力される動力をトラクタ1のPTO軸を介して特定作業機のために出力する。トラクタ1にロータリ耕耘作業機3が連結される場合には、PTOドライブシャフトを介して伝達された動力によりロータリ耕耘作業機3の耕耘爪群31が回転する。
【0020】
なお、本実施形態においては、連結機構5及び機構駆動装置15は、均平作業機2及びロータリ耕耘作業機3を切替えてトラクタ1に連結可能であり、連結された均平作業機2及びロータリ耕耘作業機3を昇降可能に構成されていればよく、それらの具体的構成は何ら限定されない。
また、上述のような連結機構5の動作及び機構駆動装置15の動作は、後述するトラクタ1の制御系(トラクタ制御装置)によって制御されるが、以降の説明では、このような制御を連結機構5に対する制御と略称する場合もある。
【0021】
トラクタ1は、更に、操縦部17を備えている。操縦部17は、ハンドルや操縦者(作業者)が座るためのシートに加えて、各種操作部を含む。操作部としては、主変速レバー、副変速レバー、ポジションコントロールレバー、耕耘深さ調整ダイヤル、PTO操作部等が設けられている。
主変速レバー及び副変速レバーは走行速度を変速するための操作部である。ポジションコントロールレバーは任意の位置に特定作業機を昇降させるための操作部である。また、詳細は後述するが、このポジションコントロールレバーに対する特定操作によってセーフティモードが解除される。耕耘深さ調整ダイヤルは、ロータリ耕耘作業機3の耕耘深さを調整するための操作部である。PTO操作部は、PTO軸の回転・停止を切り替えるための操作部である。
但し、操縦部17はその他の構成を更に含んでもよいし、操縦部17の具体的構成は何ら限定されない。
【0022】
均平作業機2は、圃場面の高さを均一化させるためにトラクタ1に連結牽引される作業機である。
図1及び図3に例示される均平作業機2は、連結機構5に連結されるフレーム部21と、フレーム部21に接続されており圃場面に接触して均一化させ得る均平部25とから構成される。
フレーム部21は、前方にてトップリンク54及びロアリンク51の後端に連結される。
均平部25は、フレーム部21の後方において下方に延びるように接続されている。均平部25は、下端面で圃場の土を掻いて整地する均平プレート、均平プレートで掻いた土が横から漏れないようにして移動させるために設けられた左右のサイドプレート等を含む。均平プレートは左右の横幅方向に長く、上下方向に短い板状体であり、後方に緩やかに突出するような湾曲形状を有している。左右のサイドプレートは、均平プレートを左右から挟むように均平プレートの左右の端部に接続されている。
但し、均平作業機2は、圃場面の高さを均一化させ得る構造を有していればよく、その具体的構造は限定されない。例えば、均平作業機2は、図1及び図3の例に限定されず、耕耘可能な構造や他の構造を更に有していてもよい。
【0023】
ロータリ耕耘作業機3は、圃場の耕耘を行うためにトラクタ1に連結牽引される作業機である。
図2に例示されるロータリ耕耘作業機3は、耕耘爪群31、爪カバー32、リアカバー33等を含む。
耕耘爪群31は、左右方向に延びる回転可能な回転軸に固定されており、その回転軸と一体的に回転する。当該回転軸は、連結機構5のPTOドライブシャフトから伝達される動力によって回転する。爪カバー32は、耕耘爪群31を上方、前方及び左右方向から覆うように設けられている。
【0024】
リアカバー33は、耕耘爪群31を後方から覆い、爪カバー32に対して回動可能に設けられている。リアカバー33は、その下端部が圃場面に接触し、圃場面の凹凸に応じてその下端部が上下することで回動する。そして、リアカバー33の回動角度を検出可能なリアカバーセンサ(図示せず)が設けられている。
但し、ロータリ耕耘作業機3は、圃場を耕耘可能な構造を有していればよく、その具体的構造は限定されない。例えば、ロータリ耕耘作業機3は、図2の例に限定されず、その他の構造を更に有していてもよい。
【0025】
図4は、本実施形態に係る均平作業用信号変換装置(本コンバータ)9の接続形態を示す模式図である。
図4に示されるように、トラクタ1は、制御系としてトラクタ制御装置(以降、制御装置と略称する場合もある)10を備えている。
制御装置10は、ECU(Electronic Control Unit)と呼ぶこともでき、プロセッサ、メモリ、入出力インタフェース(I/F)ユニット等を有する。プロセッサは、一以上のCPU(Central Processing Unit)若しくはMPU(Micro Processing Unit)又はそれらの組合せであってもよいし、更に、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含んでいてもよい。メモリは、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)であり、補助記憶装置(ハードディスク等)を含んでもよい。入出力I/Fユニットは、プロセッサで処理すべき又は処理された信号の入力又は出力を制御する。制御装置10は、入出力I/Fユニットを介して各種センサや操縦部17等と信号をやり取りする。入出力I/Fユニットは、他の機器との通信を行う通信ユニットを含んでもよい。
但し、制御装置10のハードウェア構成は何ら限定されない。
【0026】
制御装置10は、メモリに格納されるコンピュータプログラムが読みだされ、プロセッサで実行されることで、各種制御を実行する。
制御装置10は、走行系制御部に加えて、作業機系制御部等を含む。これら制御部はそれぞれ個々のECUとして区別することもできる。
走行系制御部は、原動機の制御や走行速度等のようにその他の走行系の制御を行う。本実施形態において走行系制御部は、トラクタの走行に関する一般的な制御を行うことができればよく、その具体的制御内容は何ら限定されない。
【0027】
作業機系制御部は、上述した機構駆動装置15やPTO軸の制御を行う。本実施形態において作業機系制御部は、ロータリ耕耘作業機3が連結された場合のロータリ耕耘作業機3のための一般的な制御を行うことができればよく、その具体的制御内容は何ら限定されない。
ロータリ耕耘作業機3のための一般的な制御の例として、作業機を水平に保つ自動水平制御、耕耘深さ制御等がよく知られており、耕耘深さ制御については後に詳述する。
【0028】
制御装置10は、図4に示されるように連結機構制御コネクタ11を更に備えている。
連結機構制御コネクタ11は、連結機構制御端子及び電力供給端子を少なくとも含み、以降、トラクタ側コネクタ11と表記する場合もある。
トラクタ1にロータリ耕耘作業機3が連結される場合には、トラクタ側コネクタ11にはロータリ耕耘作業機3に設けられたコネクタ(以降、ロータリ側コネクタと表記する)が接続される。ロータリ耕耘作業機3に搭載される制御装置(以降、ロータリ側装置と表記する)は、トラクタ側コネクタ11の電力供給端子から供給される電力を用いてロータリ耕耘作業機3の耕耘深さに対応する信号を生成し、その信号をトラクタ側コネクタ11の連結機構制御端子へ出力する。
【0029】
ここで「ロータリ耕耘作業機3の耕耘深さに対応する信号」とは、ロータリ耕耘作業機3の耕耘爪群31の圃場面からの深さ位置を示し得る信号を意味する。
例えば、リアカバーセンサからのフィードバック信号がその一例となる。耕耘爪群31が圃場面から深い地中に位置する場合、耕耘深さは深くなっており、リアカバー33の回動角度は大きくなっており、リアカバー33の下端部が耕耘後の圃場面の接触により上方に位置している。一方で、耕耘爪群31が圃場面から浅い位置に存在する場合、耕耘深さは浅くなっており、リアカバー33の回動角度は小さくなる。リアカバーセンサからのフィードバック信号は、このようなリアカバー33の回動角度を示すため、耕耘爪群31の圃場面からの深さ位置を示し得る信号と言える。
但し、「ロータリ耕耘作業機3の耕耘深さに対応する信号」は、リアカバーセンサからのフィードバック信号のみに限定されず、他の手法で得られる信号であってもよい。
【0030】
ここで、このようなリアカバーセンサからのフィードバック信号を用いた、ロータリ耕耘作業機3のための一般的な耕耘深さ制御について説明する。
制御内容の説明の前に、まず、制御装置10(作業機系制御部)によるセーフティモードの設定、並びに基準点及び中立点の設定について説明する。
「セーフティモード」とは、制御装置10における連結機構5に対する制御モードであり、連結機構5に連結された特定作業機が昇降及び動作せず固定されるようにするモードである。
「中立点」とは、特定作業機の昇降範囲に対応する連結機構5の可動域(回動角度)内の特定位置(特定角度)を示す概念であり、特定作業機の高さ位置(昇降位置)の目標となる位置(回動角度)を示す。
「基準点」とは、特定作業機の昇降範囲に対応する連結機構5の可動域(回動角度)内の特定位置(特定角度)を示す概念であり、「中立点」を決めるための基準とされる位置(角度)を示す。例えば、基準点に対して予め決められた相対的な位置に中立点が設定される。
中立点及び基準点は、トラクタ側コネクタ11の連結機構制御端子から入力される信号に基づいて設定され、中立点及び基準点の設定では、例えば、中立点及び基準点の各々に対応する電圧値が保持される。
【0031】
制御装置10(作業機系制御部)は、連結機構5に対する制御モードとしてセーフティモードを設定可能である。例えば、制御装置10は、セーフティモード設定時には、リフトアーム53やPTO軸が動作せず固定されるように連結機構5を制御する。このセーフティモードは、非作業時に意図せず作業機や連結機構5が動作するのを防いで作業者の安全を確保するために設けられている。
【0032】
制御装置10は、原動機が停止された場合、トラクタ側コネクタ11に何も接続されていないことを検出した場合等に、セーフティモードを設定し、操縦部17に対する特定操作がなされた場合等に、セーフティモードを解除する。本実施形態では、当該特定操作として、ポジションコントロールレバーに対する最上位置から下げる操作が例示される。ポジションコントロールレバーが最上位置に操作されると、制御装置10による機構駆動装置15の制御によりリフトアーム53が回動して、ロータリ耕耘作業機3が最上位置に上昇する。ポジションコントロールレバーが最上位置から下げられると、ロータリ耕耘作業機3は下降し、制御装置10はセーフティモードを解除する。
【0033】
また、制御装置10(作業機系制御部)は、基準点及び中立点を設定可能である。制御装置10は、セーフティモードの解除を契機にトラクタ側コネクタ11の連結機構制御端子から入力される信号に基づいて基準点を設定し、更にその基準点に基づいて中立点を設定し、設定された中立点に対応する信号が当該連結機構制御端子から入力された場合に特定作業機の昇降を停止するよう連結機構5を制御する。このような基準点及び中立点の設定に関する詳細は後述する。
【0034】
制御装置10が耕耘深さ制御を実行するにあたっては、トラクタ1にはロータリ耕耘作業機3が連結されており、トラクタ側コネクタ11にはロータリ側コネクタが接続されている。そして、ロータリ側装置では、トラクタ側コネクタ11の電力供給端子から供給される電力を用いてリアカバーセンサからのフィードバック信号が生成され、そのフィードバック信号がトラクタ側コネクタ11の連結機構制御端子へ出力される。リアカバーセンサからのフィードバック信号は、例えば、リアカバー33の回動角度範囲に対応する0(V)から5(V)の範囲の電圧信号とされる。
【0035】
制御装置10は、セーフティモードの解除を契機に連結機構制御端子を介してリアカバーセンサからのフィードバック信号を取得し、その信号内容に基づいて基準点を設定する。具体的には、制御装置10は、取得されたフィードバック信号の電圧値を基準点として保持する。
続いて、制御装置10は、基準点に対して予め決められた相対位置(相対角度)に中立点を設定する。具体的には、制御装置10は、基準点として保持された電圧値に対して所定電圧値(例えば、0.5(V))を加算した電圧値を中立点として保持する。
基準点は、セーフティモードの解除を契機に設定されるため、リアカバー33の先端部が圃場面に接触しておらずリアカバー33の回動角度が最小となる位置を示すのに対して、中立点は、基準点の位置よりも耕耘深さが深くなりリアカバー33の回動角度が大きくなる位置を示す。
【0036】
以降、制御装置10は、連結機構制御端子から入力されるリアカバーセンサのフィードバック信号に応じて連結機構5を制御してロータリ耕耘作業機3を昇降させる。例えば、制御装置10は、フィードバック信号が示すロータリ耕耘作業機3の高さ位置が中立点よりも高い場合には、ロータリ耕耘作業機3が下降するように連結機構5を制御し、逆に当該高さ位置が中立点よりも低い場合には、ロータリ耕耘作業機3が上昇するように連結機構5を制御する。これにより、ロータリ耕耘作業機3が当該中立点に対応する高さ位置で固定されながらトラクタ1で牽引され、圃場全体が適切に耕耘される。
【0037】
この耕耘深さ制御において、制御装置10は、操縦部17の耕耘深さ調整ダイヤルの操作に応じて、設定された中立点を変更するようにしてもよい。例えば、ロータリ耕耘作業機3の耕耘深さが深過ぎると判断した場合には、作業者は、耕耘深さ調整ダイヤルを耕耘深さが浅くなるように操作し、結果、リアカバー33の回動角度がより小さくなるように当該中立点が変更される。また、ロータリ耕耘作業機3の耕耘深さが浅過ぎると判断した場合には、作業者は、耕耘深さ調整ダイヤルを耕耘深さが深くなるように操作し、結果、リアカバー33の回動角度がより大きくなるように当該中立点が変更される。これによれば、圃場の状態に応じて適宜、耕耘深さを微調整することができる。
【0038】
このようなロータリ耕耘作業機3のための耕耘深さ制御は、GNSS均平制御技術の出現よりもかなり前から広く普及しており、一般的なトラクタ1はこのような耕耘深さ制御を実行可能である。
ここで、既存のトラクタ側コネクタ11の連結機構制御端子から入力される信号は、上述したとおり耕耘深さに対応する信号であり、GNSSの測位に基づく高さに対応する信号とは異なることから、トラクタ1でGNSS均平制御を実現するにあたっては、トラクタ1に新たな制御端子や新たな制御モードを設けようとするのが通常の発想である。
しかしながら、そのような発想では、トラクタ1の価格が更に跳ね上がることになる。
そこで、本発明者は、トラクタ1に新たな制御端子や新たな制御モードを追加することなく、ロータリ耕耘作業機3のために設けられている既存のトラクタ側コネクタ11及び既存の耕耘深さ制御をそのまま用いることで、安価にGNSS均平制御を実現するという画期的な着想を得た。即ち、本コンバータ9は、ロータリ耕耘作業機3のために設けられている既存のトラクタ側コネクタ11及び既存の耕耘深さ制御をそのまま用いながらトラクタ1によるGNSS均平制御を実現する。
更に言えば、本コンバータ9によれば、ロータリ耕耘作業機3のための既存の他の制御もそのまま利用可能となる。例えば、均平作業機2に対して既存の自動水平制御もそのまま利用可能となる。
【0039】
〔均平作業用信号変換装置(本コンバータ)〕
図5は、本実施形態に係る均平作業用信号変換装置(本コンバータ)9の外観を示す図である。
本コンバータ9は、図5に示されるように、本体部90、モード切替スイッチ91、調整ダイヤル92、トラクタ用コネクタ93、GNSS用コネクタ94等を備える。
トラクタ1に均平作業機2を連結させる場合には、本コンバータ9をGNSSコントローラ71とトラクタ1との間に接続する。具体的には、本コンバータ9のGNSS用コネクタ94をGNSSコントローラ71の出力コネクタ75に接続し、本コンバータ9のトラクタ用コネクタ93をトラクタ1の連結機構制御コネクタ(トラクタ側コネクタ)11に接続する。
【0040】
本体部90は、本コンバータ9の信号変換回路98を収容するボックスである。
モード切替スイッチ91は、ユーザ操作によって信号変換回路98の動作モードの切替を可能とする操作部であり、モード切替操作部と呼ぶこともできる。モード切替スイッチ91は、信号変換回路98の動作モードとして基準設定モードと通常動作モードとの間を切替可能である。これら動作モードの詳細については後述する。
調整ダイヤル92は、ユーザに中立点の調整操作を可能とする操作部であり、調整操作部と呼ぶこともできる。ユーザが調整ダイヤル92を回転させることで、中立点が変更される。中立点の変更手法については後述する。
【0041】
トラクタ用コネクタ93は、信号出力端子96及び電源端子97を少なくとも含み、トラクタ側コネクタ11に接続可能なコネクタである。トラクタ用コネクタ93はコンバータ側コネクタに相当する。トラクタ用コネクタ93とトラクタ側コネクタ11とが接続されると、信号出力端子96とトラクタ側コネクタ11の連結機構制御端子とが導通状態となり、電源端子97とトラクタ側コネクタ11の電力供給端子とが導通状態となる。
GNSS用コネクタ94は、信号入力端子95を少なくとも含み、GNSSコントローラ71の出力コネクタ75に接続可能なコネクタである。GNSS用コネクタ94と出力コネクタ75とが接続されると、信号入力端子95と出力コネクタ75の出力端子とが導通状態となる。
【0042】
衛星測位システム(GNSS)コントローラ71は、測位衛星を用いて計測される高さ情報に基づいて測位高さ信号を出力する。GNSSコントローラ71は測位制御装置と呼ぶこともできる。
GNSSコントローラ71は、GNSS表示部72及びGNSSアンテナ73と接続されている。GNSSコントローラ71は、GNSSアンテナ73で受信された衛星信号を取得し、その衛星信号に基づいて三次元の測位データを算出し、算出された測位データの中の高さ情報に基づく測位高さ信号を出力コネクタ75の出力端子から出力する。
測位高さ信号は、算出された三次元測位データが示す高さが基準高さより高いこと、基準高さと略同様であること、基準高さよりも低いことを示すことができればよく、その具体的信号内容は限定されない。当該基準高さは、GNSSコントローラ71に設定情報として保持される。また、当該基準高さは、圃場の均平基準とされる面の高さとされ、中立点に対応する。
【0043】
GNSS表示部72は、GNSSコントローラ71の設定情報や計測された三次元の測位データに基づく圃場面の高低差情報などを表示可能である。
GNSSアンテナ73は、QZSS、GPS、GLONASS、Galileoのような測位衛星からの電波を受信する。例えば、GNSSアンテナ73は、図1に示されるように、均平作業機2の均平部25の上面に設置される。
GNSSコントローラ71が測位衛星を用いて計測される高さ情報に基づいて測位高さ信号を出力することができれば、GNSSコントローラ71及びGNSSアンテナ73でサポートされる測位衛星の種類や測位手法は何ら限定されない。また、GNSSアンテナ73の設置位置についても均平作業機2の高さ位置が計測可能であればよく、図1の例に限定されない。GNSSコントローラ71及びGNSS表示部72の設置位置についても同様である。
【0044】
上述したとおり、本コンバータ9は、信号入力端子95、信号出力端子96及び信号変換回路98を備えている。信号入力端子95は、GNSSコントローラ71から出力される測位高さ信号を受け、信号変換回路98は、信号入力端子95から入力される測位高さ信号を連結機構5の動作を制御するための連結機構制御信号に変換し、その連結機構制御信号を信号出力端子96からトラクタ1のトラクタ側コネクタ11の連結機構制御端子に対して出力する。
なお、上述したように、連結機構5にロータリ耕耘作業機3が連結されている場合には、上述した連結機構制御信号が出力されるトラクタ側コネクタ11の連結機構制御端子には、ロータリ耕耘作業機3の耕耘深さに対応する信号(リアカバーセンサのフィードバック信号)が入力される。
本実施形態では、トラクタ1に均平作業用の制御端子や均平作業用の制御モードを新たに設けることなく、ロータリ耕耘作業機3が連結されている状態ではその耕耘深さに対応する信号が入力されるトラクタ1の連結機構制御端子や耕耘深さ制御をそのまま用いることで、トラクタ1でGNSS均平制御技術を安価に実現することができる。また、本実施形態によれば、均平作業機2に対して、耕耘深さ制御だけでなく自動水平制御等のロータリ耕耘作業機3のための既存の他の制御もそのまま利用可能となる。
【0045】
また、トラクタ側コネクタ11に連結機構制御端子と共に電力供給端子が含まれている場合には、トラクタ用コネクタ93にはその電力供給端子と接続される電源端子97が含まれる。そして、その電源端子97は、トラクタ側コネクタ11とトラクタ用コネクタ93とが接続された場合に、トラクタ側コネクタ11の電力供給端子から供給電力を受ける。信号変換回路98は、トラクタ用コネクタ93とトラクタ側コネクタ11とが接続された状態で電源端子97から入力される供給電力を用いて当該連結機構制御信号を生成する。
なお、上述したとおり、ロータリ耕耘作業機3とトラクタ1とが連結されている状態では、トラクタ側コネクタ11の電力供給端子からの供給電力を用いてリアカバーセンサからのフィードバック信号が生成される。
このようにしてロータリ耕耘作業機3とトラクタ1との間のコネクタの接続形態をそのまま利用して、均平作業機2とトラクタ1との間のコネクタの接続形態を実現する。これにより、本コンバータ9自体に電源を持たせる必要がないため、安価で使い易い装置を実現することができる。
【0046】
モード切替スイッチ91は、制御装置10によるセーフティモードの解除時には、基準設定モードが設定された状態となるよう操作され、セーフティモードの解除の後のユーザ操作により、基準設定モードから通常動作モードへ切り替えられる。
そして、信号変換回路98は、基準設定モードが設定されている状態では、信号出力端子96から基準点に対応する信号を出力し、通常動作モードが設定されている状態では、信号入力端子95から入力される測位高さ信号に基づく連結機構制御信号を信号出力端子96から出力する。
【0047】
これにより、トラクタ1の制御装置10は、耕耘深さ制御においてセーフティモードの解除を契機に連結機構制御端子を介して信号出力端子96から出力される基準点に対応する信号を取得し、その信号内容に基づいて基準点を設定することができる。また、セーフティモード解除後には、制御装置10は、測位高さ信号に基づく連結機構制御信号に応じて、その信号が中立点を示すように連結機構5を制御してロータリ耕耘作業機3を昇降させる(耕耘深さ制御)。
つまり、本実施形態では、トラクタ1にロータリ耕耘作業機3が連結されている場合の耕耘深さ制御の内容を均平作業機2が連結されている場合でもそのまま用いながら均平作業を行うことを可能としており、結果、GNSS均平制御を安価に実現することができる。
【0048】
信号変換回路98は、更に、中立点に対応する信号として信号出力端子96からトラクタ側コネクタ11の連結機構制御端子へ出力されるコンバータ側中立信号の設定手段を含む。そして、信号変換回路98は、調整ダイヤル92に対するユーザによる調整操作に伴い、当該コンバータ側中立信号がトラクタ1の制御装置10で設定されている中立点に対応するように、その設定手段を調整可能である。
【0049】
ここで、トラクタ1(制御装置10)は、耕耘深さ制御において、中立点を基準点に対して予め決められた相対的な値に設定するが、均平作業機2の連結時においてGNSSコントローラ71からの測位高さ信号が中立点(基準高さ)に対応する場合には、本コンバータ9は、制御装置10で設定された中立点に対応する連結機構制御信号(コンバータ側中立信号)を信号出力端子96から出力する必要がある。つまり、本コンバータ9で設定されるコンバータ側中立信号が制御装置10で設定された中立点に対応している必要がある。
一方で、中立点の設定手法は、トラクタ1のメーカごと或いはトラクタ1の種類ごとに異なる可能性がある。
そこで、信号変換回路98がコンバータ側中立信号の設定手段を含み、調整ダイヤル92に対するユーザ操作で、当該コンバータ側中立信号がトラクタ1の制御装置10で設定されている中立点に対応するように設定手段を調整可能とすることで、トラクタ1の耕耘深さ制御をそのままGNSS均平制御でも利用することができ、更に、トラクタ1のメーカや種類に限定されることなく、GNSS均平制御を実現することができる。
このような信号変換回路98におけるコンバータ側中立信号の設定手段の詳細については後述する。
【0050】
〔信号変換回路〕
以下、信号変換回路98について具体的な例を挙げて説明する。
図6は、信号変換回路98の具体例を示す回路図である。
信号変換回路98は、可変抵抗器VR1、VR2、VR3及びVR4、切替スイッチSW1、リレーRL1及びRL2を有している。
【0051】
可変抵抗器VR1、VR2、VR3及びVR4は、トラクタ1からの供給電圧が入力される電源端子97に対してそれぞれ並列に接続されている。可変抵抗器VR1、VR2、VR3及びVR4は、電源端子97から入力される電圧を分圧して取り出す分圧端子をそれぞれ有しており、それぞれ分圧抵抗と呼ぶことができる。
【0052】
切替スイッチSW1は、単極双投形スイッチであり、可変抵抗器VR1の分圧端子に繋がる切替端子aと可変抵抗器VR2の分圧端子に繋がる切替端子bと共通端子cとを有する。切替スイッチSW1は、モード切替スイッチ91の回路部であって、モード切替スイッチ91の操作によって共通端子cと接続される切替端子を切替端子a及びbの間で切り替える。
【0053】
リレーRL1及びRL2はそれぞれc接点型のリレーであり、スイッチSW10及びSW20とコイルL10及びL20とを有する。スイッチSW10及びSW20は、ノーマリークローズ(NC)端子とノーマリーオープン(NO)端子と共通端子とをそれぞれ有する。リレーRL1のNC端子は、切替スイッチSW1の共通端子cと接続されており、リレーRL1のNO端子は、可変抵抗器VR3の分圧端子と接続されている。リレーRL2のNC端子は短絡されており、リレーRL2のNO端子は、可変抵抗器VR4の分圧端子に接続されている。
【0054】
リレーRL1及びRL2のスイッチSW10及びSW20の共通端子は共に信号出力端子96に接続されている。
リレーRL1及びRL2のコイルL10及びL20は、信号入力端子95に接続されている。
信号入力端子95は、LO側入力端子95-1とHI側入力端子95-2とを含んでおり、LO側入力端子95-1はリレーRL2のコイルL20に接続されており、HI側入力端子95-2はリレーRL1のコイルL10に接続されている。
そして、GNSSコントローラ71で算出された三次元測位データが示す高さが基準高さより高い場合にHI側入力端子95-2に測位高さ信号としてHI側制御電圧(例えば12(V))が印加され、基準高さよりも低い場合にはLO側入力端子95-1に測位高さ信号としてLO側制御電圧(例えば12(V))が印加される。基準高さと略同様である場合には、いずれの端子にも制御電圧は印加されない或いはHI側制御電圧及びLO側制御電圧よりもかなり低い電圧が印加される。
【0055】
切替スイッチSW1において共通端子cが切替端子bと接続された状態が、基準設定モードが設定されている状態であり、切替スイッチSW1において共通端子cと切替端子aとが接続された状態が、通常動作モードが設定されている状態である。
基準設定モードが設定されている状態では、リレーRL1及びRL2のスイッチSW10及びSW20では共通端子とNC端子とが接続された状態となることから、可変抵抗器VR2の分圧端子と信号出力端子96とが導通状態となる。これにより、可変抵抗器VR2の分圧端子により分圧された電圧が基準点に対応する信号として信号出力端子96から出力される。
このため、可変抵抗器VR2では、基準点に対応する信号の電圧が出力されるよう分圧端子が設定されている。
【0056】
一方、通常設定モードが設定されている状態において、信号入力端子95にHI側制御電圧及びLO側制御電圧のいずれも印加されない場合には、リレーRL1及びRL2では共通端子とNC端子とが接続されたままとなり、可変抵抗器VR1の分圧端子と信号出力端子96とが導通状態となる。これにより、可変抵抗器VR1の分圧端子で分圧された電圧が連結機構制御信号(コンバータ側中立信号)として信号出力端子96からトラクタ1へ出力される。
このように可変抵抗器VR1では、コンバータ側中立信号に対応する電圧が出力されるよう分圧端子が設定される。但し、上述したとおり、コンバータ側中立信号とトラクタ1で設定される中立点とにズレが生じる可能性があることから、本実施形態では、可変抵抗器VR1の分圧端子から出力される電圧が調整可能となっている。即ち、可変抵抗器VR1は、分圧端子と電気的に接続されている摺動子を含み、その摺動子が調整ダイヤル92に対する回転操作に応じて抵抗素子上をスライドするように構成されている。これによって、コンバータ側中立信号に対応する電圧が調整可能となるため、可変抵抗器VR1(摺動子及び分圧端子を含む)はコンバータ側中立信号の設定手段に相当する。
【0057】
通常設定モードが設定されている状態において、HI側入力端子95-2にHI側制御電圧が印加されると、リレーRL1ではコイルが励磁され共通端子とNO端子とが接続され、リレーRL2では共通端子とNC端子とが接続されたままとなり、可変抵抗器VR3の分圧端子と信号出力端子96とが導通状態となる。これにより、可変抵抗器VR3の分圧端子で分圧された電圧が連結機構制御信号として信号出力端子96からトラクタ1へ出力され、トラクタ1の制御装置10は連結機構5を制御し均平作業機2を下降させる。
このため、可変抵抗器VR3では、均平作業機2の下降指示を示す連結機構制御信号に対応する電圧が出力されるよう分圧端子が設定されている。この場合の連結機構制御信号は、トラクタ1にロータリ耕耘作業機3が連結されている場合におけるロータリ耕耘作業機3の高さ位置が中立点よりも高いことを示すフィードバック信号に相当する。
【0058】
一方で、通常設定モードが設定されている状態において、LO側入力端子95-1にLO側制御電圧が印加されると、リレーRL1では共通端子とNC端子とが接続されたままとなり、リレーRL2ではコイルが励磁され共通端子とNO端子とが接続され、可変抵抗器VR4の分圧端子及び可変抵抗器VR1の分圧端子が信号出力端子96と導通状態となる。これにより、両分圧端子の電位差(電圧)が連結機構制御信号として信号入力端子95からトラクタ1へ出力され、トラクタ1の制御装置10は連結機構5を制御し均平作業機2を上昇させる。
このため、可変抵抗器VR4では、可変抵抗器VR1の分圧端子との電位差が均平作業機2の上昇指示を示す連結機構制御信号に対応する電圧となるように分圧端子が設定されている。この場合の連結機構制御信号は、トラクタ1にロータリ耕耘作業機3が連結されている場合におけるロータリ耕耘作業機3の高さ位置が中立点よりも低いことを示すフィードバック信号に相当する。
【0059】
以上より、信号変換回路98は、次のように表記可能である。
即ち、信号変換回路98は、電源端子97に対してそれぞれ並列に接続され、電源端子97から入力される電圧を分圧して取り出す分圧端子をそれぞれ有する第一の分圧抵抗(可変抵抗器VR4)、第二の分圧抵抗(可変抵抗器VR3)、第三の分圧抵抗(可変抵抗器VR1)及び第四の分圧抵抗(可変抵抗器VR2)と、測位高さ信号に基づいて第一の分圧抵抗(可変抵抗器VR4)の分圧端子と信号出力端子96との間を導通状態とする第一状態か遮断状態とする第二状態かのいずれか一方に切り替える第一スイッチ回路(リレーRL2のスイッチSW20)と、測位高さ信号に基づいて、第二の分圧抵抗(可変抵抗器VR3)の分圧端子と信号出力端子96との間を導通状態としかつ第三の分圧抵抗(可変抵抗器VR1)及び第四の分圧抵抗(可変抵抗器VR2)の各分圧端子と信号出力端子96との間を遮断状態とする第三状態か、第二の分圧抵抗(可変抵抗器VR3)の分圧端子と信号出力端子96との間を遮断状態としかつ第三の分圧抵抗(可変抵抗器VR1)又は第四の分圧抵抗(可変抵抗器VR2)の分圧端子と信号出力端子96との間を導通状態とする第四状態かのいずれか一方に切り替える第二スイッチ回路(リレーRL1のスイッチSW10)と、第二スイッチ回路(リレーRL1のスイッチSW10)が第四状態となっている場合に、モード切替操作部(モード切替スイッチ91)に対するユーザ操作に伴い、第三の分圧抵抗(可変抵抗器VR1)の分圧端子と信号出力端子96との間を導通状態とし第四の分圧抵抗(可変抵抗器VR2)の分圧端子と信号出力端子96との間を遮断状態とする第五状態か、第三の分圧抵抗(可変抵抗器VR1)の分圧端子と信号出力端子96との間を遮断状態とし第四の分圧抵抗(可変抵抗器VR2)の分圧端子と信号出力端子96との間を導通状態とする第六状態かのいずれか一方に切り替える第三スイッチ回路(切替スイッチSW1)とを含み、基準設定モードが設定された状態では、第一スイッチ回路(リレーRL2のスイッチSW20)が第二状態となり、第二スイッチ回路(リレーRL1のスイッチSW10)が第四状態となり、第三スイッチ回路(切替スイッチSW1)が第六状態となり、通常動作モードが設定された状態では、測位高さ信号が均平作業機2の下降に対応する場合に、第一スイッチ回路(リレーRL2のスイッチSW20)が第二状態となりかつ第二スイッチ回路(リレーRL1のスイッチSW10)が第三状態となり、前記測位高さ信号が均平作業機2の上昇に対応する場合に、第一スイッチ回路(リレーRL2のスイッチSW20)が第一状態となりかつ第二スイッチ回路(リレーRL1のスイッチSW10)が第四状態となりかつ第三スイッチ回路(切替スイッチSW1)が第五状態となり、測位高さ信号が中立を示す場合に、第一スイッチ回路(リレーRL2のスイッチSW20)が第二状態となり、第二スイッチ回路(リレーRL1のスイッチSW10)が第四状態となり、第三スイッチ回路(切替スイッチSW1)が第五状態となる。
このように、基準点に対応する連結機構制御信号、中立点に対応する連結機構制御信号(コンバータ側中立信号)、均平作業機2の下降指示を示す連結機構制御信号、及び均平作業機2の上昇指示を示す連結機構制御信号を出力可能な信号変換回路98を簡易な回路構成で実現することができる。また、このような回路構成によれば、IC(Integrated Circuit)等を利用した複雑な回路構成と比較して、堅牢な装置とすることができる。
【0060】
図6の回路例では、例えば、電源端子97から供給される電圧が5(V)である場合、基準点に対応する連結機構制御信号としての電圧が4.8(V)となるよう可変抵抗器VR2の分圧端子が設定され、コンバータ側中立信号としての電圧が4.5(V)となるよう可変抵抗器VR1の分圧端子が設定され、均平作業機2の下降指示を示す連結機構制御信号としての電圧が5(V)となるよう可変抵抗器VR3の分圧端子が設定され、均平作業機2の上昇指示を示す連結機構制御信号としての電圧が3.5(V)となるよう可変抵抗器VR1の分圧端子と可変抵抗器VR4の分圧端子との電位差が設定される。
但し、本実施形態はこのような電圧値に必ずしも限定されるものではない。
【0061】
〔耕耘深さ制御をそのまま用いた均平作業機の昇降制御〕
ここから、トラクタ1に均平作業機2を連結した状態における、トラクタ1の制御装置10による耕耘深さ制御をそのまま用いた均平作業機2の昇降制御について説明する。
【0062】
このとき、GNSSコントローラ71と本コンバータ9と制御装置10とが接続される。具体的には、GNSSコントローラ71の出力コネクタ75と本コンバータ9のGNSS用コネクタ94とが接続され、本コンバータ9のトラクタ用コネクタ93と制御装置10のトラクタ側コネクタ11とが接続される。
そして、本コンバータ9の信号変換回路98は、トラクタ側コネクタ11の電力供給端子から供給される電力を電源端子97(トラクタ用コネクタ93)を介して受け、その電力を用いかつ信号入力端子95(GNSS用コネクタ94)から入力されるGNSSコントローラ71からの測位高さ信号に基づいて連結機構制御信号を生成し、その連結機構制御信号を信号出力端子96(トラクタ用コネクタ93)を介してトラクタ側コネクタ11の連結機構制御端子へ出力する。この連結機構制御信号は、ロータリ耕耘作業機3が連結される場合におけるリアカバーセンサからのフィードバック信号に相当し、例えば、0(V)から5(V)の範囲の電圧信号とされる。
【0063】
本制御の開始時には、制御装置10は、トラクタ側コネクタ11の抜き差し等により、連結機構5に対する制御モードとしてセーフティモードを設定している。一方、本コンバータ9では、モード切替スイッチ91により信号変換回路98の動作モードとして基準設定モードが設定されており、基準点に対応する連結機構制御信号(図6における可変抵抗器VR2の分圧端子により分圧された電圧)が信号出力端子96から出力される。
【0064】
制御装置10は、セーフティモードの解除を契機に連結機構制御端子を介して、本コンバータ9から基準点に対応する連結機構制御信号を取得し、その信号内容に基づいて基準点を設定する。具体的には、制御装置10は、取得された連結機構制御信号の電圧値を基準点として保持する。
続いて、制御装置10は、基準点に対して予め決められた相対位置(相対角度)に中立点を設定する。具体的には、制御装置10は、基準点として保持された電圧値に対して所定電圧値(例えば、0.5(V))を加算した電圧値を中立点として保持する。
【0065】
本コンバータ9では、モード切替スイッチ91が操作されて、信号変換回路98の動作モードが基準設定モードから通常動作モードに切り替えられる。このとき、GNSSコントローラ71からの測位高さ信号は中立点を示しているため、本コンバータ9では、コンバータ側中立信号(中立点に対応する連結機構制御信号)(図6における可変抵抗器VR1の分圧端子により分圧された電圧)が信号出力端子96から出力される。
【0066】
制御装置10は、連結機構制御端子から入力されるコンバータ側中立信号が自身で設定した中立点を示している場合には、連結機構5を制御して均平作業機2の昇降を停止させる。
一方、コンバータ側中立信号が自身が設定した中立点とズレている場合には、制御装置10が、そのコンバータ側中立信号に応じて連結機構5を制御して均平作業機2を昇降させるため、均平作業機2が停止するまで、本コンバータ9の調整ダイヤル92が操作される。本コンバータ9から出力されるコンバータ側中立信号で均平作業機2が停止したということは、コンバータ側中立信号が制御装置10で設定されている中立点に対応するよう調整されたことになる。
【0067】
以降、本コンバータ9からは、GNSSコントローラ71からの測位高さ信号に基づく連結機構制御信号が制御装置10へ出力され、制御装置10は、連結機構制御端子から入力されるその連結機構制御信号に応じて連結機構5を制御して均平作業機2を昇降させる。
これにより、GNSSコントローラ71から本コンバータ9へ入力される測位高さ信号が基準高さ(中立点)を示す場合には、均平作業機2の昇降が停止され(固定され)、当該測位高さ信号が基準高さよりも低いことを示す場合には均平作業機2が上昇し、当該測位高さ信号が基準高さよりも高いことを示す場合には均平作業機2が下降する。
このように本実施形態によれば、トラクタ1による耕耘深さ制御をそのまま用いた均平作業機2の昇降制御によって、均平作業機2が当該中立点に対応する高さ位置で固定されながらトラクタ1で牽引され、圃場全体を適切に均平整地することができる。
【0068】
[変形例]
上述の実施形態は一例である。均平作業用信号変換装置(本コンバータ)9は、上述の構成のみに限定されるわけではなく、上述の少なくとも一部の構成を有していれば、部分的に適宜変形されてもよいし、他の構成を更に有していてもよい。
【0069】
例えば、信号変換回路98の回路構成は、図6の例に限定されない。
信号変換回路98では、基準設定モードが設定された状態では、第四の分圧抵抗(可変抵抗器VR2)の分圧端子と信号出力端子96との間の導通により第四の分圧抵抗(可変抵抗器VR2)により分圧された電圧が基準点に対応する信号として信号出力端子96から出力され、通常動作モードが設定された状態では、測位高さ信号に基づいて、第一の分圧抵抗(可変抵抗器VR4)、第二の分圧抵抗(可変抵抗器VR3)若しくは第三の分圧抵抗(可変抵抗器VR1)の分圧端子のうちのいずれか一つ又は複数と信号出力端子96との間の導通によりいずれか一つ又は複数の分圧抵抗により分圧された電圧が連結機構制御信号として信号出力端子96から出力されればよい。
例えば、図6の例とは異なり、基準点に対応する連結機構制御信号、中立点に対応する連結機構制御信号(コンバータ側中立信号)、均平作業機2の下降指示を示す連結機構制御信号、及び均平作業機2の上昇指示を示す連結機構制御信号がそれぞれ一つの分圧抵抗(可変抵抗器)のみに対応し各分圧抵抗と信号出力端子96との導通によって出力される回路構成であってもよい。
【0070】
また、図6の例では、分圧抵抗として可変抵抗器を例示したが、電源端子97を介して供給される電力を分圧して連結機構制御信号とすることができれば、その他の抵抗素子や抵抗構成が採用されてもよい。
また、図6の例では、リレーRL1及びRL2を利用しているが、その他のスイッチ構成を利用してもよい。
また、信号入力端子95におけるLO側入力端子95-1及びHI側入力端子95-2は逆に構成されてもよい。入力端子95-1にHI側制御電圧(例えば12(V))が印加され、入力端子95-2にLO側制御電圧(例えば12(V))が印加されるようにしてもよい。この場合には、均平作業機2の下降指示及び上昇指示に対応する可変抵抗器VR3及びVR4の対応関係が逆になる。
【0071】
また、本コンバータ9は、耕耘機能と均平機能とを兼ね備える特定作業機がトラクタ1に連結される場合であっても利用可能である。
また、本実施形態では、ロータリ耕耘作業機3が連結される場合に利用されるトラクタ1のトラクタ側コネクタ11を均平作業機2が連結される場合にもそのまま用いることを前提としたが、ロータリ耕耘作業機3用と均平作業機2用とで別々のコネクタが設けられているトラクタ1に対しても、本コンバータ9は利用可能である。この場合には、ロータリ耕耘作業機3用に設けられたコネクタに本コンバータ9のトラクタ用コネクタ93を接続すればよい。
【符号の説明】
【0072】
1 トラクタ、2 均平作業機、3 ロータリ耕耘作業機、5 作業機連結機構(連結機構)、7 GNSS、9 均平作業用信号変換装置(本コンバータ)、10 トラクタ制御装置(制御装置)、11 連結機構制御コネクタ(トラクタ側コネクタ)、15 機構駆動装置、17 操縦部、21 フレーム部、25 均平部、31 耕耘爪群、32 爪カバー、33 リアカバー、51 ロアリンク、52 リフトリンク、53 リフトアーム、54 トップリンク、71 GNSSコントローラ、72 GNSS表示部、73 GNSSアンテナ、75 出力コネクタ、90 本体部、91 モード切替スイッチ、92 調整ダイヤル、93 トラクタ用コネクタ、94 GNSS用コネクタ、95 信号入力端子、95-1 LO側入力端子、95-2 HI側入力端子、96 信号出力端子、97 電源端子、98 信号変換回路
VR1 可変抵抗器、VR2 可変抵抗器、VR3 可変抵抗器、VR4 可変抵抗器、SW1 切替スイッチ、RL1 リレー、RL2 リレー、SW10 スイッチ、SW20 スイッチ、L10 コイル、L20 コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6