(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025029623
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】マルチシート等の敷設器具
(51)【国際特許分類】
A01G 13/30 20250101AFI20250228BHJP
A01M 21/00 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
A01G13/00 303
A01M21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134334
(22)【出願日】2023-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】523318958
【氏名又は名称】池尻 和繁
(74)【代理人】
【識別番号】100174791
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 敬義
(72)【発明者】
【氏名】池尻 和繁
【テーマコード(参考)】
2B024
2B121
【Fターム(参考)】
2B024CA00
2B024CB01
2B121AA19
2B121BB28
2B121EA21
2B121FA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】様々な幅のロール型シートに対応することが可能なマルチシート等の敷設器具を提供する。
【解決手段】紐状部材2と、紐状部材2と連結可能な一対の金属部材3とからなるロール型シート敷設用器具1であって、金属部材3は,ロールの内腔に挿通可能な挿通部材31と,挿通部材31に略鉛直に連結する連結部材と32からなり、連結部材32に紐状部材2が備えられることから構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状部材と,
紐状部材と連結可能な一対の金属部材とからなるロール型シート敷設用器具であって,
金属部材は,
ロールの内腔に挿通可能な挿通部材と,
挿通部材に略鉛直に連結する連結部材と,
からなり,
連結部材に,紐状部材が備えられることを特徴とするロール型シート敷設用器具。
【請求項2】
連結部材が,第一連結部と第二連結部とからなり,
第一連結部は,挿通部材に略鉛直に連結しており,
第二連結部は,第一連結部に略鉛直に連結するとともに,端部に紐状部材が備えられる,請求項1に記載のロール型シート敷設用器具。
【請求項3】
挿通部材,第一連結部,第二連結部のいずれか又は複数が,棒状である請求項2に記載のロール型シート敷設器具。
【請求項4】
挿通部材が,ロール型シート内腔の直径よりも長く,かつ,ロール型シート幅の10%から40%の長さである請求項1に記載のロール型シート敷設器具。
【請求項5】
挿通部材が,10cmから50cmの長さとして構成される請求項1に記載のロール型シート敷設器具。
【請求項6】
第一連結部が,10から50cmの長さとして構成される請求項2に記載のロール型シート敷設器具。
【請求項7】
第二連結部が,10から40cmの長さであって,かつ,挿通部材の長さより短い長さとして構成される請求項2に記載のロール型シート敷設器具。
【請求項8】
農業用マルチシート,防草シートに用いられる請求項1から7のいずれかに記載のロール型シート敷設器具。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載のロール型シート敷設器具に使用される,
ロールの内腔に挿通可能な挿通部材と,挿通部材に略鉛直に連結する連結部材とを備える金属部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,マルチシート等の敷設器具に関する。さらに詳細にいうと本発明は,マルチシートや防草シートなどのロール型シートを簡便に敷設することが可能な敷設器具に関する。
【背景技術】
【0002】
畑の畝などに,マルチシートと呼ばれるフィルム状シートを敷設することが行われる。これにより,土壌の乾燥を防止したり,フィルム内の温度が上昇しやすくなり野菜の成長が促進される。また,ポリフィルム外部からの雑草の侵入を防止することで,畝に生える雑草を予防する効果もある。
このように,マルチシートを敷設することは種々のメリットを有するものである。
【0003】
一方,マルチシートの敷設は,手間のかかる作業といえる。すなわち,マルチシートは比較的横幅もあることから,一人で作業する場合にロールの両端をもって敷設するといびつな姿勢となってしまい,バランスを保ちつつ畝にそってきれいに(一直線に)マルチシートを敷設することは困難である。
これらの事情から,一人でも簡単にマルチシートの敷設が可能な技術が開示されている(特許文献1,2,3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-180174号公報
【特許文献2】実登3156175号公報
【特許文献3】特開2000-139243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には,マルチシート敷設のための農用治具が開示されている。当該技術は,ロールに伸縮可能な棒状部材を挿通,両端を固定し,紐で引っ張ることで,マルチシートの敷設を可能とする点において有用である。
しかるに,棒状部材の長さの調整には限界と制限があることから,多様な横幅を有するマルチシートにすべからく対応できない点において課題を有する。
【0006】
特許文献2には,マルチシート敷設支援具が開示されている。当該技術は,ロール両端に勘合して固定を行う連結部材を用いて,紐をロール内部に挿通して固定し,紐を引っ張ることでマルチシートの敷設を可能とする点において有用である。
しかるに,ロール内腔に嵌合し固定が可能な連結部材が必要な点において,種々の大きさを有するマルチシートにすべからく対応できない点において課題を有する。また,使用を開始する前の準備が,比較的煩雑である点においても課題を有するといえる。
【0007】
特許文献3には,フィルム状シートを敷設するための敷設用治具が開示されている。当該技術は,T時状の部材であり,T字両端に備えられる部材をロールの内腔に挿入し・固定し,把持部分をもって引っ張ることでマルチシートの敷設を可能とする点において有用である。
しかるに,T字部分の幅の調整に限界や制限がある点において,多様な横幅を有するマルチシートにすべからく対応できない点において課題を有する。また,当該治具の構造も比較的複雑であることから製造コストがかかる点も課題といえる。
【0008】
これら先行技術にみられるように,従来のマルチシート敷設技術は,マルチシートのロール内腔に何かしらの部材を挿通しつつ,これを外れないような工夫を施すための構成を備えていた。この外れないような工夫というのが,技術そのものの構成を複雑にするとともに,マルチシートの横幅やロール厚に対する対応に制限を生じさせていたものである。
【0009】
上記事情を背景として本発明では,マルチシートの横幅やロール厚に対して広く対応が可能な,新たなコンセプトのマルチシート等の敷設器具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は,鋭意研究の結果,所定の形状を有する部材をマルチシートのロール両端に挿通し,これを固定することなく引っ張ることで,ロール内腔における部材の保持とロールの回転を可能とする敷設器具に想到し,発明を完成させたものである。
【0011】
本発明は,以下の構成からなる。
[1]紐状部材と,
紐状部材と連結可能な一対の金属部材とからなるロール型シート敷設用器具であって,
金属部材は,
ロールの内腔に挿通可能な挿通部材と,
挿通部材に略鉛直に連結する連結部材と,
からなり,
連結部材に,紐状部材が備えられることを特徴とするロール型シート敷設用器具。
[2]連結部材が,第一連結部と第二連結部とからなり,
第一連結部は,挿通部材に略鉛直に連結しており,
第二連結部は,第一連結部に略鉛直に連結するとともに,端部に紐状部材が備えられる,[1]に記載のロール型シート敷設用器具。
[3]挿通部材,第一連結部,第二連結部のいずれか又は複数が,棒状である[1]又は[2]に記載のロール型シート敷設器具。
[4]挿通部材が,ロール型シート内腔の直径よりも長く,かつ,ロール型シート幅の10%から40%の長さである[1]に記載のロール型シート敷設器具。
[5]挿通部材が,10cmから50cmの長さとして構成される[1]に記載のロール型シート敷設器具。
[6]第一連結部が,10から50cmの長さとして構成される[2]に記載のロール型シート敷設器具。
[7]第二連結部が,10から40cmの長さであって,かつ,挿通部材の長さより短い長さとして構成される[2]に記載のロール型シート敷設器具。
[8]農業用マルチシート,防草シートに用いられる[1]から[7]のいずれかに記載のロール型シート敷設器具。
[9][1]から[7]のいずれかに記載のロール型シート敷設器具に使用される,
ロールの内腔に挿通可能な挿通部材と,挿通部材に略鉛直に連結する連結部材とを備える金属部材。
【発明の効果】
【0012】
本発明により,マルチシートの横幅やロール厚に対して広く対応が可能な,新たなコンセプトのマルチシート等の敷設器具の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】ロール型シート敷設器具を使用している様子を示した図。
【
図4】ロール型シート敷設器具を使用する際のロール型シート敷設器具とロール型シートとの関係性を説明した図。図中,xは金属部材の角(連結部)とロール内腔角が接触している点であり,yは挿通部材先端がロール内腔と接触している点を示す。
【
図5】ロール型シート敷設器具を使用する際のロール型シート敷設器具とロール型シートとの関係性を説明した図。図はロール型シート敷設器具を使用する際の力が働く方向を示しており,aは紐状部材に働く力の方向,bは連結部ないしロール内腔角に働く力の方向,cは挿通部材先端に働く力の方向を示している。
【
図6】試作例の全体を示した図。図に示す通り,試作例は,一対の金属部材と,これに連結される紐状部材(ナイロン製の紐)から構成されている。
【
図7】試作例を持ち運ぶ際の状態を示した図。金属部材に,紐状部材を巻き付けることで,非常にコンパクトな形となり,持ち運びや保管にも優れる。
【
図8】試作例を実際に持っている様子を示した図。片手で容易に持つことができ,畑などでの一人での作業でも容易に扱うことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のロール型シート敷設用器具は,紐状部材と,紐状部材と連結可能な一対の金属部材とからなるロール型シート敷設用器具であって,金属部材は,ロールの内腔に挿通可能な挿通部材と,挿通部材に略鉛直に連結する連結部材と,からなり,連結部材に,紐状部材が備えられることを特徴とする。
これにより,金属部材における挿通部材をロール型シートの両端内腔に挿通させ,紐状部材を引くことのみで,シートの敷設が可能となる。また,本発明のロール型シート敷設用器具は,使用する際,挿通部材をロールに固定する必要がないため,様々な横幅のロール型シートに用いることが可能となる。加えて,ロール厚に対しても,連結部材の長さの幅の厚さまで対応可能であることから,比較的,幅広いロール型シートに対応可能である。さらに,本発明のロール型シート敷設用器具は,一対の金属部材と紐状部材とからなる簡易な構成であることから,比較的,安価に作製することが可能であり,修理やメインテナンスも容易で,持ち運びや保管にも優れる。
【0015】
本発明のロール型シート敷設用器具は,下記の原理に基づいて発明されたものである。
(1) 挿通部材先端はロール内腔に接触して(
図4のyの部位),進行方向(引張方向,
図4の進行方向)に対して逆側方向(
図5のc方向)にロール内腔を押すように作用する。また,挿通部材は,一定程度の長さを有することから,この押す作用は,金属部材をロール内腔から抜けにくくする力として機能する。
(2) 挿通部材と連結部材の連結部分はロール内腔角に接触しつつ(
図4のxの部位),紐状部材による引っ張り力により,ロール中央寄り方向(
図5のb方向)に引っ張られる形となり,連結部分がロール内腔角に引っかかった状態となる。
(3) 結果として,ロールは,金属部材により両側から挟まれながら,進行方向に引っ張られる形となる。これらの作用により,金属部材はロールから抜けることなく,ロールは回転し,シートを敷設することが可能となる。
これらの意味において,本発明のロール型シート敷設用器具は,一対の金属部材をロール型シート両端の内腔に挿通しつつ,紐状部材を引っ張ることで,挿通部材先端がロールの内腔に接触するとともに,挿通部材と連結部材との連結部が,ロール内腔角に接触し引っかかることで,金属部材がロールから抜けることなく,ロール型シートが回転し,シートの敷設を可能とするものである。
【0016】
本発明において紐状部材は,少なくとも一本の紐状の部材として構成されるものであり,その両端は,一対の金属部材の連結部材に接続されているものである(例えば,
図1等)。また,紐状部材は,使用者が手に持って引くための部材として機能するものである。紐状部材は,かかる構成ならびに機能を備える限り特に限定する必要はなく,種々のものを用いることができる。
紐状部材としては,典型的には,
図1や
図6などに示すような紐を用いればよい。なお,紐としては,
図1などのように1本の紐として構成してもよいし,二重や三重など複数重ねた紐として構成してもよい。
紐状部材の素材としては,特に限定する必要はなく種々の素材のものを用いればよい。紐状部材の素材として,例えば,綿,ナイロン,ポリエステル,麻,ゴム,合成繊維,チェーン鎖などを用いればよい。紐状部材として,ナイロン,ポリエステル,合成繊維を用いることが好ましい。これにより,比較的過酷な環境で使用するロール型シート敷設用器具の耐久性を向上させるとともに,紐状部材を容易に洗浄することも可能となり,本発明のロール型シート敷設用器具の有用性を向上させる効果を有する。
【0017】
本発明において金属部材は,ロール内腔に挿通しつつ,紐状部材との連結部分を備える部材として構成される。そのため,金属部材は,挿通部材と連結部材とを必須の構成とする。
金属部材は,防錆のための塗料加工をすることが好ましい。これにより,本発明のロール型シート敷設器具の耐久性を向上させる効果を有する。
【0018】
金属部材における紐状部材との連結部分については,金属部材と紐状部材の連結が可能な限り特に限定する必要はなく,種々の構成とすることができる。
連結部分について,典型的には,紐状部材を結びつけることが可能な連結リング(
図1,33)とすればよい。
【0019】
本発明において挿通部材は,ロール型シートにおけるロール内腔に挿通するとともに,紐状部材を引っ張った際に先端が内腔に接触することで,金属部材のロールからの抜け(はずれ)を防止する役割を果たすものである。
そのため,挿通部材は,ロール内腔に挿通できる程度の幅であるとともに,内腔直径に対して十分な長さを有する必要がある。加えて,挿通部材先端が,ロール内腔に接触した際にロールの回転を阻害するほどの接触面積を有しない程度の幅である必要がある。
【0020】
挿通部材の長さは,ロールの長さに対して,典型的には5%から45%,好ましくは10から45%,より好ましくは10から40%,特に好ましくは15から40%,最も好ましくは15から35%の長さとすることができる。
また,このような挿通部材の長さとして,例えば5から50cm,好ましくは10から50cm,より好ましくは15から50cm,特に好ましくは15から45cm,最も好ましくは15から40cmとすることができる。
【0021】
挿通部材の幅(太さ,直径)としては,典型的には5から30mm,好ましくは5から25mm,より好ましくは5から20mm,特に好ましくは5から15mm,最も好ましくは5から13mmとすればよい。
【0022】
本発明において連結部材は,挿通部材に略鉛直に連結しつつ,紐状部材とロール内腔角の間に一定程度の幅(長さ)をもたらすことで,ロールを回転しやすくするとともに,ロール厚に対応するためのあそびとしての役割を果たす。連結部材は,かかる役割を果たす限り特に限定する必要はなく,種々の形状ないし構成とすることができる。
なお,「挿通部材に略鉛直」とは,挿通部材に対して垂直もしくはそれに近い角度として定義される。それに近い角度としては一定程度の幅を有し,ロールの回転を阻害しない程度の角度として定義される。近い角度について例示すると,例えば,垂直から30度内(挿通部材に対して90から±30度)であればよく,より好ましくは垂直から25度内(90度から±25度),さらに好ましくは垂直から20度内(90度から±20度),最も好ましくは垂直から15度内(90度から±15度)とすることができる。
特に連結部材は,ロール内腔の角に接触しつつ,ロールの回転を阻害しないことが必要であることから,一定程度の角度の幅を有する際には,ロールに対して外側(挿通部材に対して反対側)に角度の幅を有する構成とすることが好ましい。
【0023】
本発明において連結部材は,第一連結部と第二連結部とからなり,第一連結部は,挿通部材に略鉛直に連結しており,第二連結部は,第一連結部に略鉛直に連結するとともに,端部に紐状部材が備えられる構成とすることが好ましい。
これにより,連結部材における紐状部材の設置位置(紐状部材との接続位置)を,ロール型シートの中央寄りに設定することが容易となる。すなわち,かかる構成により,挿通部材がロールからより抜けにくくなるとともに,安定的にロールが回転する構成とすることが容易となる。
なお,「第一連結部に略鉛直」とは,第一連結部に対して垂直もしくはそれに近い角度として定義される。それに近い角度としては一定程度の幅を有し,第二連結部の端部がロールにあたることなく,ロールの回転を阻害しない程度の角度として定義される。近い角度について例示すると,例えば,垂直から40度内(第一連結部に対して90から±40度)であればよく,より好ましくは垂直から35度内(90度から±35度),さらに好ましくは垂直から30度内(90度から±30度),最も好ましくは垂直から25度内(90度から±25度)とすることができる。
【0024】
第一連結部は,ロール型シートのロール厚よりも長く,かつ,挿通部材に対して長すぎない長さとすればよい。第一連結部の長さとして,典型的には5から50cm,好ましくは10から50cm,より好ましくは10から45cm,さらに好ましくは10から40cm,特に好ましくは10から35cm,最も好ましくは10から30cmとすることができる。
【0025】
第二連結部は,挿通部材よりも短い長さとすればよく,典型的には5から40cm,好ましくは5から40cm,より好ましくは5から35cm,特に好ましくは5から30cm,最も好ましくは5から25cmとすることができる。
かかる場合において,第二連結部は,その端部(第一連結部と連結している反対側)に連結リングを備えることが好ましい。これにより,第二連結部の端部を,挿通部材に対して中央部付近(挿通部材の長さに対し,40から60%の位置)に設定することが容易となり,本発明のロール型シート敷設器具の設計を容易にすることが可能となる。
【0026】
本発明において挿通部材,第一連結部,第二連結部のいずれか又は複数が,棒状であることが好ましい。これにより,金属部材の作製が容易となり,本発明のロール型シート敷設用器具の経済性を向上させる効果を有する。
【0027】
本発明のロール型シート敷設器具は,典型的には,農業用マルチシートに用いることができるが,これに限定する必要はなく,ロール型防草シートなど,種々のロール型シートに用いることができる。
【0028】
本発明は,上記の通り,紐状部材と金属部材とから構成される完成品としてのロール型シート敷設器具を特許請求の範囲とするものである。
本発明はこれに加えて,金属部材そのものを特許請求の範囲として含むものである。すなわち,本発明の金属部材における構成ならびにその形状等が,本発明におけるロール型シート敷設器具を成立させるための必須の要素であり専用品である。これより,金属部材の販売等を行う実施行為は,ロール型シート敷設器具の実施行為と同一視しうるものである。
【実施例0029】
本発明のロール型シート敷設用器具について,図面を例にとり詳述する。
【0030】
<<実施態様1>>
図1は,ロール型シート敷設器具1であり,図中上側がロール型シート敷設器具1の全体を示した図,図中下側が金属部材3を示した図である。
ロール型シート敷設器具1は,1対の金属部材3と,これらを連結する紐状部材2から構成されている。
また,金属部材3は,挿通部材31と,これに略鉛直に連結している連結部材32とからなり,連結部材32の端部には,紐状部材2との連結(結び目を形成)する連結リング33を備えている。
【0031】
<<実施態様2>>
図2は,ロール型シート敷設器具1’であり,図中上側がロール型シート敷設器具1’の全体を示した図,図中下側が金属部材3’を示した図である。
ロール型シート敷設器具1’は,1対の金属部材3’と,これらを連結する紐状部材2’から構成されている。
また,金属部材3’は,挿通部材31’と,これに略鉛直に連結している第一連結部材32’と,第一連結部材32’に略鉛直に連結している第二連結部材33’とからなり,第二連結部材33’の端部には,紐状部材2’との連結(結び目を形成)する連結リング34’を備えている。
【0032】
ロール型シート敷設器具1’を用いて,シートを敷設している様子を
図3に示す。また,この際のロール型シート敷設器具1’とロール型シートとの関係性を,
図4,
図5を用いて説明する。
図3のようにロール型シート敷設器具1’を引っ張る場合,ロール型シート敷設器具1’とロールは,
図4の進行方向に進むこととなる。ロール型シート敷設器具1’等が進行方向に進む際には,挿通部材31'の先端がロール内腔に接触することとなる(
図4のyの部位)。この際,挿通部材31’の先端は,進行方向逆側にロール内腔を押した状態となる(
図5のc方向)。
また,第一連結部材32’と第二連結部材33’との連結部(以下,単に「連結部」)は,ロール内腔の角に引っかかった状態となっている(
図4のxの部位)。さらにこの連結部とロール内腔角には,進行方向斜めに引っ張られる力が働くこととなる(
図5のb方向)。
結果として,ロール型シート敷設器具1’を引っ張る場合,一対の金属部材3’がロールを挟むような形で進むこととなり,かつ,金属部材3’はロールの回転を阻害しないことから問題なくロールは回転し,シートが敷設されることとなる。
なお,使用者は,左右の持ち手における引っ張りのバランスを調整するなどして,一直線のみならず,カーブ状にシートを敷設することも可能となる。
【0033】
<<試作例>>
本発明のロール型シート敷設器具の試作例について説明する。
図6は試作例の全体を示した図,
図7は試作例を持ち運ぶ際の状態を示した図,
図8は試作例を実際に持っている様子を示した図である。
試作例における金属部材は,1本の金属棒を折り曲げるとともに,連結リングを溶接により結合させることで作製されている。また,防錆を目的として表面に塗料が塗られている。さらに,連結リングに,ナイロン製の紐(紐状部材)を結びつけることで連結されている。
また,当該試作例は,金属製部材を重ねて,紐状部材をまくことで,非常にコンパクトな形となり,持ち運びにも優れるものである。