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特開2025-29659穿孔装置用の集塵カバーホルダ及びそれを備えた集塵カバー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025029659
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】穿孔装置用の集塵カバーホルダ及びそれを備えた集塵カバー装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/02 20060101AFI20250228BHJP
   B28D 1/14 20060101ALI20250228BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20250228BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20250228BHJP
   B23B 47/34 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
B28D7/02
B28D1/14
B23Q11/08 F
B23Q11/00 Q
B23B47/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134403
(22)【出願日】2023-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000137845
【氏名又は名称】株式会社ミヤナガ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 典英
(72)【発明者】
【氏名】松下 雅則
【テーマコード(参考)】
3C011
3C036
3C069
【Fターム(参考)】
3C011BB21
3C036HH08
3C069AA04
3C069BA09
3C069BB01
3C069BC01
3C069BC04
3C069CA10
3C069DA05
3C069DA07
3C069EA01
(57)【要約】
【課題】穿孔装置用の集塵カバーホルダにおいて、部品点数を削減しながらも穿孔装置を支持する際の安定性を良好にする。
【解決手段】ドリルツールと、ドリルツールがシャンク部にて装着されたドリル駆動装置と、を備えた穿孔装置に取り付けられ、かつ、集塵カバーを支持する集塵カバーホルダであって、集塵カバーを支持するカバー支持部と、軸受嵌合穴と、を有するホルダプレートと、ホルダプレートの軸受嵌合穴に嵌合した滑り軸受と、を備え、滑り軸受は、シャンク部が挿通される挿通空間と、挿通空間を画定し且つシャンク部の外周面に摺動自在に面接触する内周面と、を有する円筒部と、シャンク部が挿通される挿通孔と、ドリル駆動装置の先端面に面接触するように軸線方向の基端側に向いた平坦な座面と、を有し、軸線方向の基端側から円筒部の挿通空間を閉鎖する底板部と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃先及びシャンク部を有するドリルツールと、前記ドリルツールが前記シャンク部にて装着されたドリル駆動装置と、を備えた穿孔装置に取り付けられ、かつ、集塵カバーを支持する集塵カバーホルダであって、
前記集塵カバーを支持するカバー支持部と、軸受嵌合穴と、を有するホルダプレートと、
前記ホルダプレートの前記軸受嵌合穴に嵌合した滑り軸受と、を備え、
前記滑り軸受の軸線方向において、前記刃先が位置する側を先端側と定義し、かつ、前記ドリル駆動装置が位置する側を基端側と定義し、
前記滑り軸受は、
前記シャンク部が挿通される挿通空間と、前記挿通空間を画定し且つ前記シャンク部の外周面に摺動自在に面接触する内周面と、を有する円筒部と、
前記シャンク部が挿通される挿通孔と、前記ドリル駆動装置の先端面に面接触するように前記軸線方向の前記基端側に向いた平坦な座面と、を有し、前記軸線方向の前記基端側から前記円筒部の前記挿通空間を閉鎖する底板部と、
を有する、穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
【請求項2】
前記滑り軸受は、金属製である、請求項1に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
【請求項3】
前記シャンク部は、前記ドリル駆動装置に結合される第1軸部と、前記軸線方向の前記先端側にて前記第1軸部に隣接して前記第1軸部よりも大径の第2軸部と、前記軸線方向の前記先端側にて前記第2軸部に隣接して前記第2軸部よりも大径の第3軸部と、を有し、
前記底板部の前記挿通孔を画定する内周縁は、前記第1軸部の外周面に摺動自在に接触するように構成され、
前記円筒部の前記内周面は、前記第2軸部の外周面に摺動自在に面接触するように構成され、
前記軸線方向の前記先端側における前記円筒部の先端面は、前記軸線方向の前記基端側における前記第3軸部の基端面に面接触するように構成されている、請求項1に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
【請求項4】
止め輪を更に備え、
前記滑り軸受は、
前記滑り軸受の径方向の外方に前記円筒部から突出したフランジ部と、
前記軸線方向に前記フランジ部から距離をあけた位置において、前記円筒部の外周面に形成されて周方向に延びた環状溝部と、
を更に有し、
前記止め輪は、前記環状溝部に嵌められ、
前記ホルダプレートの内周部は、前記軸線方向において前記フランジ部と前記止め輪とにより挟まれている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
【請求項5】
前記ホルダプレートは、前記フランジ部の外周縁に前記径方向に対向する周状突起部を更に有する、請求項4に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
【請求項6】
前記ホルダプレートの外周縁は、前記軸線方向から見て複数の凹部を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
【請求項7】
円環状の防塵キャップを更に備え、
前記ホルダプレートは、前記滑り軸受から径方向の外方に距離をあけた位置で前記軸線方向の前記先端側に突出した環状凸部を更に有し、
前記防塵キャップは、前記環状凸部と前記滑り軸受との間に嵌められる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の前記集塵カバーホルダと、
前記集塵カバーホルダに支持される集塵カバーと、を備え、
前記集塵カバーは、
前記集塵カバーホルダの前記ホルダプレートの前記カバー支持部に取り付けられる被支持部を含むベース体と、
前記ベース体に固定され、前記ベース体の外周部から前記軸線方向の前記先端側に突出する円筒状の蛇腹体と、
を有する、集塵カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、穿孔装置用の集塵カバーホルダ及びそれを備えた集塵カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、穿孔装置用の集塵カバーホルダが開示されている。前記穿孔装置は、刃先及びシャンク部を有するドリルツールと、前記ドリルツールが前記シャンク部にて装着されたドリル駆動装置と、を備える。前記集塵カバーホルダは、穿孔装置に取り付けられ、かつ、集塵カバーを支持する。前記集塵カバーホルダは、その先端部に配置されたオイルレスメタルと、その基端部に配置されたボール軸受と、を備えている。前記ボール軸受及び前記オイルレスメタルが、前記シャンク部に接触して、前記シャンク部を回転可能に支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-259960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記集塵カバーホルダでは、部品点数が多くなる。部品点数の削減に際しては、穿孔装置を支持する際の安定性を良好にするために改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、穿孔装置用の集塵カバーホルダにおいて、部品点数を削減しながらも穿孔装置を支持する際の安定性を良好にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る集塵カバーホルダは、刃先及びシャンク部を有するドリルツールと、前記ドリルツールが前記シャンク部にて装着されたドリル駆動装置と、を備えた穿孔装置に取り付けられ、かつ、集塵カバーを支持する集塵カバーホルダであって、前記集塵カバーを支持するカバー支持部と、軸受嵌合穴と、を有するホルダプレートと、前記ホルダプレートの前記軸受嵌合穴に嵌合した滑り軸受と、を備え、前記滑り軸受の軸線方向において、前記刃先が位置する側を先端側と定義し、かつ、前記ドリル駆動装置が位置する側を基端側と定義し、前記滑り軸受は、前記シャンク部が挿通される挿通空間と、前記挿通空間を画定し且つ前記シャンク部の外周面に摺動自在に面接触する内周面と、を有する円筒部と、前記シャンク部が挿通される挿通孔と、前記ドリル駆動装置の先端面に面接触するように前記軸線方向の前記基端側に向いた平坦な座面と、を有し、前記軸線方向の前記基端側から前記円筒部の前記挿通空間を閉鎖する底板部と、を有する。
【0007】
本開示の一態様によれば、滑り軸受の円筒部の内周面と滑り軸受の底板部の挿通孔を画定する内周縁とがドリルツールに安定的に接触するため、滑り軸受の径方向において集塵カバーホルダがシャンク部に安定的に支持される。また、ドリル駆動装置の先端面が滑り軸受の底板部の座面に面接触にて押し当てられることで、滑り軸受の軸線方向において集塵カバーホルダがシャンク部に安定的に支持される。よって、部品点数を少なくしながらも穿孔装置に対して集塵カバーホルダがグラつくことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る穿孔装置アッセンブリを示す概略図である。
図2図2は、図1の集塵カバーホルダの平面図である。
図3図3は、図1の集塵カバーホルダの側面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線断面図である。
図5図5は、図1の集塵カバー装置及びその周辺部分を拡大し、集塵カバー装置を図3のIV-IV線に対応する箇所で切断し、ドリルツールの外観を現した図である。
図6図6は、図5の滑り軸受及びその周辺部分を拡大し、集塵カバー装置に加えてドリルツールも図3のIV-IV線に対応する箇所で切断した断面図である。
図7図7は、ホルダプレートと滑り軸受との間に防塵キャップを嵌めた状態で、集塵カバーホルダを図3のIV-IV線に対応する箇所で切断し、防塵キャップ及びその周辺部分を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下の説明では、ドリルツール20の回転軸線AXが延びる方向を軸線方向及び上下方向として定義する。
【0010】
図1は、実施形態に係る穿孔装置アッセンブリ1を示す概略図である。図1に示すように、穿孔装置アッセンブリ1は、穿孔装置2と、穿孔装置2に取り付けられた集塵カバー装置3と、を備える。穿孔装置アッセンブリ1は、穿孔対象Wの被穿孔箇所Waを集塵カバー装置3により覆った状態で、被穿孔箇所Waを穿孔装置2により穿孔する。
【0011】
本実施形態では、穿孔対象Wは天井であり、穿孔装置2のコアドリル25の刃先28a(図5参照)を上方に向けて穿孔作業が行われる。例えば、作業者は、上下方向から見て、被穿孔箇所Waを集塵カバー装置3で覆った状態で、集塵カバー装置3の集塵カバー50の蛇腹体55の先端を穿孔対象Wに押し付ける。このとき、作業者は、自身の手で蛇腹体55の一部だけをその先端側から基端側へと撓ませて当該一部と穿孔対象Wとの間に隙間をあけることで、集塵カバー50内の被穿孔箇所Waを目視しつつ、穿孔装置2のセンタードリル21及びコアドリル25を被穿孔箇所Waに対して位置決めする。そして、作業者は、蛇腹体55の一部を撓ませた状態をもとに戻すことで、被穿孔箇所Waを集塵カバー装置3により完全に覆ったあと、穿孔装置2の操作部15を押下してセンタードリル21及びコアドリル25を回転駆動し、被穿孔箇所Waを穿孔する。上記のように穿孔作業を行うことで、穿孔の際に生じる粉塵が集塵カバー装置3内に集積される。したがって、作業者は、粉塵を被らずに穿孔作業を行うことができる。
【0012】
穿孔装置2は、ドリル駆動装置10と、ドリル駆動装置10により回転駆動されるドリルツール20と、を有する。
【0013】
ドリル駆動装置10は、ドリルツール20を回転駆動する原動機である電動モータ11と、電動モータ11に先端側から隣接し且つ電動モータ11の駆動軸11aに連結された減速機12と、電動モータ11及び減速機12を収容する筐体13と、を有する。ドリル駆動装置10は、減速機12の先端側に設けられ且つ伝達軸12aを介して減速機12に連結されたシャンク結合部14と、作業者に押下されることで電動モータ11を駆動する操作部15と、電動モータ11を電力供給源に接続する電源コード16と、を更に有する。電動モータ11による動力の回転速度が、減速機12により減じられ、伝達軸12a及びシャンク結合部14を介して、ドリルツール20へと伝達される。
【0014】
ドリルツール20は、回転軸線AX上を軸線方向に延びる棒状のセンタードリル21と、センタードリル21に固定された円筒状のコアドリル25と、センタードリル21及びコアドリル25に固定され且つドリル駆動装置10に装着されるシャンク部30と、を有する。ドリルツール20は、センタードリル21をシャンク部30に固定する固定具40(図6参照)と、コアドリル25をシャンク部30に固定する固定機構45と、を更に有する。
【0015】
図5に示すように、センタードリル21は、コアドリル25と同軸状であり、コアドリル25を貫通し、コアドリル25の先端面から突出している。コアドリル25は、センタードリル21が挿通される中心孔を有する円板状の基板部26と、基板部26の外周部から軸線方向の先端側に突出し、基板部26と共にコアドリル25の内部空間を画定する側部27と、を含む。コアドリル25の前記内部空間は、コアドリル25の先端側に向けて開放されている。コアドリル25は、その先端部において、刃先28aを含む刃部28を有する。本実施形態では、刃部28は、コアドリル25の周方向に並列した複数の刃先28aを含む。
【0016】
図6に示すように、シャンク部30は、ドリル駆動装置10のシャンク結合部14に結合される第1軸部31と、軸線方向の先端側にて第1軸部31に隣接して第1軸部31よりも大径の第2軸部32と、軸線方向の先端側にて第2軸部32に隣接して第2軸部32よりも大径の第3軸部33と、を有する。第1軸部31は中実軸である一方、第2軸部32及び第3軸部33は中空軸である。第2軸部32は、当該第2軸部32を径方向に貫通する固定孔32aを有する。第3軸部33は、第2軸部32に隣接した底部34と、底部34の外周部から軸線方向の先端側に突出し、底部34と共に第3軸部33の内部空間を画定する側部35(図6参照)と、を有する。シャンク部30は、当該シャンク部30のうち軸線方向から見て中央部に、第3軸部33の底部34の先端面から軸線方向の基端側に窪み、第2軸部32の基端部まで延びる穴36を更に有する。
【0017】
センタードリル21の基端部は、その外周面において径方向内方に窪んだ溝部21aを有する。センタードリル21の基端部は、コアドリル25の中心孔及びシャンク部30の第3軸部33の内部空間を通って、シャンク部30の穴36に嵌合する。このとき、センタードリル21の基端部の溝部21aがシャンク部30の第2軸部32の固定孔32aに対向する。固定具40は、第2軸部32の固定孔32aに挿通され且つセンタードリル21の基端部の溝部21aの径方向内方側の面まで到達し、センタードリル21の基端部を押圧する。これにより、センタードリル21は、シャンク部30と一体回転するように、回転軸線AX周りの周方向において固定される。固定具40は、ボルト、ネジ又はピンである。
【0018】
図5に示すように、固定機構45は、センタードリル21の基端部及びシャンク部30の第3軸部33の側部35(図6参照)を囲繞するように、センタードリル21及びシャンク部30と同軸状に設けられたスリーブ機構46と、コアドリル25の基板部26の中心孔の先端側でセンタードリル21を囲繞する雄ネジに螺合されたナット47と、を有する。固定機構45は、このような公知の構造により、コアドリル25をシャンク部30に着脱可能に固定する。
【0019】
集塵カバー装置3は、集塵カバー50と、穿孔装置2(図1参照)に取り付けられ、且つ集塵カバー50を支持する集塵カバーホルダ60と、を有する。
【0020】
集塵カバー50は、集塵カバーホルダ60に取り付けられたベース体51と、ベース体51に固定された円筒状の蛇腹体55と、を有する。ベース体51は、集塵カバーホルダ60の後述するホルダプレート61のカバー支持部62に取り付けられる被支持部52を含む。被支持部52は、その内周面から径方向内方に突出し、周方向に延びた係止凸部52aを有する。ベース体51は、硬質樹脂(例えば、高密度ポリエチレン)である。蛇腹体55は、ベース体51の外周部から軸線方向の先端側に突出する。蛇腹体55は、伸縮可能な軟質樹脂(例えば、低密度ポリエチレン)である。
【0021】
本実施形態では、ベース体51の被支持部52は、複数(例えば4つ)の係止凸部52aを有する。本実施形態では、ベース体51は、その底部の先端面から軸線方向の基端側に窪んだ環状凹部53を更に有する。本実施形態では、蛇腹体55は、その底部の内周縁部から軸線方向の基端側に突出した環状突起部56を有する。本実施形態では、蛇腹体55の環状突起部56がベース体51の環状凹部53に嵌合することで、蛇腹体55がベース体51に対して固定される。
【0022】
図2は、図1の集塵カバーホルダ60の平面図である。図3は、図1の集塵カバーホルダ60の側面図である。図4は、図3のIV-IV線断面図である。図2乃至図4に示すように、集塵カバーホルダ60は、軸線方向から見て円形状であるホルダプレート61と、ホルダプレート61の軸受嵌合穴63に嵌合した金属製の滑り軸受70と、滑り軸受70の環状溝部75に嵌められた止め輪90と、を有する。なお、以下の説明では、滑り軸受70の軸線方向において、コアドリル25(図1参照)が位置する側を先端側と定義し、かつ、ドリル駆動装置10(図1参照)が位置する側を基端側として定義する。
【0023】
ホルダプレート61は、集塵カバー50(図5参照)を支持するカバー支持部62と、滑り軸受70が嵌合される軸受嵌合穴63と、滑り軸受70の後述するフランジ部74の外周縁に滑り軸受70の径方向に対向する周状突起部64と、滑り軸受70から径方向の外方に距離をあけた位置で軸線方向の先端側に突出した環状凸部65と、を有する。ホルダプレート61の外周縁は、軸線方向から見て周方向に並んだ複数(例えば8つ)の凹部66を有する。ホルダプレート61の内周部は、軸線方向において滑り軸受70の後述するフランジ部74と止め輪90とにより挟まれている。カバー支持部62は、ホルダプレート61の外周面において径方向内方に窪んで周方向に延びた被係止溝部62aを有する。この被係止溝部62aが集塵カバー50のベース体51(図5参照)の係止凸部52a(図5参照)に係止されることで、ベース体51がホルダプレート61に対して固定される。ホルダプレート61は、硬質樹脂(例えば、ナイロン66)である。
【0024】
本実施形態では、カバー支持部62は、ホルダプレート61の周方向に間隔をあけて複数(例えば4つ)の被係止溝部62aを有する。本実施形態では、被係止溝部62aは、ホルダプレート61の側部の外周面からホルダプレート61の径方向内方に窪んで当該側部の先端から中央部まで軸線方向に延びた導入部と、当該導入部の基端側から周方向に延びた被係止部と、を有する。ベース体51(図5参照)の係止凸部52a(図5参照)は、被係止溝部62aの前記導入部の先端から前記導入部に導入され、前記導入部内を軸線方向の基端側に摺動したあと、前記被係止部内をホルダプレート61の周方向に摺動する。これにより、ベース体51の係止凸部52aがホルダプレート61の被係止溝部62aに係止し、ベース体51がホルダプレート61に対して固定される。
【0025】
滑り軸受70は、円筒部71と、軸線方向の基端側から円筒部71の挿通空間72を閉鎖する底板部80と、を有する。円筒部71は、シャンク部30(図6参照)が挿通される挿通空間72と、挿通空間72を画定し且つシャンク部30の外周面に摺動自在に面接触する内周面73と、を有する。底板部80は、シャンク部30が挿通される挿通孔86と、ドリル駆動装置10の先端面に面接触するように軸線方向の基端側に向いた平坦な座面87と、を有する。滑り軸受70は、滑り軸受70の径方向の外方に円筒部71から突出したフランジ部74と、軸線方向の先端側にフランジ部74から距離をあけた位置において、円筒部71の外周面に形成されて周方向に延びた環状溝部75と、を更に有する。フランジ部74は、円筒部71のうち基端側の部分から径方向外方に突出し、止め輪90はフランジ部74よりも先端側に配置されている。止め輪90は、環状溝部75に嵌められている。
【0026】
図5は、図1の集塵カバー装置3及びその周辺部分を拡大し、集塵カバー装置3を図3のIV-IV線に対応する箇所で切断し、ドリルツール20の外観を現した図である。図6は、図5の滑り軸受70及びその周辺部分を拡大し、集塵カバー装置3に加えてドリルツール20も図3のIV-IV線に対応する箇所で切断した断面図である。図5及び図6に示すように、滑り軸受70の底板部80の挿通孔86を画定する内周縁は、シャンク部30の第1軸部31の外周面に摺動自在に接触するように構成されている。滑り軸受70の円筒部71の内周面73は、シャンク部30の第2軸部32の外周面に摺動自在に面接触するように構成されている。軸線方向の先端側における滑り軸受70の円筒部71の先端面は、軸線方向の基端側における第3軸部33の基端面に面接触するように構成されている。軸線方向の基端側における滑り軸受70の底板部80の座面87は、軸線方向の先端側におけるドリル駆動装置10のシャンク結合部14の先端面に面接触するように構成されている。
【0027】
以上に説明した構成によれば、滑り軸受70の円筒部71の内周面73と滑り軸受70の底板部80の挿通孔86を画定する内周縁とがドリルツール20に安定的に接触するため、滑り軸受70の径方向において集塵カバーホルダ60がシャンク部30に安定的に支持される。また、ドリル駆動装置10の先端面が滑り軸受70の底板部80の座面87に面接触にて押し当てられることで、滑り軸受70の軸線方向において集塵カバーホルダ60がシャンク部30に安定的に支持される。よって、部品点数を少なくしながらも穿孔装置2に対して集塵カバーホルダ60がグラつくことを防止できる。
【0028】
滑り軸受70が金属製であるため、滑り軸受70によるシャンク部30の安定支持を簡易に実現できる。
【0029】
ドリル駆動装置10の先端面が滑り軸受70の底板部80の座面87を軸線方向の先端側に押し当てられ、かつ、シャンク部30の第3軸部33の基端面が滑り軸受70の円筒部71の先端面を軸線方向の基端側に押し当てられる。よって、滑り軸受70の軸線方向において集塵カバーホルダ60がシャンク部30に安定的に支持される。また、滑り軸受70は、第1軸部31及び第2軸部32の両方を支持するため、滑り軸受70の径方向においても集塵カバーホルダ60がシャンク部30に安定的に支持される。
【0030】
ホルダプレート61の内周部が、軸線方向において滑り軸受70のフランジ部74と止め輪90とにより挟まれているので、ホルダプレート61を滑り軸受70に対して安定的に組み付けることができると共に、ホルダプレート61を滑り軸受70から簡単に取り外すことができる。
【0031】
ホルダプレート61が、滑り軸受70のフランジ部74の外周縁に径方向に対向する周状突起部64を有するので、フランジ部74がホルダプレート61に対して径方向に位置決めされ、ホルダプレート61と滑り軸受70との間の位置関係を更に安定させることができる。
【0032】
ホルダプレート61の外周縁が軸線方向から見て複数の凹部66を有するので、作業者がホルダプレート61の外周縁を把持しやすく、集塵カバー50の交換等のメンテナンス作業の作業性を良好にできる。
【0033】
なお、本開示の技術は、前述した構成に限定されるものではない。図7は、ホルダプレート61と滑り軸受70との間に防塵キャップ95を嵌めた状態で、集塵カバーホルダ60を図3のIV-IV線に対応する箇所で切断し、防塵キャップ95及びその周辺部分を拡大した断面図である。図7に示すように、集塵カバーホルダ60は、環状凸部65と滑り軸受70との間に嵌められる円環状の防塵キャップ95を更に備えてもよい。これにより、滑り軸受70とホルダプレート61との間の僅かな隙間から粉塵が漏れるような状況が万が一発生したとしても、そのような漏れを防塵キャップ95によって防止できる。
【0034】
上記実施形態では、滑り軸受70が金属製である場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、滑り軸受70は、耐摩耗性を有する材料であれば金属以外の材料で形成されてもよい。
【0035】
上記実施形態では、ドリルツール20が、棒状のセンタードリル21と、円筒状のコアドリル25と、を有する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ドリルツール20は、例えば、円筒状のコアドリル25を有さず、シャンク部30を含む棒状のドリルであってもよい。
【0036】
上記実施形態では、集塵カバー50がホルダプレート61のカバー支持部62に取り付けられる被支持部52を含む場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、集塵カバー50は、固定具40を使ってホルダプレート61に固定されてもよい。
【0037】
上記実施形態では、集塵カバー50の蛇腹体55が伸縮可能な軟質樹脂(例えば、低密度ポリエチレン)である場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、蛇腹体55は、伸縮可能な硬質樹脂(例えば、高密度ポリエチレン)、又はその他の材料で形成されてもよい。
【0038】
上記実施形態では、滑り軸受70のフランジ部74が止め輪90よりも基端側に位置する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、フランジ部74が止め輪90よりも先端側に位置してもよい。
【0039】
上記実施形態では、ホルダプレート61のカバー支持部62が軸線方向から見て円形状である場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、カバー支持部62は、軸線方向から見て、集塵カバー50を支持でき且つ滑り軸受70を嵌合できる形状であれば、多角形状又はその他の形状であってもよい。
【0040】
以下の態様のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
[態様1]
刃先及びシャンク部を有するドリルツールと、前記ドリルツールが前記シャンク部にて装着されたドリル駆動装置と、を備えた穿孔装置に取り付けられ、かつ、集塵カバーを支持する集塵カバーホルダであって、
前記集塵カバーを支持するカバー支持部と、軸受嵌合穴と、を有するホルダプレートと、
前記ホルダプレートの前記軸受嵌合穴に嵌合した滑り軸受と、を備え、
前記滑り軸受の軸線方向において、前記刃先が位置する側を先端側と定義し、かつ、前記ドリル駆動装置が位置する側を基端側と定義し、
前記滑り軸受は、
前記シャンク部が挿通される挿通空間と、前記挿通空間を画定し且つ前記シャンク部の外周面に摺動自在に面接触する内周面と、を有する円筒部と、
前記シャンク部が挿通される挿通孔と、前記ドリル駆動装置の先端面に面接触するように前記軸線方向の前記基端側に向いた平坦な座面と、を有し、前記軸線方向の前記基端側から前記円筒部の前記挿通空間を閉鎖する底板部と、
を有する、穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
[態様2]
前記滑り軸受は、金属製である、態様1に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
[態様3]
前記シャンク部は、前記ドリル駆動装置に結合される第1軸部と、前記軸線方向の前記先端側にて前記第1軸部に隣接して前記第1軸部よりも大径の第2軸部と、前記軸線方向の前記先端側にて前記第2軸部に隣接して前記第2軸部よりも大径の第3軸部と、を有し、
前記底板部の前記挿通孔を画定する内周縁は、前記第1軸部の外周面に摺動自在に接触するように構成され、
前記円筒部の前記内周面は、前記第2軸部の外周面に摺動自在に面接触するように構成され、
前記軸線方向の前記先端側における前記円筒部の先端面は、前記軸線方向の前記基端側における前記第3軸部の基端面に面接触するように構成されている、態様1又は2に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
[態様4]
止め輪を更に備え、
前記滑り軸受は、
前記滑り軸受の径方向の外方に前記円筒部から突出したフランジ部と、
前記軸線方向に前記フランジ部から距離をあけた位置において、前記円筒部の外周面に形成されて周方向に延びた環状溝部と、
を更に有し、
前記止め輪は、前記環状溝部に嵌められ、
前記ホルダプレートの内周部は、前記軸線方向において前記フランジ部と前記止め輪とにより挟まれている、態様1乃至3のいずれか1項に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
[態様5]
前記ホルダプレートは、前記フランジ部の外周縁に前記径方向に対向する周状突起部を更に有する、態様4に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
[態様6]
前記ホルダプレートの外周縁は、前記軸線方向から見て複数の凹部を有する、態様1乃至5のいずれか1項に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
[態様7]
円環状の防塵キャップを更に備え、
前記ホルダプレートは、前記滑り軸受から径方向の外方に距離をあけた位置で前記軸線方向の前記先端側に突出した環状凸部を更に有し、
前記防塵キャップは、前記環状凸部と前記滑り軸受との間に嵌められる、態様1乃至6のいずれか1項に記載の穿孔装置用の集塵カバーホルダ。
[態様8]
態様1乃至7のいずれか1項に記載の前記集塵カバーホルダと、
前記集塵カバーホルダに支持される集塵カバーと、を備え、
前記集塵カバーは、
前記集塵カバーホルダの前記ホルダプレートの前記カバー支持部に取り付けられる被支持部を含むベース体と、
前記ベース体に固定され、前記ベース体の外周部から前記軸線方向の前記先端側に突出する円筒状の蛇腹体と、
を有する、集塵カバー装置。
【符号の説明】
【0041】
1 穿孔装置アッセンブリ
2 穿孔装置
3 集塵カバー装置
10 ドリル駆動装置
20 ドリルツール
28a 刃先
30 シャンク部
31 第1軸部
32 第2軸部
33 第3軸部
50 集塵カバー
51 ベース体
52 被支持部
55 蛇腹体
60 集塵カバーホルダ
61 ホルダプレート
62 カバー支持部
63 軸受嵌合穴
64 周状突起部
65 環状凸部
66 凹部
70 滑り軸受
71 円筒部
72 挿通空間
73 内周面
74 フランジ部
75 環状溝部
80 底板部
86 挿通孔
87 座面
90 止め輪
95 防塵キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7