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特開2025-29858デジタル保険証システム、デジタル保険証装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025029858
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】デジタル保険証システム、デジタル保険証装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20250228BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134725
(22)【出願日】2023-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】514235307
【氏名又は名称】アニコム ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003753
【氏名又は名称】弁理士法人シエル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 奈津代
(72)【発明者】
【氏名】杉田 伶
(72)【発明者】
【氏名】宮地 一哉
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 真理
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雄一
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB61
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】契約者などが保険を使用した回数をリアルタイムで把握可能なデジタル保険証システム、デジタル保険証装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】保険契約情報が記憶されたサーバ1と、ネットワークを介してサーバ1と接続可能なユーザ端末2とを有するデジタル保険証システムにおいて、サーバ1又はユーザ端末2に、ユーザが入力した保険使用情報に基づき、保険期間内における保険使用回数を算出する保険使用情報処理部22を設け、この保険使用情報処理部22で算出された保険使用回数の情報をユーザ端末2の表示部23に表示する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険契約情報が記憶されたサーバと、
ネットワークを介して前記サーバと接続可能なユーザ端末と
を有し、
前記サーバ又は前記ユーザ端末には、ユーザが入力した保険使用情報に基づき、保険期間内における保険使用回数を算出する保険使用情報処理部が設けられており、
前記保険使用情報処理部で算出された保険使用回数の情報が、前記ユーザ端末の表示部に表示されるデジタル保険証システム。
【請求項2】
前記保険使用情報は、補償対象項目名及び保険使用年月日であり、
前記保険使用回数は、補償対象の項目毎に分けて表示される請求項1に記載のデジタル保険証システム。
【請求項3】
前記保険使用情報処理部は、前記ユーザが入力した保険使用情報が不適切だった場合、前記ユーザ端末でエラーを表示する請求項1に記載のデジタル保険証システム。
【請求項4】
前記保険使用情報処理部は、前記サーバから取得した前記ユーザの保険契約情報と比較し、保険を使用できない期間の日付が入力された場合、既に登録済みの日付が入力された場合又は使用可能回数を超えて保険使用情報が入力された場合に不適切と判定する請求項3に記載のデジタル保険証システム。
【請求項5】
前記ユーザ端末の表示部には、前記保険使用回数と併せて、保険の支払状況も表示される請求項1に記載のデジタル保険証システム。
【請求項6】
前記サーバに記憶されている最新の保険契約情報に基づいて、前記ユーザが入力した保険使用情報を自動的に正しい保険使用情報に更新するか、又は、前記ユーザに保険使用情報の再入力を求める請求項1に記載のデジタル保険証システム。
【請求項7】
前記保険使用情報処理部は前記ユーザ端末に設けられており、
前記サーバには、前記保険使用情報処理部に入力された保険使用情報及び前記保険使用情報処理部で算出された保険使用回数を記憶する使用情報記憶部が設けられている請求項1に記載のデジタル保険証システム。
【請求項8】
ユーザが保険契約情報及び保険使用情報を入力するための保険情報入力部と、
前記保険契約情報を記憶する保険情報記憶部と、
前記保険情報記憶部に記憶された保険契約情報と前記保険情報入力部において入力された保険使用情報に基づき保険使用回数を算出する保険使用情報処理部と、
前記保険使用情報処理部で算出された保険使用回数を表示する表示部と
を有するデジタル保険証装置。
【請求項9】
前記保険情報入力部から保険支払情報も入力可能であり、
前記表示部には、前記保険使用回数と併せて、保険の支払状況も表示される請求項8に記載のデジタル保険証装置。
【請求項10】
前記保険使用情報処理部は、前記ユーザが入力した保険使用情報が不適切だった場合、前記表示部にエラーを表示する請求項8に記載のデジタル保険証装置。
【請求項11】
請求項8に記載のデジタル保険証装置を備えるデジタル保険証システム。
【請求項12】
更に、最新の保険契約情報が記憶されたサーバを有し、
前記デジタル保険証装置は、定期的又は必要に応じて前記サーバに接続し、前記保険情報記憶部に記憶された保険契約情報を更新する請求項11に記載のデジタル保険証システム。
【請求項13】
ネットワークで接続されたサーバから取得した又はユーザが入力した保険契約情報と、前記ユーザが入力した保険使用情報とに基づいて、保険期間内における保険使用回数を算出する保険使用情報処理機能をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル保険証システム、デジタル保険証装置及びプログラムに関し、より詳しくは、ペット保険などのように使用回数に制限のある保険向けのシステム、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫、うさぎなどのペットは、家族の一員として大切に扱われており、飼育環境の向上などの理由から、従来に比べて平均寿命が大幅に伸びている。その一方で、ペットが動物病院で診療や治療を受ける機会が多くなっているが、その費用は飼い主が全額負担しなければならないため、治療費などの一部が補償されるペット保険への加入が増えている。
【0003】
近年、各種保険においてデジタル化が進められており、加入している保険の内容や期間をインターネットで確認できるようになっている。例えば、特許文献1には、要求に応じて加入している保険の内容やペットの既往症などを加入者や動物病院の端末に表示するペット保険システムが提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、加入している保険の内容を記憶する保険情報記憶部と、飼い主が入力した飼育記録を記憶する飼育ログ情報記憶部と、通院の記録やカルテ情報を記憶するカルテ情報記憶部とを備える飼育支援システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-519360号公報
【特許文献2】特開2017-224188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ペット保険では年間の使用回数が決められている場合があるが、契約者や被保険者(「契約者」とペットの診療費を実際に負担する「飼い主」が異なる場合、保険金を請求する権利がある「飼い主」。)が請求回数を把握していないと、動物病院で窓口精算する際にエラーが出たり、請求時に保険会社に問い合わせが必要になったりする。しかしながら、特許文献1,2に記載されているような従来のデジタル保険証は、受診履歴や支払状況を確認する機能を備えているものもあるが、保険料の請求と支払いにはタイムラグがあるため、保険の使用状況をリアルタイムで確認することはできない。
【0007】
そこで、本発明は、契約者などが保険を使用した回数をリアルタイムで把握可能なデジタル保険証システム、デジタル保険証装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るデジタル保険証システムは、保険契約情報が記憶されたサーバと、ネットワークを介して前記サーバと接続可能なユーザ端末とを有し、前記サーバ又は前記ユーザ端末には、ユーザが入力した保険使用情報に基づき保険期間内における保険使用回数を算出する保険使用情報処理部が設けられており、前記保険使用情報処理部で算出された保険使用回数の情報が、前記ユーザ端末の表示部に表示されるものである。
前記保険使用情報は、例えば補償対象項目名及び保険使用年月日であり、前記保険使用回数を補償対象の項目毎に分けて表示してもよい。
前記保険使用情報処理部は、前記ユーザが入力した保険使用情報が不適切だった場合、前記ユーザ端末でエラーを表示することもできる。
その場合、前記保険使用情報処理部は、前記サーバから取得した前記ユーザの保険契約情報と比較し、保険を使用できない期間の日付が入力された場合、既に登録済みの日付が入力された場合又は使用可能回数を超えて保険使用情報が入力された場合に不適切と判定してもよい。
本発明のデジタル保険証システムは、前記ユーザ端末の表示部に、前記保険使用回数と併せて、保険の支払状況も表示することもできる。
また、本発明のデジタル保険証システムでは、前記サーバに記憶されている最新の保険契約情報に基づいて、前記ユーザが入力した保険使用情報を自動的に正しい保険使用情報に更新するか、又は、前記ユーザに保険使用情報の再入力を求めることもできる。
更に、前記保険使用情報処理部が前記ユーザ端末に設けられている場合、前記サーバに、前記保険使用情報処理部に入力された保険使用情報及び前記保険使用情報処理部で算出された保険使用回数を記憶する使用情報記憶部が設けられていてもよい。
【0009】
本発明に係るデジタル保険証装置は、ユーザが保険契約情報及び保険使用情報を入力するための保険情報入力部と、前記保険契約情報を記憶する保険情報記憶部と、前記保険情報記憶部に記憶された保険契約情報と前記保険情報入力部において入力された保険使用情報に基づき保険使用回数を算出する保険使用情報処理部と、前記保険使用情報処理部で算出された保険使用回数を表示する表示部とを有する。
本発明に係るデジタル保険証装置は、前記保険情報入力部から保険支払情報を入力してもよく、その場合、前記表示部に前記保険使用回数と併せて保険の支払状況を表示することもできる。
前記保険使用情報処理部は、前記ユーザが入力した保険使用情報が不適切だった場合、前記表示部にエラーを表示してもよい。
【0010】
本発明に係る他のデジタル保険証システムは、前述したデジタル保険証装置を備えるものである。
このデジタル保険証システムでは、更に、最新の保険契約情報が記憶されたサーバを有し、前記デジタル保険証装置は、定期的又は必要に応じて前記サーバに接続し、前記保険情報記憶部に記憶された保険契約情報を更新してもよい。
【0011】
本発明に係るプログラムは、ネットワークで接続されたサーバから取得した又はユーザが入力した保険契約情報と、前記ユーザが入力した保険使用情報とに基づいて、保険期間内における保険使用回数を算出する保険使用情報処理機能をコンピュータに実行させるものである。
【0012】
なお、本発明における「ユーザ」は、保険の契約者などであり、保険会社と契約を結んだ契約者の他、保険の補償対象となる被保険者及び保険金を受け取る権利を有する保険金受取人も含み、以下の説明においても同様である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、契約者などが自ら使用回数を登録可能であるため、保険を使用した回数をリアルタイムで確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態のデジタル保険証システムの構成を示す概念図である。
図2図1に示すデジタル保険証システムの具体的構成態様及びその動作例を示す図である。
図3】A~Cは端末での表示例を示す図である。
図4】A,Bは契約内容毎の初期画面の他の表示例を示す図である。
図5】A~Cはエラーの表示例を示す図である。
図6】保険金支払情報を反映させた表示例を示す図である。
図7】多頭飼いの場合に他の個体の情報に変更する場合の表示例を示す図である。
図8】過去の契約内容を閲覧する場合の表示例を示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態の変形例のデジタル保険証システムの具体的構成態様及びその動作例を示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態のデジタル保険証システムの具体的構成態様及びその動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0016】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係るデジタル保険証システムについて、ペット保険を例にして説明する。図1は本実施形態のデジタル保険証システムの構成を示す概念図であり、図2はその具体的構成態様及び動作例を示す図である。図1に示すように、本実施形態のデジタル保険証システムは、サーバ1と、ユーザが使用する端末2a~2dとを備え、これらはインターネット3を介して接続されている。
【0017】
[サーバ1]
図2に示すように、サーバ1には、例えば契約情報記憶部11が設けられており、契約者(飼い主)又は加入個体(ペット)毎に、保険契約に関する情報(以下、「保険契約情報」という。)が記憶されている。ここでいう「保険契約情報」には、契約者に関する情報、加入個体(ペット)の名前・年齢・生年月日・性別などの情報、証券番号、保険期間、補償対象項目・限度額・限度日数(回数)・免責金額などの補償内容の他、保険金の請求状況や支払状況などの保険会社での処理情報も含む。サーバ1は、契約情報記憶部11に記憶されている保険契約情報の中から、端末2(2a~2d)の要求に応じて、加入個体(ペット)の名前、証券番号、保険期間、通院可能回数、入院可能回数及び手術可能回数などの情報を出力する。
【0018】
サーバ1には、更に、端末2(2a~2d)から出力された保険使用情報を記憶する使用情報記憶部12が設けられていてもよい。使用情報記憶部12に記憶される保険使用情報としては、例えば、通院・入院・手術の年月日や回数が挙げられる。使用情報記憶部12に記憶された保険使用情報は、必要に応じて契約情報記憶部11に記憶された保険契約情報の更新などに用いられる。
【0019】
[端末2,2a~2d]
図2に示すように、端末2(2a~2d)には、補償対象である通院・入院・手術などにより保険を使用した年月日や回数を入力する保険使用情報入力部21、入力された情報に基づき保険使用回数をカウントする保険使用情報処理部22、契約情報や保険使用状況を表示する表示部23などが設けられている。
【0020】
端末2(2a~2d)は、インターネットに接続可能なものであればよく、例えば、スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータなどを用いることができる。その場合、保険使用情報入力部21としては、スマートフォン2aやタブレット2bのタッチパネル、パーソナルコンピュータ2c,2dのキーボードを用いることができ、表示部23には、スマートフォン2aやタブレット2bの表示パネル、パーソナルコンピュータ2c,2dのモニターを用いることができる。
【0021】
なお、保険使用情報処理部22での処理結果(保険使用情報)は、端末2(2a~2d)内に記憶されてもよいが、サーバ1に送信して使用情報記憶部12に記憶されたり、契約情報記憶部11の保険契約情報に反映させたりすることもできる。
【0022】
[動作]
次に、本実施形態のデジタル保険証システムの動作、即ち、図1,2に示すデジタル保険証システムを用いて、ユーザ(契約者や飼い主など)が保険使用回数を把握する方法について説明する。本実施形態のデジタル保険証システムでは、予め端末2(2a~2d)にデジタル保険証プログラムをインストールしておく。そして、保険使用情報を入力する際は、デジタル保険証プログラムを動作させて、保険契約情報を表示させる。
【0023】
図3A~Cは端末2での表示例を示す図であり、図3Aは保険未使用の初期状態の表示画面、図3Bは保険使用日入力画面、図3Cは複数回保険を使用した状態での表示画面である。デジタル保険証プログラムを動作させると、端末2はサーバ1に保険契約情報を要求する。これにより、サーバ1の契約情報記憶部11から、その契約者(飼い主)又は保険加入個体(ペット)の保険契約情報が出力され、端末2の表示部23に表示される。
【0024】
具体的には、図3Aに示すように、加入個体(ペット)の名前、証券番号、保険期間に加えて、通院・入院・手術などの補償対象項目毎に保険の使用回数が表示される。なお、保険未使用の初期状態の表示画面は、契約内容にかかわらず同一としてもよいが、契約内容に応じて表示される項目を変更してもよい。図4A,Bは契約内容毎の表示例を示す図である。例えば、通院、入院及び手術が補償対象である保険の場合は、図4Aに示すように、「通院」、「入院」、「手術」の各項目が表示されるが、通院は補償対象外で入院及び手術のみ補償される保険の場合は、図4Bに示すように「入院」及び「手術」の項目のみ表示することもできる。
【0025】
保険使用情報の入力は、先ず、ユーザ(契約者・飼い主)が、例えば、保険を使用した項目(通院・入院・手術など)の中で色が付されていないもののうち一番小さい数字(図3Aであれば「1」)を画面上で選択する。そうすると、図3Bに示す保険使用日入力画面が表示部23に表示されるため、ユーザ(契約者・飼い主)は、例えば診察や診療を受けた日付を入力する。
【0026】
これらの動作により入力された「保険使用項目」及び「保険使用日」の情報は、保険使用情報処理部22において処理される。具体的には、各項目の入力回数がカウントされ、その結果が表示部23に表示される。使用回数の表示方法は、特に限定されるものではないが、例えば、図3Cに示すように、保険使用日を追加した回数に連動して、通院、入院及び手術などの項目毎に、数字が記載された色つき丸バッチの図柄の数が増えるようにすることができる。これにより、ユーザ(契約者・飼い主)は、通院・入院・手術などの項目毎に、現在の保険使用回数を容易に把握することが可能となる。
【0027】
また、保険使用情報として「保険使用項目」及び「保険使用日」に加えて、診察や診療を受けた「動物病院名」を入力してもよい。病気や怪我の内容及び状態によっては、通常通院している病院(かかりつけ医)とは異なる病院に入院して手術を行ったり、専門性の高い病院や高度医療が可能な病院で診療を受けたりする場合がある。このような場合、どこの病院でどの項目をいつ使用したか把握したい場合があるためであるが、「動物病院名」を入力できるようにすることで、ユーザ(契約者・飼い主)が、どこの動物病院で保険を使用したのかを容易に把握することが可能となる。
【0028】
本実施形態のデジタル保険証システムでは、ユーザ(契約者・飼い主)が入力した保険使用情報が不適切だった場合に、端末2の表示部23にエラーを表示してもよい。具体的には、保険使用情報処理部22において、サーバ1から取得した保険契約情報と比較し、例えば保険期間外などのように保険を使用できない場合、既に登録済みの日付を入力した(重複して登録しようとした)場合、及び規定回数を超えて登録しようとした場合などに不適切と判定し、表示部23においてエラーを表示する。
【0029】
図5A~Cはエラーの表示例を示す図である。例えば、図5A~Cに示すように、保険期間外の日付を選択・入力した場合は「保険期間外です」と表示され、登録済みの日付を入力した(重複して登録しようとした)場合は「登録済みです」と、規定回数を超えて登録しようとした場合は「使用回数を超えています」とそれぞれ表示される。
【0030】
また、本実施形態のデジタル保険証システムでは、保険使用回数と併せて、保険金支払情報を表示することもできる。図6は保険金支払情報を反映させた表示例を示す図である。例えば、ユーザ(契約者・飼い主)が「通院」について19回保険金の請求を行い、そのうち16回分は既に保険金が支払われている場合は、図6に示すように、「通院」の欄に19個の色つき丸バッチの図柄が表示され、そのうち1~16番目の色つき丸バッチには、星の図柄が重ねて表示されるようにしてもよい。これにより、ユーザ(契約者・飼い主)は、保険金の支払状況も一目で把握することが可能となる。
【0031】
更に、本実施形態のデジタル保険証システムには、前述した保険金支払情報の表示に加えて、保険使用情報入力後一定期間経過しても保険金支払情報が反映されない場合にアラートを表示する機能を付加することもできる。これにより、ユーザ(契約者・飼い主)が本来保険適用外であった診療に対して保険適用であると誤解して保険使用情報を入力したり、保険使用日に誤った日付を入力したりした場合でも、正しい保険使用回数を把握することが可能となる。
【0032】
本実施形態のデジタル保険証システムは、サーバ1の契約情報記憶部11に記憶されている最新の保険契約情報に基づいて、ユーザ(契約者・飼い主)が入力した保険使用情報を自動的に正しい保険使用情報に更新したり、ユーザ(契約者・飼い主)に保険使用情報の再入力を求めたりする機能を付加してもよい。これにより、ユーザ(契約者・飼い主)は、通院・入院・手術などの項目毎に、現在の正しい保険使用回数を把握することが可能となる。
【0033】
例えば、契約情報記憶部11には「2023年7月26日に3回目の通院をして窓口精算を行って保険金請求がなされた」との記録があるが、ユーザ(契約者・飼い主)は「2023年7月26日・通院」の入力はせずに「2023年7月27日・手術」と入力していた場合、ユーザ(契約者・飼い主)が「保険使用項目」及び「保険使用日」を誤って入力したと判断する。そして、サーバ1の使用情報記憶部12に記憶されている保険使用情報を自動的に「2023年7月26日・通院」に更新するか、又は、端末2の表示部23にアラートを表示してユーザ(契約者・飼い主)に保険使用情報の再入力を求める。
【0034】
一方、契約者の中には、複数のペットを飼育しており、各個体について保険契約をしていることがある。そこで、本実施形態のデジタル保険証システムでは、サーバ1に記憶されている保険契約情報を、契約者毎に紐付けておき、他の加入個体(ペット)の情報も容易に入力及び閲覧できるようにしてもよい。図7は多頭飼いの場合に他の個体の情報に変更する場合の表示例を示す図である。
【0035】
例えば、図7に示すように、保険情報が表示されている画面に「他のどうぶつ情報を見る」などの文字が記載されたアイコンを設け、このアイコンを選択すると、表示する個体(ペット)を選択する画面に移動するようにする。これにより、ペット毎に複数の保険を契約している場合でも、都度ログイン操作をすることなく、連続して保険の使用回数の閲覧や登録を行うことができる。
【0036】
更に、本実施形態のデジタル保険証システムでは、過去の契約内容や保険の使用履歴を閲覧可能にすることもできる。図8は過去の契約内容を閲覧する場合の表示例を示す図である。その場合、例えば、図8に示すように、端末2において過去の保険期間を選択できるようにし、選択された期間の情報をサーバ1から読み出し、表示部に表示すればよい。
【0037】
[プログラム]
前述した各動作は、端末2(2a~2d)での各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、端末2(2a~2d)に実装することにより実施することができる。具体的には、サーバ1から契約情報を取得する機能と、取得した契約情報を表示部に表示する機能と、入力された「保険使用項目」及び「保険使用日」から項目毎に使用回数をカウントする機能と、カウントした結果を契約情報と共に表示する機能とを、コンピュータに実行させるプログラムにより実施することができる。
【0038】
本実施形態のデジタル保険証システムにおいて、保険使用情報の入力は、例えば、契約者又は飼い主(被保険者)が保険金を請求した後若しくは動物病院において窓口精算した後に実施すればよい。また、本実施形態のデジタル保険証システムは、ユーザ(契約者・飼い主)自身が端末2(2a~2d)を操作して契約情報を表示することで、動物病院で診療や治療を受ける際に保険証として使用することもできる。
【0039】
以上詳述したように、本実施形態のデジタル保険証システムは、契約者などが保険の使用情報を入力すると、その場で使用回数がカウントされて端末に表示されるため、個体毎に保険を使用した回数をタイムラグなく、確認することが可能となる。
【0040】
(変形例)
次に、本実施形態の第1の実施形態の変形例に係るデジタル保険証システムについて説明する。前述した第1の実施形態のデジタル保険証システムでは、端末に設けた保険使用情報処理部(端末に搭載された保険使用情報処理プログラム)により、保険の使用回数をカウントしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、全ての処理をサーバ1で行い、端末2では表示及び保険使用情報の入力のみ行ってもよい。
【0041】
[システム構成]
図9は本変形例のデジタル保険証システムの具体的構成態様及びその動作例を示す図である。なお、図9においては、図2に示すデジタル保険証システムの構成と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図9に示すように、本変形例のデジタル保険証システムは、サーバ10に保険使用情報処理部13が設けられており、端末20には保険使用情報入力部21と表示部23のみ設けられている。
【0042】
[動作]
本変形例のデジタル保険証システムでは、端末20で入力された「保険使用項目」及び「保険使用日」の情報は、インターネット3を介してサーバ10に送られ、保険使用情報処理部13において、契約情報記憶部11に記憶された保険契約情報に基づき保険使用回数が算出される。保険使用情報処理部13での処理結果は、インターネット3を介して端末20に送信され、表示部23に表示される。本変形例のデジタル保険証システムでも、保険使用情報処理部13に入力された保険使用情報を用いて契約情報記憶部11に記憶された保険契約情報を更新してもよい。
【0043】
本変形例のデジタル保険証システムでも、契約者などが自ら使用回数を登録可能であるため、保険を使用した回数をリアルタイムで確認することができる。また、本変形例のデジタル保険証システムは、ユーザ(契約者・飼い主)の端末にアプリケーションをインストールする必要がないため、簡便に利用することができる。なお、本変形例における上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0044】
また、前述した第1の実施形態及びその変形例では、ペット保険を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、使用回数や請求回数が決められている保険であれば適用可能であり、同様の効果が得られる。また、回数の代わりに、金額を管理すれば、請求金額に上限がある保険についても適用することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、本実施形態の第2の実施形態に係るデジタル保険証装置について説明する。前述した第1の実施形態及びその変形例では、インターネットを介して端末2,20とサーバ1,10とを接続して、契約情報や保険使用情報を受送信(入出力)しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、インターネットを介してサーバと接続しなくても、ユーザ(契約者・飼い主)が操作する端末のみで保険を使用した回数を把握可能な構成としてもよい。
【0046】
[装置構成]
図10は本実施形態のデジタル保険証装置の具体的構成態様及びその動作例を示す図である。なお、図10においては、図2及び図9に示すデジタル保険証システムの構成と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図10に示すように、本実施形態のデジタル保険証装置4には、保険契約情報及び保険使用情報を入力する保険情報入力部41と、入力された保険契約情報を記憶する保険情報記憶部40と、保険情報記憶部40に記憶された保険契約情報と保険情報入力部41において入力された保険使用情報に基づき保険使用回数を算出する保険使用情報処理部22と、保険使用回数などを表示する表示部23が設けられている。
【0047】
本実施形態のデジタル保険証装置4は、保険情報入力部41から保険支払情報を入力可能にしてもよく、その場合、表示部23において保険使用回数と併せて保険金の支払状況も表示することができる。
【0048】
本実施形態のデジタル保険証装置4は、ユーザ(契約者・飼い主)が加入している保険の情報のみを記憶する保険情報記憶部40を備えており、補償対象項目名や保険使用年月日などの保険使用情報に加えて、加入個体(ペット)の名前、証券番号、保険期間、通院可能回数、入院可能回数及び手術可能回数などの保険契約情報の入力や更新、必要に応じて保険の支払い情報の入力もユーザ自身で行うようになっている。また、本実施形態のデジタル保険証装置4は、定期的に又は必要に応じてサーバ1に接続し、契約情報記憶部11に記憶された最新の契約情報に基づき、保険情報記憶部40に記憶された保険契約情報を更新する機能を備えていてもよい。
【0049】
[動作]
次に、本実施形態のデジタル保険証装置4の動作、即ち、図10に示すデジタル保険証装置4を用いて、ユーザ(契約者・飼い主)が保険使用回数を把握する方法について説明する。本実施形態のデジタル保険証装置4では、予め、ユーザ(契約者・飼い主)が保険情報入力部41を操作し、加入個体(ペット)の名前、証券番号、保険期間、通院可能回数、入院可能回数及び手術可能回数などの保険契約情報を入力しておく。保険情報入力部41において入力された保険契約情報は、保険情報記憶部40に記憶される。
【0050】
保険の使用を登録する際は、例えば、デジタル保険証装置4に実装されているデジタル保険証プログラムを動作させて、保険使用情報の入力に必要な情報を表示部23に表示させる。具体的には、保険情報記憶部40に記憶されている保険契約情報を保険使用情報処理部22に出力し、その中から入力に必要な情報を選択して表示部23に表示させる。
【0051】
そして、ユーザ(契約者・飼い主)が保険情報入力部41を操作して保険使用項目や保険使用日などの保険使用情報を入力すると、保険使用情報処理部22において、これらの保険使用情報と保険契約情報に基づき保険期間内における保険使用回数が算出され、その結果が表示部23に表示される。また、保険使用情報処理部22での処理結果は、保険使用情報と共に保険情報記憶部40に記憶され、今後の処理などに用いられる。
【0052】
また、本実施形態のデジタル保険証装置4は、ユーザ(契約者・飼い主)が保険情報入力部41を操作し、保険支払情報を入力してもよい。これにより、表示部23に、保険の使用回数と併せて、保険金の支払い情報を表示することができる。
【0053】
本実施形態のデジタル保険証装置4は、前述した第1の実施形態と同様に、ユーザ(契約者・飼い主)が入力した保険使用情報が不適切だった場合、表示部23にエラーを表示するようにしてもよい。不適切な入力例としては、例えば、保険期間外などのように保険を使用できない場合、既に登録済みの日付を入力した(重複して登録しようとした)場合、規定回数を超えて登録しようとした場合などが挙げられる。
【0054】
また、本実施形態のデジタル保険証装置4は、サーバ1に接続して保険情報記憶部40に記憶されている保険契約情報を更新する際に、サーバ1に記憶された保険契約情報とユーザ(契約者・飼い主)が入力した保険契約情報とが異なる場合、サーバ1に記憶された情報に基づいて自動的に正しい保険契約情報に更新するか又はユーザ(契約者・飼い主)に保険契約情報の再入力を求めるようにしてもよい。なお、サーバ1に保険使用情報や保険支払情報が記憶されている場合、その情報に基づいてこれらの情報を更新又は修正してもよい。
【0055】
[プログラム]
前述した各動作は、ユーザ(契約者・飼い主)が入力した保険契約情報と、ユーザ(契約者・飼い主)が入力した保険使用情報とに基づいて、保険期間内における保険使用回数を算出する保険使用情報処理機能をデジタル保険証装置に実行させるプログラムにより実施することができる。このプログラムは、ユーザ(契約者・飼い主)が入力した保険契約情報を保険情報記憶部に記憶させる機能と、保険情報記憶部に記憶された保険契約情報とユーザ(契約者・飼い主)が入力した保険使用情報に基づき保険使用回数を算出する保険使用情報処理機能と、算出された保険使用回数を表示部に表示する表示機能を備えていてもよい。
【0056】
以上詳述したように、本実施形態のデジタル保険証装置は、契約者などが自ら保険契約情報、保険使用情報及び保険支払情報を入力し、入力された情報が装置内に記憶されているため、インターネットに接続できない状態であっても、最新の保険使用回数を確認することができる。本実施形態のデジタル保険証装置における上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0057】
なお、本発明は、以下の構成を採ることもできる。
〔1〕
保険契約情報が記憶されたサーバと、
ネットワークを介して前記サーバと接続可能なユーザ端末と
を有し、
前記サーバ又は前記ユーザ端末には、ユーザが入力した保険使用情報に基づき保険期間内における保険使用回数を算出する保険使用情報処理部が設けられており、
前記保険使用情報処理部で算出された保険使用回数の情報が、前記ユーザ端末の表示部に表示されるデジタル保険証システム。
〔2〕
前記保険使用情報は、補償対象項目名及び保険使用年月日であり、
前記保険使用回数は補償対象の項目毎に分けて表示される〔1〕に記載のデジタル保険証システム。
〔3〕
前記保険使用情報処理部は、前記ユーザが入力した保険使用情報が不適切だった場合、前記ユーザ端末でエラーを表示する〔1〕又は〔2〕に記載のデジタル保険証システム。
〔4〕
前記保険使用情報処理部は、前記サーバから取得した前記ユーザの保険契約情報と比較し、保険を使用できない期間の日付が入力された場合、既に登録済みの日付が入力された場合又は使用可能回数を超えて保険使用情報が入力された場合に不適切と判定する〔3〕に記載のデジタル保険証システム。
〔5〕
前記ユーザ端末の表示部には、前記保険使用回数と併せて、保険の支払状況も表示される〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のデジタル保険証システム。
〔6〕
前記サーバに記憶されている最新の保険契約情報に基づいて、前記ユーザが入力した保険使用情報を自動的に正しい保険使用情報に更新するか、又は、前記ユーザに保険使用情報の再入力を求める〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のデジタル保険証システム。
〔7〕
前記保険使用情報処理部は前記ユーザ端末に設けられており、
前記サーバには、前記保険使用情報処理部に入力された保険使用情報及び前記保険使用情報処理部で算出された保険使用回数を記憶する使用情報記憶部が設けられている〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のデジタル保険証システム。
〔8〕
ユーザが保険契約情報及び保険使用情報を入力するための保険情報入力部と、
前記保険契約情報を記憶する保険情報記憶部と、
前記保険情報記憶部に記憶された保険契約情報と前記保険情報入力部において入力された保険使用情報に基づき保険使用回数を算出する保険使用情報処理部と、
前記保険使用情報処理部で算出された保険使用回数を表示する表示部と
を有するデジタル保険証装置。
〔9〕
前記保険情報入力部から保険支払情報も入力可能であり、
前記表示部には、前記保険使用回数と併せて、保険の支払状況も表示される〔8〕に記載のデジタル保険証装置。
〔10〕
前記保険使用情報処理部は、前記ユーザが入力した保険使用情報が不適切だった場合、前記表示部にエラーを表示する〔8〕又は〔9〕に記載のデジタル保険証装置。
〔11〕
〔8〕~〔10〕のいずれかに記載のデジタル保険証装置を備えるデジタル保険証システム。
〔12〕
更に、最新の保険契約情報が記憶されたサーバを有し、
前記デジタル保険証装置は、定期的又は必要に応じて前記サーバに接続し、前記保険情報記憶部に記憶された保険契約情報を更新する〔11〕に記載のデジタル保険証システム。
〔13〕
ネットワークで接続されたサーバから取得した又はユーザが入力した保険契約情報と、前記ユーザが入力した保険使用情報とに基づいて、保険期間内における保険使用回数を算出する保険使用情報処理機能をコンピュータに実行させるプログラム。
〔14〕
前記保険使用情報は、補償対象項目名及び保険使用年月日であり、
更に、前記保険使用回数を補償対象の項目毎に分けて出力する機能を有する〔13〕に記載のプログラム。
〔15〕
前記保険使用情報処理機能は、前記ユーザが入力した保険使用情報が不適切だった場合、エラー情報を出力する〔13〕又は〔14〕に記載のプログラム。
〔16〕
前記保険使用情報処理機能は、前記保険契約情報と比較し、前記保険を使用できない期間の日付が入力された場合、既に登録済みの日付が入力された場合又は使用可能回数を超えて保険使用情報が入力された場合に不適切と判定する〔15〕に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0058】
1,10 サーバ
2,2a~2d,20 端末
3 インターネット
4 デジタル保険証装置
11 契約情報記憶部
12 使用情報記憶部
13,22 保険使用情報処理部
21 保険使用情報入力部
23 表示部
40 保険情報記憶部
41 保険情報入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10