(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002988
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】レーダー装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20241226BHJP
F21S 43/239 20180101ALN20241226BHJP
F21S 43/245 20180101ALN20241226BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20241226BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20241226BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20241226BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241226BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20241226BHJP
【FI】
G01S7/03 246
F21S43/239
F21S43/245
F21W103:10
F21W103:00
F21W103:20
F21Y115:10
F21W103:55
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103407
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100091340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 敬四郎
(72)【発明者】
【氏名】金近 正之
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB24
5J070AF03
5J070AK39
5J070AK40
(57)【要約】
【課題】照明機能を有するレーダー装置において、レーダー性能の低下を防ぐ。
【解決手段】レーダー装置100は、ミリ波の電磁波を送受信するレーダー部10と、レーダー部10が収納されており、レーダー部10から放射される電磁波が通過する部分が開口している収納部20と、収納部20の開口している部分である開口部26の周囲と接し、開口部26の全体を覆う導光板30と、導光板30の側面のうち光を入射させる面である入光面31に光を入射させる発光部40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波の電磁波を送受信するレーダー部と、
前記レーダー部が収納されており、前記レーダー部から放射される電磁波が通過する部分が開口している収納部と、
前記収納部の開口している部分である開口部の周囲と接し、前記開口部の全体を覆う導光板と、
前記導光板の側面のうち光を入射させる面である入光面に光を入射させる発光部と、
を備える、
レーダー装置。
【請求項2】
前記レーダー部から放射される電磁波の前記導光板内における実効波長をλとしたとき、
前記導光板は、前記収納部の内側の側面のうち前記発光部から最短距離に存在する前記側面の上端から、前記入光面までの間に、λ/4の正の奇数倍の抑制距離が設けてある、
請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項3】
前記導光板の前記入光面以外の側面は導体で覆われている、
請求項2に記載のレーダー装置。
【請求項4】
前記導光板はλ/2の正の整数倍の厚さを有する、
請求項3に記載のレーダー装置。
【請求項5】
前記導光板は裏面にλ/20以下の厚さの凹凸が配設されている、
請求項4に記載のレーダー装置。
【請求項6】
前記導光板は湾曲している、
請求項1から5のいずれか1項に記載のレーダー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からミリ波を用いたレーダー(ミリ波レーダー)が知られており、ミリ波レーダーを搭載した車両も実用化されている。ミリ波レーダーを車両に搭載する場合、見映えが悪くなる(意匠性が悪化する)ことを防ぐために、レーダー装置をカバーで隠すことが多い。例えば特許文献1に記載されている車両用灯体では、カバーとなるアウターレンズの奥に導光レンズを設置し、さらにその導光レンズの奥にミリ波レーダーを設置している。このような構造にすることで、ミリ波レーダーの放熱性及びサービス性が向上するとともに、ミリ波レーダーが外部から見え難くなり、良好な意匠性を具備させることができている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような従来のレーダー装置付き灯具では、見映えを良くするためにレーダー装置を隠すためのインナーレンズが存在することから、レーダー出力がレーダーケース前面カバーを通り、インナーレンズ、アウターレンズを透過することによってレーダー性能が低下してしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、照明機能を有するレーダー装置において、レーダー性能の低下を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレーダー装置は、
ミリ波の電磁波を送受信するレーダー部と、
前記レーダー部が収納されており、前記レーダー部から放射される電磁波が通過する部分が開口している収納部と、
前記収納部の開口している部分である開口部の周囲と接し、前記開口部の全体を覆う導光板と、
前記導光板の側面のうち光を入射させる面である入光面に光を入射させる発光部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、照明機能を有するレーダー装置において、レーダー性能の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係るレーダー装置の側面図である。
【
図2】実施形態1に係るレーダー装置の断面図である。
【
図3】実施形態1に係る収納部を斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】実施形態1に係るレーダー装置の上面図である。
【
図5】レーダー部から放射されたミリ波の進み方を模式的に示した図である。
【
図6】実施形態2に係るレーダー装置の側面図である。
【
図7】実施形態3に係るレーダー装置の側面図である。
【
図8】実施形態4に係るレーダー装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るレーダー装置100は、側面図を
図1に示すように、ミリ波の電磁波を送受信するレーダー部10と、一面が開口した箱形状をしておりレーダー部10が収納される収納部20と、レーダー部10を隠すとともに発光部40からの光により発光する導光板30と、導光板30に光を入射させる発光部40と、を備える。なお、収納部20の内側の側面及び底面並びにレーダー部10は、収納部20の外部からは視認できないため、
図1では破線で示されている。
【0011】
図2は、
図1のA-Aにおける断面図である。
図2に示すように、レーダー部10の基板には、ドライバ部11とアンテナ部12が実装されている。ドライバ部11には、ミリ波レーダーの送信回路及び受信回路が実装されている。アンテナ部12には、ミリ波の電磁波を放射するための送信アンテナと、送信アンテナから放射されて対象物で反射された当該電磁波(反射波)を受信するための受信アンテナが実装されている。
【0012】
収納部20は、レーダー装置100のケースであり、導体(例えばアルミダイキャスト)で形成されている。収納部20は一面が開口した多面形状の形状であり、各面の厚さwは例えば1.5mmである。収納部20の開口した箇所を開口部26とする。収納部20は、レーダー部10のアンテナ部12が開口部26側を向くようにレーダー部10を収納している。そして収納部20は、レーダー部10から送信される電磁波が、収納部20の開口部26以外から放射されるのを抑制する。
図1及び
図2では、収納部20は直方体形状で、各面の厚さwが一定の値になっているが、収納部20の形状や厚さはこれに限らない。収納部20は、レーダー部10を収納でき、レーダー部10から送信される電磁波が開口部26以外から放射されるのを抑制可能であるなら、直方体以外の形状でもよく、また厚さも一定の厚さでなくてもよい。
【0013】
導光板30は、樹脂により板状に形成されている。また、
図3に示すように、開口部26を囲む収納部20の各面の端面27は、収納部20の開口部26側の面に導光板30を載せると、端面27と導光板30とが隙間なく接触するように形成されている。
図1に示すように、導光板30は、収納部20の開口部26の周囲に存在する端面27と隙間なく接し、開口部26の全体を塞ぐように配置されている。そして、導光板30は、レーダー部10のアンテナ部12と直接対向する。
図4は、収納部20の上部の開口部26を塞ぐように導光板30が配置されたレーダー装置100を上から見たときの上面図である。導光板30の側面の一つである入光面31に光が入射すると、その光は導光板30の内部で拡散し、導光板30の表面全体が発光する。導光板30の材質は、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリプロピレン等の誘電体である。
【0014】
発光部40は、
図1及び
図4に示すように、光源モジュール基板41に、発光素子42が実装されたものである。発光部40は、導光板30の入光面31に光を出射し、導光板30を発光させる。発光素子42は、
図4に示すように複数のLED(Light Emitting Diode)が一列に実装されているものであってもよいし、冷陰極蛍光管、熱陰極蛍光管等の線状光源であってもよい。
【0015】
発光部40からの光によって導光板30が発光することにより、レーダー部10は、発光した導光板30に隠されて露見しなくなる。導光板30は外部からはスモールライト(ポジションランプ、前照灯)、テールランプ(信号灯)、ウインカー(方向指示器)等の灯火部として視認される。したがって、レーダー装置100は、外観上は通常の車両用灯具として認識され、レーダー機能があるにも関わらず、レーダーの存在は隠され、レーダーによって見映えが悪くなることを防ぐことができる。また、この導光板30の発光を例えば車両の灯具機能として用いることで、レーダー部10を隠すカバーなどの部材を少なくすることができ、レーダー性能が低下することを抑制することができる。
【0016】
導光板30の入光面31以外の3つの側面、すなわち
図4に示す側面32,33,34は、アルミメッキを施す等、導体で覆われた状態になっている。このため、導光板30に入射したミリ波は側面32,33,34では反射し、側面32,33,34からは漏洩しないようになっている。入光面31は(発光部40からの光を入光する必要があるので)導体で覆われていない(アルミメッキ等は施されていない)。そのため、導光板30に入光したミリ波は入光面31から外部に漏洩する可能性があるが、
図1に矢示した上端21から入光面31までの間には、後述するようにミリ波が逆位相で相殺される距離が設けられているため、入光面31からのミリ波の漏洩は抑制される。
【0017】
また、導光板30は、収納部20の端面27に載せる形で配置されなくてもよい。例えば、収納部20の各側面を上方に延設させて、導光板30の側面32,33,34それぞれと対向するようにすることで、導光板30が収納部20の内側に入り込んだ状態で設置されてもよい。この場合、側面32,33,34は収納部20の内側面(例えばアルミダイキャスト)と対面する。したがって、側面32,33,34にアルミメッキ等を施さなくても、導光板30に入射したミリ波は側面32,33,34に対面した収納部20の内側面で反射し、収納部20の外部には漏洩しない。
【0018】
レーダー部10から送信される電磁波は、例えば79GHz帯のミリ波が用いられるが、ミリ波の電磁波であれば周波数は任意である。例えば、ミリ波レーダー用特定小電力無線局用の周波数として
(一)60GHzを超え61GHz以下の周波数
(二)76GHzを超え77GHz以下の周波数
(三)77GHzを超え81GHz以下の周波数
の3種類の周波数帯が規定されているが、これらの中の任意の周波数の電磁波をレーダー部10が送受信するミリ波として用いることができる。
【0019】
レーダー部10から送信されるミリ波の周波数をf(Hz)で、光速をc(m/s)で、それぞれ表すと、このミリ波の自由空間波長λ0(m)は、以下の式(1)で表される。
λ0=c/f …(1)
【0020】
そして、導光板30の比誘電率をεrで表すと、導光板30の内部を透過するミリ波の実効波長λ(m)は、以下の式(2)で表される。
λ=λ0/(εr)1/2 …(2)
【0021】
例えば、f=79GHz、εr=3.0とすると、以下のように自由空間波長λ0と導光板30内の実効波長λが算出される。なお、以下では、各数値は基本的に有効数字2桁で表している。
λ0=c/f=3.00×108/79×109=3.8(mm)
λ=λ0/(εr)1/2=3.8×10-3/1.732=2.2(mm)
【0022】
図5は、レーダー部10から放射されたミリ波e
1がレーダー装置100の内部及び外部をどのように進むかを模式的に示した図である。レーダー部10のアンテナ部12から放射されたミリ波e
1の95%程度は、正面(導光板30)に向かって直進し、導光板30を透過して、ミリ波e
2として示すように外部に放射される。
【0023】
なお、ミリ波e1の大部分は導光板30の裏面35(収納部20の内部の空間と導光板30との境目となる面)及び導光板30の表面36(レーダー装置100の外部の空間と導光板30との境目となる面)に対して垂直に放射されるので、導光板30の裏面35及び表面36における反射は少なく、反射されるのは、アンテナ部12から放射されたミリ波e1の5%程度である。そして、導光板30の厚さtを、λ/2の正の整数倍に設定することにより、導光板30に入ったミリ波と、それが導光板30の表面36で反射した反射波との位相が揃うため、ミリ波の導光板30内での減衰量が最小となる。したがって導光板30の厚さtはλ/2の正の整数倍とすることが望ましい。
【0024】
ただし、この導光板30の最適な厚さtには±5%の許容範囲(レーダー部10から放射される電磁波に影響を与えない範囲)が存在することがシミュレーションで確かめられているため、実際には厚さtはλ/2の正の整数倍±5%の範囲で設定可能である。
【0025】
アンテナ部12から放射されたミリ波e1のうち、正面に進まないもの(サイドローブや導光板30で反射したミリ波等)は収納部20の内部で拡散される。例えば、導光板30とは反対の方向に進むミリ波e3は、収納部20の底面や側面で反射又は吸収される。
【0026】
導光板30と収納部20の端面27とは隙間がないように接しており、アンテナ部12から放射された電磁波のうち、開口部26の方向に進むが外部に放出されない電磁波は、収納部20内部の端部で乱れて導光板30に入り、横方向に進む。例えば、収納部20の内側の側面のうち、発光部40とは反対側の側面の上端22から導光板30の内部に入り込んだミリ波e
4は、導光板の側面33に存在するアルミメッキ等により反射又は吸収される。また、
図4に示す、収納部20の内側の側面のうち発光部40から最短距離に存在する側面と発光部40から最長距離に存在する側面とを繋ぐ側面の上端(
図4に示す収納部20の内側の側面の上端23,24)から導光板30の内部に入り込んだミリ波は、
図4に示す導光板30の側面32,34に存在するアルミメッキ等により反射又は吸収される。
【0027】
収納部20内部の端部のうち上端21から導光板30に入って横方向に進むミリ波は、側面32,33,34の方向には進まない(入光面31の方向に進む)ので反射も吸収もされない。したがって、上端21から導光板30に入って入光面31の方向に進むミリ波の成分が増えることになるため、本実施形態では、上端21(起点)から入光面31(終点)までの距離によってこのミリ波を抑制する仕組みを導入する。具体的には、発光部40から最短距離に存在する収納部20の内側の側面の上端21から入光面31までの間に、
図5に示すように抑制距離37として、(2n-1)λ/4の距離を設ける。この抑制距離37の存在により、上端21から導光板30の内部に入り込んだミリ波e
5は、入光面31で反射した際に逆位相となり、互いに打ち消し合うため、入光面31から発光部40の方に漏れ出すミリ波を抑制することができる。なお、nは任意の正の整数であり、すなわち、抑制距離37は、λ/4の正の奇数倍となる。
【0028】
例えば、ミリ波の周波数が79GHzの場合、上述したようにλ=2.2mmなので、nが1の場合には、抑制距離37は2.2/4=0.55mmとなる。なお、抑制距離37には±15%の許容範囲が存在することがシミュレーションで確かめられているため、この場合、抑制距離37は、2.2/4×0.85=0.47mm以上、2.2/4×1.15=0.63mm以下の範囲で設定可能である。
【0029】
同様にして、例えばn=2とすると、抑制距離37は3×2.2/4=1.65mmとなる。そして、抑制距離37には±15%の許容範囲が存在するので、この場合、抑制距離37は、3×2.2/4×0.85=1.4mm以上、3×2.2/4×1.15=1.9mm以下の範囲で設定可能である。
【0030】
つまり、収納部20の厚さwが1.5mmの場合、n=1として抑制距離37を設定することにより、収納部20の外側の側面25よりも導光板30の入光面31を凹ませた状態にすることができる。また、n=2として抑制距離37を設定することにより、収納部20の外側の側面の位置と導光板30の入光面31の位置を揃えることができる。
【0031】
また、収納部20の厚さwが1.5mmの場合において、nを3以上の整数とした場合、抑制距離37は収納部20の厚さwよりも長くなるため、
図5に示すように、導光板30の入光面31側は、収納部20の外側の側面25よりも出っ張った状態になる。導光板30のこの出っ張った部分における裏面38にもアルミメッキを施す等、導体で覆われた状態にしてもよい。導光板30の出っ張った部分の裏面38を導体で覆われた状態にすることにより、導光板30に入射したミリ波が裏面38から漏洩することを防ぐことができる。
【0032】
以上説明したように、レーダー装置100では、導光板30がレーダー部10を覆うカバーにもなっているため、導光板30以外に別途カバーを設ける必要がない。したがって、レーダー装置100は、少ない部材でレーダー部10を隠すことができ、レーダー性能の低下を防ぐことができる。また、導光板30に抑制距離37を設けることにより、レーダー部10から送信される電磁波のうち導光板30を通って発光部40に向かうものは減衰する。したがって、レーダー部10から送信される電磁波がノイズとなって発光部40に入り、導光板30に入光する光が乱れるのを抑制することができる。
【0033】
(実施形態2)
導光板30は、
図6に示すように裏面に凹凸を設けることによって、発光効率を向上させることができる。
図6に示す凹凸は、厚さtの導光板30に深さuの溝が一定間隔で配設されたものであるが、逆に、厚さtの導光板30に高さuの突起を一定間隔で配設することによって凹凸が配設されていてもよい。
【0034】
ここで、レーダー部10から放射される電磁波の導光板30内の実効波長をλとすると、導光板30の厚さtは、レーダー部10から放射される電磁波の透過を最適にするため、上述のようにλ/2の正の整数倍とすることが望ましい。
【0035】
また、深さu(又は高さu)は、レーダー部10から放射される電磁波に影響を与えない大きさが良いが、uをλ/20以下の大きさにすることにより電磁波に与える影響を無視することができることがシミュレーションにより確かめられている。したがって、導光板30に設ける凹凸の深さ(又は高さ)は、レーダー部10から放射される電磁波の導光板30内の実効波長λの20分の1以下とすることが望ましい。
【0036】
凹凸が設けられた導光板30を用いる場合も、
図6に示すように、発光部40から最短距離に存在する収納部20の内側の側面の上端21から導光板30の入光面31までの距離として、上述したように、(2n-1)λ/4の抑制距離37を設けることにより、入光面31から発光部40の方に漏れ出すミリ波を抑制することができる。
【0037】
以上のように、実施形態2に係るレーダー装置100は、導光板30の裏面に凹凸を設けることにより、導光板30の発光効率を向上させることができる。そして凹凸の厚さ(深さ又は高さ)uをλ/20以下とすることにより、レーダー部10から放射される電磁波に与える影響を無視することができ、発光ムラを無くし見映えをさらに良くすることができる。
【0038】
(実施形態3)
上述の実施形態では導光板30が収納部20の側面から垂直に突出している形状のレーダー装置100を示したが、導光板30が収納部20から突出する方向は収納部20の側面に垂直である必要はない。例えば、導光板30が、
図7に示すように収納部20の端部から斜めに突出するような形状のレーダー装置100であってもよい。
【0039】
導光板30は、上述したように車両用の灯火部として機能するが、車体によっては、レーダー装置100を設置可能な位置や向きに制限が生じる場合がある。そのような場合であっても、導光板30の方向を斜め(収納部20の側面に対して垂直以外の方向)にすることにより灯火部(ポジションランプ、テールランプ等)が照らす方向の自由度を高めることができる。特に導光板30を傾斜させる角度(
図7に示すθ)を0°~30°の間に設定することにより、レーダー出力を大きく減衰することなく、導光板30を傾斜させることができる。
【0040】
導光板30の方向が斜めの場合も、
図7に示すように、発光部40から最短距離に存在する収納部20の内側の側面の上端21から導光板30の入光面31までの距離として、上述したように、(2n-1)λ/4の抑制距離37を設けることにより、入光面31から発光部40の方に漏れ出すミリ波を抑制することができる。
【0041】
以上のように、実施形態3に係るレーダー装置100は、導光板30の設置角度を柔軟にすることにより、灯火部(ポジションランプ、テールランプ等)として機能する導光板30が照らす方向の自由度を高めることができる。
【0042】
(実施形態4)
また、導光板30は、
図8に示すように湾曲していてもよい。導光板30が湾曲していると、発光部40からの光は導光板30の湾曲の影響により広がって放出されることになるため、導光板30によって実現される灯火部(ポジションランプ、テールランプ等)の視認性を向上させることができる。また、湾曲した導光板30を用いることによって、レーダー装置100の外観上の見映えをさらに良くする効果も期待できる。
【0043】
湾曲した導光板30を用いる場合も、
図8に示すように、発光部40から最短距離に存在する収納部20の内側の側面の上端21から導光板30の入光面31までの距離として、上述したように、(2n-1)λ/4の抑制距離37を設けることにより、入光面31から発光部40の方に漏れ出すミリ波を抑制することができる。
【0044】
以上のように、実施形態4に係るレーダー装置100は、導光板30を湾曲させることにより、導光板30によって実現される灯火部(ポジションランプ、テールランプ等)の配光制御を行い、視認性を向上させるとともに、外観上の見映えをさらに良くすることができる。
【0045】
なお、導光板30の側面の傾きについて、
図7では側面33の傾きが収納部20の側面の傾きと異なっている例を示しており、
図8では側面33の傾きが収納部20の側面の傾きと一致している例を示している。これらの図に示されている導光板30の側面の傾きは一例であって、ミリ波が漏れないようにアルミメッキ等が施してあるなら、導光板30の側面の傾きをどのように設けるかは任意である。
【0046】
また、導光板30(の入光面31以外の側面32,33,34の側)が収納部20の外側の側面から出っ張る場合には、収納部20の外側の側面から出っ張った部分の裏面35にも(側面32,33,34と同様に)アルミメッキ等を施す等、導体で覆われた状態にして、ミリ波が漏れないようにしてもよい。
【0047】
以上、複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は組み合わせることもできる。例えば、実施形態2と実施形態3とを組み合わせることにより、裏面に凹凸を設けた導光板30を、収納部20の側面に対して斜めの方向に設置したレーダー装置100を構成してもよい。
【0048】
上述の各実施形態に示したレーダー装置100は、用途としては、例えば、自動車に搭載されるレーダー内蔵ライト(レーダー内蔵ヘッドライト内の信号灯又はデイライト/ポジションライト、レーダー内蔵テールランプ内の信号灯等)のような車両用灯具に用いることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲が含まれる。
【符号の説明】
【0050】
10…レーダー部、11…ドライバ部、12…アンテナ部、20…収納部、21,22,23,24…上端、25,32,33,34…側面、26…開口部、27…端面、30…導光板、31…入光面、35,38…裏面、36…表面、37…抑制距離、40…発光部、41…光源モジュール基板、42…発光素子、100…レーダー装置