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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025029920
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】アンカーボルトの定着体
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/41 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
E04B1/41 502E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134815
(22)【出願日】2023-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】323005120
【氏名又は名称】センクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 大希
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀宣
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 将希
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA12
2E125AA18
2E125AA42
2E125AA45
2E125AA46
2E125AA53
2E125AC01
2E125AC04
2E125AE01
2E125AE04
2E125AF01
2E125BA02
2E125BA12
2E125BA32
2E125BA33
2E125BA35
2E125BB08
2E125BB27
2E125BB28
2E125BB29
2E125BB30
2E125BD01
2E125BE07
2E125BF03
2E125CA03
2E125EA12
(57)【要約】
【課題】アンカーボルトに設けられる定着体の直径が大きくなることを抑えて、鉄筋との干渉を抑制するアンカーボルトの定着体を提供する。
【解決手段】アンカーボルト2に設けられる定着体4であって、アンカーボルト本体3の外周面より外側に突出し、アンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する上段の突出部上面42aと、上段の突出部上面42aよりアンカーボルト2の引き抜き方向の反対側に隣設して位置して、アンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する中段の突出部上面42aと、を備え、中段の突出部上面42aは、引き抜き方向から見て上段の突出部上面42aをアンカーボルト本体3の軸芯31を中心に回転させた最外周部の軌跡に囲まれる領域内に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーボルトに設けられる定着体であって、
アンカーボルト本体の外周面より外側に突出し、前記アンカーボルトの引き抜き方向に面して引き抜きに抗する第一突出定着面部と、
前記アンカーボルト本体の外周面より外側に突出するとともに、前記第一突出定着面部より前記アンカーボルトの引き抜き方向の反対側に隣設して位置して、前記アンカーボルトの引き抜き方向に面して引き抜きに抗する第二突出定着面部と、を備え、
前記第二突出定着面部は、引き抜き方向から見て前記第一突出定着面部を前記アンカーボルト本体の軸芯を中心に回転させた最外周部の軌跡に囲まれる領域内に位置することを特徴とする定着体。
【請求項2】
前記アンカーボルト本体の外周面より外側に突出するとともに、前記第一突出定着面部が設けられる第一突出部と、
前記アンカーボルト本体の外周面より外側に突出するとともに、前記第二突出定着面部が設けられる第二突出部と、を備え、
前記第一突出部と前記第二突出部とは離間していることを特徴とする請求項1に記載の定着体。
【請求項3】
前記第一突出部の前記第二突出定着面部側の面は外側に向かって前記第二突出定着面部より離れるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の定着体。
【請求項4】
前記第二突出定着面部は、引き抜き方向から見て前記第一突出定着面部が存在しない部分から視認可能な部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の定着体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートと鋼材を結合するアンカーボルトにおいて、発生する引き抜き力に対してアンカーボルトの先端側に定着体を設け、その支圧力により耐力を規定する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
アンカーボルトの主要な定着機構には、異形鋼棒を使用して付着力を向上させた型式、前記型式の先端にフックを付けた型式、及び鋼棒の先端に頭部を設けて支圧力を向上させた型式等があげられる。また、アンカーボルトの施工時期により、埋設アンカー(打設時)と後施工アンカーの2種類がある。
【0003】
特許文献1に記載のあと施工アンカーは、アンカー孔壁に周面溝を形成し、鉄筋の端部に定着部を設けたアンカー筋を先行建て込み、充填剤を充填固化させて、付着力と支圧力を発揮させて、長期的な耐力を確保することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-79720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンカーボルトの先端側に定着体を設ける機構では、定着体の支圧耐力は、コンクリートの支圧強度を一定とした場合、支圧面積に比例する。このため、支圧耐力を大きく取ろうとすると、定着体の径は大きな直径が必要となる為、定着体を埋設する躯体が大きくなる場合や、躯体内部の配筋との干渉を招くこととなる。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、アンカーボルトに設けられる定着体の直径が大きくなることを抑えて、鉄筋との干渉を抑制するアンカーボルトの定着体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
手段1は、アンカーボルトに設けられる定着体であって、アンカーボルト本体の外周面より外側に突出し、前記アンカーボルトの引き抜き方向に面して引き抜きに抗する第一突出定着面部と、前記アンカーボルト本体の外周面より外側に突出するとともに、前記第一突出定着面部より前記アンカーボルトの引き抜き方向の反対側に隣設して位置して、前記アンカーボルトの引き抜き方向に面して引き抜きに抗する第二突出定着面部と、を備え、前記第二突出定着面部は、引き抜き方向から見て前記第一突出定着面部を前記アンカーボルト本体の軸芯を中心に回転させた最外周部の軌跡に囲まれる領域内に位置することを特徴とする定着体である。
【0008】
手段2は、前記アンカーボルト本体の外周面より外側に突出するとともに、前記第一突出定着面部が設けられる第一突出部と、前記アンカーボルト本体の外周面より外側に突出するとともに、前記第二突出定着面部が設けられる第二突出部と、を備え、前記第一突出部と前記第二突出部とは離間していることを特徴とする手段1に記載の定着体である。
【0009】
手段3は、前記第一突出部の前記第二突出定着面部側の面は外側に向かって前記第二突出定着面部より離れるように形成されていることを特徴とする手段2に記載の定着体である。
【0010】
手段4は、前記第二突出定着面部は、引き抜き方向から見て前記第一突出定着面部が存在しない部分から視認可能な部分を有することを特徴とする手段1乃至3のうちいずれかに記載の定着体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アンカーボルトに取付ける定着体の直径を大きくすることを抑えることで、コンクリート躯体の大型化を抑制し、経済性が図れる。また、定着体の直径を大きくすることを抑えることで鉄筋との干渉を抑制でき、施工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係るアンカーボルトを示し、図1(a)は正面図、図1(b)は平面図である。
図2】第1の実施形態に係るアンカーボルトの要部断面図である。
図3】第2の実施形態に係るアンカーボルトの要部断面図である。
図4】第3の実施形態に係るアンカーボルトの要部断面図である。
図5】第4の実施形態に係るアンカーボルトを示し、図5(a)は正面図、図5(b)は平面図である。
図6】第5の実施形態に係るアンカーボルトを示し、図6(a)は正面図と部分拡大図、図6(b)は平面図である。
図7】第6の実施形態に係るアンカーボルトを示し、図7(a)は正面図、図7(b)は平面図である。
図8】第7の実施形態に係るアンカーボルトを示し、図8(a)は正面図、図8(b)は平面図である。
図9】第8の実施形態に係るアンカーボルトを示し、図9(a)は正面図、図9(b)は平面図である。
図10】第9の実施形態に係るアンカーボルトを示し、図10(a)は正面図、図10(b)は平面図である。
図11】第10の実施形態に係るアンカーボルトの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0014】
〔第1の実施形態〕
図1図2は、本発明の第1の実施形態を示す。
図1(a)はアンカーボルトの正面図、図1(b)は平面図であり、図2は要部断面図である。
【0015】
第1の実施形態は、基礎などの水平方向の露出面を有する構造物の躯体となるコンクリート1に埋設される埋設アンカーとして鉛直方向に設けられるアンカーボルト2の定着体4に適用したものである。
【0016】
図面には、座標軸としてX軸、Y軸及びZ軸を記載している。引き抜き方向をZ軸方向とし、水平面をX軸及びY軸とで形成される平面XYとして示している。すなわち、アンカーボルト2の定着体4の平面XYと略平行な面(例えば、水平面)は支圧耐力を発生する面となる。支圧耐力は、コンクリート1の圧縮強度に基づきアンカーボルト2の引き抜き力に対抗するものである。
【0017】
アンカーボルト2には定着体4が設けられる。すなわち、コンクリート1に埋設されて結合されるアンカーボルト2は、アンカーボルト本体3と、定着体4とを備える。
【0018】
アンカーボルト本体3は、例えば、一般鋼材の丸鋼で形成され、直線の軸芯31(Z軸方向に設置される)を有する。図面においてアンカーボルト本体3の上部は省略して記載されている。
アンカーボルト本体3には、下端側の端部に雄ネジ32が形成されている。
【0019】
定着体4は、アンカーボルト本体3に取り付けられている。
定着体4は、例えば鋼製であり、略円柱体状の形状をして一体に成型されている。
【0020】
定着体4は、アンカーボルト本体3への取付部として主に機能する定着体本体41と、アンカーボルト2の引き抜きに抗する抵抗部として主に機能する突出部42とを有する。
【0021】
定着体本体41は、円柱体として形成され、中央部を貫通し雌ネジが形成された本体孔41dを有している。
【0022】
本体孔41dの軸芯は、アンカーボルト本体の軸芯31と一致して形成されている。
本体孔41dに形成された雌ネジは、アンカーボルト本体3の雄ネジ32に螺合されることで、定着体4は、アンカーボルト本体3に取り付けられる(図2)。
【0023】
定着体本体41は、本体孔41dより外側に本体上面41aと、本体側面41bと、本体底面41cとを有している。
本体上面41aは、定着体4が取り付けられ埋設された状態で、アンカーボルト本体3の外周面(雄ネジ32が形成された部分)より外側に突出して位置し、アンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する機能を奏する。
【0024】
突出部42は、本体側面41bから外側に突出して形成されている。すなわち、突出部42は、アンカーボルト本体3の外周面(雄ネジ32が形成された部分)より外側に突出して形成されている。
突出部42は、本体側面41bから外側に環状に突出し(図1(b))、Z軸方向に3段(上段、中段、下段)で形成されている(図1(a))。
【0025】
突出部42は、突出部上面42aと、突出部側面42bと、突出部底面42cを有している。
【0026】
突出部上面42aは、定着体4が取り付けられ埋設された状態で、アンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する機能を奏する。すなわち、突出部上面42aは、本願発明の突出定着面部に相当する。
【0027】
突出部側面42bは、突出部上面42aが十分な引き抜きに抗する機能を発揮するために十分な肉厚をもって設けられている。
【0028】
下段の突出部底面42cは、本体底面41cと面一に形成されている。
【0029】
3段形成された突出部42は、コンクリート1が十分に充填される程度の間隔をもって設けられている。各段に形成された突出部42の間には、本体側面41bが存在することになる。
【0030】
突出部42は3段形成されており、中段の突出部42は、上段のものよりアンカーボルト2の引き抜き方向の反対側に(離間して)隣設して配置され、下段の突出部42は、中段のものよりアンカーボルト2の引き抜き方向の反対側に(離間して)隣設して配置される。
【0031】
中段の突出部上面42aは、上段のものよりアンカーボルト2の引き抜き方向の反対側(Z軸マイナス方向)に隣設して配置され、下段の突出部上面42aは、中段のものよりアンカーボルト2の引き抜き方向の反対側に隣設して配置されることになる。
【0032】
上段の突出部42と中段の突出部42について見たときに、上段の突出部42が本発明の第一突出部、中段の突出部42が本発明の第二突出部に相当し、上段の突出部上面42aが本発明の第一突出定着面部、中段の突出部上面42aが本発明の第二突出定着面部に相当する。また、本体上面41aは、本発明の第一突出定着面部に相当する。
【0033】
また、中段の突出部42と下段の突出部42について見たときに、中段の突出部42が本発明の第一突出部、下段の突出部42が本発明の第二突出部に相当し、中段の突出部上面42aが本発明の第一突出定着面部、下段の突出部上面42aが本発明の第二突出定着面部に相当する。
【0034】
各段の突出部42の本体側面41bから外側に環状に突出する幅は同一であり、平面視の外側形状も同じである。
すなわち、上下方向に隣設される二つの突出部42に着目したとき、引き抜き方向(Z軸方向)から視て、アンカーボルト本体3の軸芯31を中心に、上側の突出部上面42aを回転させた最外周の軌跡である最外周部軌跡(突出部側面42bと同じ)は、平面XYに平行な平面上の円であり、この軌跡に囲まれる領域内に下側の突出部上面42aが位置することになる。換言すると、引き抜き方向から視て、上側の突出部上面42aの投影した範囲内に下側の突出部上面42aは位置して、視認できないような状態になる。
【0035】
定着体4は、アンカーボルト2の引き抜き方向に面する引き抜きに抗する複数の面を有している。すなわち、上下方向の複数段に引き抜き方向に面する引き抜きに抗する面を備えるようにすることで、十分な引き抜き抵抗を確保するようにしている。
加えて、第二突出定着面部(下側の突出部上面42a)は、引き抜き方向から見て第一突出定着面部(上側の突出部上面42a)をアンカーボルト本体3の軸芯31を中心に回転させた最外周部の軌跡に囲まれる領域内に位置するので、十分な引き抜き抵抗を確保できるとともに、定着体4の直径が大きくなることを抑えて、コンクリート躯体の大型化を抑制し、経済性が図れる。また、定着体4の直径を大きくすることを抑えることでコンクリート1中に配筋される鉄筋との干渉を抑制でき、施工性が向上する。
【0036】
アンカーボルト本体3に丸鋼を使用して付着力が低くても適用できることから、躯体表面のひび割れも抑制され、耐久性が向上する。
【0037】
下段の突出部底面42cは、本体底面41cと面一に形成されているので、施工の際に定着体4を地面などにおいても安定して載置ができる。
【0038】
定着体4のアンカーボルト本体3への取付に関して、アンカーボルト本体3への雄ネジ32に本体孔41dの雌ネジを螺合させるようにしたことによって、アンカーボルト本体3への定着体4の取付位置を上下方向任意に調整できるので、施工現場において鉄筋との干渉を避けることができる。
なお、本実施形態では、本体孔41dに雌ネジを設けるようにしたが、雌ネジを設けずアンカーボルト本体3が挿通可能な挿通孔を設けて上下端部にナットを採用してナットをアンカーボルト本体3に螺合させるようにしても良い。
【0039】
本実施形態では、突出定着面部である突出部上面42aが形成される突出部42が連続して形成される環状であったがこれに限られず、断続的に設けられるものであっても良い。
また、本実施形態では、定着体本体41の本体上面41aは、突出部42の突出部上面42aに対して本体側面41bの段差を介して設けられていたが、これに限られず、下段の突出部底面42cと本体底面41cのように面一に形成されていても良い。この場合には、アンカーボルト本体3に取り付ける前の定着体4について、本体上面41aを下にして載置する際にも安定して置くことができる。
【0040】
〔第2の実施形態〕
図3を参照して、本発明の第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図3は、第2の実施形態のアンカーボルトの要部断面図である。
【0041】
第1の実施形態と異なる点は、定着体本体41の本体孔41dが、下部まで貫通しない雌ネジで形成されている点である。
【0042】
本体孔41dが下部まで貫通していないので、アンカーボルト本体3の下端が本体孔41dの底部に接触させることで、アンカーボルト本体3に対する定着体4の位置を定めることができる。
【0043】
アンカーボルト本体3に取り付けた定着体4の本体底面41cから、アンカーボルト本体3の下端が突出しないため、定着体4がアンカーボルト2を建て込む際のスタンドとして機能し、定着体4を取り付けたアンカーボルト2を図示しないスペーサなどに載置しやすくなるなど施工性が向上する。
【0044】
〔第3の実施形態〕
図4を参照して、本発明の第3の実施形態を示す。なお、第1~2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図4は、第3の実施形態のアンカーボルトの要部断面図である。
【0045】
第3の実施形態は、アンカーボルト本体3と定着体4との取付構造が異なる。
具体的には、アンカーボルト本体3に雌ネジが形成され、定着体4に雄ネジが形成されて螺合される点である。
【0046】
定着体4には、定着体本体41の本体上面41aから上方に突出して形成される本体上面突出部41e形成されている。
本体上面突出部41eの外周面には雄ネジが形成されている。
【0047】
アンカーボルト本体3の下端の底面には天井面を有する底面孔33が設けられており、内周面には雌ネジが形成されている。
アンカーボルト本体3の底面孔33の雌ネジに定着体4の雄ネジを螺合させることで、とアンカーボルト本体3に定着体4が取り付けられる。
【0048】
アンカーボルト本体3の外周面と、定着体4の本体側面41bの外周面とが面一になるように形成されている。すなわち、定着体4がアンカーボルト本体3に取り付けられた際に、本体上面41aとアンカーボルト本体3の下端の底面とが当接し、定着体4の本体側面41bの外周面はアンカーボルト本体3の外周面より外側には位置せず、定着体4の突出部42がアンカーボルト本体3の外周面より外側に位置することになり、本体上面41aは、アンカーボルト2の引き抜き方向に面する引き抜きに抗する機能を発揮せず、突出部42が当該機能を発揮することになる。
【0049】
本実施形態では、アンカーボルト本体3の外周面と、定着体4の本体側面41bの外周面とが面一になるように形成したがこれに限られず、定着体4の本体側面41bの外周面はアンカーボルト本体3の外周面より外側に位置するように構成しても良い。この場合には、本体上面41aは、アンカーボルト2の引き抜き方向に面する引き抜きに抗する機能を発揮することになる。
【0050】
本体上面突出部41eの先端を底面孔33の天井部分に当接させたり、本体上面41aをアンカーボルト本体3の下端の底面に当接させたりすることで、アンカーボルト本体3に対する定着体4の位置を確定することができる。
【0051】
〔第4の実施形態〕
図5を参照して、本発明の第4の実施形態を示す。なお、第1~3の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図5(a)はアンカーボルトの正面図、図5(b)は平面図である。
【0052】
本実施形態では、アンカーボルト本体3と定着体4とを一体に成形した点が異なる。
アンカーボルト本体3と定着体4とを一体に成形することで定着体4をアンカーボルト本体3に取り付ける作業が省略され施工性が向上する。
【0053】
〔第5の実施形態〕
図6を参照して、本発明の第5の実施形態を示す。なお、第1~4の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図6(a)はアンカーボルトの正面図及び部分拡大図、図6(b)は平面図である。
【0054】
本実施形態では、突出部42の突出部底面42cがテーパー形状となっている点が第4の実施形態と異なる。
【0055】
各段の突出部42の突出部底面42cは、それぞれテーパー部42c1として形成されている。
【0056】
テーパー部42c1は、軸芯31側から外側に向かって斜め上側の傾斜するように形成されている。すなわち、上側に位置する突出部42の下側に位置する突出部42側の突出部底面42cは、外側に向かって下側に位置する突出部上面42aより離れるハンチ状になるように形成されている。
【0057】
このように突出部42の突出部底面42cは、それぞれテーパー部42c1として形成されているので、離間した突出部42と突出部42との間にコンクリートが充填されやすくなるので、下側(中段及び下段)の突出部42の突出部上面42aに十分な引き抜き抵抗を持たせることができる。
【0058】
〔第6の実施形態〕
図7を参照して、本発明の第6の実施形態を示す。なお、第1~5の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図7(a)はアンカーボルトの正面図、図7(b)は平面図である。
【0059】
本実施形態は、定着体4が異なり、プレート44とスリーブ45を重ね合わせて上下方向両端にナット43を設けた定着体4である点が異なる。
【0060】
定着体4は、3枚の同じ円形のプレート44と、プレート44間に配置される2個の円筒形のスリーブ45と、上下方向の両端に2個のナット43を備える。
プレート44及びスリーブ45の中央には、図示しない貫通孔が設けられ、アンカーボルト本体3を貫通させることができる。
【0061】
ナット43は、ナット上面43a、ナット側面43b、ナット底面43cを有する。
【0062】
プレート44は上下方向(Z軸方向)に3枚(上段、中段、下段の3段)設けられる。
プレート44は、プレート上面44a、プレート側面44b、プレート底面44cを有する。
【0063】
プレート側面44bは、六角形状のナット側面43bより外側に位置している。また、プレート側面44bは、スリーブ45の外形より外側に位置している。
【0064】
スリーブ45は、上側のプレート44と下側のプレート44との間隔を離間させるためのスペーサとして機能し、コンクリート1が十分に充填されるようになる。
【0065】
定着体4をアンカーボルト本体3に取り付けるには、一のナット43をアンカーボルト本体3の雄ネジ32に螺合させておき、プレート44及びスリーブ45の貫通孔にアンカーボルト本体3を挿通して螺合させたナット43のナット底面43cに当接させ、その後、他のナット43をアンカーボルト本体3の雄ネジ32に螺合させ、ナット上面43aを挿通させた下段のプレート44のプレート底面44cに当接させて締め込んで固定する。
【0066】
本実施形態では、プレート44及びスリーブ45はそれぞれ予め接合されて一体に構成されているが、接合されていなくても良い。
【0067】
上側に設けられたナット43のナット上面43aは、定着体4が取り付けられ埋設された状態で、アンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する機能を奏する。
【0068】
上段のプレート44のプレート上面44aのうちナット43より外側に位置する部分は、アンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する機能を奏し、本発明の突出定着面部に相当する。
【0069】
中段及び下段のプレート44のプレート上面44aのうちスリーブ45より外側に位置する部分は、アンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する機能を奏し、本発明の突出定着面部に相当する。
【0070】
上段のプレート44と中段のプレート44について見たときに、上段のプレート44が本発明の第一突出部、中段のプレート44が本発明の第二突出部に相当し、上段のプレート上面44aのうちナット43より外側に位置する部分が本発明の第一突出定着面部、中段のプレート上面44aのうちスリーブ45より外側に位置する部分が本発明の第二突出定着面部に相当する。また、上端のナット上面43aは、本発明の第一突出定着面部に相当する。
【0071】
また、中段のプレート44と下段のプレート44について見たときに、中段のプレート44が本発明の第一突出部、下段のプレート44が本発明の第二突出部に相当し、中段のプレート上面44aのうちスリーブ45より外側に位置する部分が本発明の第一突出定着面部、下段のプレート上面44aのうちスリーブ45より外側に位置する部分が本発明の第二突出定着面部に相当する。
【0072】
本実施形態では、重ね合わせたプレート44とスリーブ45の上下方向両端にナット43を設けているが設けなくても良い。この場合、プレート44とスリーブ45のうち少なくとも下段のプレート44の貫通孔に雌ネジを形成してアンカーボルト本体3の雄ネジ32に螺合させて取り付けるように構成する。また、上下方向の両端のうち上端にはナット43を設けず、下端にナット43を設けるようにしても良い。この場合、上段のプレート上面44aが本発明の第一突出定着面部に相当する。
【0073】
〔第7の実施形態〕
図8を参照して、本発明の第7の実施形態を示す。なお、第1~6の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図8(a)はアンカーボルトの正面図、図8(b)は平面図である。
【0074】
第7の実施形態は、第6の実施形態の定着体4を替えたもので、スリーブ45が省かれプレート44を2枚重ね合わせた点が異なる。
【0075】
プレート44は、各々図示しない貫通孔を有し同じ正方形の形状である点も異なり(図8(b))、アンカーボルト本体3が挿通されて上下方向(Z軸方向)2段に重ね合わせられる(図8(a))。
【0076】
図8(b)に示すように、下段のプレート44は、アンカーボルト本体の軸芯31を中心として、上段のプレート44に対して、Z軸方向から見て、例えば時計周りに45度回転させて重ね合わせて設けられる。
【0077】
すなわち、上下方向に隣設され重ねて設けられる上段と下段のプレート44に着目したとき、引き抜き方向(Z軸方向)から視て、アンカーボルト本体3の軸芯31を中心に、上段のプレート44を回転させた最外周の軌跡である最外周部軌跡44d(上側のプレート44の正方形の頂点の軌跡)は、平面XYに平行な平面上の円であり、この軌跡に囲まれる領域内に下段のプレート44のプレート上面44aが位置することになる。
【0078】
下段のプレート44の正方形の4つの頂点は、上段のプレート44の4つの辺の中央部分から外側に位置しており、Z軸方向から見た際に、下段のプレート44のプレート上面44aは、三角形状部分で視認されることになる。
この視認される下段のプレート上面44aの三角形状部分は、アンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する機能を奏し、本発明の突出定着面部に相当する。
【0079】
上段のプレート44のプレート上面44aのうちナット43より外側に位置する部分は、アンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する機能を奏し、本発明の突出定着面部に相当する。
【0080】
上段のプレート44と下段のプレート44について見たときに、上段のプレート44が本発明の第一突出部、下段のプレート44が本発明の第二突出部に相当し、上段のプレート上面44aのうちナット43より外側に位置する部分が本発明の第一突出定着面部、下段のプレート上面44aのうち上段のプレート44より外側に位置し視認される三角形状部分が本発明の第二突出定着面部に相当する。また、上端のナット上面43aは、本発明の第一突出定着面部に相当する。
【0081】
下段のプレート上面44aの第二突出定着面部に相当する三角形状部分の上方には、上段のプレート44が存在しないため、コンクリート1が十分に存在することになり、確実にアンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する機能を奏することになる。
【0082】
本実施形態では、上段のプレート44と下段のプレート44とはアンカーボルト本体3に取り付ける前には別体であって、予め接合されていないが、予め接合されて一体に構成されているようにしても良い。
【0083】
〔第8の実施形態〕
図9を参照して、本発明の第8の実施形態を示す。なお、第1~7の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図9(a)は、アンカーボルトの正面図、図9(b)は平面図である。
【0084】
第8の実施形態は、第6の実施形態の定着体4を替えたもので、3枚のプレート44の形状が異なるものである。
プレート44は、3枚が上下方向3段(上段、中段、下段)にスリーブ45により離間して設けられる。
【0085】
プレート44は、第7の実施形態のものと同様で正方形の形状である。
【0086】
図9(b)に示すように、中段のプレート44は、アンカーボルト本体の軸芯31を中心として、上段のプレート44に対して、Z軸方向から見て、例えば時計周りに45度回転させて重ね合わせて設けられる。
【0087】
また、下段のプレート44は、アンカーボルト本体の軸芯31を中心として、中段のプレート44に対して、Z軸方向から見て、例えば時計周りに45度回転させて重ね合わせて設けられる。
【0088】
すなわち、上下方向に隣設され離間して設けられる上側と下側のプレート44に着目したとき、引き抜き方向(Z軸方向)から視て、アンカーボルト本体3の軸芯31を中心に、上側のプレート44を回転させた最外周の軌跡である最外周部軌跡44d(上側のプレート44の正方形の頂点の軌跡)は、平面XYに平行な平面上の円であり、この軌跡に囲まれる領域内に下側のプレート44のプレート上面44aが位置することになる。
【0089】
下段のプレート上面44aの第二突出定着面部に相当する三角形状部分の上方には、中段のプレートは存在せず、上段のプレート44が存在するが、十分な間隔があるので、コンクリート1が十分に存在することになり、確実にアンカーボルト2の引き抜き方向に面して引き抜きに抗する機能を奏することになる。
【0090】
〔第9の実施形態〕
図10を参照して、本発明の第9の実施形態を示す。なお、第1~8の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図10(a)はアンカーボルトの正面図、図10(b)は平面図である。
【0091】
第9の実施形態は、第7の実施形態の定着体4に替えたもので、隣設される2枚のプレート44の間にナット43を設けたものである。
【0092】
2枚のプレート44の間に設けられたナット43は、定着体4をアンカーボルト本体3に取り付ける機能に加えて、2枚のプレート44の離間距離を確保するスペーサの機能も備える。
【0093】
本実施形態では、上段のプレート44、下段のプレート44、3つのナット43とはアンカーボルト本体3に取り付ける前には別体であって、予め接合されていないが、上段のプレート44、下段のプレート44は、隣接するナット43のいずれかと予め接合されて一体に構成されているようにしても良い。
【0094】
〔第10の実施形態〕
図11を参照して、本発明の第10の実施形態を示す。なお、なお、第1~9の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図11は、アンカーボルトの正面図である。
【0095】
本実施形態は、壁面などの鉛直方向の露出面を有する構造部のコンクリート1に埋設される埋設アンカーとして水平方向に設けられるアンカーボルト2の定着体4に適用したものである。
アンカーボルト2は、第4の実施形態に係るものと同様である。
【0096】
本実施形態に係るアンカーボルト2の定着体4は、アンカーボルト2の引き抜き方向(X方向)に面して引き抜きに抗する機能を奏する突出定着面部を有することになる。
【0097】
〔その他の実施形態〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、以下のようなものも含まれる。
【0098】
本実施形態では、コンクリートの打設時に同時に埋設される埋設アンカーであったが、これに限られず、既設のコンクリートに設けた削孔にアンカーボルトを挿入して充填剤を注入するあと施工アンカーに適用しても良い。この場合であっても、同様の効果を奏するとともに、既設コンクリートに設ける削孔径を抑制できる。
【0099】
本実施形態では、アンカーボルトの引き抜き方向がコンクリートの露出面と直交して態様のものであったが、これに限られず、アンカーボルトの引き抜き方向がコンクリートの露出面と異なる角度であっても良い。例えば、基礎のような水平方向の露出面のコンクリートに対して、傾斜して埋設されるアンカーボルトに適用されても良い。
【0100】
本実施形態では、アンカーボルト本体3に丸鋼を使用したが、これに限られず、異形棒鋼として、付着力を期待するようにしても良い。
【0101】
変形例を含むいずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 コンクリート
2 アンカーボルト
3 アンカーボルト本体
31 軸芯
32 雄ネジ
33 底面孔
4 定着体
41 定着体本体
41a 本体上面
41b 本体側面
41c 本体底面
41d 本体孔
41e 本体上面突出部
42 突出部
42a 突出部上面
42b 突出部側面
42c 突出部底面
42c1 テーパー部
43 ナット
43a ナット上面
43b ナット側面
43c ナット底面
44 プレート
44a プレート上面
44b プレート側面
44c プレート底面
44d 最外周部軌跡
45 スリーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11